JP6670620B2 - 車両用無段変速機の異常判定装置及び異常時対応装置 - Google Patents

車両用無段変速機の異常判定装置及び異常時対応装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両用無段変速機の異常、特に、車両を急減速させる異常を判定する、車両用無段変速機の異常判定装置及びこれを用いた異常時対応装置に関するものである。
無段変速機の故障を判定するために種々の技術が開発されている。
例えば特許文献1には、車両用のベルト式無段変速機において、変速比異常が継続したら、プーリに供給する作動油の油圧を制御するソレノイドバルブが異常状態であると判定する技術が開示されている。
また、特許文献2には、車両用の無段変速機において変速制御系が故障すると、変速比をいきなり最Low近辺の大きな変速比に向けてダウンシフト変速指令が出されることもあり得る点に着目し、これを回避するための技術が提案されている。この技術では、無段変速機の変速制御に供されるライン圧が、無段変速機の変速比毎のライン圧設定値を越えている場合、変速制御のメイン制御系が異常な状態であるとサブ制御系が判断し、ライン圧がライン圧設定値を越えた時の変速比を維持するように制御する。
特開2013−217443号公報 特開平11−30327号公報
特許文献2に記載されているように、変速比がいきなり最Low近辺に変化すると、強いエンジンブレーキ状態になって車両が急減速する。このため、車両の走行安定性の低下を招くおそれがあり、このとき、ブレーキスイッチがオフでブレーキランプが点灯しない状況であると、後続車のドライバはこの急減速を速やかに認識できないおそれがある。
特許文献2の技術は、このような点に着目したものであるが、無段変速機の変速制御に供されるライン圧情報が得られないと、具体的には、メイン制御系がライン圧ソレノイドへ指示するライン圧ソレノイド駆動デューティが得られないと、異常を判定することができない。
そこで、メイン制御系以外の制御系統からの情報や、無段変速機に装備されたセンサ類の情報を用いて、変速制御のメイン制御系の異常等に起因して、ブレーキ操作を行なわないにも関わらず車両が急減速するような異常な状況を速やかに判定できるようにしたい。
本発明は、このような課題を解決するために創案されたもので、車両用無段変速機において異常が生じて、ブレーキ操作を行なわないにも関わらず車両が急減速する場合に、これを速やかに確実に判定して異常に対応することができるようにした、車両用無段変速機の異常判定装置及びこれを用いた異常時対応装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の車両用無段変速機の異常判定装置は、車両の駆動源に接続され、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらのプーリに掛け回された無端状の動力伝達部材とを有するバリエータと、外部制御手段の指令に基づいて前記バリエータの変速比を制御する変速制御手段と、を有し、前記変速比の変化速度を予め設定された上限値を超えないように前記変速比を制御する無段変速機において、この無段変速機の急減速異常を判定する無段変速機の異常判定装置であって、前記無段変速機の選択レンジを検出するレンジ検出手段と、前記プライマリプーリの回転速度を検出するプライマリプーリ回転検出手段と、前記セカンダリプーリの回転速度を検出するセカンダリプーリ回転検出手段と、前記駆動源への出力要求操作を検出する出力要求操作検出手段と、前記車両のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、前記プライマリプーリ回転検出手段により検出された前記プライマリプーリの回転速度及び前記セカンダリプーリ回転検出手段により検出された前記セカンダリプーリの回転速度から変速比を算出する変速比算出手段と、前記レンジ検出手段,前記セカンダリプーリ回転検出手段,前記出力要求操作検出手段及び前記ブレーキ操作検出手段からの情報に基づいて、前進走行レンジが選択されていること、前記セカンダリプーリの回転速度が第1の所定値以上であること、及び、出力要求操作もブレーキ操作もされていないこと、の全てが成立したら、許可条件が成立したと判定する許可条件判定手段と、前記許可条件判定手段により許可条件が成立したと判定されたら、前記変速比算出手段により検出された変速比の変化速度が前記上限値を超えたことである第1仮判定条件と前記プライマリプーリ回転検出手段により検出された前記プライマリプーリの回転速度の変化速度が第2の所定値を超えたことである第2仮判定条件との少なくとも何れかを含む異常仮判定条件が成立したか否かを判定する異常仮判定手段と、前記異常仮判定手段により異常仮判定条件が成立したと判定されたら、前記プライマリプーリ回転検出手段により検出された前記プライマリプーリの回転速度が前記外部制御手段から指令された前記プライマリプーリの目標回転速度から高速側に所定差以上乖離したことである異常確定条件が成立したか否かを判定し、異常確定条件が成立したら前記急減速異常の状態であると確定する異常確定手段とを有することを特徴としている。
なお、前記異常仮判定条件は、前記第1仮判定条件と前記第2仮判定条件との少なくとも何れかを含むものであり、前記第1仮判定条件と前記第2仮判定条件との何れか一方を含むものであればよいが、前記第1仮判定条件と前記第2仮判定条件との両方を含むものであれば、より好ましい。
(2)前記異常確定手段は、異常確定条件が成立したか否かを前記異常仮判定成立後の所定時間内に実行することが好ましい。
(3)前記異常仮判定手段は、前記第1仮判定条件及び前記第2仮判定条件が共に成立したら前記異常仮判定条件が成立したと判定することが好ましい。
(4)前記第1仮判定条件は、前記変速比の変化速度が前記上限値を超えている状態が第1設定時間以上継続したことであり、前記第2仮判定条件は、前記プライマリプーリの回転速度の変化速度が第2の所定値を超えている状態が第2設定時間以上継続したことであり、前記異常確定条件は、前記プライマリプーリの回転速度が前記プライマリプーリの目標回転速度から高速側に所定差以上乖離した状態が前記所定時間よりも短い設定時間以上継続したことであることが好ましい。
(5)また、本発明の車両用無段変速機の異常時対応装置は、上記の無段変速機の異常判定装置と、前記異常判定装置により、前記無段変速機が前記急減速異常の状態であることが判定されたら、前記バリエータの変速比のロー側へのシフトを抑制する又は前記無段変速機をニュートラル状態にする異常時対応制御を実施する対応制御手段と、を有することを特徴としている。
(6)前記対応制御手段は、前記異常判定装置により、前記無段変速機が前記急減速異常の状態であることが判定されたら、ブレーキランプを点灯させることが好ましい。
本発明によれば、前記変速比の変化速度が上限値を超えたこと、プライマリプーリの回転速度の変化速度が第2の所定値を超えたこと、の少なくとも何れか(好ましくは両方)を含む異常仮判定条件が成立したら、プライマリプーリの回転速度が外部制御手段から指令された目標回転速度から高速側に所定差よりも大きく乖離したことである異常確定条件が成立したか否かを所定時間内に判定し、異常確定条件が成立したら急減速異常の状態であると確定する。したがって、確実かつ速やかに急減速異常の状態を判定することができ、この急減速異常に速やかに対応することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機の異常判定装置及び異常時対応装置を説明する車両のパワートレイン及びその制御系統を示す模式的構成図である。 本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機の異常判定装置を説明するブロック図である。 本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機の異常判定装置の判定手法を説明する変速線図である。 本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機の異常判定装置の判定手法を説明するタイムチャートである。 本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機の異常判定装置及び異常時対応装置の手順を説明するフローチャートであり、(a)はメインルーチンを示し、(b),(c)はサブルーチンフローを示す。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することや適宜組み合わせることが可能である。
また、以下の説明では、回転速度について、回転数と表記するが、これらはいずれも単位時間当たりの回転数であるので、回転速度と同等である。
[1.パワートレインの構成]
図1は本実施形態にかかる車両用無段変速機が装備された電動車両のパワートレイン及びその制御系統を示す模式的構成図である。図1に示すように、本車両は、エンジン(内燃機関)1と、モータジェネレータ(発電機能付き電動モータ、以下、略してMGともいう)2と、前後進切替機構4とバリエータ(無段変速機構)5とを有する自動変速機としての無段変速機(以下、CVTともいう)3と、第1クラッチ(CL1)6と、第2クラッチ(CL2)7と、ディファレンシャルギア8と、駆動輪9,9と、を備えた、ハイブリッド車両として構成されている。
つまり、このハイブリッド車両は、エンジン1とMG2との間に第1クラッチ6を備えており、走行モードとして、第1クラッチ6の締結によるHEVモードと、第1クラッチ6の解放によるEVモードと、を有している。HEVモードには、エンジン1のみを動力源として走行するエンジン単独走行モードと、エンジン1のトルクに加えてMG2のトルクを付加する併用走行モードとを有している。
また、第2クラッチ7は、MG2とCVT3内のバリエータ5との間に設けられている。
エンジン1の出力軸とMG2の入力軸とは、トルク容量可変の第1クラッチ6を介して連結されている。また、MG2の出力軸と無段変速機3の入力軸とが前後進切替機構4(第2クラッチ7)を介して連結されている。CVT3の出力軸はディファレンシャルギア8を介して駆動輪9,9と連結されている。
HEVモードにおいては、第1クラッチ6が係合され、CVT3では、第1クラッチ6を介して入力されるエンジン1の動力と、MG2から入力される動力を合成してクラッチ7を介して入力されて、これを変速して駆動輪9,9へ出力する。また、EVモードにおいては、第1クラッチ6が解放され、無段変速機3では、クラッチ7を介してモータジェネレータ2から入力される動力を変速して駆動輪9,9へ出力する。
[2.パワートレインの制御系の構成]
次に、このようなパワートレインの制御系を説明する。
図1に示すように、本車両には、制御系統として、パワートレイン全体を制御する統合制御装置(HCM,Hybrid Control Module)10と、HCM10の制御下でCVT5を制御する自動変速機制御装置(ATCU,Automatic transmission Control Unit)30と、ATCU30を監視する監視装置40とが備えられている。なお、HCM10,ATCU30,監視装置40は、いずれも中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。
HCM10は、車両の種々の制御を行なう機能を有し、特に、エンジン1を制御する機能(エンジン制御部)11と、モータジェネレータ2を制御する機能(モータ制御部)12と、を有し、エンジン1とモータジェネレータ2とを統合制御する。また、HCM10は、ATCU30に、例えばCVT3の目標変速比RATIOtや目標プライマリ回転数Npri_t等の変速に係る指令情報を出力する。
HCM10は、シフトレバー(図示略)のシフトポジションを検知しシフトポジションに応じたシフトレンジ信号を出力するインヒビタスイッチ(IHSW)91、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)APOを検出するアクセルポジションセンサ(APS)92、後述のバリエータ5のプライマリプーリ51の実回転数(実プライマリ回転数)Npri_rを検出するプライマリプーリ回転センサ93、後述のバリエータ5のセカンダリプーリ52の実回転数(実セカンダリ回転数)Nsec_rを検出するセカンダリプーリ回転センサ94、スロットルバルブの開度(スロットル開度)TVOを検出するスロットル開度センサ95、ブレーキペダル(図示略)の操作の有無(オンオフ)を検出するブレーキスイッチ96等が接続され、これらのセンサ類から検出情報が入力される。また、ATCU30及び監視装置40にも、これらの検出情報が適宜入力される。
HCM10では、目標プライマリ回転数Npri_tを、例えば、アクセル開度APO、車速Vsp及びブレーキ信号などの情報に基づいて設定する。なお、車速Vspはセカンダリプーリ回転数Nsecから算出できる。また、HCM10では、運転者がシフトレバーなどを操作することによりダウンシフト又はアップシフトを要求すると、車速Vspに応じて目標プライマリ回転数Npri_tを増大又は減少するように設定する。
第1クラッチ6は、エンジン1をモータジェネレータ2に連結或いはモータジェネレータ2から切り離すものであり、例えば湿式多板摩擦クラッチ或いは乾式クラッチが適用される。第1クラッチ6は、図示しない油圧ユニットにより生成される第1クラッチ油圧によって、係合,解放が制御される。また、油圧ユニットは、HCM10からの走行モードに応じた制御指令に基づきATCU30により制御される。
HCM10は、車速Vsp、加減速度、運転者のアクセルペダル操作、車両駆動用バッテリ20の充電状態などに基づいて、エンジン1の車両駆動力が必要か否かを判定し、走行モードを選定して、第1クラッチ6の状態を設定する。エンジン1の車両駆動力が必要であれば、第1クラッチ6を係合させHEVモードとし、エンジン1の車両駆動力が必要でなければ、第1クラッチ6を解放させEVモードとする。
第2クラッチ7は、遊星ギヤ4Aによる前後進切替機構4に設けられた前進クラッチ7aと後退ブレーキ7bとが適用されている。つまり、前進走行時には、前進クラッチ7aが第2クラッチ7とされ、後退走行時には、後退ブレーキ7bが第2クラッチ7とされる。これらの前進クラッチ7a,後退ブレーキ7bにも、例えば湿式多板摩擦クラッチが適用される。前進クラッチ7a,後退ブレーキ7bも、図示しない油圧ユニットにより生成される第2クラッチ油圧によって、完全係合,スリップ係合(スリップ状態),解放が制御される。
[3.CVT及びその制御系の構成]
CVT3は、上記の前後進切替機構4とバリエータ5とを備え、バリエータ5は、プライマリプーリ51と、セカンダリプーリ52と、これらのプーリ51,52に掛け回されたベルト又はチェーンといった無端状の動力伝達部材(以下、ベルトと称する)53とを備えている。
ATCU30は、前記第1クラッチ6の油圧と、前後進切替機構4の前進クラッチ7a,後退ブレーキ7bの油圧と、バリエータ5のプライマリプーリ51の油圧(プライマリプーリ圧)及びセカンダリプーリ52の油圧(セカンダリプーリ圧)とを、それぞれ設定し、油圧ユニットの電磁弁のソレノイド(プライマリプーリ圧に関してはプライマリソレノイド、セカンダリプーリ圧に関してはセカンダリソレノイド)の制御により、設定した各油圧を生成し供給する。
ATCU30は、第2クラッチ7(前進クラッチ7a,後退ブレーキ7b)については、完全係合状態(締結状態)と完全解放状態(開放状態)とを切り替える遷移時には、スリップ係合を用い、複数の摩擦板を滑らせながら完全係合状態と完全解放状態とを円滑に切り替える。また、特に急発進や再加速等の高負荷で発進や加速をする場合を想定して、第2クラッチ7をスリップ係合させる第3の走行モード〔以下、WSC(Wet Start Clutch)走行モードという〕を備え、WSC走行モードが選択されたら、ATCU30は第2クラッチ7をスリップ係合制御する。
また、ATCU30は、プライマリプーリ圧及びセカンダリプーリ圧に関しては、バリエータ5の目標変速比RATIO_tを設定して、ベルト53に滑りが発生せずに且つ目標変速比を達成するように、プライマリプーリ圧及びセカンダリプーリ圧を制御する。このときの目標変速比RATIO_tは、HCM10からの目標プライマリ回転数Npri_tを達成できるように設定される。
また、バリエータ5の実変速比RATIO_rを急変させるとベルト53に滑りが発生するおそれがあるので、ATCU30は、実変速比RATIO_rが急変しないように、バリエータ5の実変速比RATIO_rを目標プライマリ回転数Npri_tが急変した場合にも、変化速度ΔRATIO_tが予め設定された上限値を超えないように緩やかに変化させていく。この場合の上限値は、アクセル開度APOやスロットル開度TVO等のバリエータ5の伝達トルクに相関する量に基づいて設定される。
監視装置40は、ATCU30の制御機能(演算機能)に異常が生じるなど、CVT3に異常が生じて、ブレーキ操作を行なわないにも関わらず車両が急減速し、何らかの対策が必要となるような異常な状況を判定するために、ATCU30への入力情報と、ATCU30からの出力情報とを監視する。つまり、図2に示すように、監視装置40は、HCM10からATCU30に入力される目標プライマリ回転数Npri_tを取得し、ATCU30による制御結果(出力情報)である実プライマリ回転数Npri_r及び実変速比RATIO_rをプライマリプーリ回転センサ93及びセカンダリプーリ回転センサ94からの情報に基づいて取得する。そして、これらの目標プライマリ回転数Npri_t及び実プライマリ回転数Npri_r,実変速比RATIO_rに基づいて、異常判定を行なう。
監視装置40では、この異常判定を行なうにあたり、予め設定された許可条件が成立したか否かを判定し、許可条件が成立したら異常判定を行なう。また、異常判定では、異常仮判定条件が成立したか否かを判定し、この異常仮判定条件が成立したら、異常確定条件が成立したか否かを判定する、2段階での異常判定を行なう。また、異常を判定したら、これに対応する制御を行なう。
このため、監視装置40には、機能要素として、許可条件判定部(許可条件判定手段)41、異常仮判定部(異常仮判定手段)42、異常確定部(異常確定手段)43、対応制御部(対応制御手段)44がそれぞれ設けられている。
ここで、許可条件判定部41が判定を行なう許可条件を説明する。
この許可条件は、ブレーキ操作を行なわないにも関わらず車両が急減速するようなATCU30の異常が発生する前提条件に相当し、許可条件には以下の(a)〜(d)の各条件が設けられている。これらの(a)〜(d)の各条件が何れも成立したら許可条件が成立する。
(a)前進走行レンジが選択されていること
(b)セカンダリプーリの回転数Nsecが所定値以上であること
(c)出力要求操作がされていないこと
(d)ブレーキ操作がされていないこと
条件(a)はIHSW91から出力されるシフトレンジ信号に基づき判定することができ、シフトレンジ信号がP,N,Rレンジ以外(例えばDレンジ)であれば条件が成立する。
条件(b)はセカンダリプーリ回転センサ94から出力される検出信号に基づき判定することができる。セカンダリプーリ回転数Nsecは車速Vspに対応するものであり、条件(b)は車速が第1の所定値以上あることに相当する。
条件(c)はアクセルポジションセンサ92から出力される検出信号に基づき判定することができる。条件(c)は車両がコースト走行状態であることに相当する。
条件(d)はブレーキスイッチ96から出力される信号に基づき判定することができる。条件(d)はドライバがブレーキによる減速を意図しておらず車両のブレーキランプも点灯していないことに相当する。
つまり、この許可条件は、図3の変速線図に示すように、最Highの変速線上で変速比が制御されるコースト走行中(図中、太線で記載したコースト線に沿った走行)、即ち、条件(a)〜(d)を満たす前進コースト走行中であることに相当する。
異常仮判定部42は、許可条件が成立したら、異常仮判定条件が成立したか否かを判定する。この異常仮判定条件には、以下の第1仮判定条件〔条件(1)〕及び第2仮判定条件〔条件(2)〕が設けられ、これら2つの仮判定条件が何れも成立すれば異常仮判定条件が成立する。
(1)実変速比の変化速度ΔRATIO_rが閾値ΔRATIO_Sを超えた状態が第1設定時間以上継続したこと
(2)プライマリプーリの回転数Npri_rの変化速度が閾値〔第2の所定値(正の値)〕Npri_dを超えた状態が第2設定時間以上継続したこと
異常確定部43は、異常仮判定条件が成立したら、異常確定条件が成立したか否かを異常仮判定条件の成立後の所定時間内に判定する。所定時間内に限定して判定するのは、条件(1)及び条件(2)の異常仮判定と条件(3)の異常確定とをリンクさせるためである。つまり、異常仮判定の状況下で異常確定を行なうことを狙ったものである。
この異常確定条件には以下の条件(3)が設けられている。
(3)実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差よりも大きく乖離した状態が予め設定された設定時間以上継続したこと、つまり、次式(A)のように、実プライマリプーリ回転数Npri_rから目標プライマリプーリ回転数Npri_tを減算した値が正の所定値(所定差)Npri_DSよりも大きいこと
Npri_r−Npri_t>Npri_DS・・・(A)
ここで、条件(1)〜(3)について、図2〜図4を参照して説明する。
図2に示すように、ATCU30では、HCM10から目標プライマリ回転数Npri_tが入力されると、これに基づいて、目標変速比RATIO_tを設定し、プライマリソレノイドへの指示(PRISOL指示)及びセカンダリソレノイドへの指示(SECSOL指示)を行なう。この結果として、実プライマリ回転数Npri_rが得られる。
通常、実プライマリ回転数Npri_rは目標プライマリ回転数Npri_tに追従するため、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSよりも大きく乖離した状態となることはない。したがって、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSよりも大きく乖離したら〔式(A)が成立したら〕、ATCU30の演算部が故障している可能性がある。
しかし、前記のように、ATCU30は、実変速比RATIO_rが急変しないように、目標変速比RATIO_tの変化速度ΔRATIO_tが予め設定された上限値を超えないように変化させていくので、バリエータ5の実変速比RATIO_rを目標プライマリ回転数Npri_tが急激に減少した場合には、式(A)が成立し、条件(3)が成立しうる。
つまり、アクセルペダルが踏み戻しされアクセル開度APOが急激に0に低下すると、許可条件が成立すると共に、目標プライマリプーリ回転数Npri_tが急減速するのに対して、ATCU30は、実変速比RATIO_rが急変しないように、目標変速比RATIO_tを与えるため、実プライマリプーリ回転数Npri_rの低下は緩やかになり、式(A)が成立する状態になりうる。
例えば、運転者がアクセルペダルを踏み込んで加速要求していて実プライマリ回転数Npri_rが高い状態からアクセル離しをする状況では、目標プライマリプーリ回転数Npri_t及び実プライマリプーリ回転数Npri_rが高い状態から、目標プライマリプーリ回転数Npri_tが一気に低下するのに対して、実プライマリプーリ回転数Npri_rは緩やかに低下することになる。
このため、条件(3)のみによって、ATCU30の故障を含むCVT3系の異常を確定するには、実変速比RATIO_rの急変抑制制御による実プライマリプーリ回転数Npri_rの目標プライマリプーリ回転数Npri_tへの追従の遅れと、異常とを切り分けるために、式(A)が成立する状態が上記の追従遅れの時間以上継続することを確認しなければならず時間がかかる。
また、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に乖離を始めた直後には、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSまで大きくは乖離しないので、式(A)が成立するまでにも時間がかかる。したがって、式(A)が成立するまでの時間及びその後追従遅れの時間以上継続することを確認するまでの時間がかかることになる。
一方、条件(1)について説明すると、ATCU30による目標変速比RATIO_tの変化速度ΔRATIO_tを上限値以内に抑える制御が実施されていれば、実変速比RATIO_rの変化速度ΔRATIO_rは上限値付近以内に抑えられる。したがって、実変速比RATIO_rの変化速度ΔRATIO_rが上限値付近の閾値RATIO_Sを超えたらATCU30の故障を含むCVT3の異常の可能性が考えられる。
実変速比RATIO_rの変化速度ΔRATIO_rが閾値ΔRATIO_Sを超えたことを判定する場合、プライマリプーリ回転センサ93及びセカンダリプーリ回転センサ94で検出された実プライマリプーリ回転数Npri_r及び実セカンダリプーリ回転数Nsec_rを用いて実変速比RATIO_rを算出し更に変化速度ΔRATIO_rを算出する。ただし、両リプーリ回転センサ93,94の何れか一方でも読み取り精度が粗いと瞬間的に実変速比RATIO_rの変化速度ΔRATIO_rが大きくなる場合が考えられる。そこで、実変速比RATIO_rの変化速度ΔRATIO_rが閾値RATIO_Sを超えた状態が第1設定時間以上継続したことを条件としている。なお、センサ93,94の読み取り精度の影響を排除して検出値の信頼性を確保するだけなので、第1設定時間は短時間で十分である。
また、条件(2)について説明すると、図3に示すように、コースト走行中には最Highの変速線に沿うコースト線上で変速比が制御されるので、車速Vspの低下と共に実プライマリプーリ回転数Npri_rが低下し、低車速領域では、車速Vspの低下と共に実プライマリプーリ回転数Npri_rは緩やかに低下するか或いは略一定を保持する。
実プライマリプーリ回転数Npri_rの変化速度が閾値Npri_dを超えたことを判定する場合、正の増加閾値Npri_dを設定し、実プライマリプーリ回転数Npri_rの単位時間の増加量ΔNpri_rがこの増加閾値Npri_dを超えたかを判定する。この場合も、プライマリプーリ回転センサ93で検出された実プライマリプーリ回転数Npri_rを用いる。上記のように、プライマリプーリ回転センサ93の読み取り精度が粗いと瞬間的に実プライマリプーリ回転数Npri_rが増加する場合が考えられる。そこで、実プライマリプーリ回転数Npri_rの増加量ΔNpri_rが増加閾値Npri_dを超えた状態が第2設定時間以上継続したことを条件としている。ただし、センサ93の読み取り精度の影響を排除して検出値の信頼性を確保するだけなので、第2設定時間は短時間で十分である。
なお、上述のように、異常確定条件が成立したか否かを異常仮判定条件の成立後の所定時間内に判定するように設定しているが、異常確定が判定されるまで、即ち、実プライマリプーリ回転数Npri_rが大きく変化するまでには一定の時間を要するので、第1設定時間や第2設定時間が短いと、異常仮判定が成立してからも異常確定が判定されるまでに時間を要することになり、上記所定時間も長くとることになる。そこで、第1設定時間や第2設定時間を、この異常確定が判定されるまでに要する時間を考慮して、検出値の信頼性を確保する最小限度の時間よりも長く設定し、検出値の信頼性を高めると共に、上記所定時間を短くして、確実に異常仮判定の状況下で異常確定を行なうようにしても良い。
コースト走行中に、実変速比RATIO_rが急激に最Low近辺に変化し、エンジンブレーキ状態になって車両が急減速する状況では、変速比は、例えば図3に太破線で示すように急激に変化する。この場合、直ぐに、実変速比RATIO_rの変化速度ΔRATIO_rが閾値ΔRATIO_Sを超えて条件(1)が成立し、実プライマリプーリ回転数Npri_rの変化速度(単位時間当たりの増加量ΔNpri_r)が第2の所定値(増加閾値)Npri_dを超えて条件(2)が成立するようになる。
図4は、コースト走行中に、実変速比RATIO_rが急激に最Lowに向けて変化し、エンジンブレーキ状態になって車両が急減速する状況を示すタイムチャートであり、コースト走行中の時点t1で、ATCU30に異常が生じて、実変速比RATIO_rが急激に最Lowに向けて変化し、実プライマリプーリ回転数Npri_rが急激に増加する。そして、時点t2で、条件(1)及び条件(2)が成立し、この時点t2から所定時間が経過する時点t5までの所定時間の範囲で条件(3)の判定を実施する。ここでは、その後の時点t3で実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSよりも大きく乖離した状態となって、時点t4で条件(3)が成立する。
このように、ATCU30の異常等により、対策が必要な異常(即ち、実変速比RATIO_rが急激に最Low近辺に変化し、エンジンブレーキ状態になって車両が急減速し、何らかの対策が必要となる異常)が発生したら、条件(1),(2)については速やかに判定を完了できるが、条件(3)については、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSまで大きく乖離しなければ判定することはできない。
また、この条件(3)の場合も、プライマリプーリ回転センサ93で検出された実プライマリプーリ回転数Npri_rを用いる。上記のように、プライマリプーリ回転センサ93の読み取り精度が粗いと瞬間的に実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に大きく乖離する場合が考えられる。そこで、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSよりも大きく乖離した状態が設定時間以上継続したことを条件としている。ただし、この設定時間は、車輪のスリップや路面凹凸等の外乱による一時的な回転数変化の影響を排除して検出値の信頼性を確保する必要があるので、設定時間はこれ応じた時間とする。
したがって、条件(1),(2)が何れも成立したら、異常が発生したと仮判定し、その後、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に乖離して、この乖離が所定差Npri_DSを上回るまで大きくなって、条件(3)が何れも成立したら、上記の対策が必要な異常が発生したと確定する。
上記のアクセル離しに起因して実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に乖離する場合には、ATCU30が正常であれば条件(1),(2)が何れも成立しない。このため、条件(1),(2)が何れも成立し、異常が発生したと仮判定したら、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSよりも大きくなったら速やかに異常を確定することができる。
逆に、条件(1)及び(2)が成立したとしても、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSよりも大きく乖離しない場合は、異常判定はしない。これは、条件(1)及び(2)が成立して異常を仮判定しても、これだけでは「対策の必要な異常」とは言えず、実プライマリプーリ回転数Npri_rが目標プライマリプーリ回転数Npri_tから高速側に所定差Npri_DSよりも大きく乖離してはじめて「対策の必要な異常」と判定できるからである。
対応制御部44では、異常確定部43で異常確定の判定がされたら、バリエータ5の実変速比RATIO_rのロー側へのシフトを抑制する制御又はCVT3をニュートラル状態にする対応制御を実施し、車両の急減速を抑制する。また、対応制御部44は、異常確定の判定がされたら、ブレーキランプを点灯させ、後続車に減速を認識さえるようにしてもよい。
〔作用及び効果〕
本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機の異常判定装置及び異常時対応装置は、上述のように構成されているので、例えば、図5(a)〜(c)のフローチャートに示すように、異常判定を実施し、異常時対応制御を実施することができる。なお、図5(a)〜(c)のフローチャートは、車両のキースイッチが入れられると、異常確定が判定されるまで或いはキースイッチが切られるまで、所定の制御周期で実施される。
図5(a)に示すように、まず、条件(a)〜(d)の許可条件の判定処理を実施する(ステップS10)。そして、許可条件が成立したか否かを判定し(ステップS20)、許可条件が成立しなければリターンし、許可条件が成立したら、条件(1),(2)の異常仮判定条件の判定処理を実施する(ステップS30)。この異常仮判定条件の判定処理については後述する。
次に、異常仮判定条件が成立したか否かを判定し(ステップS40)、異常仮判定条件が成立しなければリターンし、異常仮判定条件が成立したら、条件(3)の異常確定条件の判定処理を実施する(ステップS50)。この異常確定条件の判定処理については後述する。そして、異常確定条件が成立したか否かを判定し(ステップS60)、異常確定条件が成立しなければリターンし、異常確定条件が成立したら、異常確定とし(ステップS80)、異常時対応制御を実施する(ステップS80)。
異常時対応制御は、バリエータ5の実変速比RATIO_rのロー側へのシフトを抑制する制御又はCVT3をニュートラル状態にする対応制御を実施する。また、ブレーキランプを点灯させ、後続車に減速を認識させるようにしてもよい。
ステップS30の異常仮判定条件の判定処理は、図5(b)に示すように行うことができる。なお、図5(b)中に、F1,F2は制御フラグであり、フラグF1は条件(1)が成立すると1になり成立しないと0になり、フラグF2は条件(2)が成立すると1になり成立しないと0になる。また、TM1,TM2はタイマ値であり、タイマ値TM1は条件(1)の第1設定時間のカウントに対応し、タイマ値TM2は条件(2)の第2設定時間のカウントに対応する。
異常仮判定条件の判定では、まず、フラグF1が0か否か、即ち、条件(1)が成立していないか否かを判定する(ステップS302)。フラグF1が0であれば、条件(1)を判定する。
まず、実変速比の変化速度ΔRATIO_rが閾値ΔRATIO_Sよりも大きいか否かを判定する(ステップS304)。実変速比の変化速度ΔRATIO_rが閾値ΔRATIO_Sよりも大きければ、タイマ値TM1をカウントアップし(ステップS306)、タイマ値TM1が第1設定時間に対応する閾値TM1_S以上になったか否かを判定する(ステップS310)。
タイマ値TM1が閾値TM1_S以上であれば、フラグF1を1にセットし(ステップS312)、ステップS314以降の条件(2)の判定に移行する。
実変速比の変化速度ΔRATIO_rが閾値ΔRATIO_Sよりも大きくなければ、フラグF2を0にし、タイマ値TM1,TM2を何れも0にリセットし(ステップS308)、リターンする。このステップS308において、フラグF2を0にするのは、条件(1),(2)が同時的に(時間的に一部でも重複して)成立することを条件とする処理である。つまり、フラグF2が1、即ち、条件(2)が成立した時に、フラグF1が1でもなく、実変速比の変化速度ΔRATIO_rが閾値ΔRATIO_Sより大きくもなければ、条件(1),(2)が同時的には成立し得ないので、異常仮条件の判定は初期状態に戻すのである。
ステップS314では、フラグF2が0か否か、即ち、条件(2)が成立していないか否かを判定する。フラグF2が0であれば、条件(2)を判定する。フラグF2が1であれば、異常仮判定条件成立とする(ステップS326)。
まず、実プライマリプーリ回転数Npri_rの変化速度(単位時間当たりの増加量)ΔNpri_rが第2の所定値(増加閾値)Npri_Sよりも大きいか否かを判定する(ステップS316)。増加量ΔNpri_rが増加閾値Npri_Sよりも大きければ、タイマ値TM2をカウントアップし(ステップS318)、タイマ値TM2が第2設定時間に対応する閾値TM2_S以上になったか否かを判定する(ステップS322)。
タイマ値TM2が閾値TM2_S以上であれば、フラグF2を1にセットし(ステップS324)、異常仮判定条件成立とする(ステップS326)。
一方、実プライマリプーリ回転数Npri_rの増加量ΔNpri_rが増加閾値Npri_dよりも大きくなければ、フラグF1を0にし、タイマ値TM1,TM2を何れも0にリセットし(ステップS320)、リターンする。このステップS320において、フラグF1を0にするのは、ステップS308と同様に、条件(1),(2)が同時的に(時間的に一部でも重複して)成立することを条件とする処理である。つまり、フラグF1が1、即ち、条件(2)が成立した時に、フラグF2が1でもなく、実プライマリプーリ回転数Npri_rの増加量ΔNpri_rが増加閾値Npri_Sより大きくもなければ、条件(1),(2)が同時的には成立し得ないので、異常仮条件の判定は初期状態に戻すのである。
ステップS50の異常確定条件の判定処理は、図5(c)に示すように行うことができる。なお、TMはタイマ値であり、タイマ値TMは条件(3)の設定時間のカウントに対応する。
まず、実プライマリプーリ回転数Npri_rから目標プライマリプーリ回転数Npri_tを減算した値(Npri_r−Npri_t)が正の所定値Npri_DSよりも大きいか否かを判定する(ステップS502)。減算値(Npri_r−Npri_t)が所定値Npri_DSよりも大きくなければ、タイマ値TMを0にリセットし(ステップS506)、リターンする。
減算値(Npri_r−Npri_t)が所定値Npri_DSよりも大きければ、タイマ値TMをカウントアップし(ステップS504)、タイマ値TMが設定時間に対応する閾値TM_S以上になったか否かを判定する(ステップS508)。タイマ値TMが閾値TM_S以上にならなければリターンし、タイマ値TMが閾値TM_S以上になったら異常を確定する(ステップS510)。
したがって、本実施形態の車両用無段変速機の異常判定装置によれば、異常発生直後から判定可能な異常仮判定条件(1),(2)から異常を仮判定し、これにより異常の仮判定がされたら、異常発生から判定開始可能になるまでにタイムラグはあるが、対応が必要な異常を確実に判定できる異常確定条件(3)から異常を確定し、特に、異常確定条件(3)による異常確定のための時間(設定時間)は、検出値の信頼性を確保するための時間のみにできるので、異常発生から異常確定までの時間を短縮することができる。
つまり、条件(3)のみによって、ATCU30の故障を含むCVT3の異常を確定するには、実変速比RATIO_rの急変抑制制御による実プライマリプーリ回転数Npri_rの目標プライマリプーリ回転数Npri_tへの追従の遅れと、異常とを切り分けるために、減算値(Npri_r−Npri_t)が所定値Npri_DSよりも大きい状態が上記の追従遅れの時間以上継続することを確認しなければならず時間がかかる。
本装置では、このような確認時間が不要となるので、異常が発生したら速やかに異常を確定することができる。
そして、異常が発生したら、速やかに、異常時対応制御、例えば、バリエータ5の実変速比RATIO_rのロー側へのシフトを抑制する制御又はCVT3をニュートラル状態にする制御を実施し、車両の急減速を抑制することができ、車両の走行性能を確保することができる。また、速やかに、ブレーキランプを点灯させ、後続車に減速を認識さえるようにすることもできる。
〔5.その他〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態を本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では、異常仮判定条件の条件(1),(2)の何れも成立したら異常仮判定条件が成立したとしており、異常仮判定をより確実に行なうようにしているが、条件(1),(2)の何れかが成立したら異常仮判定条件が成立したと設定することもできる。
また、上記実施形態では、車両としてハイブリッド車両を例示したが、ATCU30にバリエータ5の変速比を制御するための指令をする、HCM10に相当する外部制御手段があれば、エンジンのみで走行する車両や、電動モータのみで走行する車両にも適用しうる。
1 エンジン(内燃機関)
2 モータジェネレータ(MG)
3 無段変速機(CVT)
4 前後進切替機構
5 バリエータ(無段変速機構)
6 第1クラッチ
7 第2クラッチ
7a 第2クラッチとしての前進クラッチ
7b 第2クラッチとしての後退ブレーキ
8 ディファレンシャルギア
9 駆動輪
10 統合制御装置(HCM,Hybrid Control Module)
30 自動変速機制御装置(ATCU,Automatic transmission Control Unit)
40 監視装置
41 許可条件判定部(許可条件判定手段)
42 異常仮判定部(異常仮判定手段)
43 異常確定部(異常確定手段)
44 対応制御部(対応制御手段)
51 プライマリプーリ
52 セカンダリプーリ
53 無端状の動力伝達部材(ベルト)
91 インヒビタスイッチ(IHSW)
92 アクセルポジションセンサ(APS)
93 プライマリプーリ回転センサ
94 セカンダリプーリ回転センサ
95 スロットル開度センサ
96 ブレーキスイッチ

Claims (6)

  1. 車両の駆動源に接続され、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらのプーリに掛け回された無端状の動力伝達部材とを有するバリエータと、外部制御手段の指令に基づいて前記バリエータの変速比を制御する変速制御手段と、を有し、前記変速比の変化速度を予め設定された上限値を超えないように前記変速比を制御する無段変速機において、
    この無段変速機の急減速異常を判定する無段変速機の異常判定装置であって、
    前記無段変速機の選択レンジを検出するレンジ検出手段と、
    前記プライマリプーリの回転速度を検出するプライマリプーリ回転検出手段と、
    前記セカンダリプーリの回転速度を検出するセカンダリプーリ回転検出手段と、
    前記駆動源への出力要求操作を検出する出力要求操作検出手段と、
    前記車両のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、
    前記プライマリプーリ回転検出手段により検出された前記プライマリプーリの回転速度及び前記セカンダリプーリ回転検出手段により検出された前記セカンダリプーリの回転速度から変速比を算出する変速比算出手段と、
    前記レンジ検出手段,前記セカンダリプーリ回転検出手段,前記出力要求操作検出手段及び前記ブレーキ操作検出手段からの情報に基づいて、前進走行レンジが選択されていること、前記セカンダリプーリの回転速度が第1の所定値以上であること、及び、出力要求操作もブレーキ操作もされていないこと、の全てが成立したら、許可条件が成立したと判定する許可条件判定手段と、
    前記許可条件判定手段により許可条件が成立したと判定されたら、前記変速比算出手段により検出された変速比の変化速度が前記上限値を超えたことである第1仮判定条件と前記プライマリプーリ回転検出手段により検出された前記プライマリプーリの回転速度の変化速度が第2の所定値を超えたことである第2仮判定条件との少なくとも何れかを含む異常仮判定条件が成立したか否かを判定する異常仮判定手段と、
    前記異常仮判定手段により異常仮判定条件が成立したと判定されたら、前記プライマリプーリ回転検出手段により検出された前記プライマリプーリの回転速度が前記外部制御手段から指令された前記プライマリプーリの目標回転速度から高速側に所定差以上乖離したことである異常確定条件が成立したか否かを判定し、異常確定条件が成立したら前記急減速異常の状態であると確定する異常確定手段とを有する
    ことを特徴とする、車両用無段変速機の異常判定装置。
  2. 前記異常確定手段は、異常確定条件が成立したか否かを前記異常仮判定成立後の所定時間内に実行する
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用無段変速機の異常判定装置。
  3. 前記異常仮判定手段は、前記第1仮判定条件及び前記第2仮判定条件が共に成立したら前記異常仮判定条件が成立したと判定する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用無段変速機の異常判定装置。
  4. 前記第1仮判定条件は、前記変速比の変化速度が前記上限値を超えている状態が第1設定時間以上継続したことであり、
    前記第2仮判定条件は、前記プライマリプーリの回転速度の変化速度が第2の所定値を超えている状態が第2設定時間以上継続したことであり、
    前記異常確定条件は、前記プライマリプーリの回転速度が前記プライマリプーリの目標回転速度から高速側に所定差以上乖離した状態が前記所定時間よりも短い設定時間以上継続したことである
    ことを特徴とする、請求項2又は請求項2を引用する請求項3に記載の車両用無段変速機の異常判定装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の無段変速機の異常判定装置と、
    前記異常判定装置により、前記無段変速機が前記急減速異常の状態であることが判定されたら、前記バリエータの変速比のロー側へのシフトを抑制する又は前記無段変速機をニュートラル状態にする対応制御手段と、を有する
    ことを特徴とする、車両用無段変速機の異常時対応装置。
  6. 前記対応制御手段は、前記異常判定装置により、前記無段変速機が前記急減速異常の状態であることが判定されたら、ブレーキランプを点灯させる
    ことを特徴とする、請求項記載の車両用無段変速機の異常時対応装置。
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