JP6670444B2 - 電解アルミニウム箔製造用金属およびその製造方法並びに電解アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents

電解アルミニウム箔製造用金属およびその製造方法並びに電解アルミニウム箔の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電解アルミニウム箔製造用金属およびその製造方法並びに電解アルミニウム箔の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池やスーパーキャパシター(電気二重層キャパシター、レドックスキャパシター、リチウムイオンキャパシターなど)などの蓄電デバイスの集電体には、銅箔(Cu箔)やアルミニウム箔(Al箔)が使用される。Cu箔は、圧延法や電気めっき法(電鋳法、電解法)で作製される。Al箔は、専ら圧延法で作製されていたが、最近、電気めっき法を適用する検討が行われている。こうした電気めっき法は、電解液(めっき液)に浸漬した通電中に可溶性または不溶性の金属(アノード)と、ドラムの周面(カソード)との間で通電することにより、アノードとなる金属の成分を含む金属膜(めっき膜)をカソードとなるドラムの周面上に形成するものである。
上記の電気めっき法において、通電中に可溶性の金属(アノード)を用いる場合は、アノードが金属イオンとなって電解液中に溶出し、電解液中の金属イオン濃度は一定に保たれる。しかし、その金属の溶出が進行するとともに、その金属の表面は酸化物と考えられる被膜(スラッジ被膜)に覆われるようになる。このことは電解液が水系、非水系によらず電気めっき全般的に起こる現象である。また、通電中に不溶性の金属(アノード)を用いる場合も、電解液中でその金属の表面で酸化反応が起こり、その金属の表面が反応生成物による同様のスラッジ被膜に覆われるようになる。そして、その金属の表面がスラッジ被膜に覆われると、その金属の電解液中への溶出や、その金属の表面での電気化学反応が阻害されるため好ましくない。そこで、その金属の表面でのスラッジ被膜の生成を抑止する目的で、例えば特許文献1にはアノードとなる金属に適するように電解液の組成を調整する手段が提案され、例えば特許文献2にはアノードとなる金属の組織構造を調整してスラッジ被膜の生成を抑制する手段が提案されている。
特開平4−333590号公報 特開2011−58076号公報
しかし、特許文献1、2に提案されるような電解液の組成を調整する手段あるいはアノードとなる金属の組織構造を調整する手段では、電解液の配合成分やアノードとなる金属の材質が異なる場合には適用が困難である。そのため、特に、非水電解液(非水めっき液)を用いるAl箔(電解Al箔)の作製には適用できないと考えられた。また、非水電解液を用いる電解Al箔の作製においては、不溶性の金属(アノード)を用いることができない。したがって、特許文献1、2に提案されるような技術は適用できないと考えられた。
そこで、本発明は、非水電解液(非水めっき液)を用いるAl箔(電解Al箔)の作製に適用でき、スラッジ被膜の抑制に対して有効な電解アルミニウム箔製造用金属およびその製造方法並びに電解アルミニウム箔の製造方法を提供する。
本発明者らは、図1に示すような構成のバレル2の内部にアノードとなる金属を充填して用いるアノード用の電極装置1の構成を先に提案している(特願2015−242149、特願2016−057833)。この電極装置1は電解液に浸漬して用いられ、複数の貫通孔2aから内部に入り込んだ電解液に対して通電中に可溶性の金属を貯留可能とするものである。かかる電極装置1によれば、通電中、バレル2の回転によってバレル2の内部の金属(アノード)が撹拌され相互衝突を起こし、金属(アノード)の表面に生成したスラッジ被膜を効率良く除去することができると考えた。そして、この電極装置1において、バレル2の内部に貯留されたアノードとなる金属およびその挙動について検討し、上記の目的の達成に最適な金属の形状、サイズ、組成を見出し、本発明に想到した。
本発明の電解アルミニウム箔製造用金属は、導電性の液体に対して通電中に可溶性を有し、球状かつ90質量%以上のアルミニウムを含有する。
前記金属は、直径が2mm〜11mmであることが好ましい。
また、前記金属は、密度が1.8g/cm〜2.9g/cmであることが好ましい。
本発明の電解アルミニウム箔製造用金属は、90質量%以上のアルミニウムを含有するアルミニウム素材を鍛造、鋳造、または刃物加工によって球状に成形する方法で製造することができる。
本発明の電解アルミニウム箔製造用金属を上述した本発明者らが提案するアノード用の電極装置に備わるバレルの内部に貯留し、その電極装置を用いて電解アルミニウム箔を製造することができる。
本発明の電解アルミニウム箔の製造方法は、電解アルミニウム箔製造用の電解液に、本発明の電解アルミニウム箔製造用金属が貯留されたバレルを備える電極装置と、前記電極装置に対して異極となるドラムの周面の一部とを浸漬し、前記ドラムを一方向に回転させながら前記電極装置と前記ドラムの周面との間で通電し、前記ドラムの周面上に前記電解アルミニウム箔製造用金属の成分を含む金属膜を前記ドラムの周面上に前記電解アルミニウム箔製造用金属の成分を含む金属膜を電析させて形成し、前記金属膜を前記ドラムから剥離して電解アルミニウム箔を形成する方法である。
前記製造方法は、前記電解アルミニウム箔製造用金属の前記バレルへの質量充填率を65%〜95%の範囲に制御してよい。
本発明の電解アルミニウム箔製造用金属は、非水電解液(非水めっき液)を用いるAk箔(電解Al箔)の作製に適用することができるとともに、スラッジ被膜の抑制に対して有効である。したがって、かかる電解アルミニウム箔製造用金属を用いる本発明の電解アルミニウム箔の製造方法によれば、異極(カソード)となるドラムの周面上への金属膜(アルミニウム膜)の電析および前記ドラムからの剥離をより安定かつ効率良く行うことができる。
本発明に適用可能なバレルを備えるアノード用の電極装置の構成例を示す図である。 図1に線分PPで示す箇所を一部拡大した断面視において、バレルの内部に電解アルミニウム箔製造用金属が充填された状態を模式的に示す図である。 本発明例となる電解アルミニウム箔製造用金属の通電による表面溶出後の表面の外観を示す図(写真)である。 比較例となる球状の金属の通電による表面溶出後の表面の外観を示す図(写真)である。 図1に示すアノード用の電極装置を用いた電解アルミニウム箔の連続製造用装置の構成例を示す図である。
本発明の電解アルミニウム箔製造用金属(以下、「アノード金属」という。)は、導電性の液体(以下、「電解液」という。)に対して通電中に可溶性を有し、球状かつ90質量%以上のアルミニウムを含有する。また、アノード金属は、直径が2mm〜11mmであり、密度が1.8g/cm〜2.9g/cmであることが好ましい。
以下、本発明のアノード金属について、適宜図面を用いて説明する。
本発明のアノード金属は、導電性の液体(電解液)に対して通電中に可溶性を有する。この性質を有するアノード金属は、非水電解液(非水めっき液)による電解アルミニウム箔の製造に用いることができる。具体的には、例えば図1に示すようなアノード用の電極装置1のバレル2の内部に、本発明のアノード金属を例えば図2に示すような充填状態で用いることができる。
本発明のアノード金属は、球状である。球状のアノード金属は、電界が局所的に集中しやすい角部や突起部などの部分がないので、表面全体が均等的に印加された電界によって均等的に溶出され、溶出量(消耗量)のバラツキが抑制される。また、球状のアノード金属は、相互に衝突した際に破損しやすい角部や突起部などの部分がないので、破片や粉体などの金属粉が発生し難くなって電解液の汚染を抑制することができる。また、例えばバレル2やシャフト3の回転によって発生するアノード金属の相互の衝突や擦過などを利用して、通電中にアノード金属の表面に生成したスラッジ被膜を除去する作用効果を奏するために、アノード金属は、相互に引っ掛かりやすい角部や突起部などの部分がない球状であるとよい。球状のアノード金属は、相互に引っ掛ることなく衝突や擦過が間断なく繰り返されるので、スラッジ被膜の除去が安定かつ効率よく行われるし、バレル2とシャフト3の間に引っ掛かって回転を妨害する可能性も低減されるし、バレル2の内部に補充する際の送入も円滑に行うことができる。
本発明のアノード金属は、90質量%以上のアルミニウムを含有する。通電中、アルミニウムの溶出が優先的に進行するので、アルミニウムを多く含み相対的に不純物が少ないアノード金属とすることにより、電解液に対して不溶もしくは溶出し難い不純物が表面に残存する可能性を低減することができる。そこで、本発明のアノード金属は、90質量%以上のアルミニウムを含有し、アルミニウム以外の元素を10質量%未満に抑制する。例えば、図3はアルミニウムが90質量%以上のアノード金属(本発明例)が電解液中で溶出した後の観察例であり、図4はアルミニウムが90質量%未満のアノード金属(比較例)が電解液中で溶出した後の観察例である。
図3に示す本発明例は、表面全体が滑らかな凹凸形態になっている。一方、図4に示す比較例は、表面全体が急峻な凹凸形態になっている。両者の表面形態の差異により、アルミニウムを多く含み相対的に不純物が少ない場合は表面全体が均等的に溶出され、相対的に不純物が多い場合はアルミニウムが優先的に溶出されて不溶もしくは溶出し難い不純物が表面に凸状に残ることが分る。なお、図4に示すアノード金属(比較例)の場合は、相互の衝突や擦過によって表面に残存していた凸状の部分が欠落し、バレル2の内部から電解液中に分散し、これにより電解液を汚染し懸濁させるなどの不具合を発生させることががある。
また、本発明のアノード金属は、90質量%以上のアルミニウムを含有するので、電解液中へアルミニウムの含有量に対応する多くのアルミニウムイオンを放出することができ、電解液中のアルミニウムイオンの濃度の変動が抑制される。これにより、電解アルミニウム箔の製造に際して、異極(カソード)となるドラムの周面上へのアルミニウム膜の電析がより安定かつ効率良く行われるようになり、アルミニウム箔を安定かつ連続的に製造することができる。
本発明のアノード金属は、直径が例えば2mm〜11mmの球状であることが好ましい。球は、その直径に対して表面積が相乗的に変化する。したがって、アノード金属の直径を大きくすると、電解液中へのアルミニウムイオンの放出量を増やすことができる。なお、アノード金属の直径を大きくすると、相互に密着しても残る図2に示すような空隙Pcが大きくなるが、その直径に見合うだけの質量をもって相互の衝突や擦過が発生しやすくなるので、スラッジ被膜の除去の確実性を高めることができる。また、球状のアノード金属の直径を小さくすると、バレル2の内部でアノード金属が容易に撹拌されるとともに上述した空隙Pcを小さくすることができる。これにより、アノード金属の相互の衝突や擦過が表面全体で均等的に発生しやすくなり、スラッジ被膜が部分的に残存する可能性を低減することができる。
こうした観点において、本発明のアノード金属の直径は、例えば2mm〜11mmであることが好ましい。アノード金属の直径が2mm〜11mmであると、上述した効能の他にも、例えば、比較的コンパクトな金属送入機構を用いてバレル2の内部にアノード金属を送入できるし、かかる金属送入機構を含むアノード用の電極装置の小型化に有利である。なお、アノード金属の直径が2mmに満たないような場合は、電解アルミニウム箔の製造に用いる電解液による浮力が大きくなって電解液中で浮遊しやすくなるため、アノード金属の相互接触で構成される通電のための接点が不安定になる可能性があることに留意したい。また、アノード金属の直径が11mmを超えるような場合は、上述した空隙Pcが大きくなり、通電中にシャフト3の周面3aに電界が到達して周面3aの溶解が発生する可能性に留意したい。
本発明のアノード金属は、密度が例えば1.8g/cm〜2.9g/cmであることが好ましい。密度が1.8g/cm〜2.9g/cmであるアノード金属は、球状の内部が比較的密な状態になるので、例えば、バレル2の内部に充填したときの圧力によって変形し難くなり、バレル2の内部で発生した相互の衝突や擦過の負荷によっても変形し難くなる。かかる変形し難く球状が保たれやすいアノード金属であると、バレル2の内部におけるアノード金属の流動が円滑になり、相互の接触による接点の形成が安定になり、アノード金属の表面の電界が均等になる。また、アノード金属は、その内部に空隙を有していてもよく、その空隙の大きさや個数も特に制限されないが、かかる空隙はアルミニウムイオンの放出に有用な領域に存在しないことが好ましい。なお、アノード金属は、アルミニウムの割合がより高く例えば98質量%以上であると密度の上限値が例えば2.8g/cmさらに2.75g/cmとなって純アルミニウムに近づき、溶出によるアルミニウムイオンの放出効率がよいので好ましい。
上述した本発明のアノード金属は、90質量%以上のアルミニウムを含有するアルミニウム素材を、例えば、鍛造、鋳造、刃物加工などの方法により、球状に成形することができる。かかるアルミニウム素材は、例えば、地金、圧延材、延伸材、電解精錬材、加工屑などの資源回収材などのアルミニウム原料から選択するなどして、90質量%以上のアルミニウムを含有するように調合すればよい。なお、アルミニウム素材は、上述した鍛造、鋳造、または刃物加工などによって球状に成形する前に、十分な洗浄および乾燥の前処理を行うことが好ましく、かかる前処理によってアノード金属への不純物の混入を抑制することができる。また、球状に成形する際の直径は、上述したように例えば2mm〜11mmに設定することが好ましい。また、アノード金属の表面は、より平滑であることが好ましいが、例えばバリなどの突起や大きな傷やピットなどを有するような歪な表面形態でなければよい。なお、アノード金属の表面に平滑化処理を施す場合は、砥粒などの異物が固着する可能性に留意したい。
また、上述した本発明のアノード金属は、例えば図1に示すバレル2を備えるアノード用の電極装置1を使用する際に、バレル2の内部に例えば図2に示すように充填して使用することができる。アノード金属Mが球状であると、バレル2の内部を幾何学的に最密の充填状態にすることができるので、バレル2の内部に形成される無駄な空隙Pcが低減される。バレル2の内部のアノード金属Mの充填状態は、実用的にはアノード金属Mのバレル2への質量充填率を65%〜95%の範囲に制御してよい。
かかる充填状態を表す値は、例えば隔壁2cで区切られる複数の個室2dを有するバレル2の内部に、所定の直径を有する球状のアノード金属Mを最密状態で充填したときの全充填質量G1と、実際に充填したアノード金属Mの充填質量G2とで求まる質量割合G2/G1×100(%)に該当する。アノード金属Mの充填状態が65%に満たないような場合は、バレル2の内部にアノード金属Mが疎な空隙(充填密度が小さい領域)が増えてアノード金属M相互の接触で構成される通電のための接点が不安定になる可能性や、通電中にシャフト3の周面3aが露出して周面3aの溶解が発生する可能性に留意したい。また、アノード金属Mの充填状態が95%を超えるような場合は、バレル2の内部のアノード金属Mの移動(流動)が制限されてバレル2あるいはシャフト3が回転し難くなる可能性に留意したい。
次に、本発明の電解アルミニウム箔の製造方法について、図1に示すバレル2の内部に本発明のアノード金属を貯留したアノード用の電極装置1を用いて電解アルミニウム箔(以下、「アルミニウム箔」という。)を連続して製造可能な装置(以下、「製造装置」という。)の構成例を挙げて、適宜図面を参照して説明する。
本発明のアルミニウム箔の製造方法は、例えば図5に示す製造装置の密閉容器13内のアルミニウム箔製造用の電解液11に、例えば図2に示すように本発明のアノード金属が充填され貯留された例えば図1に示すようなバレル2を備える電極装置1と、電極装置1に対して異極(カソード)となるドラム12の周面12aの一部とを浸漬し、ドラム12を一方向(矢印18で示す)に回転させながら電極装置1とドラム12の周面12aとの間で通電し、ドラム12の周面12a上に電析したアノード金属Mの成分を含むアルミニウム膜10aを電析させて形成し、そのアルミニウム膜10aをドラム12の周面12aから剥離してアルミニウム箔10を形成する方法である。
図5に示す製造装置は、ドラム12と、そのドラム12の周面12aに対向するように配置されたバレル2を有する複数の電極装置1が、密閉容器13内に配置されている。電極装置1とドラム12の周面12aとの距離は、より効率のよい電解状態が得られる範囲に設定されている。また、電解液11の循環装置14と、電解液11の貯留槽15と、貯留槽15内で電解液11を撹拌するための攪拌機16とを有する。また、電解液11がドラム12の周面12aと電極装置1の間において液面11aまで満たされているため、アノード金属Mを有する複数の電極装置1と、カソードとなるドラム12の周面12aの一部とが、電解液11に浸漬された状態になっている。また、電解液11は、密閉容器13内において液面11bまで満たされ、貯留槽15内において液面11cまで満たされている。
図5に示すような製造装置によってアルミニウム箔10を製造する場合は、適切に通電した状態で、ドラム12を回転軸12bによって矢印18で示す方向に連続的に回転させる。このとき、複数の電極装置1に備わるバレル2をシャフト3に対して回転させながら、ドラム12の周面12aとシャフト3の周面3aとの間で適切に通電し、ドラム12の周面12a上にアノード金属Mの主成分であるアルミニウム膜10aを電析させる。また、通電中に、バレル2内に貯留されたアノード金属Mが消耗した体積減少分に対応するだけの新しいアノード金属Mを電極装置1のバレル2の内部に送入するプロセスを含むことにより、アノード金属Mのバレル2への質量充填率を例えば65%〜95%の範囲に制御し、常に安定した充填状態を保つことが好ましい。
上述した操作により、ドラム12の周面12a上にアルミニウム膜10aを電析させ、そのアルミニウム膜10aをドラム12の周面12a上から剥離し、アルミニウム箔10に形成することができる。図5に示す製造装置では、アルミニウム膜10aを剥離してアルミニウム箔10に形成した直後に、アルミニウム箔10の表裏の液切りを密閉容器13の出口側に設けたワイパー17によって行いながら矢印19で示す方向へ連続的に引き出すことができる。なお、密閉容器13の内部は、露点が−40度以下の嫌気性乾燥雰囲気とすることにより、吸湿による電解液11の劣化を抑制することが好ましい。
また、図5に示す製造装置では、アルミニウム箔10を連続的に形成する間、循環装置14が電解液11を強制的に循環するように構成されている。具体的には、循環装置14は、貯留槽15から矢印20aで示す方向に電解液11を吸い出し、矢印20bで示す方向に強制的に送り出し、これにより複数の電極装置1の間を通過しながらドラム12の周面12aへと向かう電解液11の液流を形成することができる。そして、ドラム12の周面12aに達した液流は、周面12aに沿う方向に流れを転じるとともに周面12aに沿って液面11aに向かい、液面11aから矢印20dで示すように溢れ出す。その後、溢れ出た電解液11は、液面11bに落下して矢印20eで示す方向に流れ、貯留槽15に戻る。こうした循環装置14による電解液11の循環と、貯留槽15内での攪拌機16による電解液11の十分な撹拌により、アルミニウムイオン濃度や温度が均質な状態の電解液11を連続的に循環させることができる。なお、電解液11の循環プロセスにおいては、循環装置14を含む循環経路の適切な箇所に流量計を設けて流量制御を行うことが好ましい。
また、上述したようにバレル2の内部に電解液11を吐出する液送入部5を有する例えば図1に示すような電極装置1であれば、上述した電解液11の循環に加えて、液送入部5からバレル2の内部に吐出した電解液11により、ドラム12の周面12aへと向かう矢印20fで示すアルミニウムイオン濃度が均質な電解液11の液流を形成することができる。この場合の液送入部5への電解液11の供給は、例えば、循環装置14からの分岐であってもよいし、専用の液供給装置(図示を略す)を設けてもよい。
図1に示す構成を有するバレル2を備えるアノード用の電極装置1を組み込み、かつ図5に示す構成を有する電解アルミニウム箔の連続製造装置を用いて、本発明例1、2並びに比較例1のアルミニウム箔を作製した。
本発明例1は、直径が5mmの球状でアルミニウムの含有割合が99質量%のアノード金属Mをバレル2の内部に質量充填率70%として貯留した。この場合、アルミニウム箔を連続かつ安定して作製することができた。また、アルミニウム箔を作製した後のアノード金属Mの外観はいずれも図3で示すような表面形態になっており、アノード金属Mの表面全体が均等的に溶解していることが確認された。なお、電解液11は懸濁することなく実質的に無色透明の状態を呈していた。
本発明例2は、アノード金属Mのバレル2の内部への質量充填率を95%にしたこと以外は本発明例1と同様にして、アルミニウム箔を作製した。この場合も本発明例1と同様に、アルミニウム箔を連続かつ安定して作製することができた。また、アルミニウム箔を作製した後のアノード金属Mの表面形態や電解液11の懸濁などは、本発明例1と同様な状態であった。
比較例1は、アルミニウムの含有割合が83質量%のアノード金属Mを用いたこと以外は本発明例1と同様にして、アルミニウム箔を作製した。この場合、電解液11は、アルミニウム箔の連続作製を開始してから5分程度で懸濁し始め、20分程度でほぼ黒色になった。かかる電解液11の黒化は、アノード金属Mの表面からの脱落片と考えられる金属粉が電解液11中に分散したことが原因であった。その後、アルミニウム箔の連続作製を7時間続けたところでアルミニウムの電析が不安定になり、アルミニウム箔を作製することができなくなった。このときときのアノード金属Mの外観はいずれも図4で示すような表面形態になっており、結晶粒などの脱落が原因と考えられる凹状や凸状の形態が確認され、アノード金属Mの表面全体が均等的に溶解していないことが分った。また、形態が凸状の部分からは酸素が検出され、アノード金属Mの溶出領域にアルミナと考えられる不純物の存在が確認された。
本発明の電解アルミニウム箔製造用金属およびその製造方法並びに電解アルミニウム箔の製造方法は、電解法による連続的なアルミニウム箔の製造に利用することができる。
(アノード用の電極装置)
1.電極装置、2.バレル、2a.貫通孔、2b.外壁、2c.隔壁、2d.個室、3.シャフト、3a.周面、4.金属送入部、5.液送入部、6.駆動軸、6a.歯車、6b.歯車、7.摺動部、M.アノード金属
(電解アルミニウム箔の製造装置)
1.電極装置、10.金属箔、10a.金属膜、11.電解液、11a.液面、11b.液面、11c.液面、12.ドラム、12a.周面、12b.回転軸、13.密閉容器、14.循環装置、15.貯留槽、16.攪拌機、17.ワイパー、18.矢印、19.矢印、20a〜20f.矢印

Claims (6)

  1. 導電性の液体に対して通電中に可溶性を有し、球状かつ90質量%以上のアルミニウムを含有する、電解アルミニウム箔製造用金属。
  2. 直径が2mm〜11mmである、請求項1に記載の電解アルミニウム箔製造用金属。
  3. 密度が1.8g/cm〜2.9g/cmである、請求項1または2に記載の電解アルミニウム箔製造用金属。
  4. 電解液に浸漬した通電中に可溶性の、アノードとなる金属と、カソードとなるドラムの周面との間で通電することにより、前記アノードとなる金属の成分を含む金属膜を前記カソードとなるドラムの周面上に形成する電解アルミニウム箔の製造方法であって、
    前記アノードとなる金属として、請求項1に記載の電解アルミニウム箔製造用金属を用いることを特徴とする電解アルミニウム箔の製造方法。
  5. 電解アルミニウム箔製造用の電解液に、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解アルミニウム箔製造用金属が貯留されたバレルを備える電極装置と、前記電極装置に対して異極となるドラムの周面の一部とを浸漬し、前記ドラムを一方向に回転させながら前記電極装置と前記ドラムの周面との間で通電し、前記ドラムの周面上に前記電解アルミニウム箔製造用金属の成分を含む金属膜を電析させて形成し、前記金属膜を前記ドラムから剥離して電解アルミニウム箔を形成する、電解アルミニウム箔の製造方法。
  6. 前記電解アルミニウム箔製造用金属の前記バレルへの質量充填率を65%〜95%の範囲に制御する、請求項5に記載の電解アルミニウム箔の製造方法。
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