JP6670146B2 - 環境試験装置 - Google Patents
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Description
本発明の環境試験装置は、試験室と空調装置が別体であり、両者が距離を置いて設置された構成の環境試験装置として好適である。
環境試験装置には、温度や湿度を整える空調装置と試験室とが分かれたものがある。
例えば被試験物自体の大きさが大きかったり、被試験物を駆動する装置が大型である場合があり、他の装置との兼ね合いやレイアウトの制約上、試験室と空調装置が別体となったものが採用されることがある。
図6は、従来技術の環境試験装置100の概念図である。環境試験装置100は、試験室2内に通風環境を作りだすことができるものである。
試験室2は、被試験物を設置する試験空間6を有している。試験空間6は、断熱壁7によって覆われている。
試験室2は、環境試験を行う際に、試料となる機器や部品等を配置する空間で、当該空間の温度を検知する温度センサー30と、当該空間の湿度を検知する湿度センサー31が設けられている。温度センサー30は、例えば、従来公知の測温抵抗体等の温度センサーである。一方、湿度センサー31は、例えば、従来公知の湿度センサーである。
試験室2には、送風導入口10と、送風排出口11がある。
冷却装置32は、相変化する冷媒を利用して冷凍サイクルを実現させるものであり、図6の様に圧縮機33、凝縮器35、膨張弁36、蒸発器12及びこれらを環状に接続する冷媒配管26によって構成された冷凍回路23を有している。
従って空調装置3は、蒸発器12、加湿装置13、加熱ヒータ15、及び循環用送風機(送風手段)16を備えている。循環用送風機16のモータはインバータ制御されており、回転数を変更することができる。
空調装置3は、試験室2側に送風する空気供給口20と、試験室2から戻された空気を空調装置3内に導入する空気戻り口21を有している。
空調装置3は、空気戻り口21から通風空間17に空気を導入し、通風空間17を通過する間に空気の温度及び湿度を調整し、循環用送風機16によって空気供給口20から送風する機能を有している。
即ち空調装置3の空気供給口20と、試験室2の送風導入口10との間が往き側送風路22で接続されている。また試験室2の送風排出口11と空調装置3の空気戻り口21の間が戻り側送風路25で接続されている。往き側送風路22及び戻り側送風路25はいずれもダクトである。
即ち環境試験装置100では、試験室2内の温度と湿度が試験室2内の温度センサー30と湿度センサー31で検知され、その検知情報に基づいて空調装置3の空調機器18が制御される。
具体的に説明すると、試験室2内の温度を温度センサー30で検知し、この検知温度が設定温度よりも低い場合には、離れた位置にある空調装置3の空調機器18の加熱ヒータ15の出力を増加し、冷却装置32の出力を下げる。その結果、空調装置3から送風される空気の温度が上昇し、昇温した空気が離れた位置にある試験室2に送られる。
逆に試験室2内の温度が設定温度よりも高い場合には、冷却装置32の出力を増加させて加熱ヒータ15の出力を下げる。その結果、空調装置3から送風される空気の温度が低下し、温度降下した空気が離れた位置にある試験室2に送られる。
逆に試験室2内の湿度が設定湿度よりも高い場合には、冷却装置32を運転し、蒸発器12の表面で空気中の水蒸気を凝縮して除湿する。その結果、空調装置3から送風される空気の湿度が降下し、除湿された空気が離れた位置にある試験室2に送られる。
湿度調整についても同様であり、冷却装置32で空気の湿度をやや過剰に低下させ、加湿装置13で空気を加湿して空気の湿度を設定湿度に微調整している。
以下、説明する。
環境試験装置100では、前記した様に空調装置3で所望の温度及び湿度に調整された空気が、試験室2側に送られる。
例えば摂氏マイナス10度、湿度95パーセントという様な環境を試験室2内に創出するには、空調装置3で空気の温度を摂氏マイナス10度に調節し、湿度を95パーセントに調整し、その状態を維持して試験室2に送り出して試験室2を目標の環境に維持することが理想である。
従って循環用送風機16が空気に与えるエネルギーが大きく、そのエネルギーは熱に変わり、結果的に循環用送風機16から吐出された空気は温度が上昇してしまう場合がある。
循環用送風機16から吐出された空気は、循環用送風機16からエネルギーを受けて温度が上昇しており、飽和水蒸気量が増大している。その一方で、空気が含有する水蒸気量は変わらない。そのため循環用送風機16から吐出された空気は循環用送風機16のエネルギーを受けて温度が上昇し、その反動で湿度が下がってしまう。
しかしながら、相対湿度は一般に100パーセントが上限であり、これよりも湿度が高い空気を安定して送り出すことは困難である。また相対湿度が100パーセントを超えると、いたるところで水蒸気が凝縮し、結露水が大量に発生してしまう場合がある。
そのため従来技術の環境試験装置100は、低温且つ高湿度の環境を作りにくいという問題がある。
先の例で説明すると、試験室2の設定温度はマイナス10度であるから、温度上昇分を補うために空調装置3においてはマイナス12.9度の温度の空気を作って試験室2に送風する必要がある。
一方、マイナス12.9度の飽和水蒸気量は、マイナス10度の飽和水蒸気量に比べて20パーセント程度少ない。そのため仮に、空調装置3内の空気の湿度が100パーセントであったとしても、試験室2に到達した空気の湿度は、温度上昇の反動で20パーセント低下し、80パーセント程度となっている。
そのため従来技術の環境試験装置100は、摂氏マイナス10度、湿度(相対湿度)95パーセントという様な環境を試験室2内に創出することが困難であった。
加湿用空気供給手段は、空調部と試験室と別体であってもよく、また加湿用空気供給手段が空調部又は試験室に付属していてもよい。
送風手段は、実際に風を起こす部材であり、例えば送風機であるならば羽根と羽根を覆うケーシングである。
「送風手段の下流側」とは例えば送風機の下流側である。送風機が長い吹き出し口を有する場合には、送風機の吹き出し口の中途部分も「送風手段の下流側」であると言える。
本発明の環境試験装置は、加湿用空気供給手段を有している。加湿用空気供給手段は、空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を送風手段の下流側に導入するものである。本発明の環境試験装置によると、送風手段の下流側に水蒸気含有量が多い空気が供給されるから、供給された空気が、送風手段に起因して昇温することが少ない。
また前記した様に、送風手段の下流側の空気は、温度上昇にともなって湿度が低下している。そのため加湿用空気供給手段で供給された空気は、送風手段の下流側の空気の湿度を上昇させることができる。そのため試験室の湿度を高めることができる。
加湿用空気供給手段は、外気をそのまま供給するものであってもよい。
請求項1に記載の発明は、空調部と、被試験物を設置する試験室を有し、前記空調部は温度及び湿度を制御する空調機器と、送風手段を有し、前記空調機器で調整された空気を前記送風手段で前記試験室に送風して当該試験室内を所望の目標温度と目標湿度に調節する環境試験装置において、加湿用空気供給手段を有し、前記加湿用空気供給手段は、前記空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入するものであり、前記空調機器として冷却装置を有し、前記冷却装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器と、開度を変更可能な下流側絞り手段が環状に接続され、前記冷却装置の内部に相変化する冷媒が充填されていて一連の冷凍サイクルを実現するものであり、前記下流側絞り手段を制御することによって前記蒸発器の表面温度を上昇させて加湿する冷凍機による加湿を行うことができ、前記冷凍機による加湿後に、前記試験室内の湿度が目標湿度以下である場合に、前記加湿用空気供給手段が前記水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入するものであることを特徴とする環境試験装置である。
請求項2に記載の発明は、空調部と、被試験物を設置する試験室を有し、前記空調部は温度及び湿度を制御する空調機器と、送風手段を有し、前記空調機器で調整された空気を前記送風手段で前記試験室に送風して当該試験室内を所望の目標温度と目標湿度に調節する環境試験装置において、加湿用空気供給手段を有し、前記加湿用空気供給手段は、前記空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入するものであり、前記空調機器として冷却装置とヒータを有し、前記ヒータに出力下限を設けたうえで前記冷却装置と前記ヒータの双方を駆動し、両者を平衡させて前記試験室内の温度を外気よりも低温の目標温度に低下させ、その後、前記加湿用空気供給手段によって前記水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入すると共に、前記出力下限を解消させたうえで前記水蒸気含有量が多い空気を導入する前よりも前記ヒータの出力を低下させつつ前記試験室内の温度を目標温度に維持する動作が自動的に実行されることを特徴とする環境試験装置である。
関連する発明は、空調部と、被試験物を設置する試験室を有し、前記空調部は温度及び湿度を制御する空調機器と、送風手段を有し、前記空調機器で調整された空気を前記送風手段で前記試験室に送風して当該試験室内を所望の目標温度と目標湿度に調節する環境試験装置において、前記空調部と前記試験室が別体であり、両者の間が循環流路で接続されており、前記空調機器として加湿装置と冷却装置を有し、前記冷却装置は蒸発器を備え、前記蒸発器と前記加湿装置は前記送風手段に対して上流側に配置されていて前記蒸発器と前記加湿装置を通過した空気が前記送風手段で加圧されて前記試験室に送られるものであり、前記空調部とは別の加湿用空気供給手段を有し、前記加湿用空気供給手段は、前記空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入するものであり、一般空調制御と、追加加湿空調制御を行うことが可能であり、前記一般空調制御においては、前記試験室内の湿度が設定湿度となる様に、前記空調部内の前記加湿装置が運転され、前記追加加湿空調制御においては、前記空調部で加湿された空気に、前記空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を前記加湿用空気供給手段によって混入して、より高い湿度にした空気を前記試験室に供給することを特徴とする環境試験装置である。
試験室の温度を設定温度に維持するために冷却装置の出力を上昇させれば良いが、冷却装置の応答速度は遅い。
そこで本発明では、冷却装置とヒータの双方を駆動し、両者を平衡させて試験室内の温度を外気よりも低温の目標温度に低下させ、その後、加湿用空気供給手段によって空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を送風手段の下流側に導入することとした。
本発明によると、加湿用空気供給手段から空気が導入される前に、ヒータが駆動されている。加湿用空気供給手段から導入される空気によって、試験室内の温度が上昇傾向となる場合には、ヒータの出力を低下させることにより、試験室の温度を設定温度に維持させることができる。
即ち本発明では、予めヒータを駆動しておいて、冷却装置を過剰気味に運転し、試験室の温度の下げしろを確保し、加湿用空気供給手段から空気を導入する時期にはヒータの出力を低下させて試験室の温度を設定温度に維持する。
なお前記した目標温度は、試験室の設定温度と同一であることが望ましいが、異なっていてもよい。
本発明の環境試験装置では、下流側絞り手段を制御することによって蒸発器の表面温度を変化させ、試験室内の湿度を目標湿度に一致させる湿度調整手段を備えている。即ち下流側絞り手段の開度を増大させることによって蒸発器内の冷媒圧力を低下させ、蒸発器の表面温度を低下させることができる。
逆に下流側絞り手段を絞り、蒸発器内の冷媒圧力を上昇させ、蒸発器の表面温度を上昇させることができる。
そして蒸発器の表面で空間内の空気中に含まれる水蒸気を凝縮し、空間の湿度を低下させることができる。また空間内の空気に含まれる水蒸気の凝縮量を抑制することによって空間の湿度を維持させたり、増大させることができる。
本発明の環境制御装置では、現状湿度が目標湿度よりも高い場合には蒸発器の表面温度を現状環境の露点温度以下となる様に制御して蒸発器の表面で前記空間に含まれる水蒸気を凝縮させる。その結果、現状湿度が低下し、目標湿度に近づく。
一方、現状湿度が目標湿度よりも低い場合には蒸発器の表面温度を目標環境の露点温度以上に制御する。なお蒸発器の表面温度を目標環境の露点温度以上に制御した場合であっても、変更後の蒸発器の表面温度が現状環境の露点温度よりも低い場合には、蒸発器の表面で水蒸気が凝縮するので絶対湿度は低下する。しかしながら、蒸発器の表面温度を目標環境の露点温度以上に制御した場合には、目標環境における絶対湿度未満となることはないので、結果的に試験室内の湿度は上昇することとなる。
もちろん、変更後の蒸発器の表面温度が現状環境の露点温度よりも高い場合には、水蒸気が凝縮することなく気温だけが低下するので、試験室内の湿度は上昇することとなる。
本実施形態の環境試験装置1の構成部材の多くは環境試験装置100と共通する。従来技術と同一の部材には同一の番号を付している。本実施形態においても、試験室2と、空調装置50が別体であり、両者の間が循環流路5で接続されている。循環流路5はダクトであり、10m以上の長さがある。本実施形態で採用する循環用送風機(送風手段)16は、相当の風量と圧力を発生させるものであることが望ましく、例えば1000pa以上、好ましくは2000pa程度の静圧を発生することができるものが推奨される。
本実施形態で採用する冷却装置52の構造及び機能は従来のものとは異なるので詳細に説明する。
冷却装置52は、気・液間で相変化する冷媒が流れる冷媒循環回路53を備えている。冷媒循環回路53は、相変化する冷媒を圧縮して凝縮し、これを蒸発させて冷却する一連のサイクル(冷凍サイクル)を実行するもので、圧縮機33、凝縮器35、膨張弁36、蒸発器12、下流側絞り手段55と、それらの機器を環状に接続する冷媒循環配管56を備えた冷凍機である。
膨張弁36並びに下流側絞り手段55は、それぞれ開度を調整可能なものである。下流側絞り手段55は、通常、膨張弁として使用されている弁を流用したものであり、構造的には電子式の膨張弁と同一である。下流側絞り手段55は、信号電圧に応じて開度を変えることができる。膨張弁36についても同様であり、信号電圧に応じて開度が変わるものが使用されている。
一方、蒸発器12の下流側には、第二冷媒温度検知手段61と、冷媒圧力検知手段62が設けられている。第二冷媒温度検知手段61は、第一冷媒温度検知手段60と同じく、従来公知の熱電対や温度センサーである。第二冷媒温度検知手段61は、蒸発器12を通過した後の冷媒ガスの温度を検知できる。つまり、蒸発器12の蒸発器出口温度を検知できる。
冷媒圧力検知手段62は、蒸発器12内の冷媒の圧力を検知するものであり、冷媒の蒸発圧力を知るための手段である。
冷媒圧力検知手段62は、例えば、従来公知の圧力センサーである。
冷媒循環回路53の圧縮機33を起動すると、気相状態の冷媒が圧縮され、凝縮器35で冷却されて、液化される。そして、その液状の冷媒は、膨張弁36を経て蒸発器12に入り、気化される。そして、蒸発器12が冷媒により温度降下され、通風空間17を通過する空気を冷却することができる。蒸発器12に流れこむ冷媒の温度は、蒸発器12の上流側に設けられた第一冷媒温度検知手段60で検知される。
換言すれば、蒸発器12が「略加湿器」の役割を果たすものである。
本明細書では、蒸発器12の表面温度を上昇させて行う加湿運転を「冷凍機による加湿運転」と称する。
ここで、「露点近傍」とは、目標環境の露点温度のプラスマイナス5度、より望ましくは目標環境の露点温度のプラスマイナス3度の範囲の温度である。蒸発器12の表面温度は、前記した様に冷媒温度検知手段60,61及び冷媒圧力検知手段62からの検知信号に基づいて求められる。
上記した各プログラムは、制御装置40の図示しない記憶手段に記憶されている。
追加加湿装置65は、筐体66内に加湿器67と加湿用送風機68を内蔵したものである。
筐体66には外気取り入れ口70と、加湿空気排出口71が設けられ、その内部に一連の空気流路41が形成されている。そして当該空気流路41に加湿器67と加湿用送風機68が配置されている。
加湿器67の構造は限定するものではないが、超音波加湿器を採用することが望ましい。
また試験室2内であって、試験空間6に至るまでの間に加湿空気が供給されてもよい。試験空間6に直接加湿空気を供給すると、試験空間6内に湿度ばらつきができるので、推奨されないが、これを禁止するものではない。
循環用送風機16と空気供給口20の間が離れている場合には、空調装置50内に加湿空気が供給されてもよい。
温度・湿度制御装置77は、PID制御を行う制御装置である。本実施形態の環境試験装置1では、試験室2に設けられた温度センサー30と、湿度センサー31の信号が温度・湿度制御装置77に入力されている。
また温度・湿度制御装置77から制御信号が出力され、当該制御信号によって、空調装置50の空調機器51が制御される。即ち試験室2に設けられた温度センサー30と、湿度センサー31の検知情報が、温度・湿度制御装置77によって空調機器51にフィードバックされ、蒸発器12、加湿装置13、加熱ヒータ15が制御される。
また温度・湿度制御装置77によって追加加湿装置65と往き側送風路22の間に設けられたアクチェータ弁73が制御される。
本実施形態の環境試験装置1では、一般空調制御と、追加加湿空調制御を行うことができる。
本実施形態の環境試験装置1では、一般空調制御を行う場合であって追加加湿空調制御を行う場合であっても、冷却装置52と加熱ヒータ15の双方を駆動し、両者を平衡させて試験室2内の温度を調節する。
一般空調制御は、従来と同様の制御方式であり、試験室2に設けられた温度センサー30と湿度センサー31の検知信号を空調装置50の空調機器51にフィードバックするものである。湿度制御に注目すると、一般空調制御においては、試験室2内の湿度が設定湿度となる様に、空調機器51内の加湿装置13と冷却装置52が運転される。
前記した様に、試験室2の設定温度が低く、且つ設定湿度が高湿度である場合、空調装置50から排出される空気は高湿度ではあるが、温度が低い。そのため空気の飽和水蒸気量が少なく、湿度(相対湿度)が高くても空気が保有する水蒸気量は少ない。
そのため前記した様に、循環用送風機16によって空気が昇温されると、飽和水蒸気量が増大して湿度(相対湿度)が低下してしまう。
本実施形態では、追加加湿装置65は、筐体66内に外気を導入し、加湿器67で外気を加湿して排出する。
そのため追加加湿装置65から排出される空気は、空調装置50から排出される空気に比べて、水蒸気含有量が著しく多い。
追加加湿空調制御では、追加加湿装置65で作られた高湿度の空気を、空調装置50から排出された空気に混入するので、空気が保有する水蒸気量が増加し、空調装置50から排出された空気の湿度が上昇する。そして湿度が高められた空気が、試験室2に供給される。
その結果、蒸発器12の表面温度が「目標環境の露点近傍」となる。温度降下プログラムでは、蒸発器12の表面温度を目標環境の露点近傍となる様に制御しているので、試験室2内の絶対湿度(水蒸気濃度)を過度に低下させることがない。即ち目標環境の露点は、当然に初期の環境における温度よりも低い。そのため、蒸発器の表面温度を目標環境の露点近傍となる様に制御することによって、試験室2の温度を低下させることができる。また蒸発器12の表面温度は、目標環境の露点近傍であるため、蒸発器12の表面における水蒸気の凝縮が少なく、試験室2内の水蒸気濃度を過度に低下させることはない。
また蒸発器12の表面における水蒸気の凝縮が少ないので、霜付きも少なく、連続運転を行う妨げになりにくい。
本実施形態では、加熱ヒータ15の実出力を加熱ヒータ15の能力を基準として一定値としたが、電力量で規定してもよい。また冷却装置52の実出力と比較し、加熱ヒータ15の実出力を冷却装置52の実出力の数パーセントを相殺するだけの出力としてもよい。
前記した様に、一般空調制御を行う場合、冷却装置52と加熱ヒータ15の双方を駆動し、両者を平衡させて試験室2内の温度を調節する制御が行われる。本工程では、加熱ヒータ15の出力に下限があり、一定以上の発熱があるので、これを相殺するために冷却装置52はより大出力で駆動される。
即ち本実施形態の環境試験装置1では、温度センサー30の検知情報が、温度・湿度制御装置77によって空調機器51にフィードバックされ、冷却装置52が制御されるので、加熱ヒータ15の出力を従来よりも高めると、冷却装置52もこれに追従して出力が増加する。
ステップ5で試験室2内の温度が設定温度に至ったことが確認されると、ステップ6に移行し、そのときの加熱ヒータ15の稼働率が加熱ヒータ15の能力に対して10パーセント以上であるか否かが確認される。
加熱ヒータ15の稼働率が加熱ヒータ15の能力に対して10パーセント以上であるならば、ステップ7に移行し、制御方法のプログラムが、湿度調節プログラムに切り替えられ、「冷凍機による加湿運転」が行われる。その結果、蒸発器12の表面温度が「目標環境の露点以上」となる様に、膨張弁36と下流側絞り手段55が制御される。本実施形態では、目標環境は設定された環境である。
またこの蒸発器12の表面に付着した水分の一部又は全部が、蒸発器12の表面の温度が上昇することで蒸発又は昇華する。その結果、通風空間17を通過する空気が加湿される。
なお試験室2内の温度が設定温度に維持されていなければ、ステップ3に戻り、前述した工程を再度実行する。
ステップ10でタイマーの計時が完了したことが確認されれば、ステップ11に移行して試験室2内の温度が設定温度に維持されていることが確認される。
なお試験室2内の温度が設定温度に維持されていなければ、ステップ3に戻り、前述した工程を再度実行する。
前記した様に、追加加湿空調制御では、追加加湿装置65で作られた高湿度の空気を往き側送風路22を通過する空気に混入する。そしてステップ13とステップ12で、試験室2内の湿度が設定湿度を超えるのを待つ。
また追加加湿空調制御時においては、湿度センサー31の検知湿度が、温度・湿度制御装置77によってアクチェータ弁73にフィードバックされ、湿度センサー31の検知湿度が、設定湿度となる様にアクチェータ弁73の開度がPID制御される。
そのため試験室2内の湿度は、設定湿度に収斂する。
しかしながら、本実施形態では、追加加湿空調制御時においても、温度センサー30の検知情報が、温度・湿度制御装置77によって空調機器51にフィードバックされる。
追加加湿空調制御では、加熱ヒータ15の出力の下限は解消され、加熱ヒータ15の制御は通常の制御に戻される。
前記した様に、本実施形態では、追加加湿空調制御時においても、冷却装置52と加熱ヒータ15の双方を駆動し、両者を平衡させて試験室2内の温度を調節する制御が行われる。そのため温度センサー30の検知情報が、温度・湿度制御装置77によって空調機器51にフィードバックされ、加熱ヒータ15の出力が低下され、往き側送風路22を通過する空気の温度上昇が抑制される。
また追加加湿空調制御に至る前は、加熱ヒータ15の発熱量がやや過剰となる様に制御されていたから、加熱ヒータ15の出力には十分な下げしろが確保されており、加熱ヒータ15の出力を低下するだけで、往き側送風路22を通過する空気の温度を設定温度に維持することができる。
例えば、追加加湿装置65に内蔵された加湿器67の出力を増減して循環用送風機16の下流側に供給する水蒸気量を制御してもよい。この方策は、加湿空気の水蒸気濃度を調節することにより、循環用送風機16の下流側に供給する水蒸気量を制御するものである。
また追加加湿装置65に内蔵された加湿用送風機68の回転数を増減して循環用送風機16の下流側に供給する水蒸気量を制御してもよい。
図3に示す構成では、空調装置81の筐体内に小部屋82が仕切られ、その小部屋82の中に加湿器67と加湿用送風機68が内蔵されている。
加湿用送風機68の吐出側は循環用送風機16の吐出側に接続されている。加湿用送風機68の吐出側にはアクチェータ付きのダンパー83が設けられており、ダンパー83を開閉することにより、循環用送風機16の下流側に供給する水蒸気量が制御される。
また追加加湿装置80を試験室2側に設けてもよい(図示せず)。
環境試験装置85では、試験室2の下部に空調機器51が内蔵されている。そして加湿用送風機68の吐出側は循環用送風機16の吐出側に接続されている。環境試験装置85の各機器の説明は、先の実施形態と同一の機器に同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
2 試験室
5 循環流路
12 蒸発器
15 加熱ヒータ
16 循環用送風機(送風手段)
38 加湿用空気供給手段
40 制御装置
50,85,96 空調装置
51 空調機器
52 冷却装置
55 下流側絞り手段
65 追加加湿装置
66 筐体
67 加湿器
68,80 加湿用送風機
72 加湿用配管
73 アクチェータ弁
77 温度・湿度制御装置
Claims (6)
- 空調部と、被試験物を設置する試験室を有し、前記空調部は温度及び湿度を制御する空調機器と、送風手段を有し、前記空調機器で調整された空気を前記送風手段で前記試験室に送風して当該試験室内を所望の目標温度と目標湿度に調節する環境試験装置において、
加湿用空気供給手段を有し、前記加湿用空気供給手段は、前記空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入するものであり、
前記空調機器として冷却装置を有し、前記冷却装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器と、開度を変更可能な下流側絞り手段が環状に接続され、前記冷却装置の内部に相変化する冷媒が充填されていて一連の冷凍サイクルを実現するものであり、
前記下流側絞り手段を制御することによって前記蒸発器の表面温度を上昇させて加湿する冷凍機による加湿を行うことができ、
前記冷凍機による加湿後に、前記試験室内の湿度が目標湿度以下である場合に、前記加湿用空気供給手段が前記水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入するものであることを特徴とする環境試験装置。 - 空調部と、被試験物を設置する試験室を有し、前記空調部は温度及び湿度を制御する空調機器と、送風手段を有し、前記空調機器で調整された空気を前記送風手段で前記試験室に送風して当該試験室内を所望の目標温度と目標湿度に調節する環境試験装置において、
加湿用空気供給手段を有し、前記加湿用空気供給手段は、前記空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入するものであり、
前記空調機器として冷却装置とヒータを有し、
前記ヒータに出力下限を設けたうえで前記冷却装置と前記ヒータの双方を駆動し、両者を平衡させて前記試験室内の温度を外気よりも低温の目標温度に低下させ、
その後、前記加湿用空気供給手段によって前記水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入すると共に、前記出力下限を解消させたうえで前記水蒸気含有量が多い空気を導入する前よりも前記ヒータの出力を低下させつつ前記試験室内の温度を目標温度に維持する動作が自動的に実行されることを特徴とする環境試験装置。 - 前記加湿用空気供給手段は加湿装置を有し、外気を加湿して水蒸気含有量を高めることが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置。
- 前記加湿用空気供給手段は、外気をそのまま前記送風手段の下流側に導入するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置。
- 前記空調機器としてヒータを有し、
前記冷却装置と前記ヒータの双方を駆動し、両者を平衡させて前記試験室内の温度を外気よりも低温の目標温度に低下させ、
その後、前記加湿用空気供給手段によって前記空調部から送風される空気よりも水蒸気含有量が多い空気を前記送風手段の下流側に導入すると共に前記冷却装置と前記ヒータの双方を駆動し、両者を平衡させて前記試験室内の温度を目標温度に維持する動作が自動的に実行されることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。 - 前記冷却装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器と、開度を変更可能な下流側絞り手段が環状に接続され、前記冷却装置の内部に相変化する冷媒が充填されていて一連の冷凍サイクルを実現するものであり、
前記下流側絞り手段を制御することによって前記蒸発器の表面温度を変化させ、前記試験室内の現状湿度を目標湿度に一致させる湿度調整手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の環境試験装置。
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