JP6669639B2 - 低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒 - Google Patents

低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒 Download PDF

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本発明は、低電流の仮付け溶接でも良好なビード形状が得られるとともに、再アーク性及び耐吸湿性にも優れる低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒に関する。
仮付け溶接に用いられる低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒は、耐割れ性や機械的性質が優れていることから、高張力鋼や低温用鋼を使用する構造物や厚板を使用する大型構造物などの仮付け溶接に多く適用されている。
しかし、仮付け溶接は低電流で溶接されることが多く、アークの吹付けが弱く、ビード形状が凸形状になりやすく、本溶接のビード形状に影響を及ぼす場合がある。このため、低電流の仮付け溶接で良好なビード形状が得られる低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒が要望されている。
また、断続的に溶接を行う仮付け溶接では、溶接途中でアークを中断させて数時間放置した後に再度仮付け溶接を行うことがある。かかる場合において、低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒が吸湿してしまうと溶接作業性が悪くなる。このため、溶接作業性を向上させる観点から、低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒を開発する上では、耐吸湿性も重要な指標となる。
さらに、仮付け溶接などに用いられる溶接機の無負荷電圧は約60〜90Vであるが、感電防止のために電撃防止装置が多く使用され、溶接停止時は約10〜25Vがホルダーに負荷されている。この電撃防止装置は溶接電流を検出すると解除され、溶接中は電源の垂下特性によるアーク電圧がホルダーに負荷されているが、アークが停止すると約1秒間無負荷電圧約60〜90Vを維持した後、10〜25Vに下がる。このように、溶接機に電撃防止装置を設置すると、溶接停止時の電圧が低くなるので再アークの発生が困難となる。このため、低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒を開発する上では、優れた再アーク性を有することも求められる。
従来、仮付け溶接で優れた再アーク性及び耐吸湿性を確保しつつ、特に低電流の仮付け溶接でのビード形状の改善を目的とした種々の低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒に関する提案がされている。例えば、特許文献1には、鉄粉の平均粒径、比表面積を規定することにより再アーク性を良好とする低水素系被覆アーク溶接棒が開示されている。しかし、特許文献1に開示された技術では、再アーク性の改善は検討されているものの、低電流でのビード形状に関する考慮がなされておらず、低電流の仮付け溶接では良好なビード形状は得られない。また、被覆の絶縁性が低下するためにサイドアークが発生しやすくなるという問題がある。
また、特許文献2には、心線の比抵抗、心線と溶接機ホルダーとの接触抵抗を規定と共に、被覆剤中のTiO2の含有量を最適化することにより再アーク性を向上させる技術が開示されている。しかし、特許文献2に開示された技術においても、特許文献1と同様、低電流でのビード形状の改善については考慮されておらず、低電流の仮付け溶接での良好なビード形状は得られない。また、特許文献2に開示された技術は、溶接棒とホルダーの接触に関するもので、溶接棒自体の再アーク性を根本的に改善するものではない。
さらに、特許文献3には、被覆剤中の鉄粉の含有量及び平均粒径を規定することで再アーク性を改善させると共に、優れたビード形状が得られるなど溶接作業性が良好な低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示された技術は、通常の溶接機での仮付け溶接において優れた再アーク性が得られるものの、電撃防止装置が設置された溶接機では、再アーク時の電圧が低くなるために十分な再アーク性が得られず、良好なビード形状が得られない。
また特許文献4には、被覆剤中のNa、K及びLi等の含有量を規定することで耐吸湿性を改善する技術が開示されている。この技術によれば耐吸湿性は改善できるものの、数時間放置する仮付け溶接の場合には十分な耐吸湿性を確保することは難しい。また、低電流でのビード形状の改善については考慮されておらず、低電流の仮付け溶接での良好なビード形状は得られないという問題があった。
特開平11−226779号公報 特開平10−263878号公報 特開平9−70690号公報 特開2015−128779号公報
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、優れた再アーク性及び耐吸湿性を確保しつつ、かつ、低電流の仮付け溶接でも良好なビード形状が得られる低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、鋼心線に被覆剤が塗布されている低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒において、前記被覆剤は、被覆剤全質量に対する質量%で、CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の1種または2種以上の合計:20〜50%、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の2種以上の合計:0.5〜3.5%、前記金属弗化物中のAlF3:0.2〜0.8%、前記金属弗化物中のLiF:0.1〜0.6%、鉄粉:30〜60%、有機物の1種または2種以上の合計:0.3〜4.5%を含有し、残部は脱酸剤、塗装剤、アーク安定剤及び不可避不純物からなることを特徴とする低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒にある。
本発明に係る低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒によれば、優れた再アーク性及び耐吸湿性を確保しつつ、低電流の仮付け溶接でも良好なビード形状が得られるので、本溶接でも優れたビード形状が得られるなど溶接作業能率の向上に大いに貢献できる。
本発明者らは、上述した課題を解決するため、まず低電流での仮付け溶接でビード形状が不良になる原因について鋭意調査した。
その結果、低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒は鉄粉が多く含有しているため、一般の低水素系被覆アーク溶接棒に比べてアークの吹付けが弱く、またスラグの流動性が悪いため、低電流の仮付け溶接ではスラグ被包性が悪くなってビード形状が凸状となることが判明した。
そこで、低電流の仮付け溶接でのアークの吹付けを向上させるべく、低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒の被覆剤成分について種々試作して検討した結果、金属炭酸塩及び金属弗化物を適量添加することで、低電流の仮付け溶接でのアークの吹付けを向上できることを見出した。
次に、スラグの流動性を改善するべく検討した結果、金属弗化物の種類に着眼した。金属弗化物には、CaF2、MgF2、BaF2、AlF3、LiFなどがあり、それら金属弗化物の融点を比較すると、CaF2が1360℃、MgF2が1400℃、BaF2が1280℃、AlF3が1000℃、LiFが850℃であり、溶融点の低いAlF3とLiFを適量複合添加することで、スラグの凝固速度を遅くしてスラグの流動性を良好にし、低電流の仮付け溶接でもスラグ被包性を良好にして優れたビード形状が得られることを見出した。
また、耐吸湿性に関しては、LiFを適量添加すると被覆剤を塗布した溶接棒を焼成する際に被覆剤中のLiFが乾燥時に半溶融して被覆剤をコーティングする効果があり、耐吸湿性を向上させることを見出した。
さらに、再アーク性に関しては、被覆剤中に鉄粉及び有機物を適量添加することで被覆筒との通電性を向上させ、再アーク性を向上できることを見出した。
以下、本発明を適用した低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒の被覆剤の成分組成及び成分組成の限定理由について詳細に説明する。なお、各成分組成の含有量は、被覆剤全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表すときには単に%と記載することとする。
CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計:20〜50%]
CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩は、CaCO3、MgCO3、BaCO3、MnCO3などから添加される。CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩は、アーク中で分解してCO2ガスを発生させ、溶着金属や溶融スラグを大気から保護してブローホールなどの溶接欠陥を防止する効果を有する。CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計が20%未満であると、シールド効果が不足してブローホールなどの溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計が50%を超えると、アークが強くなりすぎてスパッタ発生量が多くなる。したがって、CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計は20〜50%とする。
CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の2種以上の合計:0.5〜3.5%]
CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物は、CaF2、MgF2、BaF2、AlF3、Na3AlF6、NaF、LiFなどから添加される。CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物は、低電流の仮付け溶接でのアークの吹付けを強くする効果を有する。CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の2種以上の合計が0.5%未満では、アークの吹付けが弱くなってアークが不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。一方、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の2種以上の合計が3.5%を超えると、アークが強くなりすぎてスパッタ発生量が多くなる。したがって、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の2種以上の合計は0.5〜3.5%とする。
CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3:0.2〜0.8%]
CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3は、低電流の仮付け溶接でのアークの吹付けを確保するとともに、スラグの融点を下げてスラグの流動性を良好にし、スラグ被包性及びビード形状を良好にする効果を有する。CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3が0.2%未満であると、アークの吹付けが弱くなってアークが不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。またCaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3が0.2%未満であると、スラグの流動性が悪くなってスラグ被包性及びビード形状が不良となる。一方、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3が0.8%を超えると、アークが強くなりすぎてスパッタ発生量が多くなる。したがって、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3は0.2〜0.8%とする。
CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiF:0.1〜0.6%]
CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFは、溶接棒製造時に被覆剤外面をコーティングして耐吸湿性を向上させる。また、AlF3と同様に低電流の溶接でのアークの吹付けを確保するとともに、スラグの融点を下げてビード形状を良好にする効果を有する。CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFが0.1%未満では、被覆剤外面のコーティング効果が十分に得られず、耐吸湿性が悪くなる。またCaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFが0.1%未満では、アークの吹付けが弱くなってアークが不安定となり、スパッタ発生量が多くなる。さらにCaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFが0.1%未満では、スラグの流動性が悪くなってスラグ被包性及びビード形状も不良になる。一方、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFが0.6%を超えると、アークが強くなりすぎてスパッタ発生量が多くなる。したがって、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFは0.1〜0.6%とする。
[鉄粉:30〜60%]
鉄粉は、アーク状態をソフトにするとともに、被覆筒の通電性を向上させて再アーク性を良好にする効果を有する。鉄粉が30%未満では、被覆筒の通電性が悪くなって再アーク性が不良になる。一方、鉄粉が60%を超えると、アークがソフトになりすぎてアーク自体が弱くなり、溶込み不良などの溶接欠陥が発生しやすくなるとともにビード形状が不良になる。したがって、鉄粉は30〜60%とする。
[有機物の1種又は2種以上の合計:0.3〜4.5%]
有機物は、セルロース、デキストリン、小麦粉、澱粉、コンスターチなどから添加され、溶接時に被覆筒近傍に炭化物を形成して再アーク性を良好にする効果を有する。有機物の1種又は2種以上の合計が0.3%未満では、その効果が得られず、再アーク性が不良となる。一方、有機物の1種又は2種以上の合計が4.5%を超えると、アークが強くなりすぎて不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。したがって、有機物の1種又は2種以上の合計は0.3〜4.5%とする。
なお、本発明に適用した低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒の被覆剤中の残部は、上記の成分のほかに、溶接金属の機械的性質の確保の観点からFe−Si、Fe−Mn、Fe−Si−Mn、Fe−Alなどの脱酸剤を5〜12%、生産性の観点からアルギン酸ソーダ、ヘクトライトなどの塗装剤を0.5〜3%、溶接作業性の観点から水ガラス中のNa2O及びK2Oなどのアーク安定剤が0.1〜2%及び不可避不純物である。
また、使用する鋼心線は、JIS G 3523 SWY11を用いることが好ましい。さらに、鋼心線への被覆剤の被覆率は、生産性の観点から、30〜45%であることが好ましい。
以下、本発明を適用した低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒の実施例について詳細に説明する。
表1に示す成分組成からなる各種被覆剤を直径4.0mm、長さ400mmのJIS G 3523 SWY11の鋼心線に被覆率35〜45%で塗布した後、400℃で焼成して溶接棒を試作した。
Figure 0006669639
これら試作した各種溶接棒を用い、吸湿試験を行って耐吸湿性を調査した後、再アーク性、溶接作業性及び溶接欠陥の有無の調査を行った。
耐吸湿性の評価は、100℃の1時間加熱で再乾燥させた試作溶接棒を、温度30℃、相対湿度80%雰囲気中で48時間暴露させる吸湿試験を行い、試作溶接棒が吸湿した水分量を重量法で測定し、試作溶接棒の被覆剤中の水分量が3%以下を良好とした。
再アーク性の評価は、吸湿試験した試作溶接棒を用い、電撃防止装置の付いた溶接機にて溶接電流160Aで10秒間溶接し、溶接棒先端の被覆部が常温になった後、溶接棒の被覆筒を前述の鋼板をT型に組んだ試験体のすみ肉部へ軽く接触させ、直ちにアークが発生したものを合格と判定し、繰り返し20回実施して合格本数が16回以上を良好とした。
溶接作業性の調査は、吸湿試験した試作溶接棒を用い、板厚9mm、JIS G 3106 SM490Bの鋼板をT型に組み、溶接電流160Aの低電流で水平すみ肉溶接及び立向下進溶接を行い、アーク状態、スパッタ発生量、スラグ被包性及びビード形状を目視で調査した。
溶接欠陥の評価は、溶接した試験体をJIS Z 3106に準じてX線透過試験を行い、ブローホールなどの溶接欠陥の有無を調査した。これらの調査結果を表2にまとめて示す。
Figure 0006669639
表2中溶接棒No.1〜No.8が本発明例、溶接棒No.9〜No.17は比較例である。本発明である溶接棒No.1〜No.8は、被覆剤中のCaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の合計、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の合計、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiF、鉄粉、有機物の合計がそれぞれ適量であるので、耐吸湿性が良好で、低電流の溶接での再アーク性、アーク状態、スパッタ発生量、スラグ被包性及びビード形状が良好であった。また、溶接部には溶接欠陥は見られず、極めて良好な結果であった。
比較例中の溶接棒No.9は、CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の合計が少ないので、溶接部にブローホールが発生した。また、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFが多いので、アークが強すぎてスパッタ発生量が多かった。
溶接棒No.10は、CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の合計が多いので、アークが強すぎてスパッタ発生量が多かった。また、鉄粉が少ないので、再アーク性が不良であった。
溶接棒No.11は、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の合計が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。また、有機物の合計が少ないので、再アーク性が不良であった。
溶接棒No.12は、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物が多いので、アークが強すぎてスパッタ発生量が多かった。
溶接棒No.13は、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。また、スラグ被包性及びビード形状が不良であった。
溶接棒No.14は、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のAlF3が多いので、アークが強すぎてスパッタ
発生量が多かった。
溶接棒No.15は、CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物中のLiFが少ないので、吸湿性が不良で、アークが不安定となりスパッタ発生量が多かった。また、スラグ被包性及びビード形状も不良であった。
溶接棒No.16は、鉄粉が多いので、アークが弱く、溶接部に溶込み不良が発生した。また、ビード形状も不良であった。
溶接棒No.17は、有機物の合計が多いので、アークが強すぎてスパッタ発生量が多かった。

Claims (1)

  1. 鋼心線に被覆剤が塗布されている低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒において、
    前記被覆剤は、被覆剤全質量に対する質量%で、
    CaCO 3 、MgCO 3 、BaCO 3 、MnCO 3 の何れか1以上を含む金属炭酸塩の1種または2種以上の合計:20〜50%、
    CaF 2 、MgF 2 、BaF 2 、AlF 3 、Na 3 AlF 6 、NaF、LiFの何れか1以上を含む金属弗化物の2種以上の合計:0.5〜3.5%、
    前記金属弗化物中のAlF3:0.2〜0.8%、
    前記金属弗化物中のLiF:0.1〜0.6%、
    鉄粉:30〜60%、
    有機物の1種または2種以上の合計:0.3〜4.5%を含有し、
    残部は脱酸剤、塗装剤、アーク安定剤及び不可避不純物からなることを特徴とする低水素系仮付け用被覆アーク溶接棒。
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