JP6668688B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれを用いたインサート成形品に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す場合もある)は高耐熱性のスーパーエンジニアリングプラスチックに属し、機械的強度、剛性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性などを有していることから、射出成形用を中心として、各種電気・電子部品、家電部品、自動車部品および機械部品などの用途に幅広く使用されている。
自動車電装部品、電気・電子部品の多くは、電極等の金属部品をインサート成形して製造されることが多く、使用環境の温度変化に伴い樹脂と金属の線膨張差により成形品が割れないこと、すなわち耐冷熱衝撃性が求められる。近年では、成形品の小型・軽量化により、これまで以上の耐冷熱衝撃性が必要とされている。
また、各種電気電子部品の出力向上、小型化に伴い発熱量の増加が大きくなり、その熱によって電気電子部品が誤動作、破損する恐れがある。このため、部品内部で発生した熱を放熱することが必要とされている。
しかしながら、PPS樹脂は他のエンジニアリングプラスチックに比べ、靭性が低いため耐冷熱衝撃性に劣り、また熱伝導性が低い。このため、上記課題に対し、熱伝導性、耐冷熱衝撃性を有する新たな樹脂材料が求められている。
このような課題に対し、例えば、特許文献1には、ポリアーレンスルフィド樹脂と板状充填材、粒状充填材からなる樹脂組成物であって、熱伝導率が0.5w/m・K以上である樹脂組成物の提案がなされている。
また、例えば、特許文献2には、融点が270℃以上の熱可塑性樹脂と、動的架橋エラストマー、エポキシ含有α−オレフィン系共重合体、繊維状および/または非繊維状充填材を配合してなる熱可塑性樹脂組成物の提案がなされている。
また、例えば、特許文献3には、ポリアーレンサルファイド樹脂と繊維状充填材、平均粒子径0.1〜20μmのタルクを配合してなる樹脂組成物の提案がなされている。
特開2010−53350号公報 特開2008−111062号公報 特開平4−304264号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3のいずれに記載された技術によってもなお、インサート成形品とした際のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性及び熱伝導性は不十分であり、耐冷熱衝撃性、熱伝導性を併せ持つポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることは困難であった。
本発明の課題は、インサート成形品とした際に優れた耐冷熱衝撃性、熱伝導性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは以上の状況を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、タルクとワラステナイトを特定比率で配合することにより、インサート成形品とした際に、優れた耐冷熱衝撃性、熱伝導性を有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られることを見いだした。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)少なくとも、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B1)タルクおよび(B2)ワラステナイトの合計量が80重量部以上150重量部以下、かつ(B1)タルクと(B2)ワラステナイトの重量比(B1)/(B2)が70/30〜30/70であり、(C)ガラス繊維を40重量部以上80重量部以下、(D)オレフィン系エラストマーを5重量部以上40重量部以下配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であり、前記(D)オレフィン系エラストマーが(D1)α−オレフィンとα,β−不飽和グリシジルエステルとを共重合成分とするグリシジル基含有共重合体(以下、(D1)グリシジル基含有共重合体と称する)と、(D2)エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンを共重合成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体と称する)とを含む混合物であって、(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が870kg/m 以下である、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(2)前記(B1)タルクのメディアン粒子径が15〜50μmである、(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(3)前記(D1)グリシジル基含有共重合体と前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体との重量比(D1)/(D2)が60/40〜10/90である、(1)または(2)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(4)前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体の190℃、2160gで測定されるメルトフローレートが0.05g/10分以上1.0g/10分以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品
(6)成形品のISO22007−2に準拠して測定した熱伝導率が0.9W/m・K以上である(5)記載の成形品
(7)(5)または(6)記載の成形品に金属がインサートされたインサート成形品
本発明より、インサート成形品とした際に、優れた耐冷熱衝撃性、熱伝導性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供することが出来る。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、少なくとも、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B1)タルクおよび(B2)ワラステナイトの合計量が80重量部以上150重量部以下、かつ(B1)タルクと(B2)ワラステナイトの重量比(B1)/(B2)が70/30〜30/70であり、(C)ガラス繊維を40重量部以上80重量部以下、(D)オレフィン系エラストマーを5重量部以上40重量部以下配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である。
本発明で用いる(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の代表例としては、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリーレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリアリーレンスルフィドが特に好ましく使用される。かかるポリアリーレンスルフィドは、下記構造式で示される繰り返し単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%以上の場合には、耐熱性が優れる点で好ましい。
Figure 0006668688
また、かかるポリアリーレンスルフィド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能であり、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。
Figure 0006668688
かかるポリアリーレンスルフィド樹脂は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明で用いる(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。本発明で用いる(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用しても良い。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いても良い。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要もなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用しても良い。
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてはフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm2以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選択される。
本発明においては、上記のようにして得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。しかしながら、空気中加熱による架橋/高分子量化はポリフェニレンスルフィド樹脂の酸化着色を招くため、白色性の目標を達成するために、加熱による架橋/高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合に、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく使用することができる。例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが使用される。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
かかる有機溶媒による洗浄の具体的方法としては、有機溶媒中にポリフェニレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリフェニレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリフェニレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリフェニレンスルフィド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリフェニレンスルフィド樹脂と水との割合は、水の多い方がよく、好ましくは水1リットルに対し、ポリフェニレンスルフィド樹脂200g以下の浴比で使用される。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリフェニレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが用いられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたポリフェニレンスルフィド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるポリフェニレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
本発明で用いられる(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、より優れた流動性を得る意味からその溶融粘度は低い方が好ましい。例えば1Pa・s以上(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)が好ましく、より好ましくは2Pa・s以上である。上限は25Pa・s以下が好ましく、より好ましくは20Pa・s以下である。
なお、ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は東洋精機(株)社製キャピログラフを用い、ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/sの条件により測定することができる。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、少なくとも、(B1)タルクおよび(B2)ワラステナイトの合計量が80重量部以上150重量部以下、かつ(B1)タルクと(B2)ワラステナイトの重量比(B1)/(B2)が70/30〜30/70の比率で含有する。
本発明を構成する(B1)タルクは、一般に含水ケイ酸マグネシウム(SiO58〜64重量%、MgO28〜32重量%、Al0.5〜5重量%、Fe0.3〜5重量%)を主成分とするものであり、本発明では成形品の熱伝導性を改善する目的から、レーザー回折法により測定したメディアン粒子径が、0.1μm以上50μm以下が好ましい。0.1μm以下では成形品の熱伝導性が低下し、50μmを超えるとインサート成形品の耐冷熱衝撃性が低下する。15μm以上50μm以下がより好ましい。
本発明を構成する(B1)タルクは、そのまま使用しても良いが、公知の表面処理剤例えば、有機シラン系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ系化合物、有機チタネート系化合物、イソシアネート系化合物等のカップリング剤等で表面処理して使用してもよく、組成物の調整の際同時に添加してもよい。特にアミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン等による表面処理、又は添加は機械物性に対し有効である。
本発明を構成する(B1)タルクは、例えば、林化成(株)からGH50という商品名で入手できる。
本発明を構成する(B2)ワラステナイトは一般にCaSiOを主成分とするものであり、針状または繊維状のものが好ましく、樹脂との親和性、密着性を高めるために適当な表面処理剤を用いることができる。
上記表面処理剤としては、シラン系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられ、なかでもシラン系カップリング剤(アミノシラン、エポキシシランなど)が好ましく使用でき、表面処理を行ったものを使用すれば機械特性はさらに改善される。
本発明を構成する(B2)ワラステナイトは、例えばPartek社からウィックロール10とういう商品名で入手できる。
本発明を構成する(B1)タルクおよび(B2)ワラステナイトは、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、少なくとも、(B1)タルクおよび(B2)ワラステナイトの合計量が80重量部以上150重量部以下、かつ(B1)タルクと(B2)ワラステナイトの重量比(B1)/(B2)が70/30〜30/70の比率で配合する。(B1)タルクおよび(B2)ワラステナイトの合計量が80重量部未満では、インサート成形品の耐冷熱衝撃性および熱伝導性が低下し、150重量部を超えるとインサート成形品の耐冷熱衝撃性が低下する。(B1)タルクと(B2)ワラステナイトの重量比(B1)/(B2)が70/30〜30/70の範囲外の場合、(B2)ワラステナイトが少ないと、インサート成形品の耐冷熱衝撃性が低下し、(B1)タルクが少ないと成形品の熱伝導性が低下する。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、少なくとも、(C)ガラス繊維を40重量部以上80重量部以下配合してなる。
本発明を構成する(C)ガラス繊維は、例えば、日本電気硝子(株)からT−760Hという商品名で入手できる。また、(C)ガラス繊維の繊維径は、好ましくは、直径4μm以上25μm以下、より好ましくは6μm以上20μm以下である。
また、本発明において(C)ガラス繊維は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物中で開繊していることが好ましい。ここで、開繊している状態とは、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物中の(C)ガラス繊維が単繊維にまで開繊している状態をいい、具体的には、観察した強化繊維の中で10本以上束になった強化繊維の本数が強化繊維の総本数の40%以下であることを意味する。
本発明に用いる(C)ガラス繊維は、収束剤又は表面処理剤で処理がされていることが好ましい。収束剤又は表面処理剤としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物およびチタネート系化合物等の官能性化合物が挙げられ、エポキシ含有量の多いエポキシ系化合物が強化繊維の耐湿熱性向上の観点から特に好ましい。
本発明に用いる(C)ガラス繊維の配合量は、上記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、40重量部以上80重量部以下である。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(C)ガラス繊維の配合量を40重量部未満では、インサート成形品とした際の耐冷熱衝撃性、熱伝導率が低下し、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、(C)ガラス繊維の配合量を80重量部を超えるとインサート成形品とした際の耐冷熱衝撃性が低下する。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、少なくとも、(D)オレフィン系エラストマーを5.0重量部以上40重量部以下配合してなる。
前記(D)オレフィン系エラストマーとしては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体、エチレン/プロピレン/共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸/グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−マレイミド共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。これらは各々単独、あるいは混合物の形で用いることができる。
前記(D)オレフィン系エラストマーの配合量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、5.0重量部以上40重量部以下である。配合量が5.0重量部未満ではインサート成形品とした際の耐冷熱衝撃性が低下し、40重量部を超えると、成形品の熱伝導率が低下する。耐冷熱衝撃性と熱伝導率の点から、(D)オレフィン系エラストマーを、10重量部以上30重量部以下の範囲で配合することが好ましい。
オレフィン系エラストマーでも特に好ましくは、(D1)α−オレフィンとα,β−不飽和グリシジルエステルを共重合成分とするグリシジル基含有共重合体(以下、(D1)グリシジル基含有共重合体と称する場合がある)と、(D2)エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンを共重合成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体と称する場合がある)とを含む混合物が好ましい。
前記(D1)グリシジル基含有共重合体は、α−オレフィン、α,β−不飽和酸のグリシジルエステルおよび必要に応じてこれらと共重合可能な不飽和モノマーを共重合することにより得られる共重合体である。前記(D1)グリシジル基含有共重合体における全共重合成分中、α−オレフィン、およびα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを合計60重量%以上用いることが好ましい。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン等を挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
α,β−不飽和酸のグリシジルエステルとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。メタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
また、上記成分と共重合可能な不飽和モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、スチレンなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
前記(D1)グリシジル基含有共重合体の好ましい例としては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物から得られるインサート成形品耐冷熱衝撃性をより向上させる観点から、前記(D1)グリシジル基含有共重合体はα−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを共重合成分とするグリシジル基含有二元共重合体であることが好ましく、具体的には、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体がより好ましい。
特に好ましいエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体は、住友化学工業(株)からボンドファースト(登録商標)、例えばボンドファーストEという商品名で入手できる。
前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンを共重合してなるものである。上記エチレンと上記炭素数3以上20以下のα−オレフィン以外にも、本発明の効果に悪影響を与えない範囲内において他の成分を加えることができる。この場合において、他の成分としてα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを有するものは、前記(D1)グリシジル基含有共重合体とする。
前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体の炭素原子数3以上20以下のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられ、1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。
また、前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は870kg/m以下が好ましい。密度を870kg/m以下とすることで、インサート成形品とした際の耐冷熱衝撃性がより向上しやすくなる。一方、下限については特に制限はないが、上記エチレン・α−オレフィン共重合体の入手の容易性に鑑み密度は600kg/m以上が好ましい。
また、前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体は、ASTM−D1238−13に従った190℃、2160g荷重で測定したメルトフローレート(以下MFRと略す)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下であることが好ましい。MFRを0.05g/10分以上とすることで、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の流動性がより向上しやすくなり、1.0g/10分以下とすることで、インサート成形品とした際の耐冷熱衝撃性がより向上しやすくなる。
特に好ましい、エチレン/1−ブテン共重合体は、三井化学(株)からタフマー(登録商標)、例えばタフマー(登録商標)A0550Sという商品名で入手できる。
さらに、前記(D1)グリシジル基含有共重合体と前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体の配合の重量比(以下、(D1)/(D2)と略記することがある。)は、60/40〜10/90であることが好ましい。(D1)/(D2)を60/40〜10/90の範囲とすることで、インサート成形品とした際の耐冷熱衝撃性をより向上させることができる。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体(例えばポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル等の非晶性樹脂、エラストマー等)、を添加することができる
本発明におけるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形品とした際の熱伝導率は、ISO22007−2に準拠して測定した熱伝導率が0.9w/m・K以上のものであり、さらに好ましくは、1.1w/m・K以上のものである。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、前記(A)〜(D)および必要により配合されたその他成分が均一に分散されていることが好ましい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法としては、例えば、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロールなどの公知の溶融混練機を用いて、各成分を溶融混練する方法を挙げることができる。各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい
また、溶融混練機に各成分を投入する方法としては、例えば、単軸あるいは2軸の押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口から前記(A)、(B)、及び(D)成分を供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から(C)ガラス繊維を供給し溶融混合する方法が挙げられる。
溶融混練温度は、流動性および機械特性に優れるという点で、220℃以上が好ましく、280℃以上がさらに好ましい。また、400℃以下が好ましく、360℃以下がより好好ましい。ここで、溶融混練温度とは、溶融混練機の設定温度を指し、例えば2軸押出機の場合、シリンダー温度を指す。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、公知の射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することにより、各種成形部品に加工し利用することができる。射出成形時の温度は、流動性をより向上させる観点から280℃以上が好ましく、機械特性を向上させる観点から340℃以下が好ましい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、熱伝導性、耐冷熱衝撃性に優れていることから、耐冷熱衝撃性を要求される部品、箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材やモーターなどの金属をインサートする成形品に特に有用である他、ハウジングなどの構造部品、電装部品ケースなどに適している。センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、磁気ヘッドケース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサーなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、ライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される高額機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシャルメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、湯温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、デュストリビューター、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、モーター関連部品(ワイパー可動部、パワーウインドウ可動部、ラジエターモーター用ブラッシュホルダー、インシュレーター、ローター、モーターコア、バスリング)等の自動車・車両関連部品、その他各種用途にも適用可能である。特に小型精密化による製品設計自由度および成形品の急激な温度変化による成形品クラック発生の抑制、かつ機械強度、流動性に優れることから、特に成形品の形状自由度が要求され、金属代替が熱望されている自動車部品用途、電気・電子部品用途、熱機器部品用途等に有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(A1)ポリフェニレンスルフィド樹脂
参考例 ポリフェニレンスルフィド樹脂の調整(PPS−1)
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム0.513kg(6.25モル)、及びイオン交換水3.82kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水8.09kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.34kg(70.32モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温し、270℃で140分反応した。その後、270℃から250℃まで15分かけて冷却しながら水2.67kg(148.4モル)を圧入した。ついで250℃から220℃まで75分かけて徐々に冷却した後、室温近傍まで急冷し内容物を取り出した。
内容物を約35リットルのNMPで希釈しスラリーとして85℃で30分撹拌後、80メッシュ金網(目開き0.175mm)で濾別して固形物を得た。得られた固形物を同様にNMP約35リットルで洗浄濾別した。得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収する操作を合計3回繰り返した。得られた固形物および酢酸32gを70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過し、更に得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収した。このようにして得られた固形物を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
得られたPPSは、MFRが600g/10分であった。
(B1)タルク
B1−1:GH50(林化成株式会社製、メディアン粒子径20μm)
B1−2:タルカンパウダー(登録商標)PK−S (林化成株式会社製 メディアン粒子径9μm)。
(B2)ワラステナイト
B2:ウィックロール10(Partek社製)。
(C)ガラス繊維
C1:チョップドストランド(日本電気硝子(株)社製 T−760H(商品名) 3mm長、平均繊維径10.5μm)。
(D)オレフィン系エラストマー
D1−1:エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製ボンドファーストE(商品名))
D1−2:エチレン/メタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製 ボンドファースト7M(商品名))
D2−1:エチレン/1−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)A0550S(商品名) 密度:861kg/m MFR:0.5g/10分(190℃、2160g))
D2−2:エチレン/1−オクテン共重合体(ダウケミカル社製“エンゲージ”(登録商標)HM7487(商品名) 密度:860kg/m MFR:0.5g/10分(190℃、2160g))
D2−3:エチレン/1−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)A35050(商品名) 密度:864kg/m MFR:35g/10分(190℃、2160g))
D2−4:エチレン/1−ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)A4085S(商品名) 密度:885kg/m MFR:3.6g/10分(190℃、2160g))
D2−5:エチレン/ブチルアクリレート共重合体(Arkema製“ロトリル”(登録商標)35BA40(商品名) 密度:930kg/m MFR:40g/10分(190℃、2160g))。
(1)耐冷熱衝撃性
縦47mm、横47mm、高さ27mmの、材質がS35C製の鉄芯をインサート成形用の金型に設置した。次に、上記金型に実施例1〜29および比較例1〜8の組成のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を日精樹脂工業(株)社製NEX1000型射出機にて射出成形し、樹脂厚み0.6mmで被覆したインサート成形品を得た。射出条件は、シリンダー温度320℃、金型温度130℃、射出圧100MPa、射出時間10秒、冷却時間10秒にて実施した。上記インサート成形品について、(株)TABAI ESPEC製THERMAL SHOCK CHAMBER TSA−100S冷熱試験機を用いて、−40℃×1時間〜130℃×1時間を1サイクルとする条件で、上記インサート成形品にクラックが発生するサイクル回数を測定した。クラックの発生の有無については10サイクルに1回、確認をおこなった。クラックが発生するサイクル回数が、280サイクル以上であればインサート成形品の耐冷熱衝撃性は良好と判断できる。前記クラックが発生するサイクル回数は、350サイクル以上が好ましく、450サイクル以上がより好ましい。
(2)熱伝導率
射出成形機(住友重機械工業社製SE100DU)を用い、シリンダー温度320℃、金型温度150℃の温度条件で、角形成形品(80mm×80mm×3mm厚み、フィルムゲート)を作製し、ホットディスク法熱伝導率測定装置(京都電子工業製TPS−2000)により、ISO22007−2(SLABモード)に準拠し、熱伝導率を測定した。この値が高いほど、熱伝導性に優れる。
(3)(D)オレフィン系エラストマーの密度
ISO1183:2012に従い測定した。
(4)(D)オレフィン系エラストマーのメルトフローレート
ASTM−D1238−13に従い、190℃、2160g荷重で測定した。
[実施例1〜15]
表1に示したように樹脂組成物の組成を変更し、(A)、(B)、(D)成分を2軸押出機の主投入口から供給し、(C)成分を、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から供給してシリンダー温度320℃に設定したスクリュー径44mmφの2軸押出機で溶融混練を行った。
ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。得られた各ペレットは、130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、試験片を作製し、上記の評価方法により耐冷熱衝撃性、熱伝導性の評価を行なった。得られた試験片は、何れも耐冷熱衝撃性、熱伝導性に優れたものであった。
Figure 0006668688
[比較例1〜9]
表2に示したように樹脂組成物の組成を変更し、(A)、(B)、(D)成分を2軸押出機の主投入口から供給し、(C)成分を、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から供給してシリンダー温度320℃に設定したスクリュー径44mmφの2軸押出機で溶融混練を行った。
ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。得られた各ペレットは、130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、試験片を作製し、上記の評価方法により耐冷熱衝撃性、熱伝導性の評価を行なった。得られた試験片は、何れも耐冷熱衝撃性、熱伝導性の何れかが劣るものであった。
Figure 0006668688
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、低温と高温に繰り返しさらされる環境下における耐冷熱衝撃性、熱伝導性に優れることから、金属がインサートされたインサート成形品に有用である。また、本発明のインサート成形品は、耐冷熱衝撃性、熱伝導性に優れるため、機械機構部品、電気電子部品または自動車部品に有用である。

Claims (7)

  1. 少なくとも、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B1)タルクおよび(B2)ワラステナイトの合計量が80重量部以上150重量部以下、かつ(B1)タルクと(B2)ワラステナイトの重量比(B1)/(B2)が70/30〜30/70であり、(C)ガラス繊維を40重量部以上80重量部以下、(D)オレフィン系エラストマーを5重量部以上40重量部以下配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であり、前記(D)オレフィン系エラストマーが(D1)α−オレフィンとα,β−不飽和グリシジルエステルとを共重合成分とするグリシジル基含有共重合体(以下、(D1)グリシジル基含有共重合体と称する)と、(D2)エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンを共重合成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体と称する)とを含む混合物であって、(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が870kg/m 以下である、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記(B1)タルクのメディアン粒子径が15〜50μmである、請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記(D1)グリシジル基含有共重合体と前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体との重量比(D1)/(D2)が60/40〜10/90である、請求項1または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 前記(D2)エチレン・α−オレフィン共重合体の190℃、2160gで測定されるメルトフローレートが0.05g/10分以上1.0g/10分以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品
  6. 成形品のISO22007−2に準拠して測定した熱伝導率が0.9W/m・K以上である請求項記載の成形品
  7. 請求項5または6記載の成形品に金属がインサートされたインサート成形品
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