JP2020105502A - ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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竜也 金塚
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竜也 金塚
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Abstract

【課題】成形性に優れ、かつ耐トラッキング性及び耐高低温衝撃性に優れる成形品を得ることができる、導電性部材の絶縁層用及び/又は絶縁性部材用ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物及びその成形品を提供する。【解決手段】ポリアリーレンサルファイド樹脂A、無機充填剤B、及びオレフィン系共重合体Cを含有し、無機充填剤Bが、所定の繊維径を有する繊維状無機充填剤B1を含有し、前記オレフィン系共重合体Cが、α−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体C1を含有し、当該樹脂組成物中の前記グリシジルエステルに由来する構成単位の含有量及び無機充填剤Bの含有量が所定の範囲内であり、樹脂組成物中の金属水酸化物及びタルクの含有量が所定の範囲以下である、導電性部材の絶縁層用及び/又は絶縁性部材用ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性部材の絶縁層用及び/又は絶縁性部材用ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物及びその成形品に関する。
バスバー等の導電性部材は、効率的に電源供給をすることができるので、例えば自動車部品のインバーター用電流センサーのような大容量の電流が流れる部品に多く用いられている。バスバーは、金属製の基材の表面に樹脂製の絶縁層が設けられている構造を有している場合が多い。絶縁層を構成する樹脂としては、自動車部品のように使用される環境の高低温度変化が大きい部品として用いる場合もその温度変化に耐える信頼性を維持できるよう、耐高低温衝撃性に優れる樹脂が用いられている。加えて、使用する過程で絶縁層の表面に水分や埃等が付着すると絶縁破壊現象(トラッキング)が発生して電極間を短絡してしまうことがあるので、絶縁層を構成する樹脂には、耐高低温衝撃性と共に耐トラッキング性も求められている。
ポリアリーレンサルファイド樹脂は、熱可塑性樹脂の中では比較的に耐高低温衝撃性が優れている樹脂として知られている。特許文献1には、より優れた高低温衝撃特性を成形品に付与できるPAS系樹脂組成物が提案されている。特許文献2には、流動性、低温靭性、ウエルド部の耐冷熱衝撃性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が提案されており、PPS樹脂組成物にさらに金属水酸化物を配合した組成物が耐トラッキング性に優れるとされている。
国際公開第2015/146718号 特開2017−155221号公報
本発明は、成形性に優れ、かつ耐トラッキング性及び耐高低温衝撃性に優れる成形品を得ることができる、導電性部材の絶縁層用及び/又は絶縁性部材用ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。
本発明者は研究の過程で、ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物に含まれる無機充填剤の含有量を所定の範囲にすることで、耐トラッキング性を向上させることができることを見出した。しかしながら、無機充填剤の含有量をその範囲にすると、耐高低温衝撃性が低下してしまうとともに、流動性が低下して成形性が低下してしまう場合があることが分かった。そこで、本発明者はさらに研究を重ね、無機充填剤及びオレフィン系共重合体の、種類、組み合わせ及び含有量等を工夫し、かつ金属水酸化物やタルクの含有量を少なくすることで、流動性を維持しながら、トレードオフの関係にある耐トラッキング性と耐高低温衝撃性とを両立させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下に関する。
[1]ポリアリーレンサルファイド樹脂A、無機充填剤B、及びオレフィン系共重合体Cを含有する樹脂組成物であって、前記無機充填剤Bが、繊維径が9μm以上17μm以下の繊維状無機充填剤B1を含有し、前記オレフィン系共重合体Cが、α−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体C1を含有し、前記樹脂組成物中の前記グリシジルエステルに由来する構成単位の含有量が0.15質量%以上0.50質量%以下であり、前記樹脂組成物中の前記無機充填剤Bの総含有量が、57質量%以上65質量%以下であり、前記樹脂組成物中の金属水酸化物の含有量が5質量%以下であり、タルクの含有量が15質量%以下であり、かつ前記金属水酸化物及び前記タルクの総含有量が15質量%以下である、導電性部材の絶縁層用及び/又は絶縁性部材用ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
[2]前記無機充填剤B中の前記繊維状無機充填剤B1の含有量が95質量%以上である、[1]に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
[3]前記無機充填剤Bが、前記繊維状無機充填剤B1と、板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3との組合せで構成され、前記繊維状無機充填剤B1の含有量が、前記板状無機充填剤B2及び前記粉粒状無機充填剤B3の総含有量以上である、[1]に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
[4]前記オレフィン系共重合体Cが、エチレン・α−オレフィン系共重合体;及びα−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体;からなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン系共重合体C2をさらに含む[1]から[3]のいずれかに記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
[5]前記オレフィン系共重合体C1が、さらに(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含有する、[1]から[4]のいずれかに記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
[6]前記繊維状無機充填剤B1の含有量と、前記板状無機充填剤B2及び前記粉粒状無機充填剤B3の総含有量との質量比率(B1/(B2+B3))が1以上4.5以下である、[3]から[5]のいずれかに記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
[7]IEC−60112:2003第4版に準拠する測定において、200V以上の比較トラッキング指数を示し、8mm×23mm×40mmのインサート金属に、樹脂部の肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形した試験片について−40℃にて0.5時間冷却後、140℃にて0.5時間加熱するサイクルを繰り返してクラックが発生するまでのサイクル数が90以上であり、310℃、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が400Pa・s以下である、[1]から[6]のいずれかに記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
[8][1]から[7]のいずれかに記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いた成形品。
[9]絶縁性部材である、[8]に記載の成形品。
[10]金属製の基材と、[1]から[7]のいずれかに記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を含み前記基材の少なくとも一部を覆う絶縁層と、を備える導電性部材。
[11]前記金属製の基材が帯板状であり厚みが3mm以下である、[10]に記載の導電性部材。
[12]前記金属製の基材が他の導電性部材と導通するための接点部を1以上有し、前記接点部の厚みが3mm以下である、[10]に記載の導電性部材。
[13]前記金属製の基材が他の導電性部材と導通するための接点部を2以上有し、前記接点部間の最短距離が1〜5mmである、[10]から[12]のいずれかに記載の導電性部材。
[14]前記金属製の基材を2以上有し、各基材の少なくとも一部を覆うように絶縁層が設けられ、隣り合う基材間の最短距離が1〜5mmである、[10]から[12]のいずれかに記載の導電性部材。
[15]前記絶縁層の厚みが3mm以下である、[10]から[14]のいずれかに記載の導電性部材。
[16]自動車部品用のバスバーである[10]から[15]のいずれかに記載の導電性部材。
本発明によれば、成形性に優れ、かつ耐トラッキング性及び耐高低温衝撃性に優れる成形品を得ることができる、導電性部材の絶縁層用及び/又は絶縁性部材用ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物及びその成形品を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリアリーレンサルファイド樹脂A、無機充填剤B、及びオレフィン系共重合体Cを含有する。なお、「ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物」は、ポリアリーレンサルファイド樹脂Aを主成分とする樹脂を含む樹脂組成物である。「主成分とする」とは、樹脂成分中、ポリアリーレンサルファイド樹脂Aの含有量が80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上であることを意味する。
(ポリアリーレンサルファイド樹脂A)
ポリアリーレンサルファイド樹脂Aは、以下の一般式(I)で示される繰り返し単位を有する樹脂である。
−(Ar−S)− ・・・(I)
(但し、Arは、アリーレン基を示す。)
アリーレン基は、特に限定されないが、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基、p,p’−ジフェニレンスルフォン基、p,p’−ビフェニレン基、p,p’−ジフェニレンエーテル基、p,p’−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基等を挙げることができる。ポリアリーレンサルファイド樹脂Aは、上記一般式(I)で示される繰り返し単位の中で、同一の繰り返し単位を用いたホモポリマーの他、用途によっては異種の繰り返し単位を含むコポリマーとすることができる。
ホモポリマーとしては、アリーレン基としてp−フェニレン基を有する、p−フェニレンサルファイド基を繰り返し単位とするものが好ましい。p−フェニレンサルファイド基を繰り返し単位とするホモポリマーは、極めて高い耐熱性を持ち、広範な温度領域で高強度、高剛性、さらに高い寸法安定性を示すからである。このようなホモポリマーを用いることで非常に優れた物性を備える成形品を得ることができる。
コポリマーとしては、上記のアリーレン基を含むアリーレンサルファイド基の中で異なる2種以上のアリーレンサルファイド基の組み合わせが使用できる。これらの中では、p−フェニレンサルファイド基とm−フェニレンサルファイド基とを含む組み合わせが、耐熱性、成形性、機械的特性等の高い物性を備える成形品を得るという観点から好ましい。p−フェニレンサルファイド基を70mol%以上含むポリマーがより好ましく、80mol%以上含むポリマーがさらに好ましい。なお、フェニレンサルファイド基を有するポリアリーレンサルファイド樹脂Aは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)である。
ポリアリーレンサルファイド樹脂Aは、一般にその製造方法により、実質的に線状で分岐や架橋構造を有しない分子構造のものと、分岐や架橋を有する構造のものが知られているが、本実施形態においてはその何れのタイプのものについても有効である。
ポリアリーレンサルファイド樹脂Aの溶融粘度は、310℃及びせん断速度1200sec−1で測定した溶融粘度が、5Pa・s以上50Pa・s以下であることが好ましく、7Pa・s以上40Pa・s以下であることがより好ましい。溶融粘度が5Pa・s以上50Pa・s以下の場合、優れた耐高低温衝撃性及び良好な流動性を維持することができる。
ポリアリーレンサルファイド樹脂Aの製造方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法によって製造することができる。例えば、低分子量のポリアリーレンサルファイド樹脂Aを合成後、公知の重合助剤の存在下で、高温下で重合して高分子量化することで製造することができる。
(無機充填剤B)
無機充填剤Bは、所定の繊維径を有する繊維状無機充填剤B1を含有する。繊維状無機充填剤B1を含有することにより、機械的強度、耐高低温衝撃性、耐熱性等をより向上させることができる。
無機充填剤Bは、無機充填剤B中に繊維状無機充填剤B1が95質量%以上、98質量%以上、又は繊維状無機充填剤B1のみからなるように構成することができる。この構成にすることで、成形品の機械的強度を著しく向上させることができる。
一方、無機充填剤Bは、繊維状無機充填剤B1と、板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3と、からなるように構成することができる。つまり、無機充填剤Bは、繊維状無機充填剤B1と、板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3との組合せで構成することができる。この構成にすることで、ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成される成形品の機械的強度に加えて平面度をより向上させることができる。
本明細書において、板状無機充填剤B2及び粉粒状無機充填剤B3は、金属水酸化物及びタルクを含み得るが、その場合においても、樹脂組成物中の金属水酸化物の含有量は5質量%以下であり、タルクの含有量は15質量%以下であり、かつ金属水酸化物及びタルクの総含有量は15質量%以下である。
無機充填剤Bを、繊維状無機充填剤B1のみからなる構成とするか、繊維状無機充填剤B1と板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3とを組み合わせる構成とするかは、成形品に求められる性能に合わせて選択することができる。
本実施形態において、「繊維状」とは、異径比が1以上4以下、かつ、平均繊維長(カット長)が0.01〜3mmの形状をいい、「板状」とは、異径比が4より大きく、かつ、アスペクト比が1以上500以下の形状をいい、「粉粒状」とは、異径比が1以上4以下、かつ、アスペクト比が1以上2以下の形状(球状を含む。)をいう。いずれの形状も初期形状(溶融混練前の形状)である。異径比とは、「長手方向に直角の断面の長径(断面の最長の直線距離)/当該断面の短径(長径と直角方向の最長の直線距離)」であり、アスペクト比とは、「長手方向の最長の直線距離/長手方向に直角の断面の短径(当該断面における最長距離の直線と直角方向の最長の直線距離)」である。異径比及びアスペクト比は、いずれも、走査型電子顕微鏡及び画像処理ソフトを用いて算出することができる。また、平均繊維長(カット長)はメーカー値(メーカーがカタログなどにおいて公表している数値)を採用することができる。
繊維状無機充填剤B1としては、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイト等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、機械的強度向上やコストバランス等の観点からガラス繊維を好ましく用いることができる。耐トラッキング性を確実に向上させる点で、繊維状の無機物のうち、カーボン繊維;ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物質等の含有量は、樹脂組成物中に1質量%以下であることが好ましい。
繊維状無機充填剤B1の断面形状は、特に限定されず、例えば、長手方向に直角な断面形状が、円形又は略円形である一般的な繊維状の無機充填剤や、断面形状が楕円形である扁平な繊維状の無機充填剤を用いることができる。また、断面形状の異なる繊維状無機充填剤B1を併用してもよい。断面形状が円形又は略円形の繊維状無機充填剤と断面形状が楕円形である扁平な繊維状無機充填剤とを併用すると、ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成される成形品の耐高低温衝撃性をより向上させることができる。「断面形状が円形又は略円形」とは、異形比が1.5以下である形状のことを意味しており、「断面形状が楕円形」とは、異形比が3.0以上である形状のことを意味している。
繊維状無機充填剤B1の繊維径(長手方向に垂直な断面の長径:長手方向に直角な断面の最長の直線距離)は、耐トラッキング性及び機械物性をより高める観点から、9μm以上17μm以下であり、9μm以上15μm以下であることが好ましく、9μm以上14μm以下であることがさらに好ましい。
繊維状無機充填剤B1の断面積は、一般的な繊維状の無機充填剤である場合は、製造しやすさ及び補強効果をより高める点で、1×10−5〜1×10−3mmであることが好ましく、2×10−5〜8×10−3mmであることがより好ましい。また、扁平な繊維状の無機充填剤である場合は、製造しやすさ及び耐高低温衝撃性をより高める点で、1×10−5〜1×10−3mmであることが好ましく、1×10−4〜5×10−4mmであることがより好ましい。繊維状無機充填剤B1の平均長さは、特に限定されないが、成形品の機械的物性、成形加工性等を考慮し、成形品内の平均繊維長で50〜1000μmが好ましい。
なお、「繊維径」は、走査型電子顕微鏡及び画像処理ソフトを用いて50本の繊維片の断面における最長の直線距離を測定し、その算術平均値とする。
「断面積」は、走査型電子顕微鏡及び画像処理ソフトを用いて測定した繊維状無機充填剤B1の断面の最長の直線距離を長径とし、最短の直線距離を短径とした場合に、長径と短径とを乗じた値にさらに円周率πを乗じた値とすることができる。
「平均繊維長」は、走査型電子顕微鏡及び画像処理ソフトを用いて、50本の繊維片の長さを測定し、その算術平均値とする。
繊維状無機充填剤B1は、樹脂組成物の比重を軽くする等の目的で、中空の繊維を使用することも可能である。
板状無機充填剤B2としては、例えば、ガラスフレーク、マイカ、カオリン、クレイ、アルミナ(板状)等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、ガラスフレーク及び/又はマイカを好ましく用いることができる。後述するように、耐高低温衝撃性の観点から、板状無機充填剤B2のうちタルクの含有量は、樹脂組成物中に15質量%以下である。また、耐トラッキング性を確実に向上させる点で、板状の無機物のうち金属箔の含有量は、樹脂組成物中に1質量%以下であることが好ましい。
板状無機充填剤B2の平均粒子径(50%d)は、初期形状(溶融混練前の形状)において、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、30μm以上800μm以下であることがより好ましい。なお、平均粒子径(50%d)とは、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布における積算値50%のメジアン径を意味する。板状無機充填剤B2の厚みは、好ましくは平均厚みが0.1μm以上20μm以下、より好ましくは0.5μm以上10μm以下である。なお、平均厚みは、走査型電子顕微鏡及び画像処理ソフトを用いて50個の粒子の厚さ測定し、その算術平均値とする。
粉粒状無機充填剤B3としては、例えば、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、珪藻土等のケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(粒状)等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩、その他炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、炭酸カルシウム及び/又はガラスビーズを好ましく用いることができる。
後述するように、高低温衝撃性の観点から、粉粒状無機充填剤B3のうち金属水酸化物(例えば水酸化マグネシウム等)の含有量は、樹脂組成物中に5質量%以下である。また、耐トラッキング性を確実に向上させる点で、粉粒状の無機物のうちカーボンブラックの含有量は、樹脂組成物中に1質量%以下であることが好ましい。
粉粒状無機充填剤B3の平均粒子径(50%d)は、初期形状(溶融混練前の形状)において、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上40μm以下であることがより好ましい。なお、平均粒子径(50%d)は上記のとおりである。
無機充填剤Bは、一般的に知られているエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、脂肪酸等の各種表面処理剤により表面処理されていてもよい。表面処理により、ポリアリーレンサルファイド樹脂Aとの密着性を向上させることができる。表面処理剤は、材料調製の前に予め無機充填剤Bに適用して表面処理又は収束処理を施しておくか、または材料調製の際に同時に添加してもよい。
上記したように、無機充填剤Bが、繊維状無機充填剤B1と板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3との組合せで構成されている場合、ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成される成形品の機械的強度や平面度をより向上させることができる。繊維状無機充填剤B1と板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3との組合せの例としては、ガラス繊維とガラスフレーク、ガラス繊維と炭酸カルシウム、ガラス繊維とガラスビーズ、ガラス繊維とガラスフレークと炭酸カルシウム、ガラス繊維と異形断面(扁平形状)のガラス繊維と炭酸カルシウム、等の組合せが挙げられる。
無機充填剤Bの総含有量は、樹脂組成物中57質量%以上65質量%以下であり、58質量%以上64質量%以下であることが好ましく、59質量%以上63質量%以下であることがより好ましい。無機充填剤の含有量を上記範囲内にすることで、耐トラッキング性と耐高低温衝撃性とを両立させることができる。なお、無機充填剤Bの上記含有量には、金属水酸化物及びタルクの含有量が含まれる。
無機充填剤Bが、繊維状無機充填剤B1と、板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3とを含有する場合、繊維状無機充填剤B1の含有量が、板状無機充填剤B2及び粉粒状無機充填剤B3の総含有量以上であることが好ましい。機械的強度の観点から、繊維状無機充填剤B1の含有量と、板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3の総含有量との質量比率(B1/B2)、(B1/B3)、又は(B1)/(B2+B3)は、1以上であり、好ましくは1以上4.5以下である。
樹脂組成物中に、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物やタルクを多く含む場合、耐高低温衝撃性が低下してしまうことがある。よって、耐高低温衝撃性の観点から、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の含有量は、樹脂組成物中5質量%以下であり、3質量%以下であることがより好ましく、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を含まないことがさらに好ましい。また、耐高低温衝撃性の観点から、タルクの含有量は樹脂組成物中15質量%以下であり、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、タルクを含まないことがさらに好ましい。金属水酸化物及びタルクの総含有量は、15質量%以下であり、10質量%以下であることが好ましい。
(オレフィン系共重合体C)
オレフィン系共重合体Cは、共重合成分としてα−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体C1(以下、単に「オレフィン系共重合体C1」ともいう。)を含有する。オレフィン系共重合体C1を含有することで、インサート成形品の耐高低温衝撃性を著しく高めることができる。
α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。中でも、エチレンが好ましい。α−オレフィンは、上記から選択される1以上を用いることができる。α−オレフィンに由来する共重合成分の含有量は、特に限定されないが、例えば、全樹脂組成物中1質量%以上8質量%以下とすることができる。
α,β−不飽和酸のグリシジルエステルとしては、例えば、以下の一般式(II)に示される構造を有するものを挙げることができる。
Figure 2020105502
(但し、R1は、水素又は炭素数1以上10以下のアルキル基を示す。)
上記一般式(II)で示される化合物としては、例えば、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステル等を挙げることができる。中でも、メタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルは、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
α,β−不飽和酸のグリシジルエステルに由来する共重合成分の含有量は、全樹脂組成物中0.15質量%以上0.50質量%以下であり、0.20質量%以上0.47質量%以下であることが好ましく、0.25質量%以上0.45質量%以下であることがより好ましい。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルに由来する共重合成分の含有量がこの範囲である場合、耐高低温衝撃性を維持しつつ流動性が低下することを防ぐことができる。
オレフィン系共重合体C1は、中でも、さらに(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含有するオレフィン系共重合体であることが好ましい。オレフィン系共重合体C1は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、以下、(メタ)アクリル酸エステルを(メタ)アクリレートともいう。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルをグリシジル(メタ)アクリレートともいう。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−n−アミル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸−n−アミル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。中でも、アクリル酸メチルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。(メタ)アクリル酸エステルに由来する共重合成分の含有量は、特に限定されないが、例えば、全樹脂組成物中0.5質量%以上3質量%以下とすることができる。
α−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位とを含むオレフィン系共重合体、及び、さらに(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含むオレフィン系共重合体は、従来公知の方法で共重合を行うことにより製造することができる。例えば、通常よく知られたラジカル重合反応により共重合を行うことによって、上記オレフィン系共重合体を得ることができる。オレフィン系共重合体の種類は、特に問われず、例えば、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。また、上記オレフィン系共重合体に、例えば、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2エチルヘキシル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体等が、分岐状に又は架橋構造的に化学結合したオレフィン系グラフト共重合体であってもよい。
本実施形態で用いるオレフィン系共重合体C1は、本発明の効果を害さない範囲で、他の共重合成分由来の構成単位を含有することができる。
オレフィン系共重合体C1としては、より具体的には、例えば、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体、グリシジルエーテル変性エチレン共重合体等が挙げられ、中でも、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体が好ましい。
グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体としては、グリシジルメタクリレートグラフト変性エチレン重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−プロピルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体を挙げることができる。中でも、特に優れた金属樹脂複合成形体が得られることから、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体及びエチレン−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体が好ましく、エチレン−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体が特に好ましい。エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体及びエチレン−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体の具体例としては、「ボンドファースト」(住友化学株式会社製)等を挙げることができる。
グリシジルエーテル変性エチレン共重合体としては、例えば、グリシジルエーテルグラフト変性エチレン共重合体、グリシジルエーテル−エチレン共重合体を挙げることができる。
オレフィン系共重合体Cは、エチレン・α−オレフィン系共重合体;及びα−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体;からなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン系共重合体C2(以下、単に「オレフィン系共重合体C2」)をさらに含むことが好ましい。オレフィン系共重合体Cが、オレフィン系共重合体C1に加えてオレフィン系共重合体C2を含有することで、インサート成形品の耐高低温衝撃性を高めつつ、樹脂組成物の流動性が低下することをより抑制することができる。
オレフィン系共重合体C2は、
(a)エチレン・α−オレフィン系共重合体C2(a)(以下、単に「オレフィン系共重合体C2(a)」ともいう。)、及び
(b)α−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体C2(b)(以下、単に「オレフィン系共重合体C2(b)」ともいう。)
からなる群から選択される1以上のオレフィン系共重合体を含有する。
オレフィン系共重合体C2(a)は、共重合成分としてエチレンとα−オレフィンとを含有する。オレフィン系共重合体C2(a)において、α−オレフィンの炭素数は、3〜20が好ましく、5〜20がより好ましく、5〜15がさらに好ましい。なお、オレフィン系共重合体C2(a)はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。オレフィン系共重合体C2(a)は、エチレン5〜95質量%とα−オレフィン5〜95質量%からなる共重合体であってもよい。オレフィン系共重合体C2(a)の具体例としては、エチレン−オクテン共重合体(EO)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ヘプテン共重合体等が挙げられ、さらにこれらの共重合体を混合しても使用できる。
オレフィン系共重合体C2(b)は、共重合成分としてα−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の構成単位とを含有するものであり、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体や、その共重合体を不飽和カルボン酸及びその酸無水物及びそれらの誘導体からなる群より選択される1以上で変性したものであってもよい。オレフィン系共重合体C2(b)におけるα−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。中でも、エチレンが好ましい。α−オレフィンは、上記から選択される1以上を用いることができる。オレフィン系共重合体C2(b)におけるα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−n−アミル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸−n−アミル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等を用いることができる。
変性剤として用いられる不飽和カルボン酸又はその酸無水物としては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸メチル、無水メチルマレイン酸、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
オレフィン系共重合体C2(b)の具体例としては、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレンメタクリル酸メチル共重合体等のエチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体等が挙げられる。
オレフィン系共重合体C2としては、オレフィン系共重合体C2(a)及びオレフィン系共重合体C2(b)の中でも、オレフィン系共重合体C2(b)を用いることがより好ましい。
オレフィン系共重合体C2の含有量は、全樹脂組成物中1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤等)
樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その目的に応じた所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の添加剤、即ちバリ抑制剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、結晶化促進剤、結晶核剤、各種酸化防止剤、熱安定剤、耐候性安定剤、腐食防止剤等を要求性能に応じ配合することが可能である。バリ抑制剤としては、例えば、国際公開第2006/068161号や国際公開第2006/068159号等に記載されているような、溶融粘度が非常に高い分岐型ポリフェニレンサルファイド系樹脂、シラン化合物等を挙げることができる。シラン化合物としては、ビニルシラン、メタクリロキシシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン等の各種タイプが含まれ、例えばビニルトリクロロシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトトリメトキシシラン等が例示されるが、これらに限定されるものではない。添加剤の含有量は、例えば、全樹脂組成物中5質量%以下にすることができる。
また、樹脂組成物には、その目的に応じ前記成分の他に、他の熱可塑性樹脂成分を補助的に少量併用することも可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な樹脂であれば何れのものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とジオール或いはオキシカルボン酸等からなる芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェニレンオキサイド、ポリアルキルアクリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂等を挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂は、2種以上混合して使用することもできる。他の熱可塑性樹脂成分の含有量は、例えば、全樹脂組成物中20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下にすることができる。
(樹脂組成物)
ポリアリーレンサルファイド樹脂系樹脂組成物は、以下の[1]〜[3]を満たすことが好ましい。
[1]IEC−60112:2003第4版に準拠する測定において、200V以上、好ましくは215V以上、より好ましくは225V以上の比較トラッキング指数を示す。なお、比較トラッキング指数は、詳しくは、IEC(International electrotechnical commission)60112:2003第4版に規定される測定方法により求められる。具体的には、0.1質量%の塩化アンモニウム水溶液と白金電極を用いて測定される。より詳細には、この塩化アンモニウム水溶液を規定の滴下数(50滴)滴下し、試験片(n=5)の全てが破壊しない電圧を求め、これを比較トラッキング指数とする。
[2]8mm×23mm×40mmのインサート金属に、樹脂部の肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形した試験片について−40℃にて0.5時間冷却後、140℃にて0.5時間加熱するサイクルを繰り返してクラックが発生するまでのサイクル数が90以上、好ましくは100以上、より好ましくは150以上である。
[3]310℃、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が400Pa・s以下、好ましくは350Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。溶融粘度の下限値は、限定されない。例えば180Pa・s以上とすることができる。
[1]のように比較トラッキング指数が200V以上であり、かつ[2]のように冷熱サイクル試験におけるサイクル数が90以上であるように構成することで、耐トラッキング性及び耐高低温衝撃性の両方に優れている樹脂組成物にすることができる。また、[3]のように溶融粘度を400Pa・s以下であるように構成することで、流動性が高く成形性に優れている樹脂組成物にすることができる。上記[1]〜[3]に規定する各物性は、無機充填剤B及び/又はオレフィン系共重合体Cの種類、含有割合等を調整することにより上記範囲内にすることができる。
樹脂組成物の調製は、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられる設備と方法を用いて容易に調製できる。例えば、1)各成分を混合した後、1軸又は2軸の押出機により溶融混練してペレットを調製し、その後成形する方法、2)一旦組成の異なるペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して成形に供し、成形後に目的組成の成形品を得る方法、3)成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法等、何れも使用できる。また、樹脂成分の一部を細かい粉体として、これ以外の成分と混合して添加する方法は、これらの成分の均一配合を図る上で好ましい方法である。
[用途]
樹脂組成物は、耐トラッキング性に優れているとともに、耐高低温衝撃性にも優れているので、温度変化の大きい環境下で使用される絶縁材料(絶縁性部材用材料、導電性部材の絶縁層用材料)として好ましく用いることができる。また、樹脂組成物は、高い流動性も有しているので、成形性がよい。加えて、従来の樹脂組成物は、耐トラッキング性が高い場合でも、成形品の形状や成形条件又は使用期間の長短によっては、耐トラッキング性が低下してしまう場合があった。本実施形態に係る樹脂組成物によれば、安定して高い耐トラッキング性を維持することができる。
[成形品]
本実施形態に係る成形品は、上記したポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成され、ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を含む。ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成されるので、絶縁破壊が生じにくく安全な成形品にすることができる。
(絶縁性部材)
本実施形態に係る成形品は、例えば、リレー、スイッチ、コネクタ、アクチュエータ、センサー、トランスボビン、端子台、カバー、ソケット、コイル、プラグ等の電気・電子部品の絶縁性部材として好ましく用いることができる。
絶縁性部材の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、樹脂組成物を押出機に投入して溶融混練してペレット化し、このペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入し、射出成形することで作製することができる。
(導電性部材)
本実施形態に係る成形品は、金属製の基材と、該基材の少なくとも一部を覆う絶縁層と、を備える導電性部材とすることができる。絶縁層は、上記したポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成され、ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を含む。絶縁層が上記したポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成されるので、温度変化が大きく過酷な使用条件下に置かれても絶縁破壊が生じにくい導電性部材にすることができる。導電性部材としては、例えばバスバー等を挙げることができる。一実施形態において、導電性部材は、使用時の温度変化(ΔT)が120℃以上、又は160℃以上となる環境で用いられるバスバーとすることができる。一実施形態において、導電性部材は、自動車部品用のバスバーとすることができる。
絶縁層を構成するポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物については、上記のとおりであるからここでは記載を省略する。絶縁層の形成方法は、特に限定されず、例えば、基材上に、射出成形、溶融押出成形、圧縮成形、又はトランスファー成形等によって基材と一体的に成形することができる。
絶縁層の厚みは、好ましくは3mm以下であり、より好ましくは2mm以下である。
基材を構成する金属は、特に限定されず、例えば、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金等を用いることができる。基材の厚さは、特に限定されず、0.1〜50mm、好ましくは1〜20mmとすることができる。
基材の形状は、用途に応じて選択され、例えば、帯板状の基材を挙げることができる。本明細書において、「帯板状」とは、平面視における長手方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きい板形状を意味している。帯板状基材の平面形状は、特に限定されず、例えば四角形状(長方形状)や楕円形状等が挙げられる。帯板状基材の断面形状(長手方向に垂直方向の断面形状)についても、特に限定されず、例えば四角形状(長方形状)や楕円形状等が挙げられる。帯板状基材の厚みが厚い場合(例えば、厚みが平面視における幅の寸法の1/2以上の寸法である場合など)である場合は、基材の形状は四角柱状又は柱状ということもできる。
一実施形態において、基材は、帯板状であり、厚みが好ましくは3mm以下であり、より好ましくは2mm以下である。一実施形態において、基材は、平面視における幅の寸法が1〜20mm、長手方向の寸法が10〜300mmであり、好ましくは平面視における幅の寸法が1.5〜15mm、長手方向の寸法が15〜200mmであるように構成することができる。
一実施形態において、基材は、折り曲げられた屈曲部を1以上有していてもよく、2以上有していてもよい。屈曲部は、同一面上に沿うように折り曲げられていてもよく、一つの面から所定の角度で起き上がるように折り曲げられていてもよい。
一実施形態において、基材は、他の導電性部材と導通するための接点部を1以上有している。この場合、絶縁層は、基材上に形成されている接点部以外の全体に形成されていてもよく、接点部以外の一部にのみ形成されていてもよい。接点部の厚みは3mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以下である。
一実施形態において、金属製の基材は、他の導電性部材と導通するための接点部を2以上有している。2以上の接点部は、基材の同一面上に並んで設けられていてもよい。接点部の数は、用途に応じて適宜選択され、例えば、2〜20個とすることができ、2〜10個とすることもできる。絶縁層は上記したポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成されているので、耐トラッキング性に優れている。そのため、隣り合う接点部間の距離が短い場合でも、絶縁層の表面に付着する水分や埃等に起因するトラッキングを防ぐことができる。隣り合う接点部間の空間的な最短距離(絶縁層に覆われていない部分の接点部間の最短距離であって、一つの接点部の端部から他の接点部の端部までの最短距離をいう。)は、1〜5mmとすることができ、1〜4mmとすることもでき、さらに1〜3mmとすることもできる。
一実施形態において、導電性部材は、金属製の基材を2以上有し、各基材の少なくとも一部を覆うように絶縁層が設けられている。基材上には、他の導電性部材と導通するための接点部が1以上形成されている。2以上の基材は、同一面上に並んで設けられていてもよい。基材の数は、用途に応じて適宜選択され、例えば、2〜15個とすることができ、2〜10個とすることもできる。
絶縁層は上記したポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いて形成されている。上記したポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物は耐トラッキング性に優れているので、隣り合う基材間の距離が短い場合でも、絶縁層の表面に付着する水分や埃等に起因するトラッキングを防ぐことができる。そのため、隣り合う基材間の空間的な最短距離(絶縁層に覆われていない基材の接点部間の最短距離であって、一つの基材の端部から他の基材の端部までの最短距離をいう。)は、1〜5mmとすることができ、1〜4mmとすることもでき、さらに1〜3mmとすることもできる。
一実施形態において、導電性部材は、上記した導電性部材を2以上有する導電性部材の集合体を構成することができる。すなわち、導電性部材の集合体は、金属製の基材と、上記したポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を含み基材の少なくとも一部を覆う絶縁層とを備える導電性部材を、2以上有する。導電性部材の集合体は、2以上の導電性部材を同一面上に有していてもよい。導電性部材の数は、用途に応じて適宜選択され、例えば、2〜20個とすることができ、2〜10個とすることもできる。隣り合う導電性部材間の空間的な最短距離は、一つの導電性部材の基材の絶縁層に覆われていない部分の端部から他の導電性部材の基材の絶縁層に覆われていない部分の端部までの最短距離として、それぞれ、1〜5mmとすることができ、1〜4mmとすることもでき、さらに1〜3mmとすることもできる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
[実施例1〜11、比較例1〜10]
以下に示す材料を用いて、表1に示す組成及び含有割合で、ポリアリーレンサルファイド樹脂、無機充填剤、オレフィン系共重合体をドライブレンドした。これをシリンダー温度320℃の二軸押出機に投入して溶融混練することで、実施例及び比較例の樹脂組成物ペレットを得た。
(ポリアリーレンサルファイド樹脂A)
PPS:ポリフェニレンサルファイド樹脂、株式会社クレハ製「フォートロンKPS」(溶融粘度:10Pa・s(せん断速度:1200sec−1,310℃))
(ポリアリーレンサルファイド樹脂の溶融粘度の測定)
上記ポリアリーレンサルファイド樹脂Aの溶融粘度は以下のようにして測定した。
東洋精機製作所製キャピログラフを用い、キャピラリーとして1mmφ×20mmL/フラットダイを使用し、バレル温度310℃、せん断速度1200sec−1での溶融粘度を測定した。
(無機充填剤B)
繊維状無機充填剤B1(a):ガラス繊維、断面が略円形(長径10.5μm、短径10.5μm、長径/短径の比1.0)、日本電気硝子株式会社製「チョップドストランド ECS03T−747H」
繊維状無機充填剤B1(b):ガラス繊維、断面が略円形(長径17μm、短径17μm、長径/短径の比1.0)、日本電気硝子株式会社製「チョップドストランド ECS03T−747N」
繊維状無機充填剤B1(c):ガラス繊維、断面が略円形(長径6.5μm、短径6.5μm、長径/短径の比1.0)、日本電気硝子株式会社製「チョップドストランド ECS03T−790DE」
板状充填剤B2(a):ガラスフレーク、日本板硝子株式会社製、平均粒子径(50%d)623μm、平均厚み5μm、「フレカREFG−108」
板状充填剤B2(b):タルク、松村産業株式会社製、平均粒子径(50%d)14μm、「クラウンタルクPP」
粉粒状無機充填剤B3(a):炭酸カルシウム、平均粒子径(50%d)25μm、旭鉱末株式会社製「MC−35W」
粉粒状無機充填剤B3(b):炭酸カルシウム、平均粒子径(50%d)5μm、東洋ファインケミカル株式会社製「ホワイトンP−30」
粉粒状無機充填剤B3(c):ガラスビーズ、平均粒子径(50%d)20μm、ポッターズ・バロティーニ株式会社製「EGB731A」
粉粒状無機充填剤B3(d):水酸化マグネシウム、平均粒子径(50%d)0.8μm、協和化学工業株式会社製「キスマ5P」
(オレフィン系共重合体C)
オレフィン系共重合体C1(a):住友化学株式会社製「ボンドファースト7M」、共重合成分として、エチレンを67質量%、メタクリル酸グリシジルエステルを6質量%、及びアクリル酸メチルを27質量%含む。
オレフィン系共重合体C1(b):住友化学株式会社製「ボンドファースト7L」、共重合成分として、エチレンを70質量%、メタクリル酸グリシジルエステルを3質量%、及びアクリル酸メチルを27質量%含む。
オレフィン系共重合体C1(c):住友化学株式会社製「ボンドファーストE」、共重合成分として、エチレンを88質量%、及びメタクリル酸グリシジルエステルを12質量%含む。
オレフィン系共重合体C2(a):エチレンアクリル酸エチル共重合体、株式会社NUC製「NUC−6570」
オレフィン系共重合体C2(b):エチレン−オクテン共重合体、ダウ・ケミカル日本株式会社製「Engage 8440」
[評価]
(耐トラッキング性:CTI(V))
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を用いて、射出成形により、シリンダー温度320℃、金型温度150℃で、15mm×15mm×厚さ3mmの平板試験片を作製した。この平板試験片及び白金電極を用いて、IEC−60112:2003第4版に準拠して、0.1質量%塩化アンモニウム水溶液を滴下しながら電圧を加え、試験片にトラッキングが生じる印加電圧(V:ボルト)を測定した。なお、測定には、日立化成工業株式会社製耐トラッキング性試験機「HAT−500−3」を用いた。結果を表1に示した。CTIが200V以上の場合に、耐トラッキング性に優れている。また、CTIが200V以上である場合は、成形品の形状や成形条件又は試用期間の長短によって過度に耐トラッキング性が低下してしまうことが少ない。
(耐高低温衝撃性:HS)
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物と、JIS G4051:2005 機械構造用炭素鋼鋼材で規定されるS35C製のインサート金属(8mm×23mm×40mm)とを用い、射出成形によりシリンダー温度320℃、金型温度150℃、射出時間40秒、冷却時間60秒の条件で、樹脂部の肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形しインサート成形品を製造し試験片とした。
この試験片について、冷熱衝撃試験機(エスペック株式会社製)を用い、−40℃にて0.5時間冷却後、140℃にて0.5時間加熱するというサイクルを繰り返し、20サイクル毎に成形品を観察した。成形品にクラックが発生したときのサイクル数を耐高低温衝撃性の指標として評価した。結果を表1に示した。サイクル数が90以上である場合に耐高低温衝撃性が優れている。
(流動性:MV(Pa・s))
東洋精機製作所製キャピログラフを用い、キャピラリーとして1mmφ×20mmL/フラットダイを使用し、バレル温度310℃、剪断速度1000sec−1での溶融粘度(Pa・s)を測定した。結果を表1に示した。溶融粘度が400Pa・s以下の場合に流動性に優れている。

Figure 2020105502

Claims (16)

  1. ポリアリーレンサルファイド樹脂A、無機充填剤B、及びオレフィン系共重合体Cを含有する樹脂組成物であって、
    前記無機充填剤Bが、繊維径が9μm以上17μm以下の繊維状無機充填剤B1を含有し、
    前記オレフィン系共重合体Cが、α−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体C1を含有し、前記樹脂組成物中の前記グリシジルエステルに由来する構成単位の含有量が0.15質量%以上0.50質量%以下であり、
    前記樹脂組成物中の前記無機充填剤Bの総含有量が、57質量%以上65質量%以下であり、
    前記樹脂組成物中の金属水酸化物の含有量が5質量%以下であり、タルクの含有量が15質量%以下であり、かつ前記金属水酸化物及び前記タルクの総含有量が15質量%以下である、導電性部材の絶縁層用及び/又は絶縁性部材用ポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
  2. 前記無機充填剤B中の前記繊維状無機充填剤B1の含有量が95質量%以上である、請求項1に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
  3. 前記無機充填剤Bが、前記繊維状無機充填剤B1と、板状無機充填剤B2及び/又は粉粒状無機充填剤B3との組合せで構成され、
    前記繊維状無機充填剤B1の含有量が、前記板状無機充填剤B2及び前記粉粒状無機充填剤B3の総含有量以上である、請求項1に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
  4. 前記オレフィン系共重合体Cが、エチレン・α−オレフィン系共重合体;及びα−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の構成単位とを含有するオレフィン系共重合体;からなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン系共重合体C2をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
  5. 前記オレフィン系共重合体C1が、さらに(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
  6. 前記繊維状無機充填剤B1の含有量と、前記板状無機充填剤B2及び前記粉粒状無機充填剤B3の総含有量との質量比率(B1/(B2+B3))が1以上4.5以下である、請求項3から5のいずれか一項に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
  7. IEC−60112:2003第4版に準拠する測定において、200V以上の比較トラッキング指数を示し、
    8mm×23mm×40mmのインサート金属に、樹脂部の肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形した試験片について−40℃にて0.5時間冷却後、140℃にて0.5時間加熱するサイクルを繰り返してクラックが発生するまでのサイクル数が90以上であり、
    310℃、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が400Pa・s以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を用いた成形品。
  9. 絶縁性部材である、請求項8に記載の成形品。
  10. 金属製の基材と、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリアリーレンサルファイド系樹脂組成物を含み前記基材の少なくとも一部を覆う絶縁層と、を備える導電性部材。
  11. 前記金属製の基材が帯板状であり厚みが3mm以下である、請求項10に記載の導電性部材。
  12. 前記金属製の基材が他の導電性部材と導通するための接点部を1以上有し、前記接点部の厚みが3mm以下である、請求項10に記載の導電性部材。
  13. 前記金属製の基材が他の導電性部材と導通するための接点部を2以上有し、前記接点部間の最短距離が1〜5mmである、請求項10から12のいずれか一項に記載の導電性部材。
  14. 前記金属製の基材を2以上有し、各基材の少なくとも一部を覆うように絶縁層が設けられ、
    隣り合う基材間の最短距離が1〜5mmである、請求項10から12のいずれか一項に記載の導電性部材。
  15. 前記絶縁層の厚みが3mm以下である、請求項10から14のいずれか一項に記載の導電性部材。
  16. 自動車部品用のバスバーである、請求項10から15のいずれか一項に記載の導電性部材。
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