本発明に係る電子デバイス製造装置の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
〈第一の実施形態〉
本発明に係る電子デバイス製造装置で薄膜トランジスタ(TFT)を製造する場合の第一の実施形態を図1〜6及び図7A〜7Jに基づいて以下に説明する。
図1において、100Aはメインフレーム、110は圧胴、120は供給胴、130は版胴、140はコータ胴、150は排出胴、191はインクジェット装置、192は絶縁インキ供給装置、301はアライメントカメラである。
前記圧胴110は、回転可能に支持されると共に、可撓性を有する基材であるシートを保持する保持面である有効面を外面の周方向へ六つ具備できる径サイズ(六倍径)をなしているものの、三つの有効面110a〜110cだけを周方向で等間隔で具備するいわゆるスケルトン型をなしている。
そして、前記圧胴110は、各有効面110a〜110cにおいて、シートの搬送方向前方側(先端側)を着脱可能に把持するくわえ爪装置111A〜111Cと、シートの搬送方向後方側(末端側)を着脱可能に吸引保持する吸引ヘッド112A〜112C(例えば、前記特許文献2等参照)とをそれぞれ有している。前記吸引ヘッド112A〜112Cは、それぞれバルブ218A〜218Cを介して吸引ポンプ217に接続している(図5参照)。
基材供給手段である前記供給胴120は、前記圧胴110に対向するように回転可能に支持され、有効面を外面の周方向へ二つ具備できる径サイズ(二倍径)をなしているものの、一つの有効面120aだけを具備すると共に、当該有効面120aにおいて、シートの搬送方向前方側(先端側)を着脱可能に把持するくわえ爪装置121を有しており、回転する前記圧胴110の前記有効面110a〜110cに対して一つおきにシートを供給して保持させることができるようになっている。
基材排出手段である前記排出胴150は、前記圧胴110と前記供給胴120との対向位置、すなわち、当該圧胴110の、当該供給胴120からのシートを保持する保持位置よりも当該圧胴110の回転方向(シートの搬送方向)下流側で当該圧胴110に対向するように回転可能に支持され、有効面を外面の周方向へ二つ具備できる径サイズ(二倍径)をなしているものの、一つの有効面150aだけを具備すると共に、当該有効面150aにおいて、シートの搬送方向前方側(先端側)を着脱可能に把持するくわえ爪装置151を有している。
インキ転写手段としての転写胴である前記版胴130は、前記圧胴110と前記供給胴120との対向位置、すなわち、当該圧胴110の、当該供給胴120からのシートを保持する保持位置よりも当該圧胴110の回転方向(シートの搬送方向)下流側と、当該圧胴110と前記排出胴150との対向位置、すなわち、当該圧胴110の、当該排出胴150へシートを離脱させる離脱位置よりも当該圧胴110の回転方向(シートの搬送方向)上流側との間に回転可能に配設され、当該圧胴110に対接する作動位置と当該圧胴110から離反した退避位置との間を直線的にスライド移動できるように支持されている(詳細は後述する)。
加えて、前記版胴130は、第一の機能層であるゲート層(G層)に対応するパターンを形成された第一の版面であるG層用の版面Pgと、第三の機能層であるソース&ドレイン層(SD層)に対応するパターンを形成された第二の版面であるSD層用の版面Psdとを周方向へ並べるように形成した二倍サイズの版Pを保持する保持面である有効面130aを外面に具備する径サイズ(二倍径)をなすと共に、当該版Pの一端側(先端側)と他端側(末端側)とを着脱可能に保持する版保持装置131を有している。
第一の機能性インキ供給手段である前記インクジェット装置191は、前記退避位置に位置する前記版胴130の前記版Pの前記版面Pg,Psdに対して、G層及びSD層をなす材料からなる第一の機能性インキである導電インキを噴射して供給することができるようになっている。
前記アライメントカメラ301は、圧胴110によって搬送されるシートに付されたアライメントマークm(図6参照)を撮像するための撮像装置である。図6に示すように、アライメントマークmは例えばシートS(S1,S2,S3,S4,…)の搬送方向の上流側(図6に示す例では、左右方向の右側)であってシートSの前記圧胴の軸方向(搬送方向に直交しシートSに沿う方向)の両側部に一箇所ずつ付されている。本実施形態では、これらのアライメントマークmを撮像するため、二台の前記アライメントカメラ301を前記検査胴120Bの軸方向両側にそれぞれ対向配置している。前記各アライメントカメラ301によって撮像した画像の情報は、画像処理装置302(図5参照)に入力される。
転写胴である前記コータ胴140は、前記圧胴110と前記版胴130との対接位置よりも当該圧胴110の回転方向(シートの搬送方向)下流側と、当該圧胴110と前記排出胴150との対向位置、すなわち、当該圧胴110の、当該排出胴150へシートを離脱させる離脱位置よりも当該圧胴110の回転方向(シートの搬送方向)上流側との間に回転可能に配設され、シートのサイズに対応するサイズのシリコン樹脂製のブランケットBを外周に巻き付けられると共に(一倍径)、当該圧胴110に対接する作動位置と当該圧胴110から離反した退避位置との間を直線的にスライド移動できるように前記版胴130と同様な機構により支持されている。
第二の機能性インキ供給手段である前記絶縁インキ供給装置192は、前記退避位置に位置する前記コータ胴140の前記ブランケットB上に、第二の機能層であるゲート・インシュレータ層(GI層)をなす材料からなる第二の機能性インキである絶縁インキを送出して供給することができるようになっている。
そして、図2に示すように、前記版胴130の軸方向両側には、前記メインフレーム100A,100Bが対をなすようにしてそれぞれ配設されており、当該版胴130は、その両方の端部側が、当該メインフレーム100A,100Bをそれぞれ貫通している。前記版胴130の両端側には、軸受161が同軸をなしてそれぞれ嵌合している。前記軸受161の外周には、スリーブ162が同軸をなしてそれぞれ嵌合している。
また、図2,3に示すように、前記メインフレーム100Aの、前記版胴130の軸方向外側面上には、当該版胴130を間に挟んで対をなす直線形のガイドレール163が前記圧胴110の軸心と当該版胴130の軸心とを結ぶ方向と平行な方向へ長手方向を向けるようにして配設されている。前記ガイドレール163の、前記版胴130の軸方向外側には、当該ガイドレール163の長手方向に沿ってスライド移動可能なスライダ164がそれぞれ取り付けられている。
前記スライダ164の、前記版胴130の軸方向外側には、サブフレーム165が、対をなす前記ガイドレール163の間を覆うようにして取り付けられており、当該サブフレーム165は、前記スリーブ162を当該版胴130の軸方向へ摺動移動可能に保持している。
他方、図2に示すように、前記メインフレーム100Bの、前記版胴130の軸方向外側にも、前記メインフレーム100Aの場合と同様にして、ガイドレール163,スライダ164,サブフレーム165が設けられている。
つまり、前記版胴130は、前記サブフレーム165に対して、前記スリーブ162及び前記軸受161を介して回転可能に支持されると共に、当該スリーブ162が軸方向へ摺動移動することにより、当該軸受161を介して軸方向へスライド移動することができ、さらに、当該サブフレーム165を前記ガイドレール163に沿ってスライド移動させることにより、前記圧胴110に対して一直線で接近離反移動することができるようになっているのである。
なお、図3中、166は、前記メインフレーム100Aに設けられて前記版胴130を前記退避位置に位置付けできるように前記サブフレーム165の移動を規制するストッパであり、当該メインフレーム100Aだけでなく、前記メインフレーム100Bにも同様にして設けられている。
図3に示すように、前記メインフレーム100Aの、前記版胴130の軸方向外側面上には、サーボモータ215が、駆動軸215aの軸方向を前記ガイドレール163の長手方向に沿って向けるように配向されて取り付けられている。前記サーボモータ215の前記駆動軸215aの先端には、ねじ軸167の一端が同軸をなして連結固定されている。前記ねじ軸167の他端側は、前記メインフレーム100Aの、前記版胴130の軸方向外側面上に設けられた支持部材169に回転可能に支持されている。
前記ねじ軸167には、ナットブロック168が螺合している。前記ナットブロック168には、ブラケット168aが設けられている。前記ブラケット168aは、前記サブフレーム165に設けられたブラケット165aに連結されている。
他方、前記メインフレーム100Bの、前記版胴130の軸方向外側にも、前記メインフレーム100Aの場合と同様にして、前記ブラケット165a,168a,前記ねじ軸167,前記ナットブロック168,前記支持部材169,前記サーボモータ215等が設けられている。
つまり、前記サーボモータ215を作動させて前記駆動軸215aを駆動回転させると、前記支持部材169に支持された前記ねじ軸167が回転することにより、当該ねじ軸167の軸方向に沿って前記ナットブロック168を移動させることができ、前記ブラケット168a,165aを介して前記サブフレーム165を前記ガイドレール163の長手方向に沿って移動させることができるようになっているのである。
なお、図2,3中、226は、左右の前記ガイドレール163の長手方向に沿って前記サブフレーム165にそれぞれ取り付けられたリニアスケール226aを、前記メインフレーム100A、前記メインフレーム100Bにそれぞれ取り付けられたセンサ226bで読み取ることにより、前記圧胴110に対する前記版胴130の径方向の位置を検知する位置検出器である。
また、図2,3中、228は、前記スリーブ162に、前記版胴130の軸方向に沿って取り付けられたリニアスケール228aを、前記サブフレーム165に取り付けられたセンサ228bで読み取ることにより、前記圧胴110に対する前記版胴130の軸方向の位置を検知する位置検出器である。
図2に示すように、前記版胴130の一端側(図2中、右端側)には、転写胴駆動装置としてのダイレクトドライブ(DD)方式のモータ203がブラケット189を介して同軸をなして設けられており、当該モータ203は、ブラケット188を介して前記スリーブ162に支持されている。
つまり、前記モータ203は、前記ブラケット189を介して前記版胴130を独立して回転駆動させることができると共に、前記ブラケット188を介して前記スリーブ162,前記軸受161と併せて当該版胴130と一体的に軸方向へ移動することができるようになっているのである。
また、前記版胴130の他端側(図2中、左端側)には、伝達筒171の基端側(図2中、左端側)が同軸をなして嵌合している。前記伝達筒171の先端側(図2中、左端側)には、環状をなす回転板172の外周側が同軸をなして一体的に取り付けられている。前記回転板172の軸方向両面には、当該回転板172を挟んで対をなすスラスト軸受173が当該回転板172の穴部と同軸をなすようにしてそれぞれ配設されている。
前記回転板172の穴部及び前記スラスト軸受173の内側には、軸方向中程と基端寄り(図2中、左端寄り)との間にねじ山を有するねじ軸174の先端側(図2中、右端側)が遊嵌している。前記ねじ軸174の先端側(図2中、右端側)には、前記回転板172及び前記スラスト軸受173を軸方向で挟持する環状をなす一対のフランジ板175が同軸をなしてそれぞれ嵌合している。
前記ねじ軸174の軸方向中程及び基端寄り(図2中、左端寄り)には、ナットブロック176が螺合している。前記ナットブロック176は、前記サブフレーム165に支持ステー177aを介して支持された支持板177を貫通するようにして当該支持板177に固定支持されている。
つまり、前記ねじ軸174を回転させると、前記ナットブロック176に対して当該ねじ軸174が軸方向へ移動して、前記フランジ板175,前記スラスト軸受173,前記回転板172,前記伝達筒171を介して前記版胴130を軸方向に移動させることができると共に、当該版胴130が回転すると、前記伝達筒171及び前記回転板172が回転するものの、前記スラスト軸受173を介することにより、前記ねじ軸174に回転力が伝達しないようになっているのである。
図2,4に示すように、前記ねじ軸174の基端側(図2中、左端側)には、歯車178が同軸をなして取り付けられている。前記歯車178には、歯車179が噛み合っている。前記歯車179は、前記支持板177に基端側を回転可能に支持された回転軸180の先端面に同軸をなして固定されている。前記回転軸180の先端側(図2中、左端側)には、ウォームホイール181が同軸をなして取り付けられている。
前記ウォームホイール181には、ウォーム軸182が噛み合っている。前記ウォーム軸182は、その両端側が、前記支持板177に対して支持部材183を介して回転可能に支持されている。前記ウォーム軸182の一端側(図4中、右端側)には、前記支持板177に支持されたサーボモータ219の駆動軸が同軸をなして連結されている。
つまり、前記サーボモータ219を作動させて前記ウォーム軸182を回転させると、前記ウォームホイール181,前記回転軸180,前記歯車178,179を介して前記ねじ軸174を前記ナットブロック176に対して回転させて軸方向へ移動させることができるようになっているのである。
図5に示すように、前記圧胴110を独立回転駆動させる圧胴駆動装置としてのモータ201と、前記供給胴120を独立回転駆動させるモータ202と、前記版胴130を独立回転駆動させるモータ203と、前記コータ胴140を独立回転駆動させるモータ204と、前記排出胴150を独立回転駆動させるモータ205とは、制御手段である制御装置200の出力部にそれぞれ電気的に接続している。前記制御装置200の出力部は、前記インクジェット装置191及び前記絶縁インキ供給装置192へ電気的に接続している。
また、前記制御装置200の出力部は、前記圧胴110の前記くわえ爪装置111A〜111Cと前記供給胴120の前記くわえ爪装置121との対向の際、当該圧胴110の当該くわえ爪装置111A〜111Cの開閉を切り換えるように、当該くわえ爪装置111A〜111Cを開閉させるカムフォロア用のカムの軌道を切り換えるアクチュエータ211と、当該供給胴120の当該くわえ爪装置121の開閉を切り換えるように、当該くわえ爪装置12を開閉させるカムフォロア用のカムの軌道を切り換えるアクチュエータ212とに対して、それぞれ電気的に接続している(カム軌道切換機構に関しては、前記特許文献2に記載の「印刷胴」及び「給紙側渡胴」のカム軌道切換機構(特に図5)参照)。
また、前記制御装置200の出力部は、前記圧胴110の前記くわえ爪装置111A〜111Cと前記排出胴150の前記くわえ爪装置151との対向の際、当該くわえ爪装置111A〜111Cの開閉を切り換えるように、当該くわえ爪装置111A〜111Cを開閉させるカムフォロア用のカムの軌道を切り換えるアクチュエータ213と、当該くわえ爪装置151の開閉を切り換えるように、当該くわえ爪装置151を開閉させるカムフォロア用のカムの軌道を切り換えるアクチュエータ214とに対して、それぞれ電気的に接続している(カム軌道切換機構に関しては、前記特許文献2に記載の「第2の排紙側渡胴」及び「紙取胴」のカム軌道切換機構(特に図4)参照)。
また、前記制御装置200の出力部は、前記吸引ポンプ217と前記バルブ218A〜218Cとに対して、それぞれ電気的に接続しており、当該バルブ218A〜218Cは、当該圧胴110の前記くわえ爪装置111A〜111Cが前記供給胴120の前記くわえ爪装置121及び前記排出胴150の前記くわえ爪装置151と対向する際、開放状態となると、前記吸引ポンプ217による前記吸引ヘッド112A〜112Cからの吸引を開始し、閉鎖状態となると、前記吸引ポンプ217による前記吸引ヘッド112A〜112Cからの吸引を停止することができるようになっている。
また、前記制御装置200の出力部は、前記版胴130を前記ガイドレール163に沿ってスライド移動させる前記サーボモータ215と、前記コータ胴140を前記版胴130と同様にしてガイドレールに沿ってスライド移動させるサーボモータ216と、前記版胴130を軸方向に沿って移動させる前記サーボモータ219とに対して、それぞれ電気的に接続している。
他方、前記制御装置200の入力部には、前記圧胴110の回転位相を検出するロータリエンコーダ221と、前記供給胴120の回転位相を検出するロータリエンコーダ222と、前記版胴130の回転位相を検出するロータリエンコーダ223と、前記コータ胴140の回転位相を検出するロータリエンコーダ224と、前記排出胴150の回転位相を検出するロータリエンコーダ225とがそれぞれ電気的に接続されている。
また、前記制御装置200の入力部には、前記圧胴110に対する前記版胴130の径方向の位置を検出する前記位置検出器226と、前記圧胴110に対する前記コータ胴140の位置を検出する位置検出器227と、前記圧胴に対する前記版胴130の軸方向の位置を検出する前記位置検出器228とがそれぞれ電気的に接続されている。
また、前記制御装置200の入力部には、前記アライメントカメラ301によって撮像した画像の情報及び前記ロータリエンコーダ221によって検出した前記圧胴110の回転位相から、前記圧胴110によって搬送されるシートS上のアライメントマークmの基準位置に対する回転方向(シートの搬送方向)及び前記圧胴の軸方向(搬送方向に直交しシートに沿う方向)の位置ずれ量を求める前記画像処理装置302が電気的に接続されている。
つまり、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221〜225、前記位置検出器226,227,228及び前記画像処理装置302からの情報に基づいて、前記モータ201〜205の回転作動、前記インクジェット装置191及び前記絶縁インキ供給装置192の作動、前記アクチュエータ211〜214の伸縮作動、前記サーボモータ215,216の回転作動、前記バルブ218A〜218Cの開閉作動、前記サーボモータ219の作動等をそれぞれ制御することができるようになっている(詳細は後述する)。
なお、本実施形態においては、前記アライメントカメラ301及び前記画像処理装置302等により基材位置検知手段を構成し、前記伝達筒171、前記回転板172、前記スラスト軸受173、前記ねじ軸174、前記フランジ板175、前記ナットブロック176、前記支持板177、前記歯車178,179、前記回転軸180、前記ウォームホイール181、前記ウォーム軸182、前記支持部材183、前記サーボモータ219等により左右位置調整手段を構成し、前記ブラケット188,189、前記モータ203等により天地位置調整手段を構成している。
このような本実施形態に係る電子デバイス製造装置によるTFTの製造方法を図7A〜7Jに基づいて次に説明する。
当初、前記版胴130及び前記コータ胴140は、前記圧胴110から離反する前記退避位置に位置すると共に、前記バルブ218A〜218Cは、前記閉鎖状態となっている。まず、前記版胴130の前記版Pやシートや機能層等の厚さ等の各種製造条件に基づいて予め規定されている前記圧胴110と前記版胴130及び前記コータ胴140との間の長さ(間隔)を前記制御装置200にそれぞれ入力すると、当該制御装置200は、当該間隔となる当該版胴130及び当該コータ胴140の位置を前記作動位置として設定する。また、これと併せて、前記版胴130の前記版Pの幅方向の見当を調整するように、前記制御装置200を作動させて前記サーボモータ219を作動させる。
そして、前記制御装置200は、前記吸引ポンプ217を作動させると共に、前記胴110,120,130,140を所定の周期で回転させるように、前記ロータリエンコーダ221〜225からの情報に基づいて、前記モータ201〜205の作動を制御する。
前記供給胴120の前記くわえ爪装置121に一枚目のシートS1の先端側をくわえさせて当該供給胴120の前記有効面120a上にシートS1を保持させて搬送し、当該供給胴120の当該くわえ爪装置121が前記圧胴110の前記くわえ爪装置111Aと対向するときに、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,222からの情報に基づいて、当該供給胴120の当該くわえ爪装置121から当該圧胴110の当該くわえ爪装置111AへシートS1の先端側をくわえ替えさせて当該供給胴120の当該有効面120aから当該圧胴110の前記有効面110aにシートS1を保持させるように、前記アクチュエータ211,212の作動を制御する(図7A参照)と共に、当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Aに先端側をくわえられたシートS1の末端側を前記吸引ヘッド112Aに吸引保持させるように、前記バルブ218Aを開放制御する。これにより、シートS1は、前記圧胴110の前記有効面110a上に密着保持される。
また、これと併せて、前記制御装置200は、前記版胴130の前記版Pの前記版面Pgに導電インキIcを供給するように、前記ロータリエンコーダ221,223からの情報に基づいて、前記インクジェット装置191を作動制御する。
続いて、前記制御装置200は、前記版胴130の前記版Pの前記版面Pgに供給された導電インキIcを前記圧胴110の前記有効面110a上のシートS1に転写させるように、前記ロータリエンコーダ221,223及び前記位置検出器226からの情報に基づいて、前記サーボモータ215の作動を制御して、当該版胴130を前記作動位置に移動させる。これにより、シートS1上には、G層が形成される(図7B参照)。
このとき、シートS1の軸方向両側部には図6に示し上述したアライメントマークmが同時に転写される。また、前記供給胴120は、前記くわえ爪装置121がシートをくわえることなく空の状態で前記圧胴110の前記くわえ爪装置111Bと対向するため、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,222からの情報に基づいて、当該胴110,120でシートを受け渡すことなく当該くわえ爪装置121,111Bを干渉させないように前記アクチュエータ211,212の作動を制御すると共に、前記バルブ218Aの閉鎖状態をそのまま維持するように当該バルブ218Aの作動を制御する。
そして、前記版胴130が、前記圧胴110の前記有効面110a上のシートS1に導電インキIcを転写し終えると、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,223及び前記位置検出器226からの情報に基づいて、当該版胴130を前記退避位置に移動させるように前記サーボモータ215の作動を制御する。
また、これと併せて、前記制御装置200は、前記コータ胴140の前記ブランケットBに絶縁インキIiを供給するように、前記ロータリエンコーダ221,224からの情報に基づいて、前記絶縁インキ供給装置192を作動制御する。
続いて、前記制御装置200は、前記コータ胴140の前記ブランケットBに供給された絶縁インキIiを前記圧胴110の前記有効面110a上のシートS1に転写させるように、前記ロータリエンコーダ221,224及び前記位置検出器227からの情報に基づいて、前記サーボモータ216の作動を制御して、当該コータ胴140を前記作動位置に移動させる。これにより、シートS1のG層上には、GI層が形成される(図7C参照)。
そして、前記コータ胴140が、前記圧胴110の前記有効面110a上のシートS1に絶縁インキIiを転写し終えると、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,224及び前記位置検出器227からの情報に基づいて、当該コータ胴140を前記退避位置に移動させるように前記サーボモータ216の作動を制御する。
このようにして前記圧胴110の前記有効面110a上でG層及びGI層を形成されたシートS1の先端側をくわえる前記くわえ爪装置111Aが前記排出胴150の前記くわえ爪装置151と対向するとき、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,225からの情報に基づいて、当該排出胴150の当該くわえ爪装置151を当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Aに干渉させることなく当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Aから当該排出胴150の当該くわえ爪装置151へシートS1の先端側をくわえ替えさせずに当該圧胴110の前記有効面110a上にシートS1を保持したまま通過させるように、前記アクチュエータ211,214の作動を制御すると共に、前記バルブ218Aの開放状態をそのまま維持するように当該バルブ218Aの作動を制御する。
このとき、前記供給胴120は、前記くわえ爪装置121が次のシートS2の先端側をくわえて前記有効面120aに保持した状態で前記圧胴110の前記くわえ爪装置111Cと対向することから、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,222からの情報に基づいて、当該供給胴120の当該くわえ爪装置121から当該圧胴110の当該くわえ爪装置111CにシートS2の先端側をくわえ替えして当該供給胴120の当該有効面120aから当該圧胴110の前記有効面110cにシートS2を保持させるように前記アクチュエータ211,212の作動を制御する(図7D参照)と共に、当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Cに先端側をくわえられたシートS2の末端側を前記吸引ヘッド112Cに吸引保持させるように、前記バルブ218Cを開放制御する。これにより、シートS2は、前記圧胴110の前記有効面110c上に密着保持される。
また、これと併せて、前記制御装置200は、前記版胴130の前記版Pの前記版面Pgに導電インキIcを供給するように、前記ロータリエンコーダ221,223からの情報に基づいて、前記インクジェット装置191を作動制御する。
続いて、前記制御装置200は、前記版胴130の前記版Pの前記版面Pgに供給された導電インキIcを前記圧胴110の前記有効面110c上のシートS2に転写させるように、前記ロータリエンコーダ221,223及び前記位置検出器226からの情報に基づいて、前記サーボモータ215の作動を制御して、当該版胴130を前記作動位置に移動させる。これにより、シートS2上には、G層が形成される(図7E参照)。またこのとき、シートS2の軸方向両側部には図6に示し上述したアライメントマークmが同時に転写される。
また、これと併せて、前記制御装置200は、前記コータ胴140の前記ブランケットBに絶縁インキIiを供給するように、前記ロータリエンコーダ221,224からの情報に基づいて、前記絶縁インキ供給装置192を作動制御する。
このとき、前記圧胴110の前記有効面110aにシートS1を保持させている前記くわえ爪装置111Aが、シートを保持していない前記供給胴120の前記くわえ爪装置121と対向するため、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,222からの情報に基づいて、当該胴110,120でシートを受け渡すことなく当該くわえ爪装置121,111Aを干渉させないように前記アクチュエータ211,212の作動を制御すると共に、前記バルブ218Aの開放状態をそのまま維持するように当該バルブ218Aの作動を制御する。
そして、前記版胴130が、前記圧胴110の前記有効面110c上のシートS2に導電インキIcを転写し終えると、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,223及び前記位置検出器226からの情報に基づいて、当該版胴130を前記退避位置に移動させるように前記サーボモータ216の作動を制御すると共に、前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdに導電インキIcを供給するように、前記インクジェット装置191を作動制御する(図7F参照)。またこのとき、前記圧胴110の前記有効面110aに保持されたシートS1に付されたアライメントマークmが前記アライメントカメラ301により撮像され、前記画像処理装置302によりアライメントマークmの基準位置に対する位置ずれ量が算出される。
続いて、前記制御装置200は、前記コータ胴140の前記ブランケットBに供給された絶縁インキIiを前記圧胴110の前記有効面110c上のシートS2に転写させるように、前記ロータリエンコーダ221,224及び前記位置検出器227からの情報に基づいて、前記サーボモータ216の作動を制御して、当該コータ胴140を前記作動位置に移動させる。これにより、シートS2のG層上には、GI層が形成される。
そして、前記コータ胴140が、前記圧胴110の前記有効面110c上のシートS2に絶縁インキIiを転写し終えると、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,224及び前記位置検出器227からの情報に基づいて、当該コータ胴140を前記退避位置に移動させるように前記サーボモータ216の作動を制御する(図7G参照)。
また、これと併せて、前記制御装置200は、前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdに供給された導電インキIcを前記圧胴110の前記有効面110a上のシートS1に転写させるように、前記ロータリエンコーダ221,223及び前記位置検出器226からの情報に基づいて、前記サーボモータ215の作動を制御して、当該版胴130を前記作動位置に移動させる。
このとき、前記制御装置200は、前記位置検出器228により検出した前記版胴130の前記圧胴110に対する軸方向の位置、前記ロータリエンコーダ223によって検出した前記版胴130の回転位相、及び前記画像処理装置302により検出したシートS1の基準位置に対する位置ずれ量に基づいて、前記サーボモータ219の作動を制御して前記圧胴110に対する前記版胴130の軸方向の位置を調整すると共に、前記モータ203の作動を制御して前記圧胴110の回転位相に対する前記版胴130の回転位相を調整することにより、前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdと前記圧胴110によって搬送されるシートS1上に形成されたG層との軸方向及び回転方向の位置関係(軸方向の位置及びシートの搬送方向の転写位置)を高精度に一致させる。これにより、シートS1のGI層上には、G層と精密に位置合わせをされた状態でSD層が形成される。
そして、前記版胴130が、前記圧胴110の前記有効面110a上のシートS1に導電インキIcを転写し終えると、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,223及び前記位置検出器226からの情報に基づいて、当該版胴130を前記退避位置に移動させるように前記サーボモータ215の作動を制御する(図7H参照)。
このとき、前記圧胴110の前記有効面110c上でG層及びGI層を形成されたシートS2の先端側をくわえる前記くわえ爪装置111Cが前記排出胴150の前記くわえ爪装置151と対向するとき、前記制御装置200は、前述したシートS1の場合と同様に、前記ロータリエンコーダ221,225からの情報に基づいて、当該排出胴150の当該くわえ爪装置151を当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Cに干渉させることなく当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Cから当該排出胴150の当該くわえ爪装置151へシートS2の先端側をくわえ替えさせずに当該圧胴110の前記有効面110c上にシートS2を保持したまま通過させるように、前記アクチュエータ211,214の作動を制御すると共に、前記バルブ218Cの開放状態をそのまま維持する。
くわえて、前記供給胴120は、前記くわえ爪装置121が更に次のシートS3の先端側をくわえて前記有効面120aに保持した状態で前記圧胴110の前記くわえ爪装置111Bと対向することから、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,222からの情報に基づいて、当該供給胴120の当該くわえ爪装置121から当該圧胴110の当該くわえ爪装置111BにシートS3の先端側をくわえ替えして当該供給胴120の当該有効面120aから当該圧胴110の前記有効面110bにシートS3を保持させるように前記アクチュエータ211,212の作動を制御すると共に、当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Bに先端側をくわえられたシートS3の末端側を前記吸引ヘッド112Bに吸引保持させるように、前記バルブ218Bを開放制御する。これにより、シートS3は、前記圧胴110の前記有効面110b上に密着保持される。
他方、前記圧胴110の前記有効面110a上でG層,GI層,SD層をそれぞれ形成されたシートS1は、前記コータ胴140から絶縁インキIiを転写されることなくそのまま通過する。
そして、前記圧胴110の前記有効面110a上に保持されたシートS1の先端側をくわえる前記くわえ爪装置111Aが前記排出胴150の前記くわえ爪装置151と対向すると、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,225からの情報に基づいて、当該圧胴110の前記吸引ヘッド112Aによる吸引を停止するように、前記バルブ218Aを閉鎖制御すると共に、当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Aから当該排出胴150の当該くわえ爪装置151へシートS1の先端側をくわえ替えさせて当該圧胴110の当該有効面110aから当該排出胴150の前記有効面150aにシートS1を保持させるように、前記アクチュエータ211,214の作動を制御する(図7I参照)。これにより、G層、GI層、SD層をそれぞれ形成されたシートS1は、前記圧胴110の前記有効面110aから離脱され、前記排出胴150を介して系外へ排出される。
このとき、前記圧胴110の前記有効面110cにシートS2を保持させている前記くわえ爪装置111Bが、シートを保持していない前記供給胴120の前記くわえ爪装置121と対向するため、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,222からの情報に基づいて、シートS1の場合と同様に、当該胴110,120でシートを受け渡すことなく当該くわえ爪装置121,111Bを干渉させないように前記アクチュエータ211,212の作動を制御すると共に、前記バルブ218Cの開放状態をそのまま維持するように当該バルブ218Cの作動を制御する。
その後、前記圧胴110の前記有効面110cに保持されたシートS2に付されたアライメントマークmが前記アライメントカメラ301により撮像され、前記画像処理装置302によりアライメントマークmの基準位置に対する位置ずれ量が算出される。
また、前記圧胴110の前記有効面110bに保持されたシートS3は、前記有効面110a,110cに保持されたシートS1,S2の場合と同様にして、前記版胴130の前記版Pの前記版面Pgから導電インキIcが転写される。
そして、前記圧胴110の前記有効面110bに保持されたシートS3は、前記有効面110a,110cに保持されたシートS1,S2の場合と同様にして、前記コータ胴140の前記ブランケットBから絶縁インキIiが転写されることにより、G層上にGI層が形成される。
また、前記圧胴110の前記有効面110cに保持されたシートS2は、前記有効面110aに保持されたシートS1の場合と同様に、前記位置検出器228により検出した前記版胴130の前記圧胴110に対する軸方向の位置、前記ロータリエンコーダ223によって検出した前記版胴130の回転位相、及び前記画像処理装置302により検出したシートS2の基準位置に対する位置ずれ量に基づいて、前記サーボモータ219の作動を制御して前記圧胴110に対する前記版胴130の軸方向の位置を調整すると共に、前記モータ203の作動を制御して前記圧胴110の回転位相に対する前記版胴130の回転位相を調整し、前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdと前記圧胴110によって搬送されるシートS2上に形成されたG層との軸方向及び回転方向の位置関係を高精度に一致させた状態で、前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdから導電インキIcが転写されることにより、GI層上に、G層と精密に位置合わせをされた状態でSD層が形成される(図7J参照)。
くわえて、前記供給胴120は、前記くわえ爪装置121が更に次のシートS4の先端側をくわえて前記有効面120aに保持した状態で前記圧胴110の前記くわえ爪装置111Aと対向することから、前記制御装置200は、前記ロータリエンコーダ221,222からの情報に基づいて、当該供給胴120の当該くわえ爪装置121から当該圧胴110の当該くわえ爪装置111AにシートS4の先端側をくわえ替えして当該供給胴120の当該有効面120aから当該圧胴110の前記有効面110aにシートS4を保持させるように前記アクチュエータ211,212の作動を制御すると共に、当該圧胴110の当該くわえ爪装置111Aに先端側をくわえられたシートS4の末端側を前記吸引ヘッド112Aに吸引保持させるように、前記バルブ218Aを開放制御する。これにより、シートS4は、前記圧胴110の前記有効面110a上に密着保持される。
以下、上述した作動を繰り返すことにより、シートにG層,GI層,SD層を順次積層したTFTを連続して製造することができる。
つまり、本実施形態に係る電子デバイス製造装置では、前記版胴130によりシートS(シートS1,S2,…)にG層を形成する際に同時にアライメントマークmを付し、前記コータ胴によるGI層の形成を介して再度前記版胴130によりSD層を形成する際に、前記位置検出器228により検出した前記版胴130の前記圧胴110に対する軸方向の位置、前記ロータリエンコーダ223によって検出した前記版胴130の回転位相、及び前記画像処理装置302により検出したシートSの基準位置に対する位置ずれ量に基づいて、前記サーボモータ219の作動を制御して前記圧胴110に対する前記版胴130の軸方向の位置を調整すると共に、前記モータ203の作動を制御して前記圧胴110の回転位相に対する前記版胴130の回転位相を調整することにより、前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdと前記圧胴110によって搬送されるシートS上に形成されたG層との軸方向及び回転方向の位置関係を高精度に一致させることにより、G層と精密に位置合わせをされた状態でSD層を形成することができる。
また、二つの前記版面Pg,Psdを有する前記版Pを一つの前記版胴130に装着したことから、一つの前記インクジェット装置191で二つの前記版面Pg,Psdに導電インキIcを供給することができるので、非常に高価な当該インクジェット装置191の設置数を削減することができ、低コスト化及び省スペース化を図ることができる。
また、三つの前記有効面110a〜110cを有する前記圧胴110に対して、前記供給胴120が一つおきにシートを供給して保持させることから、当該供給胴120から次々に供給するシートに対して各層を順次形成することが効率よくでき、TFTを同時に複数製造することが省スペースで非常に効率よくできる。
〈第二の実施形態〉
本発明に係る電子デバイス製造装置で薄膜トランジスタ(TFT)を製造する場合の第二の実施形態を図8に基づいて以下に説明する。
本実施形態は、前述した第一の実施形態において説明したアライメントマークmに加えて、図8に示すように、シートS(S1,S2,S3,S4,…)上にG層を形成する際に、シートSの軸方向一端側の余白部に周方向に沿って一定間隔dで複数のアライメントマークMを設け、前記画像処理装置302において、前記アライメントカメラ301によって撮像した画像の情報及び前記ロータリエンコーダ221によって検出した前記圧胴110の回転位相から、前記圧胴110によって搬送されるシートS上のアライメントマークmの基準位置に対するシートSの搬送方向の下流側(図8に示す例では、左右方向の右側)及び軸方向(搬送方向に直交しシートSに沿う方向)の位置ずれ量を求めることに加え、隣接するアライメントマークM間の距離を検出するようにしたものである。
また、シートS上にSD層を形成する際に、前記制御装置200により、前記画像処理装置302によって求めた隣接するアライメントマークM間の距離及び前記ロータリエンコーダ201,223からの情報に基づいて前記モータ203の回転駆動を制御して、前記圧胴110に保持されているシートSの表面周速に対する前記版胴130の表面周速を制御し、前記圧胴110によって搬送されるシートの表面周速と前記版Pの表面周速との相対差を利用して、シートSのG層上に、当該G層のアライメントマークM間の距離と合致するように、精密に位置合わせをされた状態でSD層を形成する。
より具体的に説明すると、例えば、シートSに付されたアライメントマークM間の距離が設計値よりも短ければ、前記圧胴110によって搬送されるシートSの表面周速に対して前記版Pの表面周速が速くなるよう制御し、シートSに付されたアライメントマークM間の距離が設計値よりも長ければ、前記圧胴110によって搬送されるシートSの表面周速に対して前記版Pの表面周速が遅くなるよう制御する。
このとき、検出されたアライメントマークM間の距離が等間隔ではなかった場合は、それに応じて前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdに供給された導電インキIcを一つのシートに転写する際に、前記圧胴110と前記版胴130の周速差を変化させることも可能である。
本実施形態においては、前記軸受161、前記スリーブ162、前記ガイドレール163、前記スライダ164、前記サブフレーム165、前記ストッパ166等により、転写胴支持手段を構成し、前記ねじ軸167、前記ナットブロック168、前記支持部材169、前記ブラケット165a,168a、前記サーボモータ215等により、転写胴対接離反移動駆動手段を構成し、前記伝達筒171、前記回転板172、前記スラスト軸受173、前記ねじ軸174、前記フランジ板175、前記ナットブロック176、前記支持板177、前記歯車178,179、前記回転軸180、前記ウォームホイール181、前記ウォーム軸182、前記支持部材183、前記サーボモータ219等により、転写胴軸方向移動駆動手段を構成し、前記ブラケット188,189、前記モータ203等により、転写胴回転駆動手段を構成し、前記検査カメラ303及び前記画像処理装置302により版変形検知手段を構成している。
本実施形態に係る電子デバイス製造装置によりTFTを製造する方法について、前述した第一の実施形態と異なる点を次に簡単に説明する。
すなわち、本実施形態においては、シートS1,S2,S3,…のGI層上にSD層を形成する際、前記制御装置200は、前記位置検出器228により検出した前記版胴130の前記圧胴110に対する軸方向の位置、前記ロータリエンコーダ223によって検出した前記版胴130の回転位相、及び前記画像処理装置302により検出したシートS1,S2,S3,…の基準位置に対する位置ずれ量及びアライメントマークM間の距離に基づいて、前記サーボモータ219の作動を制御して前記圧胴110に対する前記版胴130の軸方向の位置を調整すると共に、前記モータ203の作動を制御して前記圧胴110の回転位相に対する前記版胴130の回転位相を調整することにより、前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdと前記圧胴110によって搬送されるシートS1,S2,S3,…上に形成されたG層との軸方向及び回転方向の位置関係を高精度に一致させ、これにより、シートS1,S2,S3,…のGI層上に、G層と精密に位置合わせをされた状態でSD層を形成する。
その他の構成は前述した第一の実施形態と概ね同様であり、第一の実施形態と重複する説明については省略する。
このように構成される本実施形態に係る電子デバイス製造装置によれば、前述した第一の実施形態に係る電子デバイス製造装置による作用効果に加えて、シートS上に形成されるG層とSD層との軸方向及び回転方向の位置関係をより高精度に一致させることができる。
〈他の実施形態〉
なお、前述した第一,第二の実施形態においては、前記モータ203の作動を制御して前記圧胴110によって搬送されるシートS1の回転方向の位置に対する前記版胴130の回転方向の位置を調整する例を示したが、他の実施形態として、例えば、前記モータ201の作動を制御して前記圧胴110の回転位相を調整することにより前記圧胴110によって搬送されるシートS上に形成されたG層と前記版胴130の前記版Pの前記版面Psdとの回転方向の位置関係を高精度に一致させるようにすることも可能である。
また、前述した第二の実施形態においては、前記画像処理装置302により求めたアライメントマークM間の距離に基づいて、前記圧胴110の前記有効面110c上のシートの表面周速に対する前記版胴130の表面周速を制御する例を示したが、他の実施形態として、前記画像処理装置302により求めたアライメントマークM間の距離に基づいて前記版胴130の表面周速に対する前記圧胴110の前記有効面110c上のシートの表面周速を制御する、又は、前記画像処理装置302により求めたアライメントマークM間の距離に基づいて前記版胴130の表面周速及び前記圧胴110の前記有効面110c上のシートの表面周速を制御することも可能である。
また、前述した第一,第二の実施形態においては、前記版胴130の前記版Pの前記版面Pg,Psdに前記インクジェット装置191により導電インキIcを供給するようにしたが、他の実施形態として、例えば、インキ壺から移しローラ等を介してインキを版胴に供給するインキ装置や、インキ皿からインキを版胴に直接供給するインキ装置や、インキ皿からファニシャローラやインキ出しローラやインキ着けローラ等を介してインキを版胴に間接的に供給するインキ装置等を適用することも可能である。
また、前述した第一,第二の実施形態においては、前記圧胴110の前記有効面110a〜110cに保持されたシートに対して、前記版胴130の前記版Pの前記版面Pg,Psdに供給された導電インキIcを直接的に転写するようにしたが、他の実施形態として、例えば、前記圧胴110及び前記版胴130に対して対接離反移動できるように当該圧胴110と当該版胴130との間にブランケット胴を回転可能に配設することにより、当該版胴130の前記版Pの前記版面Pg,Psdに供給された導電インキIcを当該ブランケット胴に一旦転写してから上記圧胴110の前記有効面110a〜110cに保持されたシートに転写するオフセット方式とすることも可能である。
また、前述した第一,第二の実施形態においては、二つの前記版面Pg,Psdを形成した二倍サイズの前記版Pを保持する前記有効面130aを具備する径サイズ(二倍径)の前記版胴130を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、必要に応じて、例えば、三つの版面を形成した三倍サイズの版を保持する有効面を具備する径サイズ(三倍径)の版胴を適用することも可能である。
また、前述した第一,第二の実施形態においては、前記吸引ポンプ217に接続した前記吸引ヘッド112A〜112Cを前記圧胴110の前記有効面110a〜110cに設けることにより、シートの搬送方向後方側(末端側)を当該有効面110a〜110cに着脱可能に吸引保持するようにしたが、他の実施形態として、例えば、上記吸引ヘッド112A〜112C等に代えて、前記圧胴110の前記有効面110a〜110c上にシリコンゴム等からなるラバーシートを取り付けておくことにより、シートの搬送方向後方側(末端側)を当該有効面110a〜110cに対して着脱可能に密着保持できるようにしても、前述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
また、前述した第一,第二の実施形態においては、三つの前記有効面110a〜110cを有する前記圧胴110を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、三つ以上の奇数個(例えば、五つや七つ)の有効面(保持面)を有する圧胴であれば、前述した実施形態の場合と同様にして適用可能である。しかしながら、前述した実施形態のように、三つの前記有効面110a〜110cを有する前記圧胴110であれば、最も省スペース化を図ることができるので、非常に好ましい。
また、前述した第一,第二の実施形態においては、TFTを製造する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、可撓性を有する基材上に機能性を有する材料を積層して機能層を形成することにより電子デバイスを製造する場合であれば、前述した実施形態の場合と同様にして適用することができる。
また、前述した第一,第二の実施形態においては、転写胴によって機能性インキ(導電インキ,絶縁インキ)をシートに転写する例を示したが、本発明はこれに限らず、インクジェット方式を用いて、インクジェットヘッドから直接シートに機能性インキの転写を行うものであってもよい。この場合、左右位置調整手段と天地位置調整手段はインクジェットヘッドを左右方向、天地方向に移動させるものでもよいし、天地位置調整手段はインクジェットヘッドから機能性インキを転写(射出)するタイミングを変化させるものでもよい。