JP6665633B2 - ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法 - Google Patents

ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表され、かつ、水酸化カドミウム構造の単一結晶相からなるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法に関する。本発明で得られるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、リチウム二次電池の正極材料として適するリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の原料に好適である。
スピネル型構造のリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物は5V級リチウム二次電池用正極活物質として注目されている。リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物はニッケルとマンガンとが規則配列した超格子構造である。この物質の製造方法としては、ニッケル源、マンガン源を混合し焼成する固相反応法やニッケル及びマンガンを含有する複合水酸化物や複合オキシ水酸化物を前駆体とする製造方法がある。ニッケル及びマンガンを含有する複合水酸化物や複合オキシ水酸化物は、金属がより均一に分布しているため、ニッケルとマンガンの規則配列を前提とした場合、好ましい前駆体といえる。
従来、酸化剤を用いた共沈法により得られた、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が開示された(特許文献1)。当該ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、水酸化カドミウム構造の単一結晶相である特徴を有し、大気中で安定であり、共沈、洗浄、乾燥といった一般的な工程でマンガン成分の偏析を生じない優れた前駆体である旨が開示されている。
前記ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を実用化する場合、出来るだけ安価な設備で効率よく製造することが望まれ、反応容器に原料を連続的に供給し、かつ、反応器から製造物を連続的に抜き出す、所謂、連続法が好ましい。
特許文献1に記載された製造方法で連続法を実施した場合、得られたニッケル−マンガン複合物は、水酸化カドミウム構造の単一結晶相のみでなく、他の結晶相との混合物となる場合があり、連続法で安定的に単一結晶相を得るための改良が望まれていた。
WO2015/008863
本発明は、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表され、かつ、水酸化カドミウム構造の単一結晶相であるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を、従来法では困難であった連続法で安定的に製造し得る、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法を提供することを目的とする。
発明者らは、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造方法に関し、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液並びに酸化剤を混合し、温度が60〜80℃で、pHが8.5〜10.0で、かつ、ORPが0.15〜0.21V vs SHEにて、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を晶析することを特徴とする、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表され、かつ、水酸化カドミウム構造の単一結晶相であるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法は、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤を混合することで、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が晶析する。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法では、例えば、一定の容積を持つ反応容器に、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤を混合し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を得、反応容器が一定液面となった時点で供給を止め、一定時間後に生成したニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の全量を一括で抜き出すことが可能である(バッチ法)。
しかし、連続で供給し、生成したニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を連続で抜き出す連続法は、設備コストが安価であるなど、好ましい方法である。
以下、連続法での製造法を例に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤を反応容器に連続で供給し、かつ、混合し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が晶析したニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを得る。該ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーは反応容器から連続で抜き出し、ろ過、水洗、乾燥を行い、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を得る。
目的とするニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物をより得やすくするためには、ニッケルを含む金属塩水溶液と、マンガンを含む金属塩水溶液の供給比率は、ニッケルとマンガンのモル比が、0.25+α:0.75−α(但し、−0.025≦α≦0.025である)とすればよい。
ニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液の供給方法は、特に制限はなく、ニッケル塩を溶解した金属塩水溶液と、マンガン塩を溶解した金属塩水溶液を製造し、各々の金属塩水溶液を一定比率で反応容器に投入することが可能である。この際、各金属塩水溶液は反応容器の個別の場所に投入して良いが、同じ場所に投入することが好ましく、特に好ましくは、反応容器投入前にニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液を混合する。ニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液を混合する方法は、ニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液を混合用の容器に入れ、撹拌機などで撹拌し、均一化すればよく、また、ラインミキサーを用いて混合し均一化することも好ましい。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の別の製造法は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液並びに酸化剤を混合することで、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が晶析する。ニッケル塩とマンガン塩を、ニッケルとマンガンのモル比が0.25+α:0.75−α(但し、−0.025≦α≦0.025である)で溶解したニッケル塩とマンガン塩の混合水溶液を製造し、該ニッケル塩とマンガン塩の混合水溶液を反応容器に供給しても良い。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法は、苛性ソーダ水溶液を反応容器に供給することが必須である。苛性ソーダ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の水溶液があげられる。苛性ソーダ水溶液の濃度に特に制限はないが、得られる本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのスラリー濃度を高く維持して生産効率が良好となり、ろ過工程の負荷が軽減でき、さらに、苛性供給速度の許容誤差を広くでき、安定製造や製造コストが良好となるため、好ましくは、1〜48wt%であり、より好ましくは、10〜30wt%である。苛性ソーダ水溶液は、例えば、固形状水酸化ナトリウムを水溶させたものや食塩電解から生成した水酸化ナトリウム水溶液を濃度調製したもの等を用いることができる。
苛性ソーダ水溶液は、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を晶析し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリー液を得ることが可能であれば、その供給量は特に制限はないが、通常、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリー液のpHが8.5〜10.0になるように供給する。このpH範囲を逸脱すると、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が晶析できない場合がある。好ましくは、pHが8.9〜9.5になるように苛性ソーダ水溶液を供給する。
本発明は、酸化剤を反応容器に供給することが必須である。酸化剤は、前記金属塩水溶液中のNiイオンとMnイオンを酸化するために用いられる。本発明で使用する酸化剤は、NiイオンとMnイオンを酸化できれば、その他の制約は特にない。経済性から、通常、酸素含有ガス、過酸化水素水等が好ましく用いられ、酸素含有ガスとしては、例えば、空気、純酸素、酸素と不活性ガス(例えば、窒素)との混合気等があげられる。これらのうち、特に、空気が好ましい。コンプレッサー等を用いて空気を反応容器に供給すればよい。
本発明で用いられる反応容器は、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液並びに酸化剤が供給でき、これらを均一に混合可能であればよい。混合は、通常、撹拌機を用い一定の回転数で撹拌すればよい。
得られた本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーは連続で抜き出す。抜き出す方法は特に制限はないが、反応容器の液量を一定量に維持するように抜き出すことが好ましい。例えば、液面が一定高さを超えると、液面を超えた液が自重で排出される、所謂、オーバーフロー形式が簡便であり、特に好ましい。勿論、液面を常時計測し、液面が一定になるようにポンプでスラリーを抜き出すことも好ましく適用可能である。
本発明は、ニッケルを含む金属塩水溶液及びマンガンを含む金属塩水溶液、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液を中和すると共に、NiイオンとMnイオンを酸化することで、目的とするニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が製造される。
金属イオンの価数は、水溶液のpHと酸化還元電位(以下、ORPという)で変化するため、所望のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を安定的に晶析するためには、一定温度、一定pH、一定ORPを維持し、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液並びに酸化剤を混合することが必須である。
すなわち、本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法では、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液並びに酸化剤を混合後のスラリー液が、温度が60〜80℃、pHが8.5〜10.0、ORPが0.15〜0.21V vs SHEでニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を晶析することが必須である。この範囲を逸脱すると、目的とするニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が安定して得られない。なお、V vs SHEは、電位を標準水素電極(SHE)基準で示すことを意味する。以下では、簡単のために酸化還元電位の値を単にVで記載する場合もあるが、本願で記載した電位(V)は、全てSHE基準である。
温度は、金属塩水溶液の酸化反応が進みやすく、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の安定連続生産を可能とするため、60〜80℃であり、60℃未満の場合は、酸化反応が進行し難くなり、80℃を超える場合は、加温のエネルギーコストが多大となり、また、反応器の腐食が生じやすい。生産効率の観点から、温度は65〜75℃が好ましい。
pHは、ニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液の供給量と苛性ソーダ水溶液の供給流量の比率により制御可能である。これらの供給量は、本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造量に直結するため、通常、これらの供給量を所望の流量に設定し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのpHが所定の値になるよう、苛性ソーダ水溶液の供給流量を調整する。pHが8.5未満の場合は、α型オキシ水酸化物やスピネル型酸化物の混合相となり、目的のニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物が析出せず、pHが10.0を超える場合は、水酸化カドミウム型構造以外の結晶相となり、微細粒子となりやすく、濾過・洗浄効率が低く、これにより著しく製造効率が低くなる。高い製造効率での製造を可能とするため、pHは9〜9.8が好ましい。
ORPが0.15V vs SHE未満の場合は、酸化が不十分となり、一方、0.21V vs SHEを超える場合は、酸化が過剰となり、何れの場合も本発明のオキシ水酸化物が得られない。ORPは、酸化剤の供給量で制御可能である。ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのORPを計測し、ORPが所定の値になるよう酸化剤の供給量を調整する。ORPは市販のORP計で測定すればよい。
本発明の特に好ましい酸化剤は空気であり、ORPは、酸化剤の供給量で制御可能であるが、発明者らは単に空気の供給量を定めただけでは本発明は成し得ないことを見出した。例えば、反応容器の撹拌する攪拌機の撹拌回転数が変わると、他の条件が同様でもORPが変化し、本発明の効果が発揮されない場合がある。
酸化剤である空気を含め、各原料の供給量が一定でも、撹拌回転数により何故ORPが変化するかは必ずしも明確ではないが、発明者らは次のように考えている。
空気の中の酸素ガスがニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーに溶解し、溶存酸素がNi及びMnを酸化する。一方、酸素ガスの溶存速度は、スラリーへの空気供給量以外に、温度、圧力、気泡表面積、溶存酸素移動速度等に影響を受ける。例えば、撹拌回転数が変化すると、気泡径等が変化するため、酸素溶存速度が変化し、結果、液中の酸素活量変化に伴いORPが変化すると推察している。
何れにせよ、単に一定量の酸化剤を加える従来の方法では、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を安定的に製造できず、本発明が提供する、温度が60〜80℃、pHが8.5〜10.0、ORPが0.15〜0.21V vs SHEでニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を晶析する製造法を用いることで、初めて、目的とするニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を安定的に製造可能となる。
以上の製造方法を適用することで、リチウム二次電池の正極として使用するリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の好適な原料が得られるが、得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を苛性ソーダと接触させることで、SO量が低く、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物に特に好適なニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が製造できる。
他の製造条件は特に制約はなく、従来公知の方法を適宜用いればよく、例えば、以下とすることができる。
本発明で用いるニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液との塩の種類に、特に制限はないが、原料コストや腐食性、安定性を考慮すると、硫酸ニッケル水溶液と硫酸マンガン水溶液を用いることが好ましい。
金属塩水溶液中のニッケル、マンガンの全金属の合計濃度(金属濃度)は任意であるが、金属濃度は生産性に影響を及ぼすため、1.0mol/L以上が好ましく、2.0mol/L以上がさらに好ましい。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造の際には、錯化剤を添加することができる。錯化剤を共存させると、ニッケルイオンの溶解度が増加し、粒子表面が円滑となり球形度が向上する。その結果、タップ密度が向上し易いといった利点がある。錯化剤としては、例えば、アミノ酸、アンモニウム塩、アンモニア等が例示される。アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、リシン等が例示され、グリシンが特に好ましい。アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等が例示され、硫酸アンモニウムが特に好ましい。アンモニアとしては、例えば、アンモニア水が例示される。
ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を乾燥し、水分を除去する。乾燥方法としては、例えば、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を110〜150℃で2〜15時間で乾燥すること等が挙げられる。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表され、かつ、水酸化カドミウム構造の単一結晶相である。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の原料に好適である。該リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物は、リチウム二次電池の正極材料に使用し得ることが知られている。
本発明の製造法で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を原料として、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物を製造する方法は特に制限はなく、リチウム源としてリチウム及びリチウム化合物の少なくとも1種を、本発明の製造法で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物と混合し、次いで、焼成すればよい。
リチウム化合物は任意のものを用いることができ、水酸化リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、シュウ酸リチウム及びアルキルリチウムの群から選ばれる1種以上が例示できる。好ましいリチウム化合物として、水酸化リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウムが例示できる。
焼成は、500〜1000℃で、空気中、酸素中など各種の雰囲気で行えばよい。
化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表され、かつ、水酸化カドミウム構造の単一結晶相であるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を、従来法では困難であった連続法で安定的に製造し得る。
本発明が提供するニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法で製造されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、リチウム二次電池の正極として使用するリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の原料に、好適に用いられる。
実施例1のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンである。 実施例2のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンである。 実施例3のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンである。 実施例4のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンである。 比較例1のニッケル−マンガン複合物のXRDパターンである。 比較例2のニッケル−マンガン複合物のXRDパターンである。 比較例3のニッケル−マンガン複合物のXRDパターンである。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
<ORPの測定>
ORPデジタルコントローラー(NOR−680D、株式会社日伸理化製)を用いてORPを測定した。
<粉末X線回折測定>
X線回折装置(試料水平型多目的X線回折装置、商品名:UltimaIV、Rigaku製)を使用し、試料の粉末X線回折測定を行った。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定モードはステップスキャン、スキャン条件は毎秒0.04°、計測時間は8秒、及び、測定範囲は2θとして5〜90°の範囲で測定した。
<結晶相の同定>
上記の条件のXRD測定で得られたXRDパターンにおいて、2θ=19.0±0.5°にシャープなピークを有し、36.9±1.5°にブロードなXRDピークを有することをもって、水酸化カドミウム構造であるとした。最低角以外のピーク形状がブロードであるのは積層欠陥の影響である。
<化学組成の測定>
ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物中の化学組成の測定は、塩酸、過酸化水素の混合溶液に溶解させ、ニッケルはニッケル濃度計(Ni−5Z、笠原理化工業株式会社製)により定量を行い、マンガンは電位差自動滴定装置(AT−610、京都電子工業株式会社製)により定量を行うことで、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物中のNiとMnの比率を算出した。
実施例1
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、0.5mol/Lの硫酸ニッケル及び1.5mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(ニッケルとマンガンのモル比(Ni:Mn)=0.25:0.75で、金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった)。
グリシンを純水に溶解し、0.23mol/Lのグリシン水溶液を得た。
内容積10Lの反応容器に純水をオーバーフローレベルまで投入後、撹拌機で撹拌回転数800rpmにて撹拌しながら70℃まで昇温、維持した。なお、当該反応容器は液量6Lを超えるとオーバーフローにより液が排出される構造である。
前記金属塩水溶液、前記グリシン水溶液を反応容器に添加した。また、酸化剤として空気を供給速度1.2NL/minで反応容器中にバブリングした。金属塩水溶液及び空気供給の際、pHが9.0となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造し、オーバーフロー方式で連続的に反応容器から排出した。
この時の供給速度は、金属塩水溶液が0.36L/H、グリシン水溶液が0.16L/Hで、水酸化ナトリウム水溶液は平均0.24L/Hであり、平均滞在時間(反応容器液体積/供給速度合計)=8Hであった。また、供給したニッケルとグリシンのモル比は、グリシン/Ni=0.20mol/molであった。
反応装置内のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのORPは、反応開始直後は0.22Vを示したが、経時的に低下し、反応開始から4時間でほぼ一定となり、以降は0.19Vで安定に推移した。
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを分取し、ろ過、洗浄後、115℃で5時間乾燥し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物(Ni0.25Mn0.75OOH)を得た。
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有することから、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造の単一結晶相であった。
実施例2
前記金属塩水溶液を反応容器に添加し、同時に、酸化剤として空気を供給速度1.8NL/minで反応容器中にバブリングした。金属塩水溶液及び空気供給の際、pHが9.25となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造し、オーバーフロー方式で連続的に反応容器から排出した。
この時の供給速度は、金属塩水溶液が0.45L/H、水酸化ナトリウム水溶液は平均0.29L/Hであり、平均滞在時間=8Hであった。なお、グリシン水溶液は供給しなかった。
上記以外は、実施例1と同様に実施した。
反応装置内のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのORPは、反応開始直後は0.23Vを示したが、経時的に低下し、反応開始から4時間でほぼ一定となり、以降は0.20Vで安定に推移した。
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを分取し、ろ過、洗浄し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の湿潤ケークを得た。
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の湿潤ケークを、115℃で5時間乾燥し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物(Ni0.25Mn0.75OOH)を得た。
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有することから、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造の単一結晶相であった。
実施例3
pHが9.5となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加した以外は実施例2と同様に、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造した。
反応装置内のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのORPは、反応開始から4時間以降、0.18Vで安定に推移した。
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを分取し、ろ過、洗浄、乾燥し得たニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有することから、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造の単一結晶相であった。
実施例4
pHが9.75となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加した以外は実施例2と同様に、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造した。
反応装置内のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのORPは、反応開始から4時間以降、0.17Vで安定に推移した。
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを分取し、ろ過、洗浄、乾燥し得たニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有することから、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造の単一結晶相であった。
比較例1
製造開始から72時間経過後に、空気供給速度を13.0NL/minに変更した以外は実施例1と同様の操作により、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造した。
空気供給速度変更後、ORPが上昇し、0.22Vとなった。空気供給速度変更から24時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合物スラリーを分取し、ろ過、洗浄、乾燥し得たニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有する積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造と、水酸化カドミウム構造と異なる構造をもつニッケル−マンガン複合物との混合物であった。
比較例2
製造開始から72時間経過後に、撹拌回転数を400rpmに低下させた以外は実施例1と同様の操作により、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造した。
撹拌回転数低下後にORPが低下し、0.12Vとなった。撹拌回転数低下から24時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合物スラリーを分取し、ろ過、洗浄、乾燥し得たニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有する積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造と、水酸化カドミウム構造と異なる構造をもつニッケル−マンガン複合物との混合物であった。
比較例3
pHを8.3とした以外は実施例1と同様にニッケル−マンガン複合物を得た。
この時のORPは0.16Vであった。
得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークが無く、水酸化カドミウム構造と異なるニッケル−マンガン複合物であった。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、リチウム二次電池の正極活物質などに用いられるリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の原料に最適であり、そのリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物を電池用正極として使用した高性能なリチウム二次電池を構成することが可能となる。

Claims (2)

  1. ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液並びに酸化剤を混合し、温度が60〜80℃で、pHが8.5〜10.0で、かつ、ORPが0.15〜0.20V vs SHEにて、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を晶析することを特徴とする、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表され、かつ、水酸化カドミウム構造の単一結晶相であるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法。
  2. ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性ソーダ水溶液、酸化剤を反応容器に連続で供給し、かつ、得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を反応容器から連続で抜き出すことを特徴とする請求項1に記載のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造法。
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