JP2019006616A - ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法及び正極活物質の製造方法 - Google Patents

ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法及び正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の粒径の水酸化物粒子を安定して製造することが可能なニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法を提供する。【解決手段】下記組成式で表される水酸化物粒子の製造方法であって、ニッケル塩又はコバルト塩を含む水溶液、水酸化ナトリウムを含有し、且つ、原子濃度比でNa/Alが20以下であるアルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液を夫々個別に反応槽に供給して反応させる工程を含むニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法。Ni1-x-yCoxMyAlz(OH)2+α(0.05<x<0.20;0≦y<0.10;0<z<0.05;0≦α≦1;MはMn又はZr)【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法及び正極活物質の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池の正極活物質には、一般にリチウム含有遷移金属複合酸化物が用いられている。具体的には、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、リチウムコバルト複合酸化物とともにリチウムニッケル複合酸化物等が挙げられ、特性改善(高容量化、サイクル特性、保存特性、内部抵抗低減、レート特性)や安全性を高めるためにこれらを複合化することが進められている。
リチウムイオン二次電池の正極活物質は、通常、リチウム化合物と遷移金属化合物を混合焼成して製造されている。しかしながら、純粋な遷移金属化合物から合成した純粋なリチウム遷移金属複合酸化物では、安全性、サイクル特性等に問題があり、実用電池として使用することが困難であった。
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、次の一般式(1):
Ni(1-x-y)xAly(OH)2 (1)
(式中、Mは、Co又はMnから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは、0.01〜0.2、及び、yは、0.01〜0.15である。)
で表されるアルミニウム含有水酸化ニッケル粒子を製造する方法であって、NiとM元素を含む金属化合物の水溶液、アルミン酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液を、それぞれ同一の反応槽内に個別にかつ同時に供給して反応させることを特徴とするアルミニウム含有水酸化ニッケル粒子の製造方法が開示されている。そして、このような構成によれば、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、リチウムイオン電池正極材料の原料として好適な高密度の球状のアルミニウム含有水酸化ニッケル粒子とその工業的に効率的な製造方法を提供することができると記載されている。
特許第4826147号公報
しかしながら、特許文献1では、ニッケルとM元素を含む金属化合物の水溶液とは個別に、アルミニウム源としてアルミン酸ナトリウム水溶液を用いているが、このアルミン酸ナトリウム水溶液は、徐々に大気中の二酸化炭素と反応して水酸化アルミニウムを析出してしまうため、水溶液の濃度変化及び反応液の供給ポンプの詰まりなどが生じる。また、アルミン酸ナトリウムに置き換えて、硫酸アルミニウムや硝酸アルミニウムを用いることが考えられるが、ニッケルとM元素に加えてアルミニウムを含む金属塩の混合水溶液では、混合水溶液内で水酸化アルミニウムの微粒子が析出してしまうため、反応を行っても小さな粒子しか得られないという問題があった。
このような問題を鑑みて、本発明は、所定の粒径の水酸化物粒子を安定して、すなわち長時間経過しても水溶液の濃度変化及び反応液の供給ポンプの詰まりをさせずに製造することが可能なニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は一側面において、組成式がNi1-x-yCoxyAlz(OH)2+α
(式中、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはMnまたはZrである。)で表される水酸化物粒子の製造方法であって、ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、水酸化ナトリウムを含有し、且つ、原子濃度比でNa/Al≦20であるアルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させる工程を含むニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法である。
本発明は別の一側面において、組成式がNi1-x-yCoxyAlz(OH)2+α
(式中、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはMnまたはZrである。)で表される水酸化物粒子の製造方法であって、ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、不活性ガスをバブリングしたアルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させる工程を含むニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法である。
本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法は一実施形態において、前記不活性ガスのバブリング量が、前記反応槽の液量1Lあたり毎分1mL〜100mLである。
本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法は別の一実施形態において、前記アルミン酸ナトリウム水溶液は、原子濃度比でNa/Alが1.0以上10以下である。
本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法は更に別の一実施形態において、前記不活性ガスが、窒素ガスまたはアルゴンガスである。
本発明は更に別の一側面において、本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法で製造された水酸化物粒子を前駆体として、Li源と混合した後、焼成する工程を有する正極活物質の製造方法である。
本発明によれば、所定の粒径の水酸化物粒子を安定して製造することが可能なニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るアルミン酸ナトリウム水溶液のバブリング方法を示す模式図である。
(本発明の水酸化物粒子の製造方法)
本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法は、組成式がNi1-x-yCoxyAlz(OH)2+α
(式中、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはMnまたはZrである。)で表されるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法である。
本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法は、一側面において、ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、水酸化ナトリウムを含有し、且つ、原子濃度比でNa/Al≦20であるアルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させる工程を含む。
ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液としては、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物等を用いることができる。マンガンやジルコニウムについても、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物等を用いることができる。マンガン及び/又はジルコニウムを添加する場合には、マンガン塩及び/又はジルコニウム塩が、前記ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液の中に含まれた状態であってもよい。あるいは、マンガン塩及び/又はジルコニウム塩が、別の溶液として、反応槽に供給されてもよい。
また、アルミン酸ナトリウム水溶液は、水酸化ナトリウムを含有することができる。
なお、当該アルミン酸ナトリウム水溶液に対しては、さらに、後述の本発明の別の一側面で示されるような不活性ガスのバブリングを行ってもよい。あるいは、不活性ガスのバブリングを行わなくてもよい。ここで、バブリング処理の効果は、特にはアルミン酸ナトリウム水溶液のNa/Alが10以下の組成に対して顕著になり、Na/Alが1以下の場合であっても、アルミニウム成分が水酸化アルミニウムとして析出物を形成することを抑制することができる。
アルカリ金属水酸化物水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。アルカリ金属水酸化物水溶液は、反応槽内のpHをアルカリ性にし、酸性の硫酸Niや硫酸Coや硫酸Alなどを水酸化物として析出させるために使用する。なお、上記アルカリ金属水酸化物水溶液は、アルミン酸ナトリウムを含有しないという意味で、上述した、水酸化ナトリウムを含有するアルミン酸ナトリウム水溶液とは、区別される。
アンモニウムイオンを含む水溶液としては、アンモニア水、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の水溶液を用いることができる。
これらのアルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させることで、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を製造する。
従来、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を作製する際、アルミニウム源としてアルミン酸ナトリウムが用いられていた。しかしながら、アルミン酸ナトリウムは大気中の二酸化炭素と反応し、徐々にアルミニウム源となる水溶液中で水酸化アルミニウムを生じる。そのため、水溶液中のアルミニウムイオン濃度の低下による組成ずれや析出によるポンプの詰まり等の問題が生じていた。また、このような水酸化アルミニウムが存在する水溶液を反応槽に添加すると、その微粒子が核となり多くの共沈水酸化物が生じる。これらが増加すると粒子一つ一つの成長量が少なくなるため、結果として得られる粒子が小さくなってしまう。これに対し、本発明は一側面において、アルミン酸ナトリウム水溶液が水酸化ナトリウムを含有することで、水酸化アルミニウムの析出を抑制することができる。また、ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、アルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ個別に同じ反応槽に供給してニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物を生成する反応を行う。これにより、アルミニウム源となる水溶液中ではなく、反応槽内で水酸化アルミニウムが生成するため、粒子の核になる反応と、反応槽内に存在する粒子の外周部に析出して粒子を成長させる反応が起こる。このように、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物の成長阻害要因が無くなり、安定してニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物を成長させることができる。この結果、所定の粒径、例えば平均粒径(D50)が10〜25μmであるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を安定して、すなわち長時間経過しても水溶液の濃度変化及び反応液の供給ポンプの詰まりをさせずに製造することが可能となる。
アルミン酸ナトリウム水溶液は、原子濃度比でNa/Al≦20に制御されている。アルミン酸ナトリウム水溶液が原子濃度比でNa/Al=20超であると、アルミン酸ナトリウムの溶解度を超えてしまう。下限値については、特に規定されないが、0.5以上であってもよい。例えば、バブリングを行う場合においては、特にNa/Alの値が低くても(例えば、上述したように10以下であっても、あるいは1以下であっても)、十分に発明の効果を得ることができる。また、市販されているアルミン酸ナトリウムの試薬を考慮すると、典型的には、1.4以上であってもよい。一方で、バブリング等を行わない場合には、アルミン酸ナトリウム水溶液は、原子濃度比でNa/Al=10〜20であるのが好ましく、10〜12であるのがより好ましい。
反応槽の反応液のpHは9.0〜13.0であることが好ましく、10.5〜12.0であることがより好ましい。また、反応槽の反応液の温度は30〜70℃であることが好ましく、45〜55℃であることがより好ましい。
本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法は、別の一側面において、ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、不活性ガスをバブリングしたアルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させる工程を含む。
アルミン酸ナトリウム水溶液は、不活性ガスがバブリングされている。このように反応前に不活性ガスをバブリングしておくことで、アルミン酸ナトリウム水溶液中の二酸化炭素濃度を低下させておくことができ、これによって水酸化アルミニウムの析出を抑制することができる。また、特に、二酸化炭素濃度を10ppm以下に抑制できれば、水酸化アルミニウムの析出をより良好に防ぐことができる。
アルミン酸ナトリウム水溶液タンク内への不活性ガスの導入方法は、図1のように行うことで容易に達成することができる。不活性ガスはアルミン酸ナトリウムの液中にタンクの下部から導入することが好ましく、タンクの底に接触しているノズルから導入することがより好ましい。流量は流量計などで制御し、タンクの液量1Lあたり毎分1mLから100mL導入するのが好ましい。使用する不活性ガスは二酸化炭素濃度が1ppm以下であり、アルミン酸ナトリウム水溶液と反応しないものであれば特に限定されるものではないが、窒素ガスまたはアルゴンガスを用いるとコスト面から好ましい。タンクは内部でのアルミン酸ナトリウム水溶液と気体との接触面積が小さければどのようなものでも良いが、タンクの高さを直径で割った値が1を超えるものが好ましく、2を超えるものがより好ましい。排気は大気中の二酸化炭素が混入しないように自然排気を行ってもよく、必要に応じてファンなどを用いて強制的に排気してもよい。
アルミン酸ナトリウム水溶液は、原子濃度比でNa/Al≦20に制御されているのが好ましい。アルミン酸ナトリウム水溶液が原子濃度比でNa/Al=20超であると、アルミン酸ナトリウムの溶解度を超えてしまう。下限値については、特に規定されないが、0.5以上であってもよい。例えば、バブリングを行う場合においては、特にNa/Alの値が低くても(例えば、上述したように10以下であっても、あるいは1以下であっても)、十分に発明の効果を得ることができる。また、市販されているアルミン酸ナトリウムの試薬を考慮すると、典型的には、1.4以上であってもよい。
ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液としては、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物等を用いることができる。マンガンやジルコニウムについても、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物等を用いることができる。マンガン及び/又はジルコニウムを添加する場合には、マンガン塩及び/又はジルコニウム塩が、前記ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液の中に含まれた状態であってもよい。あるいは、マンガン塩及び/又はジルコニウム塩が、別の溶液として、反応槽に供給されてもよい。
アルカリ金属水酸化物水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。アルカリ金属水酸化物水溶液は、反応槽内のpHをアルカリ性にし、酸性の硫酸Niや硫酸Coや硫酸Alなどを水酸化物として析出させるために使用する。
アンモニウムイオンを含む水溶液としては、アンモニア水、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の水溶液を用いることができる。
これらのニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、不活性ガスをバブリングしたアルミン酸ナトリウム水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、アンモニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させることで、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を製造する。これにより、アルミニウム源となる水溶液中ではなく、反応槽内で水酸化アルミニウムが生成するため、粒子の核になる反応と、反応槽内に存在する粒子の外周部に析出して粒子を成長させる反応が起こる。このように、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物の成長阻害要因が無くなり、安定してニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物を成長させることができる。この結果、所定の粒径、例えば平均粒径(D50)が10〜25μmであるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を安定して、すなわち長時間経過しても水溶液の濃度変化及び反応液の供給ポンプの詰まりをさせずに製造することが可能となる。
反応槽の反応液のpHは9.0〜13.0であることが好ましく、10.5〜12.0であることがより好ましい。また、反応槽の反応液の温度は30〜70℃であることが好ましく、45〜55℃であることがより好ましい。
(リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法)
次に、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法について詳細に説明する。
まず、上述の製造方法によって作製した本発明のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を前駆体として、当該前駆体とリチウム源(例えば、水酸化リチウム等)とを混合した後、焼成する。当該混合条件は、例えばリチウム源からのLiとニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子からの金属Me(Ni+Co+Al)とが、組成比でLi/Me(Ni+Co+Al)=1.00〜1.05となるように混合する。また、焼成条件は、例えば、450〜520℃で2〜15時間焼成した後、さらに700〜800℃で2〜15時間焼成することができる。
次に、焼成した粉(焼成粉)を、必要であれば、ロールミル、パルべライザー等を用いて解砕し、所定の平均粒子径を有する正極活物質を得る。
このようにして作製された正極活物質は、特に限定されないが、例えば、以下の組成式で示すことができる。
LimNi1-x-yCoxyAlz(O)2+α(式中、0.95≦m≦1.05、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはMn又はZrである。)
リチウムイオン二次電池用正極は、例えば、上述のリチウムイオン二次電池用正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを混合して調製した正極合剤をアルミニウム箔等からなる集電体の片面または両面に設けた構造を有している。正極中には、さらにジ(ビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ))チタンなどを添加することもできる。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、このような構成のリチウムイオン二次電池用正極と、負極と、電解液とを備えている。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を提供するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
(実施例1)
以下の溶液を調製した:
・Ni:Coのモル比が82:15であって金属イオン濃度が1.5mol/Lの硫酸ニッケルおよび硫酸コバルトの混合水溶液、
・水酸化ナトリウムを添加し、アルミニウムイオン濃度が0.5mol/Lであり、且つナトリウムイオン濃度が7.5mol/Lであるアルミン酸ナトリウム水溶液、
・アンモニウムイオン濃度が4mol/Lのアンモニア水、および
・20wt%の水酸化ナトリウム水溶液
この時アルミン酸ナトリウム水溶液の原子濃度比Na/Alは15であった。
次に、オーバーフロー口までの容量が10Lである反応槽に10Lの水を張り、反応槽内の温度を50℃に制御しつつ撹拌を行った。これに上記ニッケルおよびコバルトの混合硫酸塩水溶液を0.74L/h、アルミン酸ナトリウム水溶液を0.07L/h、アンモニア水を0.3L/hで供給しつつ、pH11.3となるように水酸化ナトリウム水溶液を供給した。また、適宜、各槽内の溶液重量を測定し流量を調節した。
次に、反応開始から48時間以降にオーバーフローしてきた試料を回収し、濾過および水洗を行い、120℃で一晩乾燥させたところ、組成式がNi1-xCoxAlz(OH)2+α
(式中、0.05<x<0.20、0<z<0.05、0≦α≦1である。)で表されるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子が得られた。
(実施例2)
以下の溶液を調製した:
・Ni:Coのモル比が82:15であって金属イオン濃度が1.5mol/Lの硫酸ニッケルおよび硫酸コバルトの混合水溶液、
・アルミニウムイオン濃度が0.5mol/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液、
・アンモニウムイオン濃度が4mol/Lのアンモニア水、および
・20wt%の水酸化ナトリウム水溶液
この時アルミン酸ナトリウム水溶液の原子濃度比Na/Alは1.4であった。
次に、オーバーフロー口までの容量が10Lである反応槽に10Lの水を張り、反応槽内の温度を50℃に制御しつつ撹拌を行った。これに上記ニッケルおよびコバルトの混合硫酸塩水溶液を0.74L/h、アルミン酸ナトリウム水溶液を0.07L/h、アンモニア水を0.3L/hで供給しつつ、pH11.3となるように水酸化ナトリウム水溶液を供給した。このとき、アルミン酸ナトリウム水溶液のタンク内には窒素ガスをタンクの下部から33.3mL/分(反応槽の液量1Lあたり3.33mL/分)でバブリングした。また、適宜、各槽内の溶液重量を測定し流量を調節した。
次に、反応開始から48時間以降にオーバーフローしてきた試料を回収し、濾過および水洗を行い、120℃で一晩乾燥させたところ、組成式がNi1-xCoxAlz(OH)2+α
(式中、0.05<x<0.20、0<z<0.05、0≦α≦1である。)で表されるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子が得られた。
(実施例3)
以下の溶液を調製した。
・Ni:Co:Mnのモル比が70:18:7であって金属イオン濃度が1.5mol/Lの硫酸マンガン、硫酸ニッケルおよび硫酸コバルトの混合水溶液、
・アルミニウムイオン濃度が0.5mol/Lかつナトリウムイオン濃度が5.0mol/Lであり、Na/Al=10である水酸化ナトリウムを添加したアルミン酸ナトリウム水溶液、
・アンモニウムイオン濃度が4mol/Lのアンモニア水、および
・20wt%の水酸化ナトリウム水溶液
次に、オーバーフロー口までの容量が10Lである反応槽に10Lの水を張り、反応槽内の温度を50℃に制御しつつ撹拌を行った。これに上記マンガン、ニッケルおよびコバルトの混合硫酸塩水溶液を0.74L/h、アルミン酸ナトリウム水溶液を0.12L/h、アンモニア水を0.3L/hで供給しつつ、pH11.3となるように水酸化ナトリウム水溶液を供給した。このとき、適宜、各槽内の溶液重量を測定し流量を調節した。なお、アルミン酸ナトリウム水溶液については、実施例2とは異なりバブリングは行わなかった。
次に、反応開始から48時間以降にオーバーフローしてきた試料を回収し、濾過および水洗を行い、120℃で一晩乾燥させたところ、組成式がNi1-x-yCoxyAlz(OH)2+α
(式中、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはMnである。)で表されるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子が得られた。
(実施例4)
以下の溶液を調製した。
・Ni:Coのモル比が90:7であって金属イオン濃度が1.5mol/Lの硫酸ニッケルおよび硫酸コバルトの混合水溶液、
・アルミニウムイオン濃度が0.5mol/Lかつナトリウムイオン濃度が5.0mol/Lであり、Na/Al=10である水酸化ナトリウムを添加したアルミン酸ナトリウム水溶液、
・ジルコニウムイオン濃度が0.1mol/Lの硫酸ジルコニウム水溶液、
・アンモニウムイオン濃度が4mol/Lのアンモニア水、および
・20wt%の水酸化ナトリウム水溶液
次に、オーバーフロー口までの容量が10Lである反応槽に10Lの水を張り、反応槽内の温度を50℃に制御しつつ撹拌を行った。これに上記ニッケルおよびコバルトの混合硫酸塩水溶液を0.74L/h、アルミン酸ナトリウム水溶液を0.07L/h、硫酸ジルコニウム水溶液を0.07L/h、アンモニア水を0.3L/hで供給しつつ、pH11.3となるように水酸化ナトリウム水溶液を供給した。このとき、アルミン酸ナトリウム水溶液のタンク内には窒素ガスを2L/hでバブリングした。また、適宜、各槽内の溶液重量を測定し流量を調節した。
次に、反応開始から48時間以降にオーバーフローしてきた試料を回収し、濾過および水洗を行い、120℃で一晩乾燥させたところ、組成式がNi1-x-yCoxyAlz(OH)2+α
(式中、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはZrである。)で表されるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子が得られた。
(比較例1)
アルミン酸ナトリウム水溶液に水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同じ条件としてニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を得た。
(比較例2)
実施例1のアルミン酸ナトリウム水溶液中のナトリウムイオン濃度を12.5mol/Lとし、Na/Al=25としたこと、および、反応開始から240時間以降にオーバーフローしてきた試料を回収し、濾過および水洗を行い、120℃で一晩乾燥させた以外は実施例1と同じ条件としてニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を得た。
<水酸化物粒子の分析>
実施例及び比較例によって得られたニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の金属元素の組成比(モル比)を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)で測定した。
<水酸化物粒子の平均粒径(D50)>
実施例及び比較例によって得られたニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の平均粒径(D50)を、レーザー回折式粒子径分布測定によって測定した。
実施例及び比較例の試験条件及び得られたニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の金属元素の組成および粒径を表1に示す。
実施例1〜4はいずれも所望の粒径のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を安定して製造することができた。具体的には、実施例1〜4はいずれも所望の粒径のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子を、試験開始から30日以上経過しても、アルミン酸ナトリウム水溶液に析出は見られず、水溶液の濃度変化及び反応液の供給ポンプの詰まりが生じなかった。
比較例1は、試験開始から10日後にアルミン酸ナトリウム水溶液槽内に大量の沈殿が生じるとともに、ポンプおよびチューブにも結晶が析出し、ポンプが停止した。
比較例2は、試験開始から20日後からアルミン酸ナトリウム水溶液表面にアルミン酸ナトリウムの析出が生じ、水酸化物前駆体中のAl濃度が減少した。

Claims (6)

  1. 組成式がNi1-x-yCoxyAlz(OH)2+α
    (式中、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはMnまたはZrである。)
    で表される水酸化物粒子の製造方法であって、
    ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、
    水酸化ナトリウムを含有し、且つ、原子濃度比でNa/Al≦20であるアルミン酸ナトリウム水溶液、
    アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、
    アンモニウムイオンを含む水溶液
    をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させる工程を含むニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法。
  2. 組成式がNi1-x-yCoxyAlz(OH)2+α
    (式中、0.05<x<0.20、0≦y<0.10、0<z<0.05、0≦α≦1、MはMnまたはZrである。)
    で表される水酸化物粒子の製造方法であって、
    ニッケル塩またはコバルト塩を含む水溶液、
    不活性ガスをバブリングしたアルミン酸ナトリウム水溶液、
    アルカリ金属水酸化物水溶液、及び、
    アンモニウムイオンを含む水溶液
    をそれぞれ個別に反応槽に供給して反応させる工程を含むニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記不活性ガスのバブリング量が、前記反応槽の液量1Lあたり毎分1mL〜100mLである請求項2に記載のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記アルミン酸ナトリウム水溶液は、原子濃度比でNa/Alが1.0以上10以下である請求項2または3に記載のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法。
  5. 前記不活性ガスが、窒素ガスまたはアルゴンガスである請求項2〜4のいずれか一項に記載のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子の製造方法で製造された水酸化物粒子を前駆体として、Li源と混合した後、焼成する工程を有する正極活物質の製造方法。
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