JP6664161B2 - 遠隔監視操作装置を備えた現場吹付け型発泡機 - Google Patents

遠隔監視操作装置を備えた現場吹付け型発泡機 Download PDF

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Description

本発明は、被着体に発泡材層を形成するために、少なくとも二種の液体を混合して被着体に吹き付ける現場吹付け型発泡機に関する。
現場吹付け型発泡機としては、例えば特許文献1に記載されているような、原料であるイソシアネート及びポリオールをそれぞれポンプで圧送し、イソシアネートとポリオールを撹拌混合しながら、建築物の壁面等に向けて吹き付けてポリウレタンフォームを形成する装置が知られている。現場吹付け型発泡機を使用する際には、原料を貯留するタンクやポンプを搭載する発泡機のフレームから高圧ホースを施工現場まで延ばし、高圧ホースの先端に取り付けたスプレーガンで加圧された二液を混合して噴射する。
特開2014−162146号公報
原料が貯留されたタンクもポンプも比較的重量物であるため、それらタンクやポンプを搭載した発泡機のフレームを、吹付け場所に近接して配置することができない場合が多い。特に建築物の二階以上に施工場所があると、そこに運び込むことが難しくなる。そのため、現場吹付け型発泡機は、十分長い、例えば50m程度のスプレーガン付きの高圧ホースを利用できるようになっている。
ところで、現場吹付け型発泡機によるポリウレタンフォームの形成は、原料であるイソシアネート及びポリオールの温度、並びに吹き付ける対象物の温度に大きく影響を受ける。ポリオール及びイソシアネートの粘度が低すぎる場合、高すぎる場合、またはポリオールとイソシアネートとの粘度に差がある場合には、衝突混合がうまくいかず、吹き付けにより形成されるポリウレタンフォームが均一な厚みにならない。また、対象物の温度が低すぎる場合は、発泡せずに密度の高いポリウレタンフォームが形成されるか、あるいは対象物へ接着しないことがある。さらに、原料液体の吐出量は施工場所の地上からの高さの影響を受ける。つまり施工場所が、発泡機の原料タンクの設置場所より高い位置にあるほど、ポンプの吐出圧力を高くするする必要がある。
しかしながら、従来使用されている、例えば特許文献1に記載されているような現場吹付け型発泡機では、制御装置が発泡機のフレームにあるいはその近くに配置されているので、ポリウレタンフォームが適正に形成されない場合は、施工者は数十メートル離れた制御装置の元に行きヒーターの温度、ポンプの吐出量、及び吐出圧力等を調節し、施工場所に戻ってまた吹き付けて様子を確認するという作業を場合によっては複数回繰り返す必要があった。
本発明は、上述した従来技術の課題を鑑みて、遠隔制御が可能な現場吹付け型発泡機を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明は、被着体に発泡材層を形成するために、少なくとも二種の液体を混合して被着体に吹き付ける現場吹付け型発泡機であって、主剤としての第1の液体を圧送する第1供給系統と、硬化剤としての第2の液体を圧送する第2供給系統と、第1及び第2の液体を加熱する加熱装置と、第1及び第2供給系統の端部に結合されて、第1の液体と第2の液体とを混合して噴射するスプレーガンと、第1及び第2の液体の状態の制御、及び該現場吹付け型発泡機の始動と停止の操作が可能であるように構成された制御装置と、第1及び第2の液体の状態の監視、第1及び第2の液体の状態を制御するための制御目標値の設定、及び該現場吹付け型発泡機の始動と停止の遠隔操作が可能であるように構成された遠隔監視操作装置と、を具備し、制御装置と遠隔監視操作装置は、それらの間の双方向通信が可能である、現場吹付け型発泡機を提供する。
本発明では、第1供給系統が、第1の液体を圧送する第1ポンプを有し、第2供給系統が、第2の液体を圧送する第2ポンプを有し、遠隔監視操作装置は、第1及び第2の液体の圧力又は流量、並びに温度を監視するとともに、第1及び第2の液体の圧力又は流量、並びに温度の制御目標値を設定することができ、制御装置は、設定された制御目標値に基づいて、第1及び第2ポンプ並びに加熱装置の作動を制御することができる。
前記現場吹付け型発泡機は、発泡剤としての第3の液体を圧送する第3供給系統であって、第1供給系統に合流する第3供給系統を更に具備してよく、第3供給系統は、第3の液体を圧送する第3ポンプと開閉弁とを有し、遠隔監視操作装置は、第3の液体の圧力又は流量を監視するとともに、第3の液体の圧力又は流量の制御目標値を設定することが更にでき、制御装置は、設定された制御目標値に基づいて第3ポンプ及び開閉弁の作動も制御することができる。
本発明では、制御装置は、第3供給系統内の第3の液体の圧力が合流箇所における第1供給系統の第1の液体の圧力よりも高いときに、開閉弁を開弁するように、開閉弁を制御できる。
本発明では、遠隔監視操作装置は、第3供給系統の開閉弁の開弁時間を設定することができる。
本発明では、第1供給系統が、第1の液体を貯留する第1タンクと、第1タンクから第1の液体を汲み上げる第1汲上ポンプとを更に有し、第2供給系統が、第2の液体を貯留する第2タンクと、第2タンクから第2の液体を汲み上げる第2汲上ポンプとを更に有し、遠隔監視操作装置は、制御装置を介して、第1及び第2汲上ポンプの作動を制御することが可能である。
本発明では、双方向通信は無線通信によって行われてよい。
本発明では、無線通信は無線LANであってよい。
本発明では、制御装置と遠隔監視操作装置とが、中継器を介して無線接続されてよい。
本発明では、遠隔監視操作装置は、制御情報を入力するための制御アプリケーションを所定のウェブサイトからダウンロードすることにより取得できる携帯型情報端末であってよい。
本発明によると、施工者は、制御装置と双方向通信をする遠隔監視操作装置を使って、第1及び第2の液体の状態を吹き付け場所において容易に調節することができるので、原料液体の温度あるいは圧力に対する変動要因が大きい場合であっても、そのような調節に要する時間を短縮することが可能になり、ひいては生成される発泡材の品質のばらつきを抑えることが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る現場吹付け型発泡機の構成を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る現場吹付け型発泡機の構成を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る現場吹付け型発泡機における発泡剤の制御された添加を説明するタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面に示す実施例を参照して説明するが、本発明が本実施形態に限定されないことは言うまでもない。
これより、図1を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る現場吹付け型発泡機について説明する。第1の実施形態に係る現場吹付け型発泡機1(以下、「発泡機1」と略称される)は、主剤であるポリオールと、硬化剤であるイソシアネートとを混合撹拌して、被着体に吹き付けて、ポリウレタンフォームを被着体に生成する移動式の発泡機である。
本実施形態による発泡機1は、液体のポリオールを供給する第1供給系統10と、液体のイソシアネートを供給する第2供給系統20と、イソシアネート及びポリオールを加熱する加熱装置と、手持ち式のスプレーガン9と、制御装置33と、前記制御装置33との間で双方向通信を行う遠隔監視操作装置35と、後述するタンクやポンプ並びに制御装置33等を搭載する発泡機フレーム(図示せず)を具備する。制御装置33と遠隔監視操作装置35との間の双方向通信は、本実施形態では無線により行われる。
第1供給系統10は、ポリオールを収容する、上流端に配置されたポリオールタンク3と、ポリオールタンク3からポリオールを汲み上げるためにポリオールタンク3に固定された第1汲上ポンプ4と、第1汲上ポンプ4が汲み上げたポリオールをスプレーガン9に向けて圧送する第1ポンプ7と、第1ポンプ7の吐出圧力を測定する第1圧力計8と、それら構成要素を接続する第1管路5を備える。第1タンク3及び第1ポンプ7は発泡機フレーム(図示せず)に搭載されて固定されている。
第2供給系統20は、イソシアネートを収容する、上流端に配置されたイソシアネートタンク11と、イソシアネートタンク11からイソシアネートを汲み上げるためにイソシアネートタンク11に固定された第2汲上ポンプ12と、第2汲上ポンプ12が汲み上げたイソシアネートをスプレーガン9に向けて圧送する第2ポンプ15と、第2ポンプ15の吐出圧力を測定する第2圧力計17と、それら構成要素を接続する第2管路13を備える。第2タンク11及び第2ポンプ15は発泡機フレームに搭載されて固定されている。
第1汲上ポンプ4及び第2汲上ポンプ12の各々は、本実施形態では、複動型のプランジャポンプであって、外部のコンプレッサ(図示せず)からの圧縮空気によって作動するエアーモータ(図示せず)によって駆動される。前記エアーモータの各々は、供給される圧縮空気の圧力を調節する電動のレギュレータ(図示せず)を備えている。前記レギュレータの各々と制御装置33とは電気ケーブルで接続されている。制御装置33は、前記レギュレータを操作することによって、第1及び第2汲上ポンプ4,12の起動及び停止、並びに吐出量の制御を行えるように構成されている。
ポリオールを圧送する第1ポンプ7及びイソシアネートを圧送する第2ポンプ15の各々は、本実施形態では、複動型のプランジャポンプであって、それぞれの油圧モータ(図示せず)によって駆動される。油圧モータの各々は、油圧ポンプ(図示せず)から供給される油圧油の圧力を調節する電動のレギュレータ(図示せず)を備えている。前記レギュレータの各々と制御装置33とは電気ケーブルで接続されている。制御装置33は、前記レギュレータを操作することによって、第1ポンプ7の起動及び停止、並びに吐出量の制御を行えるように構成されている。
本実施形態では、第1ポンプ7及び第2ポンプ15はそれぞれの油圧モータによって駆動されるが、第1ポンプ7及び第2ポンプ15が共通の一つの油圧モータによって駆動される実施形態も可能である。
第1圧力計8及び第2圧力計17は、測定データを制御装置33に随時供給できるように制御装置33と電気ケーブルで接続されている。
本実施形態における加熱装置は、ポリオールを直接加熱する流路を備える第1ヒーター45と、イソシアネートを直接加熱する流路を備える第2ヒーター43と、図示しないが、第1及び第2ヒーター45,43の下流側で集合させた第1管路5と第2管路を包んでその外側からまとめて加熱するヒーターホースとを具備する。第1及び第2ヒーター45、43並びにヒーターホースは、制御装置33からの制御を受けるように、制御装置33と電気ケーブルで接続されている。制御装置33は、ポリオール及びイソシアネートが第1及び第2ヒーター45,43のあるところで、通常、20〜60℃、好ましくは30〜50℃となるようにそれらヒーターを制御する。
本実施形態による発泡機1は、図示しないが、制御装置33に測定データを随時送ることができる複数の温度計も具備する。それら温度計は、第1及び第2ヒーター45、43内のポリオール及びイソシアネートの温度を直接測定するものと、ヒーターホースの設けられた第1及び第2管路の表面を測定するものを含んでいる。
本実施形態におけるスプレーガン9は、第1管路5を流れるポリオールと、第2管路13を流れるイソシアネートとを混合撹拌させて噴出させることができる。図示しないが、スプレーガン9は、第1及び第2管路5,13とのそれぞれの接続部にボール弁を備えている。また、スプレーガンに接続される第1及び第2管路5,13は、柔軟な高圧ホースから作られている。本実施形態では、例えば約50mの長さの高圧ホースを接続することが可能である。
制御装置33は、前述したように、第1及び第2汲上ポンプ4,12、第1及び第2ポンプ7,15、第1及び第2圧力計8,17、加熱装置、並びに温度計に配線接続されていて、前記複数のポンプの停止及び起動と圧力の制御、加熱装置の各ヒーターの電源のオンオフと温度の制御、並びに圧力計及び温度計からの測定データの受信が可能であるように構成されている。本実施形態では、制御装置33は、CPU(マイクロプロセッサ)、メモリ、入力ポート、出力ポートなどを備えたPLC(プログラマブルロジックコントローラ)であるが、これはアナログ式制御回路又は機械式制御を行うものであってもよい。
制御装置33は、本実施形態では、発泡機フレームに搭載されて固定されているが、制御装置33が発泡機フレームに搭載されずに発泡機フレームに近接して配設された実施形態も可能である。
本実施形態における遠隔監視操作装置35は、タッチパネル式の入力装置(図示せず)を有する。この入力装置により、第1及び第2汲上ポンプ4,12,並びに第1及び第2ポンプ7,15を個別にまたは一括して起動及び停止操作することが可能である。遠隔監視操作装置35は、入力装置により、前記複数のポンプの作動の制御のための情報、即ち本実施形態では前記ポンプの吐出流量又は吐出圧力の目標値を設定して、設定された目標値を制御装置33に送信するように構成されている。さらに、遠隔監視操作装置35は、制御装置33を介して、ポリオール及びイソシアネートの液体の状態、即ちそれら液体の温度及び圧力のデータを受信して入力装置のタッチパネル上に表示することができる。
遠隔監視操作装置35は、入力装置により、加熱装置である第1ヒーター45、第2ヒーター43、及びヒーターホース(図示せず)のオンオフの操作を個別にまたは一括して行うことができ、またポリオールとイソシアネートのそれぞれの管路内における温度の目標値を設定して、設定された目標値を制御装置33に送信するように構成されている。
遠隔監視操作装置35の入力装置は、本実施形態ではタッチパネル式のものであるが、入力装置は表示画面とテンキー等とが分離されたタイプのものであっても勿論よい。また、入力装置が、音声入力も可能なタイプである実施形態も可能である。
本実施形態の遠隔監視操作装置35は、発泡機専用に設計されて製造されたものであるが、遠隔監視操作装置35の全体にあるいは一部に、汎用の携帯型情報端末を利用する実施形態も可能である。前記汎用の携帯型情報端末は、通信手段を介して制御装置33に制御情報を入力するための制御アプリケーションを所定のウェブサイトからダウンロードして取得することができるものである。そのような汎用の携帯型情報端末は、例えば施工場所において飛散したポリウレタンフォームが付着して使用不能となった場合でも、容易にかつ低コストで代替機に交換可能である。そのような汎用の携帯型情報端末として、例えばスマートフォン、携帯電話、ポータブルメディアプレーヤー、及び携帯ゲーム機等を挙げることができる。
遠隔監視操作装置35と制御装置33との間の双方向通信は、本実施形態では、無線LANによって行われる。このため、遠隔監視操作装置35と制御装置33は、無線LANを行うための送受信ユニットをそれぞれ備えている。このように無線LANを利用することにより、インターネットを介さずに接続が可能である。その結果、通信の暗号化が可能であることからセキュリティーを強固にでき、また通信を行うための構成要素を容易に入手でき、無線通信システムの設定及び構築も容易に可能であるという利点が得られる。さらに、携帯電話の通信規格や広帯域移動無線アクセスシステムが使用できない僻地においても遠隔監視操作装置35を使用することが可能になる。また、中継機を準備すれば通信距離を延ばせるので、大きな建築物であっても通信を行うことが可能になる。そのような中継機は、通常、建築物内にある商用電源コンセントから電源を取得できるため、発泡機1の制御部33等から電源ケーブルを配線する必要がなく容易に設置可能である。また、中継機の設置場所の変更も、電源コンセントがある場所なら可能であるので、同一建築物内での施工場所の移動にも容易に対応できる。
また、無線LANであれば、電源が無い等の理由から中継機を介して接続できない場合に、代りに携帯電話の通信規格でテザリング可能な通信機器や無線LANに接続可能な広帯域移動無線アクセスシステムの通信機器を用いることにより、インターネットを介して接続することもできる。
本実施形態では、遠隔監視操作装置35と制御装置33との間の双方向通信は、前述したとおり無線LANによって行われるが、前記双方向通信が、その他の無線通信方式、あるいは有線LAN、あるいは光ファイバケーブル通信等によって行われる実施形態も可能である。但し、無線LANを含む無線通信では、有線の場合の通信用のケーブルが原料液体供給用の高圧ホースと絡まる可能性、通信用ケーブルが引っ張られて遠隔監視操作装置が手元から落下して破損あるいはケーブルの断線を引き起こすリスクを考慮しなくてよい。また、撤収する際の、長い通信用ケーブルを収納する作業も不要である。
ところで、前記その他の無線通信方式には、携帯電話の通信規格に従うもの、広帯域移動無線アクセスシステム、及び無線LAN以外の近距離無線通信規格に従うもの等が含まれる。
携帯電話の通信規格としては、第2世代移動通信システムとしてPDC,GSM(登録商標),cdmaOne等、第3世代移動通信システムとしてW−CDMA,CDMA2000,HSPA,EV−DO,LTE等、第4世代移動通信システムとしてLTE−Advanced等が挙げられる。広帯域移動無線アクセスシステムとしては、WiMAX、XGP、モバイルWiMAX、WiMAX2、WiMAX2+、AXGP等が挙げられる。これらの通信規格により、インターネットを介して制御装置と入力装置を接続することができる。近距離無線通信規格としては、前述した無線LAN以外に、ZigBee,Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
本実施形態の発泡機1は、始動されると、第1及び第2タンク3,11から汲み上げられたポリールとイソシアネートが、第1及び第2ポンプ7,15によって第1管路5及び第2管路13をそれぞれ流れて、第1管路5及び第2管路13及びにそれぞれ設けられた第1及び第2ヒーター45,43及びホースヒータ(図示せず)によって、反応を促進するために加熱されて、スプレーガン9において混合撹拌されて吹付けられる。それにより、圧力が解放されて、ポリオール及びイソシアネートが反応することによって、ウレタンフォームを生成される。
本実施形態の発泡機1は、制御装置33と双方向無線通信を行う遠隔監視操作装置35を備えているので、施工者は、制御装置33の置かれた場所から遠く数十メートル離れた場所で吹き付け作業を行う場合であっても、遠隔監視操作装置35を使って、発泡機1の始動及び停止操作だけでなく、加熱装置の各ヒーターの温度、各ポンプの吐出量又は吐出圧力の調節、並びに各ポンプの吐出圧力及び各液体の温度の確認をすることが施工場所にいたまま可能になる。これにより、品質の安定したウレタン発泡材を効率よく得ることが可能になる。
次に本発明の第2の実施形態による現場吹付け型発泡機100について、図2及び3を参照して以下に説明する。第2の実施形態による現場吹付け型発泡機100(以下、「発泡機100」と略称される)は、発泡剤を圧送する第3供給系統30が追加された点で第1の実施形態と異なっており、したがってその異なる部分を主の以下に説明する。
第2の実施形態による発泡機100の第3供給系統30は、第1供給系統10を流れるポリオールに発泡剤を添加するために設けられている。このため、第3供給系統30は、発泡剤が高圧で充填された、上流端に配置された発泡剤タンク21と、発泡剤を第1供給系統10に向けて圧送する発泡剤ポンプ25と、発泡剤ポンプ25の吐出圧力を測定する第3圧力計27と、電磁弁である開閉弁29と、逆止弁31と、それら構成要素を接続する第3管路23とを含んでいる。第3管路23は、合流箇所Jにおいて、第1供給系統10の第1管路5に接続される。発泡剤タンク21及び発泡剤ポンプ25等は、第1及び第2タンク3,11及び第1及び第2ポンプ7,15と共に発泡機フレーム(図示せず)に搭載されて固定されている。
開閉弁29は、弁を開閉させることによって第3管路23を第1管路5と接続及び遮断するために設けられており、本実施形態では制御装置33によってオンオフ制御される。また、逆止弁31は、発泡剤が第1管路5から第3管路23に逆流しないように、第3管路23の開閉弁29よりも下流側に設けられている。
第2の実施形態の発泡機100では、制御装置33が、発泡剤ポンプ25の吐出量を制御する発泡剤ポンプ制御部33pと、開閉弁29の動作を制御する開閉弁制御部33vとを有する。制御装置33はさらに、第3圧力計27の測定値を随時受信できるように、この第3圧力計27に接続されている。
第2の実施形態の発泡機100では、第1供給系統10は、ポリオールと発泡剤とを撹拌して均等に混合するスタティックミキサー41を合流箇所Jの下流側に更に備えている。
第3供給系統30における二酸化炭素は、液体状(亜臨界状態及び超臨界状態を含む)でポリオールと混合されるものであり、発泡剤タンク21内では液体状でも気体状でもよく、気体状の場合は第3管路23に設けられた冷却装置(図示せず)によって液化される。
本実施形態では、発泡剤ポンプ25は、それぞれ2つのプランジャ及びシリンダを有する回転斜板形アキシャル式プランジャポンプである。発泡剤ポンプ25が回転斜板形アキシャル式プランジャポンプであるので、当該ポンプのモータに連結されている斜板の回転数を制御装置33が制御することによって、発泡剤の第3管路23から第1管路5への吐出量を制御することができる。また、本実施形態では、発泡剤ポンプ25は、2つの、つまり複数のプランジャ及びシリンダを有しており、それによりポンプの脈動を効果的に抑制することができ、その結果、吐出量の精度を高くすることができる。これらの結果、発泡剤ポンプ25によって、第3管路23の内圧を制御することができる。
また、本発明では、発泡剤は二酸化炭素に限定されるものではなく、液体状態のCFC系、HCFC系、HFC系、HFO系発泡剤、又はこれらの混合物であってもよい。
次に、図3を参照して、発泡剤のポリオールへの混合を制御する方法について説明する。なお、図3のタイムチャートにおける「流路内圧力」の項目では、第1管路5内の圧力Ppを点線で、第3管路23内の圧力Pbを実線で示している。
第2の実施形態の発泡機100を使用するにあたっては予め、第1管路5内の圧力Ppに対応する、第1管路5に供給する発泡剤の適切な量、すなわち発泡剤ポンプ25の適切な吐出量(第3管路23を流れる発泡剤の流量に相当する)の値を予め決定しておき、その情報を制御装置33の発泡剤ポンプ制御部33pに、遠隔監視操作装置35を介して入力しておく。
最初に、時点T1において、発泡機100の運転スイッチが、遠隔監視操作装置35等からの操作によってONにされると、ポリオールを圧送する第1ポンプ7によってポリオールが第1管路5に所定の圧力Pp’で供給される。同様に、イソシアネートを圧送する第2ポンプ15によってイソシアネートが第2管路13に所定の圧力で供給される。上記所定の圧力Pp’は、通常は、6〜8MPaである。
同時に時点T1において、発泡剤ポンプ25を駆動させることで、発泡剤タンク21から第3管路23に発泡剤が供給され、ひいては第3管路23内の圧力Pbが上昇する。
次に、時点T2において、第3圧力計27によって計測された第3管路23内の圧力Pbが、第1圧力計8によって計測された第1管路5内のポリオールの圧力Ppよりも所定の値だけ大きくなると、制御装置33の発泡剤ポンプ制御部33pによって発泡剤ポンプ25を停止する。なお、発泡剤ポンプ制御部33pは、第3管路23内の圧力Pbを、第1管路5内の圧力Ppよりも常時所定の値だけ、本実施形態では0.2MPaほど高くするように設定されている。当該所定の値は、本実施形態では0.2MPaが選択されているが、本発明ではこの値に限らず、0.05〜5.0MPaであると好ましく、0.1〜3.0MPaであるとより好ましく、0.15〜1.0MPaであるとさらに好ましい。
その後、時点T3において、開閉弁29を開弁して、第3管路23を第1管路5と接続して、発泡剤を第3管路23から第1管路5に供給する。これと並行して、発泡機100はポリウレタンフォームを生成するために、第1ポンプ7及び第2ポンプ15を駆動させて、第1管路5及び第2管路13にポリオール及びイソシアネートを連続的にそれぞれ供給する。このとき、第1ポンプ7は本実施形態ではプランジャポンプであるので、第1管路5内の圧力Ppは、図3に示すように一定周期で脈動する。これと同様に、時点T3において、第3管路23がこれよりも圧力の低い第1管路5と接続するので、第3管路23内の内圧が下がることになる。このとき、制御装置33の発泡剤ポンプ制御部33pによって、発泡剤ポンプ25を駆動させて、発泡剤ポンプ25の回転斜板の回転数を制御することによって発泡剤ポンプ25の吐出量を、時点T3における第1管路5内の圧力Ppに応じて、制御装置33の発泡剤ポンプ制御部33pに予め入力されている値に制御する。それにより、前記第3管路23内を加圧して、第3管路23内を第1管路5内よりも高い圧力に維持する。
また、制御装置33の発泡剤ポンプ制御部33pにより、発泡剤ポンプ25を、第3管路23内の圧力が第1管路5内の圧力よりも上記所定の値だけ高くなるように、吐出量を制御しつつ駆動させる。この様にすることで、第3管路23内と第1管路5内との圧力差を安定させることができ、その結果、より精度よく、発泡剤を第1管路5内に供給することができる。
本実施形態では、時点T3は、第1ポンプ7のプランジャが上死点に達したときである。このため、本実施形態では、制御装置33はさらに、第1ポンプ7のプランジャの位置が検出できるように、第1ポンプ7と接続されており、第1ポンプ7のプランジャが上死点に達したときに開閉弁29を開弁するように開閉弁29を制御するようにされている。これは、図3に示すように第1ポンプ7のプランジャが上死点に達すると、その後第1管路5の内圧がポンプの吸引によって下がることになるので、発泡剤を第1管路5により低圧で供給することができ、ひいては発泡剤ポンプ25にかかる負荷を減少させることができる。なお、上述のように、本実施形態では、第1ポンプ7は、複動型のプランジャポンプであるので、この場合は、第1ポンプ7のプランジャがいずれかの死点に達したときに、開閉弁29を開弁するように開閉弁29を制御するようにされている。
その後、第1ポンプ7のプランジャが下死点に達して、その後に第1管路5の内圧が高くなった後であっても、第3管路23の内圧が第1管路5の内圧よりも上記所定の値だけ高くなるように、制御装置33の発泡剤ポンプ制御部33pによって発泡剤ポンプ25の吐出量が制御される。その結果、従来の場合よりも長時間にわたって、第1ポンプ7のプランジャの位置に関係なく、発泡剤を第1管路5に継続して供給することができるので、所望の量の発泡剤を第1管路5に安定して供給することができる。また、本実施形態の開閉弁制御部33vは、時点T3において、第1管路5内の圧力Ppが、何らかのトラブル(配管の漏洩や第1ポンプ7の故障等)によってPp’よりも極端に低くなってしまった場合には、開閉弁29を開弁せずに制御装置33の制御を中断するように設定されている。
その後、時点T3から予め定められた時間t経過後である時点T4に、制御装置33の開閉弁制御部33vによって開閉弁29を閉弁する。上述のように、制御装置の発泡剤ポンプ制御部33pにより、第3管路23内の圧力が、第1管路5内の圧力よりも所定の値だけ高くなるように、発泡剤ポンプ25を制御している場合には、開閉弁29を閉弁させた後に、第3管路23内の圧力が、目標となる圧力に到達した時点で、発泡剤ポンプ25を停止させる。
その後、時点T5において、再度第1ポンプ7のプランジャが上死点に達すると、再び制御装置33の開閉弁制御部33vによって、開閉弁29を開弁する。そして、時点T3のときと同様に、制御装置33の発泡剤ポンプ制御部33pによって、時点T5における第1管路5内の圧力Ppに応じてあらかじめ定められている発泡剤ポンプ25の吐出量を適切に制御する。
さらに、時点T5から予め定められた時間t経過後である時点T6に、制御装置33の開閉弁制御部33vによって開閉弁29を閉弁する。時間tは、発泡剤ポンプ25の容量や、混合する材料の種類等に応じて、所望の発泡剤混合比を得るように任意に設定することができる。また時間tの設定は、遠隔監視操作装置35によって行うことができる。
この後、発泡機100の運転スイッチがONにされている間は、上述のように、制御装置33の開閉弁制御部33vによって、開閉弁29の開弁及び閉弁を繰り返す。なお、本実施形態では、開閉弁29の開弁及び閉弁のサイクルタイムは第1ポンプ7のプランジャの往復の時間によるが、2〜3秒程度であり、開閉弁29を開弁しておく上記予め定められた時間tは、混合させる発泡剤の種類にもよるが、概ね0.01〜1.5秒程度である。
その後、時点T7において、発泡機100の運転スイッチが遠隔監視操作装置35等からの操作によってOFFにされると、第2ポンプ15及び第1ポンプ7が停止される。そして、時点T7において開閉弁29が開弁されている場合は、その時点で開閉弁29は閉弁され、第3管路23の圧力が、目標となる圧力に到達した時点で、発泡剤ポンプ25が停止させられる。
そして、発泡剤が混合された第1管路5を流れるポリオールと、第2管路13を流れるイソシアネートとが、第1管路5及び第2管路13及びにそれぞれ設けられた第1及び第2ヒーター45,43によって、反応を促進するために加熱されて、スプレーガン9において混合撹拌されて吹付けられる。それにより、圧力が解放されて、ポリオール及びイソシアネートが反応することによって、ウレタンフォームを生成することができる。なお、本実施形態では、制御装置33は、ポリオール及びイソシアネートが、20〜60℃、好ましくは30〜50℃となるように、第1及び第2ヒーター45,43を制御する。
ポリオールに発泡剤を混合する第2の実施形態による発泡機100を遠隔操作する場合、遠隔監視操作装置35によって、発泡剤ポンプ25の目標流量(あるいは発泡剤の圧力)と、開閉弁29の開弁時間tを設定することができる。
発泡剤ポンプ25の流量を制御することの効果としては次のことが挙げられる。制御装置33は、通常は、吹き付け作業中の施工者から離れた位置にある。一方、発泡剤の状態は発泡剤ポンプ25の周囲の環境温度の変化を受けやすく、例えば、日中の気温の上昇等によって発泡剤が気化してしまい、ポリオールの流路である第1管路へ発泡剤を流入して混合させることができなくなってしまうこともある。本実施形態によると、施工者はスプレーガン9で施工したポリウレタンフォームの状態を見て、例えば密度が高い、即ち発泡剤の混合量が少ないと判断した場合、遠隔監視操作装置35を使って発泡剤ポンプ25の流量又は圧力の設定値を簡単に大きくすることで、密度が最適なポリウレタンフォームを生成することができる。
また、第2の実施形態の発泡機100によると、開閉弁29の開弁時間tも調節することができる。このため、周囲温度の変化等の外乱が大きい場合でも、発泡剤ポンプ25の流量(発泡剤ポンプの回転数、発泡剤の圧力)に加えて、開弁時間tも遠隔監視操作装置35を使って調節できるので、最適なポリウレタンフォームを容易に得ることが可能になる。制御機33とウレタンの吹き付け現場との間の距離は通常は数十メートル離れているので、本実施形態による発泡機100の遠隔操作機能を利用することにより、特に環境温度の影響を受けやすい発泡剤を用いる場合であっても、作業時間の短縮と形成されるポリウレタンフォームの品質の安定度の向上が実現される。
第2の実施形態では、第3管路23を第1管路5に接続して、発泡剤をポリオールと混合させたが、本発明はこれに限定されない。第3管路23を第2管路13に接続して、発泡剤をイソシアネートと混合させる実施形態も可能である。
第1及び第2の実施形態では、現場吹付け型発泡機は、ポリオールとイソシアネートを混合撹拌させてポリウレタンフォームを生成するものであるが、本発明では、生成する発泡材料はこれに限定されない。ポリウレタンフォームの他にも、本発明に係る発泡機は、レゾールと、無機酸(硫酸、塩酸、リン酸等)や有機酸(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸等)とを混合撹拌させてレゾール型フェノール樹脂フォームを生成することができる。また、本発明に係る発泡機は、ユリアフォーム原液(尿素樹脂)と、リン酸、硫酸、有機スルフォン酸、スルファミン酸、しゅう酸、及びこれらの混合物などの酸である硬化液とを混合撹拌させて尿素樹脂フォームを生成することができる。さらには、本発明に係る発泡機は、エポキシオリゴマー(エポキシ樹脂)と、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンなどのポリアミン類(アミン系)とを混合攪拌させてエポキシ樹脂フォームを生成することができる。
なお、第1及び第2の実施形態の構成要素を任意に組み合わせて現場吹付け型発泡機を構成してもよい。すなわち、本発明の特徴および機能を実現できる限り、本発明は実施形態の現場吹付け型発泡機に限定されない。
1 現場吹付け型発泡機
3 第1タンク
4 第1汲上ポンプ
5 第1管路
7 第1ポンプ
8 第1圧力計
9 スプレーガン
10 第1供給系統
11 第2タンク
12 第2汲上ポンプ
13 第2管路
15 第2ポンプ
17 第2圧力計
20 第2供給系統
33 制御装置
35 遠隔監視操作装置

Claims (9)

  1. 被着体に発泡材層を形成するために、少なくとも二種の液体を混合して前記被着体に吹き付ける現場吹付け型発泡機であって、
    主剤としての第1の液体を圧送する第1ポンプ、前記第1の液体を貯留する第1タンク、及び前記第1タンクから前記第1の液体を汲み上げる第1汲上ポンプを有する第1供給系統と、
    硬化剤としての第2の液体を圧送する第2ポンプ、前記第2の液体を貯留する第2タンク、及び前記第2タンクから前記第2の液体を汲み上げる第2汲上ポンプを有する第2供給系統と、
    前記第1及び第2の液体を加熱する加熱装置と、
    前記第1及び第2供給系統の端部に結合されて、前記第1の液体と前記第2の液体とを混合して噴射するスプレーガンと、
    前記第1及び第2の液体の状態の制御、及び該現場吹付け型発泡機の始動と停止の操作が可能であるように構成された制御装置と、
    前記第1及び第2の液体の温度の監視、前記第1及び第2の液体の温度を制御するための制御目標値の設定、並びに前記第1及び第2ポンプの始動と停止の遠隔操作が可能であるように構成された遠隔監視操作装置と、を具備し、
    前記制御装置と前記遠隔監視操作装置は、それらの間の双方向の携帯電話の通信規格を用いた無線通信が可能である、現場吹付け型発泡機。
  2. 前記遠隔監視操作装置は、前記第1及び第2の液体の温度に加えて圧力又は流量を監視するとともに、前記第1及び第2の液体の温度に加えて圧力又は流量の制御目標値を設定することができる、請求項1に記載の現場吹付け型発泡機。
  3. 記制御装置は、前記設定された制御目標値に基づいて、前記第1及び第2ポンプ並びに前記加熱装置の作動を制御する、請求項1又は2に記載の現場吹付け型発泡機。
  4. 発泡剤としての第3の液体を圧送する第3供給系統であって、前記第1供給系統に合流する第3供給系統を更に具備する、現場吹付け型発泡機であって、
    前記第3供給系統は、前記第3の液体を圧送する第3ポンプと開閉弁とを有し、
    前記遠隔監視操作装置は、前記第3の液体の圧力又は流量を監視するとともに、前記第3の液体の圧力又は流量の制御目標値を設定することが更にでき、
    前記制御装置は、設定された前記制御目標値に基づいて前記第3ポンプ及び前記開閉弁の作動も制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の現場吹付け型発泡機。
  5. 前記制御装置は、前記第3供給系統内の前記第3の液体の圧力が合流箇所における前記第1供給系統の前記第1の液体の圧力よりも高いときに、前記開閉弁を開弁するように、前記開閉弁を制御する、請求項4に記載の現場吹付け型発泡機。
  6. 前記遠隔監視操作装置は、前記第3供給系統の前記開閉弁の開弁時間を設定することができる、請求項4又は5に記載の現場吹付け型発泡機。
  7. 前記無線通信は無線LANである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の現場吹付け型発泡機。
  8. 前記制御装置と前記遠隔監視操作装置とが、中継器を介して無線接続されている、請求項に記載の現場吹付け型発泡機。
  9. 前記遠隔監視操作装置は、制御情報を入力するための制御アプリケーションを所定のウェブサイトからダウンロードすることにより取得できる携帯型情報端末である、請求項1〜のいずれか一項に記載の現場吹付け型発泡機。
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