JP5681388B2 - 液化二酸化炭素供給装置及びこれを備えるポリウレタンフォーム製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液化二酸化炭素供給装置及びこれを備えるポリウレタンフォーム製造装置に関し、さらに詳しくは、液化二酸化炭素を効率良く温度調節して気化を防止することができる小型且つ安価な構成の液化二酸化炭素供給装置及びこれを備えるポリウレタンフォーム製造装置に関する。
従来から、ポリウレタンフォームは、断熱ボードの形成、吹付工法による建築現場での断熱壁の形成、吹付工法による人工盛土の形成等の広範な分野で用いられている。このポリウレタンフォームは、通常、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、発泡剤とを含有するフォーム原料を使用し、各々の成分を計量し、圧送して、それぞれの成分を衝突させて撹拌する、又は混合した後、撹拌する、等の方法で均一な混合物とし、これをスプレーガン等から吐出させ、吐出されたフォーム原料が反応、固化しながら発泡することによって製造されている。
発泡剤としてはフロンが用いられてきたが、フロンはオゾン層破壊等の問題で使用が規制されている。また、その後使用されている代替フロンはオゾン層を破壊しないが、温暖化係数が極めて大きいという問題がある。そのため、ポリウレタンフォームの発泡剤として、水又は二酸化炭素が検討されている。しかし、水のみを発泡剤とした場合は、ポリウレタンフォームを十分に発泡させ、密度の小さい、軽量なフォームとするためには、多量の水を用いなければならない。この場合、ポリイソシアネートと水との反応による発熱によって、フォームに亀裂が生じることがあり、蓄熱による焼けなどの品質低下が発生することもある。更に、軽量化のために多量の水を用いることで、ポリウレタンフォームに過剰の尿素結合が形成され、フォームが脆くなってしまうこともある。また、発泡剤として水を用いたときは、フォーム原料の粘度が高く、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とが十分に混合されず、フォームのセル形状が不均一になることもある。
更に、二酸化炭素を発泡剤とする場合は、液化された二酸化炭素を使用し、これを計量して所定量を供給する必要があるが、二酸化炭素は沸点が低く、気化し易いため、ボンベ等の液化二酸化炭素が充填された容器から計量ポンプにより圧送しようとすると、気化した二酸化炭素が混入し易く、定量圧送できないことがある。そこで、このような液化二酸化炭素の気化を抑えるため、液化二酸化炭素の流路や計量ポンプを冷却する冷却手段を備えてなる液化二酸化炭素の定量供給装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2003−82050号公報 特開2006−298995号公報
しかし、上記特許文献1及び2の装置では、冷却手段として比較的大型で且つ高価な構成のチラー及び熱交換器等を採用しているため、施工現場において、充分な場所を確保する必要がある。また、チラーと熱交換器とが離れた位置にあると、チラーで冷却された冷媒を熱交換器へ移送する配管路において雰囲気温度により冷媒温度が上昇する熱ロスを生じてしまい冷却が充分に行われないおそれがある。
ここで、ピストンポンプは、容積形ポンプに分類され、一般的に容積形ポンプは定量性がよく、比較的高い圧力を得られ、つまり、高揚程を得ることが可能である。吹付け硬質ウレタンフォームの施工において高層建築物への対応のため、ウレタンフォーム原料を移送するポンプを備える発泡機としては高揚程が必要とされ、ウレタンフォーム原料のイソシアネート成分、ポリオール成分の混合比率を維持する為に、定量性のよいピストン式のポンプを使用するのが一般的である。また、ピストンポンプは、他の容積形ポンプ、容積形ポンプ以外のポンプなどに比べ、小型で構造が簡単でありメンテナンスも容易である。そして、液化二酸化炭素の移送用ポンプ(計量ポンプ)とウレタンフォーム原料の移送用ポンプを同型のピストンポンプにした場合、制御面において両者のポンプを駆動させる信号を共通させ、ピストンの往復運動を同期させることにより、液化二酸化炭素の混合の定量性の確保が容易となる。しかし、液化二酸化炭素の移送用ポンプとしてピストンポンプを採用すると、吸い込み時に上流側の第1圧力室において圧力低下を起こす為に、液化二酸化炭素が気化して、キャビテーションをおこす恐れがある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、液化二酸化炭素を効率良く温度調節して気化を防止することができる小型且つ安価な構成の液化二酸化炭素供給装置及びこれを備えるポリウレタンフォーム製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
1.上流側の第1圧力室及び下流側の第2圧力室が形成された金属製シリンダを有するピストンポンプ式の計量ポンプを備え、液化二酸化炭素を供給する液化二酸化炭素供給装置であって、
前記金属製シリンダ内の前記第1圧力室を形成する部位にペルチェ素子及び温度センサを配設し、該温度センサの検出結果に基づいて前記ペルチェ素子を制御し、前記第1圧力室内の液化二酸化炭素の温度を調節することを特徴とする液化二酸化炭素供給装置。
2.上記1.記載の液化二酸化炭素供給装置と、
ポリイソシアネートを主成分とする第1液を収容する第1容器と、
ポリオールを主成分とする第2液を収容する第2容器と、を備え、
前記第1圧力室に設けた前記ペルチェ素子の廃熱を利用して、前記第1容器から供給される第1液及び前記第2容器から供給される第2液のうちの少なくとも一方の液を加熱する加熱手段を更に備え、
前記液化二酸化炭素供給装置から供給される発泡剤としての液化二酸化炭素と、前記第1容器から供給される第1液と、前記第2容器から供給される第2液と、を混合してポリウレタンフォームを製造することを特徴とするポリウレタンフォーム製造装置。
本発明の液化二酸化炭素供給装置によると、金属製シリンダ内の第1圧力室を形成する部位を温度調節する温度調節手段を備えて構成したので、液化二酸化炭素の吸込み時に内部圧力が低下しやすい第1圧力室内の液化二酸化炭素を効率良く温度調節して気化を防止できるとともに、温度調節手段ひいては装置全体を小型且つ安価に構成することができる。その結果、施工現場等において、液化二酸化炭素をフォーム原料に定量的に安定して供給でき、施工面、品質面等の良好なポリウレタンフォームを製造することができる。
また、前記温度調節手段がペルチェ素子を有するので、温度調節手段ひいては装置全体を更に小型且つ安価に構成することができる。
また、温度センサを更に備えるので、温度センサにより液化二酸化炭素の温度が検出されるため、液化二酸化炭素の温度管理を実施することができる。特に、温度センサの検出結果に基づいて温度調節手段を制御する場合は、液化二酸化炭素をより効率良く温度調節することができる。
さらに、前記計量ポンプに接続される配管及び前記計量ポンプのうちの少なくとも一方の表面に、温度変化により変色する変色塗料が塗布されている場合は、変色塗料の変色により液化二酸化炭素の温度変化を目視で把握できるため、液化二酸化炭素の温度管理を実施することができる。
本発明のポリウレタンフォーム製造装置によると、液化二酸化炭素供給装置から供給される発泡剤としての液化二酸化炭素と、第1容器から供給される第1液と、第2容器から供給される第2液と、が混合されてポリウレタンフォームが製造される。そして、液化二酸化炭素供給装置を、金属製シリンダ内の第1圧力室を形成する部位を温度調節する温度調節手段を備えて構成したので、液化二酸化炭素の吸込み時に内部圧力が低下しやすい第1圧力室内の液化二酸化炭素を効率良く温度調節して気化を防止できるとともに、温度調節ひいては装置全体を小型且つ安価に構成することができる。その結果、施工現場等において、液化二酸化炭素をフォーム原料に定量的に安定して供給でき、施工面、品質面等の良好なポリウレタンフォームを製造することができる。さらに、液化二酸化炭素供給装置を、ピストンポンプ式の計量ポンプを備えて構成したので、ピストンポンプは、他の容積形ポンプ、容積形ポンプ以外のポンプなどに比べ、小型で構造が簡単でありメンテナンスも容易である。そして、液化二酸化炭素の移送用ポンプ(計量ポンプ)とウレタンフォーム原料の移送用ポンプを同型のピストンポンプにした場合、制御面において両者のポンプを駆動させる信号を共通させ、ピストンの往復運動を同期させることにより、液化二酸化炭素の混合の定量性の確保が容易となる。
さらに、前記液化二酸化炭素供給装置の前記温度調節手段はペルチェ素子を有し、加熱手段を更に備えるので、ペルチェ素子の廃熱を利用して少なくとも一方の液を加熱でき、エネルギーロスを低減することができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
実施例に係るポリウレタンフォーム製造装置の概略を示す模式図である。 実施例に係る計量ポンプの平面図である。 図2のA矢視図である。 上記計量ポンプの作用説明図である。 上記計量ポンプの作用説明図である。 上記計量ポンプの作用説明図である。 上記計量ポンプの作用説明図である。 上記計量ポンプの作用説明図である。 上記計量ポンプの作用説明図である。 実施例に係る配管の縦断面図である。 その他の形態のポリウレタンフォーム製造装置の要部を示す模式図である。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
1.液化二酸化炭素供給装置
本実施形態1.に係る液化二酸化炭素供給装置は、上流側の第1圧力室及び下流側の第2圧力室が形成された金属製シリンダを有するピストンポンプ式の計量ポンプ(11)を備え、液化二酸化炭素を供給する液化二酸化炭素供給装置であって、金属製シリンダ内の第1圧力室を形成する部位を温度調節する温度調節手段(12)を備えることを特徴とする(例えば、図2等参照)。この液化二酸化炭素供給装置では、通常、第1圧力室に計量ポンプの外部から液化二酸化炭素が吸込まれ、この第1圧力室に吸込まれた液化二酸化炭素が第2圧力室に送られる。
上記液化二酸化炭素供給装置としては、例えば、上記温度調節手段がペルチェ素子(58)を有する形態を挙げることができる(例えば、図2等参照)。このペルチェ素子は、通常、金属製シリンダ内の第1圧力室を形成する部位の外表面に接触又は対向する冷却板を有している。
上記液化二酸化炭素供給装置としては、例えば、上記液化二酸化炭素の温度を検出する温度センサ(60)を更に備える形態を挙げることができる(例えば、図2及び図3等参照)。この温度センサは、例えば、金属製シリンダ内の第1圧力室を形成する部位に埋設されていることができる。この形態の場合、例えば、温度センサの検出結果に基づいて温度調節手段の駆動を制御して液化二酸化炭素の温度を所定値以下とする温度調節器(61)を更に備えることができる(例えば、図2等参照)。これにより、温度調節手段により温度調節される液化二酸化炭素の温度管理をより正確に実施することができる。
上記液化二酸化炭素供給装置としては、例えば、(1)上記計量ポンプに接続される配管の表面に、配管を流れる液化二酸化炭素の温度変化により変色する変色塗料(63)が塗布されている形態(例えば、図10等参照)、(2)上記計量ポンプの表面に、計量ポンプ内の液化二酸化炭素の温度変化により変色する変色塗料が塗布されている形態のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。この変色塗料としては、例えば、(a)熱によりペイントに使用されている顔料化合物の結晶型の転移に伴い変色するもので、顔料としてヨウ化水銀錯塩などが用いられている可逆型である形態、(b)主として含有している顔料の加熱により脱ガス等を伴う熱分解反応などの化学変化による不可逆型である形態等を挙げることができる。上記(a)形態が好ましい。
上記(1)形態の配管としては、例えば、後述する液化二酸化炭素加圧容器と計量ポンプとを接続する配管(19)、後述する第1液及び第2液のうちの少なくとも一方の液と液化二酸化炭素とを混合する混合部(70)と計量ポンプとを接続する配管(43)等を挙げることができる(例えば、図1等参照)。また、上記(1)形態の配管は、例えば、PTFE製の配管であることができる。これにより、鋼製の配管を採用する場合に比べて、熱伝導性が低いため液化二酸化炭素の温度上昇を抑制することができる。
上記液化二酸化炭素供給装置としては、例えば、上記計量ポンプ(11)は、第1圧力室内で往復移動する第1ピストン部(49)と、この第1ピストン部に連なり且つ第2圧力室内で往復移動し且つ第1ピストン部より小さな体積(例えば、第1ピストン部の略1/2の体積)となる第2ピストン部(50)と、を有する形態を挙げることができる(例えば、図2等参照)。これにより、第1圧力室内での第1ピストン部の往復移動及び第2圧力室内での第2ピストン部の往復移動によって、液化二酸化炭素を定量的に更に安定して供給することができる。
上記液化二酸化炭素供給装置としては、例えば、液化二酸化炭素を貯留する液化二酸化炭素容器(8)と、不活性ガスを貯留する不活性ガス容器(9)と、液化二酸化炭素容器からの液化二酸化炭素を下方から注入するための下側注入口(10a)と、不活性ガス容器からの不活性ガスを上方から注入するための上側注入口(10b)と、を有する液化二酸化炭素加圧容器(10)と、液化二酸化炭素加圧容器に接続される計量ポンプ(11)と、を備える形態を挙げることができる(例えば、図1等参照)。
上記液化二酸化炭素供給装置としては、例えば、上記液化二酸化炭素加圧容器内の液化二酸化炭素と気相部(不活性ガス又は二酸化炭素(気相)又はこれらの混合物)との圧力差を計測する圧力差計測手段(22)を更に備える形態を挙げることができる(例えば、図1等参照)。
上記液化二酸化炭素供給装置としては、例えば、上記液化二酸化炭素加圧容器は、この容器内で加圧された液化二酸化炭素を下方から計量ポンプに供給するための下側供給口(10c)を有している形態を挙げることができる(例えば、図1等参照)。これにより、不活性ガスが混合していない液化二酸化炭素を確実に計量ポンプに供給することができる。
2.ポリウレタンフォーム製造装置
本実施形態2.に係るポリウレタンフォーム製造装置は、上記実施形態1.の液化二酸化炭素供給装置(2)と、ポリイソシアネートを主成分とする第1液を収容する第1容器(3)と、ポリオールを主成分とする第2液を収容する第2容器(4)と、を備え、液化二酸化炭素供給装置から供給される発泡剤としての前記液化二酸化炭素と、第1容器から供給される第1液と、第2容器から供給される第2液と、を混合してポリウレタンフォームを製造することを特徴とする(例えば、図1等参照)。なお、上記「主成分とする…液」としては、例えば、液を100質量%とした場合に、主成分となる材質の合計の下限値が50質量%以上(好ましくは70質量%以上、特に90質量%以上)である形態を挙げることができる。また、主成分となる材質の合計の上限値は、通常99.9質量%以下(好ましくは99.8質量%以下、特に99.4質量%以下)である。
上記ポリウレタンフォーム製造装置としては、例えば、液化二酸化炭素供給装置の温度調節手段はペルチェ素子を有し、このペルチェ素子の廃熱を利用して、第1容器から供給される第1液及び第2容器から供給される第2液のうちの少なくとも一方の液を加熱する加熱手段(72)を更に備える形態を挙げることができる(例えば、図11等参照)。この加熱手段としては、例えば、ヒータ、熱伝導性の高い金属材、熱交換器等を挙げることができる。
ここで、上記ポリウレタンフォームの製造で、発泡剤として用いられる液化二酸化炭素の供給量は、必要とされる発泡倍率及びフォームの用途等により調整することができる。この液化二酸化炭素の供給量は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計、即ち、フォーム原料の全量を100質量%とした場合に、0.1〜4.0質量%とすることができ、0.2〜2.3質量%、特に0.6〜0.8質量%とすることが好ましい。このように液化二酸化炭素を発泡剤として用いることにより、発泡剤として使用されることが多い水のみを用いた場合に比べてフォームの密度を低下させることができる。即ち、発泡倍率を高くすることができる。例えば、水のみを用いたときに40〜90kg/mであるフォームの密度を、フォーム原料の全量に対して0.1〜4.0質量%の液化二酸化炭素を発泡剤として併用することで、30〜80kg/mと低くすることができる。
なお、液化二酸化炭素は、通常、水等の発泡剤と併用されるが、フォームの密度が80kg/m以上、特に100〜200kg/mであり、高発泡を必要としない場合は、発泡剤として液化二酸化炭素のみを用いることもできる。
フォーム原料には、ポリオール、ポリイソシアネート、液化二酸化炭素の他、液化二酸化炭素以外の発泡剤、触媒、架橋剤、整泡剤等を配合することができる。ポリオールは、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールのいずれでもよく、各種のポリオールを用いることができる。また、ポリエーテルポリオールにビニル基を含有する化合物をグラフト重合させたポリマーポリオールを用いることもできる。更に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、尿素分散型ポリエーテルポリオール等を用いることもできる。これらのポリオールのうちでは、アルキレンオキサイドを付加させたポリエーテルポリオールが好ましい。
発泡剤、触媒、架橋剤、整泡剤等は、ポリオール成分に配合してもよいし、ポリイソシアネート成分に配合してもよいが、発泡剤、触媒及び架橋剤はポリオール成分に配合されることが多く、整泡剤はポリイソシアネート成分に配合されることが多い。発泡剤としては、通常、水が用いられる。この水の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.5〜8質量部、特に3〜6質量部とすることができる。
また、触媒としては、金属触媒及びアミン触媒を用いることができる。施工現場で用いる触媒としては、比較的反応が速いアミン触媒が用いられることが多く、アミン触媒と金属触媒とを併用することもできる。金属触媒としては、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート及びオクテン酸鉛等が挙げられる。この金属触媒の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.2〜2質量部とすることができる。金属触媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
更に、アミン触媒としては、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、N−メチルモルフォリン、ジメチルメチレンジアミン及びジメチルアミノエタノール等が挙げられる。このアミン触媒の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.5〜25質量部、特に2〜18質量部とすることができる。アミン触媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、架橋剤としては、ジオール、トリオール、テトラオール、ジアミン及びアミノアルコール等を用いることができる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。トリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。テトラオールとしては、ベンタエリスリトール等が挙げられる。更に、ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。アミノアルコールとしては、ジエタノールアミン等が挙げられる。この架橋剤の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、1〜10質量部とすることができる。架橋剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
更に、整泡剤としては、線状又は分枝ポリエーテル−シロキサン共重合体を用いることができる。特に、フォームの連泡性を高めるためには整泡力の低い線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体を用いることがより好ましい。この整泡剤の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.5〜15質量部(特に1〜4質量部)とすることができる。整泡剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、1,5ナフタレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及びこれらの変性体を用いることができる。ポリイソシアネートとしては、汎用性及び流動性の観点からは、クルードMDIが好ましい。更に、耐熱性の観点からは、カルボジイミド変性MDIが好ましい。ポリイソシアネートは、通常、イソシアネートインデックスが80〜140(特に95〜125)となる配合量とすることができる。ポリイソシアネートは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フォーム原料には、難燃剤を配合することもできる。特に、建物の断熱壁等に用いる場合は、難燃剤を配合することが好ましい。この難燃剤としては、水酸化アルミニウム、金属/アミン複合体、アンモニウムポリフォスフェート、フォスフィン、トリス(2,3−ジクロロプロピル)フォスフォネート、ネオペンチル臭化ポリエーテル、ジブロモプロパノール及びジブロモネオペンチルグリコール等が挙げられる。難燃剤としては、ハロゲンを有さないリン酸エステル系難燃剤がより好ましい。
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)ポリウレタンフォーム製造装置の構成
本実施例に係るポリウレタンフォーム製造装置1は、図1に示すように、液化二酸化炭素供給装置2と、ポリイソシアネートを主成分とする第1液を収容する第1容器3と、ポリオールを主成分とする第2液を収容する第2容器4と、これら第1容器3及び第2容器4に接続される発泡機5(有限会社セブンテック社製、型式「FS−2000N」)と、この発泡機5に接続されるスプレーガン6(グラコ・ガスマー社製、型式「フュージョンガン」)と、を備えている。
上記液化二酸化炭素供給装置2は、液化二酸化炭素を貯留する液化炭酸ボンベ8(本発明に係る「二酸化炭素容器」として例示する。)と、窒素ガス(本発明に係る「不活性ガス」として例示する。)を貯留する窒素ガスボンベ9(本発明に係る「不活性ガス容器」として例示する。)と、液化二酸化炭素加圧容器10(以下、単に「加圧容器10」とも略記する。)と、この加圧容器10に接続されるピストンポンプ式の計量ポンプ11と、この計量ポンプ11を冷却する冷却部12(本発明に係る「温度調節手段」として例示する。)と、を備えている。
上記液化炭酸ボンベ8の供給口8aには、圧力調整用のレギュレータ14が設けられている。また、上記窒素ガスボンベ9の供給口9aには、圧力調整用のレギュレータ15が設けられている。また、上記加圧容器10は、液化炭酸ボンベ8からの液化二酸化炭素を下方から注入するための下側注入口10aと、窒素ガスボンベからの窒素ガスを上方から注入するための上方側注入口10bと、この加圧容器10内で加圧された液化二酸化炭素を下方から計量ポンプ11に供給するための下側供給口10cと、を有している。
上記下側注入口10aは、配管17を介して液化炭酸ボンベ8のレギュレータ14に接続されている。この配管17には、液化炭酸充填用バルブ77及び逆止弁99が設けられている。また、上側注入口10bは、配管18を介して窒素ガスボンベ9のレギュレータ15に接続されている。この配管18には窒素ガス充填用バルブ78(加圧バルブ)が設けられている。さらに、下側供給口10cは、配管19を介して計量ポンプ11に接続されている。この配管19には圧力逃し弁20、計量ポンプ11への液化炭酸供給バルブ79、及びフィルタ100が設けられている。
なお、上記加圧容器10と計量ポンプ11とを連絡する配管19(例えば、耐熱ホース等)の長さは、1220mm以下で極力短いことが好ましい。1220mmより長い場合、計量ポンプ11への供給口付近での圧力が低下して二酸化炭素が気化してしまうおそれがある。本実施例では、上記配管19の長さを約610mmとした。また、上記配管19の内径は、0.7〜10.3mmであることが好ましい。0.7mm未満では圧力損失が大きく、計量ポンプ11への供給口付近での圧力が低下して二酸化炭素が気化してしまうおそれがあり、10.3mmより大きい場合、圧力損失は小さいもののホースの耐圧性を確保する為には高価となって、不経済である。本実施例では、上記配管19の内径を約4.8mmとした。
上記配管18から分岐する分岐管18aと配管19とを連絡する連絡管21には、加圧容器10内の液化二酸化炭素(液相)と気相部(窒素ガス又は二酸化炭素(気相)又はこれらの混合物)との圧力差を計測する差圧計22(本発明に係る「圧力差計測手段」として例示する。)が設けられている。この分岐管18aの一端側には、液化二酸化炭素を充填する際、加圧容器10内の圧力を液化炭酸ボンベ8の圧力未満に減圧するためブロー弁74が設けられている。本ブロー弁74は、気温が所定温度(例えば、40℃)以上に上昇した時などに開放して二酸化炭素の気化熱によって加圧容器10の温度を下げる用途にも使用できる。また、上記連絡管21には圧力計75が設けられている。
上記計量ポンプ11は、図2及び図3に示すように、複数のブロック部及びフランジ部からなる金属製のシリンダ23を有している。このシリンダ23には、その長手方向の両端側に所定間隔で離間するように第1圧力室24及び第2圧力室25が形成されている。
図4に示すように、上記シリンダ23の第1圧力室24の入側には逆止弁30が設けられている。この逆止弁30は、上記配管19(図1参照)の一端側に接続されている。また、上記シリンダ23の第1圧力室24の出側には逆止弁31が設けられている。この逆止弁31は、接続管39を介して第2圧力室25に連絡されている。また、上記シリンダ23の第2圧力室25の出側には逆止弁41が設けられている。この逆止弁41は、配管43(図1参照)の一端側に接続されている。
また、上記シリンダ23には、第1圧力室24及び第2圧力室25の間にシリンダ室46が形成されている。このシリンダ室46内には、ピストン部材47が軸方向に沿って往復移動自在に支持されている。このピストン部材47の一端側には、第1圧力室24内で往復移動する第1ピストン部49が設けられている。また、ピストン部材47の他端側には、第2圧力室25内で往復移動する第2ピストン部50が設けられている。この第1ピストン部49は、第2ピストン部50より大きな体積(略2倍の体積)とされている。
また、上記シリンダ23には、シリンダ室46に連なる一対のポート部51a,51bが形成されている。これら各ポート部51a,51bには、所定の圧力(例えば、約0.4〜0.7Mpa)で圧縮空気が電磁弁(図示省略)にて切り換えて供給され、シリンダ室46内でピストン部材47が往復移動される。これにより、第1圧力室24内で第1ピストン部49が往復移動され、第2圧力室25内で第2ピストン部50が往復移動される。
上記構成の計量ポンプ11では、図4に示すように、ピストン部材47が一端側(図4で左端側)に位置している状態より、図5に示すように、ポート部51aに圧縮空気を供給してピストン部材47を他端側(図5で右端側)に向かって移動させると、第1圧力室24内での第1ピストン部49の移動により配管19から第1圧力室24内に液化二酸化炭素が吸い込まれ、第2圧力室25内での第2ピストン部50の移動により第2圧力室25内の液化二酸化炭素が配管43を介して発泡機5側に供給される。その後、図6に示すように、ピストン部材47の移動が進んで他端側(図6で右端側)に至る直前では、第1圧力室24内には、配管19から所定量(第1ピストン部49の体積と略同じ値;例えば、1.8ml)の液化二酸化炭素が吸込まれる。また、第2圧力室25内の液化二酸化炭素のうちの所定量(第2ピストン部49の体積と略同じ値;例えば、0.9ml)が発泡機5側に供給される。そして、図7に示すように、ピストン部材47が他端側(図7で右端側)に至ると、第1圧力室24内への液化二酸化炭素の吸込みが停止される。
次に、図8に示すように、ポート部51bに圧縮空気を供給してピストン部材47を一端側(図8で左端側)に向かって移動させると、第1圧力室24内での第1ピストン部49の移動により第1圧力室24内の液化二酸化炭素が接続管39を介して第2圧力室25内に送られ、この第2圧力室25内の液化二酸化炭素が発泡機5側に供給される。その後、図9に示すように、ピストン部材47の移動が進んで一端側(図9で左端側)に至る直前では、第2圧力室25内の液化二酸化炭素のうちの所定量(第1ピストン部49の体積と第2ピストン部50の体積との差と略同じ値;例えば、0.9ml)が発泡機5側に供給される。そして、上述の作用が繰り返されて、計量ポンプ11から連続して液化二酸化炭素が定量的に供給されるようになっている。
なお、上記シリンダ23の一端側には、ストローク調整ピン53がナット54により位置調整自在に取り付けられており、このストローク調整ピン53の突出し量を調整することにより、ピストン部材47の往復移動のストローク量を調整できるようになっている。
上記冷却部12は、図2に示すように、シリンダ23の第1圧力室24を形成する外表面部位にボルト(図示省略)にて取り付けられている。この冷却部12は、冷却板56及び放熱板57を有するペルチェ素子58を備えている。このペルチェ素子58では、直流電流を流すことで冷却板56側から放熱板57側へ熱が移動される。この冷却板56は、シリンダ23の第1圧力室24を形成する外表面部位の表面に接触又は対向している。また、この冷却部12は、電動ファン59を内蔵している。また、シリンダ23の第1圧力室24を形成する外表面部位には、第1圧力室24内の液化二酸化炭素の温度を検出する温度センサ60が埋設されている。さらに、この冷却部12は、温度センサ60の検出結果に基づいてペルチェ素子58の駆動を制御して液化二酸化炭素の温度を所定値(例えば、約20℃)以下とする温度調節器61を備えている。
ここで、上記配管19(43)には、図10に示すように、この配管19(43)を流れる液化二酸化炭素の温度変化により変色する変色塗料63(「示温性塗料」とも称される。)が塗布されている。なお、本実施例では、上記変色塗料63として、配管19(43)の温度が10〜20℃の範囲で変化するときに徐々に変色するものを採用するものとする。また、上記配管19,43として、PTFEコアチューブ19a、43aの外周にステンレス製オーバーブレード19b、43bを積層してなるもの(スウェージロック社製、型番「SS−4BT」)を採用するものとする。
上記第1容器3及び第2容器4のそれぞれは、図1に示すように、各液を所定の圧力(例えば、約1.5Mpa)で発泡機5に供給するためのエアー駆動式のドラムポンプ65,66(グラコ・ガスマー社製、型式「OP232」)を有している。
上記発泡機5は、この発泡機5に供給される第1液及び第2液をスプレーガン6に供給するプロポーションポンプ67を有している。このポンプ67は、油圧駆動式のピストンポンプであり、電磁弁(図示省略)の切換制御によって、第1液及び第2液を体積比1:1で且つ所定の圧力(例えば、約8〜9Mpa)でプライマリヒータ68及びヒータホース69を介してスプレーガン6に供給するようになっている。さらに、上記発泡機5は、上記配管43の一端側が接続され且つ第2液と液化二酸化炭素とを混合するスタティックミキサ70(本発明に係る「混合部」として例示する。)を備えている。
なお、本実施例では、上記プライマリヒータ68及びヒータホース69のそれぞれには、各部位68,69を通る液の温度を検出する温度センサ(図示省略)が設けられ、この温度センサの検出結果に基づいて各ヒータ68,69をON・OFF制御することにより、第1液及び第2液が移送(粘度調整)及び発泡(混合)に必要な温度に調整されるものとする。
上記スプレーガン6は、エアー駆動式のシリンダにチャンバ(図示省略)が連結されており、スプレーガンのトリガーを引くとチャンバがスライドし、第1液及び第2液のそれぞれのチャンバへの流路が開放され、チャンバ内で第1液及び第2液が混合・撹拌され吐出されるようになっている。
ここで、冷却部12について必要とする冷却能力について考察する。ポンプの最大液化二酸化炭素吐出量:Amax[g/sec]、液化炭酸の比熱:c[J/g℃](0.199[cal/g℃]、1cal=4.186Jより、0.199[cal/g℃]×4.186[J/cal]=0.833[J/g℃])、ポンプを使用する雰囲気の最高温度(外気温度):TH[℃]、ポンプの運転温度(ポンプの温度調整設定温度):TL[℃]、冷却手段の最大吸熱量:Qmax[W]、エネルギーロスをみこんだ係数(安全率):Fs(1.6倍)としたとき、Amax×c×(TH−TL)×Fs≦Qmax(式1)に設定される最大吸熱量Qmaxを有する冷却部が必要である。理論上、Amax×c×(TH−TL)[w]以上の最大吸熱量Qmaxを有すればよいはずだが、実際に稼動した場合、エネルギーロスをみこんだ係数をFsとし、Amax×c×(TH−TL)×Fs[W]以上の冷却能力が必要となる。本実施例においては、Amax=1.398[g/sec]、c=0.833[J/g℃]、TH=40[℃]、TL=20[℃]、Fs=1.6とした場合、冷却能力は(式1)より、1.398×0.833×(40−20)×1.6=37.265以上の冷却設備を選択すればよく、Qmax=39Wのペルチェ素子を有する装置を使用している。上記条件(外気温40℃)、当初密度80Kg/m3のフォームに、CO2を混合した場合、下記の表1となる。
Figure 0005681388
35W以下では、二酸化炭素がポンプ内で気化して、ポンプがキャビテーションをおこし、液化二酸化炭素を圧送できず、フォーム密度は低下できない。本冷却装置はパワーサプライによって整流したDC12[V]を使用して、温度センサの検出結果に基づき、規定温度(20℃)より上昇時には電源をONして、規定温度以下ではOFFするように制御している。そのため、39W使用時には、ほぼ常時電源がONとなり、冷却装置が稼動した状態となる。それ以上のペルチェ素子を使用しても、OFFの時間が増加するだけで、特に影響はないが、装置が過大となる。また、下流側の第2圧力室に冷却装置を取り付けた場合、ポンプ表面を伝導して第1圧力室を冷却できるものの、冷却能力が不足して、CO2が圧送できずに、フォーム密度は低下しなかった。長時間使用する場合、放熱板の温度が上昇するため、より外気に放熱しやすくするために、実施例のようにファンを組み込んでも良い。
(2)ポリウレタンフォーム製造装置の作用
次に、上記構成のポリウレタンフォーム製造装置1の作用について説明する。建築現場等における断熱壁の形成などの施工現場では、通常、作業用車両の荷台に、上記の製造装置1の一式の他、コンプレッサ及び発電機等を積載して搬送し、現場で施工し、フォームを形成することになる。
施工現場では、先ず、液化炭酸ボンベ8から下側注入口10aを介して加圧容器10に液化二酸化炭素を充填し、二次側の液化二酸化炭素の圧力が所定値(例えば、約5.6Mpa)となるようにレギュレータ14のハンドルを調整する。そして、差圧計22の表示が所定値(例えば、約2.5Kpa)となるまで液化二酸化炭素を充填する(経験的に液化二酸化炭素が約10〜11kgf充填される。)。この充填量と差圧計22の表示値とは比例するので、当日供給量に応じて充填する。次に、窒素ガスボンベ9から上側注入口10bを介して加圧容器10に窒素ガスを充填し、二次側の窒素ガスの圧力が所定値(例えば、約7.0Mpa)となるようにレギュレータ15のハンドルを調整する。これにより、加圧容器10内は加圧され液化二酸化炭素の圧力が所定値(例えば、約7.0Mpa)まで昇圧される。また、液化二酸化炭素が減ってくると、フォームの発泡倍率が低下するので、一旦施工をやめて、窒素ガスの供給を止めて、ブロー弁74を開放して、加圧容器10内の圧力を5.6Mpa未満に減圧後に、上記手順で液化二酸化炭素を再度加圧容器10内に供給する。
なお、本実施例では、上記液化炭酸ボンベ8として、一般的にガス販売店等で取り扱われる30kgf入りを使用し、上記窒素ガスボンベ9として、一般的にガス販売店等で取り扱われる7m入りを使用するものとする。また、本実施例では、液化炭酸ボンベ8のレギュレータ14の二次側の圧力設定を約5.6Mpaとしたが、この液化炭酸ボンベ8のレギュレータ14の二次側の設定圧力は、2.0〜5.6Mpaであることが好ましい。2.0Mpa未満では加圧容器10への液化二酸化炭素の供給に時間がかかり、汎用の液化炭酸ボンベの圧力が5.6Mpa(20℃)であり、それ以上は現実的ではない。また、本実施例では、不活性ガス(窒素ガス)ボンベ9のレギュレータ15の二次側の圧力設定を約7.0MPaとしたが、この不活性ガス(窒素ガス)ボンベ9のレギュレータ15の二次側の圧力設定は、6.0〜10.0MPaであることが好ましい。6.0MPa未満では、計量ポンプ11への供給口付近での圧力が低下して二酸化炭素が気化してしまうおそれがある。10MPaより大きい場合、二酸化炭素供給ポンプの圧力をそれ以上に設定するため、それに応じてウレタンフォームの原料(イソシアネート成分、ポリオール成分)の吐出圧力も同程度に上昇させて設定する必要があり、作業性の面では圧力が高くて施工しにくく、品質的にも安定しない等の不具合が生じる。
次いで、加圧容器10内に充填された液化二酸化炭素は、下側供給口10cを介して計量ポンプ11へ供給され、この計量ポンプ11にて所定値(例えば、約8.0Mpa)まで昇圧されて発泡機5へ定量供給される。この計量ポンプ11では、冷却部12により液化二酸化炭素の温度が所定値(例えば、約20℃)以下となるように冷却される。その後、発泡機5へ供給された液化二酸化炭素は、スタティックミキサ70にて第2液(ポリオール液)と混合される。そして、スプレーガン6の操作により第1液及び第2液が混合・撹拌され吐出され、ポリウレタンフォームが得られることとなる。
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のポリウレタンフォーム製造装置1では、液化二酸化炭素供給装置2を、シリンダ23内の第1圧力室24を形成する部位を冷却する冷却部12を備えて構成したので、液化二酸化炭素の吸込み時に内部圧力が低下する第1圧力室24内の液化二酸化炭素を効率良く冷却して気化を防止できるとともに、冷却部12ひいては装置全体を小型且つ安価に構成することができる。その結果、施工現場等において、液化二酸化炭素をフォーム原料に定量的に安定して供給でき、施工面、品質面等の良好なポリウレタンフォームを製造することができる。特に、本実施例では、金属製のシリンダ23を採用したので、冷却部12によりシリンダ23の全体及び吸込側の配管19取付け付近も熱伝導により好適に冷却される。さらに、液化二酸化炭素供給装置2を、ピストンポンプ式の計量ポンプ11を備えて構成したので、ピストンポンプは、他の容積形ポンプ、容積形ポンプ以外のポンプなどに比べ、小型で構造が簡単でありメンテナンスも容易である。そして、液化二酸化炭素の移送用ポンプ(計量ポンプ)とウレタンフォーム原料の移送用ポンプを同型のピストンポンプにした場合、制御面において両者のポンプを駆動させる信号を共通させ、ピストンの往復運動を同期させることにより、液化二酸化炭素の混合の定量性の確保が容易となる。
ここで、上記液化二酸化炭素は、ポリウレタンフォーム形成上で発泡剤として寄与するが、液化二酸化炭素を添加するとセル径(気泡径)が小さくなる。一般的にセル径が小さくなると熱伝導率が小さくなることが知られており、建築物等の断熱材として使用する場合、厚さが同じであるならば断熱効果が高くなり、また同じ断熱効果を得ようとする場合では断熱層を薄くすることができる。
また、本実施例では、冷却部12をペルチェ素子58を有して構成したので、冷却部12ひいては装置全体を更に小型且つ安価に構成することができる。
また、本実施例では、温度センサ60を更に備えて構成したので、この温度センサ60により液化二酸化炭素の温度が検出されるため、液化二酸化炭素の温度管理を実施することができる。特に、本実施例では、温度調節器61によって温度センサ60の検出結果に基づいて冷却部12の駆動制御を行うようにしたので、液化二酸化炭素をより効率良く冷却することができる。
また、本実施例では、計量ポンプ11に接続される配管19,43の表面に温度変化により変色する変色塗料63を塗布したので、変色塗料63の変色により液化二酸化炭素の温度変化を目視で把握でき、液化二酸化炭素の温度管理を実施することができる。
また、本実施例では、PTFE製の配管19,43を採用したので、鋼製の配管を採用する場合に比べて、熱伝導性が低いため液化二酸化炭素の温度上昇をより確実に抑制できる。
また、本実施例では、計量シリンダ11を、第1圧力室24内で往復移動する第1ピストン部49と、この第1ピストン部49に連なり且つ第2圧力室25内で往復移動し且つ第1ピストン部49より小さな体積となる第2ピストン部50と、を有して構成したので、第1圧力室24内での第1ピストン部49の往復移動及び第2圧力室25内での第2ピストン部50の往復移動によって、液化二酸化炭素を定量的に更に安定して供給することができる。
また、本実施例のポリウレタンフォーム製造装置1では、液化二酸化炭素供給装置2を特定の加圧容器10を備えて構成し、この加圧容器10では、下側注入口10aにより液化炭酸ボンベ8からの液化二酸化炭素が下方から注入され、上側注入口10bにより窒素ガスボンベ9からの窒素ガスが上方から注入されるようにしたので、加圧容器10内で液化二酸化炭素を確実に加圧することができる。そして。このように加圧容器10内で加圧された液化二酸化炭素が計量ポンプ11に供給されるため、液化二酸化炭素の気化を防止することができる。その結果、施工現場等において、液化二酸化炭素をフォーム原料に定量的に安定して供給でき、施工面、品質面等の良好なポリウレタンフォームを製造することができる。特に、上記加圧容器10を備えることにより、液化二酸化炭素を収容する容器として、複雑且つ高価な真空断熱容器を採用する必要がなく、一般的に流通している液化炭酸ボンベ8を使用することができる。
また、本実施例では、差圧計22を更に備えて構成したので、液化二酸化炭素の充填時に、この差圧計22により加圧容器10内の液化二酸化炭素と気相部(不活性ガス又は二酸化炭素(気相)又はこれらの混合物)との圧力差が計測される。そのため、圧力差の計測結果に基づいて加圧容器10内の液化二酸化炭素の供給量を確認することができる。そして、充填量と差圧計の表示値は略比例するため、施工当日、必要量を加圧容器10に充填して使用すれば、液化二酸化炭素の不足による発泡倍率の低下を防ぐことができる。
さらに、本実施例では、加圧容器10に、この容器10内で加圧された液化二酸化炭素を下方から計量ポンプ11に供給するための下側供給口10cを設けたので、窒素ガスが混合していない状態の液化二酸化炭素を確実に計量ポンプ11に供給することができる。
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、液化二酸化炭素を第2液(ポリオール液)に供給・混合する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、液化二酸化炭素を第1液(ポリイソシアネート液)に供給・混合したり、液化二酸化炭素を第1液(ポリイソシアネート液)及び第2液(ポリオール液)に供給・混合したりしてもよい。
また、上記実施例では、第1圧力室24内の液化二酸化炭素の温度を間接的に検出する温度センサ60を例示したが、これに限定されず、例えば、第1圧力室24内の液化二酸化炭素の温度を直接的に検出する温度センサとしてもよい。この場合、シリンダ23には第1圧力室24内に開口する取付孔を形成し、この取付孔にシーズ型、保護管型の温度センサを取り付けることが好ましい。
また、上記実施例では、配管19,43の表面に変色塗料63を塗布する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、配管19,43に替えて又は加えて、シリンダ23の表面に変色塗料63を塗布するようにしてもよい。また、配管17や接続管39の表面に変色塗料6を塗布するようにしてもよい。
さらに、上記実施例において、例えば、図11に示すように、冷却部12のペルチェ素子58の放熱板57を、原料配管(プライマリヒータ68による加熱部直前の配管等)に熱導電性の良好な金属等の連絡部材72で連絡するようにしてもよい。これにより、エネルギーロスを低減することができる。ここで、上記連絡部材72によって本発明に係る「加熱手段」が構成されている。
ポリウレタンフォームを製造する技術として広く利用される。
1;ポリウレタンフォーム製造装置、2;液化二酸化炭素供給装置、3;第1容器、4;第2容器、8;液化炭酸ボンベ、9;窒素ガスボンベ、10;液化二酸化炭素加圧容器、10a;下側注入口、10b;上側注入口、11;計量ポンプ、12;冷却部、19,43;配管、22;差圧計、23;シリンダ、24;第1圧力室、25;第2圧力室、58;ペルチェ素子、60;温度センサ、63;変色塗料、68;プライマリヒータ、72;連絡部材。

Claims (2)

  1. 上流側の第1圧力室及び下流側の第2圧力室が形成された金属製シリンダを有するピストンポンプ式の計量ポンプを備え、液化二酸化炭素を供給する液化二酸化炭素供給装置であって、
    前記金属製シリンダ内の前記第1圧力室を形成する部位にペルチェ素子及び温度センサを配設し、該温度センサの検出結果に基づいて前記ペルチェ素子を制御し、前記第1圧力室内の液化二酸化炭素の温度を調節することを特徴とする液化二酸化炭素供給装置。
  2. 請求項1記載の液化二酸化炭素供給装置と、
    ポリイソシアネートを主成分とする第1液を収容する第1容器と、
    ポリオールを主成分とする第2液を収容する第2容器と、を備え、
    前記第1圧力室に設けた前記ペルチェ素子の廃熱を利用して、前記第1容器から供給される第1液及び前記第2容器から供給される第2液のうちの少なくとも一方の液を加熱する加熱手段を更に備え、
    前記液化二酸化炭素供給装置から供給される発泡剤としての液化二酸化炭素と、前記第1容器から供給される第1液と、前記第2容器から供給される第2液と、を混合してポリウレタンフォームを製造することを特徴とするポリウレタンフォーム製造装置。
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