JP5274794B2 - フロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

フロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建造物や構築物にスプレー又は注入発泡法により現場施工して硬質ポリウレタンフォーム層を形成する硬質ポリウレタンフォームの製造方法、スプレー又は注入発泡法現場施工による硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法に関するものである。
保温を必要とする倉庫、畜舎、タンク設備などの建造物や構築物の屋根、壁面、床等を断熱すべき基体とし、その基体表面に断熱材として硬質ポリウレタンフォームを現場施工する技術として、スプレー発泡法が周知である。スプレー発泡法においては、オゾン層を破壊するフロン化合物に代えて、HFC化合物、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)を発泡剤として使用する技術が公知であるが、コスト的に高いものである。低コストの発泡剤として二酸化炭素を使用したスプレー発泡法も公知である(特許文献1、2など)。
特許文献1、2においては、硬質ポリウレタンフォームの原料であるポリオール成分と二酸化炭素は、これらの混合前、混合後のいずれにおいても二酸化炭素の超臨界状態、亜臨界状態又は液体状態となる条件でスプレー装置に送られている。
特開2002−327439号公報 特開2003−082050号公報
スプレー発泡法においては、スプレーガンから吐出された発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分の混合物である発泡原液組成物は、スプレーノズルから一定の広がりを形成しつつ基体に向かって飛び、付着して発泡・硬化する。しかるに、特許文献1、2に開示の技術によれば、スプレー発泡時において液状の二酸化炭素が大気開放と同時に気化するために吐出した液が目的とする吹き付けパターンを形成せずに吹き付け方向以外の方向に多く飛散する現象が発生し、このため吹き付けのパターンの維持と調整が難しく、施工性において改善の余地があることが判明した。係る施工性不良は特に施工開始直後において発生し易く、時間経過と共に落ち着いて施工性が安定する場合もあるが、原料ロスの発生が避けられず、施工時間の短縮が行えないという問題がある。
本発明は、フロン代替品として圧縮又は液化された不活性ガスを発泡剤として使用し、高圧ガス保安法を遵守した設備の使用により現場発泡の完全ノンフロン化を可能とするフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法、及び硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法を提供することを目的とする。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、フロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法、及び硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法について検討した。その結果、下記の方法を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係るフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、前記の課題を解決する為に、発泡剤を含有する発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを注入又はスプレー装置にて混合して吐出する硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記発泡剤は不活性ガスであり、前記不活性ガスの圧力を減圧調整する減圧弁と不活性ガスの流量を調整するニードル弁を用いて、前記不活性ガスを定流量で供給し、定量供給されるポリオール組成物と混合して前記発泡ポリオール組成物とすることを特徴とする。
従来においては、二酸化炭素を供給する定量ポンプとしてシリンダー型のポンプが使用されているが、係るポンプを使用すると必然的に脈動が発生するため、施工開始直後から現場での安定したフロス発泡が困難である。しかし、前記構成のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、減圧弁を用いて上流側よりも低い圧力設定で不活性ガスが供給される様にする。更に、ニードル弁を用いて不活性ガスの流量を調整するので、脈動させることなく気体状態のままで定量供給することが可能になる。即ち、圧縮された不活性ガスを脈動することなく定量供給するので、施工開始直後から現場での安定したフロス発泡が可能であり、施工性を良好なものにできる。
また、不活性ガス(気体)の使用により、例えば液状の二酸化炭素を発泡剤として用いた場合の様に、ポリオール組成物との接触混合の際に、急激な体積膨張を伴うことがない。これにより、ホースから発泡ポリオール組成物を吐出する際に、ホース内部での挙動の不安定化を抑制し、発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分との撹拌時の撹拌効率を向上できる。その結果、発泡ポリオール組成物の液温も低く抑えることができ、硬質ポリウレタンフォームの発泡の際の内部発熱温度の低減が図れる。よって、前記構成であると、現場発泡の完全ノンフロン化を可能とした、フロス法による硬質ポリウレタンフォームの製造が可能になる。また、スプレーによる吹き付けの場合にも、吹き付けのパターンの維持並びに調整が従来のフロンを使用した場合と同程度に容易であって施工開始直後から安定しており、施工性も良好にできる。そのため、原料ロスも少なく、施工時間の短縮も可能である。
上記のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、前記不活性ガスは、所定圧力に圧縮されたもの、又は液化された不活性ガスを気体状にしたものであり、不活性ガスを気体状態に維持するために、不活性ガスが少なくとも減圧弁及びニードル弁を通過する際に加熱することが好ましい。これにより、不活性ガスを気体状態に維持することが一層可能になり、ポリオール組成物との接触混合の際に急激な体積膨張が生じるのを更に防止することができる。その結果、ホースから発泡ポリオール組成物を吐出する際に、ホース内部での挙動の不安定化を抑制し、発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分との撹拌時の撹拌効率を大幅に向上させることができる。
上記のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、前記ポリオール組成物の液圧が3.5〜6MPaの場合に、減圧弁は、前記ポリオール組成物との混合直前における圧力が4〜6.5MPaの範囲内となる様に前記不活性ガスを減圧調整することが好ましい。
不活性ガスの圧力を6.5MPa以下にすることにより、ホースから発泡ポリオール組成物を吐出する際の勢いが大きくなり過ぎるのを防止し、良好な作業性を確保することができる。その一方、不活性ガスの圧力を4MPa以上にすることにより、撹拌性の低下を防止し、正常な発泡を維持することができる。
本発明において、発泡剤として使用する不活性ガス(気体)としては、所定圧力に圧縮されたもの、又は液化された不活性ガスを気体状にしたものが用いられる。所定圧力に圧縮された不活性ガスとしては、窒素、希ガス等が挙げられる。また、液化された不活性ガスを気体状にしたものとしては、例えば、二酸化炭素ガス等が挙げられる。また、希ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンが挙げられる。例示した各不活性ガスは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。前記に例示した不活性ガスのうち、本発明では、熱伝導率が比較的低く、取り扱いが容易な点から二酸化炭素ガスが好ましい。尚、本発明の不活性ガスに於いてはフロンが除かれる。本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ノンフロンフロス発泡を可能にするものである。
不活性ガスの圧力は、ポリオール組成物の液圧が3.5〜6MPaの場合に、ポリオール組成物との混合直前に於いて、4〜6.5MPaであることが好ましい。圧力を6.5MPa以下にすることにより、ホースから発泡ポリオール組成物を吐出する際の勢いが大きくなり過ぎるのを防止し、良好な作業性を確保することができる。その一方、不活性ガスの圧力を4MPa以上にすることにより、撹拌性の低下を防止し、正常な発泡を維持することができる。
不活性ガスの流量は、例えば不活性ガスがCOの場合、ポリオール組成物との混合直前に於いて、20〜70g/minであることが好ましく、30〜50g/minであることがより好ましい。不活性ガスの流量が20g/min未満であると、充分な発泡ができないため、良好な発泡体が得られない。その一方、70g/minを越えると、フォーム密度が低下し、フォーム物性に影響を与えるため好ましくない。尚、前記不活性ガスの流量は、ポリオール組成物が2〜4kg/分(1〜1.75wt%/ポリオールwt%)の場合に対応する。
また、発泡剤としては、水を併用することが好ましい。水の使用量は特に限定されないが、ポリオール組成物100重量部に対して、0.5〜3.5重量部が好ましく、1〜2.5重量部がより好ましい。水の使用量が0.5重量部未満であると、ポリイソシアネート成分と反応して発生する炭酸ガスの生成量が少なくなり、得られる発泡合成樹脂の軽量化が図られない場合がある。その一方、使用量が3.5重量部を超えると、ポリオール組成物との混合により反応して発生するCOガスが多くなり、極端な密度の低下、及びポリウレタンフォーム物性の強度特性面の低下が生じる場合がある。
本発明において使用するポリオール組成物は、ポリオール化合物、触媒、整泡剤を含み、必要に応じて架橋剤、難燃剤等のポリウレタンフォームの分野における公知の添加剤を含有する。ポリオール組成物に発泡剤である圧縮された不活性ガスを混合して発泡ポリオール組成物が形成される。
不活性ガスと接触する際のポリオール組成物の液温は、30〜50℃であることが好ましく、35〜40℃であることがより好ましい。50℃を超えると内部発熱温度が上昇し、硬質ポリウレタンフォームが焼ける場合がある。また、液温を30℃未満であると、発泡スピード(反応性)の極端な遅延化や原液粘度の上昇による撹拌効率低下等により施工性不良となる場合がある。尚、液温を30〜40℃にすることにより、硬質ポリウレタンフォームの発泡の際の内部発熱温度を15〜20℃程度低減することができる。
ポリオール化合物としては、硬質ポリウレタンフォームないしイソシアヌレートフォーム用のポリオール化合物として公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物を限定なく使用することができる。ポリエーテルポリオール化合物としては、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂肪族アミンポリオール、芳香族アミンポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール等が公知であり、使用可能である。ポリオール化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。併用するポリオール化合物は、単独の開始剤を使用して製造したものを混合してもよく、開始剤を混合して製造したものであってもよい。
脂肪族ポリエーテルポリオールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類、ペンタエリスリトール等の4官能アルコール類、ソルビトール、シュークロース等5官能以上の多価アルコール類から選択される少なくとも1種の低分子量多価アルコールを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加させたポリオール化合物である。
脂肪族ポリエーテルポリオールの水酸基価は、2官能、3官能のポリオール化合物については50〜600mgKOH/gであることが好ましく、4官能以上のポリオール化合物については300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
脂肪族アミンポリオールとしては、アルキレンジアミン系ポリオールや、アルカノールアミン系ポリオールが例示される。これらのポリオール化合物は、アルキレンジアミンやアルカノールアミンを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状エーテルの少なくとも1種を開環付加させた末端水酸基の多官能ポリオール化合物である。アルキレンジアミンとしては、公知の化合物が限定なく使用できる。具体的にはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミン等の炭素数が2〜8のアルキレンジアミンの使用が好適である。これらの中でも、炭素数の小さなアルキレンジアミンの使用がより好ましく、特にエチレンジアミン、プロピレンジアミンを開始剤としたポリオール化合物の使用が好ましい。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが例示される。アルキレンジアミンを開始剤としたポリオール化合物の官能基数は4であり、アルカノールアミンを開始剤としたポリオール化合物の官能基数は3であり、これらの混合物では官能基数は3〜4となる。脂肪族アミンポリオールの水酸基価は、300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
芳香族ポリエーテルポリオールは、ヒドロキノン、ビスフェノールA、キシリレングリコール等の芳香族化合物を開始剤として、上記の脂肪族ポリエーテルポリオールなどと同様にして製造する。芳香族ポリエーテルポリオールの水酸基価は300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
芳香族アミンポリオールは、芳香族ジアミンを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状エーテルの少なくとも1種を開環付加させた末端水酸基の多官能ポリエーテルポリオール化合物である。開始剤としては、公知の芳香族ジアミンを限定なく使用することができる。具体的には2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が例示される。これらの中でも得られる硬質ポリウレタンフォームの断熱性と強度などの特性が優れている点でトルエンジアミン(2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン又はこれらの混合物)の使用が特に好ましい。芳香族アミンポリオールの官能基数は4であり、水酸基価は300〜600mgKOH/gであることが好ましい。
ポリエステルポリオールは、グリコールと芳香族ジカルボン酸から構成される。グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−ないし1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量150〜500のポリオキシエチレングリコールが例示される。また芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が例示される。このようなエステルポリオールは、従来一般的に使用されている芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールやジエチレングリコールから構成されるエステルポリオールと同様な製造方法にて製造可能である。
必要に応じて本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物を構成する架橋剤としては、ポリウレタンの技術分野において使用される低分子量多価アルコールが使用可能である。具体的には、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン等が例示される。
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造に際しては、上記成分の他に、当業者に周知の触媒、難燃剤、着色剤、酸化防止剤等が使用可能である。
触媒としては、N−アルキルポリアルキレンポリアミン類、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(ポリキャット−8)、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、イミダゾール誘導体を使用することが好ましい。また、ポリウレタン分子の構造において難燃性向上に寄与するイソシアヌレート結合を形成する触媒の使用も好ましく、例えば酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩触媒、第4級アンモニウム塩触媒が例示できる。
本発明においては、さらに難燃剤を添加することも好ましい態様であり、好適な難燃剤としては、有機リン酸エステル類が例示される。有機リン酸エステル類は、可塑剤としての作用も有し、従って硬質ポリウレタンフォームの脆性改良の効果も奏することから、好適な添加剤である。またポリオール組成物の粘度低下効果も有する。かかる有機リン酸エステル類としては、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステルやアリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が使用可能である。
次に、本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法に使用する発泡ポリオール組成物供給装置の好適な実施形態について説明する。また以下では、不活性ガスとして二酸化炭素ガスを例にして述べる。図1は、前記発泡ポリオール組成物供給装置の好適な実施形態を示した概略正面図である。発泡ポリオール組成物供給装置は、液化炭酸ガスが貯蔵されているボンベ12と、二酸化炭素ガスを定流量供給する定流量供給手段27と、ポリオール組成物貯蔵装置14と、ポリイソシアネート成分を貯蔵するポリイソシアネート貯蔵装置41とを備えている。
ボンベ12には液相まで伸びるサイフォン管は設けられておらず、気相から二酸化炭素ガスのみを取り出す。更に、二酸化炭素ガスはボンベ12からバルブ21、配管23を通じて定流量供給手段27に圧送される。定流量供給手段27は、図2に示すように、二酸化炭素ガスの圧力を減じる減圧弁22と、二酸化炭素ガスの流量を所定の流量に調整するニードル弁25を少なくとも備える。減圧弁22は、二酸化炭素ガスの上流側の圧力を6MPa〜6.5MPaとした場合、下流側の圧力を5.5MPa〜6MPaの範囲内になる様に減圧調整させる。減圧弁22とニードル弁25の間には、二酸化炭素ガスの圧力を6MPa〜6.5MPaの範囲内で一定圧力となるよう調圧される保圧弁32、及び二酸化炭素ガスの流量を適時測定する高圧ガス用の流量計24が設けられている。また、ニードル弁25の下流側には、二酸化炭素ガスを適時的に供給することを可能にする遮断弁28、及び二酸化炭素ガスの逆流を防止する逆止弁29が順次設けられている。当該構成とすることにより、二酸化炭素ガスを無脈動にて定量的に供給することができる。前記減圧弁22から遮断弁28までは、二酸化炭素ガスが液化しないように加熱され、後述する温度範囲内に設定されていることが好ましい。また、遮断弁28としては、例えば、電気的にバルブの開閉を可能にする電磁弁が挙げられる。当該電磁弁の使用により、例えば、注入装置又はスプレー装置のガンの開閉に連動させて遮断弁28の開閉を適時的に行うことが可能になる。
前記流量計24としては特に限定されず、例えば、バイパスキャピラリ加熱形の熱式質量流量計等を使用することができる。熱式質量流量には、二酸化炭素ガスが流れるガス流路と、主流路から分岐したバイパス流路としてのキャピラリ管が設けられている。また、キャピラリ管の上流側と下流側にはサーモレジスタが設けられている。前記サーモレジスタに電流が流れて両サーモレジスタが加熱された状態で、前記キャピラリ管内に二酸化炭素ガスが流れた際に生ずる抵抗値の変化が、ニードル弁25を駆動制御するための制御回路部のブリッジ回路によって取り出され、増幅回路を介して出力された電気信号に基づいて前記主流路に対するキャピラリ管の分流比から総流量が検知される。この検出値を、予め流量値が設定された設定器からの設定信号と比較制御回路にて比較することにより、主流路内を設定値流量の二酸化炭素ガスが流れるように、ニードル弁25の開度が駆動制御される。
定流量供給手段27から定量供給される二酸化炭素ガスは配管30を通じて送り出され、ポリオール組成物31と混合される。図1においては、二酸化炭素ガスはP点で3方コックにより流路を切り換えてポリオール組成物31と混合可能に構成されている。配管26Aを使用した場合、合流点Aにおいて二酸化炭素ガスとポリオール組成物31が混合されて発泡ポリオール組成物が形成され、温度調節装置37を通過して所定温度に調節された発泡ポリオール組成物が配管39を通じて注入装置(又はスプレー装置)に送られる。
また、配管26Bを使用した場合、合流点Bにおいて二酸化炭素ガスとポリオール組成物31が混合されて発泡ポリオール組成物が形成される。この場合、ポリオール組成物31は温度調節装置37を通過して所定温度に調節された後に合流点Bにおいて二酸化炭素と混合されて発泡ポリオール組成物となり、配管39を通じて注入装置等に送られる。配管39を通じて供給される発泡ポリオール組成物は、注入装置等によりポリイソシアネート成分と吐出、混合して基体に吹き付けることによりフロス法硬質ポリウレタンフォームが形成される。
定流量供給手段27から供給される二酸化炭素ガスは、合流点Aまでの間、完全に気化しており、気体状態(超臨界状態、亜臨界状態、液体状態のいずれでもない。)でポリオール組成物31と混合される。二酸化炭素ガスとポリオール組成物31の混合は、単にポリオール組成物31の流動する配管35に二酸化炭素ガスの流動する配管30を接続する状態で二酸化炭素ガスを送り込むことにより行うことができる。合流点Aの下流位置に、さらにスタティックミキサーなどの混合装置を設けてもよい。
発泡ポリオール組成物はポリイソシアネート成分との混合前に加熱して所定温度に調整する。加熱は二酸化炭素との混合前のポリオール組成物31を例えばB位置で行ってもよく、二酸化炭素と混合した発泡ポリオール組成物の状態で、A位置で行ってもよい。発泡時の安定性が優れている点で、二酸化炭素と混合した発泡ポリオール組成物をA位置で加熱することがより好ましい。発泡ポリオール組成物の温度は50℃以下、30℃以上であることが好ましい。
ボンベ12に於ける液化炭酸ガスの充填圧力は、4〜6MPaであることが好ましい。また、ボンベ12に於ける二酸化炭素ガスの温度は、6〜22℃であることが好ましい。
また、ボンベ12のバルブ21から定流量供給手段27の遮断弁28までの二酸化炭素ガスの圧力は、気体状態が維持されていればよく、ボンベ12の充填圧力を考慮すると4〜7MPaであることが好ましく、4.5〜6.5MPaであることがより好ましい。また、減圧弁22から遮断弁28までの間での加熱温度は、20〜45℃であることが好ましく、30〜40℃であることがより好ましい。
配管30中の二酸化炭素ガスの圧力は、上述のように3〜5MPaであることが好ましく、3.5〜4.5MPaであることがより好ましい。温度は、完全に気化する温度であり、圧力に応じて調整するものであるが、14〜30℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。遮断弁28から合流点Aまでの配管30中の二酸化炭素ガスの圧力と温度は、発泡ポリオール組成物中に二酸化炭素ガスの微細気泡が形成されるように設定する。遮断弁28としては、例えばケイヒン製の電磁弁等を使用することができる。
前記ポリイソシアネート成分は、温度調節装置43を通過して所定温度に調節され、配管42を通じて供給される。前記発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分との混合は、例えば、現場発泡の場合は特に中圧吐出(5〜7MPa程度)の攪拌混合で行われることが好ましい。また、撹拌混合としては、ヘリカル回転式、ピン付き回転式等の撹拌混合が挙げられる。本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造時には、中圧発泡機等を使用して、工場生産や現場発泡を行うことが可能である。
本発明の製造方法により製造する硬質ポリウレタンフォームないしポリイソシアヌレートフォーム(断熱材として)の密度は、50〜110kg/mであることが好ましく、55〜90kg/mであることがより好ましい。係る密度を達成するための炭酸ガスの供給量は、発泡原液組成物(発泡ポリオール組成物+ポリイソシアネート成分)中、0.3〜1.5重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%である。
<硬質ポリウレタンフォーム製造例>
(実施例1〜3)
市販の硬質ポリウレタンフォーム原液(ソフラン−R、ポリオール182−100LC1、イソシアネートS−220NC:東洋ゴム工業製)を使用し、図1及び2に示した発泡ポリオール組成物供給装置を使用して現場発泡法によりフロス法硬質ポリウレタンフォームを作製した。発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分は同じ温度に調整して使用した。また、定流量供給手段27における減圧弁22から遮断弁28までを約30〜40℃となる様に加熱して、二酸化炭素ガスの固体化を防止した。尚、表1中のCOガス温度は、定流量供給手段27の出口における温度である。COガス流量は、流量計24で測定した値を示す。COガス圧は、ポリオール組成物との混合直前における値を示す。また、二酸化炭素ガスとポリオール組成物の混合位置はA又はBの何れかとした。
(比較例1)
比較例1に於いては、図1に示す定流量供給手段27に代えて、二酸化炭素ガスを冷却して液状に維持する液化装置と液状の二酸化炭素を定量的に送り出す無脈動定量ポンプとを備え、かつ、液化装置と無脈動定量ポンプを接続する配管は、液化された二酸化炭素が気化しないように冷却ないし断熱保冷されたものを用いた。更に、配管30においても二酸化炭素が気化しない様にする為、冷却ないし断熱保冷をして行った。尚、表1中の液体CO温度は、無脈動定流ポンプの出口における温度である。液体COの流量は、無脈動定流ポンプを通過した直後の値を示す。液体COの液圧は、ポリオール組成物との混合直前における値を示す。また、液化された二酸化炭素とポリオール組成物の混合位置はBとした。
<評価>
(圧縮強度)
JIS K 7220に準拠して測定した。
(施工性)
注入発泡時に施工開始当初から所定の施工が行えるか否かを目視で評価した。
<評価結果>
実験条件と評価結果は表1に示す。この評価結果より本発明の注入発泡法によれば良好な施工性にて所定の特性を有する硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができた。これに対し、発泡剤として二酸化炭素が液体状態となる条件で施工した比較例では、特に施工開始後の施工性が悪く、原料ロスが多く発生すると共に、注入条件の調整に時間を要し、施工時間の短縮が不十分であった。
Figure 0005274794
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法に使用する発泡ポリオール組成物供給装置の好適な実施形態を示した概略正面図である。 前記発泡ポリオール組成物供給装置に於ける定流量供給手段を示した概略正面図である。
符号の説明
12 ボンベ
14 ポリオール組成物貯蔵装置
21 バルブ
22 減圧弁
23 配管
24 流量計
25 ニードル弁
26A,B 配管
27 定流量供給手段
28 遮断弁
29 逆止弁
30 配管
31 ポリオール組成物
32 保圧弁
35 配管
37 温度調節装置
39 配管
41 ポリイソシアネート貯蔵装置
42 配管
43 温度調節装置

Claims (8)

  1. 発泡剤を含有する発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを注入又はスプレー装置にて混合して吐出する、中圧発泡機を用いた現場施工による硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
    前記発泡剤は不活性ガスであり、
    前記不活性ガスは気体状態であり、
    前記不活性ガスの圧力を減圧調整する減圧弁と不活性ガスの流量を調整するニードル弁を用いて、前記不活性ガスを定流量で供給し、定量供給されるポリオール組成物と混合して前記発泡ポリオール組成物とし、
    前記ポリオール組成物の液圧が3.5〜6MPaであり、
    前記減圧弁は、前記ポリオール組成物との混合直前における圧力が4〜6.5MPaの範囲内となる様に前記不活性ガスを減圧調整することを特徴とする、密度が50〜110kg/m であるフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 前記不活性ガスは、所定圧力に圧縮されたもの、又は液化された不活性ガスを気体状にしたものであり、不活性ガスを気体状態に維持するために、不活性ガスが少なくとも減圧弁及びニードル弁を通過する際に加熱することを特徴とする請求項1に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 前記不活性ガスがCO であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  4. 前記ポリオール組成物の流量が2〜4kg/分であり、
    前記不活性ガスの流量が、前記ポリオール組成物との混合直前に於いて、20〜70g/分であることを特徴とする請求項3に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 発泡剤を含有する発泡ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを注入又はスプレー装置にて混合して吐出する、中圧発泡機を用いた現場施工による硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法であって、
    前記発泡剤は不活性ガスであり、
    前記不活性ガスは気体状態であり、
    前記不活性ガスの圧力を減圧調整する減圧弁と不活性ガスの流量を調整するニードル弁を用いて、前記不活性ガスを定流量で供給し、定量供給されるポリオール組成物と混合して前記発泡ポリオール組成物とし、
    前記ポリオール組成物の液圧が3.5〜6MPaであり、
    前記減圧弁は、前記ポリオール組成物との混合直前における圧力が4〜6.5MPaの範囲内となる様に前記不活性ガスを減圧調整することを特徴とする、密度が50〜110kg/m であるフロス法硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法。
  6. 前記不活性ガスは、所定圧力に圧縮されたもの、又は液化された不活性ガスを気体状にしたものであり、不活性ガスを気体状態に維持するために、不活性ガスが少なくとも減圧弁及びニードル弁を通過する際に加熱することを特徴とする請求項5に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法
  7. 前記不活性ガスがCO であることを特徴とする請求項5又は6に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法。
  8. 前記ポリオール組成物の流量が2〜4kg/分であり、
    前記不活性ガスの流量が、前記ポリオール組成物との混合直前に於いて、20〜70g/分であることを特徴とする請求項7に記載のフロス法硬質ポリウレタンフォーム断熱層の施工方法。
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