JP2019093344A - 保護層塗布装置及び保護層塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠隔制御部によって、液剤の温度、圧力又は流量の調整を、離れた場所から行い、作業現場の省人化又は作業者の手間を省く。【解決手段】複数の液剤をスプレーガン48から吐出混合させて硬化させ、作業現場で保護層を形成する保護層塗布装置10において、前記スプレーガンに第1液剤を圧送する第1供給部22と、前記スプレーガンに第2液剤を圧送する第2供給部30と、前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を計測する本体計測部40と、前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を調整する本体調整部44と、前記計測部及び前記調整部を動作させる本体制御部21と、前記本体制御部を遠隔操作することによって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とする遠隔制御部70と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、対象物に防水等の目的で保護層を塗布するために、複数の液剤を混合して対象物にスプレーして硬化させる、保護層塗布装置及び保護層塗布方法に関する。
従来、液剤供給装置に後付けすることにより液剤の供給状態を計測することができ、液剤の供給状態の異常による施工不良を防止することを目的として、特開2015−186782号公報に、複数の液剤をスプレーガンから吐出混合させるために前記液剤を加圧して供給する液剤供給装置の液剤供給計測装置において、前記液剤供給装置の前記液剤の吐出側に接続される入側接続部と、前記液剤の流量、圧力を計測する計測部と、前記スプレーガン側に接続され前記液剤を吐出する出側接続部と、前記流量、前記圧力の内1つ以上の値から前記液剤の供給状態が異常か否かを判断し、異常と判断したときに異常信号を出力する制御部と、を備える液剤供給計測装置が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されている技術では、供給状態の計測はできるものの、液剤を圧送するポンプの圧力(流量)や液剤を加温するヒータの出力等を遠隔操作することはできなかった。このため、液剤の圧力や温度を調整する作業者が、液剤供給装置の操作装置がある場所に居る必要があり、作業現場において作業者の数が増大する、または作業者が、スプレーガンと液剤供給装置の操作装置との間を往復する必要があった。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、遠隔制御部によって、液剤の温度、圧力又は流量の計測や調整を、離れた場所からすることができ、作業現場の省人化又は作業者の手間を省くことができる保護層塗布装置及び保護層塗布方法を提供することを目的とする。
本発明の保護層塗布装置は、
複数の液剤をスプレーガンから吐出混合させて硬化させ、作業現場で保護層を形成する保護層塗布装置において、
前記スプレーガンに第1液剤を圧送する第1供給部と、
前記スプレーガンに第2液剤を圧送する第2供給部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を計測する本体計測部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を調整する本体調整部と、
前記計測部及び前記調整部を動作させる本体制御部と、
前記本体制御部を遠隔操作することによって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とする遠隔制御部と、
を備えることを特徴とする。
複数の液剤をスプレーガンから吐出混合させて硬化させ、作業現場で保護層を形成する保護層塗布装置において、
前記スプレーガンに第1液剤を圧送する第1供給部と、
前記スプレーガンに第2液剤を圧送する第2供給部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を計測する本体計測部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を調整する本体調整部と、
前記計測部及び前記調整部を動作させる本体制御部と、
前記本体制御部を遠隔操作することによって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とする遠隔制御部と、
を備えることを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置によれば、遠隔制御部によって、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量を遠隔操作できるため、液剤の温度、圧力又は流量を調整する作業者が、液剤の温度、圧力又は流量を操作する装置がある場所に居る必要がなく、作業現場の省人化を図ることができる。また、作業者がスプレーガンの位置に居て実際の塗布状態を確認しながら液剤の温度、圧力又は流量を調整することができるため、スプレーガンと液剤の温度、圧力又は流量を操作する装置がある場所とを往復する必要がなくなる。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例は、
前記本体制御部と前記遠隔制御部との通信に、無線通信を使用することを特徴とする。
前記本体制御部と前記遠隔制御部との通信に、無線通信を使用することを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例によれば、本体制御部と遠隔制御部との通信に、無線通信を使用するため、通信線を設置する必要がなくなる。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例は、
前記本体制御部と前記遠隔制御部との通信に、携帯電話用電気通信回線を使用することを特徴とする。
前記本体制御部と前記遠隔制御部との通信に、携帯電話用電気通信回線を使用することを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例によれば、本体制御部と遠隔制御部との通信に、携帯電話用電気通信回線を使用するため、本体制御部と遠隔制御部との距離が離れているような場合でも問題なく通信することができる。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例は、
前記遠隔制御部が前記作業現場とは別の指令場所に設けられ、前記指令場所において前記本体制御部の遠隔操作又は監視を可能とすることを特徴とする。
前記遠隔制御部が前記作業現場とは別の指令場所に設けられ、前記指令場所において前記本体制御部の遠隔操作又は監視を可能とすることを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例によれば、遠隔制御部が作業現場とは別の指令場所に設けられ、指令場所において本体制御部の遠隔操作又は監視を可能とするため、指令場所で保護層塗布装置の稼働状況を確認することができる。また、指令場所でも塗布作業の操作を行なうことができ、係る場合、作業現場のさらなる省人化を図ることができる。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例は、
前記スプレーガンの位置を特定できる位置特定部を備え、前記指令場所において前記スプレーガンの位置を把握できることを特徴とする。
前記スプレーガンの位置を特定できる位置特定部を備え、前記指令場所において前記スプレーガンの位置を把握できることを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例によれば、位置特定部を備え、指令場所においてスプレーガンの位置を把握できるため、作業管理をし易くなる。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例は、
前記指令場所に、前記位置特定部で得られた位置情報、並びに前記計測部で計測した前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を施工データとして記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
前記指令場所に、前記位置特定部で得られた位置情報、並びに前記計測部で計測した前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を施工データとして記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例によれば、指令場所に、位置情報、並びに第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量を施工データとして記憶する記憶部を備えるため、作業現場での施工データを指令場所で記憶でき、履歴管理が容易となる。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例は、
前記スプレーガンが、走行距離に応じて前記スプレーガンから所定の量の前記第1液剤及び前記第2液剤を自動的に塗布するロボットに装着されていることを特徴とする。
前記スプレーガンが、走行距離に応じて前記スプレーガンから所定の量の前記第1液剤及び前記第2液剤を自動的に塗布するロボットに装着されていることを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例によれば、スプレーガンが、走行距離に応じて所定の量の第1液剤及び第2液剤を自動的にスプレーするロボットに装着されているため、均一な膜厚の保護層を形成することができる。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例は、
前記遠隔制御部が、前記ロボットの走行の開始と停止、及び塗布の開始と停止を遠隔操作できることを特徴とする。
前記遠隔制御部が、前記ロボットの走行の開始と停止、及び塗布の開始と停止を遠隔操作できることを特徴とする。
本発明の保護層塗布装置の好ましい例によれば、遠隔制御部が、ロボットの走行の開始と停止、及び塗布の開始と停止を遠隔操作できるため、作業現場のさらなる省人化を図ることができる。
本発明の保護層塗布方法によれば、
複数の液剤をスプレーガンから吐出混合させて硬化させ、作業現場で保護層を形成する保護層塗布方法において、
前記スプレーガンに第1液剤を圧送する第1供給部と、
前記スプレーガンに第2液剤を圧送する第2供給部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を計測する本体計測部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を調整する本体調整部と、
前記本体計測部及び前記本体調整部を動作させる本体制御部と、
前記本体制御部を遠隔操作することによって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とする遠隔制御部と、
走行距離に応じて前記スプレーガンから所定の量の前記第1液剤及び前記第2液剤を自動的に塗布させるロボットと、を備える保護層塗布装置を用いて、
前記遠隔制御部によって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の調整、並びに前記ロボットの走行の開始と停止、及び塗布の開始と停止を遠隔操作しながら塗布することを特徴とする。
複数の液剤をスプレーガンから吐出混合させて硬化させ、作業現場で保護層を形成する保護層塗布方法において、
前記スプレーガンに第1液剤を圧送する第1供給部と、
前記スプレーガンに第2液剤を圧送する第2供給部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を計測する本体計測部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を調整する本体調整部と、
前記本体計測部及び前記本体調整部を動作させる本体制御部と、
前記本体制御部を遠隔操作することによって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とする遠隔制御部と、
走行距離に応じて前記スプレーガンから所定の量の前記第1液剤及び前記第2液剤を自動的に塗布させるロボットと、を備える保護層塗布装置を用いて、
前記遠隔制御部によって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の調整、並びに前記ロボットの走行の開始と停止、及び塗布の開始と停止を遠隔操作しながら塗布することを特徴とする。
本発明の保護層塗布方法の好ましい例は、
前記スプレーガンの位置を特定できる位置特定部と、
前記位置特定部で得られた位置情報、並びに前記計測部で計測した前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を施工データとして記憶する記憶部をさらに備える保護層塗布装置を用いて、
前記記憶部に前記施工データを記憶させながら塗布することを特徴とする。
前記スプレーガンの位置を特定できる位置特定部と、
前記位置特定部で得られた位置情報、並びに前記計測部で計測した前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を施工データとして記憶する記憶部をさらに備える保護層塗布装置を用いて、
前記記憶部に前記施工データを記憶させながら塗布することを特徴とする。
本発明の保護層塗布方法の好ましい例は、
前記作業現場とは別の指令場所に前記記憶部が設けられ、前記施工データを前記指令場所にて記憶することを特徴とする。
前記作業現場とは別の指令場所に前記記憶部が設けられ、前記施工データを前記指令場所にて記憶することを特徴とする。
これらの本発明に係る保護層塗布方法によれば、上述の保護層塗布装置と同様の作用効果を奏することができる。
以上、説明したように、本発明の保護層塗布装置及び保護層塗布方法によれば、遠隔制御部によって、液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を、離れた場所からすることができ、作業現場の省人化又は作業者の手間を省くことができる。
以下、本発明の保護層塗布装置及び保護層塗布方法の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明に係る保護層塗布方法は、本発明に係る保護層塗布装置を用いて実施される。
先ず、図1ないし図5を参照して、第1実施形態の保護層塗布装置10を説明する。保護層塗布装置10は、複数の液剤をスプレーガン48から吐出混合させて塗布して硬化させ、作業現場で保護層を形成する装置である。この複数の液剤としては、例えば、エポキシ樹脂、2液型ウレタン樹脂等の主剤(第1液剤)と硬化剤(第2液剤)が用いられる。また、図示しない第3液剤としてその他の液剤を用いることもある。本実施形態の保護層塗布装置10は、本体部20と、ロボット50と、本体部20及びロボット50を操作する遠隔制御部70とを備える。
本体部20は、本体制御部21と、第1供給部22と、第2供給部30と、本体計測部40と、本体調整部44と、本体入力部45と、本体表示部46と、記憶部47と、スプレーガン48とを備える。なお、第3液剤を使用する態様では、図示しない第3供給部も備えられる。
本体制御部21は、CPU、メモリー、制御プログラム等で構成され、本体部20の他の構成要素と協動して本体部20を動作させる。また、本体制御部21には、通信回路として、有線による通信回路、無線LAN等の近距離無線通信回路、携帯電話用電気通信回線を用いた携帯電話用通信回路等が備えられる。本実施形態の保護層塗布装置10では、携帯電話用通信回路が備えられ、携帯電話用電気通信回線12によって遠隔制御部70と通信することができる。
第1供給部22は、スプレーガン48に第1液剤を圧送するもので、第1液剤を溜めておく第1タンク23と、第1液剤を圧送するための第1ポンプ24と、第1液剤を加温する第1ヒーター25と、第1タンク23から第1ポンプ24を経てスプレーガン48まで第1液剤を移送する第1配管26とを備える。
第2供給部30は、スプレーガン48に第2液剤を圧送するもので、第2液剤を溜めておく第2タンク31と、第2液剤を圧送するための第2ポンプ32と、第2液剤を加温する第2ヒーター33と、第2タンク31から第2ポンプ32を経てスプレーガン48まで第2液剤を移送する第2配管34とを備える。
本体計測部40は、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量を計測するものであり、第1配管26及び第2配管34の経路の途中に、温度センサー41a,41b、圧力センサー42a,42b、流量センサー43a,43bを備えることで構成される。なお、圧力センサー42a,42bと流量センサー43a,43bは、その一方だけで第1液剤及び第2液剤の吐出量を制御できる場合は、もう一方のセンサーは備えなくともよい。
本体調整部44は、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量を調整するもので、上記の本体計測部40で得られた温度、圧力又は流量に基づき第1ポンプ24、第2ポンプ32、第1ヒーター25、第2ヒーター33の出力等を調整する。また、第1液剤及び第2液剤の圧力又は流量は、第1ポンプ24及び第2ポンプ32の出力を調整する代わりに、第1配管26及び第2配管34に図示しない絞り弁を設けることで調整してもよい。なお、本体調整部44は、第1ポンプ24、第2ポンプ32、第1ヒーター25、第2ヒーター33の出力等の調整のみならず、これらの動作の開始と停止もできることは勿論である。
本体入力部45は、タッチパネル、スイッチ、可変抵抗器等から構成され、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量等の設定値を入力する等、液剤の温度や圧力等を操作するとともに本体部20の各種操作に用いられるものである。なお、本体計測部40で計測した第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量の計測値が、本体入力部45で設定した設定値となるよう、上記の本体制御部21によって本体調整部44が制御され、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量が調整される。
本体表示部46は、タッチパネル、ディスプレイ、表示灯等から構成され、本体計測部40で計測された第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量等の計測値、及び本体入力部45で入力された第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量等の設定値等の情報を表示する他、本体部20の各構成要素の動作状況を表示する。
記憶部47は、ハードディスクドライブ、半導体メモリー等から構成され、施工時の日時、本体計測部40で計測した第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量の計測値、並びに本体入力部45で設定した第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量等の設定値等の、本体部20の稼働状況を示す施工データを記憶する。また、後述するロボット50の稼働状況や位置特定部66での位置情報も施工データとして記憶することができる。
スプレーガン48は、第1供給部22及び第2供給部30から供給された第1液剤及び第2液剤を吐出混合するもので、本実施形態の保護層塗布装置10では、ロボット50に搭載される。なお、スプレーガン48はロボット50に搭載されている態様に限定されず、作業者が直接手に持って操作してもよい。
ロボット50は、車体51と、走行駆動部56と、スプレーガン駆動部58と、ロボット制御部62と、ロボット計測部63と、ロボット入力部64と、ロボット表示部65と、位置特定部66とを備える。
車体51は、フレーム52と、支持輪53と、操舵輪54とを備える。フレーム52は、平面視略ホームベース状に構成されたもので、ロボット50の各構成要素が取付けられる。支持輪53は、フレーム52の左右の両端に設けられた車輪であり、操舵輪54とともにフレーム52を支える。操舵輪54は、フレーム52の前方に設けられるもので、ハンドル55が接続されてその角度を自在に変えることができるとともに、走行駆動部56の一部を構成するモーター57が取付けられて、駆動輪としての作用も有する。
走行駆動部56は、モーター57、図示しないアクセル、ブレーキ、バッテリー等で構成され、作業者の操作又は設定された値に従ってロボット50を走行させる。
スプレーガン駆動部58は、スプレーガン48が取付けられるとともに、図3の矢印Aに示すように、スプレーガン48をロボット50の幅方向に往復移動させるものである。本実施形態ではスプレーガン48はガンレール59に取付けられ、ガンレール59の幅の中で往復される。なお、スプレーガン48を往復させる幅、スプレーガン48を移動させる速度、及びスプレーガン48の移動開始位置等は任意の値を設定することができる。また、スプレーガン駆動部58には、スプレーガン48から散布された第1液剤及び第2液剤の飛散を防止するためのカバー61が取付けられる。
ロボット制御部62は、CPU、メモリー、制御プログラム等で構成され、ロボット50の他の構成要素と協動してロボット50を動作させる。また、ロボット制御部62には、本体制御部21同様に有線、無線を用いた通信回路が備えられる。本実施形態では、携帯電話用通信回路が備えられ、携帯電話用電気通信回線12によって遠隔制御部70と通信することができる。
ロボット計測部63は、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量を計測するものであり、ロボット50近傍又はロボット50内部の第1配管26及び第2配管34又はスプレーガン48の内部に、温度センサー、圧力センサー、流量センサー(いずれも図示せず)を備えることで構成される。なお、ロボット計測部63は必須の構成ではなく、本体計測部40の計測値を用いることで省略することもできる。
ロボット入力部64は、各種のパラメータであるロボット設定値を入力するためのものであり、本実施形態では、タッチパネルが採用される(図5参照)。このロボット設定値としては、例えば、第1液剤及び第2液剤を1平方メートルあたりどれだけの量散布して塗布させるかの散布量、第1液剤及び第2液剤をどれだけ吐出して散布するかの吐出量、スプレーガン48をガンレール59の中でどれだけの速度で移動させるかのガン速度、スプレーガン48をガンレール59の中でどれだけの幅で往復させるかのガン塗布幅、スプレーガン48をガンレール59の原点位置60からどれだけずらした位置を起点として移動させるかのガン開始位置、ロボット50をどれだけの速度で走行させるかの走行速度、散布量を調整するための定数が挙げられる。
ここで、第1液剤及び第2液剤が硬化して形成される保護膜の膜厚は、1平方メートルあたりどれだけの量の第1液剤及び第2液剤を散布するかによる散布量によって決定される。また、この散布量は、スプレーガン48から吐出される第1液剤及び第2液剤の吐出量と、スプレーガン48をどれだけの幅で往復させるかのガン塗布幅、スプレーガン48が往復するときのガン速度、及びロボット50の走行速度に左右される。これらのうち、吐出量は装置の仕様により略決まってしまい、ガン塗布幅は作業現場の仕様により決定される。このため、ロボット制御部62は、設定された散布量とするために、ガン速度及び走行速度を算出して調整している。このようにして、走行距離に応じてスプレーガン48から所定の量の第1液剤及び第2液剤が自動的に塗布されるようにしている。また、ロボット制御部62は、第1液剤及び第2液剤の圧力又は流量が変化して吐出量が変化したときは、自動的にガン速度及び走行速度を変更して、膜厚が均一となるよう制御することもできる。
また、上記の定数とは、例えば、施工前のテスト塗布で塗布した保護層の膜厚が薄くて厚くしたい場合、1.1と入力すれば散布量が1割増しになり、逆に0.9と入力すれば1割減となるようにガン速度、走行速度を調整するものである。また、ロボット入力部64は、ロボット50の走行開始と停止、スプレーガン48の噴霧の開始と停止も操作することができる。また、ロボット設定値も、施工データに含めて記憶部47に記憶させることができる。
ロボット表示部65は、ロボット50の各構成要素の動作状況、上記のロボット50設定値等を表示するもので、本実施形態ではタッチパネルを用いて、ロボット入力部64とその部材を共通にしている。
位置特定部66は、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用したものが採用でき、ここでは位置特定部66をロボット50に取付けることで、ロボット50の位置を特定してスプレーガン48の位置を特定している。また、ロボット50を備えない構成では、スプレーガン48を操作する作業者が位置特定部66を携帯して、スプレーガン48の位置を特定することができる。
遠隔制御部70は、本体制御部21を遠隔操作することによって第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とするものである。この遠隔制御部70として、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ等の携帯型端末機が用いられる。また、遠隔制御部70には、本体制御部21同様に有線、無線を用いた通信回路が備えられる。本実施形態では、携帯電話用通信回路が備えられたスマートフォンが採用され、携帯電話用電気通信回線12によって本体制御部21及びロボット制御部62と通信することができる。
この遠隔制御部70によってできることの例として、本体部20においては、例えば、本体計測部40による第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量の計測値の監視(モニター)があり、さらに本体調整部44による第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量の調整、第1ポンプ24及び第2ポンプ32の運転開始と停止等の遠隔操作がある。
また、遠隔制御部70によって、ロボット50においても、例えば、ロボット設定値の監視、及び走行の開始と停止、塗布の開始と停止等を遠隔操作することができる。さらに、遠隔制御部70は、ロボット表示部65とロボット入力部64と同じ画面を再現させることができ、ロボット設定値の表示のみならず、これを変更させることもできる。
さらに、遠隔制御部70は、上記の各種の値や装置の稼働状況の監視のみを行ない、保護層の塗布に関する実際の操作は作業現場の作業者に任せることもできる。
次に、図6を参照して、第2実施形態の保護層塗布装置11を説明する。なお、上述の第1実施形態と同じ箇所には同じ符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の保護層塗布装置11は、遠隔制御部70が指令場所71に設けられている。この指令場所71としては、例えば、実際に作業する場所である作業現場とは離れた場所にある現場事務所、本社等の建物内、作業現場付近に停められた指令車両等が挙げられる。このような指令場所71から遠隔制御部70によって、本体制御部21及びロボット制御部62の遠隔操作と監視をすることができる。
また、記憶部72も指令場所71に設けられ、施工データを指令場所71で記憶して保存することができる。なお、本体部20にも記憶部47を残して施工データを二重に保存し、施工データの信頼性を高めることもできる。
次に、上述した本実施形態の保護層塗布装置10,11の各構成要素の機能を踏まえ、保護層塗布方法の実施の形態を説明する。
第1実施形態の保護層塗布装置10を用いた保護層塗布方法では、先ず、遠隔制御部70を用いて本体制御部21を遠隔操作し、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量を所定の設定値に設定する。次に、遠隔制御部70によって、ロボット制御部62を操作し、どれだけの幅で施工するのかのガン塗布幅、どの位置から塗布を開始するかのガン開始位置、及び保護層の膜厚を決定する散布量(図5参照)を設定する。なお、第1液剤と第2液剤の圧力又は流量、ガン塗布幅、及び散布量が設定されると、ロボット制御部62によって、ガン速度及びロボット50の走行速度は自動的に設定される。
図5に示す条件では、ガン塗布幅が1500mmであり、散布量が1平方メートルあたり2.0kgであることがわかる。また、本体計測部40、若しくはロボット計測部63によって計測された計測値、又は本体調整部44で設定された設定値によって吐出量がわかり、ここでは吐出量が1分あたり8.0kgである。これらのことから、ロボット制御部62がガン速度及び走行速度を自動的に算出し、ガン速度を1秒あたり1000mm、走行速度を1分あたり12.0mとしている。
次に、テスト塗布として、第1ポンプ24及び第2ポンプ32を動作させ、第1液剤及び第2液剤を所定の温度、圧力又は流量で圧送させる。このとき、塗布される保護層の膜厚の調整をするためにテスト塗布を行ない、遠隔制御部70によって本体制御部21及びロボット制御部62を遠隔操作して、第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整、ロボット設定値の定数の変更(図5参照)をすることができる。
次に、ロボット50が作業開始位置につくと、遠隔制御部70によって本体制御部21及びロボット制御部62が操作され、ロボット50の走行とスプレーガン48による塗布が開始される。そして、作業者によってハンドル55が操作されて、所定の位置に保護膜を塗布する。また、施工データを、施工した日時とともに記憶部47に記憶させ保存する。
次に、第2実施形態の保護層塗布装置11を用いた保護層塗布方法を説明する。ここでは、遠隔制御部70と記憶部72が指令場所71に設けられている。このため、上記の第1実施形態の保護層塗布装置10を用いた保護層塗布方法の操作のうち、ロボット50を作業開始位置に移動させる操作、ハンドル55の操作以外の操作を、指令場所71で行なう。また、施工データの保存も、少なくとも指令場所71に設けられた記憶部72に保存する。もっとも、施工データは本体部20に設けられた記憶部47にも記憶させることができる。
なお、作業現場にも、ロボット50のハンドル55操作をする作業者、第1配管26及び第2配管34をロボット50の移動とともにたぐり寄せる作業者等の最低限の作業者は存在する。このため、所定の範囲の塗布を終えた等の情報は、作業現場の作業者からの連絡によって把握する、あるいは、ロボット50の停止操作のみは作業現場の作業者が行なうようにしてもよい。
また、保護膜を塗布する作業に関する本体部20及びロボット50の操作は作業現場で行うとともに、施工データを指令場所71で閲覧と保存をして、指令場所71では作業状況や稼働状況の監視、及び施工データの保存のみをすることもできる。
このように、上述の実施形態の保護層塗布装置10,11及び保護層塗布方法によれば、遠隔制御部70によって本体部20及びロボット50の操作をすることができるため、作業現場で遠隔制御部70を操作する場合、遠隔制御部70を操作する作業者がロボット50近傍にいるときは本体部20側の省人化、本体部20近傍にいるときはロボット50側の省人化を図ることができる。また、記憶部47,72に施工データを記憶するため、施工後の履歴管理をすることができる。
また、指令場所71に遠隔制御部70を置いて本体部20及びロボット50の操作をする態様では、作業現場に保護膜の膜厚等を決定する熟練の作業者を置く必要がなく、指令場所71で膜厚等を決定する第1液剤及び第2液剤の温度、圧力又は流量の設定値、又はロボット設定値等を設定することができる。また、指令場所71に設けられた記憶部72に施工データを記憶するため、履歴管理がより確実となる。
また、位置特定部66を備えるため、指令場所71において、スプレーガン48、すなわちロボット50の場所がわかるため、指令場所71で作業状況や稼働状況の監視をして作業管理をすることもできる。
なお、上述の保護層塗布装置及び保護層塗布方法は、本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更することができる。
10,11・・保護層塗布装置、12・・携帯電話用電気通信回線、
20・・本体部、21・・本体制御部、22・・第1供給部、23・・第1タンク、24・・第1ポンプ、25・・第1ヒーター、26・・第1配管、
30・・第2供給部、31・・第2タンク、32・・第2ポンプ、33・・第2ヒーター、34・・第2配管、
40・・本体計測部、41a,41b・・温度センサー、42a,42b・・圧力センサー、43a,43b・・流量センサー、44・・本体調整部、45・・本体入力部、46・・本体表示部、47・・記憶部、48・・スプレーガン、
50・・ロボット、51・・車体、52・・フレーム、53・・支持輪、54・・操舵輪、55・・ハンドル、56・・走行駆動部、57・・モーター、58・・スプレーガン駆動部、59・・ガンレール、60・・原点位置、61・・カバー、62・・ロボット制御部、63・・ロボット計測部、64・・ロボット入力部、65・・ロボット表示部、66・・位置特定部、
70・・遠隔制御部、71・・指令場所、72・・記憶部、
20・・本体部、21・・本体制御部、22・・第1供給部、23・・第1タンク、24・・第1ポンプ、25・・第1ヒーター、26・・第1配管、
30・・第2供給部、31・・第2タンク、32・・第2ポンプ、33・・第2ヒーター、34・・第2配管、
40・・本体計測部、41a,41b・・温度センサー、42a,42b・・圧力センサー、43a,43b・・流量センサー、44・・本体調整部、45・・本体入力部、46・・本体表示部、47・・記憶部、48・・スプレーガン、
50・・ロボット、51・・車体、52・・フレーム、53・・支持輪、54・・操舵輪、55・・ハンドル、56・・走行駆動部、57・・モーター、58・・スプレーガン駆動部、59・・ガンレール、60・・原点位置、61・・カバー、62・・ロボット制御部、63・・ロボット計測部、64・・ロボット入力部、65・・ロボット表示部、66・・位置特定部、
70・・遠隔制御部、71・・指令場所、72・・記憶部、
Claims (11)
- 複数の液剤をスプレーガンから吐出混合させて硬化させ、作業現場で保護層を形成する保護層塗布装置において、
前記スプレーガンに第1液剤を圧送する第1供給部と、
前記スプレーガンに第2液剤を圧送する第2供給部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を計測する本体計測部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を調整する本体調整部と、
前記計測部及び前記調整部を動作させる本体制御部と、
前記本体制御部を遠隔操作することによって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とする遠隔制御部と、
を備えることを特徴とする保護層塗布装置。 - 前記本体制御部と前記遠隔制御部との通信に、無線通信を使用することを特徴とする請求項1に記載の保護層塗布装置。
- 前記本体制御部と前記遠隔制御部との通信に、携帯電話用電気通信回線を使用することを特徴とする請求項1に記載の保護層塗布装置。
- 前記遠隔制御部が前記作業現場とは別の指令場所に設けられ、前記指令場所において前記本体制御部の遠隔操作又は監視を可能とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の保護層塗布装置。
- 前記スプレーガンの位置を特定できる位置特定部を備え、前記指令場所において前記スプレーガンの位置を把握できることを特徴とする請求項4に記載の保護層塗布装置。
- 前記指令場所に、前記位置特定部で得られた位置情報、並びに前記計測部で計測した前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を施工データとして記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項5に記載の保護層塗布装置。
- 前記スプレーガンが、走行距離に応じて前記スプレーガンから所定の量の前記第1液剤及び前記第2液剤を自動的に塗布するロボットに装着されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の保護層塗布装置。
- 前記遠隔制御部が、前記ロボットの走行の開始と停止、及び塗布の開始と停止を遠隔操作できることを特徴とする請求項7に記載の保護層塗布装置。
- 複数の液剤をスプレーガンから吐出混合させて硬化させ、作業現場で保護層を形成する保護層塗布方法において、
前記スプレーガンに第1液剤を圧送する第1供給部と、
前記スプレーガンに第2液剤を圧送する第2供給部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を計測する本体計測部と、
前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を調整する本体調整部と、
前記本体計測部及び前記本体調整部を動作させる本体制御部と、
前記本体制御部を遠隔操作することによって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の計測と調整を可能とする遠隔制御部と、
走行距離に応じて前記スプレーガンから所定の量の前記第1液剤及び前記第2液剤を自動的に塗布させるロボットと、を備える保護層塗布装置を用いて、
前記遠隔制御部によって前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量の調整、並びに前記ロボットの走行の開始と停止、及び塗布の開始と停止を遠隔操作しながら塗布することを特徴とする保護層塗布方法。 - 前記スプレーガンの位置を特定できる位置特定部と、
前記位置特定部で得られた位置情報、並びに前記本体計測部で計測した前記第1液剤及び前記第2液剤の温度、圧力又は流量を施工データとして記憶する記憶部をさらに備える保護層塗布装置を用いて、
前記記憶部に前記施工データを記憶させながら塗布することを特徴とする請求項9に記載の保護層塗布方法。 - 前記作業現場とは別の指令場所に前記記憶部が設けられ、前記施工データを前記指令場所にて記憶することを特徴とする請求項10に記載の保護層塗布方法。
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- 2017-11-23 JP JP2017225256A patent/JP2019093344A/ja active Pending
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