JP6663200B2 - 水性ポリウレタン分散体 - Google Patents
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Description
(a)1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する有機ポリイソシアネート化合物、(b)ポリカーボネートジオール、ならびに(c)カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールもしくはその塩、の反応生成物である水分散性ポリウレタンと、
水とを含み、
前記(b)ポリカーボネートジオールが、下記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有するポリカーボネートジオールであって、式(1)で表される構造単位のうち、下記式(2)で表される構造単位を20モル%以上90モル%以下含む、水性ポリウレタン分散体。
前記(b)ポリカーボネートジオールの1級末端水酸基(OH)比率が95%以上99.5%以下であり、前記(b)ポリカーボネートジオールの数平均分子量が300〜5000である、[1]に記載の水性ポリウレタン分散体。
前記(a)有機ポリイソシアネート化合物が、脂肪族および/または脂環族有機ジイソシアネート化合物である、[1]または[2]に記載の水性ポリウレタン分散体。
[1]〜[3]のいずれかに記載の水性ポリウレタン分散体を含有する、水性ソフトフィール塗料組成物。
本実施形態の水性ポリウレタン分散体は、(a)1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する有機ポリイソシアネート化合物、(b)ポリカーボネートジオール、ならびに(c)カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールもしくはその塩、の反応生成物である水分散性ポリウレタンと、水とを含み、前記(b)ポリカーボネートジオールが、下記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有するポリカーボネートジオールであって、式(1)で表される構造単位のうち、下記式(2)で表される構造単位を20モル%以上90モル%以下含む。
本実施形態に用いる、(a)有機ポリイソシアネート化合物としては、1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する有機ポリイソシアネート化合物であれば特に限定されない。(a)有機ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキサン−2,4−(または2,6−)ジイソシアネート、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などの芳香族、脂肪族、脂環族系有機ジイソシアネート、またはこれらのビュレット体、イソシアヌレート体等の多官能イソシアネート基を含有する多量体、またはこれらのイソシアネートの単独または混合物が挙げられる。
本実施形態の水性ポリウレタン分散体の製造に用いる(b)ポリカーボネートジオールは、上記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有し、式(1)で表される構造単位のうち、上記式(2)で表される構造単位を20モル%以上90モル%以下含み、好ましくは、30モル%以上80モル%以下、より好ましくは40モル%以上70モル%以下である。
A:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和
B:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
1級OH末端比率は、ポリカーボネートジオールの全末端基に占める1級OH基の比率である。即ち、上記に示すように、ポリカーボネートジオールを0.4kPa以下の圧力下、160℃〜200℃の温度に加熱すると、ポリカーボネートジオールの末端部分がアルコール類として外れて蒸発し、留分として得られることにより求めることができる。
本実施形態に用いる(c)カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールまたはその塩は、水分散性ポリウレタンを水中に自己乳化させること、および水性ポリウレタン分散体の分散安定性を付与することを目的として、カルボキシレート基またはスルホネート基導入のために使用される成分である。カルボキシル基含有ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸などが挙げられる。また、スルホン基含有ポリオールとしては、例えば、スルホン酸ジオール{3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸}およびスルファミン酸ジオール{N,N−ビス(2−ヒドロキシルキル)スルファミン酸}およびそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらのカルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールの塩としては、特に限定されないが、例えば、アンモニウム塩、アミン塩[炭素数1〜12の1級アミン(1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびオクチルアミン)塩、2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびジブチルアミン)塩、3級モノアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミントリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の脂肪族3級モノアミン;N−メチルピペリジンおよびN−メチルモルホリン等の複素環式3級モノアミン;ベンジルジメチルアミン、α―メチルベンジルジメチルアミン;およびN−ジメチルアニリン等の芳香環含有3級モノアミン)塩]、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムおよびリチウムカチオン)塩、ならびにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
本実施形態の水性ソフトフィール塗料組成物は、上述の水性ポリウレタン分散体を含有する。
<試験方法>
1)ポリカーボネートジオールの数平均分子量
JIS K1557−1によって水酸基価を決定し、下記の式(6)を用いて計算した。
2)ポリカーボネートジオールの1級末端OH比率
ポリカーボネートジオールにおける1級末端OH比率を以下のとおり決定した。まず、70g〜100gのポリカーボネートジオールを300mlのナスフラスコに測り取った。留分回収用のトラップ球を接続したロータリーエバポレーターを用いて、前記ナスフラスコ中のポリカーボネートジオールを、0.4kPa以下の圧力下、約180℃の加熱浴で加熱し、攪拌して、トラップ球に該ポリカーボネートジオールの約1〜2質量%に相当する留分、即ち約1g(0.7〜2g)の初期留分を得た。得られた留分を約100g(95〜105g)のエタノールに溶解させ溶液として回収した。回収した溶液をガスクロマトグラフィー分析(以下「GC分析」とも称す。)して、得られたクロマトグラフのピーク面積の値をから、下記式(5)によりポリカーボネートジオールにおける末端OH基割合を計算した。なお、GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)30m、膜厚0.25μmを付けたガスクロマトグラフィー6890(米国ヒューレット・パッカード製)を用い、検出器に水素炎イオン化検出器(FID)を用いて行った。カラムの昇温プロファイルは、60℃から10℃/minで250℃まで昇温した後、その温度で15分間保持するプロファイルとした。GC分析における各ピークの同定は、下記GC−MS装置を用いて行った。GC装置は、カラムとしてDB−WAX(米国J&W社製)を付けた6890(米国ヒューレット・パッカード製)を用いた。GC装置において、初期温度40℃から昇温速度10℃/minで220℃まで昇温した。MS装置は、Auto−massSUN(日本JEOL製)を用いた。MS装置において、イオン化電圧70eV、スキャン範囲m/z=10〜500、フォトマルゲイン450Vで測定を行った。
A:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和
B:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
3)水性ポリウレタン分散体の平均粒径
粒度分析計Nanotrac150(Microtrac製)を用いて、水性ポリウレ分散体の数平均粒径(nm)を測定した。
4)水性ポリウレタン分散体の数平均分子量、分子量分布
水性ポリウレタン分散体の数平均分子量および分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。GPC装置は東ソー製HLC−8220 GPC装置にTSK gel Super HM−Hを4本用い、RI検出器で検出した。展開溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)、流速0.5mL/min、操作温度40℃、ポリスチレン換算で求めた。
5)引張り破断強度および破断伸度
水性ポリウレタン分散体を、アルミニウム皿上に所定量注ぎ、室温で24時間放置した後、60℃で24時間熱処理を行い、厚さ500μmのシートを作成した。このシートより、幅6.6mm、長さ60mmのポリウレタン樹脂フィルムの試料を切り出した。23℃の恒温室において、Universal Testing Machine(Zwick Corp.製)を用いて、チャック間20mm、引張速度5mm/minで、上記試料フィルムの引張り破断強度(MPa)と破断時の伸度(%)とを測定した。なお、この試料フィルムは、(低温)柔軟性および耐油性を評価するためにも用いた。
6)柔軟性
上記5)に示す方法で試験を行い、50%伸張時(25mm伸張時)の応力(MPa)を測定した。応力が低いほど柔軟性が高いと評価した。
7)低温柔軟性
上記5)の引っ張り破断強度測定装置の測定部位に、低温恒温漕を取り付け、測定を−20℃で実施した。50%伸張時(25mm伸張時)の応力(MPa)を測定した。応力が低いほど低温柔軟性が良いと評価した。
8)耐油性
上記試料フィルムを23℃のオレイン酸中に1週間浸漬させた後の耐油性(膨潤率)を測定した。耐油性(膨潤率)は、下記の数式(7)を用いて求めた。
9)膜表面硬度
水性ポリウレタン分散体または水性ソフトフィール塗料組成物を用い、厚さ約2mmのポリカーボネート板上にアプリケーターで硬化後膜厚が約40μmとなるように塗装し、室温で24時間乾燥し塗膜を得た。得られた塗膜についてJIS K−5400に準拠し、鉛筆硬度を測定・評価した。
10)硬化塗膜外観
上記9)と同様な操作で作成した塗膜の表面を目視にて観察した。オレンジピールのような細かい凹凸が顕著に見られたものを×(不良)、オレンジピールのような細かい凹凸が少し見られたものを△(やや不良)、オレンジピールのような細かい凹凸が認められないものを○(良)として判断した。
11)耐摩耗性
上記9)と同様の操作で得られた塗膜を、JIS K5600摩耗輪法に従い評価した(摩耗輪CS−10、重り500g、500回転)。試験での減少質量測定結果(mg)を示した。
[ポリカーボネートジオールの重合例1]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコに1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)456.5g(6mol)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)360.5g(4mol)、エチレンカーボネート1030g(11.7mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解したあと、触媒としてチタンテトラブトキシド0.10gを加えた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、12hr反応した。その後、精留塔を単蒸留装置に取り替え、180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで落として、フラスコ内に残ったジオールとエチレンカーボネートとを除去した。その後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温160〜165℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに4hr反応した。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC1と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例2]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコに1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)456.5g(6mol)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)360.5g(4mol)、ジメチルカーボネート1053.9g(11.7mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解したあと、触媒としてチタンテトラブトキシド0.10gを加えた。常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、7時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃、圧力を10〜15kPaとして、生成するメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら3時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で3時間反応させた。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC2と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例3]
1,4−ブタンジオールの替わりに、1,5−ペンタンジオール(1,5−PDO)416.6g(4mol)とした以外はポリカーボネートジオールの重合例2に示す方法で反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC3と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例4]
1,4-ブタンジオールの替わりに、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HDO)472.7g(4mol)とした以外はポリカーボネートジオールの重合例2に示す方法で反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC4と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例5]
1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)の量を608.7g(8mol)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)の量を180.2g(2mol)とした以外はポリカーボネートジオールの重合例2に示す方法で反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC5と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例6]
1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)の量を228.2g(3mol)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)の量を630.8g(7mol)とした以外はポリカーボネートジオールの重合例2に示す方法で反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC6と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例7]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコに1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)456.5g(6mol)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)360.5g(4mol)、ジメチルカーボネート1053.9g(11.7mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解したあと、触媒としてチタンテトラブトキシド0.10gを加えた。
常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら、7時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃、圧力を10〜15kPaとして、生成するメタノールとジメチルカーネートの混合物を留去しながら3時間反応を行った。さらに190℃で1時間反応させ1,3−プロパンジオールを留去した。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC7と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例8]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコに1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)456.5g(6mol)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)360.5g(4mol)、エチレンカーボネート1030g(11.7mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解したあと、触媒としてチタンテトラブトキシド0.10gを加えた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、12hr反応した。その後、精留塔を単蒸留装置に取り替え、180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで落として、フラスコ内に残ったジオールとエチレンカーボネートとを除去した。その後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温160〜165℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに4hr反応した。常圧にした後、1−ヘプタノール5.8g(0.05mol)を加え、フラスコの内温160〜165℃で3時間反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を、表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC8と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例9]
1−ヘプタノールの量を11.6g(0.1mol)にした以外は、ポリカーボネートジオールの重合例8に示す方法で反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC9と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例10]
1,4−シクロヘキサンジオール10.5g(0.09mol)を、原料に追加した以外は、ポリカーボネートジオールの重合例2に示す方法で反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC10と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例11]
1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)の量を114.1g(1.5mol)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDO)の量を766.0g(8.5mol)とした以外はポリカーボネートジオールの重合例2に示す方法で反応を行った。この反応により常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC11と称する。
[ポリカーボネートジオールの重合例12]
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコに1,5−ペンタンジオール(1,5−PDO)385g(3.7mol)、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HDO)385g(3.26mol)、ジメチルカーボネート1053.9g(11.7mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解したあと、触媒としてチタンテトラブトキシド0.10gを加えた。
常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら、7時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃、圧力を10〜15kPaとして、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートとの混合物を留去しながら3時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で3時間反応させた。この反応により、常温で粘調な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC12と称する。
攪拌機、冷却管、窒素流入管、温度計を備えた1000mlの4口フラスコに、窒素雰囲気下、イソホロンジイソシアネート(IPDI)33.3g(0.15モル)、ポリカーボネートジオールPC1を100g(0.05モル)、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)6.7g(0.05モル)、トリエチルアミン(TEA)6.1g(0.05モル)、およびメチルエチルケトン(MEK)30mlを加え、80℃で2.5時間反応させてNCO末端のプレポリマー溶液を得た。ついで、脱イオン水342gを添加し、35℃でプレポリマー溶液と混合してプレポリマー分散液を得た。脱イオン水2.0g中にエチレンジアミン(EDA)1.5g(0.0025モル)を含む溶液をプレポリマー分散液に添加して、30℃で1時間撹拌した。ついで、混合物を80℃に加熱してMEKを除去して、固形分30%をもつ水性ポリウレタン分散体を得た。得られた水性ポリウレタン分散体(PUD1)の特性を表2に要約する。
[実施例2〜6]
ポリカーボネートジオールPC1の替わりに、PC2、PC3、PC4、PC5、PC6を用いた以外は、参考例1と同様に反応を行い水性ポリウレタン分散体を得た。得られた水性ポリウレタン分散体(PUD2、PUD3、PUD4、PUD5、PUD6)の特性を表2に要約する。
[実施例7]
攪拌機、冷却管、窒素流入管、温度計を備えた1000mlの4口フラスコに、窒素雰囲気下、イソホロンジイソシアネート(IPDI)66.6g(0.3モル)、ポリカーボネートジオールPC7を100g(0.1モル)、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)13.4g(0.1モル)、トリエチルアミン(TEA)12.2g(0.1モル)、およびメチルエチルケトン(MEK)30mlを加え、80℃で2.5時間反応させてNCO末端のプレポリマー溶液を得た。ついで、脱イオン水427gを添加し、35℃でプレポリマー溶液と混合して、プレポリマー分散液を得た。脱イオン水2.0g中にエチレンジアミン(EDA)3.0g(0.005モル)を含む溶液をプレポリマー分散液に添加して、30℃で1時間撹拌した。ついで、混合物を80℃に加熱してMEKを除去して、固形分30%をもつ水性ポリウレタン分散体を得た。得られた水性ポリウレタン分散体(PUD7)の特性を表2に要約する。
[実施例8、参考例2及び3]
ポリカーボネートジオールPC1の替わりに、PC8、PC9、PC10を用いた以外は、参考例1と同様に反応を行い水性ポリウレタン分散体を得た。得られた水性ポリウレタン分散体(PUD8、PUD9、PUD10)の特性を表2に要約する。
[実施例11]
ポリカーボネートジオールPC1の替わりに、PC2を用い、イソホロンジイソシアネートの替わりにヘキサメチレンジイソシアネートを25.2g(0.15モル)とした以外は、参考例1と同様に反応を行い水性ポリウレタン分散体を得た。得られた水性ポリウレタン分散体(PUD11)の特性を表2に要約する。
[実施例12]
ポリカーボネートジオールPC1の替わりに、PC2を用い、イソホロンジイソシアネートの替わりに4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を39.4g(0.15モル)とした以外は、参考例1と同様に反応を行い水性ポリウレタン分散体を得た。得られた水性ポリウレタン分散体(PUD12)の特性を表2に要約する。
[比較例1、2]
ポリカーボネートジオールPC2の替わりに、PC11、PC12を用いた以外は、実施例2と同様に反応を行い水性ポリウレタン分散体を得た。得られた水性ポリウレタン分散体(PUD13、PUD14)の特性を表2に要約する。
(水性ソフトフィール塗料組成物の評価)
PUD1の水性ポリウレタン分散体300g、水性用レベリング剤BYK−3455(BYKケミカル社製)2.06g、ポリウレタン粒子(アートパール、C−800、平均粒子径=6μm、根上工業株式会社製)35gを混合拌機し水性ソフトフィール塗料組成物を得た。これをアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂板上に塗布した後、80℃で2時間加熱乾燥させ膜厚み30〜40μmの塗膜を得た。その諸物性を表3に示した。表3で、塗膜板表面を手で触った時の感触によりソフト感を評価した。判定結果は以下の表記で表した。
○: 天然皮革様な手触り感があり、良好なソフト感
△: 天然皮革様な手触り感があり、比較的良好なソフト感
×: 天然皮革様な手触り感がなく、ソフトとは感じられない
[実施例14〜20、23及び24、参考例5及び6、比較例3〜4]
PUD1の替わりにPUD2〜14を用いて参考例4と同様に水性ソフトフィール塗料組成物を得た。その諸物性を表3に示した。
Claims (2)
- (a)1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する有機ポリイソシアネート化合物、(b)ポリカーボネートジオール、(c)カルボキシル基および/またはスルホン基含有ポリオールもしくはその塩、ならびに鎖延長剤、の反応生成物である水分散性ポリウレタンと、
水とを含み、
前記(b)ポリカーボネートジオールが、下記式(1)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有するポリカーボネートジオールであって、式(1)で表される構造単位のうち、下記式(2)で表される構造単位を20モル%以上90モル%以下含み、且つ該ポリカーボネートジオールの1級末端水酸基(OH)比率が95%以上99.5%以下である、水性ポリウレタン分散体。
- 請求項1に記載の水性ポリウレタン分散体を含有する、水性ソフトフィール塗料組成物。
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