前記課題を解決されるためになされた第1の発明は、歩行者が所持して、車載端末装置との間で歩車間通信を行う歩行者端末装置であって、自歩行者の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記車載端末装置から送信される車両の位置情報を含むメッセージおよび他の歩行者端末装置から送信される他の歩行者の位置情報を含むメッセージを前記歩車間通信により受信するとともに、前記自歩行者の位置情報を含むメッセージを前記歩車間通信により送信する通信部と、地図情報を格納する情報格納部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記地図情報、前記自歩行者の位置情報および前記車両の位置情報に基づいて、自歩行者の前方の道路および後方の道路に存在する車両の状況に応じた対象エリアを設定し、前記他の歩行者の位置情報に基づいて、前記対象エリア内に存在し、かつ、自歩行者と進行方向が同一となる他の歩行者を比較対象として抽出し、この抽出された前記他の歩行者の位置情報および前記自歩行者の位置情報に基づいて、他の歩行者が自歩行者の前方および後方の双方に存在する場合に、自歩行者と前方の他の歩行者との間隔が所定のしきい値未満となると、前記メッセージの送信を停止する構成とする。
これによると、歩行者の進行方向の前方や後方の道路を走行する車両の状況に応じて、
比較対象とする他の歩行者を抽出する範囲(対象エリア)を設定するため、注意喚起に支
障が生じないように適切にメッセージを送信して、歩行者の安全を確保しつつ、歩行者端
末装置の送信頻度を十分に低減して、歩車間通信におけるトラフィックの増大による通信
の輻輳を低減することができる。より具体的には、自歩行者と他の歩行者とが所定のしきい値以上離れていない場合に、メッセージの送信を停止するため、歩行者端末装置の送信頻度を低減することができる。また、他の歩行者が保持する歩行者端末装置によるメッセージの送信によって、近くにいる自歩行者もカバーされることになるため、車両に対する自歩行者についての注意喚起に支障が生じることもない。
また、第2の発明は、前記制御部は、前記前方の道路および前記後方の道路の双方に車両が存在する場合には、前記対象エリアの前側の境界線を、前記前方の道路に設定し、前記対象エリアの後側の境界線を、前記後方の道路に設定する構成とする。
これによると、自歩行者の前方の道路および後方の道路に存在する車両の状況に応じて、対象エリアを適切な範囲に設定することができる。
また、第3の発明は、前記制御部は、前記前方の道路に車両が存在せず、かつ、前記後方の道路に車両が存在する場合には、前記対象エリアの前側の境界線を、自歩行者から前方に所定距離だけ離れた位置に設定し、前記対象エリアの後側の境界線を、前記後方の道路に設定する構成とする。
これによると、自歩行者の前方の道路および後方の道路に存在する車両の状況に応じて、対象エリアを適切な範囲に設定することができる。
また、第4の発明は、前記制御部は、前記前方の道路に車両が存在し、かつ、前記後方の道路に車両が存在しない場合には、前記対象エリアの前側の境界線を、前記前方の道路に設定し、前記対象エリアの後側の境界線を、自歩行者より後方に所定距離だけ離れた位置に設定する構成とする。
これによると、自歩行者の前方の道路および後方の道路に存在する車両の状況に応じて、対象エリアを適切な範囲に設定することができる。
また、第5の発明は、前記制御部は、前記前方の道路および前記後方の道路の双方に車両が存在しない場合には、前記対象エリアの前側の境界線を、自歩行者から前方に所定距離だけ離れた位置に設定し、前記対象エリアの後側の境界線を、自歩行者から後方に所定距離だけ離れた位置に設定する構成とする。
これによると、自歩行者の前方の道路および後方の道路に存在する車両の状況に応じて、対象エリアを適切な範囲に設定することができる。
また、第6の発明は、前記制御部は、前記比較対象として抽出された他の歩行者が自歩
行者の前方に存在しない場合、または、前記比較対象として抽出された他の歩行者が自歩
行者の後方に存在しない場合に、前記メッセージを送信するものと判定する構成とする。
これによると、車両が走行している道路を横断する可能性のある歩行者の存在を車載端末装置に確実に通知することができる。
また、第7の発明は、車両に搭載される車載端末装置と、歩行者が所持する歩行者端末装置と、を備え、前記車載端末装置と前記歩行者端末装置との間で歩車間通信を行う歩車間通信システムであって、前記歩行者端末装置は、自歩行者の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記車載端末装置から送信される車両の位置情報を含むメッセージおよび他の歩行者端末装置から送信される他の歩行者の位置情報を含むメッセージを前記歩車間通信により受信するとともに、前記自歩行者の位置情報を含むメッセージを前記歩車間通信により送信する通信部と、地図情報を格納する情報格納部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記地図情報、前記自歩行者の位置情報および前記車両の位置情報に基づいて、自歩行者の前方の道路および後方の道路に存在する車両の状況に応じた対象エリアを設定し、前記他の歩行者の位置情報に基づいて、前記対象エリア内に存在し、かつ、自歩行者と進行方向が同一となる他の歩行者を比較対象として抽出し、この抽出された前記他の歩行者の位置情報および前記自歩行者の位置情報に基づいて、他の歩行者が自歩行者の前方および後方の双方に存在する場合に、自歩行者と前方の他の歩行者との間隔が所定のしきい値未満となると、前記メッセージの送信を停止する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、歩行者の安全を確保しつつ、歩行者端末装置の送信頻度を十分に低減して、歩車間通信におけるトラフィックの増大による通信の輻輳を低減することができる。
また、第8の発明は、歩行者の位置情報を含むメッセージを歩行者端末装置から車載端末装置に歩車間通信により送信する歩行者端末送信方法であって、前記歩行者端末装置において、自歩行者の位置情報を取得し、前記車載端末装置から送信される車両の位置情報を含むメッセージおよび他の歩行者端末装置から送信される他の歩行者の位置情報を含むメッセージを前記歩車間通信により受信するとともに、前記自歩行者の位置情報を含むメッセージを前記歩車間通信により送信し、地図情報、前記自歩行者の位置情報および前記車両の位置情報に基づいて、自歩行者の前方の道路および後方の道路に存在する車両の状況に応じた対象エリアを設定し、前記他の歩行者の位置情報に基づいて、前記対象エリア内に存在し、かつ、自歩行者と進行方向が同一となる他の歩行者を比較対象として抽出し、 この抽出された前記他の歩行者の位置情報および前記自歩行者の位置情報に基づいて、他の歩行者が自歩行者の前方および後方の双方に存在する場合に、自歩行者と前方の他の歩行者との間隔が所定のしきい値未満となると、前記メッセージの送信を停止する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、歩行者の安全を確保しつつ、歩行者端末装置の送信頻度を十分に低減して、歩車間通信におけるトラフィックの増大による通信の輻輳を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る歩車間通信システムの全体構成図である。
この歩車間通信システムは、歩行者が所持する歩行者端末装置1および携帯情報端末装置2と、車両に搭載される車載端末装置3およびカーナビゲーション装置4と、を備えている。
歩行者端末装置1は、自歩行者(自装置を所持する歩行者)の位置情報を取得する測位機能と、車載端末装置3との間で歩車間通信を行う通信機能と、を備えており、これらの機能で取得した自歩行者および車両の位置、方位、速度などに基づいて、自歩行者に車両が衝突する可能性が高いか否かを判定する危険判定を行う。
携帯情報端末装置2は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブル端末などである。歩行者端末装置1および携帯情報端末装置2は相互に接続されており、歩行者端末装置1において、衝突の可能性が高いものと判定されると、事故回避のための歩行者に対する注意喚起の出力動作(例えば音声出力や振動など)を携帯情報端末装置2に行わせる。なお、歩行者端末装置1自身が注意喚起の出力動作を行うものとしてもよい。
車載端末装置3は、自車両(自装置が搭載された車両)の位置情報を取得する測位機能と、歩行者端末装置1との間で歩車間通信を行う通信機能と、を備えており、これらの機能で取得した歩行者および自車両の位置、方位、速度などに基づいて、自車両が歩行者に衝突する可能性が高いか否かを判定する危険判定を行う。
カーナビゲーション装置4は、運転者に対して経路案内を行うものである。車載端末装置3およびカーナビゲーション装置4は相互に接続されており、車載端末装置3において、衝突の可能性が高いものと判定されると、事故回避のための運転者に対する注意喚起の出力動作(例えば音声出力や画面表示など)をカーナビゲーション装置4に行わせる。なお、車載端末装置3自身が注意喚起の出力動作を行うものとしてもよい。
なお、車載端末装置3は、運転者が所持する携帯情報端末装置2と接続されて、運転者に対する注意喚起などの出力動作を携帯情報端末装置2に行わせるようにしてもよい。
また、歩行者端末装置1は、携帯情報端末装置2に内蔵されたものとしてもよく、車載端末装置3は、カーナビゲーション装置4に内蔵されたものとしてもよい。
さて、この歩車間通信システムでは、危険判定で必要となる歩行者および車両の位置、方位、速度などの情報を、歩行者端末装置1と車載端末装置3との間で相互に交換し、この情報交換を、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)を利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯(例えば700MHz帯や5.8GHz帯)を利用した歩車間通信により行う。
次に、歩行者端末装置1と車載端末装置3との間で行われる歩車間通信の状況について説明する。図2は、歩車間通信の状況を示す説明図である。
歩車間通信では、歩行者端末装置1と車載端末装置3との間でメッセージを送受信する。歩行者端末装置1から送信されるメッセージ(歩行者情報)には、歩行者情報として、歩行者の位置情報の他に、歩行者端末装置1の識別情報(端末IDやMACアドレスなど)が含まれる。車載端末装置3から送信されるメッセージ(車両情報)には、車両情報として、車両の位置情報の他に、車載端末装置3の識別情報(端末IDやMACアドレスなど)が含まれる。
また、歩行者端末装置1から送信されるメッセージには、歩行者端末装置1あるいは携帯情報端末装置2に設けられたセンサ(図示せず)で取得した歩行者の方位(進行方向)や速度に関する情報も含まれる。車載端末装置3から送信されるメッセージには、車載端末装置3あるいはカーナビゲーション装置4に設けられたセンサ(図示せず)で取得した車両の方位や速度に関する情報も含まれる。なお、方位および速度は、今回(現在)および前回の位置情報をもとに算出すればよい。
歩行者端末装置1では、車載端末装置3から送信されるメッセージに含まれる車両の位置情報を取得し、また、自身の測位機能により自歩行者の位置情報を取得する。そして、歩行者端末装置1では、自歩行者および車両の位置、方位および速度などに基づいて、歩行者に対する注意喚起が必要か否か、すなわち、自歩行者に車両が衝突する可能性が高いか否かを判定する危険判定を行う。
この危険判定では、まず、地図情報に基づいて、自歩行者の前方の道路を検索して、その前方の道路を自歩行者が通過するまでの時間T1を算出する。また、前方の道路を走行する車両を抽出し、該当する車両がある場合には、その車両の進路が自歩行者の進路と交差するまでの時間T2を算出する。そして、時間T1と時間T2との差分が所定の範囲内に収まる場合には危険、すなわち、自歩行者と車両とが衝突する可能性が高いものと判定して、歩行者に対して警告が行われる。
なお、この危険判定は、同様の手順で車載端末装置3でも行われ、車両の運転者に対する警告が行われる。
さて、本実施形態では、歩車間通信におけるトラフィックの増大による通信の輻輳を低減するため、歩行者端末装置1において、自歩行者とその周辺に存在する他の歩行者との位置関係に基づいて、メッセージの送信の可否を判定し、自歩行者と他の歩行者との位置関係に基づく所定の送信停止条件が満たされる状態となると、メッセージの送信を停止する通信制御が実施される。
ここで、車両情報、歩行者情報ともメッセージはブロードキャストで送信される。このため、歩行者端末装置1では、車載端末装置3から送信されるメッセージ(車両情報)に加えて、他の歩行者端末装置1から送信されるメッセージ(他歩行者情報)も受信することができる。これにより、歩行者端末装置1では、他の歩行者に関する歩行者情報(位置情報など)を取得することができ、自歩行者および他の歩行者の位置情報から、自歩行者と他の歩行者との位置関係を求めることができる。
なお、歩行者端末装置1では、メッセージ(自歩行者情報)の送信を停止した状態でも、車載端末装置3から送信されるメッセージを受信することができる。このため、メッセージの送信を停止した歩行者端末装置1でも、車載端末装置3から送信されるメッセージに含まれる車両情報(位置情報など)に基づいて危険判定を行うことができる。また、歩行者端末装置1では、メッセージの送信を停止した状態でも、他の歩行者端末装置1から送信されるメッセージを受信することができる。このため、自歩行者と他の歩行者との位置関係に基づく送信停止条件を満たさない状態となると、メッセージの送信を開始することができる。
次に、比較対象となる歩行者を抽出する際の範囲を規定する対象エリアについて説明する。図3、図4、図5および図6は、対象エリアの状況を示す説明図である。
本実施形態では、自歩行者とその周辺に存在する他の歩行者との位置関係に基づいて、メッセージの送信の可否を判定する。このとき、比較対象とする他の歩行者を所定の範囲に限定する必要がある。そこで、本実施形態では、対象エリアを設定して、その対象エリア内に存在する歩行者を比較対象として抽出する。また、方位(進行方向)が異なる場合には、危険性の状況が異なるため、比較対象として不適切である。そこで、本実施形態では、方位が同一となる歩行者を比較対象として抽出する。すなわち、対象エリア内に存在し、かつ、方位が同一となる歩行者を比較対象とする。
対象エリアは、矩形状に設定される。また、対象エリアは、地図情報に基づいて歩道の領域に設定される。すなわち、対象エリアにおいて、歩道を歩行する歩行者の方位に並行する向きの左右の境界線は、歩道の境界線、具体的には、並行する車道と歩道との境界線と、建造物などの道路外の敷地と歩道との境界線となる。一方、歩行者の方位に直交する向きの前後の境界線は、歩行者の前方および後方の道路を走行する車両の有無に応じて異なる。
すなわち、図3に示すように、自歩行者の前方および後方の道路の双方に車両が存在する場合には、対象エリアの前側の境界線を、車両が走行する前方の道路に設定し、対象エリアの後側の境界線を、車両が走行する後方の道路に設定する。すなわち、前方および後方の両方に危険性がある場合は対象エリアを前後とも広くし、前方の道路と後方の道路との間の範囲を対象エリアに設定する。
また、図4に示すように、自歩行者の前方の道路に車両が存在せず、かつ、自歩行者の後方の道路に車両が存在する場合には、対象エリアの前側の境界線を、自歩行者から前方に所定の距離DFだけ離れた位置に設定し、対象エリアの後側の境界線を、車両が走行する後方の道路に設定する。すなわち、後方にのみ危険性がある場合は対象エリアの前側は短くし、自歩行者より前方に距離DFだけ離れた位置から後方の道路までの範囲を対象エリアに設定する。
また、図5に示すように、自歩行者の前方の道路に車両が存在し、かつ、後方の道路に車両が存在しない場合には、対象エリアの前側の境界線を、車両が走行する前方の道路に設定し、対象エリアの後側の境界線を、自歩行者より後方に所定の距離DBだけ離れた位置に設定する。すなわち、前方にのみ危険性がある場合は対象エリアの後側は短くし、前方の道路から自歩行者より後方に距離DBだけ離れた位置までの範囲を対象エリアに設定する。
また、図6に示すように、自歩行者の前方および後方の道路の双方に車両が存在しない場合には、対象エリアの前側の境界線を、自歩行者から前方に距離DFだけ離れた位置に設定し、対象エリアの後側の境界線を、自歩行者から後方に距離DBだけ離れた位置に設定する。すなわち、前方および後方の両方に危険性がない場合は対象エリアを前後とも短くし、自歩行者より前方に距離DFだけ離れた位置から、自歩行者より後方に距離DBだけ離れた位置までの範囲を対象エリアに設定する。
ここで、前方距離DFおよび後方距離DBは同じ値に設定してもよいが、前方と後方とで条件が異なるため、DFとDBは異なる値に設定するようにしてもよい。例えば、進行方向である前方がより危険性が高いとして、DFをDBより長くなるように設定するようにしてもよい。具体的には、DBを3mとした場合、DFをDBの3倍の15mに設定するようにしてもよい。また、DFおよびDBは固定値としてもよいが、周辺の状況に応じて異なる値に設定するようにしてもよい。例えば、前方の道路と後方の道路との間の交差点間の距離を基準にして、その交差点間の距離に対する所定の割合(例えば10%)でDFおよびDBを設定するようにしてもよい。
なお、前方および後方の道路を走行する車両を検索するにあたっては、歩行者端末装置1によるメッセージの通信範囲内に存在する全ての車両が対象となる。また、走行中の車両のみを対象に含めて、交差点以外の場所で停車している車両を対象から除外するようにしてもよい。
次に、メッセージの送信の可否を判定する送信判定処理について説明する。図7および図8は、送信判定処理を説明する説明図である。
本実施形態では、比較対象として抽出された他の歩行者、すなわち、対象エリア内に存在し、かつ、方位(進行方向)が自歩行者と同一となる他の歩行者と自歩行者との位置関係に基づいて、メッセージの送信の可否を判定する。
すなわち、図7(A)に示すように、比較対象として抽出された他の歩行者が自歩行者の前方に存在しない場合、すなわち、対象エリア内において同じ向きに歩行している歩行者の中で、自歩行者が先頭(最も前側)に位置する場合には、メッセージを送信する。
また、図7(B)に示すように、比較対象として抽出された他の歩行者が自歩行者の後方に存在しない場合、すなわち、対象エリア内において同じ向きに歩行している歩行者の中で、自歩行者が最後尾(最も後側)に位置する場合には、メッセージを送信する。これは、先頭もしくは最後尾が最も危険性が高いからである。
また、比較対象として抽出された他の歩行者が自歩行者の前方および後方の双方に存在する場合、すなわち、対象エリア内において自歩行者が同じ向きに歩行している他の歩行者で前後を挟まれている場合には、自歩行者と前方の歩行者との間隔を所定のしきい値DSと比較して、メッセージの送信の可否を判定する。
すなわち、図8(A)に示すように、自歩行者と前方の歩行者との間隔がしきい値DS以上である場合には、メッセージを送信する。一方、図8(B)に示すように、自歩行者と前方の歩行者との間隔がしきい値DS未満である場合には、メッセージの送信を停止する。
ここで、しきい値DSは、メッセージの送信が必要となる、自歩行者と前方の歩行者との間隔の下限値であり、自歩行者と前方の歩行者との間隔がしきい値DS以上離れていると、メッセージを送信する。このしきい値DSは適宜に設定すればよく、例えば3mとしてもよい。これは、自歩行者と前方の歩行者との間隔がしきい値DS以上離れている場合は、前方の歩行者が保持する歩行者端末装置1によるメッセージの送信(位置情報)によって自歩行者の位置情報がカバーされないからである。
次に、歩行者の位置関係が変化する場合のメッセージの送信状況について説明する。図9および図10は、歩行者の位置関係が変化する場合のメッセージの送信状況の一例を示す説明図である。
図9に示す例は、先頭の歩行者Aが歩行者Bに追い越された場合である。この場合、追い越された歩行者Aは先頭でなくなるため、図8に示した例と同様に、歩行者Aは前後を他の歩行者B,Cに挟まれた状態となり、歩行者Aと前方の歩行者Bとの間隔をしきい値DSと比較することにより、歩行者Aの歩行者端末装置1におけるメッセージの送信の可否を判定する。すなわち、図9(A)に示すように、歩行者Aと歩行者Bとの間隔がしきい値DS未満である場合には、歩行者Aの歩行者端末装置1ではメッセージの送信を停止する。一方、図9(B)に示すように、歩行者Aと歩行者Bとの間隔がしきい値DS未満の状態からしきい値DS以上になった場合には、歩行者Aの歩行者端末装置1ではメッセージの送信を再開する。
図10に示す例は、最後尾の歩行者Aが前方の歩行者Bを追い越した場合である。この場合、追い越した歩行者Aは最後尾でなくなり、図8に示した例と同様に、歩行者Aは前後を他の歩行者B,Cに挟まれた状態となり、歩行者Aと前方の歩行者Cとの間隔をしきい値DSと比較することにより、歩行者Aの歩行者端末装置1におけるメッセージの送信の可否が判定される。すなわち、図10(A)に示すように、歩行者Aと前方の歩行者Cとの間隔がしきい値DS以上である場合には、歩行者Aの歩行者端末装置1ではメッセージを継続して送信する。一方、図10(B)に示すように、歩行者Aと前方の歩行者Cとの間隔がしきい値DS未満となる場合には、歩行者Aの歩行者端末装置1はメッセージの送信を停止する。
なお、メッセージの送信を停止している歩行者端末装置1の歩行者が並行する道路を横断しようとすると、歩行者の方位が変化するため、メッセージの送信が開始される。このため、道路を横断しようとする歩行者の存在を車載端末装置3に確実に通知することができる。
次に、歩行者端末装置1の概略構成について説明する。図11は、歩行者端末装置1の概略構成を示すブロック図である。
歩行者端末装置1は、位置情報取得部11と、通信部12と、入出力部13と、制御部14と、情報格納部15と、を備えている。
位置情報取得部11は、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)などの衛星測位システムにより自装置の位置情報を取得する。なお、携帯情報端末装置2が有する測位機能を利用して、自装置の位置情報を取得するようにしてもよい。
通信部12は、車載端末装置3との間で歩車間通信によりメッセージを送受信するものである。この歩車間通信では、ITSを利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯を使用して無線通信が行われる。
入出力部13は、携帯情報端末装置2との間で情報の入出力を行うものである。この入出力部13から出力される情報に基づいて、携帯情報端末装置2において、歩行者に対する注意喚起などのための出力動作が行われる。
情報格納部15は、地図情報、および制御部14で実行されるプログラムなどを格納する。地図情報は、ユーザの操作に応じて、また、所定のタイミングで、自動で更新される。地図情報の更新情報は、適宜な記憶媒体を利用する他、携帯情報端末装置2の通信機能を利用してサーバからダウンロードするようにすればよい。なお、地図情報を携帯情報端末装置2から取得するようにしてもよい。
制御部14は、自歩行者情報取得部21と、コンテクスト情報取得部22と、注意喚起部23と、対象エリア設定部24と、比較対象抽出部25と、送信判定部26と、送信指示部27と、を備えている。この制御部14はプロセッサで構成され、制御部14の各部は、情報格納部15に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
自歩行者情報取得部21では、位置情報取得部11から取得した今回(現在)の位置情報と、情報格納部から取得した前回の位置情報に基づいて、自歩行者の方位情報および速度情報を取得する。この自歩行者情報取得部21で取得した自歩行者の方位情報および速度情報は位置情報とともに情報格納部15に格納される。
なお、情報格納部15に格納された位置情報、方位情報および速度情報は、各情報を取得する度に更新される。また、交差点で信号待ちをしている場合のように歩行者が停止している場合には、前回の方位情報を利用する。
コンテクスト情報取得部22では、車載端末装置3および他の歩行者端末装置1から送信される歩車間通信のメッセージに含まれる情報に基づいて、自歩行者の周辺に存在する車両や他の歩行者の状況に関するコンテクスト情報を取得する処理が行われる。このコンテクスト情報取得部22は、危険判定部28と、他歩行者情報取得部29と、を備えている。
危険判定部28では、地図情報と、自歩行者の位置情報、方位情報および速度情報と、周辺の車両の位置情報、方位情報および速度情報と、に基づいて、自歩行者と車両との衝突の可能性があるか否かを判定して、衝突の可能性がある場合には、その衝突の可能性の高さに応じて、警告または注意の指示を注意喚起部23に出力する。
また、危険判定部28では、自歩行者の前方および後方の道路を走行する車両の有無を判定して、前方の道路を走行する車両がある場合には前方交差ありの通知を出力し、前方の道路を走行する車両がない場合には前方交差なしの通知を出力し、後方の道路を走行する車両がある場合には後方交差ありの通知を出力し、後方の道路を走行する車両がない場合には後方交差なしの通知を出力する。
他歩行者情報取得部29では、通信部12で受信したメッセージに含まれる他の歩行者の位置情報および方位情報を取得して、他の歩行者の位置情報に基づいて、他の歩行者と自歩行者との間隔を算出する。この他歩行者情報取得部29で取得した他の歩行者の位置情報および方位情報と間隔情報とは情報格納部15に格納される。
注意喚起部23では、コンテクスト情報取得部22の危険判定部28から出力される警告または注意の指示に基づいて、警告または注意の出力動作を行わせる制御情報を携帯情報端末装置2に出力する。
対象エリア設定部24では、コンテクスト情報取得部22の危険判定部28から出力される前方交差あり、前方交差なし、後方交差あり、および後方交差ありの通知に基づいて、対象エリアの範囲を設定する。
比較対象抽出部25では、対象エリア設定部24で設定された対象エリアと、他の歩行者の方位情報に基づいて、比較対象となる歩行者を抽出する。具体的には、対象エリア内に存在し、かつ、方位が自歩行者と同一となる歩行者を比較対象として抽出する。
送信判定部26では、比較対象抽出部25で比較対象として抽出された他の歩行者と自歩行者との位置関係に基づいて、メッセージの送信の可否を判定する。
送信指示部27では、送信判定部26でメッセージを送信するものと判定された場合に、情報格納部15に格納された自歩行者の位置情報および方位情報などの情報を取得して、その自歩行者の位置情報および方位情報などを含むメッセージを生成して、そのメッセージの送信を通信部12に指示する。
次に、車載端末装置3の概略構成について説明する。図12は、車載端末装置3の概略構成を示すブロック図である。
車載端末装置3は、位置情報取得部31と、通信部32と、入出力部33と、制御部34と、情報格納部35と、を備えている。
位置情報取得部31は、歩行者端末装置1の位置情報取得部11と同様に、衛星測位システムにより自装置の位置情報を取得する。なお、カーナビゲーション装置4が有する測位機能を利用して、自装置の位置情報を取得するようにしてもよい。
通信部32は、歩行者端末装置1との間で歩車間通信によりメッセージを送受信するものである。この歩車間通信では、歩行者端末装置1の通信部12と同様に、ITSを利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯を使用して無線通信が行われる。
入出力部33は、カーナビゲーション装置4との間で情報の入出力を行うものである。この入出力部33から出力される情報に基づいて、カーナビゲーション装置4において、運転者に対する注意喚起などのための出力動作が行われる。
情報格納部35は、地図情報や、制御部34で実行されるプログラムなどを格納する。地図情報は、ユーザの操作に応じて、また、所定のタイミングで、自動で更新される。地図情報の更新情報は、適宜な記憶媒体を利用する他、車載端末装置3やカーナビゲーション装置4の通信機能を利用してサーバからダウンロードするようにすればよい。なお、地図情報をカーナビゲーション装置4から取得するようにしてもよい。
制御部34は、危険判定部41を備えている。この制御部34は、プロセッサで構成され、危険判定部41は、情報格納部35に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。危険判定部41では、歩行者および車両の位置、速度、方位などに基づいて、注意喚起が必要か否か、すなわち、歩行者に車両が衝突する可能性があるか否かを判定する。
次に、自歩行者情報取得部21で行われる処理の手順について説明する。図13は、自歩行者情報取得部21で行われる処理の手順を示すフロー図である。
自歩行者情報取得部21では、位置情報取得部11から自歩行者の今回(現在)の位置情報を取得する(ST101)。次に、情報格納部15から自歩行者の前回の位置情報を取得する(ST102)。そして、前回の位置情報があるか否かを判定する(ST103)。
ここで、前回の位置情報がある場合には(ST103でYes)、次に、今回の位置と前回の位置との差分である移動距離を算出して、所定値(例えば1m)以上移動したか否かを判定する(ST104)。
ここで、所定値以上移動した場合には(ST104でYes)、今回の位置と前回の位置とを比較して、自歩行者の方位を算出する(ST105)。そして、方位情報を情報格納部15に格納する(ST106)。また、移動距離と移動時間(今回と前回との間の時間)とから速度を算出する(ST107)。そして、速度情報を情報格納部15に格納する(ST108)。また、位置情報を情報格納部15に格納する(ST109)。
一方、前回の位置情報がない場合や(ST103でNo)、所定値以上移動していない場合には(ST104でNo)、速度を0として(ST110)、速度情報を情報格納部15に格納する(ST111)。そして、位置情報を情報格納部15に格納する(ST109)。
次に、コンテクスト情報取得部22で行われる処理の手順について説明する。図14は、コンテクスト情報取得部22で行われる処理の手順を示すフロー図である。
まず、コンテクスト情報取得部22では、通信部12において何らかの信号を受信すると(ST201)、通信部12で受信した信号が歩車間通信のメッセージ、すなわち、周辺の他の歩行者端末装置1または車載端末装置3から送信される歩車間通信のメッセージか否かを判定する(ST202)。
ここで、通信部12で受信した信号が歩車間通信のメッセージでない場合(ST202でNo)、例えば路側装置(図示せず)から送信されるメッセージであれば、特に処理は行われない。
一方、通信部12で受信した信号が歩車間通信のメッセージである場合には(ST202でYes)、次に、メッセージに含まれる種別が「歩行者」であるか否かを判定する(ST203)。ここで、メッセージに含まれる種別が「歩行者」である場合、すなわち、受信したメッセージが他の歩行者端末装置1から送信されたものである場合には(ST203でYes)、他歩行者情報取得部29において、他の歩行者に関する情報を取得する処理が行われる(ST204)。
一方、メッセージに含まれる種別が「歩行者」でない場合、すなわち、受信したメッセージが車載端末装置3から送信されたものである場合には(ST203でNo)、危険判定部28において、危険判定処理が行われる(ST205)。
次に、危険判定部28で行われる処理(図14のST205)の手順について説明する。図15は、危険判定部28で行われる処理の手順を示すフロー図である。
まず、情報格納部15から自歩行者の位置、速度、方位に関する自歩行者情報を取得する(ST301)。次に、地図情報に基づいて自歩行者の前方にある道路を検索する(ST302)。そして、自歩行者が前方の道路を通過するまでの時間T1を算出する(ST303)。
次に、車載端末装置3から受信したメッセージに含まれる車両の位置情報と地図情報とに基づいて、前方の道路を走行する車両を抽出する(ST304)。そして、前方の道路を走行する車両が存在するか否かを判定する(ST305)。
ここで、前方の道路を走行する車両が存在しない場合には(ST305でNo)、前方交差なしの通知を対象エリア設定部24に出力する(ST306)。
一方、前方の道路を走行する車両が存在する場合には(ST305でYes)、自歩行者が前方の道路を通過するまでの時間T1と、車両の進路が自歩行者の進路と交差するまでの時間T2との差分が所定の範囲内に収まるか否かにより、自歩行者と車両とが衝突する可能性が高いか否かを判定する(ST307)。
ここで、自歩行者と車両とが衝突する可能性が高い場合には(ST307でYes)、警告の出力を注意喚起部23に指示する(ST308)。一方、自歩行者と車両とが衝突する可能性が高くない場合には(ST307でNo)、注意の出力を注意喚起部23に指示する(ST309)。そして、前方交差ありの通知を対象エリア設定部24に出力する(ST310)。
次に、地図情報に基づいて自歩行者の後方にある道路を検索する(ST311)。次に、車両の位置情報と地図情報とに基づいて、後方の道路を走行する車両を抽出する(ST312)。そして、後方の道路を走行する車両が存在するか否かを判定する(ST313)。
ここで、後方の道路を走行する車両が存在しない場合には(ST313でNo)、後方交差なしの通知を対象エリア設定部24に出力する(ST314)。一方、後方の道路を走行する車両が存在する場合には(ST313でYes)、後方交差ありの通知を対象エリア設定部24に出力する(ST315)。
次に、他歩行者情報取得部29で行われる処理(図14のST204)の手順について説明する。図16は、他歩行者情報取得部29で行われる処理の手順を示すフロー図である。
他歩行者情報取得部では、他の歩行者端末装置から受信したメッセージに含まれる位置情報および方位情報を取得する(ST401)。そして、方位別に歩行者をグループ化して仕分ける(ST402)。次に、自歩行者と他の歩行者との間隔を算出する(ST403)。次に、自歩行者と他の歩行者との間隔に関する情報を情報格納部15に格納する(ST404)。
次に、対象エリア設定部24、比較対象抽出部25、および送信判定部26で行われる処理の手順について説明する。図17および図18は、対象エリア設定部24、比較対象抽出部25、および送信判定部26で行われる処理の手順を示すフロー図である。
まず、対象エリア設定部24において、コンテクスト情報取得部22から前方交差あり、すなわち、前方の道路を走行する車両が存在する旨の通知を受け取ったか否かを判定する(ST501)。ここで、前方交差ありの通知を受け取った場合には(ST501でYes)、次に、コンテクスト情報取得部22から後方交差あり、すなわち、後方の道路を走行する車両が存在する旨の通知を受け取ったか否かを判定する(ST502)。
ここで、後方交差ありの通知を受け取った場合には(ST502でYes)、対象エリアの前側の境界線を、車両が走行する前方の道路に設定し、対象エリアの後側の境界線を、車両が走行する後方の道路に設定する(ST504)。
一方、後方交差ありの通知を受け取っていない場合には(ST502でNo)、対象エリアの前側の境界線を、車両が走行する前方の道路に設定し、対象エリアの後側の境界線を、自歩行者から後方に距離DBだけ離れた位置に設定する(ST505)。
また、コンテクスト情報取得部22から前方交差ありの通知を受け取っていない場合には(ST501でNo)、次に、コンテクスト情報取得部22から後方交差ありの通知を受け取ったか否かを判定する(ST503)。
ここで、後方交差ありの通知を受け取った場合には(ST503でYes)、対象エリアの前側の境界線を、自歩行者から前方に距離DFだけ離れた位置に設定し、対象エリアの後側の境界線を、車両が走行する後方の道路に設定する(ST506)。
一方、後方交差ありの通知を受け取っていない場合には(ST503でNo)、対象エリアの前側の境界線を、自歩行者から前方に距離DFだけ離れた位置に設定し、対象エリアの後側の境界線を、自歩行者から後方に距離DBだけ離れた位置に設定する(ST507)。
次に、比較対象抽出部25において、対象エリア内に存在し、かつ、方位が自歩行者と同一となる歩行者を比較対象として抽出する(ST508)。
次に、送信判定部26において、比較対象として抽出された他の歩行者が自歩行者の前方に存在しないか否かを判定する(ST509)。ここで、該当する歩行者が存在しない場合、すなわち、図7(A)に示したように、対象エリア内において同じ向きに歩行している歩行者の中で、自歩行者が先頭(最も前側)に位置する場合には(ST509でYes)、メッセージ送信の判定結果を出力する(ST512)。
一方、比較対象として抽出された他の歩行者が自歩行者の前方に存在する場合には(ST509でNo)、次に、比較対象として抽出された他の歩行者が自歩行者の後方に存在しないか否かを判定する(ST510)。ここで、該当する歩行者が存在しない場合、すなわち、図7(B)に示したように、対象エリア内において同じ向きに歩行している歩行者の中で、自歩行者が最後尾(最も後側)に位置する場合に(ST510でYes)、メッセージ送信の判定結果を出力する(ST512)。
一方、比較対象として抽出された他の歩行者が自歩行者の前方に存在する場合、すなわち、図8に示したように、対象エリア内において自歩行者が同じ向きに歩行している他の歩行者で前後を挟まれている場合には(ST510でNo)、次に、前方の歩行者と自歩行者との間隔がしきい値DS以上か否かを判定する(ST511)。
ここで、前方の歩行者と自歩行者との間隔がしきい値DS以上である場合には(ST511でYes)、メッセージ送信の判定結果を出力する(ST512)。一方、前方の歩行者と自歩行者との間隔がしきい値DS未満である場合には(ST511でNo)、メッセージ送信停止の判定結果を出力する(ST513)。
次に、送信指示部27で行われる処理の手順について説明する。図19は、送信指示部27で行われる処理の手順を示すフロー図である。
送信指示部27では、送信判定部26の判定結果がメッセージ送信であれば(ST601でYes)、通信部12にメッセージの送信を指示する(ST602)。一方、送信判定部26の判定結果がメッセージ送信でない、すなわち、メッセージ送信停止であれば(ST601でNo)、特に処理は行われない。
このように、本実施形態では、歩行者端末装置1において所定の送信停止条件が満たされると、メッセージの送信を停止する通信制御が実施されるため、歩行者端末装置1の歩車間通信の送信頻度を低減することができる。これにより、歩車間通信のトラフィックの増大による歩車間通信の輻輳を低減することができ、さらに、歩行者端末装置1の電力消費を低減して省電力化を図ることができる。
また、メッセージの送信を停止した歩行者端末装置1では、メッセージの送信を継続している歩行者端末装置1が一定距離内に存在し、その歩行者端末装置1が送信するメッセージで、歩行者の存在を車載端末装置3に通知することができる。また、メッセージの送信を停止した歩行者端末装置1においても、車載端末装置3から送信されるメッセージを受信することで、車両の存在を認識することができる。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
例えば、前記の実施形態では、歩行者、すなわち道路を歩行する人物が歩行者端末装置を所持する例について説明したが、歩行者端末装置を所持して、高齢者向け電動車両(シニアカー)や電動車椅子などの車両に乗車している人物も、広義の歩行者として含まれるようにしてもよい。
また、本実施形態では、歩行者端末装置で受信したメッセージの種別が「歩行者」である場合に、そのメッセージの送信元を歩行者端末装置と判断し、メッセージの種別が「歩行者」ではない場合に、そのメッセージの送信元を車載端末装置と判断するようにしたが、この場合の車載端末装置が搭載される車両は、自動車(四輪車)に限定されるものではなく、自動二輪車や自転車などであってもよい。
また、前記の実施形態では、歩行者端末装置において所定の送信停止条件が満たされると、歩車間通信によるメッセージの送信を停止する通信制御を実施するようにしたが、
歩行者端末装置に歩車間通信とは異なる近距離通信の機能を設けて、この近距離通信を利用して、歩車間通信によるメッセージの送信を継続している歩行者端末装置と、歩車間通信によるメッセージの送信を停止している歩行者端末装置との間で情報を交換するようにしてもよい。
すなわち、歩車間通信によるメッセージの送信を継続している歩行者端末装置が、歩車間通信によるメッセージの送信を停止している歩行者端末装置の代表端末となり、歩車間通信によるメッセージの送信を停止している歩行者端末装置が、代表端末となった歩行者端末装置を共通の代表端末とするグループに所属するグループ内端末となる。そして、グループ内端末になった歩行者端末装置と車載端末装置との間での情報(歩行者情報および車両情報)の交換を、代表端末になった歩行者端末装置1が代行して行う代行通信状態となる。
この代行通信状態では、代表端末になった歩行者端末装置において、車載端末装置との間で歩車間通信により情報を相互に交換し、グループ内端末になった歩行者端末装置1では、代表端末になった歩行者端末装置との間で近距離通信により情報を相互に交換する。
このようにして、歩車間通信によるメッセージの送信を継続している歩行者端末装置と、歩車間通信によるメッセージの送信を停止している歩行者端末装置との間で、近距離通信により情報を交換することで、歩車間通信によるメッセージの送信を停止している歩行者端末装置でも、歩車間通信によるメッセージの送信を継続している歩行者端末装置を介して、自身の歩行者情報を車載端末装置に提供することができる。
なお、近距離通信は、Bluetooth(登録商標)や、920MHz帯を利用した特定小電力無線や、Wi−Fi(登録商標)などの無線LANなどであり、歩車間通信よりも小電力、すなわち、送信出力が小さい(例えば10mW以下)の無線通信を行うことができる。