前記課題を解決するためになされた第1の発明は、歩行者が所持して、歩行者および車両の位置情報をそれぞれ含む歩行者情報および車両情報を、歩車間通信により車載端末装置との間で送受信する歩行者端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記歩車間通信を行う通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記自装置の位置情報に基づいて、自装置を所持する歩行者が車道を横断するか否かを判定するとともに、前記車載端末装置から受信した前記車両情報に基づいて、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かを判定し、前記通信部は、前記制御部において、自装置を所持する歩行者が車道を横断するものと判定され、かつ、交差点で右左折を行う車両が存在すると判定された場合に、前記歩行者情報を前記車載端末装置に送信する構成とする。
これによると、歩行者が車道を横断し、かつ、交差点で右左折を行う車両が存在する場合には、車両が歩行者に衝突する可能性が高いことから、このような場合に歩行者情報を送信することで、車載端末装置で注意喚起の判断を適切に行うことができるため、交差点における歩行者の安全を確保することができる。
この場合、車載端末装置において、車両状態情報、位置情報および地図情報などに基づいて、自装置が搭載された車両が右左折を行うか否かに関する右左折判定を行い、その判定結果である右左折情報を含む車両情報を歩行者端末装置に送信すればよい。
なお、右左折判定を歩行者端末装置で行うことも可能である。例えば、車両情報に含まれる車両の位置情報と、歩行者端末装置に保持された地図情報とに基づいて、車両の走行軌跡により右左折判定を行うことができる。また、車両に搭載された車両制御装置から取得することができる車両状態情報を含む車両情報を、車載端末装置から歩行者端末装置に送信して、歩行者端末装置において、車両状態情報に基づいて右左折判定を行うようにしてもよい。
また、第2の発明は、前記通信部は、前記制御部において、自装置を所持する歩行者が車道を横断するものと判定されなかった場合、または、交差点で右左折を行う車両が存在すると判定されなかった場合に、前記歩行者情報の送信を停止する構成とする。
これによると、歩行者が車道を横断しない場合や、交差点で右左折を行う車両が存在しない場合には、歩行者情報を送信しないため、歩行者情報を送信する頻度を低減することができる。
また、第3の発明は、歩行者が所持して、歩行者および車両の位置情報をそれぞれ含む歩行者情報および車両情報を、歩車間通信により車載端末装置との間で送受信する歩行者端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記歩車間通信を行う通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記自装置の位置情報に基づいて、自装置を所持する歩行者が車道を横断するか否かを判定するとともに、前記車載端末装置から受信した前記車両情報および前記自装置の位置情報に基づいて、交差点で右左折を行う車両が、自装置を所持する歩行者の横断経路を横切るか否かを判定し、前記通信部は、前記制御部において、自装置を所持する歩行者が車道を横断するものと判定され、かつ、交差点で右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切るものと判定された場合に、前記歩行者情報を前記車載端末装置に送信する構成とする。
これによると、歩行者が車道を横断し、かつ、交差点で右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切る場合には、車両が歩行者に衝突する可能性が高いことから、このような場合に歩行者情報を送信することで、車載端末装置で注意喚起の判断を適切に行うことができるため、交差点における歩行者の安全を確保することができる。
また、第4の発明は、前記通信部は、前記制御部において、自装置を所持する歩行者が車道を横断するものと判定されなかった場合、または、交差点で右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切るものと判定されなかった場合に、前記歩行者情報の送信を停止する構成とする。
これによると、歩行者が車道を横断しない場合や、交差点で右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切らない場合には、歩行者情報を送信しないため、歩行者情報を送信する頻度を低減することができる。
また、第5の発明は、前記車両情報は、車両が右左折を行うことを示す右左折情報を含む構成とする。
これによると、歩行者端末装置において、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かに関する判定を簡単に行うことができる。
また、第6の発明は、歩行者が所持する歩行者端末装置と、車両に搭載される車載端末装置と、を備え、歩行者および車両の位置情報をそれぞれ含む歩行者情報および車両情報を、歩車間通信により前記歩行者端末装置と前記車載端末装置との間で送受信する歩車間通信システムであって、前記車載端末装置は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記歩車間通信を行う通信部と、を備え、前記通信部は、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かに関する判定を前記歩行者端末装置で行うために必要となる情報を含む前記車両情報を前記歩行者端末装置に送信し、前記歩行者端末装置は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記歩車間通信を行う通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記自装置の位置情報に基づいて、自装置を所持する歩行者が車道を横断するか否かを判定するとともに、前記車載端末装置から受信した前記車両情報に基づいて、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かを判定し、前記通信部は、前記制御部において、自装置を所持する歩行者が車道を横断するものと判定され、かつ、交差点で右左折を行う車両が存在すると判定された場合に、前記歩行者情報を前記車載端末装置に送信する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、交差点における歩行者の安全を確保するとともに、歩行者端末装置の送信頻度を低減することができる。
この場合、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かに関する判定を歩行者端末装置で行うために必要となる情報としては、例えば、車両の位置情報や、車両に搭載された車両制御装置から取得することができる車両状態情報や、これらの情報に基づいて車載端末装置において行われる右左折判定の判定結果である右左折情報などがある。
また、第7の発明は、歩行者の位置情報を含む歩行者情報を歩行者端末装置から車載端末装置に送信する歩行者情報送信方法であって、前記歩行者端末装置において、前記車載端末装置から送信される車両情報を受信し、自装置の位置情報に基づいて、自装置を所持する歩行者が車道を横断するか否かを判定するとともに、前記車両情報に基づいて、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かを判定し、自装置を所持する歩行者が車道を横断するものと判定され、かつ、交差点で右左折を行う車両が存在すると判定された場合に、前記歩行者情報を前記車載端末装置に送信する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、交差点における歩行者の安全を確保するとともに、歩行者端末装置の送信頻度を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る歩車間通信システムの全体構成図である。
この歩車間通信システムは、歩行者が所持する歩行者端末装置1および携帯情報端末装置2と、車両に搭載される車載端末装置3、カーナビゲーション装置4および車両制御装置5と、を備えている。
歩行者端末装置1は、自装置の位置情報を取得する測位機能と、車載端末装置3との間で歩車間通信を行う通信機能と、を備えており、これらの機能で取得した歩行者および車両の位置、進行方向、移動速度などに基づいて、自装置を所持する歩行者に車両が衝突する可能性が高いか否かを判定する危険判定を行う。
携帯情報端末装置2は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェラブル端末などである。歩行者端末装置1および携帯情報端末装置2は相互に接続されており、歩行者端末装置1において、衝突の可能性が高いものと判定されると、事故回避のための歩行者に対する注意喚起の出力動作(例えば音声出力や振動など)を携帯情報端末装置2に行わせる。なお、歩行者端末装置1自身が注意喚起の出力動作を行うものとしてもよい。
車載端末装置3は、自装置の位置情報を取得する測位機能と、歩行者端末装置1との間で歩車間通信を行う通信機能と、を備えており、これらの機能で取得した歩行者および車両の位置、進行方向、移動速度などに基づいて、自装置が搭載された車両が歩行者に衝突する可能性が高いか否かを判定する危険判定を行う。
カーナビゲーション装置4は、運転者に対して経路案内を行うものである。車載端末装置3およびカーナビゲーション装置4は相互に接続されており、車載端末装置3において、衝突の可能性が高いものと判定されると、事故回避のための運転者に対する注意喚起の出力動作(例えば音声出力や画面表示など)をカーナビゲーション装置4に行わせる。なお、車載端末装置3自身が注意喚起の出力動作を行うものとしてもよい。
車両制御装置5は、車両に設けられた各種のセンサやスイッチの信号に基づいて、エンジン、パワーステアリング装置、ブレーキ装置などを制御するものであり、各種の車両状態情報、例えば、車速情報、加速度情報、ステアリング操作情報、アクセルペダル操作情報、ブレーキペダル操作情報、ウインカー操作情報を出力することができる。本実施形態では、車両制御装置5から出力される車両状態情報に基づいて、車載端末装置3において、自車両が右左折を行うか否かを判定する。
なお、車載端末装置3は、運転者が所持する携帯情報端末装置2と接続されて、運転者に対する注意喚起などの出力動作を携帯情報端末装置2に行わせるようにしてもよい。
また、歩行者端末装置1は、携帯情報端末装置2に内蔵されたものとしてもよく、車載端末装置3は、カーナビゲーション装置4に内蔵されたものとしてもよい。
さて、この歩車間通信システムでは、危険判定で必要となる歩行者および車両の位置、進行方向、移動速度などの情報を、歩行者端末装置1と車載端末装置3との間で相互に交換し、この情報交換を、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)を利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯(例えば700MHz帯や5.8GHz帯)を利用した歩車間通信により行う。
本実施形態では、歩行者端末装置1から歩車間通信で送信される情報を歩行者情報と呼称し、車載端末装置3から歩車間通信で送信される情報を車両情報と呼称する。歩行者情報には、歩行者の位置情報の他に、歩行者端末装置1の識別情報(端末IDやMACアドレスなど)が含まれる。車両情報には、車両の位置情報の他に、車載端末装置3の識別情報(端末IDやMACアドレスなど)が含まれる。また、歩行者情報には、歩行者端末装置1あるいは携帯情報端末装置2に設けられたセンサ(図示せず)で取得した歩行者の進行方向や移動速度に関する情報も含まれる。車両情報には、車載端末装置3あるいはカーナビゲーション装置4に設けられたセンサ(図示せず)で取得した車両の進行方向や移動速度に関する情報も含まれる。
次に、歩行者端末装置1における歩行者情報の送信状況について説明する。図2は、歩行者端末装置1における歩行者情報の送信状況の一例を示す説明図である。
交差点には車両用の信号機7と歩行者用の信号機8とが設置されており、この信号機7,8の表示、具体的には信号機7,8の各灯器の点灯および消灯により、各方向の通行が許可され、この信号機7,8の表示にしたがって、車両の運転者は車両を運転し、また、歩行者は横断歩道を渡る。
図2に示す例は、交差点の4つの進入路A1〜A4のうち、南北方向の進入路A1,A3と、これに並行する横断歩道B2,B4に通行を許可するように、信号機7,8の表示が行われた場合である。
この場合、進入路A1,A3から交差点に進入する車両Vは、直進、右折および左折で進行することができる。また、歩行者P1,P2が横断歩道B2,B4を渡ることができる。ここで、右左折を行う車両Vが存在すると、その車両Vが横断歩道を渡る歩行者P1,P2に衝突する可能性がある。一方、右左折を行う車両Vがない、すなわち、全ての車両Vが直進である場合には、横断歩道を渡る歩行者P1,P2に車両が衝突する可能性は低い。
そこで、本実施形態では、右左折を行う車両が存在し、かつ、歩行者が横断歩道を渡る(車道を横断する)場合に、歩行者端末装置1から歩行者情報を車載端末装置3に送信する。なお、右左折とは、右折および左折のいずれかを行うことを示す。
特に本実施形態では、車載端末装置3において、自車両が右左折を行うか否かを判定し、この判定結果である、右左折を行うことを示す右左折情報を位置情報とともに含む車両情報を、車載端末装置3から歩行者端末装置1に送信する。
そして、歩行者端末装置1において、車載端末装置3から送信される車両情報を受信すると、その車両情報に基づいて、自装置を所持する歩行者が横断歩道を渡るか否かを判定するとともに、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かを判定し、自装置を所持する歩行者が横断歩道を渡るものと判定され、かつ、右左折を行う車両が存在するものと判定された場合に、歩行者情報を車載端末装置3に送信する。一方、自装置を所持する歩行者が横断歩道を渡るものと判定されなかった場合や、交差点で右左折を行う車両が存在するものと判定されなかった場合に、歩行者情報の送信を停止したままとする。
ここで、自装置を所持する歩行者が横断歩道を渡るか否かに関する車道横断判定は、歩行者の位置情報および地図情報に基づいて行えばよい。なお、この車道横断判定では、歩行者が実際に横断歩道を渡っているか否かを判定すればよいが、進行方向および移動速度などに基づいて、歩行者が横断歩道を渡ることが予測される場合も含めて判定を行うようにしてもよい。
なお、車載端末装置3では、自車両が交差点で右左折を行わない、すなわち、交差点を直進する場合には、車両情報を送信しないようにしてもよい。
ところで、図1に示した車両制御装置5では、車両に設けられた各種のセンサやスイッチなどにより、車両状態情報、例えば、車速情報、加速度情報、ステアリング操作情報、アクセルペダル操作情報、ブレーキペダル操作情報、ウインカー操作情報を取得し、これらの車両状態情報が車載端末装置3に入力される。
車載端末装置3では、車両制御装置5から車両状態情報を取得して、その車両状態情報に基づいて右左折判定を行う。このとき、車両状態情報に基づいて、右左折の実施中に現れる事象を検知して、右左折判定を行う。具体的には、ステアリング操作情報に基づいて、車両を右左折させる際に運転者が行うステアリング操作を検知すると、右左折を行うものと判定する。
また、車両状態情報に基づいて、右左折の準備段階で現れる事象を検知して、右左折判定を行う。具体的には、右左折を行う際には事前に車両を減速させる必要があるため、車速情報やブレーキペダル操作情報に基づいて、車両が減速していることを検知すると、右左折を行うものと判定する。また、右折を行う際には事前に運転者がウインカーを操作することから、ウインカー操作情報に基づいて、右左折を行うものと判定する。
また、右折を行う際には右折車線の右寄りの位置を走行し、また、左折を行う際には左折車線の左寄りの位置を走行することから、車両の位置情報および地図情報に基づいて、車両の走行軌跡が、右左折を行う際の走行軌跡に該当する場合には、右左折を行うものと判定する。
なお、右左折判定には、前記のように各種の判定方法があり、これらの判定方法のいずれかで右左折判定を行うようにしてもよいが、複数の判定方法を組み合わせて判定するようにすると、判定精度を高めることができる。
次に、歩行者端末装置1の概略構成について説明する。図3は、歩行者端末装置1の概略構成を示すブロック図である。
歩行者端末装置1は、測位部(位置情報取得部)11と、通信部12と、入出力部13と、制御部14と、情報格納部15と、バッテリー16と、を備えている。
測位部11は、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)などの衛星測位システムにより自装置の位置情報を取得する。なお、携帯情報端末装置2が有する測位機能を利用して、自装置の位置情報を取得するようにしてもよい。
通信部12は、車載端末装置3との間で歩車間通信を行うものである。この歩車間通信では、ITSを利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯を使用して無線通信が行われる。
入出力部13は、携帯情報端末装置2との間で情報の入出力を行うものである。この入出力部13から出力される情報に基づいて、携帯情報端末装置2において、歩行者に対する注意喚起などのための出力動作が行われる。
バッテリー16は、歩行者端末装置1の各部に電力を供給するものである。
情報格納部15は、地図情報や、制御部14で実行されるプログラムを格納する。地図情報は、ユーザの操作に応じて、また、所定のタイミングで、自動で更新される。地図情報の更新情報は、適宜な記憶媒体を利用する他、携帯情報端末装置2の通信機能を利用してサーバからダウンロードするようにすればよい。なお、地図情報を携帯情報端末装置2から取得するようにしてもよい。
制御部14は、車道横断判定部21と、右左折車両判定部22と、歩行者情報送信制御部23と、危険判定部24と、を備えている。この制御部14は、プロセッサで構成され、制御部14の各部は、情報格納部15に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
車道横断判定部21では、測位部11で取得した自装置の位置情報と、情報格納部15に格納された地図情報とに基づいて、自装置を所持する歩行者が横断歩道を渡るか否かを判定する。右左折車両判定部22では、車載端末装置3から取得した車両情報に含まれる右左折情報に基づいて、交差点で右左折を行う車両が存在するか否かを判定する。歩行者情報送信制御部23では、車道横断判定部21および右左折車両判定部22の判定結果などに応じて、通信部12による歩行者情報の送信を制御する。危険判定部24では、歩行者および車両の位置、移動速度、進行方向などに基づいて、注意喚起が必要か否か、すなわち、歩行者に車両が衝突する可能性が高いか否かを判定する。
次に、車載端末装置3の概略構成について説明する。図4は、車載端末装置3の概略構成を示すブロック図である。
車載端末装置3は、測位部(位置情報取得部)31と、通信部32と、入出力部33と、制御部34と、情報格納部35と、を備えている。なお、車載端末装置3には、車両に搭載されたバッテリー37から電力が供給される。
測位部31は、歩行者端末装置1の測位部11と同様に、衛星測位システムにより自装置の位置情報を取得する。なお、カーナビゲーション装置4が有する測位機能を利用して、自装置の位置情報を取得するようにしてもよい。
通信部32は、歩行者端末装置1との間で歩車間通信を行うものである。この歩車間通信では、歩行者端末装置1の通信部12と同様に、ITSを利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯を使用して無線通信が行われる。
入出力部33は、カーナビゲーション装置4との間で情報の入出力を行うものである。この入出力部33から出力される情報に基づいて、カーナビゲーション装置4において、運転者に対する注意喚起などのための出力動作が行われる。
情報格納部35は、地図情報や、制御部34で実行されるプログラムを格納する。地図情報は、ユーザの操作に応じて、また、所定のタイミングで、自動で更新される。地図情報の更新情報は、適宜な記憶媒体を利用する他、車載端末装置3やカーナビゲーション装置4の通信機能を利用してサーバからダウンロードするようにすればよい。なお、地図情報をカーナビゲーション装置4から取得するようにしてもよい。
制御部34は、交差点接近判定部41と、右左折判定部42と、車両情報送信制御部43と、危険判定部44と、を備えている。この制御部34は、プロセッサで構成され、制御部34の各部は、情報格納部35に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
交差点接近判定部41では、測位部31で取得した自装置の位置情報と、情報格納部35に格納された地図情報とに基づいて、自車両が交差点の付近に位置するか否かを判定する。右左折判定部42では、車両制御装置5から取得した車両状態情報や、自装置の位置情報および情報格納部35に格納された地図情報に基づいて、自車両が交差点において右左折(右折および左折のいずれか)を行うか否かを判定する。車両情報送信制御部43では、右左折判定部42の判定結果などに応じて、通信部32による車両情報の送信を制御する。危険判定部44では、歩行者および車両の位置、移動速度、進行方向などに基づいて、注意喚起が必要か否か、すなわち、歩行者に車両が衝突する可能性が高いか否かを判定する。
本実施形態では、右左折判定部42で車両が右左折を行うものと判定されると、車両情報を歩車間通信で歩行者端末装置1に送信する。このとき、車両の位置情報に加えて、右左折を行うことを示す右左折情報を含む車両情報を生成して、その車両情報を送信する。なお、本実施形態では、右折および左折の別を識別する必要がないため、右左折情報は1bitのデータでよい。
次に、歩行者端末装置1および車載端末装置3で行われる処理の手順について説明する。図5は、歩行者端末装置1および車載端末装置3で行われる処理の手順を示すフロー図である。
歩行者端末装置1では、まず、通信部12において、車載端末装置3から歩車間通信で送信される車両情報を受信すると(ST101でYes)、測位部11において、歩行者の位置情報を取得する(ST102)。
そして、車道横断判定部21において、測位部11で取得した歩行者の位置情報と、情報格納部15に格納された地図情報とに基づいて、歩行者が横断歩道を渡るか否かを判定する(ST103)。
ここで、歩行者が横断歩道を渡る場合には(ST103でYes)、次に、右左折車両判定部22において、車載端末装置3から取得した車両情報に含まれる右左折情報に基づいて、右左折を行う車両が存在するか否かを判定する(ST104)。
ここで、右左折を行う車両が存在する場合には(ST104でYes)、通信部12において、歩行者情報送信制御部23の指示に応じて、位置情報を含む歩行者情報を歩車間通信で車載端末装置3に送信する(ST105)。
そして、通信部12において、車載端末装置3から歩車間通信で送信される車両情報を受信すると(ST106)、危険判定部24において、歩行者に対する注意喚起が必要か否かを判定する(ST107)。
ここで、注意喚起が必要と判定されると(ST107でYes)、携帯情報端末装置2に注意喚起の実施を指示する(ST108)。これにより、携帯情報端末装置2において、歩行者に対する注意喚起の出力動作が行われる。
一方、歩行者が横断歩道を渡らない場合(ST103でNo)や、右左折を行う車両が存在しない場合(ST104でNo)には、特に実施する処理はなく、歩行者情報の送信は停止したままである。また、注意喚起が不要と判定された場合(ST107でNo)にも、特に実施する処理はない。
車載端末装置3では、まず、測位部31において、車両の位置情報を取得する(ST201)。そして、交差点接近判定部41において、測位部31で取得した自車両の位置情報と、情報格納部35に格納された地図情報に基づいて、自車両が交差点の付近に位置するか否かを判定する(ST202)。
ここで、自車両が交差点の付近に位置する場合には(ST202でYes)、右左折判定部42において、車両制御装置5から車両状態情報を取得して(ST203)、その車両状態情報と、測位部31で取得した自装置の位置情報および情報格納部35に格納された地図情報とに基づいて、交差点で自車両が右左折を行うか否かを判定する(ST204)。
ここで、自車両が右左折するものと判定されると(ST204でYes)、通信部32において、車両情報送信制御部43の指示に応じて、右左折を行うことを示す右左折情報と、自車両の位置情報とを含む車両情報を歩車間通信で歩行者端末装置1に送信する(ST205)。
一方、自車両が交差点の付近に位置しない場合(ST202でNo)や、自車両が右左折しない場合(ST204でNo)には、車両情報の送信は行わない。
そして、通信部32において、歩行者端末装置1から送信される歩行者情報を受信すると(ST206でYes)、自車両の位置情報を含む車両情報を歩車間通信で歩行者端末装置1に送信する(ST207)。ついで、危険判定部44において、運転者に対する注意喚起が必要か否かを判定する(ST208)。
ここで、注意喚起が必要と判定されると(ST208でYes)、カーナビゲーション装置4に注意喚起の実施を指示する(ST209)。これにより、カーナビゲーション装置4において、運転者に対する注意喚起の出力動作が行われる。
一方、歩行者情報を受信しない場合(ST206でNo)や、注意喚起が不要と判定された場合(ST208でNo)には、特に実施する処理はない。
以上のように、本実施形態では、右左折を行う車両が存在し、かつ、歩行者が車道を横断する場合に、歩行者端末装置1から歩行者情報を車載端末装置3に送信する。これにより、交差点で右左折を行う車両が存在しない場合や、歩行者が車道を横断しない場合には、歩行者情報を送信しないため、歩行者情報を送信する頻度を低減することができる。そして、交差点で右左折を行う車両が存在し、かつ、歩行者が車道を横断する場合には、車両が歩行者に衝突する可能性が高いことから、歩行者情報を適切なタイミングで送信して、車載端末装置3で注意喚起の判断を適切に行うことができるため、交差点における歩行者の安全を確保することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図6は、第2実施形態に係る歩行者情報の送信状況を示す説明図である。
第1実施形態では、右左折を行う車両が存在し、かつ、歩行者が横断歩道を渡ることを、歩行者情報を送信する条件としたが、この第2実施形態では、右左折を行う車両が存在し、かつ、歩行者が横断歩道を渡り、かつ、右左折を行う車両が、歩行者の横断経路を横切る、すなわち、歩行者が渡っている横断歩道を通過する場合を、歩行者情報を車載端末装置3に送信する条件としている。
図6(A),(B)に示すように、車両Vが交差点に接近すると、右左折を行うことを示す右左折情報を含む車両情報が、車載端末装置3から歩行者端末装置1に送信される。このとき、車載端末装置3では、右折、左折および直進の別、すなわち、自車両が右折、左折および直進のいずれを行うかを判定する。そして、右左折判定の判定結果である右折および左折の別を示す右左折情報を含む車両情報を歩車間通信で歩行者端末装置1に送信する。
歩行者端末装置1では、自装置を所持する歩行者が横断歩道を渡り、かつ、右左折を行う車両が存在し、かつ、その右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切る場合に、歩行者情報を車載端末装置3に送信する。一方、自装置を所持する歩行者が横断歩道を渡らない場合や、右左折を行う車両が存在しない場合や、右左折を行う車両が存在しても、その車両が歩行者の横断経路を横切らない場合には、歩行者情報の送信を停止したままとする。
ここで、図6(A)に示すように、車両Vが右折する場合には、車両Vが歩行者P1の横断経路を横切るため、歩行者P1の歩行者端末装置1から歩行者情報が送信され、歩行者P2の歩行者端末装置1からは歩行者情報は送信されない。図6(B)に示すように、車両Vが左折する場合には、車両Vが歩行者P2の横断経路を横切るため、歩行者P2の歩行者端末装置1から歩行者情報が送信され、歩行者P1の歩行者端末装置1からは歩行者情報は送信されない。
なお、車載端末装置3では、右折、左折および直進の別を判定する必要があるが、この右左折判定は、第1実施形態と同様に、車両制御装置5から取得した車両状態情報や、自装置の位置情報および地図情報に基づいて行えばよい。車載端末装置3から歩行者端末装置1に通知する右左折情報では、直進と右左折との別に加えて、右折および左折の別を識別する必要があるため、右左折情報は少なくとも2bitのデータとなる。
次に、歩行者端末装置1の概略構成について説明する。図7は、歩行者端末装置1の概略構成を示すブロック図である。
歩行者端末装置1の制御部14は、第1実施形態(図3参照)と同様に、車道横断判定部21と、右左折車両判定部22と、歩行者情報送信制御部23と、危険判定部24と、を備えているが、この第2実施形態では、さらに経路交差判定部51を備えている。
歩行者端末装置1では、通信部12において、車載端末装置3から送信される車両情報を受信すると、車道横断判定部21において、歩行者の位置情報および地図情報に基づいて、歩行者が横断歩道を渡るか否かを判定し、右左折車両判定部22において、車両情報に含まれる右左折情報に基づいて、右左折を行う車両が存在するか否かを判定する。
そして、右左折を行う車両が存在し、かつ、歩行者が横断歩道を渡る場合には、経路交差判定部51において、右左折を行う車両が、歩行者の横断経路を横切るか否か、すなわち、歩行者が渡る横断歩道を通過するか否かを判定する。
次に、歩行者端末装置1の経路交差判定部51で行われる処理について説明する。図8は、歩行者端末装置1の経路交差判定部51で行われる処理の概要を示す説明図である。
経路交差判定部51では、右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切るか否かを判定するが、この右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切るか否かは、車両が交差点に進入する際に走行する進入路と歩行者が渡る横断歩道との位置関係、および車両の右折および左折の別に応じて異なる。
図8(A)に示す例は、交差点の4つの進入路A1〜A4のうち、進入路A1から車両Vが交差点に進入する場合である。この場合、横断歩道B2を渡る歩行者P1では、車両Vが右折する場合に、車両Vが歩行者の横断経路を横切る。また、横断歩道B4を渡る歩行者P2では、車両Vが左折する場合に、車両Vが歩行者の横断経路を横切る。
図8(B)に示す例は、進入路A3から車両Vが交差点に進入する場合である。この場合、図8(A)に示す例とは逆に、歩行者P1では、車両Vが左折する場合に、車両Vが歩行者の横断経路を横切る。歩行者P2では、車両Vが右折する場合に、車両Vが歩行者の横断経路を横切る。
なお、図8では、進入路A1,A3から車両Vが交差点に進入する場合を示したが、進入路A2,A4から車両Vが交差点に進入する場合も同様である。
したがって、車両が走行する進入路と歩行者が渡る横断歩道との位置関係、および車両の右折および左折の別に基づいて、右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切るか否かを判定することができる。
ここで、車両が走行する進入路は、車載端末装置3から取得した車両情報に含まれる車両の位置情報と、情報格納部15に格納された地図情報に基づいて判定すればよい。また、歩行者が渡る横断歩道は、測位部11で取得した歩行者の位置情報と、情報格納部15に格納された地図情報とに基づいて判定すればよい。また、車両の右折および左折の別は、車載端末装置3から取得した車両情報に含まれる右左折情報から取得すればよい。
なお、この経路交差判定は、歩行者に車両が衝突する可能性に関して判定を行うものであるが、注意喚起の要否を判定する危険判定のように、歩行者および車両の位置、進行方向および移動速度などに基づいて、歩行者に車両が衝突する可能性が高いか否かを判定するものではない。
次に、歩行者端末装置1および車載端末装置3で行われる処理の手順について説明する。図9は、歩行者端末装置1および車載端末装置3で行われる処理の手順を示すフロー図である。
歩行者端末装置1で行われる処理は、図4に示した例と略同様であるが、特にここでは、車載端末装置3から取得した車両情報に含まれる右左折情報に基づいて、右左折を行う車両が存在するか否かに関する右左折車両判定(ST104)で、右左折を行う車両が存在すると(ST104でYes)、経路交差判定部51において、右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切るか否かを判定する(ST301)。
ここで、右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切る場合には(ST301でYes)、通信部12において、歩行者情報送信制御部23の指示に応じて、歩行者情報を歩車間通信で車載端末装置3に送信する(ST105)。
一方、右左折を行う車両が歩行者の横断経路を横切らない場合には(ST301でNo)、特に実施する処理はなく、歩行者情報の送信は停止したままである。
車載端末装置3で行われる処理は、図4に示した例と略同様であるが、特にここでは、交差点で自車両が右左折を行うか否かに関する右左折判定(ST204)において、右折および左折の別を判定し、その右折および左折の別を表す右左折情報を含む車両情報を歩車間通信で歩行者端末装置1に送信する(ST205)。
この他は図5に示した例と同様である。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
例えば、前記の実施形態では、車両が右左折を行うか否かを判定する右左折判定を車載端末装置で行うようにしたが、この右左折判定を歩行者端末装置で行うことも可能である。例えば、車両の走行軌跡で右左折判定を行う場合には、車両情報に含まれる車両の位置情報と、歩行者端末装置に保持された地図情報とに基づいて右左折判定を行うことができる。また、車両制御装置5から出力される車両状態情報に基づいて右左折判定を行う場合には、右左折判定に必要な車両状態情報を含む車両情報を、車載端末装置から歩行者端末装置に送信すれば、歩行者端末装置において車両状態情報に基づいて右左折判定を行うことができる。
また、横断歩道を渡っている歩行者が複数いる場合、代表となる歩行者端末装置1のみが歩行者情報を車載端末装置3に通知してもよい。代表となる歩行者端末装置1は、右左折を行う車両に最も近接した場所にいる歩行者の歩行者端末装置1、横断歩道を最初に横断している歩行者の歩行者端末装置1、電池残量が多い歩行者の歩行者端末装置1などを選択することができる。また、代表となる歩行者端末装置1は、周期的に切替えてもよいし、車載端末装置3が選択するようにしてもよい。
ここで、一般に歩行者情報は周期的に通知することになるが、歩行者情報を通知する周期は、可変にしてもよい。例えば、横断歩道を横断している歩行者が多い場合は、歩行者情報を通知する周期を長くすることにより、安全確保と歩行者端末の低消費電力化の両立を図ることができる。また、歩行者情報を通知する周期は、時刻や気象条件によって可変にしてもよい。例えば、夜間や悪天候時は、一般に車両が歩行者を発見し難いため、歩行者情報を通知する周期を短めに設定してもよい。
また、交差点付近で止まっている歩行者に対して、居眠り運転等の危険な車両が突入するような事故も考えられる。このような事故を防止するため、横断歩道を渡っている歩行者の歩行者端末装置1よりも交差点付近で止まっている歩行者の歩行者端末装置1の歩行者情報を通知する周期を長く設定して、歩行者情報を車載端末装置3に通知することにより、歩行者端末の低消費電力化を測ったうえで、安全確保を図るようにすることもできる。
また、本発明は、交差点に信号機があるなしに関係なく適用可能であり、交差点だけでなくT字路等にも適用することができる。また、歩行者との衝突防止だけでなく、広義の歩行者である自転車、高齢者向け電動車両、電動車椅子、農機などとの衝突防止にも、本発明を適用することができる。
さらに、本発明は、対向車線を直進する車両と右折をする車両との衝突防止等のように、車両同士の衝突防止にも適用可能である。例えば、右折動作を行っている車両は、右折をするという情報を対向車線の車両に通知する。右折をするという情報を受信した対向車線の車両は、該当交差点から所定距離以内にいる場合かつ該当交差点に近づいている場合、該当交差点を通過するという情報を右折車両に通知することにより、衝突防止が可能となる。
また、本発明は、左折をする車両における自動二輪の巻き込み事故防止にも適用可能である。例えば、左折動作を行っている車両は、左折をするという情報を自車線の後方の自動二輪に通知する。左折をするという情報を受信した自車線の後方の自動二輪は、該当交差点から所定距離以内にいる場合かつ該当交差点に近づいている場合、該当交差点を通過するという情報を左折車両に通知することにより、自動二輪の巻き込み事故防止が可能となる。