JP6661078B1 - ホウ素系化合物溶液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高濃度のホウ素系化合物を含有し、長期間安定に保存できるホウ素系化合物溶液を提供する。【解決手段】 開示されるホウ素系化合物溶液は、第1の溶液と第2の溶液とが調合可能に構成されている。第1の溶液は、ホウ素系化合物を3〜15重量%、第1の溶媒を85〜97重量%含有している。第2の溶液は、ホウ素系化合物を20〜50重量%、第2の溶媒を50〜80重量%含有している。第1の溶媒は水であり、第2の溶媒は、グリコール、多価アルコール又は塩からなる群より選択される少なくとも1種である。【選択図】 なし

Description

本発明は、ホウ素系化合物を含有し、例えば、防虫(特に防蟻)、防腐、防カビ、除菌、消臭又は、防炎に用いて好適なホウ素系化合物溶液に関する。
従来、ホウ素系化合物、すなわち、ホウ酸又はホウ酸塩を高濃度に含有するホウ素系化合物溶液には、以下に示すものがある。第1は、水100重量%に、ホウ酸のx重量%とホウ砂のy重量%(但し、x<35、y<40、0<x<y+5)とを添加して加熱溶解した後、室温まで冷却して得られるホウ素系化合物溶液である(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を第1の従来例と呼ぶ。
第2は、ホウ酸、メタホウ酸、ポリホウ酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上のホウ酸化合物とアルコキシシラン化合物と加水分解可能な有機金属化合物とが有機溶剤存在下で反応して金属−酸素−ホウ素−酸素−ケイ素結合を生成してホウ酸化合物がホウ酸換算で13.6重量%以上溶解しているホウ素系化合物溶液である(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を第2の従来例と呼ぶ。
特許第4439234号公報(請求項1) 特許第5433287号公報(請求項4)
木材に難燃性を付与するためには、第1の従来例に係るホウ素系化合物溶液に木材を24時間含浸させる必要がある(特許文献1の段落0036参照)。このため、この処理方法は手間暇がかかるとともに、当然ながら既に組み立てられた木造家屋を構成する木材にこの処理方法で難燃性を付与することはできない。
ところで、ホウ素系化合物溶液は、木材に難燃性を付与する機能の他、木材に防虫(特に防蟻)性、防腐性、防カビ性を付与したり、家庭の身の回りの品に噴霧して除菌、消臭したりする機能も有している。このうち、木材に防蟻性を付与するには木材に13重量%以上(シロアリの場合)のホウ素系化合物を導入する必要がある。ところが、第1の従来例に係るホウ素系化合物溶液に木材を含浸させても、木材に10重量%強のホウ素系化合物を導入できるに過ぎない(特許文献1の段落0038参照)。したがって、第1の従来例に係るホウ素系化合物溶液は、木材に難燃性を付与することはできても、防蟻性を付与するには不十分であると思われる。
また、特許文献1には、第1の従来例に係るホウ素系化合物溶液が高濃度のままどのくらいの期間安定した状態で保存できるかについては何ら記載がない。
一方、第2の従来例に係るホウ素系化合物溶液は、ホウ素系化合物がホウ酸換算で13.6重量%以上溶解しているので、木材に防蟻性を付与することができる。また、特許文献2には、第2の従来例に係るホウ素系化合物溶液を室温で24時間以上放置していても均一溶液のままであって、個体の析出やゲル化などの現象は生じなかったことが記載されている(特許文献2の段落0064参照)。しかし、特許文献2には、第2の従来例に係るホウ素系化合物溶液を24時間を超えたどの程度の長期間(例えば、1ヶ月間)まで安定した状態で保存できるか否かについては記載がない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題を解決することを課題の一例とするものであり、これらの課題を解決することができるホウ素系化合物溶液を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1の溶液と第2の溶液と調合して用いるためのホウ素系化合物溶液に係り、前記第1の溶液は、八ホウ酸二ナトリウム四水和物3〜15重量%、85〜97重量%を含有し、前記第2の溶液は、八ホウ酸二ナトリウム四水和物20〜50重量%、プロピレングリコール50〜80重量%を含有し、前記第1の溶液は60〜75重量%、前記第2の溶液は25〜40重量%の割合で調合して用いるために別々の容器に保存され、少なくとも前記第2の溶液は内部に気泡のない密封状態でガスバリア対応の前記容器に保存されていることを特徴としている。
本発明によれば、木材に防蟻性を付与することができるほど高濃度のホウ素系化合物を含有するホウ素系化合物溶液を長期間安定した状態で保存することができる。
本発明は、木材に防蟻性を付与することができるほど高濃度のホウ素系化合物を含有し、長期間安定した状態で保存することができるホウ素系化合物溶液を提供することを目的とする。本発明者らは、この目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明を完成した。
本発明者らは、当初、第1の従来例及び第2の従来例と同様、1種類のホウ素系化合物溶液だけで前記目的を達成することを試みたが、実現できなかった。すなわち、ホウ素系化合物は、表1に示すように、水に対する溶解度が水温によってほぼ定まっており、高温の水に溶解させても水温が下がればホウ素系化合物が析出(再結晶化)やゲル化してしまう。
表1は、オルトホウ酸(HBO)、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物:Na・10HO)及び八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT:Disodium Octaborate Tetrahydrate,Na13・4HO)(以下「DOT」と略する。)の水に対する各水温における溶解度(水100gに対する溶解量g)の例である。
Figure 0006661078
その後、本発明者らは、ホウ素系化合物溶液は、保存時や流通時に状態が安定であることが重要であるが、使用時に高濃度にホウ素系化合物を含有した状態になれば良いという着想を得るに至った。
つまり、単独であれば常温でいずれも状態が安定した2種類のホウ素系化合物溶液を別々に保存及び流通させ、これらを使用時に調合して高濃度にホウ素系化合物を含有したホウ素系化合物溶液を作製するのである。
さらに、2種類のホウ素系化合物溶液のうち、低濃度のホウ素系化合物を含有するホウ素系化合物溶液は、防蟻用には不十分であるが、それ以外の用途、例えば、防炎用、防蟻以外の防虫用、防腐用、防カビ用、除菌用、消臭用には十分に使用することができる。このため、これら2種類のホウ素系化合物溶液を組み合わせることにより、用途が広範囲となる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明に係るホウ素系化合物溶液は、第1の溶液と、第2の溶液とを有している。防炎用、防蟻以外の防虫用、防腐用、防カビ用、除菌用、消臭用には、第1の溶液を単独で用い、防蟻用には、第1の溶液と第2の溶液とを調合して用いる。
(有効成分)
本実施の形態では、第1の溶液及び第2の溶液の有効成分として、ホウ素系化合物、すなわち、ホウ酸、ホウ酸塩を用いる。ホウ酸としては、例えば、無水ホウ酸(B)、メタホウ酸(HBO)、オルトホウ酸(HBO)、四ホウ酸(H)が挙げられる。
一方、ホウ酸塩としては、例えば、メタホウ酸ナトリウム無水物(NaBO)、メタホウ酸ナトリウム四水和物(NaBO・4HO)、四ホウ酸ナトリウム無水物(Na)、四ホウ酸ナトリウム五水和物(Na・5HO)、四ホウ酸ナトリウム八水和物(Na・8HO)、DOT(Na13・4HO)、ホウ酸マグネシウム(BMgO)、ホウ酸マグネシウム水和物(2MgO・3B・nHO)、ホウ酸アンモニウム八水和物[(NHO・5B・8HO]、四ホウ酸アンモニウム四水和物[(NH・4HO]、四ホウ酸二カリウム四水和物(K・4HO)、四ホウ酸リチウム五水和物(Li・5HO)、ホウ酸亜鉛(2ZnO・3B・3.5HO)が挙げられる。
有効成分として、好ましくは、DOTである。これは以下に示す理由による。
(1)DOTは、化学的に安定しているので、効果に経年劣化がない。
(2)DOTは、ホウ素含有率(ホウ素量/分子量)がオルトホウ酸の1.19倍と高い。
(3)DOTは、20℃における水に対する溶解度が9.7%であって、オルトホウ酸(4.9%)よりも高い(表1参照)。
(4)DOTは、高濃度の処理溶液(ホウ酸換算濃度24%BAE(Boric Acid Equivalent))を作ることができる。
(5)DOTは、シロアリの体液に溶け込みやすく、効果が高い。
(6)DOTは、哺乳動物に安全である。
本実施の形態では、有効成分の含有量は、第1の溶液と第2の溶液とで異なる。
<第1の溶液>
有効成分の含有量は、特に限定されるものではないが、第1の溶液中3〜15重量%であることが好ましい。有効成分の含有量が3重量%未満では、濃度が低いために効果が不十分となる。
一方、有効成分の含有量が15重量%を超えた場合は、例えば、防炎効果が飽和することに加え、保存中及び流通中に有効成分の一部が再結晶化やゲル化することにより濃度が低下して効果が不十分となるからである。有効成分の含有量は、さらに好ましくは5〜12重量%である。
<第2の溶液>
有効成分の含有量は、特に限定されるものではないが、第2の溶液中20〜50重量%であることが好ましい。有効成分の含有量が20重量%未満では、第1の溶液と調合しても全体の濃度が低いために防蟻効果が不十分となる。また、有効成分の含有量が20重量%未満では、第1の溶液と調合する際に所望の濃度にするのに多くの量が必要となり、単価及び流通費が高くなるとともに、1製品当たりの容積が大きくなり、広い保存場所が必要となる。
一方、有効成分の含有量が50重量%を超えた場合は、防蟻効果が飽和することに加え、第1の溶液と調合し難くなり、均一化するために設備(例えば、加熱撹拌機)が必要となる。気温が低い場合には第2の溶液の粘度が上がるため、この不都合は顕著となる。有効成分の含有量は、さらに好ましくは25〜40重量%である。
(溶媒)
本実施の形態では、溶媒は、第1の溶液と第2の溶液とで異なる。
<第1の溶液>
第1の溶液の溶媒は、水(HO)が好ましい。溶媒の含有量は、第1の溶液中85〜97重量%であり、好ましくは88〜95重量%である。
<第2の溶液>
第2の溶液の溶媒は、グリコール、多価アルコール又は塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらのものとしては、例えば、ソルビット、エリスリトール、キシリット、マルチトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D・マンニトールが挙げられる。さらに、それらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいても良い。
第2の溶液の溶媒として、好ましくは、プロピレングリコールである。これは以下に示す理由による。
(1)プロピレングリコールは、溶解したホウ素系化合物が広い温度範囲で再結晶化やゲル化しないため、ホウ素系化合物が高濃度のまま溶解した状態を維持することができる。
(2)プロピレングリコールは、吸湿剤として使用されるほど水への溶解度が高い。
(3)プロピレングリコールは、沸点が188.2℃と高いため、通常の使用環境では揮発せず、作業性が良い。
(4)プロピレングリコールは、融点が−59℃と低く、通常の使用環境では凍結しない。
(5)プロピレングリコールは、食品や医薬品に用いられ、例えば、エチレングリコールと比較して毒性が低く、安全である。
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、第2の溶液中50〜80重量%であり、好ましくは60〜75重量%である。
本実施の形態では、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記した成分以外に、粘着付与剤、着色剤、粘度調整剤、定着向上剤、界面活性剤、分散剤、防カビ剤、抗菌剤などの添加剤を添加することができる。
(粘着付与剤)
本実施の形態では、粘着付与剤は、例えば、第1の溶液及び第2の溶液中で有効成分同士が結合して再結晶化することを防止したり、対象物から第1の溶液及び第2の溶液が垂れることを防止したりするために配合される。粘着付与剤としては、例えば、増粘多糖類、高分子ポリマー、天然樹脂のロジン、水素添加ロジンのメチルエステル、水素添加ロジンのトリエチレングリコールエステルなどのロジン誘導体、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、プロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、エチレン・プロピレン非結晶共重合体、クマロン−インデン樹脂、低分子量ブチルゴムを用いることができる。
増粘多糖類として、例えば、 ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、キサンタンガムが挙げられる。高分子ポリマーとして、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン類が挙げられる。粘着付与剤として、好ましくは、ポリブテン樹脂である。ポリブテン樹脂は、噴霧又は塗布後に乾燥することにより、その特性(耐水性、絶縁性、可塑性、ガス不透過性など)を発現することができるとともに、環境や人体への影響が懸念される有機溶剤を含んでいない。
粘着付与剤の含有量は、第1の溶液及び第2の溶液中1〜20重量%であり、好ましくは3〜15重量%である。この場合、第1の溶液及び第2の溶液の対象物に対する接着性を向上させることができる。これに対し、粘着付与剤の含有量が第1の溶液及び第2の溶液中1重量%未満であれば、第1の溶液及び第2の溶液の接着力が悪化する傾向にある。一方、粘着付与剤の含有量が第1の溶液及び第2の溶液中20重量%を超えた場合は、噴霧し難くなる、噴霧器が目詰まりし易い、貯蔵安定性が悪化するなどの不具合がある。
(着色剤)
本実施の形態では、着色剤としては、例えば、リグニン、カーボンブラック、酸化チタンを用いることができる。着色剤は、第1の溶液又は第2の溶液のいずれか一方に添加する。このようにすれば、使用者が第1の溶液と第2の溶液とを見分けることができ、誤用を防止することができる。着色剤の含有量は、第1の溶液又は第2の溶液中0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5.0重量%である。
(粘度調整剤)
本実施の形態では、粘度調整剤は、例えば、第1の溶液及び第2の溶液中で有効成分同士が結合して再結晶化を防止したり、対象物から第1の溶液及び第2の溶液が垂れることを防止したりするために配合される。粘度調整剤としては、例えば、石油炭化水素を用いることができる。石油炭化水素として、例えば、ポリイソブチレン、ポリテルペン、硬化樹脂及び混合オレフィンが挙げられる。粘度調整剤の含有量は、第1の溶液及び第2の溶液中0.5〜50重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。
(定着向上剤)
本実施の形態では、定着向上剤は、例えば、第1の溶液及び第2の溶液液が対象物(特に、天井面や垂直面)への定着性を向上させるために配合される。定着向上剤としては、例えば、カチオン性澱粉又はカチオン性ポリアクリルアミドを用いることができる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤又は非イオン界面活性剤を用いることができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、アシルメチルタウリン塩が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩)、ベタイン系界面活性剤(例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン)が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン)、グリセリン脂肪酸類(例えば、モノステアリン酸グリセリン)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン)、POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノイソステアレート)、POE脂肪酸エステル類(例えば、ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート)、POEアルキルエーテル類(例えば、POE2−オクチルドデシルエーテル)、POEアルキルフェニルエーテル類(例えば、POEノニルフェニルエーテル)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(例えば、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油)が挙げられる。
(分散剤)
本実施の形態では、分散剤は、界面活性剤の一種であり、有効成分の特に細かい微粒子を溶媒の中に均一に分散させるために配合される。分散剤としては、例えば、スルホン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。
(防カビ剤)
本実施の形態では、防カビ剤は、カビが発生しやすい湿潤箇所(例えば、床下)に存在する対象物の防カビ能力を向上させるために配合される。
着色剤、定着向上剤、界面活性剤、分散剤の各機能をいずれも備えたものとして、例えば、リグニンがある。リグニンの含有量は、0.1〜5重量%であることが好ましい。リグニンの含有量が0.1重量%未満では、溶液の色が薄すぎて他の溶液との区別がつかないなど、本来備えている各機能が十分に発揮されない。
一方、リグニンの含有量が5重量%を超えた場合は、ホウ素系化合物溶液の明度が低くなり、対象物及びその周囲にあるものが必要以上に着色されてしまう。また、リグニン自体に接着性があることから、例えば、ホウ素系化合物溶液を対象物に噴霧し難くなる、噴霧器が目詰まりし易い、ホウ素系化合物溶液を噴霧した後の対象物へ塵埃が付着し易いという不都合がある。リグニンの含有量は、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。
(第1の溶液の製造方法)
本発明に係る第1の溶液の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、以下に示す方法がある。加熱撹拌機を構成する容器内に所定温度(40℃以上、好ましくは60℃以上)の湯を所定量注ぎ入れた後、所定量の有効成分(例えば、DOT)を容器内に一度に投入し、5分以上撹拌する。
溶媒である水を60℃以上に熱した上、有効成分をその中に投入して撹拌するのは、目視では確認できないホウ素系化合物の結晶の粒を完全に溶解させるためである。このようにすれば、第1の溶液が常温まで冷却した際に、溶媒中に残ったホウ素系化合物の結晶の粒が核となって再結晶化することを防止することができる。
(第2の溶液の製造方法)
本発明に係る第2の溶液の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、以下に示す方法がある。加熱撹拌機を構成する容器内に常温の溶媒(例えば、プロピレングリコール)を所定量注ぎ入れた後、まず、有効成分(例えば、DOT)を所定量の半分だけ投入し、撹拌する。
次に、容器を加熱して溶液の温度を180℃前後まで上昇させつつ、有効成分の残り半分を徐々に投入し、撹拌する。当初溶液は白濁しているが、溶液が透明になった後も、溶液の温度を180℃前後に維持しつつ、例えば、5分以上撹拌し続ける。
(第1の溶液及び第2の溶液の保存方法)
第1の溶液と第2の溶液とを後述する所定の割合で使用時に調合可能とするために、それぞれ予め小分けにして容器に保存する。なお、第1の溶液を単独で使用する場合には、対象に噴霧するためのスプレー容器を構成する容器本体に充填するとともに、このスプレー容器内に第1の溶液を補充するための詰め替え用のボトル又はパックに充填して保存しておいても良い。
第1の溶液が充填されたスプレー容器、詰め替え用のボトル又はパックは、市販されている除菌・消臭剤と同様、常温で冷暗所に保存する。これらのスプレー容器、詰め替え用のボトル又はパックの材質及び構造は、市販されている除菌・消臭剤に採用されている容器、ボトル又はパックと同様の材質及び構造で良い。保存期間については特に定めない。
一方、第2の溶液は、容器に充填した後、内部に気泡のない密封状態となるように容器にラミネート加工を施す。このようなラミネート加工を施すのは以下に示す理由による。第2の溶液が空気と接触した場合、ホウ素系化合物の再結晶化が促進され、溶液に溶けているホウ素系化合物の濃度が防蟻機能を発揮できないほどに低下する虞があるからである。ラミネート加工された容器は、一般的な厚手の液体対応品であれば良いが、空気(酸素や窒素)などの気体を通さず、無酸素保存や真空パック保存が可能なガスバリア対応品であることが好ましい。第2の溶液が充填された容器は、常温で冷暗所に保存する。保存期間については特に定めない。第1の溶液及び第2の溶液が充填された容器には、注ぎ口が付いていることが好ましい。
(第1の溶液と第2の溶液との調合)
第1の溶液と第2の溶液とを調合する場合、特に限定されるものではないが、第1の溶液は60〜75重量%、第2の溶液は25〜40重量%の割合で調合する。第2の溶液が25重量%未満では、調合後の溶液における有効成分の濃度が低いために防蟻効果が不十分となる。
一方、第2の溶液が40重量%を超えた場合は、調合後の溶液における有効成分の濃度が高いため防蟻効果が飽和することに加え、1製品当たりの有効成分及び溶媒の量が増えるため製品単価が高くなる。さらに、有効成分の濃度が高いと、使用時に第1の溶液と調合し難くなり、均一化するために設備(例えば、加熱撹拌機)が必要となる。気温が低い場合には第2の溶液の粘度が上がるため、この不都合は顕著となる。好ましくは、第1の溶液は65〜72重量%、第2の溶液は28〜35重量%の割合で調合する。
使用時において1つの包装単位の第1の溶液と、1つの包装単位の第2の溶液とを調合することにより、調合された全体の溶液における有効成分が所望の濃度となるように、第1の溶液及び第2の溶液をそれぞれ小分けしておくことが好ましい。
このようにすれば、開口した容器に第1の溶液及び第2の溶液を1包装単位ずつ投入して軽く撹拌したり、蓋付きの容器に第1の溶液及び第2の溶液を1包装単位ずつ投入し蓋をした後容器を振動させたりして調合するだけで良い。
第1の溶液と第2の溶液とを調合した状態では数日間も保管することができないため、1回の使用時で調合液を使い切れるように前記1包装単位当たりの量を設定しておく必要がある。例えば、調合液を重量基準で5,000g(容積;4,600ml)とする場合、第1の溶液の1包装単位を3,500g(7部)とするとともに、第2の溶液の1包装単位を1,500g(3部)とする。一方、調合液を容積基準で5,000ml(重量:約5,500g)とする場合、第1の溶液の1包装単位を3,650mlとするとともに、第2の溶液の1包装単位を1,350mlとする。これにより、第1の溶液と第2の溶液とを1包装単位ずつ調合すると、調合液が重量基準の場合5,000g、容積基準の場合5,000mlとなる。この結果、歩留まり及び利便性が向上する。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における数値の単位は、特に断らない限り「重量%」を表す。
(第1の溶液)
・有効成分:DOT 10重量%
・溶媒:水 90重量%
(第2の溶液)
・有効成分:DOT 34重量%
・溶媒:プロピレングリコール 66重量%
(結果)
第1の溶液及び第2の溶液をそれぞれ個別包装し、未開封のまま冷暗所の1つである冷蔵庫(内部温度約4℃)に保存した場合、製造後60日間経過してもホウ素系化合物が再結晶化することはなかった。
以上説明したように、本発明では、常温で状態が安定しており、長期保存可能な2種類のホウ素系化合物溶液である第1の溶液及び第2の溶液を別々に保存及び流通させ、第1の溶液及び第2の溶液を使用時に調合することにより、高濃度にホウ素系化合物を含有するホウ素系化合物溶液を作製している。したがって、本発明によれば、木材に防蟻性を付与できるほど高濃度のホウ素系化合物を含有するホウ素系化合物溶液を長期間安定した状態で保存することができる。
したがって、使用者は、使用時に、開口した容器に第1の溶液及び第2の溶液を1包装単位ずつ投入して軽く撹拌したり、蓋付きの容器に第1の溶液及び第2の溶液を1包装単位ずつ投入し蓋をした後容器を振動させたりして調合するだけで高濃度にホウ素系化合物を含有するホウ素系化合物溶液を作製することができる。
使用者は、特別な資格がなくも、特別な機器を用いることなく、特別な安全対策をすることなく、このホウ素系化合物溶液を木材に噴霧器で噴霧したり、刷毛で塗布したりするだけで当該木材に防蟻性を付与することができる。
これに対し、ホウ素系化合物が粉体の状態で市販されている場合、使用現場に加熱撹拌機を持ち込み、加熱攪拌機に水と粉体を入れ、加熱しつつ攪拌して所望のホウ素系化合物溶液を調合する必要がある。また、濃度が15%程度のホウ素系化合物を含有する市販のホウ素系化合物溶液を使用する場合、使用現場の気温が低いと、ホウ素系化合物が再結晶化してしまう。この場合、再結晶化せずに残っている溶液を木材に噴霧又は塗布してもホウ素系化合物の濃度が15%より低下しているため防蟻性を木材に付与できない。しかし、使用者はホウ素系化合物の濃度が低下していることに気づかない場合があり、作業自体が無駄になってしまう。
グリコール、多価アルコール又は塩からなる群より選択される少なくとも1種がホウ素系化合物の溶媒となり得ることは多数の文献に記載されて公知である(例えば、特開2008-208107号公報、特許第4323244号公報参照)。しかし、これらの文献、前記特許文献1及び2には、第1の溶液及び第2の溶液を調合する本発明については開示も示唆もされていない。
また、本発明によれば、第1の溶液は、防蟻用以外の用途、例えば、防炎用、防蟻以外の防虫用、防腐用、防カビ用、除菌用、消臭用には十分に使用することができる。このことについても、前記文献、前記特許文献1及び2には開示も示唆もされていない。

Claims (1)

  1. 第1の溶液と第2の溶液と調合して用いるためのホウ素系化合物溶液であって、
    前記第1の溶液は、
    八ホウ酸二ナトリウム四水和物 3〜15重量%、
    85〜97重量%
    を含有し、
    前記第2の溶液は、
    八ホウ酸二ナトリウム四水和物 20〜50重量%、
    プロピレングリコール 50〜80重量%
    を含有し、
    前記第1の溶液は60〜75重量%、前記第2の溶液は25〜40重量%の割合で調合して用いるために別々の容器に保存され、少なくとも前記第2の溶液は内部に気泡のない密封状態でガスバリア対応の前記容器に保存されている
    ことを特徴とするホウ素系化合物溶液。
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