JP6658111B2 - 交流電源装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
図5は、その代表的な一例として、特許文献1に開示されている、1つの交流電源装置内で並列接続された複数の直交電力変換器のそれぞれの駆動制御を行うための制御系の主要部の構成を示すブロック図である。
続いて、電圧制御部123では、上記の補正された振幅指令値と基準周波数設定値に対応した正弦波とを乗算して、出力電圧指令値を生成する。そしてその出力電圧指令値と出力電圧検出器112により検出された出力電圧検出値との偏差を0(ゼロ)にするための変調率指令を算出し、それをPWM制御部124へと送る。その変調率指令は、PWM制御部124にて、該当する電力変換器のゲート信号に変換され、その該当する電力変換器の電力制御用半導体素子のゲート(図示省略)へと送られる。
このようにして、並列接続された複数の直交電力変換器のそれぞれについての駆動制御が行われるように設定されている。
すなわち、出力電流検出器によって検出された出力電流の瞬時電流振幅を、瞬時電流振幅演算部127にて算出し、その瞬時電流振幅が電流制限指令設定部128に記憶されている所定の出力電流制限設定値を超過した場合に、その超過分の積分値を積分要素129によって算出する。そしてその積分値に基づいて、上記の出力電圧の振幅指令値の低減量を算出し、その低減量を上記の出力電圧の振幅指令値から減算することで、出力電圧の振幅指令値を補正する。そしてその補正を施された出力電圧の振幅指令値を、電圧指令生成部120から制御器110へと送り、出力電流の電圧振幅の設定値として用いるようにする。このような制御方法およびそのための装置構成が提案されている。
また、特許文献1では、上記の積分値の下限をゼロに設定することにより、例えば軽負荷時などに電流振幅が制限設定値未満にある状態が継続した場合に発生する無用な出力電圧の上昇を抑制する、という制御方法およびそのための装置構成も併せて提案されている。
そして、上記のような特許文献1にて提案されている制御系では、例えば過負荷時に出力電流の振幅が電流制限設定値を超過した場合、その電流制限設定値まで出力電圧の振幅指令値を減少させるようにしている。
ところが、そのようにすると、特に上記の如く負荷が力率1に近いという条件下では、並列接続された複数の直交電力変換器のいずれについてもその出力電圧の振幅を減少させる方向に作用することとなり、その結果、各直交電力変換器の出力電流は不均等なまま、全ての直交電力変換器で出力電圧の低下が継続され、やがては負荷端(受電側)での電力使用に実用上の支障が生じるほどの電圧低下に至る虞がある。
また、そのような実用上の支障が生じるほどの電圧低下が発生すると、その電圧低下分を補うための補償電力を交流電源装置の外部から供給しなけれならなくなる虞もある。
また、本発明に係る交流電源装置の制御方法は、複数の直交電力変換器を並列接続してなる直交電力変換部と、その個々の直交電力変換器の出力電力をそれぞれ制御する制御部とを有する交流電源装置の制御方法であって、基準電圧振幅設定値と基準周波数設定値とに基づいて前記制御部にて生成される出力電圧指令値と前記直交電力変換器からの出力電圧検出値との偏差を0(ゼロ)にするλ出力を生成するプロセスと、前記λ出力に基づいて前記直交電力変換器を制御してその出力電力の周波数および電圧振幅を制御するプロセスと、前記直交電力変換器からの出力電圧検出値と出力電流検出値とに基づいて、前記直交電力変換器からの出力電力の有効電力値と無効電力値とを算出するプロセスと、前記有効電力値が大きくなるほど数値が低下するように設定された周波数補正量によって、前記基準周波数設定値を補正するプロセスと、前記無効電力値に基づいて、その無効電力値の力率が遅れ力率である場合には負の補正量となり進み力率である場合には正の補正量になるように設定された第1の電圧振幅補正量によって、前記基準電圧振幅設定値を補正するプロセスと、前記無効電力値の力率が力率1または遅れ力率であるか進み力率であるかを判定するプロセスと、前記出力電流検出値に基づいて出力電流振幅値を算出するプロセスと、所定の電流制限設定値に対する前記出力電流振幅値の偏差が所定の電流制限閾値を超えた場合であって、かつ、そのときの前記無効電力値の力率が力率1または遅れ力率である場合には、前記偏差の大きさに応じて前記直交電力変換器から出力される出力電圧振幅を低下させるための第2の電圧振幅補正量を算出し、その第2の電圧振幅補正量によって、前記基準電圧振幅設定値を補正するが、そのときの前記無効電力値の力率が進み力率である場合には、前記第2の電圧振幅補正量をゼロホールドして、その第2の電圧振幅補正量を用いた前記基準電圧振幅設定値の補正を行わないようにする力率対応電圧振幅補正プロセスと、を含むことを特徴としている。
この交流電源装置は、制御部10と直交電力変換部20とから、その主要部が構成されている。
そして、複数の直交電力変換器18のそれぞれが、それに対応する1つの制御部10によって独立して制御されるように設定されている。すなわち、並列接続された複数の直交電力変換器18同士の間での信号授受無しで、それら複数の直交電力変換器18のそれぞれが並列制御されるように設定されている。
電圧自動調節部4は、送られてきた出力電圧指令値と該当する直交電力変換器18からの出力電圧検出値(V out)との偏差を0(ゼロ)にするようにλ出力を生成し、それをPWM制御信号生成部5に送る。
PWM制御信号生成部5は、送られてきたλ出力をPWM変調してPWM制御信号を生成し、それを該当する直交電力変換器18へと送る。
そしてその送られてきたPWM制御信号によって、該当する直交電力変換器18の動作が制御される。
このようにして、各直交電力変換器18における出力電圧指令値と出力電圧検出値(V out)との偏差が0(ゼロ)となるように、それら各直交電力変換器18の周波数および電圧振幅についての並列制御が行われて、この交流電源装置から出力される電力の周波数および電圧振幅に関しての基本的な制御が行われる。
周波数補正部8は、電力演算部7により算出された有効電力値(P)に対応した周波数補正量を生成する。
図3は、直交電力変換器18より出力される電力から検出された有効電力値(P)に対する周波数補正量の関係をグラフとして示した特性図である。この図3に例示されているとおり、検出される有効電力値(P)が大きくなればなるほど周波数補正量が低下するように設定されている。
電圧振幅補正部9では、無効電力値(Q)に対応した第1の電圧振幅補正量(A)を生成し、加算器2aに送る。そして加算器2aにて、基準電圧振幅設定部1から出力される基準電圧振幅設定値が、第1の電圧振幅補正量(A)によって補正される。
図4は、算出された無効電力値(Q)に対する第1の電圧振幅補正量(A)の関係をグラフとして示した特性図である。この図4に例示されているとおり、無効電力が遅れ力率(遅れ位相)の場合には第1の電圧振幅補正量(A)が負の値となり、無効電力が進み力率(進み位相)の場合には第1の電圧振幅補正量(A)が正の値となるように設定されている。
すなわち、まず、力率対応電圧振幅補正部16内に設けられている電流振幅演算部11が、出力電流検出値(I out)に基づいて、出力電流振幅値を算出する。そして、その出力電流振幅値を減算器2eに送る。また、出力電流制限設定部13は、予め定められた電流制限設定値を減算器2eに送る。そして、減算器2eにて、電流制限設定値に対する出力電流振幅値の偏差を算出し、それを電圧振幅制限演算部14に送る。
すなわち、力率判定部12は、まず、送られてきた無効電力値(Q)のデータ信号が正極性である場合には、そのとき生じている無効電力は力率1または遅れ力率を有するものであると判定する。また、送られてきた無効電力値(Q)のデータ信号が負極性である場合には、そのとき生じている無効電力は進み力率を有するものであると判定する。
そして、その偏差が所定の電流制限閾値を超えていると電圧振幅制限演算部14によって判定された場合であって、かつ、無効電力値(Q)のデータ信号が正極性である(すなわち、そのとき生じている無効電力が力率1または遅れ力率を有するものである)と力率判定部12によって判定された場合には、電圧振幅制限演算部14の電圧振幅制限演算機能を働かせて、上記の偏差の大きさに応じて出力電圧振幅を低下させるための第2の電圧振幅補正量(B)を算出し、それを減算器2bへと送る。減算器2bでは、送られてきた第2の電圧振幅補正量(B)によって、基準電圧振幅設定部1からの基準電圧振幅設定値が補正される。この補正により、電流制限設定値に対する出力電流振幅値の偏差が低減される。
また、電流制限設定値に対する出力電流振幅値の偏差が所定の電流制限閾値を超えていると判定されたが、無効電力値(Q)のデータ信号が負極性である(すなわち、そのとき生じている無効電力が進み力率を有するものである)と力率判定部12にて判定された場合には、電圧振幅制限演算部14の電圧振幅制限演算機能を停止させると共に、リミッタ(ゼロホールド)15を働かせて、電圧振幅制限演算部14からの出力をいわゆるゼロホールドの状態にする。
一般に、並列接続された複数の直交電力変換器18間での電圧振幅差によってそれら複数の直交電力変換器18間の横流成分として無効成分が発生するが、本実施の形態に係る装置および方法によれば、上記のような力率対応電圧振幅補正部16の動作によって、出力電圧の高い直交電力変換器18から出力電圧の低い直交電力変換器18へと、遅れの無効成分を流出せしめることとなる。また逆に、出力電圧の低い直交電力変換器18から見れば、その進み力率の状態にある直交電力変換器18における低い出力電圧を有する進みの無効成分に対して相対的に高い出力電圧を有する遅れの無効成分を流入せしめることとなる。
しかも、その均等化のための作用においては、上記の如く複数の直交電力変換器18同士の無効成分の相対的な偏差を低減乃至解消せしめることによって、それら複数の直交電力変換器18の出力電力を均等化するようにしているので、その出力電圧の偏差を低減乃至解消するべく補正するための追加電力等を外部から供給する必要もなくなることとなり、このことからも、いわゆる省エネルギという観点で更に有利である。
また、出力電力の無効成分の均等化に関しては、並列接続された複数の直交電力変換器18のうちの、出力電力における位相遅れの無効成分の相対的に高い直交電力変換器18が、自身の基準電圧振幅設定(指令)値を下げるようにしたので、他の直交電力変換器18との出力電力の振幅差が縮小されて、並列接続された複数の直交電力変換器18間での出力電力の無効成分を均等化することが可能となる。
そして、並列接続された複数の直交電力変換器18のうちに遅れ力率の状態にあるものと進み力率の状態にあるものとが混在していたとしても、また特に、それらの力率が1に近い領域で遅れ/進みの両方向にばらついていたとしても、それら並列接続された複数の直交電力変換器18同士の電圧振幅を、従来の技術の場合のような不均等さが助長されるといった虞なしに、かつ外部からの補償電力や補正電力等の投入を必要とすることなしに、均等化することが可能となる。
しかも、力率対応電圧振幅補正部16による第2の電圧振幅補正量(B)を用いた無効成分の電圧振幅制御は、それ以外の、基準電圧振幅設定部1、電圧自動調節部4、PWM制御信号生成部5、基準周波数設定部6、電力演算部7、周波数補正部8、電圧振幅補正部9による有効成分の周波数制御に対しても第1の電圧振幅補正量(A)を用いた無効成分の電圧振幅制御に対しても、何ら不都合な干渉等を生じさせる虞がなく、むしろ逆に、それらが本来具備している機能を力率対応電圧振幅補正部16が巧みに利用しているので、それらとの整合性についても優れており、また、当該交流電源装置の全体的な構成が煩雑なものとなることを回避することができるという利点もある。
2a 加算器
2b 減算器
2c 減算器
2d 加算器
2e 減算器
3 乗算器
4 電圧自動調節部
5 PWM制御信号生成部
6 基準周波数設定部
7 電力演算部
8 周波数補正部
9 電圧振幅補正部
10 制御部
11 電流振幅演算部
12 力率判定部
13 出力電流制限設定部
14 電圧振幅制限演算部
15 リミッタ
16 力率対応電圧振幅補正部
17 直流電源
18 直交電力変換器
19 リアクトル
20 直交電力変換部
21 変成器
22 出力母線
23 負荷群
24 コンデンサ
A 第1の電圧振幅補正量
B 第2の電圧振幅補正量
P 有効電力値
Q 無効電力値
Claims (2)
- 複数の直交電力変換器(18)を並列接続してなる直交電力変換部(20)と、その個々の直交電力変換器(18)の電力出力動作をそれぞれ制御する制御部(10)とを有する交流電源装置であって、
基準電圧振幅設定値と基準周波数設定値とに基づいて生成される出力電圧指令値に対する前記直交電力変換器(18)からの出力電圧検出値(V out)の偏差を0(ゼロ)にするλ出力を生成する電圧自動調節部(4)と、
前記λ出力に基づいて前記直交電力変換器(18)を制御してその出力電力の周波数および電圧振幅を制御する制御信号生成部(5)と、
前記直交電力変換器(18)からの出力電圧検出値(V out)と出力電流検出値(I out)とに基づいて、前記直交電力変換器(18)からの出力電力の有効電力値(P)と無効電力値(Q)とを算出する電力演算部(7)と、
前記有効電力値(P)が大きくなればなるほど数値が低下するように設定された周波数補正量を出力し、その周波数補正量によって、前記基準周波数設定値を補正する周波数補正部(8)と、
前記無効電力値(Q)に基づいて、その無効電力値(Q)の力率が遅れ力率である場合には負の補正量となり進み力率である場合には正の補正量となるように設定された第1の電圧振幅補正量(A)を出力し、その第1の電圧振幅補正量(A)によって、前記基準電圧振幅設定値を補正する電圧振幅補正部(9)と、
前記無効電力値の力率が力率1または遅れ力率であるか進み力率であるかに対応した電圧振幅補正を行う力率対応電圧振幅補正部(16)であって、前記電力演算部(7)により算出された無効電力値(Q)の力率が遅れ力率であるか進み力率であるかを判定する力率判定部(12)と、前記出力電流検出値(I out)に基づいて出力電流振幅値を算出する電流振幅演算部(11)と、所定の電流制限設定値に対する前記電流振幅演算部(11)により算出された出力電流振幅値の偏差が所定の電流制限閾値を超えており、かつ、そのときの前記無効電力値(Q)の力率が力率1または遅れ力率であると前記力率判定部(12)によって判定された場合には、前記偏差の大きさに応じて前記直交電力変換器(18)から出力される出力電圧振幅を低下させるための第2の電圧振幅補正量(B)を算出し、その第2の電圧振幅補正量(B)によって、前記基準電圧振幅設定値を補正するが、そのときの前記無効電力値(Q)の力率が進み力率であると前記力率判定部(12)によって判定された場合には、前記第2の電圧振幅補正量(B)をゼロホールドして、その第2の電圧振幅補正量(B)を用いた前記基準電圧振幅設定値の補正を行わないようにする電圧振幅制限演算部(14)とを有する力率対応電圧振幅補正部(16)と
を備えたことを特徴とする交流電源装置。 - 複数の直交電力変換器(18)を並列接続してなる直交電力変換部(20)と、その個々の直交電力変換器(18)の出力電力をそれぞれ制御する制御部(10)とを有する交流電源装置の制御方法であって、
基準電圧振幅設定値と基準周波数設定値とに基づいて前記制御部(10)にて生成される出力電圧指令値と前記直交電力変換器(18)からの出力電圧検出値(V out)との偏差を0(ゼロ)にするλ出力を生成するプロセスと、
前記λ出力に基づいて前記直交電力変換器(18)を制御してその出力電力の周波数および電圧振幅を制御するプロセスと、
前記直交電力変換器(18)からの出力電圧検出値(V out)と出力電流検出値(I out)とに基づいて、前記直交電力変換器(18)からの出力電力の有効電力値(P)と無効電力値(Q)とを算出するプロセスと、
前記有効電力値(P)が大きくなるほど数値が低下するように設定された周波数補正量によって、前記基準周波数設定値を補正するプロセスと、
前記無効電力値(Q)に基づいて、その無効電力値(Q)の力率が遅れ力率である場合には負の補正量となり進み力率である場合には正の補正量になるように設定された第1の電圧振幅補正量(A)によって、前記基準電圧振幅設定値を補正するプロセスと、
前記無効電力値(Q)の力率が力率1または遅れ力率であるか進み力率であるかを判定するプロセスと、
前記出力電流検出値(I out)に基づいて出力電流振幅値を算出するプロセスと、
所定の電流制限設定値に対する前記出力電流振幅値の偏差が所定の電流制限閾値を超えた場合であって、かつ、そのときの前記無効電力値(Q)の力率が力率1または遅れ力率である場合には、前記偏差の大きさに応じて前記直交電力変換器(18)から出力される出力電圧振幅を低下させるための第2の電圧振幅補正量(B)を算出し、その第2の電圧振幅補正量(B)によって、前記基準電圧振幅設定値を補正するが、そのときの前記無効電力値(Q)の力率が進み力率である場合には、前記第2の電圧振幅補正量(B)をゼロホールドして、第2の電圧振幅補正量(B)を用いた前記基準電圧振幅設定値の補正を行わないようにする力率対応電圧振幅補正プロセスを含む
ことを特徴とする交流電源装置の制御方法。
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