JP6656547B1 - ベーン溝の研削装置及び研削方法 - Google Patents

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【課題】砥石の耐久性を高め、砥石を回転させる装置の構成も簡略化でき、安価な提供が可能なベーン溝の研削装置を提供する。【解決手段】ワークWの外周囲をとり囲む大きさのリング形状に形成した環状砥石1を設ける。環状砥石1を貫通孔W1内で揺動自在に支持する揺動支持機構10を設ける。環状砥石1に形成された挿入口2から環状砥石1の内部にワークW外側面を導入する。ワークWの貫通孔W1内に環状砥石1を挿通する。ワークWの外側に位置する揺動支持機構10を介して環状砥石1を揺動させる。【選択図】 図1

Description

本発明は、ロータリーコンプレッサーのシリンダーやベーンポンプのシリンダー等に形成されているベーン溝を研削するベーン溝の研削装置及び研削方法に関する。
従来、この種のベーン溝を研削する装置として、ブローチ加工が知られている。このブローチ加工とは、棒状の軸に、荒刃、中仕上げ刃、仕上げ刃が順次寸法を増しながら配列されているブローチと称する工具を使用する研削加工である。工作物に開けたガイド穴に、ブローチを挿入して引き抜くと、仕上げ刃の寸法の穴開け加工ができるというものである。ところが、このブローチ加工は、研削装置が大型化してしまうので、ロータリーコンプレッサーやベーンポンプに形成されているベーン溝を研削するには適していなかった。
このブローチ加工に代わる研削装置として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された装置が提案されている。
特許文献1に記載の研削装置は、コンプレッサーシリンダー等のワークの貫通孔に「研削ヘッド本体4」を挿通し、この「研削ヘッド本体4」に突設した「シャフト一体型砥石台金14」なる部材を貫通孔側からベーン溝に嵌合して溝を研削する装置である。
特許文献2は、「砥石円板用ホルダー33」に「砥石円板11」を設け、ワークの貫通孔に「砥石円板用ホルダー33」を挿入し、「砥石円板11」にてベーン溝を研削する装置である。
このように、従来のベーン溝の研削装置はいずれもコンプレッサーシリンダー等の貫通孔に、砥石を回転させる装置と砥石とを組み合せた状態で挿入してベーン溝を研削する構成であった。
特許第3539090号公報 特許第3510864号公報
ところが、コンプレッサーシリンダーの貫通孔に、砥石を回転させる装置と砥石とを挿入してベーン溝を研削する構成では、極めて小さな砥石にならざるを得ない。したがって、砥石の耐久性が極めて短くなる問題があった。すなわち、小径の砥石円板を回転させてベーン溝を研削すると、この砥石の摩耗が激しくなるので常に新しい砥石と交換しなければならない。
しかも、砥石と共に、砥石を回転させる装置までコンプレッサーシリンダーの貫通孔に挿入する構造であることから、これらの装置が極めて精密な構成になっている。このため、砥石の交換作業も複雑になる上、製造コストが高く安価な提供が困難になっている。
そこで本発明は上述の課題を解決すべく創出されたもので、コンプレッサーシリンダーの貫通孔内に形成されているベーン溝を研削する装置において、砥石の耐久性を飛躍的に高めることが可能で、しかも、砥石を回転させる装置の構成も簡略化することができ、安価な提供が可能なベーン溝の研削装置及び研削方法の提供を目的とするものである。
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ワークWの貫通孔W1から連続するベーン溝W2を研削する装置において、貫通孔W1側からベーン溝W2を研削する板状の砥石を、貫通孔W1からワークWの外周囲をとり囲む大きさのリング形状に形成した環状砥石1と、環状砥石1のリング中心部から環状砥石1に連結され該環状砥石1を貫通孔W1内で揺動自在に支持する揺動支持機構10と、を備え、環状砥石1の一部に形成された切欠状の挿入口2から環状砥石1の内部にワーク外側面を導入してワークWの貫通孔W1内に環状砥石1を挿通し、ワークWの外側に位置する揺動支持機構10を介して貫通孔W1内の環状砥石1を揺動させてベーン溝W2を研削するように構成したことにある。
第2の手段の前記揺動支持機構10は、前記環状砥石1の内周縁側を保持するホルダー体11と、該ホルダー体11の一部に連続する支持体12と、該支持体12に連続して前記環状砥石1のリング中心部に位置する軸支体13とを備えたものである。
第3の手段の前記揺動支持機構10は、モーター25により回転する回転体21の回転動作に連動する往復カム22と、該往復カム22に連動して揺動する揺動体23と、該揺動体23の揺動運動にリンクして揺動する従動体24とを備えた揺動機構20に連繋され、該揺動機構20の従動体24を介して前記揺動支持機構10が揺動するように構成している。
第4の手段の前記ワークWは、正逆回転自在なモーター33と、該モーター33にて回動する移動ネジ体31と、該移動ネジ体31にネジ止めされ移動ネジ体31の長手方向に沿って移動するワークテーブル32とを備えたワーク移動機構30のワークテーブル32に固定された前記ワークWの外側面を、ワークテーブル32の移動により前記環状砥石1の前記挿入口2から環状砥石1の内部に導入するように構成したものである。
第5の手段は、ワークWに形成されている貫通孔W1から連続するベーン溝W2を研削する方法において、ベーン溝W2を研削する板状の砥石を略C字形のリング形状に形成した環状砥石1を用い、環状砥石1の一部に形成された切欠状の挿入口2から環状砥石1の内部にワーク外側面を導入してワークWの貫通孔W1内に環状砥石1を挿通し、該環状砥石1を貫通孔W1内で揺動させて環状砥石1の外側板面でベーン溝W2を研削する研削方法にある。
本発明のごとく、環状砥石1の一部に形成された切欠状の挿入口2から環状砥石1の内部にワーク外側面を導入してワークWの貫通孔W1内に環状砥石1を挿通し、ワークWの外側に位置する揺動支持機構10を介して貫通孔W1内の環状砥石1を揺動させてベーン溝W2を研削するように構成したことにより、間隔の狭いベーン溝W2を大型の環状砥石1で研削することが可能になった。この結果、従来の小型の砥石と比べて砥石の耐久性を飛躍的に高めることができる。
しかも、砥石を回転させる装置の構成も簡略化することができ、安価な提供が可能になる。
また、環状砥石1の内周縁側を保持するホルダー体11と、該ホルダー体11の一部に連続する支持体12と、該支持体12に連続して環状砥石1のリング中心部に位置する軸支体13とを備えている揺動支持機構10により、略リング形状の環状砥石1を確実に保持して貫通孔W1内で揺動させることができる。
更に、揺動支持機構10は揺動機構20に連繋されているので、揺動支持機構10の揺動運動は何度でも繰り返すことができる。
ワーク移動機構30のワークテーブル32によって保持されたワークWを環状砥石1の挿入口2から内部に移動する構成により、ベーン溝W2の正確な研削作業が可能になる。
このように本発明によると、砥石の耐久性を飛躍的に高めることが可能で、しかも、砥石を回転させる装置の構成も簡略化することができ、安価な提供が可能になるなどといった当初の目的を達成した。
本発明の環状砥石を示す概略斜視図である。 ワークW内の環状砥石1を示す概略図である。 (イ)は研削前のワーク、(ロ)は研削時のワークを示す概略図である。 本発明の揺動支持部と揺動機構とを示す概略図である。 本発明の揺動支持部と揺動機構との関係を示す概略図である。 本発明のワーク移動機構を示す概略図である。 (イ)は研削前の環状砥石、(ロ)は研削時の環状砥石を示す概略図である。 (イ)はワークの移動を停止する状態、(ロ)はワークを移動する状態のクラッチ機構を示す概略図である。 環状砥石1を再研磨する状態を示す概略図である。
本発明は、ロータリーコンプレッサーのシリンダーやベーンポンプのシリンダー等をワークWとし、このワークWのベーン溝W2を研削するものである。すなわち、ワークWに形成されている貫通孔W1から連続するベーン溝W2ベーン溝を研削する装置と方法である(図1参照)。
本発明研削方法は、ベーン溝W2を研削する板状の砥石を略C字形のリング形状に形成した環状砥石1を使用する。そして、この環状砥石1を、ワークWの貫通孔W1内で揺動させて環状砥石1の板面でベーン溝W2を研削する方法にある。
そのため本発明装置は、貫通孔W1からワークWの外周囲をとり囲む環状砥石1を使用してベーン溝W2を研削する装置となっている。本発明装置は、揺動支持機構10と揺動機構20とを備えている(図4参照)。
揺動支持機構10は、環状砥石1のリング中心部から環状砥石1に連結され該環状砥石1を貫通孔W1内で揺動自在に支持する構成である(図3参照)。
図示の揺動支持機構10は、ホルダー体11、支持体12、軸支体13を備えている(図3(イ)参照)。ホルダー体11は、環状砥石1の内周縁側を保持する略環状部材である。支持体12は、ホルダー体11の一部に連続する部位で、環状砥石1のリング中心部に軸支体13を設けている。そして、この軸支体13を後述する揺動機構20で揺動すると、ホルダー体11で保持した環状砥石1が揺動するものである(同図(ロ)参照)。
図示のホルダー体11は、自身の外周縁に沿って環状砥石1を嵌入する収納凹部11Aを形成している(図2参照)。そして、この収納凹部11Aに嵌入した環状砥石1の側面を挟着体11Bで挟着し、この挟着体11Bを固定ネジ11Cでネジ止めすることで環状砥石1を固定する構造を成している。したがって、環状砥石1の交換やメンテナンスが容易な構造になっている。
そして、環状砥石1の一部に形成された切欠状の挿入口2から環状砥石1の内部にワーク外側面を導入してワークWの貫通孔W1内に環状砥石1を挿通する(図2参照)。更に、ワークWの外側に位置する揺動支持機構10を介して貫通孔W1内の環状砥石1を揺動させることで、ベーン溝W2を研削する構成である(図3(ロ)参照)。したがって、支持体12は、環状砥石1の揺動に支障がない位置に形成されている(同図(イ)参照)。
この揺動支持機構10は揺動機構20に連繋され、該揺動機構20を介して揺動支持機構10が揺動するように構成している(図4参照)。図示の揺動機構20は、回転体21、往復カム22、揺動体23、従動体24を備えた構成である。
回転体21は、モーター25により回転する回転部材で、この回転体21の回転動作に往復カム22が連動する(図4参照)。更に、往復カム22に連動して揺動体23が揺動する(図5参照)。従動体24は、揺動支持機構10の軸支体13に連結する部材で、この従動体24が揺動体23の揺動運動にリンクして揺動すると、揺動支持機構10の軸支体13が揺動するように構成している。
本発明では、環状砥石1による研削作業の精度を上げるため、定位置で揺動する環状砥石1に対して、ワークWを移動しながら研削するようにワーク移動機構30を構成している。
このワーク移動機構30は、移動ネジ体31、ワークテーブル32、モーター33を備えたものである(図6参照)。すなわち、移動ネジ体31は、モーター33にて回動する軸状部材で、この移動ネジ体31にネジ止めされたワークテーブル32が移動ネジ体31の長手方向に沿って移動する構成である。このワークテーブル32によって、ワークWの外側面を、環状砥石1の挿入口2から環状砥石1の内部に導入するように構成したものである(図3参照)。
図示例では、停止している環状砥石1の挿入口2に、ワークWの側面を挿入する(図3(イ)参照)。更に、ワークWの側面が貫通孔W1に導入される位置まで移動すると環状砥石1が揺動してベーン溝W2を研削する構成である(図3(ロ)参照)。
環状砥石1によるベーン溝W2の研削時には、ワークWも同時に移動しながら研削する(図7参照)。まず、揺動支持機構10を揺動し、環状砥石1を研削開始位置まで移動する(同図(イ)参照)。次に、環状砥石1を揺動させてベーン溝W2を研削する際に、ワークWをワーク移動機構30で移動させながら研削するものである(同図(ロ)参照)。
このように、揺動機構20により環状砥石1が揺動すると、環状砥石1の揺動向きが変わる位置で、一旦、環状砥石1が停止する。このとき、ワークWの移動も同時に停止させるように、クラッチ機構35を備えている。
そのため、図示例では揺動機構20に、モーター25で回転する回転軸26と、該回転軸26に設けたカム27とを設けている(図4参照)。一方、ワーク移動機構30には、このカム27に連動する揺動カム34とクラッチ機構35とを設けている(図6参照)。そして、モーター33とワーク移動機構30との間に設けられたこのクラッチ機構35が揺動カム34に連動して離れると(図8(イ)参照)、モーター33の回転駆動力が遮断され、ワーク移動機構30によるワークWの移動が停止する(図6参照)。また、クラッチ機構35が揺動カム34に連動して連結すると(図8(ロ)参照)、ワーク移動機構30により再びワークWの移動が始まる構成である。
本発明では、環状砥石1を再研磨するドレッサーユニット40を設けている(図9参照)。そして、このドレッサーユニット40に回転する環状砥石1を当てて再研磨する。この際、揺動支持機構10と揺動機構20との連繋を解除するクラッチ機構41を設けることで、揺動機構20に規制されずに環状砥石1を回転できるようにしている。
更に、再研磨時に環状砥石1を回転させるのは、モーター43を使用する(図9参照)。このモーター43と揺動支持機構10との間にもクラッチ機構42を設けてあり、ベーン溝W2を研削する作業の際は、このクラッチ機構42を解除した状態にする。
尚、本発明において、図示の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行える。また、本発明の使用例も限定されるものではない。
W ワーク
W1 貫通孔
W2 ベーン溝
1 環状砥石
2 挿入口
10 揺動支持機構
11 ホルダー体
11A 収納凹部
11B 挟着体
11C 固定ネジ
12 支持体
13 軸支体
20 揺動機構
21 回転体
22 往復カム
23 揺動体
24 従動体
25 モーター
26 回転軸
27 カム
30 ワーク移動機構
31 移動ネジ体
32 ワークテーブル
33 モーター
34 揺動カム
35 クラッチ機構
40 ドレッサーユニット
41 クラッチ機構
42 クラッチ機構
43 モーター

Claims (5)

  1. ワークの貫通孔から連続するベーン溝を研削する装置において、
    貫通孔側からベーン溝を研削する板状の砥石を、貫通孔からワークの外周囲をとり囲む大きさのリング形状に形成した環状砥石と、
    環状砥石のリング中心部から環状砥石に連結され該環状砥石を貫通孔内で揺動自在に支持する揺動支持機構と、を備え、
    環状砥石の一部に形成された切欠状の挿入口から環状砥石の内部にワーク外側面を導入してワークの貫通孔内に環状砥石を挿通し、
    ワークの外側に位置する揺動支持機構を介して貫通孔内の環状砥石を揺動させてベーン溝を研削するように構成したことを特徴とするベーン溝の研削装置。
  2. 前記揺動支持機構は、前記環状砥石の内周縁側を保持するホルダー体と、
    該ホルダー体の一部に連続する支持体と、該支持体に連続して前記環状砥石のリング中心部に位置する軸支体とを備えた請求項1記載のベーン溝の研削装置。
  3. 前記揺動支持機構は、モーターにより回転する回転体の回転動作に連動する往復カムと、該往復カムに連動して揺動する揺動体と、該揺動体の揺動運動にリンクして揺動する従動体とを備えた揺動機構に連繋され、該揺動機構の従動体を介して前記揺動支持機構が揺動するように構成した請求項1記載のベーン溝の研削装置。
  4. 前記ワークは、正逆回転自在なモーターと、該モーターにて回動する移動ネジ体と、該移動ネジ体にネジ止めされ移動ネジ体の長手方向に沿って移動するワークテーブルとを備えたワーク移動機構のワークテーブルに固定された前記ワークの外側面を、ワークテーブルの移動により前記環状砥石の前記挿入口から環状砥石の内部に導入するように構成した請求項1記載のベーン溝の研削装置。
  5. ワークに形成されている貫通孔から連続するベーン溝を研削する方法において、ベーン溝を研削する板状の砥石を略C字形のリング形状に形成した環状砥石を用い、環状砥石の一部に形成された切欠状の挿入口から環状砥石の内部にワーク外側面を導入してワークの貫通孔内に環状砥石を挿通し、該環状砥石を貫通孔内で揺動させて環状砥石の外側板面でベーン溝を研削することを特徴とするベーン溝の研削方法。
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