JP6655149B1 - 輝度色度表示装置及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
以下の説明を行うにあたり、次のように用語を定義する。
OETF(Opto-Electronic Transfer Function)とは、リニア信号から映像信号への変換関数のことである。
EOTF(Electro-Optical Transfer Function)とは、映像信号からリニア信号への変換関数のことである。
リニア信号の輝度成分とは、分光視感効率に基づく被写体の明るさ成分のことであり、リニア信号EのRGB各色への重み付け加算により得られる(正規化値)。リニア信号の輝度成分は、Yと表記する。
映像信号の輝度成分とは、映像信号の明るさ成分のことであり、映像信号E´の各色への重み付け加算によって得られる(正規化値)。映像信号の輝度成分は、Y´と表記する。
映像信号の色差成分とは、映像信号の色成分のことである(正規化値)。映像信号の色差成分Cbは、B´とY´の差により得られる。また、映像信号の色差成分Crは、R´とY´の差により得られる。
ディスプレイ輝度の輝度成分とは、分光視感効率に基づくディスプレイ輝度の明るさ成分のことであり、ディスプレイ輝度LのRGB各色への重み付け加算によって得られる。ディスプレイ輝度の輝度成分は、Yと表記する(単位はcd/m2)。
黒レベル輝度とは、映像信号E´=0が入力されたときのディスプレイ輝度である。黒レベル輝度は、LBと表記する(単位はcd/m2)。
ピーク輝度とは、映像信号E´=1が入力されたときのディスプレイ輝度である。ピーク輝度は、LWと表記する(単位はcd/m2)。
HDR又はSDRに関わらず、被写体をカメラにより撮影し、ディスプレイで表示する過程では、OETFによるリニア信号から映像信号への変換、及び、EOTFによる映像信号からリニア信号への変換を伴う。ITU-R勧告BT.2100−1(以下、「BT.2100」)において、HDR映像方式の一つであるハイブリッド・ログ・ガンマ(HLG:Hybrid Log-Gamma)方式のOETF及びEOTFがそれぞれ、下記の式(1)及び式(2)で規定されている(非特許文献1)。なお、式(2)は、式(1)の逆関数である。
そして、2次元表示手段は、被検信号の明るさ情報を輝度軸に表示し、被検信号の色情報として、色度変換手段が変換した彩度を色度軸に表示する。
[HDR−Gamut表示装置の概要]
以下、本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
表示装置1は、HDR・広色域の被検信号が入力され、入力された被検信号の明るさ情報及び色情報を、輝度軸及び色度軸からなる2次元座標系で表示するものである。ここで、HDR−Gamut表示装置を「表示装置」と略記し、以後も同様とする。また、明るさ情報とは、被検信号の明るさを表す情報である。また、色情報とは、被検信号の色合いを表す情報である。
以下、表示装置1の構成について、具体的に説明する。
図1に示すように、表示装置1は、3刺激値変換手段10と、色域内外判定手段20と、色空間変換手段30と、色度変換手段40と、HDR−Gamut表示手段(2次元表示手段)50と、明度参照線設定手段60と、彩度参照線生成手段70とを備える。ここで、HDR−Gamut表示手段を「表示手段」と略記し、以後も同様とする。
なお、3刺激値変換手段10は、式(2)以外のリニア信号変換式を用いてもよく、式(4)以外の3刺激値変換式を用いてもよい(変形例参照)。
図2及び図3を参照し、従来色域の内外判定について詳細に説明する。ここで、従来色域をBT.709で規定した色域とし、3原色点をそれぞれ点R(0.640,0.330)、点G(0.300,0.600)、及び、点B(0.150,0.060)とした。また、広色域の範囲を破線で図示し、D65白色点(0.3127,0.3290)を符号D65で図示した。この白色点D65は、CIE標準光源D65をxy色度図にプロットしたものである。また、点Rから点GまでのベクトルVRG、点Gから点BまでのベクトルVGB、及び、点Bから点RまでのベクトルVBRを図示した。つまり、3つのベクトルVRG、ベクトルVGB及びベクトルVBRで形成される3角形領域の内側が、従来色域の内側となる。一方、この3角形領域の外側が、従来色域の外側となる。
また、色域内外判定手段20は、色度座標(x,y)と従来色域の位置関係を事前に計算しておき、その計算結果を予めテーブルデータとして記憶してもよい。この場合、色域内外判定手段20は、テーブルデータを参照すれば、都度外積計算を行うことなく従来色域の内外判定を行えるので、演算速度の高速化を図ることができる。
色空間変換手段30は、予め規定された色空間変換式により、色域内外判定手段20からの3刺激値(X,Y,Z)を、CIE−L*a*b*色空間の明度L及び色度a*,b*に変換するものである。具体的には、色空間変換手段30は、色空間変換式としての式(7−1)、式(7−2)及び式(8)を用いて、各画素の3刺激値(X,Y,Z)から、明度L及び色度a*,b*を算出する。
なお、Ynは、任意の値で予め設定する係数である。Xn、Znは、Yn及び白色点座標(x,y)を用いて、式(7−2)によって算出される。本実施形態では、Yn=0.2とし、白色点座標を(0.3127,0.3290)とした。Yn=0.2のとき、L=100となる。また、Xn=0.1901、Zn=0.2178となる。
図4及び図5を参照し、HDR−Gamutの表示について、詳細に説明する。
図4に示すように、HDR−Gamutは、縦軸(輝度軸)として明度L、横軸(色度軸)として彩度Cを採用し、映像信号E´の明度L及び彩度Cを2次元座標系で表示したものである。つまり、HDR−Gamutでは、映像信号E´の各画素を点として、その画素の明度L及び彩度Cを表す座標位置に表示する。
明度参照線設定手段60は、明度参照線を設定するものである。この明度参照線は、HDR−Gamutにおいて、HDR領域とSDR領域の境界となる明度を示す線である。ここでは、表示装置1の利用者が、操作手段を用いて、明度参照線が示す明度L(例えば、明度L=100)を設定する。そして、明度参照線設定手段60は、設定された明度参照線を表示手段50に出力する。
図6を参照し、彩度参照線の生成について、詳細に説明する。
ここで、3刺激値変換手段10は、彩度参照線を生成するため、映像信号E´のR´,G´,B´の信号値が取り得る全信号パターンについて、色度座標(x,y,z)を算出しておくこととする。また、色域内外判定手段20は、映像信号E´の全信号パターンについて、色度座標(x,y)と従来色域の3原色点とを比較し、従来色域の内外判定結果を彩度参照線生成手段70に出力することとする。
その後、彩度参照線生成手段70は、生成した彩度参照線を表示手段50に出力する。
図7を参照し、表示装置1の動作について説明する。
図7に示すように、3刺激値変換手段10は、3刺激値(X,Y,Z)及び色度座標(x,y,z)を算出する。具体的には、3刺激値変換手段10は、式(2)を用いて、映像信号E´からリニア信号Eを算出する。次に、3刺激値変換手段10は、式(4)を用いて、リニア信号Eから3刺激値(X,Y,Z)を算出する。さらに、3刺激値変換手段10は、式(5)を用いて、3刺激値(X,Y,Z)から色度座標(x,y,z)を算出する(ステップS1)。
色度変換手段40は、色度a*,b*を彩度Cに変換する。具体的には、色度変換手段40は、式(9)に示すように、色度a*,b*の二乗和平方根により彩度Cを求める(ステップS4)。
彩度参照線生成手段70は、彩度参照線を生成する。具体的には、彩度参照線生成手段70は、式(10)を用いて、HDR−Gamutの原点から従来色域の内側にある各座標位置までの線分を求め、求めた線分と色度軸とのなす角θを算出する。そして、彩度参照線生成手段70は、なす角θの範囲Gθ毎に、最長となる線分の点PGθを結んで彩度参照線を生成する(ステップS6)。
以上のように、表示装置1は、2つの変数で表された色度a*,b*を1つの変数である彩度Cに変換するので、映像信号E´の明るさ情報及び色情報を2次元座標系のHDR−Gamutで表示することができる。これにより、表示装置1では、HDR−Gamutのように、それらの表示内容を簡略化し、明るさ情報及び色情報を容易に識別することができる。
さらに、表示装置1は、実時間処理に適し、波形モニタ等への実装が容易であることから、4K・8K放送をはじめとしたHDR・広色域の映像制作環境への導入が容易である。
[HDR−Gamut表示装置の構成]
図8を参照し、第2実施形態に係る表示装置1Bの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
表示装置1Bは、映像信号E´の各画素について、その色域に応じて有彩色又は無彩色で表示し、明度参照線の明度に対する明暗に応じて点滅又は非点滅で表示するものである。
図8に示すように、表示装置1Bは、3刺激値変換手段10と、色域内外判定手段20と、色空間変換手段30と、色度変換手段40と、HDR−Gamut表示手段50と、明度参照線設定手段60と、彩度参照線生成手段70と、映像信号表示手段80と、表示切替手段90とを備える。
色域内外判定手段20は、映像信号E´の各画素について、従来色域の内外判定結果を映像信号表示手段80に出力する。
明度参照線設定手段60は、明度参照線が示す明度Lを映像信号表示手段80に出力する。
他の点、3刺激値変換手段10、色域内外判定手段20及び明度参照線設定手段60は、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
(1)従来色域の外側、明度Lを超える画素:カラーで点滅表示
(2)従来色域の外側、明度L以下の画素 :カラーで非点滅表示
(3)従来色域の内側、明度Lを超える画素:モノクロで点滅表示
(4)従来色域の内側、明度L以下の画素 :モノクロで非点滅表示
なお、映像信号表示手段80では、明度Lを超える画素の強調表示の一例として点滅表示を行うこととして説明したが、強調表示の方法はこれに制限されない。
なお、図8では、表示切替手段90が映像信号E´´を出力する状態となっている。
表示装置1Bは、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、表示装置1Bは、前記表示パターン(1)〜(4)で映像信号E´´を表示するので、映像信号E´´の各画素が、従来色域又は広色域に属するかと、SDR領域又はHDR領域に属するかとを容易に識別することができる。
以上、本発明の各実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した各実施形態では、被検信号が映像信号E´であることとして説明したが、これに限定されない。つまり、被検信号は、3刺激値(X,Y,Z)に変換できる信号であればよい。
10 3刺激値変換手段
20 色域内外判定手段
30 色空間変換手段
40 色度変換手段
50 HDR−Gamut表示手段(2次元表示手段)
60 明度参照線設定手段
70 彩度参照線生成手段
80 映像信号表示手段
90 表示切替手段
R,G,B 3原色点
D65 白色点
P 点
VRG,VGB,VBR ベクトル
Claims (8)
- 高ダイナミックレンジで広色域、かつ、1つの変数で表された輝度及び2つの変数で表された色度からなる被検信号の明るさ情報及び色情報を、輝度軸及び色度軸からなる2次元座標系で表示する輝度色度表示装置であって、
2つの変数で表された前記色度を1つの変数で表された彩度に変換する色度変換手段と、
前記被検信号の明るさ情報を前記輝度軸に表示し、前記被検信号の色情報として、前記色度変換手段が変換した彩度を前記色度軸に表示する2次元表示手段と、
を備えることを特徴とする輝度色度表示装置。 - 前記被検信号としての映像信号が入力され、予め規定されたリニア信号変換式により、入力された前記映像信号をリニア信号に変換し、予め規定された3刺激値変換式により、変換した前記リニア信号からCIE−XYZ表色系の3刺激値を算出する3刺激値変換手段と、
予め規定された色空間変換式により、前記3刺激値変換手段が算出した3刺激値をCIE−L*a*b*色空間の明度及び色度に変換する色空間変換手段と、をさらに備え、
前記色度変換手段は、前記色空間変換手段が変換した色度の二乗和平方根により彩度を求め、
前記2次元表示手段は、前記明るさ情報として、前記色空間変換手段が変換した明度を前記輝度軸に表示し、前記色情報として、前記色度変換手段が変換した彩度を前記色度軸に表示することを特徴とする請求項1に記載の輝度色度表示装置。 - 前記3刺激値変換手段は、予め規定された色度座標変換式により、前記3刺激値から色度座標を算出し、
外積計算により、前記3刺激値変換手段が算出した色度座標と予め設定された従来色域の3原色点とを比較することで、前記映像信号の色域が前記従来色域の内側であるか外側であるかを判定する色域内外判定手段、をさらに備え、
前記2次元表示手段は、前記従来色域の外側と判定された前記映像信号の色域をカラー表示し、前記従来色域の内側と判定された前記映像信号の色域をモノクロ表示することを特徴とする請求項2に記載の輝度色度表示装置。 - 前記2次元座標系において、原点から前記従来色域の内側に含まれる各座標位置までの線分を求め、求めた前記線分と前記色度軸のなす角とを算出し、予め設定したなす角の範囲毎に最長となる前記線分の座標位置を求め、求めた前記座標位置を結んで彩度参照線を生成する彩度参照線生成手段、をさらに備え、
前記2次元表示手段は、前記彩度参照線生成手段が生成した彩度参照線を表示することを特徴とする請求項3に記載の輝度色度表示装置。 - 前記2次元表示手段は、予め設定された前記明度を表す明度参照線を表示することを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載の輝度色度表示装置。
- 前記被検信号としてのリニア信号が入力され、予め規定された3刺激値変換式及び色度座標変換式により、入力された前記リニア信号からCIE−XYZ表色系の3刺激値及び色度座標を算出する3刺激値変換手段、をさらに備え、
前記色度変換手段は、xy色度図における前記色度座標と予め設定した白色点座標との距離を前記彩度として求め、
前記2次元表示手段は、前記明るさ情報として、前記リニア信号の輝度を前記輝度軸に表示し、前記色情報として、前記色度変換手段が変換した彩度を前記色度軸に表示することを特徴とする請求項1に記載の輝度色度表示装置。 - 前記3刺激値変換手段は、予め規定された色度座標変換式により、前記3刺激値から色度座標を算出し、
前記2次元表示手段は、予め設定された前記明度を表す明度参照線を表示し、
外積計算により、前記3刺激値変換手段が算出した色度座標と予め設定された従来色域の3原色点とを比較することで、前記映像信号の色域が前記従来色域の内側であるか外側であるかを判定する色域内外判定手段と、
前記映像信号を表示する映像信号表示手段と、をさらに備え、
前記映像信号表示手段は、前記映像信号の各画素について、
前記従来色域の外側で、かつ、前記明度参照線が示す明度を超える画素をカラーで強調表示し、
前記従来色域の外側で、かつ、前記明度参照線が示す明度以下の画素をカラー表示し、
前記従来色域の内側で、かつ、前記明度参照線が示す明度を超える画素をモノクロで強調表示し、
前記従来色域の内側で、かつ、前記明度参照線が示す明度以下の画素をモノクロ表示することを特徴とする請求項2に記載の輝度色度表示装置。 - コンピュータを、請求項1から請求項7の何れか一項に記載の輝度色度表示装置として機能させるためのプログラム。
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