JP6655000B2 - エレベーター装置及びエレベーター搭載蓄電素子劣化判定方法 - Google Patents
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Description
一方、エレベーターの乗りかごに設置した蓄電素子のように、通常時は充電が行われず、乗りかごが特定の場所(送電コイルが設置された場所)に停止したときだけ、充電を行う場合には、特許文献2に記載の技術をそのまま適用することはできない。特に、エレベーターの場合、乗りかご側の受電コイルが送電コイルと近接して、蓄電素子に充電が行われる期間は、乗りかごが該当した階に停止した比較的短い時間であり、従来、そのような短時間で蓄電素子の特性劣化を判定することは行われていなかった。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、昇降路内を昇降する乗りかごに取り付けられ、受電コイルを有する受電部と、受電部が受電した電力で充電され、充電された電力を乗りかご内の負荷に供給する蓄電素子と、昇降路内で乗りかごが停止する位置に設置され、受電コイルに対向配置した送電コイルを有する送電部と、を備えたエレベーター装置に適用される。
そして、送電コイルと受電コイルとが対向した状態で、乗りかごが停止している受電可能状態を検出する制御部と、受電可能状態が継続している間に、蓄電素子の送電コイルと受電コイルとが対向した状態で、測定開始電圧及び測定終了電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部で測定開始電圧を検出した第1タイミングと、電圧検出部で測定終了電圧を検出した第2タイミングを決定するタイミング設定部と、第1タイミングから第2タイミングまでの間での電圧変化を含む特性変化と、第1タイミングから第2タイミングまでの期間の長さを検出する変化事象抽出部と、受電可能状態が継続している間での特性変化と期間の長さとに基づいて算出した値が、予め設定した判定値を下回っているかを比較する比較部と、比較部での比較に基づいて、蓄電素子の劣化状態を推測し、推測した劣化状態を出力する出力部とを備えたことを特徴とする。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の一実施の形態例のエレベーター装置の構成例を示す。この図1は、電力供給路を中心とした構成を示している。
商用電源1から得られる三相交流電源が、制御盤2を介して電動機3に供給され、制御盤2の制御で電動機3が回転する。電動機3の回転軸には、シーブ4の回転軸が連結され、このシーブ4に巻き回したロープ5によって、エレベーターの乗りかご6とカウンタウェイト7がつるべ状に昇降駆動される。
それぞれの送電部9A,9Bには、送電コイル11が配置され、送電部9A,9Bで交流に変換された電力が送電コイル11に供給される。
EDLC14は、乗りかご6内の各種電気機器に接続され、乗りかご6内の各種電気機器に電力を供給する。すなわち、乗りかご6内には、照明器具、乗りかごドア駆動装置、階床表示器、非常通報装置などの各種電気機器が備えられており、これら各種電気機器にEDLC14から電力が供給される。なお、乗りかご6には、外部から電力を供給するための電力ケーブルが接続されてはいない。
なお、乗りかご6は、昇降路30内の決まった位置を昇降するため、送電コイル11と受電コイル13とが対向した状態での両者の距離を、非常に近接した一定距離に設定することができる。
図2は、商用電源1からの電力が、整流器8B及び送電部9Bを介して受電部12に供給されるまでの回路構成を示す。また、図2は、蓄電素子制御部20の機能から見た構成を示す。なお、図2では、整流器8B及び送電部9Bの構成を示すが、他の整流器8A及び送電部9Aについても同じ回路構成である。
受電コイル13は、受電部12内の整流用のダイオード121〜124に接続され、受電コイル13で受電した交流電源が直流電源に変換される。変換された直流電源が、スイッチング素子125,126を介してEDLC14に供給され、EDLC14が充電される。スイッチング素子125,126は、EDLC14への充電を制御するスイッチであり、例えば蓄電素子制御部20により開閉が制御される。図2では、蓄電素子制御部20がEDLC14の充電を制御する構成については省略している。
なお、ダイオード121〜124とスイッチング素子125,126との間には、平滑用コンデンサ15が接続されている。なお、図2では、EDLC14から各種電気機器に電力を供給する構成は省略する。
測定開始電圧検出部21は、EDLC14のEDLC電圧が測定開始電圧に到達したことを検出する電圧検出処理を行う。測定終了電圧検出部22は、EDLC電圧が測定終了電圧に到達したことを検出する電圧検出処理を行う。タイミング設定部23は、エレベーターの制御信号を取り込んで測定開始電圧検出部21及び測定終了電圧検出部22での検出タイミングを決定するタイミング設定処理を行う。
図3は、蓄電素子制御部20のハードウェア構成例を示す。蓄電素子制御部20は、例えばコンピューター装置Cで構成される。
コンピューター装置Cは、バスC4にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)C1、ROM(Read Only Memory)C2、及びRAM(Random Access Memory)C3を備える。さらに、コンピューター装置Cは、表示部C5、操作部C6、不揮発性ストレージC7、及びネットワークインターフェイスC8を備える。
ネットワークインターフェイスC8は、例えば測定電圧や測定電流の取り込みを行う。また、ネットワークインターフェイスC8は、劣化判定結果を、外部のエレベーター制御装置に伝送する。
また、蓄電素子制御部20を図3に示すようなコンピューター装置Cで構成するのは一例であり、各処理部21〜26を実行する専用の回路で構成してもよい。
図4は、蓄電素子制御部20で行われるEDLC14の劣化の診断処理の例(例1)を示すフローチャートである。
まず、蓄電素子制御部20は、乗りかご6が、送電部9A,9Bが設置された階のドアゾーン内に入ったか否かを監視する(ステップS1)。ドアゾーンとは、乗りかご6のドアが開閉可能な昇降位置である。乗りかご6がドアゾーンに停止したとき、乗りかご6の上側に設けられる受電部12が、該当する階に設置された送電部9Aまたは9Bと対向し、その結果、送電コイル11と受電コイル13とが対向した状態になる。
そして、ステップS5で乗りかご6が移動していないと判断したとき(ステップS5のNO)、測定開始電圧検出部21は、EDLC電圧が測定開始電圧に到達したか否かを判断する(ステップS6)。ここで、EDLC電圧が測定開始電圧に到達していないと判断したとき(ステップS6のNO)、蓄電素子制御部20はステップS5の判断に戻る。
そして、ステップS8で乗りかご6が移動していないと判断したとき(ステップS8のNO)、測定終了電圧検出部22は、EDLC電圧が測定終了電圧に到達したか否かを判断する(ステップS9)。ここで、EDLC電圧が測定終了電圧に到達していないと判断したとき(ステップS9のNO)、蓄電素子制御部20はステップS8の判断に戻る。
そして、変化事象抽出部24は、記録したEDLC電流やEDLC電圧を用いた演算で、EDLC14の静電容量を求める(ステップS11)。なお、静電容量を演算で求める具体的な例については後述する。
ステップS12で演算した静電容量が、判定値を下回っていない場合(ステップS12のNO)、出力部26は、EDLC14が劣化していないと判断する。このときには、出力部26は、劣化なしの判定情報をエレベーター制御装置などに出力してもよい。
また、ステップS1、ステップS5、ステップS8における判断の処理は、エレベーター制御装置が出力する制御信号を用いてタイミング設定部23が実行する。
図5は、EDLC14への充電を行った際の、EDLC電流とEDLC電圧の時間変化の一例を示す波形図である。図5において、EDLC電流はマイナスの値として示し、EDLC電圧はプラスの値として示す。
また、充電期間TのEDLC電流は、EDLC電圧の増加に伴ってほぼ直線的に減少する。EDLC電流I1は、測定開始電圧V1での電流値であり、EDLC電流I2は、測定終了電圧V2での電流値である。
なお、EDLC電圧が値V1になったタイミングD1と、値V2になったタイミングD2では、それぞれの1回ずつ電圧値や電流値を取り込むようにしてもよいが、短時間に複数回の電圧値及び電流値の計測を行い、その計測値の平均値を記録するようにしてもよい。図5において、電圧V1,V2及び電流I1,I2を丸く囲って示すのは、その範囲内の平均値を得ることを意味する。
Q=C×V
Q=(I1+I2)×T/2
V=V2−V1
このようにして、充電時に測定した電流及び電圧と、充電時間とから、EDLC14の正確な静電容量を求めることができ、EDLC14が劣化しているか否かを正確に判断できるようになる。
従来、本実施の形態例のような非接触給電で充電電流が供給される場合には、正確なEDLC14の劣化状態を診断するために、EDLC14の充電量を常時監視し、充電量を積分処理して、EDLC14の使用状況から判断する必要があった。これに対して、本実施の形態例の場合には、非接触給電で充電電流が短時間だけ供給される構成であっても、EDLC14の劣化診断を、比較的に簡単な構成で、誤差なく正確に行うことができるようになる。
次に、蓄電素子の劣化診断処理の別の例(例2)を説明する。この例では、EDLC14の充電時の電圧変化に要する時間から、EDLC14の劣化を診断するようしたものである。
図6は、蓄電素子制御部20で行われるEDLC14の劣化の診断処理の例(例2)を示すフローチャートである。この図6のフローチャートにおいて、先に説明した例1の診断処理で説明した図4のフローチャートと同じ処理や判断には同一のステップ番号を付し、重複説明を省略する。
また、ステップS16で、充電期間が判定値を下回ったと判断したとき(ステップS16のYES)、ステップS13に移り、出力部26は、EDLC14が劣化したこと示す判定情報をエレベーター制御装置などに出力すると共に、EDLC14の劣化状態を記録する。
図7は、EDLC14への充電を行った際の、EDLC電流とEDLC電圧の時間変化の一例を示す波形図である。図7において、実線で示す変化特性Vaは、図5に示す特性Vaと同じである。そして、破線で示す電圧の変化特性Vbは、EDLC14が劣化した場合の特性である。
したがって、充電期間Tyを、予め設定した閾値である判定値と比較することで、蓄電素子制御部20は、EDLC14の劣化進行度を推測することができる。
なお、本発明は上記した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上述した実施の形態例では、EDLCの劣化状態を判定する判別値として、1つの値を持ち、測定値や算出値が判別値を下回ったとき、EDLCが劣化していると判断するようにした。これに対して、判別値として複数の値を持ち、いずれの判別値を下回ったかによって、EDLCの劣化の程度を判別するようにしてもよい。また、EDLCを設置(交換)してからの年数によって、使用年数で想定される標準的な劣化状態に基づいて、1年ごとに判別値を変化させるようにして、標準的な劣化状態よりも劣化が進んでいるか否かを判別するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例では、エレベーターの乗りかご6に設置した蓄電素子制御部20により、EDLCの劣化を診断するようにした。これに対して、蓄電素子制御部20が測定した電圧値や電流値を、乗りかご6の外に設置されたエレベーター制御装置に伝送して、エレベーター制御装置がEDLCの劣化を診断するようにしてもよい。あるいは、エレベーター制御装置と通信を行って監視する外部のエレベーター監視センターが、蓄電素子制御部20が測定した電圧値や電流値などを取得して、EDLCの劣化を診断するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例では、蓄電素子として、EDLC(電気二重層コンデンサ)を使用した例としたが、その他の蓄電素子を使用してもよい。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
Claims (5)
- 昇降路内を昇降する乗りかごに取り付けられ、受電コイルを有する受電部と、
前記受電部が受電した電力で充電され、充電された電力を前記乗りかご内の負荷に供給する蓄電素子と、
前記昇降路内で前記乗りかごが停止する位置に設置され、前記受電コイルに対向配置した送電コイルを有する送電部と、を備えたエレベーター装置において、
前記送電コイルと前記受電コイルとが対向した状態で、前記乗りかごが停止している受電可能状態を検出する制御部と、
前記受電可能状態が継続している間に、前記蓄電素子の測定開始電圧及び測定終了電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部で前記測定開始電圧を検出した第1タイミングと、前記電圧検出部で前記測定終了電圧を検出した第2タイミングを決定するタイミング設定部と、
前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの間での電圧変化を含む特性変化と、前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの期間の長さを検出する変化事象抽出部と、
前記受電可能状態が継続している間での前記特性変化と前記期間の長さとに基づいて算出した値が、予め設定した判定値を下回っているかを比較する比較部と、
前記比較部での比較に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推測し、推測した劣化状態を出力する出力部と、を備える
エレベーター装置。 - 前記蓄電素子は電気二重層コンデンサである
請求項1に記載のエレベーター装置。 - 前記変化事象抽出部は、前記測定開始電圧から前記測定終了電圧までの前記電気二重層コンデンサの電圧変化及び電流変化と、前記測定開始電圧を検出した前記第1タイミングから前記測定終了電圧を検出した前記第2タイミングまでの期間の長さとを検出し、
前記比較部は、前記受電可能状態が継続している間での前記電圧変化及び前記電流変化と、前記期間の長さとに基づいて、前記電気二重層コンデンサの静電容量を演算し、演算した静電容量が予め設定した判定値を下回っているかを比較し、
前記出力部は、演算した静電容量が前記判定値を下回っていたときに、前記電気二重層コンデンサの劣化が進行した状態と判定し、判定結果を出力する
請求項2に記載のエレベーター装置。 - 前記変化事象抽出部は、前記電気二重層コンデンサが測定開始電圧から測定終了電圧までの期間の長さを検出し、
前記比較部は、前記受電可能状態が継続している間での前記期間の長さが予め設定した判定値を下回っているかを比較し、
前記出力部は、前記期間の長さが前記判定値を下回っていたときに、前記電気二重層コンデンサの劣化が進行した状態と判定し、判定結果を出力する
請求項2に記載のエレベーター装置。 - 昇降路内を昇降する乗りかごに取り付けられた蓄電素子が、前記昇降路内で前記乗りかごが停止する位置に設置された送電コイルと、前記乗りかごに設置された受電コイルとを介した給電で供給される電力で充電されるエレベーター搭載蓄電素子劣化判定方法において、
前記送電コイルと前記受電コイルとが対向した状態で、前記乗りかごが停止している受電可能状態を検出する乗りかご検出処理と、
前記受電可能状態が継続している間に、前記蓄電素子の測定開始電圧及び測定終了電圧を検出する電圧検出処理と、
前記測定開始電圧を検出する第1タイミングと、前記測定終了電圧を検出する第2タイミングを決定するタイミング設定処理と、
前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの間での少なくとも電圧変化を含む特性変化と、前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの期間の長さを検出する変化事象抽出処理と、
前記受電可能状態が継続している間での前記特性変化と前記期間の長さとに基づいて算出した値が、予め設定した判定値を下回っているかを比較する比較処理と、
前記比較処理での比較に基づいて、前記蓄電素子の劣化状態を推測する推測処理と、を含む
エレベーター搭載蓄電素子劣化判定方法。
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