JP6652007B2 - Ni−V合金スパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電子回路の回路素子や電極の下地層として利用されるNi−V合金の薄膜を成膜する際に用いられるNi−V合金スパッタリングターゲットに関するものである。
Ni−V合金の薄膜は、電子回路の回路素子や電極の下地層として利用されている。このようなNi−V合金の薄膜を成膜する方法として、Ni−V合金スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が知られている。
特許文献1には、Cr、Al、Mgの含有量がそれぞれ10ppm以下、U、Thの含有量がそれぞれ1ppb未満、Pb、Biの含有量がそれぞれ0.1ppm未満、N含有量が1〜100wtppmである高純度のNi−V合金スパッタリングターゲットが開示されている。この特許文献1によると、このNi−V合金スパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることにより、エッチング性を向上させ、かつα放射を著しく低減させた高純度Ni−V合金薄膜を形成することができるとされている。
特許第4447556号公報
近年の電子機器の高機能化に伴って、電子回路の高集積化が求められている。このため、電子回路に利用される金属薄膜では、細線化が望まれている。一方、電子回路の基板としては、大型サイズのものが使用されることもある。従って、電子回路の金属膜成膜用のスパッタリングターゲットとしては、広い面積に対して、微細でかつ厚さが均一な薄膜パターンを形成することができるものが求められている。
しかしながら、上述の特許文献1に記載されている高純度のNi−V合金スパッタリングターゲットでは、結晶粒の粒径を調整することが難しく、スパッタ面に粗大な結晶粒が発生しやすい。このため、製膜時に異常放電が発生し易く、広い面積に対して、微細でかつ厚さが均一な薄膜パターンを形成することが困難となる場合がある。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、スパッタ法による製膜時に異常放電の発生が少なく、広い面積に対して、微細でかつ厚さが均一なNi−V合金薄膜を成膜可能なNi−V合金スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のNi−V合金スパッタリングターゲットは、Vを6質量%以上10質量%以下の範囲にて含み、Al、Ag、B、Ca、Mg及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素を30質量ppm以上100質量ppm以下の範囲にて含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴としている。
このような構成とされた本発明のNi−V合金スパッタリングターゲットによれば、Vの含有量が6質量%以上とされているので、磁性を持たない非磁性体となり、マグネトロンスパッタ装置などの磁場を利用したスパッタ装置を用いて成膜することが可能となる。また、Vの含有量が10質量%以下とされているので、NiVなどの高融点化合物が生成しにくく、この高融点化合物に電荷が集中することによる製膜時での異常放電の発生が抑制される。
また、本発明のNi−V合金スパッタリングターゲットは、Al、Ag、B、Ca、Mg及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素を30質量ppm以上100質量ppm以下の範囲にて含有しているので、粗大な結晶粒の生成を低減させることができ、粗大結晶粒による異常放電の発生を抑制することができる。すなわち、上記の添加元素は、Niに固溶しにくく、Ni−V合金が結晶粒を形成する際に結晶核となる作用効果がある。ここで、添加元素の含有量が30質量ppm以上とされていると、核となる添加元素が充分に存在するので、Ni−V合金の結晶粒が過剰に粒成長することを抑制できる。また、添加元素の含有量が100質量ppm以下とされているので、添加元素が、Ni−V合金の結晶粒の粒界に多量に析出して、粗大な添加元素の結晶粒を形成することが抑制できる。
ここで、本発明のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、結晶粒の平均粒径が400μm以下とされていることが好ましい。
この場合、スパッタが進行した際にスパッタ面に形成される凹凸を小さくすることができ、異常放電の発生をより抑制することが可能となる。すなわち、スパッタレートは、結晶方位によって異なることから、スパッタが進行するとスパッタ面に、上述のスパッタレートの違いに起因して凹凸が生じる。このため、粒径が大きい粗大結晶粒が多く存在すると、スパッタ面に形成される凹凸が大きくなり、凸部に電荷が集中して異常放電が発生しやすくなる。そこで、結晶粒の平均粒径を400μm以下に制限することで、異常放電の発生を抑制することができる。
また、本発明のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、結晶粒の粒径の変動係数が15%以下であることが好ましい。
この場合、スパッタが進行した際にスパッタ面に形成される凹凸を確実に小さくすることができ、異常放電の発生をさらに抑制することが可能となる。
さらに、本発明のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、前記添加元素の含有量の標準偏差が15質量ppm以下であることが好ましい。
この場合、粗大な結晶粒の生成を確実に低減させることができ、粗大結晶粒による異常放電の発生をさらに抑制することができる。
本発明によれば、スパッタ法による製膜時に異常放電の発生が少なく、広い面積に対して、微細でかつ厚さが均一なNi−V合金薄膜を成膜可能なNi−V合金スパッタリングターゲットを提供することが可能となる。
実施例において、Ni−V合金スパッタリングターゲットの組成を測定した箇所を説明する説明図である。 実施例において、Ni−V合金スパッタリングターゲットの結晶粒の粒径を測定した箇所を説明する説明図である。
以下に、本発明の一実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットについて説明する。
本実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットは、Ni−V合金薄膜を成膜する際に用いられるものである。Ni−V合金薄膜は、例えば電子回路の回路素子や電極の下地層として利用される。
本発明のNi−V合金スパッタリングターゲットは、Vを6質量%以上10質量%以下の範囲にて含み、Al、Ag、B、Ca、Mg及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素を30質量ppm以上100質量ppm以下の範囲にて含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなる組成を有する。添加元素の含有量の標準偏差は15質量ppm以下とされていることが好ましい。また、結晶粒の平均粒径が400μm以下とされている。結晶粒の粒径の変動係数は15%以下とされていることが好ましい。
次に、本実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットにおいて、Vの含有量、添加元素の含有量、結晶粒の粒径を上述のように規定した理由について説明する。
(Vの含有量:6質量%以上10質量%以下)
本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいて、Vの含有量が6質量%未満の場合は、Ni−V合金スパッタリングターゲットに磁性が発生するおそれがある。磁性を有するNi−V合金スパッタリングターゲットを用い、マグネトロンスパッタ装置のような磁場を利用したスパッタ装置を利用して成膜すると、ターゲットの磁性がスパッタ装置の磁場に影響を与えることによって、成膜されたNi−V合金薄膜は、膜厚のばらつきが大きくなるおそれがある。一方、Vの含有量が10質量%を超える場合は、NiVなどの高融点化合物が生成し、この高融点化合物に電荷が集中することによって、製膜時での異常放電が起こり易くなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、Vの含有量を6質量%以上10質量%以下の範囲内に設定している。
(添加元素(Al、Ag、B、Ca、Mg、Si)の含有量:30質量ppm以上100質量ppm以下、標準偏差15質量ppm以下)
Al、Ag、B、Ca、Mg、Siなどの添加元素は、Niに対して固溶しにくく、Ni−V合金が結晶粒を形成する際に結晶核となる作用効果がある。
ここで、添加元素の含有量が少ない、すなわち結晶核の量が少ない場合は、結晶粒が大きく粒成長し、粗大な結晶粒が生成することによって、異常放電が発生しやすくなるおそれがある。一方、添加元素の含有量が多い場合は、Ni−V合金の結晶粒の粒界に多量の添加元素が析出し、粗大な添加元素の結晶粒を形成することによって、異常放電が発生しやすくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、添加元素の含有量を30質量ppm以上100質量ppm以下の範囲内に設定している。添加元素は二種以上を組合せて使用してもよい。二種以上の添加元素を使用する場合は、添加元素の合計量が上記の範囲内となるように設定する。
また、上記の添加元素の含有量のばらつきが大きいと、結晶粒の粒径のばらつきが大きくなるおそれがある。従って、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、添加元素の含有量の標準偏差は15質量ppm以下にあることが好ましい。ここで、本実施形態において、添加元素の含有量の標準偏差は、Ni−V合金スパッタリングターゲットのスパッタ面の5個所の位置にて測定された添加元素の含有量の標準偏差である。
また、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいて、上記の添加元素は、金属の状態で存在していることが好ましい。添加元素が酸化物または窒化物などの絶縁体として存在していると、異常放電が起こり易くなるおそれがある。このため、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、酸素の含有量は300質量ppm以下であることが好ましく、1質量ppm以上100質量ppm以下の範囲にあることが特に好ましい。また、窒素の含有量は、200質量ppm以下であることが好ましく、1質量ppm以上80質量ppm以下の範囲にあることが特に好ましい。
本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいてPbは、環境や人体に悪影響を及ぼすだけでなく異常放電の原因となる。このため、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、Pbの含有量は30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが特に好ましい。
(結晶粒の粒径:平均粒径400μm以下、変動係数15%以下)
本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいて、結晶粒の平均粒径が400μmを超える場合は、スパッタが進行すると、スパッタ面に形成される凹凸が大きくなり、凸部に電荷が集中して異常放電が発生しやすくおそれがある。
このため、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、結晶粒の平均粒径を400μm以下に設定している。なお、結晶粒の平均粒径は、50μm以上であることが好ましい。
また、上記の結晶粒の粒径のばらつきが大きいと、スパッタレートの違いにより、スパッタ面に形成される凹凸が多くなり、異常放電が発生しやすくなるおそれがある。従って、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、結晶粒の粒径の変動係数は15%にあることが好ましい。ここで、本実施形態において、結晶粒の粒径の変動係数は、Ni−V合金スパッタリングターゲットのスパッタ面の5個所の位置にて測定された結晶粒の粒径の平均と標準偏差とから下記式により算出した値である。
変動係数(%)=標準偏差/平均値×100
次に、本実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットの製造方法について説明する。
本実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットは、例えば、鋳造工程、熱間圧延工程、熱処理工程、機械加工工程、といった工程を経て製造される。以下に、各工程について説明する。
(鋳造工程)
鋳造工程では、まず、原料粉末として、V粉末と、Ni粉末と、Al、Ag、B、Ca、Mg、Siなどの添加元素の粉末とをそれぞれ用意する。V粉末は、純度が3N以上であることが好ましい。Ni粉末は純度が4N以上であることが好ましい。
次に、上述のターゲット組成となるように、原料粉末を秤量する。秤量した原料粉末を、溶解炉を用いて加熱して、溶湯を生成させる。そして、生成した溶湯を鋳型に出湯して、鋳塊を製造する。
溶湯状態での金属の酸化や窒化を防止するために、溶解炉としては真空溶解炉を用いることが好ましい。また、添加元素の配合比率は、VやNiと比較すると極めて微量であるため、溶湯状態で、添加元素がわずかでも揮発すると、最終的に得られるターゲットの組成が大きく変動するおそれがある。このため、添加元素粉末は、アフターチャージにより添加することが好ましい。具体的には、V粉末とNi粉末とを先に加熱して、VとNiの溶湯を生成させ、その溶湯に添加元素粉末を添加することが好ましい。このアフターチャージにより添加元素粉末を溶湯に添加して、溶湯内にて添加元素が溶解して均一に拡散した後は、揮発により添加元素の量が減少しないように、短時間で溶湯を出湯することが好ましい。アフターチャージにより添加元素粉末を添加してから溶湯を出湯するまでの時間は、溶解炉のサイズや温度などの条件によって異なるが、一般に3分間以上10分間以下の範囲である。
(熱間圧延工程)
熱間圧延工程では、鋳塊を熱間圧延によって、圧延板とする。熱間圧延での圧下率は、60%以上80%以下とすることが好ましい。熱間圧延の温度は、一般に800℃以上1100℃以下の範囲である。
(熱処理工程)
熱処理工程では、圧延板を熱処理して、結晶粒を再結晶化する。この熱処理によって、平均粒径が400μm以下のNi−V合金の結晶粒が形成される。熱処理の温度は、一般に800℃以上1100℃以下の範囲である。熱処理の時間は、一般に30分以上90分以下の範囲である。
(機械加工工程)
機械加工では、上記のようにして熱処理された圧延板に対して、切削加工又は研削加工を施すことにより、所定形状のNi−V合金スパッタリングターゲットに加工する
以上のような工程により、本実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットが製造される。
得られたNi−V合金スパッタリングターゲットは、銅製のバッキングプレートにはんだ付けされて、スパッタ装置に取り付けられ、対向配置された基板上にNi−V合金薄膜をスパッタ法により成膜する。
以上のような構成とされた本実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、Vの含有量が6質量%以上とされているので、磁性を持たない非磁性体となり、マグネトロンスパッタ装置などの磁場を利用したスパッタ装置を用いて成膜することが可能となる。また、Vの含有量が10質量%以下とされているので、NiVなどの高融点化合物が生成しにくく、Ni−V合金の組成が均一になるため、製膜時での異常放電の発生が抑制される。
また、本実施形態では、Al、Ag、B、Ca、Mg及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素を30質量ppm以上100質量ppm以下の範囲にて含有しているので、粗大な結晶粒の生成を低減させることができ、粗大結晶粒による異常放電の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、結晶粒の平均粒径が400μm以下とされているので、スパッタが進行した際にスパッタ面に形成される凹凸を小さくすることができ、異常放電の発生を抑制することができる。
本実施形態であるNi−V合金スパッタリングターゲットは、以上のように、成膜時での異常放電の発生が少ないので、広い面積に対して、微細でかつ厚さが均一なNi−V合金薄膜をスパッタ法により成膜することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態のNi−V合金スパッタリングターゲットを用いて成膜する際のスパッタ装置としてマグネトロンスパッタ装置を例示したが、スパッタ装置としてはマグネトロン以外のスパッタ装置を使用することができる。また、スパッタ装置の電源としては、直流(DC)電源、高周波(RF)電源、中周波(MF)電源、交流(AC)電源のいずれも選択可能である。さらに、Ni−V合金スパッタリングターゲットの形状やサイズに特に限定はなく、矩形板状、円板状、円筒状をなしていてもよい。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
[本発明例1〜15および比較例1〜5]
表1に示す純度と平均粒径とを有するV粒と、純度4NのNiインゴットと、純度4NのAl粉末とを用意し、表1に示す配合量となるように秤量した。なお、Al粉末は、本発明例7では粒径が45μm未満のものを使用し、その他では粒径が300μm未満のものを使用した。
秤量したV粒とNiインゴットとをAl坩堝に入れ、真空溶解炉を用いて、炉内を表1に示す圧力雰囲気とした後、1500℃で加熱して溶湯を生成させた。生成した溶湯に、アフターチャージにより、秤量したAl粉末を加えて、その後、さらに表1に示す保持時間にて保持した。但し、比較例5では、秤量したV粉末とNi粉末とAl粉末を同時にAl坩堝に入れた。
保持後の溶湯を鋳型に出湯して、鋳塊(縦220×横150×厚さ40mm)を得た。次に、得られた鋳塊を、圧延率70%で熱間圧延して熱間圧延板とした。得られた熱間圧延板を、1000℃の温度にて1時間熱処理した。
次に、加熱処理後の熱間圧延板から、縦126mm×横178mm×厚さ6mmのNi−V合金スパッタリングターゲットを切り出した。
得られたNi−V合金スパッタリングターゲットについて、組成、結晶粒のサイズ、異常放電回数を、下記の方法により測定した。また、得られたNi−V合金スパッタリングターゲットを用いてスパッタ法により成膜したNi−V合金薄膜について膜厚分布を下記の方法により測定した。これらの結果を、表2に示す。
(組成の測定)
図1に示すように、Ni−V合金スパッタリングターゲットのスパッタ面の縦方向の中心線と横方向の中心線とが交差する位置(1)と、角部から縦方向に10mmで横方向に10mmとなる位置(2)〜(4)の合計5点の位置をそれぞれ中心として試験片(サイズ:5×5×5mm)を採取した。採取した各試験片に含まれているNi、V、Al、Ag、B、Ca、Mg、Si、Pb、Biの量をICP発光分光分析法により分析し、その平均値を求めた。Al、Ag、B、Ca、Mg及びSiの含有量については、標準偏差を算出した。
(酸素含有量、窒素含有量)
LECO社製のガス分析装置を用いて、酸素含有量は非分散型赤外線吸収法、窒素含有量は熱伝導度法により測定した。
(結晶粒の粒径の測定)
図2に示すように、Ni−V合金スパッタリングターゲットのスパッタ面の縦方向の中心線と横方向の中心線とが交差する位置(1)と、角部から縦方向に25mmで横方向に25mmとなる位置(2)〜(4)の合計5点の位置をそれぞれ中心として試験片(サイズ:縦30mm×横30mm×厚さ6mm)を採取した。採取した各試験片のスパッタ面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、電子線後方散乱回折分析装置(EBSD)を用いて結晶粒の粒径を測定した。測定した結晶粒の粒径の平均値と標準偏差とを求め、下記式により変動係数(%)を算出した。
変動係数(%)=標準偏差/平均値×100
(異常放電回数の測定)
Ni−V合金スパッタリングターゲットを、銅製のバッキングプレートにはんだ付けした。はんだ付けしたスパッタリングターゲットを、マグネトロンスパッタ装置のチャンバに取り付け、1×10−4Paまで排気した後、ガス圧:0.3Pa、投入電力:DC1000Wの条件で10min間放電し、放電中の異常放電回数を計数した。
(膜厚分布の測定)
はんだ付けしたNi−V合金スパッタリングターゲットとガラス基板(縦100×横100mm)をマグネトロンスパッタ装置のチャンバに取り付け、上記異常放電回数の測定と同じ条件でスパッタを行って、ガラス基板の上にNi−V合金薄膜を成膜した。得られたNi−V合金薄膜の膜厚を、段差測定機を用いて測定した。膜厚の測定は、ガラス基板の縦方向に15mm間隔で、合計5点で行った。膜厚分布は、測定した5点の平均値と、測定した5点の中の最大値と最小値とを用いて下記の式より算出した。
膜厚分布(±%)={(最大値−最小値)÷5点の平均値}×100÷2
Figure 0006652007
Figure 0006652007
V含有量が6質量%未満の比較例1のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、成膜されたNi−V合金薄膜の膜厚分布が大きくなった。これは、Ni−V合金スパッタリングターゲットが磁性を持ったためであると推察される。
V含有量が10質量%超える比較例2のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、成膜時の異常放電回数が多くなった。これはNi−V合金スパッタリングターゲットのNiVが生成したためであると推察される。
Al含有量が100質量ppmを超える比較例3のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、成膜時の異常放電回数が多くなった。これは、Ni−V合金の結晶粒の粒界に多量の添加元素が析出したためであると推察される。
さらに、Al含有量が30質量ppm未満の比較例4、5のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、結晶粒の平均粒径が400μmを超えており、成膜時の異常放電回数が多くなった。これは結晶粒の結晶核となるAlの量が少ないため、Ni−V合金の結晶粒が粒成長して粗大な結晶粒が生成して、スパッタが進行したときにスパッタ面に形成される凹凸が大きくなったためであると推察される。
これに対して、V含有量とAl含有量が本発明で規定する範囲にある本発明例1〜15のNi−V合金スパッタリングターゲットは、成膜時の異常放電回数が低減され、成膜されたNi−V合金薄膜の膜厚分布は小さくなった。なお、本発明14のNi−V合金スパッタリングターゲットは、結晶粒径の変動係数が高くなった。これは、Ni−V合金保持時間が短く、添加金属が十分に拡散せずに、添加金属の含有量のばらつきが大きくなったためであると推察される。
[本発明例16〜30および比較例6〜15]
Al粉末の代わりに、純度4NのAg粉末、純度4NのB粉末、純度4NのCa粉末、純度4NのMg粉末そして純度4NのSi粉末をそれぞれ用意して、表3に示す原料配合比率となるように秤量したこと以外は、本発明例1と同様にしてNi−V合金スパッタリングターゲットを作製した。得られたNi−V合金スパッタリングターゲットついて、本発明例1と同様に、組成、結晶粒のサイズ、異常放電回数を測定し、このNi−V合金スパッタリングターゲットを用いてスパッタ法により成膜したNi−V膜の膜厚分布を測定した。これらの結果を、表4に示す。
Figure 0006652007
Figure 0006652007
Ag、B、Ca、Mg、Siの含有量がそれぞれ30質量ppm未満の比較例6、8、10、12、14のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、Alの場合(比較例4、5)と同様に、結晶粒の平均粒径が400μmを超えており、成膜時の異常放電回数が多くなった。
また、Ag、B、Ca、Mg、Siの含有量が100質量ppmを超える比較例7、9、11、13、15のNi−V合金スパッタリングターゲットにおいては、Alの場合(比較例3)と同様に成膜時の異常放電回数が多くなった。
これに対して、V含有量とAg、B、Ca、Mg、Siの含有量が本発明で規定する範囲にある本発明例16〜30のNi−V合金スパッタリングターゲットは、成膜時の異常放電回数が低減され、成膜されたNi−V合金薄膜の膜厚分布は小さくなった。

Claims (3)

  1. Vを6質量%以上10質量%以下の範囲にて含み、Al、Ag、B、Ca、Mg及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素を30質量ppm以上100質量ppm以下の範囲にて含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とするNi−V合金スパッタリングターゲット。
  2. 結晶粒の粒径の変動係数が15%以下であることを特徴とする請求項1に記載のNi−V合金スパッタリングターゲット。
  3. 前記添加元素の含有量の標準偏差が15質量ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のNi−V合金スパッタリングターゲット。
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