JP6650891B2 - 電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子装置に関し、特に、運転者によるシフト操作を検出するシフトセンサを備えた車両に搭載される電子装置に関する。
自動二輪車等の鞍乗型車両の中には、運転者によるシフト操作を検出するシフトセンサを備えるものがある。かかるシフトセンサを設けた車両では、シフトセンサからの電気信号に基づき運転者によるシフト操作を検出した際に、そのシフト操作に応じて迅速なギヤシフトを可能とするために、エンジンの運転状態を制御してその出力を弱める等のエンジンの出力制御を実行する構成を採用するものがある。
かかる状況下で、特許文献1は、自動二輪車の変速制御装置に関し、シフト装置に設けられた荷重センサからなるシフト作動検出器の検出信号に基づいてシフト作動開始時期を判断し、シフトドラム作動検知器で検出された変速段に応じてエンジンへの吸気量を制御することにより、エンジンの出力が滑らかに変化するようにする制御ユニットを備えた構成を開示する。
特開2006−77623号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、シフト操作を正確に検出するためには、運転者によるシフト要求を検出するシフトセンサが有する公差を考慮して、シフト操作部材の中立位置を示すシフトセンサの出力電圧の値を学習する必要があるが、特許文献1の構成は、シフトセンサが有するその公差に対処がなされたものではない。
ここで、本発明者の検討によれば、シフトセンサが有する公差には、シフトセンサ自体がその特性上内包する検出公差やシフトセンサの車両への取付け公差等が含まれるが、かかる公差に何等の対処がなされていない場合には、シフト操作を正確に検出できない事態が発生する場合があるだけでなく、そのシフト操作に応じて実現されるべきクラッチ操作を行わずにギヤチェンジを行うクイックシフト制御が適切になされないことに起因して、車両の運転フィーリングやドライバビリティが悪化する事態が発生する場合が考えられる。
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、シフト操作部材の中立位置を示すシフトセンサの出力電圧の値を学習することにより、シフト操作を正確に判断することができる電子装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するべく、本発明は、第1の局面において、エンジン及び前記エンジンの出力を変速する変速機を備えた車両に搭載されると共に、前記変速機のギヤポジションのシフト操作のために設けられたリターン式のシフト操作部材の前記シフト操作を検出するシフトセンサからの電気信号を用いて、前記シフトセンサの出力電圧の値の学習を行う制御部を有する電子装置であって、前記制御部は、前記シフトセンサの出力電圧の値が前記シフト操作部材の非操作状態に対応した中立位置を示す値に対して所定幅内にあるときに、前記シフトセンサの出力電圧の値の学習を行う電子装置である。
本発明は、第1の局面に加えて、前記学習は、前記車両が停止中であるときに行われることを第2の局面とする。
本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記学習は、クラッチ接続中であるときに行われることを第3の局面とする。
本発明は、第1から第3の局面に加えて、前記学習は、アイドリング中であるときに行われることを第4の局面とする。
本発明の第1の局面にかかる電子装置においては、エンジン及びエンジンの出力を変速する変速機を備えた車両に搭載されると共に、変速機のギヤポジションのシフト操作のために設けられたリターン式のシフト操作部材のシフト操作を検出するシフトセンサからの電気信号を用いて、シフトセンサの出力電圧の値の学習を行う制御部を有する電子装置であって、制御部は、シフトセンサの出力電圧の値がシフト操作部材の非操作状態に対応した中立位置を示す値に対して所定幅内にあるときに、シフトセンサの出力電圧の値の学習を行うことで、シフト操作部材の非操作状態に対応した中立位置を示すシフトセンサの出力電圧の値を学習することにより、シフト操作を正確に判断することができる。
また、本発明の第2の局面にかかる電子装置によれば、学習は、車両が停止中であるときに行われるため、シフトセンサのシフト操作部材の中立位置を示す出力電圧の値を正確に学習することができる。
また、本発明の第3の局面にかかる電子装置によれば、学習は、クラッチ接続中であるときに行われるため、シフトセンサのシフト操作部材の中立位置を示す出力電圧の値を正確に学習することができる。
また、本発明の第4の局面にかかる電子装置によれば、学習は、アイドリング中であるときに行われるため、シフトセンサのシフト操作部材の中立位置を示す出力電圧の値を正確に学習することができる。
図1は、本発明の実施形態における電子装置の構成を示すブロック図である。 図2(a)は、本実施形態における電子装置が適用されるドッグ式変速機等の構成を示す模式的な断面図であり、図2(b)は、図2(a)に示すドッグ式変速機の一部を示す模式的な拡大図である。 図3は、本発明の実施形態におけるシフトセンサ中立位置学習処理の流れを示すフロー図である。 図4(a)は、本実施形態における電子装置がシフトセンサの出力電圧の値を学習した学習電圧値を主として示す模式図であり、図4(b)は、本実施形態における電子装置がシフトセンサの出力電圧の値を学習する際の閾値電圧とシフトセンサの電気信号の学習電圧値との関係を主として示す模式図である。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における電子装置につき、詳細に説明する。
<電子装置の構成>
図1及び図2を参照して、本実施形態における電子装置及びそれが適用されるドッグ式変速機等の構成について説明する。
図1は、本実施形態における電子装置の構成を示すブロック図である。また、図2(a)は、本実施形態における電子装置が適用されるドッグ式変速機等の構成を示す模式的な断面図であり、図2(b)は、図2(a)に示すドッグ式変速機の一部を示す模式的な拡大図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態における電子装置(Electronic Control Unit:ECU)1は、典型的には、クランクシャフト61、メインクラッチ51及びドッグ式変速機Tを順に介して内燃機関(エンジン)Eの出力を駆動力として図示を省略する駆動輪に伝達する自動二輪車等の鞍乗型車両に搭載され、エンジンEの運転状態の制御等を実行するものである。
電子装置1は、A/D(Aanalog to Digital)変換器2a〜2e、波形整形回路3、中央演算処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)4、モータ駆動回路6、点火栓駆動回路7、及び燃料噴射弁駆動回路8を備えている。CPU4は、クラッチ状態検出部5a、シフト操作検出部5b、ギヤポジション検出部5c、スロットル開度算出部5d、アクセル開度算出部5e、エンジン回転数算出部5f、車速検出部5g及び制御部5hを備えている。かかるクラッチ状態検出部5a、シフト操作検出部5b、ギヤポジション検出部5c、スロットル開度算出部5d、アクセル開度算出部5e、エンジン回転数算出部5f及び車速検出部5gは、典型的には、CPU4における制御プログラム実行時の機能ブロックとして構成されるが、これらは、必要に応じて、電気回路として構成されてもよい。また、電子装置1は、図示を省略するメモリ等を備えており、メモリには、CPU4の演算処理に必要な制御プログラム及び制御データ等が格納されている。
具体的には、A/D変換器2a〜2eは、シフトセンサ12から出力されると共に運転者によるシフトペダル21の回転位置(回転角)、ひいてはシフトペダル21を介した変速操作(シフト操作)の有無を示す電気信号、ギヤポジションセンサ13から出力されると共にドッグ式変速機Tのシフトドラム31の回転位置(回転角)を示す電気信号、スロットル開度センサ15から出力されると共にスロットルモータ14で回動される図示を省略したスロットルバルブの開度を示す電気信号、アクセル開度センサ16から出力されると共に図示を省略するアクセル操作部材の操作量を示す電気信号、及び車速センサ20から出力されると共に車両の車速を示す電気信号を、アナログ形態からデジタル形態に各々変換する。A/D変換器2a〜2eは、このようにデジタル形態に変換したこれらの電気信号をCPU4に出力する。なお、電子装置1内でA/D変換器2a〜2eの前段に各々設けられる入力回路については、便宜上図示を省略している。
ここで、シフトセンサ12及びギヤポジションセンサ13は、例えば、ポテンショメータである。シフトセンサ12は、シフト操作部材であるシフトペダル21の運転者によるシフト操作に応じて、シフトペダル21が固設されると共に車両側のその回動軸であるシフトシャフト22の回転角を示す電気信号を出力する。運転者によるシフト操作に伴うシフトペダル21の回動は、シフトシャフト22に対してそれを回動軸として固設されたシフトアーム23に伝達される。シフトアーム23の一端部には図示を省略するギヤ部が設けられているため、運転者によるシフト操作に伴うシフトペダル21の回動は、シフトアーム23のギヤ部を介して、シフトドラム31の回動軸であるドラムシャフト32に固設されたシフトギヤ24に伝達され、これによりドラムシャフト32、つまりシフトドラム31が回動する。ギヤポジションセンサ13は、ドッグ式変速機Tの変速段(ギヤポジション)に応じて、ドラムシャフト32の回転角を示す電気信号を出力する。なお、シフトセンサ12としては、シフトペダル21に作用する荷重を検出する荷重センサを用いることもできる。
また、例えば、ドッグ式変速機Tにおいて、インプットシャフト46に固定変速ギヤ41が装着され、ドライブシャフト47にフリー変速ギヤ42及びスライド変速ギヤ43が装着された構成を代表的に想定すると、シフトドラム31の回動は、それに形成されたカム溝33に配設されると共にカム溝に倣って移動するシフトフォーク34に伝達され、対応してシフトフォーク34が移動することにより、スライド変速ギヤ43がドライブシャフト47に対して装着された状態で並進移動されることになる。スライド変速ギヤ43がフリー変速ギヤ42に向かって移動されてこれらが互いに近接した位置にあるときには、これらのドッグ歯44、45同士が噛合可能な状態をとることになる。つまり、メインクラッチ51が接続状態にあり、かつドッグ歯44、45同士が当接してドッグ歯44がドッグ歯45を押す噛合状態にあるときには、クランクシャフト61の回転力は、メインクラッチ51、インプットシャフト46、固定変速ギヤ41、フリー変速ギヤ42、スライド変速ギヤ43、及びドライブシャフト47を順に介して、最終的には駆動輪に伝達していくことになる。また、メインクラッチ51が接続状態にあり、かつドッグ歯44、45同士が当接してそれらの一方がそれらの他方を押した噛合状態にあるときには、シフトフォーク34でスライド変速ギヤ43をフリー変速ギヤ42から離れるように移動することが困難になるため、他のギヤポジションへの変速が困難となる。なお、ドッグ歯44、45は、それらの両方が凸状歯である構成の他に、それらの一方が他方の凸状歯を収容する凹状歯である構成を有していてもよい。メインクラッチ51としては、乾式の多板摩擦クラッチが好適に用いられ得る。また、シフトペダル21からシフトフォーク34までの一連の構成要素が、シフト機構Sを構成している。
波形整形回路3は、クランク角センサ17から出力されると共にエンジンEのクランクシャフト61の回転角を示すクランクパルス信号を整形して、デジタルパルス信号を生成する。波形整形回路3は、このように生成したデジタルパルス信号をCPU4に出力する。なお、電子装置1内で波形整形回路3の前段に各々設けられる入力回路については、便宜上図示を省略している。
クラッチ状態検出部5aは、クラッチスイッチ11から入力されると共に運転者がメインクラッチ51を接続又は遮断する際のその操作状態を示す電気信号に基づいて、メインクラッチ51の接続又は遮断を検出する。クラッチ状態検出部5aがこのように検出したメインクラッチ51の断続状態等を示す情報は、制御部5hで用いられる。なお、クラッチスイッチ11からの電気信号が入力される電子装置1内の入力回路については、便宜上図示を省略している。
シフト操作検出部5bは、シフトセンサ12からA/D変換器2aを介して入力されると共に運転者がシフトペダル21を操作してドッグ式変速機Tのシフト操作を行う際又は運転者がシフト操作を行わない際のそのシフト操作の有無を示す電気信号に基づいて、ドッグ式変速機Tのシフト操作を検出する。シフト操作検出部5bがこのように検出したドッグ式変速機Tのシフト操作の有無等を示す情報は、制御部5hで用いられる。
ギヤポジション検出部5cは、ギヤポジションセンサ13からA/D変換器2bを介して入力されると共にドッグ式変速機Tのシフトドラム31の回転角を示す電気信号に基づいて、ドッグ式変速機Tで選択されている変速段(ギヤポジション)を検出する。ギヤポジション検出部5cがこのように検出したギヤポジションは、制御部5hで用いられる。
スロットル開度算出部5dは、スロットル開度センサ15からA/D変換器2cを介して入力されると共にエンジンEのスロットルバルブの実開度を示す電気信号に基づいて、スロットルバルブの実開度(スロットル開度)を算出する。スロットル開度算出部5dがこのように算出したスロットル開度は、制御部5hで用いられる。
アクセル開度算出部5eは、アクセル開度センサ16からA/D変換器2dを介して入力されると共にアクセル操作部材の操作量を示す電気信号に基づいて、アクセル開度を算出する。アクセル開度算出部5eがこのように算出したアクセル開度は、制御部5hで用いられる。なお、アクセル操作部材は、鞍乗型車両では、典型的にはアクセルグリップである。
エンジン回転数算出部5fは、クランク角センサ17から波形整形回路3を介して入力されると共にエンジンEのクランク角(クランクシャフト61の回転角度)を示す電気信号に基づいて、実際のエンジン回転数(エンジン回転数)を算出する。エンジン回転数算出部5fがこのように算出したエンジン回転数は、制御部5hで用いられる。
車速検出部5gは、車速センサ20からA/D変換器2eを介して入力される電気信号に基づいて、車両の車速を検出する。車速検出部5gがこのように検出した車速は、制御部5hで用いられる。車速検出部5gは、例えば、車両が自動二輪車の場合に、従動輪の回転速度を車速として検出する。
制御部5hは、ギヤポジション検出部5cが検出したギヤポジション、スロットル開度算出部5dが算出したスロットル開度、アクセル開度算出部5eが算出したアクセル開度、及びエンジン回転数算出部5fが算出したエンジン回転数等に基づき、スロットルモータ14、点火栓18及び燃料噴射弁19等の動作を制御することによりエンジンEの運転状態を制御することに加えて、クラッチ状態検出部5aがメインクラッチ51の接続を検出している状態においてシフト操作検出部5bが運転者のシフトペダル21の操作によるドッグ式変速機Tのシフト操作を検出した場合には、ドッグ式変速機Tのドッグ歯44、45同士の係合を解除し又は弱めてドッグ式変速機Tの変速が可能となるように、スロットルモータ14の駆動によるエンジンEのスロットル開度を調整して、エンジンEの出力を一時的に変化させるようにその運転状態を制御する。かかる場合、具体的に、ドッグ歯44がドッグ歯45を押しているときには、制御部5hは、ドッグ歯44がドッグ歯45から離れる方向に移動するように固定変速ギヤ41を介してフリー変速ギヤ42を回転させるべくエンジンEの運転状態を制御してその出力を減少方向に変化させる。一方で、ドッグ歯45がドッグ歯44を押しているときには、制御部5hは、ドッグ歯44がドッグ歯45から離れる方向に移動するように固定変速ギヤ41を介してフリー変速ギヤ42を回転させるべくエンジンEの運転状態を制御して、その出力を増大方向に変化させる。
制御部5hは、クラッチ状態検出部5aが検出したクラッチ状態、エンジン回転数算出部5fが算出したエンジン回転数、及び車速検出部5gが検出した車速等に基づき、シフトペダル21の非操作状態に対応した中立位置を示すシフトセンサ12の出力電圧の値を学習するシフトセンサ中立位置学習処理を実行する。ここで、非操作状態とは、シフトアップ操作及びシフトダウン操作を行っていない状態である。
モータ駆動回路6は、制御部5hからの制御信号に従って、スロットルモータ14を駆動することにより、エンジンEのスロットル開度を制御する。
点火栓駆動回路7は、制御部5hからの制御信号に従って、図示を省略する2次コイルの起電力を制御することにより、エンジンEの点火栓18によるエンジンへの点火動作、つまり点火の開始、停止及び再開といった一連の点火動作を制御する。
燃料噴射弁駆動回路8は、制御部5hからの制御信号に従って、燃料噴射弁19を駆動することにより、エンジンEに燃料を噴射する燃料噴射弁19の燃料噴射動作、つまり燃料噴射の開始、停止及び再開といった一連の燃料噴射動作を制御する。
タイマ9は、制御部5hからの制御信号に従ってカウントを開始し、予め設定された所定時間をカウントした後にカウントを停止する。
以上のような構成を有する電子装置1は、以下に示すシフトセンサ中立位置学習処理を実行することによって、低コストであってかつ実用上充分な精度でシフトペダル21の中立位置を検出する。これにより、電子装置1は、正確にシフト操作を検出することができ、併せて車両のドライバビリティの向上に寄与する。以下、更に図3及び図4をも参照して、シフトセンサ中立位置学習処理を実行する際の電子装置1の動作について、詳細に説明する。なお、かかるシフトセンサ中立位置学習処理については、ドッグ式変速機Tを正シフト式で6速のリターン式のものとして説明するが、かかるドッグ式変速機Tは、原理的には、もちろん逆シフト式であってもギヤポジション数が6速から異なっていてもよい。また、かかるシフトセンサ中立位置学習処理を実行するタイミングとしては、電子装置1を搭載した車両が製造される工場における製造ラインの終端での作業時、その車両のディーラにおけるメンテナンス時、及びその車両のユーザ自らのメンテナンス時等が挙げられる。
<シフトセンサ中立位置学習処理>
図3及び図4を参照して、本実施形態におけるシフトセンサ中立位置学習処理の具体的な流れについて詳しく説明する。
図3は、本発明の実施形態におけるシフトセンサ中立位置学習処理の流れを示すフロー図である。図4(a)は、本実施形態における電子装置がシフトセンサの出力電圧の値を学習した学習電圧値を主として示す模式図であり、図4(b)は、本実施形態における電子装置がシフトセンサの出力電圧の値を学習する際の閾値電圧とシフトセンサの電気信号の学習電圧値との関係を主として示す模式図である。
本実施形態におけるシフトセンサ中立位置学習処理は、シフトセンサ12に関連する公差を吸収しながら運転者によるシフト要求を的確に検出するために、シフトセンサ12が装着された車両毎に、学習操作者がシフトペダル21を操作せずに、シフトセンサ12から出力される電気信号の電圧値を学習する処理を行うものである。
かかるシフトセンサ中立位置学習処理において、シフトセンサ12の電気信号としては、シフトペダル21の回転角としてのシフトシャフト22の回転角に比例した出力電圧値を呈するシフトセンサ12からの出力電気信号をそのまま用いることもできるが、検出の精度や利便性等を考慮すれば、シフトセンサ12から出力された電気信号をA/D変換したA/D変換器2aからの出力電気信号を用いることが好ましい。これ故、図4においては、シフトセンサ12の電気信号の電圧VSとしては、A/D変換器2aからの出力電気信号の電圧を用いている。
図3に示すシフトセンサ中立位置学習処理は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられたタイミングで開始となり、シフトセンサ中立位置学習処理はステップS1の処理に進む。かかるシフトセンサ中立位置学習処理は、車両のイグニッションスイッチがオン状態でECU1が起動している間に、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、制御部5hが、シフトペダル21の中立位置を示す学習電圧値が不揮発性メモリ等の図示しないメモリに格納されているかを検索することにより、学習が行われていないか否かを判定する。
判定の結果、学習が行われている場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS2の処理に進める。一方、学習が行われていない場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS3の処理に進める。
ステップS2の処理では、制御部5hが、学習実施コマンドを受信したか否かを判定する。
判定の結果、学習コマンドを受信した場合には、制御部5hは、タイマ9にカウントを開始させ、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS3の処理に進める。一方、学習コマンドを受信していない場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS9の処理に進める。
ステップS3の処理では、制御部5hが、車速検出部5gにより検出した車速が「0」であるか否か、即ち車両が停車中であるか否かを判定する。
判定の結果、車両が停車中である場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS4の処理に進める。一方、車両が停車中でない場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS9の処理に進める。
ステップS4の処理では、制御部5hが、エンジン回転数算出部5fにより算出したエンジン回転数に基づいて、エンジンはアイドリング中であるか否かを判定する。
判定の結果、エンジンがアイドリング中である場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS5の処理に進める。一方、エンジンがアイドリング中でない場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS9の処理に進める。
ステップS5の処理では、制御部5hが、クラッチ状態検出部5aにより検出したクラッチ状態に基づいて、クラッチ接続中であるか否かを判定する。
判定の結果、クラッチ接続中である場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS6の処理に進める。一方、クラッチ接続中でない場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS9の処理に進める。
ステップS6の処理では、制御部5hが、シフトセンサ12からA/D変換器2aを介して入力される電気信号の電圧値(シフトセンサ12の出力電圧の値)VSがデフォルトポジション範囲(下限閾値VSL以上且つ上限閾値VSH以下の範囲(図4参照))にあるか否かを判定する。
判定の結果、電圧値VSがデフォルトポジション範囲にある場合には、制御部5hは、シフトペダル21が中立位置にあると判断し、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS7の処理に進める。一方、電圧値VSがデフォルトポジション範囲にない場合には、制御部5hは、シフトペダル21が中立位置にはないものと判断し、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS9の処理に進める。
ステップS7の処理では、制御部5hが、タイマ9で計測している時間が所定時間経過したか否かを判定する。判定の結果、所定時間経過した場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS8の処理に進める。一方、所定時間経過していない場合には、制御部5hは、シフトセンサ中立位置学習処理をステップS3の処理に戻す。
ステップS8の処理では、制御部5hが、ステップS6の処理においてデフォルトポジション範囲にあると判定した電圧値VSを、学習電圧値としてメモリに記憶する。このようにして得られた学習電圧値は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等の書き込み可能な不揮発性メモリに格納されることが好ましい。
これにより、ステップS8の処理は終了し、シフトセンサ中立位置学習処理は終了する。
ステップS9の処理では、制御部5hが、タイマ9をリセットする。これにより、ステップS9の処理は終了し、シフトセンサ中立位置学習処理は終了する。
図3に示すシフトセンサ中立位置学習処理を終了した後に、制御部5hは、シフト操作検出部5bがシフトペダル21の中立位置を示す学習電圧値をメモリから読み出し、読み出した学習電圧値に基づいて図4(a)に示すVSnu及びVSmdを設定する。制御部5hは、電圧値VSが設定したVSnuに達した際に(VS=VSnuになった際に)シフトペダル21によるシフトアップ操作を検出し、電圧値VSが設定したVSmdに達した際に(VS=VSmdになった際に)シフトペダル21によるシフトダウン操作を検出する。このため、本実施形態では、シフトセンサ12の公差が吸収され、複数の車両において一律のシフトペダル21の操作量によりシフトアップ操作又はシフトダウン操作を検出することができるようになる。これにより、運転者によるドッグ式変速機Tのシフト操作を正確に検出することができる。
また、制御部5hは、クラッチ状態検出部5aがメインクラッチ51の接続を検出している状態において、運転者のシフトペダル21の操作によるドッグ式変速機Tのシフトアップ操作又はシフトダウン操作を検出した場合には、ドッグ式変速機Tのドッグ歯44、45同士の係合を解除し又は弱めてドッグ式変速機Tの変速が可能となるように、スロットルモータ14の駆動によるエンジンEのスロットル開度を調整して、エンジンEの出力を一時的に変化させるようなその運転状態の制御を開始することができる。かかる運転状態の制御は、典型的にはクラッチ操作なしでシフト操作を可能とするクイックシフト制御である。なお、このようなドッグ式変速機Tのシフト操作の検出情報は、その他のエンジンEの運転状態の制御の開始や、エンジンEの補機類の動作の制御の開始等に用いることが可能である。
以上の本実施形態における電子装置では、シフトセンサ12の出力電圧の値がシフトペダル21の非操作状態に対応した中立位置を示す値に対して所定幅内にあるときに、シフトセンサ12の出力電圧の値の学習を行うことで、シフトペダル21の非操作状態に対応した中立位置を示すシフトセンサ12の出力電圧の値を学習することにより、シフト操作を正確に判断することができる。
また、本実施形態における電子装置では、学習は、車両が停止中であるときに行われるため、シフトセンサ12のシフトペダル21の中立位置を示す出力電圧の値を正確に学習することができる。
また、本実施形態における電子装置では、学習は、クラッチ接続中であるときに行われるため、シフトセンサ12のシフトペダル21の中立位置を示す出力電圧の値を正確に学習することができる。
また、本実施形態における電子装置では、学習は、アイドリング中であるときに行われるため、シフトセンサ12のシフトペダル21の中立位置を示す出力電圧の値を正確に学習することができる。
本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範2囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明においては、シフト操作部材の中立位置を示すシフトセンサの出力電圧の値を単独で学習することにより、利便性を向上させることができると共に、シフト操作を正確に判断することができる電子装置を提供することができ、その汎用普遍的な性格から自動二輪車等の内燃機関制御装置に広範に適用され得るものと期待される。
E…エンジン(内燃機関)
T…ドッグ式変速機
S…シフト機構
1…電子装置(ECU)
2a〜2e…A/D変換器
3…波形整形回路
4…中央演算処理ユニット(CPU)
5a…クラッチ状態検出部
5b…シフト操作検出部
5c…ギヤポジション検出部
5d…スロットル開度算出部
5e…アクセル開度算出部
5f…エンジン回転数算出部
5g…車速検出部
5h…制御部
6…モータ駆動回路
7…点火栓駆動回路
8…燃料噴射弁駆動回路
9…タイマ
11…クラッチスイッチ
12…シフトセンサ
13…ギヤポジションセンサ
14…スロットルモータ
15…スロットル開度センサ
16…アクセル開度センサ
17…クランク角センサ
18…点火栓
19…燃料噴射弁
20…車速センサ
21…シフトペダル
22…シフトシャフト
23…シフトアーム
24…シフトギヤ
31…シフトドラム
32…ドラムシャフト
33…カム溝
34…シフトフォーク
41…固定変速ギヤ
42…フリー変速ギヤ
43…スライド変速ギヤ
44、45…ドッグ歯
46…インプットシャフト
47…ドライブシャフト
51…メインクラッチ
61…クランクシャフト

Claims (4)

  1. エンジン及び前記エンジンの出力を変速する変速機を備えた車両に搭載されると共に、前記変速機のギヤポジションのシフト操作のために設けられたリターン式のシフト操作部材の前記シフト操作を検出するシフトセンサからの電気信号を用いて、前記シフトセンサの出力電圧の値の学習を行う制御部を有する電子装置であって、
    前記制御部は、
    前記シフトセンサの出力電圧の値が前記シフト操作部材の非操作状態に対応した中立位置を示す値に対して所定幅内にあるときに、前記シフトセンサの出力電圧の値の学習を行う、
    ことを特徴とする電子装置。
  2. 前記学習は、
    前記車両が停止中であるときに行われる、
    ことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
  3. 前記学習は、
    クラッチ接続中であるときに行われる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
  4. 前記学習は、
    アイドリング中であるときに行われる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子装置。
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