JP6648519B2 - 取付クリップとそれを用いた被取付物取付構造 - Google Patents

取付クリップとそれを用いた被取付物取付構造 Download PDF

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Description

本発明は、取付クリップおよびそれを用いた被取付物取付構造(被取付物取付構造は被取付物取付装置と云ってもよい、以下、同じ)に関する。被取付物は、たとえばカーテンエアバッグ(CSA)である。
特許文献1に開示されているように、一般的な従来クリップは、クリップ取付孔に差し込まれる脚の中央に開孔を向け、そこに係止爪を配置し、係止爪をクリップ取付孔の奥側の結合部で脚に結合し結合部以外は脚からスリットにより切り離した構造をとっていた。その場合、クリップの頭部がクリップ中心軸線から離れた部分で被取付物(たとえば、CSA)から抜去荷重を受けると、その反力が、ボデーから係止爪に入り、ついで結合部を介して係止爪の両サイドに位置する脚部部分を通ってクリップの頭部に伝達される。そのため、係止爪の両サイドに位置する脚部部分の、頭部への接続部には歪みが集中し、材料がPOM(ポリアセタール)などのように脆性破断しやすい材料では、脚の両サイドに位置する脚部部分の、頭部への接続部で破断を生じるおそれがある。
クリップの抜去耐力を向上させるために、本出願人は特願2015−063982号(2015年3月26日出願、したがって本出願の出願日時点で未公開)で、図18に示す、抜去耐力を向上させた取付クリップを提案した。図18において、本願発明との対比が分かりやすくなるように、先願の取付クリップにおいて本発明に対応する部材には、後述する本発明の部材の符号の左に「1」をつけた三桁の符号を付してある。
先願の取付クリップ110は、ブッシュ120とロックピン150と、を有する。ブッシュ120は、頭部122と、頭部からクリップ軸方向に延び互いに対向する一対の脚130と、を有する。各脚130は、一対の脚130の対向方向と直交する方向でかつ頭部122な下面(頭部の、脚が接続される面)に平行な方向における、各脚130の両サイドに形成された湾曲面(クリップ中心軸線112と直交する面に沿って湾曲する湾曲面)130cと、両サイドの湾曲面130cを連結する平坦面130dと、からなる脚外面130bを有する。脚外面130bには、クリップ軸方向に延びる複数本(たとえば、5本)のリブ146からなる係止爪が形成されている。複数本のリブ146は、一対の脚130の対向方向と直交する方向でかつ頭部122の下面と平行な方向(脚の幅方向)に、互いに並列にかつ等間隔に配置されている。複数本のリブ146のうち幅方向両サイドに位置するリブ146aは、各脚130の両サイドに形成された、クリップ中心軸線112と直交する面に沿って湾曲する湾曲面130cに懸かっている。
先願の取付クリップ110では、頭部122がクリップ中心軸線112から離れた部分で被取付物から抜去荷重を受けると、その反力がボデー190から脚外面130bの平坦面130dの全幅にかかり、ついで平坦面130dの全幅から頭部122に伝達される。したがって、脚130の頭部への接続部130aには歪みが平坦面130dの全幅にわたって分散され、先願の取付クリップ110の脆性破断が大幅に抑制され、抜去耐力が大幅に向上される。
特開2014−020409号公報
しかし、先願の取付クリップにも、なお、改善の余地があることが見いだされた。
まず、複数本のリブ146の両端にあるリブ146aの荷重負担が中央のリブに比べて高いので、全リブに歪みが均一に分配される場合に比べて、脚130の頭部122への接続部130aのうち両端のリブ146aの上方にある部分(図18の網目を施した領域Eとその近傍)に、リブ146の配置上、なお歪みの集中が起こる。
また、脚130の頭部122への接続部130aのうち脚の両サイドの湾曲面130bに懸かる部分は、クリップ中心軸線112と平行な面に沿って湾曲するのみでなく、クリップ中心軸線112と直交する面に沿っても湾曲しているので、接続部130aの形状上、歪みが集中しやすく、その分、脚130の頭部122への接続部130aのうち両端にあるリブ146aの上方にある部分(図18のEとその近傍)の歪みが、増大される。
本発明は、脚の頭部への接続部のうち脚の両サイドにある部分(先願の取付クリップの両端リブの上方にある部分)とその近傍における歪みを、先願の取付クリップにおける場合よりも低減でき、それによって取付クリップの抜去耐力を先願の取付クリップより向上できる取付クリップと、それを用いた被取付物取付構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の取付クリップとそれを用いた被取付物取付構造は、つぎの態様(態様は構造といってもよい)をとることができる。なお、括弧付きの符号は図面に現れる部材番号に対応する。
本発明の第1の態様の取付クリップ(10)は、被取付物(94)をボデーパネル(90)に取り付けるのに用いられ、ブッシュ(20)とロックピン(50)からなる
ブッシュ(20)は、頭部(22)と、頭部(22)からクリップ軸方向に延び互いに対向する一対の脚(30)と、一対の脚(30)の対向方向と直交する方向でかつ頭部(22)の下面に平行な方向における各脚(30)の両サイドに形成された湾曲面(30c)および該両サイドの湾曲面(30c)を連結する平坦面(30d)とを有する脚外面(30b)と、各脚(30)の脚外面(30b)から外側に突出し、脚外面(30b)に沿ってクリップ軸方向に延びる、少なくとも1つのリブ(46)からなる係止爪(40)と、を有する。
リブ(46)は、一対の脚(30)の対向方向と直交する方向でかつ頭部(22)の下面に平行な方向に各脚(30)の両サイドに形成された湾曲面(30c)から脚(30)の中央側に隔たった脚外面(30b)の領域に形成されている。
本発明の第1の態様では、各脚(30)の係止爪(40)は、係止爪(40)の頭部側端部に設けられた頭部側係止部(42)と、頭部側係止部(42)よりも脚(30)の先端側に隔たった部位に設けられた脚先端側係止部(44)と、を有し、リブ(46)は頭部側係止部(42)と脚先端側係止部(44)との間にわたって延びている。
被取付物(94)から取付クリップ(10)にクリップ中心軸線(12)から隔たった頭部部位で抜去荷重が作用した時、取付クリップ(10)は、係止爪(40)の削れを伴ってボデーパネル(90)に対して傾いていき、一方の脚(30)の係止爪(40)上にある、頭部側係止部(42)かそれより脚先端側に位置する第1の係止部(42A)と、他方の脚(30)の係止爪(40)上にある、第1の係止部(42A)より脚先端側でかつ脚先端側係止部(44)かそれより頭部側に位置する第2の係止部(44A)とで、ボデーパネル(90)に係止する。
本発明の第の態様では、第の態様において、ロックピン(50)は、被取付物(94)から取付クリップ(10)に抜去荷重(F)が作用した時にボデーパネル(90)から取付クリップ(10)に作用する上記抜去荷重(F)の反力(Fr)の一部(Fa)を受ける荷重受け部(52)を有する。
ブッシュ(20)は、ロックピン(50)が受けた上記抜去荷重(F)の反力(Fr)の一部(Fa)を受ける受圧面(26)を有する。
ロックピン(50)は、ロックピン(50)がブッシュ(20)内に挿入された状態でブッシュ(20)の一対の脚(30)の側面よりも一対の脚(30)の対向方向と直交する方向でかつ頭部(22)の下面に平行な方向に突出するサイド爪(52A)を有し、上記荷重受け部(52)が該サイド爪(52A)からなる。
被取付物(94)から取付クリップ(10)にクリップ中心軸線(12)から隔たった頭部部位で抜去荷重(F)が作用して取付クリップ(10)が係止爪(40)の削れを伴ってボデーパネル(90)に対して傾いていき、第1の係止部(42A)および第2の係止部(44A)でボデーパネル(90)に係止した時、第1の係止部(42A)はサイド爪(52A)よりも頭部側にあり、第2の係止部(44A)はサイド爪(52A)よりも脚先端側にある。
本発明の第の態様に係る被取付物取付構造1は、第1の態様またはの態様の取付クリップ(10)を用いて、被取付物(94)を長方形のクリップ取付孔(92)の部位にてボデーパネル(90)に取り付ける被取付物取付構造である。
取付クリップ(10)は、一対の脚(30)の対向方向と直交する方向を長方形のクリップ取付孔(92)の長軸方向に向けてボデーパネル(90)に組み付けられている。
被取付物(94)から取付クリップ(10)に抜去荷重(F)が作用しない通常使用時には、取付クリップ(10)の中心軸線(12)はボデーパネル(90)に直交しており、かつボデーパネル(90)のクリップ取付孔(92)の縁部は平坦であり、ボデーパネル(90)のクリップ取付孔(92)の縁部と被取付物(94)のタブ(94a)は、ブッシュ(20)の頭部(22)と一対の係止爪(40)との間に位置している。
被取付物(94)から取付クリップ(10)に抜去荷重(F)が作用した時には、取付クリップ(10)はクリップ取付孔(92)の長軸まわりに傾き、かつボデーパネル(90)のクリップ取付孔(92)の周縁部は抜去荷重(F)が作用する側に突出するように塑性変形される。
第1の態様によれば、リブが、脚の両サイドに形成された湾曲面から脚の中央側に隔たった領域に形成されているので、取付クリップに抜去荷重がかかった時に、中央側のリブでも抜去荷重反力をバランスよく受けることができ、かつ、脚の両サイドの頭部首下に生じる歪み、曲げ応力、および引張応力を、先願クリップの場合(図18のEとその近傍に生じる歪み、曲げ応力、および引張応力)よりも低減できる。その結果、脚の両サイドの頭部首下からの破断を抑制できる。また、POM等の脆性破断しやすい材料でも高い抜去耐力が得られる。
第1の態様によれば、取付クリップに抜去荷重がかかると取付クリップが係止爪の削れを伴いながらボデーパネルに対して傾き、第1の係止部とそれより脚先端側にある第2の係止部でボデーパネルに係止する。
両端リブが無い場合は、両端リブがある場合よりもリブ本数が少なくなるので、第2の係止部がある側の係止爪の削れが多くなり、取付クリップのボデーパネルに対する傾き角度が大きくなる。
その結果、脚の頭部への接続部にかかるモーメントと引張力が小さくなり、脚の両サイドの部分の、頭部への接続部に生じる歪み、曲げ応力、引張応力が低減する。
そのため、脚の両サイドの頭部への接続部で発生するおそれのある脆性破断が抑制される。第1の態様の効果は、サイド爪が無くても得られる効果である。
の態様によれば、サイド爪があるため、さらにつぎの効果が得られる。すなわち、被取付物から取付クリップにクリップ中心軸線から隔たった頭部部位で抜去荷重が作用して取付クリップが係止爪の削れを伴ってボデーパネルに対して傾いていき、第1の係止部および第2の係止部でボデーパネルに係止した時、第1の係止部はサイド爪よりも頭部側にあり、第2の係止部はサイド爪よりも脚先端側にある。両端のリブが無い場合は、両端のリブがある場合よりもリブ本数が少なくなり、取付クリップのボデーパネルに対する傾き角度が大きくなる。その結果、サイド爪の荷重負担分が多くなる。サイド爪で受けられた荷重は脚の頭部への接続部を通らずに、ロックピンを通って頭部に伝達され、頭部で受けられる。サイド爪の荷重負担分が多くなると、それだけ脚の頭部への接続部を通る荷重伝達分が少なくなるので、サイド爪が有る場合はサイド爪が無い場合よりも、脚の両端の頭部への接続部に生じる歪み、曲げ応力、引張応力が、より一層(たとえば、3割程度、第1の態様の端リブを除去した歪みの低減効果の1割程度と合わせると、4割程度)、低減する。
の態様によれば、被取付物から取付クリップに抜去荷重が作用した時には、ボデーパネルのクリップ取付孔の周縁部は抜去荷重が作用する側に突出するように塑性変形されるので、端リブに集中していたリブにかかる負荷が中央側のリブに分散される。その結果、脚の両サイドの頭部への接続部に生じる歪みは低減し、脚の両サイドの頭部首下からの脆性破断が抑制される効果が得られやすくなる。
本発明の第1実施例に係る取付クリップ、および、該取付クリップを用いた本発明の被取付物取付構造、の正面図である。 図1の取付クリップおよび被取付物取付構造の側面図である。 図1の取付クリップの平面図である。 図1の取付クリップの底面図である。 図1の取付クリップの、5−5線に沿って見た断面図である。 図1の取付クリップの、6−6線に沿って見た断面図である。 図1の取付クリップの、脚をクリップ中心軸線と直交する面で切断して見た断面図である。(図8の取付クリップの、7−7線に沿って見た断面図である。) 図7の取付クリップの、8−8線に沿って見た断面図である。 図1の取付クリップの、ブッシュ単体の斜視図である。 図1の取付クリップの、外面にサイド爪が形成されたロックピンの一対のアームをアームの先端が互いに接近する方向に連結部まわりに回動させた状態における、ロックピン単体の斜視図である。 図1の取付クリップの、ロックピンの一対のアームをアームの先端が互いに離れる方向に連結部まわりに回動させた状態における、ロックピン単体の斜視図である。 図3の取付クリップの、12−12線に沿って見た断面図である。 図12の取付クリップの、ロックピンの一対のアームをアームの先端が互いに接近する方向に回動させた時の、断面図である。 図1の取付クリップの斜視図である。 図1の取付クリップの、取付クリップをボデーパネルから引き抜いた時、または取付クリップをボデーパネルに組み付ける前における斜視図である。 図1の取付クリップの、ロックピンをブッシュに最奥位置まで押し込んだ時におけるブッシュを半割りにした斜視図である。 図1の取付クリップの、ロックピンをブッシュに仮保持位置まで挿入した、または引き抜いた時におけるブッシュを半割りにした斜視図である。 先願(特願2015−063989号)の取付クリップと、該先願の取付クリップを用いた先願の被取付物取付構造の、正面図である。
本発明の実施例に係る取付クリップ10、および、被取付物取付構造1を、図1−図17を参照して説明する。
図中、Cfrは取付クリップ10の一対の脚30の対向方向に取付クリップ10を見た時の取付クリップ10の前後方向(以下、取付クリップ前後方向とも云う)を示す。また、CrlはCfrに直交する方向で、取付クリップ10の左右方向(以下、取付クリップ左右方向とも云う)を示す。
まず、取付クリップ10と被取付物取付構造1の構成を作用と共に説明する。
図1、図2に示すように、被取付物取付構造1は、取付クリップ10を用いて被取付物94を長方形のクリップ取付孔92の部位にてボデーパネル90に取り付けた被取付物取付構造である。取付クリップ10は、たとえば、CSA固定クリップである。被取付物94は、たとえば、カーテンエアバッグ(CSA、CSAはCurtain Shield Airbag の略)である。CSAは、図2でCSAのタブのみが示されている。ボデーパネル90は、車両のパネルであり、たとえば、フロントピラーのインナーパネルであってもよいし、ルーフサイドレールのインナーパネルであってもよい。
取付クリップ10は、合成樹脂材料またはその複合材からなる。合成樹脂は、たとえばポリアミド66やポリアセタールである。ただし、必要強度を有すれば、ポリアミド66やポリアセタールに限定されず、たとえばポリアミド66の複合材であるガラス入りポリアミド66などであってもよい。また、ボデーパネル90は鋼製であり、CSAは布製である。
取付クリップ10は、取付クリップ前後方向Cfrを車両の左右方向(車両の幅方向)に向け、取付クリップ左右方向Crlを車両の前後方向(車両の長手方向)に向けて、ボデーパネル90にクリップ取付孔92の部位にて取り付けられる。クリップ取付孔92の形状は、たとえば長方形である。被取付物94は、長方形のクリップ取付孔92の長手方向に延びる。被取付物94は、車両の側面衝突時またはロールオーバ時に膨張、展開されて乗員の頭部を保護する。
図2に示すように、被取付物94の膨張、展開時には、被取付物94のタブ94aから取付クリップ10に抜去荷重Fが作用する。抜去荷重Fの反力Frはボデーパネル90から取付クリップ10にかかる。取付クリップ10は抜去荷重反力Frを係止爪40で、または係止爪40とサイド爪52Aで受ける。図2において、被取付物94から取付クリップ10に抜去荷重Fが作用すると、取付クリップ10は係止爪40の削れを伴ってボデーパネル90に対して傾く。実際はボデーパネル90が静止した状態にあって取付クリップ10が傾くが、図2は取付クリップ10が静止した状態にあってボデーパネル90が傾いた状態で示している。
図1−図17に示すように、取付クリップ10は、ブッシュ20とロックピン50とからなる。ブッシュ20は、頭部22と一対の脚30と一対の脚30に形成されたリブ46を有する。ロックピン50は、ブッシュ20とは別体でブッシュ20に挿入される。ロックピン50は、サイド爪52Aを有している。
頭部22は、座部22aと座部22aから脚30と反対側に立ち上がる立ち上がり部22bを有する。頭部22には、頭部22を取付クリップの軸方向に貫通するロックピン挿入孔24が設けられる。ロックピン50はロックピン挿入孔24を通してブッシュ20内に挿入される。
一対の脚30は、クリップ軸方向に延びクリップ中心軸線12を間において取付クリップ前後方向Cfrに互いに対向する。各脚30は、頭部22から離れる方向に延びて自由端で終わっている。一対の脚30の内面は、ロックピン50に接触可能である。頭部22および一対の脚30の取付クリップ中心軸線12と直交する断面の外形は長方形であり、頭部22の長方形は一対の脚30の長方形より大きい。取付クリップ10は、頭部22および一対の脚30の長方形の長軸方向を、クリップ取付孔92の長軸方向と同じ方向に向けてボデーパネル90にクリップ取付孔92部位にて取り付けられる。
各脚30は、頭部22への接続部に形成されたクリップ軸方向に延びる面に沿って湾曲する湾曲外面をもつ湾曲部(根本部)30aと、一対の脚30の対向内面と反対側の脚外面30bと、を有する。脚外面30bは、一対の脚30の対向方向と直交する方向でかつ頭部22の下面に平行な方向における各脚30の両サイドに形成された湾曲面30cと、両サイドの湾曲面30cを連結する平坦面30dと、を有する。湾曲面30cは、クリップ軸方向と直交する方向に延びる面に沿って湾曲しており、平坦面30dは、クリップ軸方向と直交する方向に延びる面に沿って直線状に延びている。
ブッシュ20は、各脚外面30bに一体的に形成された係止爪40を有する。係止爪40は、取付クリップ10をボデーパネル90に取り付けた時や、被取付物94から取付クリップ10に抜去荷重が作用した時に、ボデーパネル90のクリップ取付孔92の長辺92aの縁に係止できるように、脚30の外面よりも外側(一対の脚30の対向方向に取付クリップ中心軸線12から離れる方向)に突出する部分を含む部分を云う。
係止爪40は、各脚30の脚外面30bから外側に突出し脚外面30bに沿ってクリップ軸方向に延びる、少なくとも1つのリブ46からなる。リブ46が複数本ある場合、リブ46は互いに並列であり、一対の脚30の対向方向と直交する方向でかつ頭部22の下面に平行な方向に等間隔に配置されている。
リブ46は、一対の脚30の対向方向と直交する方向でかつ頭部22の下面に平行な方向に、各脚30の両サイドに形成された湾曲面30cから脚30の中央側に隔たった、脚外面30bの領域(上記平坦面30dの領域)に形成されている。したがって、全てのリブ46が、各脚30の両サイドに形成された湾曲面30cに懸かっていない。これに対し、図18の先願クリップ110では、両端のリブ146aの一部は湾曲面130cに懸かる。
すなわち、各脚30の両サイドに形成された湾曲面30cの、リブ46側の端と、少なくとも1つのリブ46の、湾曲面30c側の端との間には、脚外面30bに、一対の脚30の対向方向と直交する方向でかつ頭部22の下面に平行な方向に直線状に延びる上記平坦な面30dの一部が位置している。
図18のように、リブ146が互いに並列な(N+2)本のリブからなり、両端にあるリブ146aが湾曲面130cに懸かり該両端にあるリブ146aが除去されると残りのN本のリブ146のいずれも湾曲面130cに懸からない場合に、上記両端にあるリブ146aが除去されることにより、本発明ではリブ46の本数がNとされている。したがって、N本のリブ46はすべて湾曲面30cに懸からない。図18(先願)の例では、N=3で、リブ146の本数が(N+2)=5本であり、両端のリブ146aが湾曲面130cにかかるが(図18)、図1(本発明)では、両端にあるリブ146aが除去されることにより、残りのN(N=3)本のリブ46のいずれも、湾曲面30cに懸かっていない。ただし、本発明において、Nは「3」に限るものではなく、「1」以上あればよい。
各係止爪40は、クリップ軸方向に頭部22から脚先端側に隔たっている。各係止爪40は、係止爪40の頭部側端部に位置する頭部側係止部42と、頭部側係止部42から脚先端側に隔たった脚先端側係止部44との、2段の係止部を有する。頭部側係止部42は、脚30の頭部22から隔たった部位の外面から脚先端側かつ取付クリップ中心軸線12から離れる方向に傾斜する傾斜面からなる。脚先端側係止部44は、脚30の外面から取付クリップ中心軸線12とほぼ直交する方向に、取付クリップ中心軸線12から離れる方向に延びる。頭部側係止部42は取付クリップ左右方向Crlに断続していてもよい。
頭部側係止部42の取付クリップ軸方向における強度、剛性は脚先端側係止部44の取付クリップ軸方向における強度、剛性よりも小さく設定されている。頭部側係止部42の取付クリップ軸方向における強度、剛性は、被取付物94から取付クリップ10に抜去荷重Fが働いて取付クリップ10がボデーパネル90に対して傾いていく時に、ボデーパネル90のクリップ取付孔92のエッジで適宜に削られ、係止部40と脚30に過大な衝撃荷重を与えないようにしてある。一方、脚先端側係止部44は、取付クリップ10がボデーパネル90に対して傾いていってボデーパネル90のクリップ取付孔92のエッジが最終的に脚先端側係止部44にかかった時にそれ以上に爪が削られることを防止できるように、すなわち、削れの最終ストッパとして働くことができるように、取付クリップ軸方向における脚先端側係止部44の下方の爪部分の厚みから決まる十分な強度と剛性が付与されている。
各係止爪40を2段の係止部42、44とすることにより、つぎの効果を得る。すなわち、小さな傾きでは、頭部側係止部42およびその内側の脚30の外面部(厚み方向外側部)が削られて、脚30にかかる曲げモーメントと引張力を低減させる。大きな傾きでは、ボデーパネル90が脚先端側係止部44に掛かった時に、脚先端側係止部44とその内側の外面部(厚み方向外側部)がそれ以上に削られることを抑制する。これによって、脚先端側係止部44が全部削られて取付クリップ10がボデーパネル90から外れることを防止できる。すなわち、係止爪40を削られやすくすることと削られにくくすることの、相反する2つの特性を2段の係止部42、44とすることによって両方とも満足させることができる。
図2に示すように、被取付物94の膨張、展開時など、被取付物94から取付クリップ10に抜去荷重Fが働いた時には、取付クリップ10に引張力Fとモーメントがかかるので、取付クリップ10はボデーパネル90に対して傾いてボデーパネル90に係止する。取付クリップ10がボデーパネル90に対して傾いた状態では、取付クリップ10は、一対の係止爪40のうち一方の係止爪40の第1の係止部42Aと他方の係止爪40の第2の係止部44Aでボデーパネル90に係止する。第1の係止部42Aおよび第2の係止部44Aの、頭部22からの距離は互いに異なる。第1の係止部42Aおよび第2の係止部44Aの頭部22からの距離は、取付クリップ10のボデーパネル90に対する傾きによって変化する。
頭部側係止部42およびと脚先端側係止部44と、第1の係止部42Aおよび第2の係止部44Aとの関係はつぎのとおりである。図2に示すように、取付クリップ10がボデーパネル90(図2で破線にて示したボデーパネル)に対して任意の傾きをもって斜めになり、取付クリップ10が第1の係止部42Aと第2の係止部44Aとでボデーパネル90に係止した時、第1の係止部42Aは頭部側係止部42かそれより脚先端側にあり、第2の係止部44Aは脚先端側係止部44かそれより頭部側にある。
取付クリップ10がボデーパネル90に対して傾くことにより、取付クリップ10がボデーパネル90に対して傾かない場合よりも、脚30の根元部(脚の頭部への接続部)30aにかかる曲げモーメントと引張力が大幅に低減され、取付クリップ10の抜去耐力が向上する。より詳しくは、取付クリップ10の傾きにかかわらず引張力Fはボデーパネル90に対して直交する方向に働くので、取付クリップ10がボデーパネル90に対して角度A(角度「A」は取付クリップ10の中心軸線12とボデーパネル90の、クリップ取付孔92中心での法線とのなす角度)だけ傾いた時には、脚30から引張力Fの作用線までの距離がcos A分低減し、かつ、脚30の軸方向にかかる引張力もcos A分低減する。その結果、脚30の根元部(頭部への接続部)30aにかかる曲げモーメントと引張力が、それぞれ、取付クリップ10がボデーパネル90に直交したままボデーパネル90に係止する場合に比べて、大幅に(3割程度)低減する。その結果、ブッシュ20が脚30の根元部30aで破断することが抑制され、取付クリップ10の抜去耐力が大幅に向上する。
また、リブ46およびリブ内側の脚30の外面部は削られる時にエネルギを吸収するので、ボデーパネル90のクリップ取付孔92の縁部が脚先端側係止部44に係止する時の衝突速度が緩和される。これによって、脚先端側係止部44とその内側の脚32の外面部が、ボデーパネル90のクリップ取付孔92の縁部のエッジにより削り取られることを抑制または防止する。
取付クリップ10がクリップ取付孔92に挿入されたり、クリップ取付孔92から抜去される時には、係止爪40は脚30と共にクリップ中心軸線12側に弾性的に後退される。一対の脚30の後退時の干渉を避けて後退量を大きくするために、図4に示すように、脚30の内面に、一対の脚30の対向方向に凹凸する凹凸部38が形成されてもよい。その場合、一方の脚30の凸部38aと他方の脚30の凹部38bとを対向するようにするのが望ましい。
図7、図8に示すように、脚30の内面に、サイド爪52Aが取付クリップ中心軸線12側へ変形することを抑制する、サイド爪52Aを内側から支持する支持面36が形成されてもよい。脚30は、取付クリップ10の前後方向Cfrに対向する内面に、内側に向かって突出する突出部を有している。そして、この突出部の、取付クリップ10の前後方向Crlの外面で、サイド爪52Aの内面(より正確には、サイド爪52Aが形成されたアーム58の内面)に対向し接触する部分に、支持面36が形成されている。
図2に示すように、ロックピン50は、被取付物94から取付クリップ10に抜去荷重Fがかかった時にボデーパネル90から取付クリップ10にかかる抜去荷重反力Fr(抜去荷重Fと同じ大きさで向きが逆)の一部Fa(Fa<Fr、FaはFrと同じ向きのベクトル)を受ける、荷重受け部52を有する。図2では、荷重受け部52がサイド爪52Aからなる場合を示している。
一方、ブッシュ20は、図5に示すように、ロックピン50が受けた抜去荷重反力Frの一部Faを受ける受圧面26を有する。受圧面26は、ロックピンの反挿入方向にいくにしたがって取付クリップ中心軸線12から離れており、ロックピンの反挿入方向に拡がっている。受圧面26は、湾曲した面でもよいし(図5)、取付クリップ中心軸線12にほぼ直交する平面であってもよい(図6)。
図5、図6に示すように、ロックピン50は、ロックピン50が最奥押し込み位置までブッシュ内に押し込まれた状態で、ブッシュ20の受圧面26に取付クリップ軸方向に対向するように取付クリップ中心軸線12から離れる方向に膨出する膨出部64と、膨出部64に形成され受圧面26に接触して受圧面26をクリップ軸方向に押圧することが可能な押圧面66と、を有する。ロックピン50が受けた抜去荷重反力Frの一部Faは、押圧面66から受圧面26への荷重の伝達により、ブッシュ20の頭部22に伝達される。
受圧面26が、ブッシュ20の頭部22の内側に形成される場合、ブッシュ20の頭部22は、ロックピン50を通して伝達される抜去荷重反力Frの一部Faと、脚30の根元部(脚30の頭部22への接続部)を通して伝達される抜去荷重反力Frの残部Fb(Fb=Fr−Fa、FbはFrと同じ向きのベクトル)とを受ける。ロックピン50が受けた抜去荷重反力分Faは、ブッシュ20の脚30を介することなく、ロックピン50自体を通して、ブッシュ20の頭部22に伝達される。これに対し、従来(特許文献1)のロックピンが被取付物から取付クリップに作用する抜去荷重を受けもつことはない。
本発明ではロックピン50に荷重受け部52を設けてロックピン50が抜去荷重反力Frの一部Faを受けるようにしたので、被取付物94から取付クリップ10に抜去荷重Fが作用した時にその抜去荷重反力Frをブッシュ20とロックピン50の両方で受けることができる。その結果、従来(特許文献1)よりも、ロックピン50が受け持つ荷重Fa分、ブッシュ20の脚30が受け持つ荷重がFrからFbに低減する。逆に、脚30が荷重Frを受けもつ場合には、ロックピン50が受け持つ荷重Fa分、取付クリップ10の抜去耐力を(F+Fa)に向上でき、取付クリップ10が受けることができる抜去荷重Fを増大できる。
また、受圧面26の、全面またはほとんど全面が、ブッシュ20の頭部22の内側に形成されるので、ロックピン50が受けた荷重Faが、ブッシュ20の脚30を介することなくまたはほとんど介することなく、ロックピン自体を通して、頭部22の内側の膨出部64に伝達され、そこからブッシュ20の受圧面26に伝達される。その結果、ブッシュ20の脚30の荷重負担を従来のFrからFbに軽減でき、ブッシュ20が、脚根元部で破断することを抑制できる。
図1、図2に示すように、ロックピン50は、ロックピン50がブッシュ20内の最奥押し込み位置まで挿入された状態で、脚30の取付クリップ左右方向Crlの側面よりも取付クリップ10の左右方向Crlに突出するサイド爪52Aを有していてもよい。サイド爪52Aを有する場合は、サイド爪52Aが荷重受け部52を構成する。
サイド爪52Aは、頭部22に対向し頭部22に平行に延びる係止面54と、係止面54からアーム58の外面に沿って立ち上がる補強リブ(「盛り上がり部」とも云う)56を有していてもよい。補強リブ56は、図10、図11に示すように、ロックピン50の取付クリップ左右方向Crlの各外面に1つ以上設けられている。図示例では、各アーム58の外面に、互いに間隔をおいて補強リブ56が2つ設けられている。補強リブ56の取付クリップ左右方向Crlの外面は、係止面54の取付クリップ左右方向Crlの外側端から係止面54の根本側に隔たった位置から頭部22に向かって立ち上がる立ち上が面56aと、立ち上が面56aの頭部22側の端部から頭部側かつ取付クリップ中心軸線12側に傾斜して延びる傾斜面56bからなる。立ち上が面56aと係止面54との接続部は湾曲面とされてもよい。また、係止面54の根本部54a、すなわち係止面54とアーム58の外面とのコーナ部は、湾曲面とされるのが望ましい。
ロックピン50はさらにつぎの構造を有してもよい。
ロックピン50がブッシュ20に挿入され仮保持位置(図13)から最奥押し込み位置(図12)まで押し込まれる途中で、サイド爪52Aが拡げられ、最奥押し込み位置でサイド爪52Aを脚30の取付クリップ左右方向Crlの側面よりも取付クリップ10の左右方向Crlに突出させるために、ブッシュ20の脚30の対向(取付クリップの前後方向の対向)する内面に該内面から内側に突出するガイド面28が形成されている。
ガイド面28は、ロックピン50がブッシュ20内の仮保持位置(図13)から最奥押し込み位置(図12)に押し込まれるまでの途中でロックピン50に摺動接触を開始する位置に設けられる。ガイド面28は、ロックピン50のブッシュ20への挿入方向にかつ取付クリップ中心軸線12から離れる方向に傾斜する傾斜面からなり、ロックピン50がブッシュ20内に挿入される時に、一対のサイド爪52Aを拡げる。ロックピン50は連結部60まわりに回動可能に連結された一対のアーム58を有し、サイド爪52Aはアーム58の外面にアーム58と一体に形成されている。ブッシュ20に形成されたガイド面28は、ロックピン50がブッシュ20内の最奥押し込み位置に押し込まれる時にアーム58の内面に摺動接触してアーム58を連結部60まわりに回動させ、サイド爪52Aをアーム58と共に取付クリップ中心磁区線12から離れる方向に拡げる。
ロックピン50が仮保持位置(図13)にある時には、一対のサイド爪52A間の距離が狭められた状態にあって、連結部60がその状態に長期間なじんでいると、ロックピン50が押し込まれた時に一対のサイド爪52Aが連結部60の弾性だけで拡がるとはかぎらない。しかし、ブッシュ20にガイド面28を設けたので、ロックピン50をブッシュ内の最奥押し込み位置まで押し込んだ時に、サイド爪52Aをボデーパネル90に係合可能な位置まで強制的に、したがって確実に、拡げることができる。
また、サービス時における取付クリップ10のボデーパネル90からの取り外しを容易にするために、ロックピン50は、連結部60の両側に設けられた、サイド爪52Aの回動変形を容易にするための、一対の工具差し込み穴62を有してもよい。サービス時には、工具差し込み穴62にラジオペンチ等の工具の先端を差し込み、把手を握ってサイド爪52Aがクリップ中心軸線12に近づくようにアーム58を連結部60まわりに回動させ、取付クリップ10をボデーパネル90から引き抜く。
つぎに、本発明の効果を説明する。
まず、リブ46が、脚30の両サイドに形成された湾曲面30cから脚30の中央側に隔たった領域に形成されているので、取付クリップ10に抜去荷重Fがかかった時に、中央側のリブ46でも受けることができる。そのため、先願では端リブに集中していた抜去荷重反力Frを、中央側のリブでも受けるようになり、抜去荷重反力Frを全リブ46でバランスよく受けることができるようになる。また、端リブの上方での脚の頭部への接続部が、先願では軸方向にも軸直交方向にも湾曲していたが、本発明では先願の端リブ146aを除去したことにより、本発明の端リブ46の上方における脚30の頭部22への接続部が軸方向のみに湾曲する湾曲面30aのみとなり、脚の頭部への接続部に歪み、応力が集中しにくくなる。
その結果、脚30の両サイドの頭部首下に生じる歪み、曲げ応力、および引張応力を、先願クリップ130の場合(図18のEとその近傍に生じる歪み、曲げ応力、および引張応力)よりも低減できる。たとえば、1割程度低減できる。そのため、脚30の両サイドの頭部首下からの破断を抑制できる。また、POM等の脆性破断しやすい材料でも高い抜去耐力が得られる。このは、サイド爪52Aの有無にかかわらず得られる。
各脚30の両サイドに形成された湾曲面30cのリブ46側の端と、少なくとも1つのリブ46の湾曲面30c側の端との間に、平坦な面30dの一部が位置しているので、リブ46を脚の両サイドに形成された湾曲面30cから脚30の中央側に隔たった脚外面30bの領域(30dにある領域)に確実に形成することができる。この効果は、サイド爪52Aの有無にかかわらず得られる。
また、先願の取付クリップ110のように、リブ146が互いに並列な(N+2)本のリブからなり、両端にあるリブ146aが湾曲面130cにかかっている場合において、両端にあるリブ146aを除去することにより、本発明では、残りのN本のリブ46のいずれもが湾曲面30cにかからないようにすることができる。すなわち、両端にあるリブ146aを除去するという単純な設計変更により、他の部分の設計変更を必要とすることなく、脚30の両サイドの頭部首下に生じる歪み、曲げ応力、および引張応力を低減できる。
具体的な一例を挙げれば、図18に示した先願の取付クリップ110のように、リブが5本あり、両端にあるリブ146aが湾曲面130cにかかっている場合に、両端にあるリブ146aを除去するだけで、図1に示すように残りの3本のリブ46のいずれもが湾曲面30cにかからないようにすることができる。
取付クリップ10に抜去荷重Fがかかると、取付クリップ10が、リブ46からなる係止爪40の削れを伴いながらボデーパネル90に対して傾き、第1の係止部42Aとそれより脚先端側にある第2の係止部44Aでボデーパネル90に係止する。両端リブ146aが無い場合は、両端リブ146aがある場合よりもリブ46の本数が少なくなるので、第2の係止部44Aがある側(クリップ中心軸線12よりも荷重Fが作用する側)の係止爪40の削れが多くなり、取付クリップ10のボデーパネル90に対する傾き角度Aが大きくなる。その結果、脚30の頭部22への接続部にかかるモーメントと引張力が小さくなり、脚30の両サイドの部分の、頭部22への接続部(図18の網目を施した領域Eとその近傍)に生じる歪み、曲げ応力、引張応力が低減する。そのため、脚30の両サイドの、頭部22への接続部で発生するおそれのある脆性破断が抑制される。この効果は、サイド爪52Aが無くても得られる。
ロックピン50にサイド爪52Aがある場合は、さらにつぎの効果が得られる。すなわち、被取付物94から取付クリップ90にクリップ中心軸線12から隔たった頭部部位で抜去荷重Fが作用して取付クリップ10が係止爪40の削れを伴ってボデーパネル90に対して傾いていく。取付クリップ10が第1の係止部42Aおよび第2の係止部44Aでボデーパネル90に係止した時、第1の係止部42Aはサイド爪52Aよりも頭部側にあり、第2の係止部44Aはサイド爪52Aよりも脚先端側にある。したがって、サイド爪52Aにはボデーパネル90からの抜去荷重反力Frの一部Faを受ける。
図18の両端のリブ146aが無い場合(すなわち、本発明の場合)は、図18のように両端のリブ146aがある場合(すなわち、先願の場合)よりもリブ46の本数が少なくなり、リブ46の削れが多くなって、取付クリップ10のボデーパネル90に対する傾き角度Aが大きくなる。その結果、サイド爪52Aの荷重負担分が、先願よりも多くなる。サイド爪52Aで受けられた荷重は、脚30の頭部22への接続部を通らずに、ロックピン50を通って頭部22に伝達され、頭部22で受けられる。サイド爪52Aの荷重負担分が多くなると、それだけ脚30の頭部22への接続部を通る荷重伝達分が少なくなるので、サイド爪52Aが有る場合はサイド爪52Aが無い場合よりも、脚30の両端の頭部22への接続部(図18の網目を施した領域Eとその近傍)に生じる歪み、曲げ応力、引張応力が、より一層、低減する。たとえば、3割程度低減でき、端リブを除去した歪みの上記低減効果の1割程度と合わせると、4割程度も低減できる。
被取付物取付構造1の効果としては、被取付物94から取付クリップ10に抜去荷重Fが作用した時には、ボデーパネル90のクリップ取付孔92の周縁部は抜去荷重Fが作用する側に突出するように塑性変形される。そのため、端リブに集中するリブ46にかかる抜去荷重反力Frが和らげられ、その分,抜去荷重反力Frが中央側のリブ46に分散される。その結果、脚30の両サイドの頭部22への接続部に生じる歪みは低減し、脚30の両サイドの頭部首下からの破断が抑制される効果が得られやすくなる。
1 被取付物取付構造
10 取付クリップ
12 取付クリップ中心軸線
20 ブッシュ
22 頭部
30 脚
40 係止爪
42 頭部側係止部
42A 第1の係止部
44 脚先端側係止部
44A 第2の係止部
46 リブ
50 ロックピン
52 抜去荷重受け部
52A サイド爪
52B 荷重受け面
90 ボデーパネル
92 クリップ取付孔
94 被取付物(たとえば、カーテンエアバッグ)
94a タブ
Cfr 取付クリップの前後方向(対をなす係止爪を結ぶ方向、車両幅方向に対応)
Crl 取付クリップの左右方向(対をなす係止爪を結ぶ方向に直交する方向、車両長手方向に対応)
F 被取付物から取付クリップにかかる抜去荷重、
Fr ボデーパネルから取付クリップにかかる抜去荷重反力
Fa 抜去荷重反力の一部(ロックピンが負担する分)
Fb 抜去荷重反力の残り(脚が負担する分)

Claims (3)

  1. 被取付物をボデーパネルに取り付けるのに用いられ、
    ブッシュとロックピンからなり、
    ブッシュは、
    頭部と、
    該頭部からクリップ軸方向に延び互いに対向する一対の脚と、
    一対の脚の対向方向と直交する方向でかつ頭部の下面に平行な方向における各脚の両サイドに形成された湾曲面および該両サイドの湾曲面を連結する平坦面とを有する脚外面と、
    各脚の脚外面から外側に突出し、脚外面に沿ってクリップ軸方向に延びる、少なくとも1つのリブからなる係止爪と、
    を有する取付クリップであって、
    リブは、前記一対の脚の対向方向と直交する方向でかつ頭部の下面に平行な方向に前記各脚の両サイドに形成された湾曲面から脚の中央側に隔たった脚外面の領域に形成されており、
    各脚の係止爪は、係止爪の頭部側端部に設けられた頭部側係止部と、頭部側係止部よりも脚の先端側に隔たった部位に設けられた脚先端側係止部と、を有し、リブは頭部側係止部と脚先端側係止部との間にわたって延びており、
    被取付物から取付クリップにクリップ中心軸線から隔たった頭部部位で抜去荷重が作用した時、取付クリップは、係止爪の削れを伴ってボデーパネルに対して傾いていき、一方の脚の係止爪上にある、頭部側係止部かそれより脚先端側に位置する第1の係止部と、他方の脚の係止爪上にある、第1の係止部より脚先端側でかつ脚先端側係止部かそれより頭部側に位置する第2の係止部とで、ボデーパネルに係止する、取付クリップ。
  2. ロックピンは、被取付物から取付クリップに抜去荷重が作用した時にボデーパネルから取付クリップに作用する前記抜去荷重の反力の一部を受ける荷重受け部を有し、
    ブッシュは、ロックピンが受けた前記抜去荷重の反力の一部を受ける受圧面を有し、
    ロックピンは、ロックピンがブッシュ内に挿入された状態でブッシュの一対の脚の側面よりも一対の脚の対向方向と直交する方向でかつ頭部の下面に平行な方向に突出するサイド爪を有し、前記荷重受け部が該サイド爪からなり、
    被取付物から取付クリップにクリップ中心軸線から隔たった頭部部位で抜去荷重が作用して取付クリップが係止爪の削れを伴ってボデーパネルに対して傾いていき、第1の係止部および第2の係止部でボデーパネルに係止した時、第1の係止部はサイド爪よりも頭部側にあり、第2の係止部はサイド爪よりも脚先端側にある、請求項1記載の取付クリップ。
  3. 請求項1または請求項2記載の取付クリップを用いて、被取付物を長方形のクリップ取付孔部位にてボデーパネルに取り付ける被取付物取付構造であって、
    取付クリップは、一対の脚の対向方向と直交する方向を長方形のクリップ取付孔の長軸方向に向けてボデーパネルに組み付けられており、
    被取付物から取付クリップに抜去荷重が作用しない通常使用時には、取付クリップの中心軸線はボデーパネルに直交しており、かつボデーパネルのクリップ取付孔の縁部は平坦であり、ボデーパネルのクリップ取付孔の縁部と被取付物のタブは、ブッシュの頭部と一対の係止爪との間に位置しており、
    被取付物から取付クリップに抜去荷重が作用した時には、取付クリップはクリップ取付孔の長軸まわりに傾き、かつボデーパネルのクリップ取付孔の周縁部は抜去荷重が作用する側に突出するように塑性変形される、被取付物取付構造。
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