JP2007037703A - 車両用シートの表皮カバー取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シートに張設される表皮カバー40は、その周縁形状に沿って取付けられた掛合体20がシートに固定設置された被掛合体30に差し込み掛合されることにより張設された取付状態とされる。掛合体20は、長尺形状の概略板状部材として形成されており、表皮カバー40が取付けられる基部21と被掛合体30に差し込んで掛着することのできる掛着部22とを有する。被掛合体30は、掛着部22を差し込むことのできる差込孔31と差込孔31内に差し込まれた掛着部22を掛止することのできる掛止部32とを有する。差込孔31は、表皮カバー40の張力作用によって掛着部22が引張附勢される附勢方向に掛着部22を差込可能に形成されている。基部21は、掛着部22の差込孔31内への差し込み時には、薄肉部位21aによって撓み変形させて湾曲姿勢とすることができる。
【選択図】 図3
Description
ここで、上記被掛合体の差込孔は、表皮カバーを張設する際の引張り方向とは逆方向に向けて形成されている。したがって、掛合体は、その矢印形状の先端側部分が、引張り込んだ表皮カバーを戻し返す方向に向けられた姿勢状態で差込孔内に差し込まれて掛合されている。これにより、例えば表皮カバーの張設されたシートに乗員が着座するなどして表皮カバーに張力が作用した際にも、この張力の作用方向を掛合体を被掛合体に掛合させる差込方向に向けることができ、掛合体の脱落を防止して安定して保持することができる。
先ず、第1の発明は、車両のシートの被覆部材として張設される表皮カバーは、表皮カバーの周縁形状に沿って一体的に取付けられた掛合体が、シートの表皮カバー取付け位置に固定設置されている被掛合体に差し込み掛合されることにより張設された取付状態とされる車両用シートの表皮カバー取付構造であって、掛合体は長尺形状の概略板状部材として形成されており、その幅方向の一端側が表皮カバーが取付けられる基部として、幅方向の他端側が被掛合体に差し込んで掛着することのできる掛着部として形成されており、被掛合体は、掛合体の掛着部を差し込むことのできる差込孔と、差込孔内に差し込まれた掛着部を掛止することのできる掛止部と、を有し、被掛合体の差込孔は、張設される表皮カバーの張力作用によって掛合体の掛着部が引張附勢される附勢方向に掛着部を差込可能に形成されており、掛合体の基部には、基部を撓み変形させて湾曲姿勢とすることのできる可撓性を備えた軟質部位を有し、掛着部の差込孔内への差し込みは、基部が湾曲姿勢とされた状態で行われるものである。
この第1の発明によれば、掛合体の掛着部を被掛合体の差込孔内に差し込む際には、基部を撓み変形させて湾曲姿勢とした状態で行うことにより、表皮カバーを引張り込むべき長さが短くて済む。すなわち、表皮カバーを引張り込んで掛着部を差込孔内に差し込むべく差込方向に向けた状態では、基部が表皮カバーの張力作用によって撓み変形して湾曲する。したがって、この基部の湾曲により、表皮カバーは、上記引張方向とは逆方向(復元方向)に戻し返される。これにより、表皮カバーを引張り込むべき長さ寸法が吸収されて表皮カバーの緊張状態が緩和されるため、表皮カバーを引張り込むのに必要な力が緩和される。
この第2の発明によれば、基部が薄肉化されることにより、基部の曲げに対する抵抗が弱められると共に、曲げ方向の断面形状が細められる。
この第3の発明によれば、基部に形成された厚肉部位は、掛合体が被掛合体に差し込み掛合される掛合状態時には、差込孔の開口部近傍位置に配置されるため、掛合体と被掛合体との間の隙間寸法が補填されて縮小される。
この第4の発明によれば、掛合体は、切欠部の開口を広げる方向に押し曲げられて、表皮カバーの周縁形状に沿った形状に形作られた状態で、被掛合体に差し込み掛合される。このとき、掛合体は、切欠部によって肉抜きされているため、曲げに対する抵抗が弱められていると共に、押し曲げ時の曲率半径が小さくなっている。したがって、掛合体は、上記押し曲げ方向に湾曲し易い上に、湾曲しても肉厚部分が面外方向に座屈変形し難いため、肉厚部分が波状によれ曲がり難い。
この第5の発明によれば、掛合体は、掛着部が差込孔内に差し込まれた姿勢状態で仮固定される。このとき、基部は、湾曲した姿勢状態のまま保持される。そして、仮固定状態の掛合体は、掛着部を差込孔内に更に差し込む操作を行うことにより、被掛合体に掛合する。
先ず、第1の発明によれば、表皮カバーの取付時に、表皮カバーを引張り込むべき長さを短くすることができるため、車両用シートに表皮カバーを張設する取付作業を容易にすることができる。
更に、第2の発明によれば、軟質部位を簡単な構成とすることができると共に、表皮カバーを張設する取付作業をより簡単に行うことができる。
更に、第3の発明によれば、表皮カバーの取付部位たる掛合体と被掛合体との間のガタツキを抑えることができる。
更に、第4の発明によれば、掛合体を表皮カバーの周縁形状に沿って湾曲させ易くなる。また、掛合体を安定した湾曲姿勢状態として保持することができる。
更に、第5の発明によれば、表皮カバーの周縁形状に沿って取り付けられた掛合体を、部分的に仮固定させながら、周縁全体を均衡に掛合させていく作業を簡便に行うことができる。
以下、上記各構成部材について詳細に説明する。
詳しくは、被掛合体30は、図2に良く示されるように、その断面形状が、板状部材の端部を折り返したようなフック形状に形成されている。そして、このフック形状の内部に、掛合体20を差し込むことのできる差込孔31が形成されている。更に、差込孔31の最内部には、この差込孔31内に差し込まれた掛合体20を掛止することのできる爪形状の掛止部32が形成されている。この掛止部32は、後述する掛合体20の掛着部22を差込孔31内に向けて差し込むことにより、この掛着部22と弾性的に掛着する。この掛着により、差込孔31内に差し込まれた掛着部22を抜止可能に掛止することができる。なお、掛止部32は、被掛合体30の長尺方向に沿って連続的に形成されていても良いが、適宜間隔をおいて設けることが好ましい。これにより、掛着部22の差し込み掛着が容易となる。
また、差込孔31は、図3に良く示されるように、表皮カバー40を張設する際の引張り方向とは逆方向に向けて形成されている。換言すると、差込孔31は、張設される表皮カバー40の張力作用によって掛合体20の掛着部22が引張附勢される附勢方向に掛着部22を差込可能となるように形成されている。したがって、掛合体20は、図2に良く示されるように、引張り込んだ表皮カバー40を戻し返す方向(紙面内上方向)に向けられた姿勢状態で差込孔31内に差し込まれて掛合する。これにより、例えば、表皮カバー40に張設されたシート10(図1参照)に乗員が着座するなどして表皮カバー40に張力が作用した際にも、この張力の作用方向を、掛合体20を被掛合体30に掛合させる差込方向に向けることができ、掛合体20の脱落を防止して安定した保持状態を達成することができる。
詳しくは、掛合体20は、図2に良く示されるように、その短手方向(板厚方向)に切断した切断面形状が略矢印形状に形成されており、矢印形状の根元側(幅方向の一端側)部分が表皮カバー40に縫合されて取付けられる基部21として、矢印形状の先端側(幅方向の他端側)部分が被掛合体30に差し込んで掛着することのできる掛着部22として形成されている。
より詳しくは、前者の基部21は、その切断面形状の中央部分に板厚が薄肉化された形状の薄肉部位21aが形成されており、根元側部分に板厚が厚肉化された形状の厚肉部位21bが形成されている。更に、この厚肉部位21bの上部側位置には、表皮カバー40の周縁形状と縫合される縫合部位21cが設定されている。上記した薄肉部位21aは、他の部位と比べて薄肉に形成されており、板厚方向に撓み易い可撓性を備えた比較的軟質な構成とされている。したがって、図3の仮想線で示されるように、基部21は、薄肉部位21aによって、板厚方向に撓み変形させた湾曲姿勢とすることができる。次いで、厚肉部位21bは、図2に良く示されるように、掛合体20が被掛合体30に差し込み掛合される掛合状態時には、差込孔31の開口部31aの近傍位置に配置される。したがって、差込孔31の開口部31aの近傍位置では、掛合体20と被掛合体30との間の隙間寸法が、この厚肉部位21bによって補填されて縮小される。これにより、表皮カバー40の取付部位たる掛合体20と被掛合体30との間のガタツキが抑えられる。好ましくは、厚肉部位21bと表皮カバー40との合計の厚みを差込孔31の径寸法よりも僅かに大きくすることにより、ガタツキが良好に抑えられる。
後者の掛着部22は、上記矢印形状の頭部形状を形成しており、図2に良く示されるように、被掛合体30の差込孔31内に差し込むことにより、掛止部32と掛着する。また、掛着部22は、図3の仮想線で示されるように、差込孔31内に差し込まれて掛止部32と掛着する前の掛着前状態では、差込孔31の内周面31bに当接して係止する。詳しくは、差込孔31内に差し込まれた掛着部22は、引張り込んだ表皮カバー40の張力作用を受けて、差込孔31の内周面31bに押し当てられて係合する。したがって、掛着部22を差込孔31内に差し込んだ状態(例えば図3の仮想線で示す位置状態)でこの差し込み操作を止めても、掛着部22を差込孔31内に位置させた状態の仮固定状態として保持することができる。
ここで、掛合体20は、図1を参照して分かるように、その長尺方向の形状が表皮カバー40の周縁形状に沿って配置されるように押し曲げられた状態で、被掛合体30に差し込み掛合される。詳しくは、掛合体20は、図5に良く示されるように、切欠部23の開口を広げる方向に押し曲げられて、表皮カバー40(図4参照)の周縁形状に沿った形状、すなわち被掛合体30(図1参照)に沿った形状に形作られる。このとき、掛合体20は、切欠部23によって肉抜きされているため、他の肉抜きされていない部位と比べて、曲げに対する抵抗が弱められていると共に、押し曲げ時の曲率半径が小さくなっている。したがって、掛合体20を上記押し曲げ方向に容易に湾曲させることができる。また、掛合体20は、小さい曲率半径で湾曲するため、上記のように湾曲させても、肉厚部分の伸張変形量が小さく、例えば面外方向に座屈変形して波状によれ曲がるといったこともない。
先ず、図1に良く示されるように、表皮カバー40をシートバック11の表面側全体に被覆した状態で、この表皮カバー40の周縁形状部分をシートバック11の背裏面側、詳しくはシートバック11に固定設置されている被掛合体30のある位置に向けて引張り込む。そして、図3に良く示されるように、表皮カバー40の外側面41に取付けられている掛合体20を内側面42に向けて返し入れ(回転させ)、掛着部22を差込孔31内に差し込む。このとき、表皮カバー40には、上記引張方向とは逆方向に張力(復元力)が作用する。したがって、図3の仮想線で示されるように、掛着部22を差込孔31内に差し込む途中段階では、表皮カバー40の張力作用によって、基部21が撓み変形して湾曲する。そして、この基部21の湾曲により、表皮カバー40は、上記引張方向とは逆方向(復元方向)に戻し返される。これにより、表皮カバー40を引張り込むべき長さ寸法が吸収されて表皮カバー40の緊張状態が緩和されるため、表皮カバー40を引張り込むのに必要な力が緩和される。すなわち、表皮カバー40を、差込方向に向けられた矢印形状の掛合体20全体が被掛合体30の差込孔31内に差込可能となる位置まで引張り込んだ状態を維持することなく、基部21を湾曲させながら掛合体20を被掛合体30に差し込み掛合する(図2参照)ことができるため、かかる取付作業を容易にすることができる。
なお、図3の仮想線で示されるように、掛着部22を差込孔31内に差し込んだ状態でこの差し込み操作を止めても、掛着部22は差込孔31の内周面31bに押し当てられた状態として差込孔31に係合する。したがって、掛着部22を差込孔31内に位置させた状態の仮固定状態として保持することができるため、表皮カバー40の周縁形状に沿って取り付けられた掛合体20を、部分的に仮固定させながら、周縁全体を均衡に掛合させていくことができる。
なお、本実施例の使用方法については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
このように、本実施例の車両用シートの表皮カバー取付構造によれば、基部21に切欠部位21dを形成した簡単な構成によって、シートバック11に表皮カバー40を張設する取付作業を容易にすることができる。
例えば、表皮カバーをシートクッションやヘッドレストに張設するための取付構造として採用してもよい。
また、表皮カバーの取付部位たる掛合体や被掛合体は、表皮カバーの周縁形状に沿って連続的に形成されたものを示したが、断続的に形成されたものであってもよい。この場合には、例えば、掛合体に切欠部を形成しなくとも掛合体の長尺方向の形状を表皮カバーの周縁形状に沿って配置することができるが、部品点数が増大する。
また、掛合体の基部を湾曲姿勢とすることのできる軟質部位は、上記実施例で示したように部分的に薄肉化したり肉抜きしたりする構成以外にも、例えば別の軟質材料を多色成形等の接合手段によって一体とした構成のものであってもよい。
また、掛合体の掛着部や基部の形状は、上記実施例のものに限定されず、被掛合体に差し込み掛合可能な形状或いは表皮カバーに一体的に取付可能な形状であれば、種々の形状のものが適用可能である。また、掛合体が差込孔内に差し込む途中段階で仮固定されない構成であっても構わないが、この場合には、表皮カバーの周縁全体を均衡に掛合させていく作業が行い難くなることに留意する必要がある。
11 シートバック
20 掛合体
21 基部
21a 薄肉部位
21b 厚肉部位
21c 縫合部位
21d 切欠部位
22 掛着部
23 切欠部
30 被掛合体
31 差込孔
31a 開口部
31b 内周面
32 掛止部
40 表皮カバー
41 外側面
42 内側面
43 切れ端部分
Claims (5)
- 車両のシートの被覆部材として張設される表皮カバーは、該表皮カバーの周縁形状に沿って一体的に取付けられた掛合体が、前記シートの表皮カバー取付け位置に固定設置されている被掛合体に差し込み掛合されることにより張設された取付状態とされる車両用シートの表皮カバー取付構造であって、
前記掛合体は長尺形状の概略板状部材として形成されており、その幅方向の一端側が前記表皮カバーが取付けられる基部として、幅方向の他端側が前記被掛合体に差し込んで掛着することのできる掛着部として形成されており、
前記被掛合体は、前記掛合体の掛着部を差し込むことのできる差込孔と、該差込孔内に差し込まれた該掛着部を掛止することのできる掛止部と、を有し、
前記被掛合体の差込孔は、前記張設される表皮カバーの張力作用によって前記掛合体の掛着部が引張附勢される附勢方向に該掛着部を差込可能に形成されており、
前記掛合体の基部には、該基部を撓み変形させて湾曲姿勢とすることのできる可撓性を備えた軟質部位を有し、前記掛着部の前記差込孔内への差し込みは、前記基部が湾曲姿勢とされた状態で行われることを特徴とする車両用シートの表皮カバー取付構造。 - 請求項1に記載の車両用シートの表皮カバー取付構造であって、
前記掛合体の基部を湾曲姿勢とすることのできる軟質部位は、前記基部の肉厚が薄肉化されて形成されていることを特徴とする車両用シートの表皮カバー取付構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両用シートの表皮カバー取付構造であって、
前記掛合体の基部には、前記被掛合体の差込孔の開口部近傍位置に差し込まれる部位に、肉厚が厚肉化された厚肉部位が形成されており、
前記掛合体を前記被掛合体に掛合させた掛合状態時には、前記厚肉部位によって、前記差込孔の開口部近傍位置における前記掛合体と前記被掛合体との間の隙間寸法が縮小されることを特徴とする車両用シートの表皮カバー取付構造。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用シートの表皮カバー取付構造であって、
前記掛合体は、前記表皮カバーの周縁形状に沿って連続的或いは断続的に長尺に形成されており、前記被掛合体の差込孔内に差し込まれる先端側部位に開口を有する切欠部が形成されていることを特徴とする車両用シートの表皮カバー取付構造。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用シートの表皮カバー取付構造であって、
前記掛合体は、前記基部を湾曲姿勢として前記掛着部を前記被掛合体の差込孔内に差し込んだ状態の掛着前状態では、前記掛着部が前記差込孔に係合して脱落が防止された仮固定状態とされて前記基部が湾曲姿勢状態のままで保持され、
前記仮固定状態の掛着部を前記差込孔内に更に差し込むことにより、前記掛着部が前記掛止部に掛止されて掛着することを特徴とする車両用シートの表皮カバー取付構造。
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