しかし、特許文献1などの従来のクリップには、つぎの点で改善の余地がある。
脚には、第2の係止爪が脚に対して縦姿勢と横姿勢と傾斜姿勢の3つの姿勢をとることができる長さ以上の長さが必要となるため、脚の長さが制限される場合には、外観からクリップのボデーへの未嵌合または半嵌合を見い出す容易さが低減する。その結果、脚の長さが制限される場合には、クリップのボデーへの取付け作業が、注意深さを伴う気遣い作業となる。
本発明は、脚の長さが制限される場合であっても、クリップがボデーに正規嵌合しているか、または未嵌合または半嵌合しているかを、被取付物やクリップの外観から容易に認識でき、その結果、取付け作業が気遣い作業となりにくいクリップと、それをピラーガーニッシュのピラーへの取付けに適用したピラーガーニッシュ取付構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明のクリップとそれを用いたピラーガーニッシュ取付構造は、つぎの態様をとることができる。なお、括弧付きの符号は、図面に現れる部材番号に対応する。
本発明の第1の態様に係るクリップ(10)は、被取付物(80)をボデー孔(92)の部位にてボデー(90)に取り付けるのに用いられ、クリップ軸方向に延びるクリップ中心軸線(10a)を有する。
クリップ(10)は、クリップ軸方向に延びクリップ中心軸線(10a)を間において互いに対向し該対向する方向に弾性変形可能な一対の脚(22)と、各脚の外面に形成され正規の抜去荷重の反力に耐える抜去耐力を有する第1の係止爪(24)、および各脚の外面でかつ第1の係止爪(24)よりも脚の先端側に形成され脚に対する姿勢が一定(すなわち、脚に対する相対姿勢が不変)であり正規の抜去荷重の反力に耐える抜去耐力より大きな抜去耐力を有する第2の係止爪(26)と、を有する。
第1の態様では、クリップ(10)は、一対の脚(22)の間に配置され一対の脚(22)の対向方向と直交する面に沿って弾性変位可能なコントロールレバー(30)をさら
に有している。
コントロールレバー(30)は、負荷がかかっていない自由状態で取る初期位置(Pa)と負荷をかけて変位された変位位置(Pb)との間にわたって、一対の脚(22)の対向方向と直交する面に沿って弾性変位可能である。
第2の係止爪(26)は、コントロールレバー(30)を初期位置(Pa)と変位位置(Pb)との間に変位させることにより、ボデー孔(92)から抜去不能な状態(Sb)と抜去可能な状態(Sa)との間に切り替え可能である。
第2の態様では、第1の態様において、第1の係止爪(24)から第2の係止爪(26)までのクリップ軸方向距離は、クリップ(10)が第2の係止爪(26)でボデー(90)に係止している時におけるボデー(90)からリフトしている被取付物(80)の状態が、クリップ(10)が第1の係止爪(24)でボデー(90)に係止している時における被取付物(80)の状態から、外観より視認できる距離以上とされている。
第3の態様では、第1の態様において、コントロールレバー(30)は、自由状態で一対の脚(22)の外面から外側に突出する突出部(36)を有する。突出部(36)は、クリップ(10)をボデー孔(92)に挿入する時にボデー孔(92)の縁部に接触してコントロールレバー(30)を変位位置(Pb)に変位させ、第2の係止爪(26)がボデー孔を挿通可能な状態にする。
第4の態様では、第1の態様または第3の態様において、コントロールレバー(30)は、一対の脚(22)の対向方向と直交する方向に、一対の脚の外面から外側に延びる摘まみ部(34)を有しており、摘まみ部(34)はクリップ(10)がボデー(90)に取り付けられた時にはボデー(90)よりもアクセス可能側に位置する。
摘まみ部(34)は、クリップ抜き方向に引っ張られた時に、コントロールレバー(30)を初期位置(Pa)から変位位置(Pb)に変位させ、第2の係止爪(26)をボデー孔挿通不可能な状態(Sb)からボデー孔挿通可能な状態(Sa)に切り替え、該切り替えとクリップ(10)のボデー(90)からの抜きを1作動で行う。
第5の態様では、第1の態様において、クリップ(10)のボデー(90)への取り付けにおいてクリップ(10)が第1の係止爪(24)でボデー孔縁部に正規嵌合している時、コントロールレバー(30)が初期位置(Pa)にあり、かつ、第2の係止爪(26)がボデー孔挿通不可能な状態(Sb)にある。
第6の態様では、第1態様において、クリップ(10)のボデー(90)への取り付けにおいて第1の係止爪(24)がボデー孔縁部に半嵌合または未嵌合の状態にある時、コントロールレバー(30)が初期位置(Pa)にあり、かつ、第2の係止爪(26)がボデー孔挿通不可能な状態(Sb)にある。
第7の態様では、第1の態様、第3の態様−第6の態様の何れか1つにおいて、一対の脚(22)に、第2の係止爪(26)に抜去荷重がかかった時に初期位置(Pa)にあるコントロールレバー(30)に接触しコントロールレバー(30)が初期位置(Pa)から変位位置(Pb)に変位するのを防止する、ストッパー(40)が設けられている。
第8の態様では、第1の態様、第3の態様−第7の態様の何れか1つにおいて、クリップ(10)は座部(20)をさらに有している。一対の脚(22)とコントロールレバー(30)は座部(20)に一体に接続されている。コントロールレバー(30)の座部(20)への接続部(32)は一対の脚(22)の対向方向と直交する方向に弾性変形可能であり、コントロールレバー(30)は、座部への接続部(32)まわりに弾性的に回動変形可能である。
第9の態様では、第3の態様において、突出部(36)は、クリップ中心軸線(10a)に対して横方向に延びる弾性を有する複数の枝片(36a)からなり、枝片(36a)の先端の、クリップ中心軸線(10a)からの距離は、脚(22)の先端に近づくほど短い。
第10の態様では、第1の態様−第9の態様の何れか1つにおいて、一対の脚(22)の先端部(22a)は互いに一体に結合されている。
第11の態様では、第1の態様−第10の態様の何れか1つにおいて、クリップ(10)がピラーガーニッシュ(80)をピラー(90)に取り付けるテザークリップである。
第12の態様に係るピラーガーニッシュ取付構造(2)は、ピラーガーニッシュ(80)と、ピラー(90)と、ピラーガーニッシュ(80)をピラー(90)に取り付ける第1の態様−第11の態様の何れか1つのクリップ(10)と、からなる。
第1の態様によれば、第2の係止爪が脚に形成され第2の係止爪の脚に対する姿勢が一定のため、脚に必要とされる長さが短くて済む。その結果、脚の長さが制限される場合であっても、第1の係止爪と第2の係止爪との間に必要とされるクリップ軸方向間隔を容易に確保できる。そのため、クリップがボデーに第1の係止爪で正規嵌合している時の被取付物の状態と、クリップがボデーに第2の係止爪で嵌合している時の被取付物の状態とを、被取付物のボデーからのリフト量によって外観から容易に見分けることができる。これによって、クリップのボデーへの取付けにおける正規嵌合の信頼性が確保される。また、万一、クリップのボデーへの嵌合が未嵌合または半嵌合とされたままで使用され、使用中に第1の係止爪がボデーから外れても、第2の係止爪がボデーに係止するので、取付けにおいて、クリップがボデーに正規嵌合しているかに余り気を遣わなくてよくなり、取付け作業におけるストレスが低減する。
第1の態様によれば、コントロールレバーを操作して、コントロールレバーを初期位置と変位位置との間に変位させることにより、第2の係止爪をボデー孔から抜去不能な状態と抜去可能な状態との間に切り替え可能である。従来クリップのように第2の係止爪の姿勢を変化させる必要はない。また、クリップが、一対の脚と、一対の脚の間に配置され一対の脚の対向方向と直交する面に沿って弾性変位可能なコントロールレバーとを有するので、クリップ中心軸線に直交する方向に可動の2対の成形型(四方開きの成形型)を用いてクリップを成形することができる。クリップ軸方向に可動の型を追加して設ける必要がないので、成形が容易になり、成形型が単純になる。
第2の態様によれば、第2の係止爪の、第1の係止爪からのクリップ軸方向距離を、被取付物の外観から、クリップがボデーに正規嵌合しているか、または未嵌合または半嵌合にあるかを容易に見つけることができる距離以上としたので、取付けが正規嵌合となっていると認定された場合の信頼性が高い。
第3の態様によれば、脚のボデー孔への押し込み時に突出部がボデー孔の縁部に押されてコントロールレバーが自動的に変位位置に変位されるので、コントロールレバーを意図的に操作することなく、第2の係止爪がボデー孔を挿通可能な状態に切り替えることができる。そのため、取付けの作業性は良好である。
第4の態様によれば、サービス時に摘まみ部をクリップ抜き方向に力をかけるというワンモーションで、第2の係止爪をボデー孔挿通可能な状態に切り替える作動とクリップの
ボデーからの抜き作動を行うことができる。そのため、サービス時におけるクリップのボデーからの抜き外しが良好である。
第5の態様によれば、クリップが第1の係止爪でボデー孔縁部に正規嵌合している時、コントロールレバーが初期位置にあり、かつ、第2の係止爪がボデー孔挿通不可能な状態にある。この状態で正規の抜去荷重以上の抜去荷重がクリップにかかってボデー孔縁部が第1の係止爪をすり抜けても、第2の係止爪がボデー孔の縁部に係止し、クリップはボデーから抜け外れ不能である。
第6の態様によれば、クリップのボデーへの取り付けにおいて第1の係止爪がボデー孔縁部に半嵌合または未嵌合の状態にある時、コントロールレバーが初期位置にあり、かつ、第2の係止爪がボデー孔挿通不可能な状態にある。この状態でクリップがボデーから視認できる程度にリフトしても、第2の係止爪がボデー孔の縁部に係止し、クリップはボデーから抜け外れ不能である。
第7の態様によれば、一対の脚にストッパーが設けられているので、第2の係止爪に動的な抜去荷重反力がかかっても、コントロールレバーが初期位置から変位位置に変位するのを防止することができ、また、第2の係止爪がボデー孔から抜けるのを防止できる。これによって、クリップがボデー孔から外れるのを防止できる。
第8の態様によれば、コントロールレバーが座部への接続部まわりに回動変形するので、コントロールレバーが初期位置と変位位置との間に変位する時のコントロールレバーと第2の係止爪のクリップ軸方向変位量は小さく、脚の長さを従来クリップに比べて短くすることができる。
第9の態様によれば、突出部は、クリップ中心軸線に対して横方向に延びる弾性を有する複数の枝片からなり、枝片の先端の、クリップ中心軸線からの距離は、脚の先端に近づくほど短い。そのため、脚のボデー孔への挿入時に、ボデー孔縁部が、接触した枝片を上方に変形させ、かつ、接触部が下側の枝片から上側の枝片に順次移動していき、枝片のボデー孔縁部との接触面の傾斜角度がクリップ軸直角方向からクリップ軸方向に向かってスムースに変わっていく。その結果、低い挿入荷重でコントロールレバーの十分な回転力が得られ、コントロールレバーを、座部への接続部まわりに回動させて変位位置に変位させることができる。
第10の態様によれば、一対の脚の先端部は互いに一体に結合されているので、脚のボデー孔への挿入時に脚の先端部が孔の縁に引っ掛かりにくい。挿入作業が容易になる。
第11の態様によれば、ピラーガーニッシュの外れ防止をテザークリップで実現でき、かつ脚の長さを短くできる。
第12の態様によれば、脚の長さに制限がある場合でも、ピラーからのピラーガーニッシュの外れを防止できる。また、ピラーガーニッシュの外れ防止を維持したまま、脚の長さを短くことができる。脚の長さを短くした場合は、ピラーの断面における内板(ボデー孔があるパネル)とその外側の外板との距離を小さくでき、乗員からの視野がピラーによって狭められにくくなる。
本発明の一実施例に係るクリップ10とそれを用いたピラーガーニッシュ取付構造2とを、図1−図10を参照して説明する。図中、「FR」は車両前後方向における前側を示し、「IN」は車両左右方向における内側(車室側)を示す。
図示例のクリップ10は、被取付物80であるピラーガーニッシュを車両ボデーであるピラー90に、ピラー90に形成したボデー孔92の部位にて、取り付けるのに用いるテザークリップ(クリップと同じ部材であるため、テザークリップの符号も10とする)である。しかし、クリップ10はテザークリップに限るものではなく、CSAを車両ボデーに取り付けるのに用いるCSA取付クリップや、バンパーカバー取付クリップ等、衝突時には外れず、サービス時には容易に外れることが望まれるクリップに適用することができる。クリップ10とピラーガーニッシュ取付構造2とは主要部が同じである。以下では、被取付物80がピラーガーニッシュであり、クリップ10がテザークリップ(単に、クリップともいう)である場合を、例にとって説明する。
クリップ10は可撓性を有する樹脂材からなる。樹脂材は、たとえばポリヘキサメチレンアジポアミドである。ただし、可撓性を有し必要な強度をもつ樹脂材であれば、それ以
外の樹脂材であってもよい。ピラーガーニッシュ80は、クリップ10と同じかそれより硬質の樹脂材からなる。ピラー90は鋼板からなる。ピラーガーニッシュ80とピラー90との間には、CSA88が配置される。
まず、クリップ10とピラーガーニッシュ取付構造2の構造を説明する。
図1−図2に示すように、クリップ10は、クリップ軸方向に延びるクリップ中心軸線10aを有する。クリップ10は、クリップ中心軸線10aに直交する長方形状の座部20と、座部20に接続され座部20から離れる方向に延びる一対の脚22と、を有する。以下、順に説明する。
一対の脚22は、クリップ軸方向に延び、クリップ中心軸線10aを間において互いに対向し、該対向する方向に弾性変形可能である。クリップ10は、各脚22の外面に形成された第1の係止爪24と、各脚22の外面でかつ第1の係止爪24よりも脚の先端側(脚22をボデー孔92に挿入する時における、挿入の奥側)に形成された第2の係止爪26と、を有する。第1の係止爪24は、正規の抜去荷重の反力に耐える抜去耐力を有する。第2の係止爪26は、脚22に対する姿勢が一定であり(すなわち、脚22に対する相対姿勢が不変であり)、正規の抜去荷重の反力に耐える抜去耐力より大きな抜去耐力を有する。「正規の抜去荷重の反力に耐える抜去耐力」とは、クリップ10がボデー90に正規に取り付けられ、第1の係止爪24でボデー孔92の縁部に係止している時に、ボデー孔92の縁部からクリップ10の第1の係止爪24にかかる正規の抜去荷重の反力に耐える抜去耐力である。また、「正規の抜去荷重の反力に耐える抜去耐力より大きな抜去耐力」とは、CSA展開時にクリップ10が第2の係止爪26でボデー孔92の縁部に係止する時に、ボデー孔92の縁部からクリップ10の第2の係止爪26にかかる、CSAからの抜去荷重の反力に耐える抜去耐力である。
図4のBおよび図8のBに示すように、脚22はクリップ中心軸線10aから離れる方向に膨出し、クリップ軸方向に離れた上下2段の、ひょうたん形の膨出部を有する。下側の膨出部の膨出量は、上側の膨出部の膨出量より大である。上側の膨出部の座部対向面の、クリップ10のボデー90への取り付け完了時にボデー孔92の縁部に当たる部分に(図4のB)、第1の係止爪24が形成されている。下側の膨出部の座部対向面の、第1の係止爪24がボデー90から外れた時にボデー孔92の縁部に当たってクリップ10のボデー90からの抜け外れを阻止する部分に(図8のB)、第2の係止爪26が形成されている。
第1の係止爪24から第2の係止爪26までのクリップ軸方向距離は、クリップ10が第2の係止爪26でボデー90に係止している時の被取付物(たとえば、ピラーガーニッシュ)80のボデー90からのリフト状態が、クリップ10が第1の係止爪24でボデー90に係止している時の被取付物80の状態から、被取付物80の外観から認識できる距離以上とされている。リフト状態における被取付物80のリフト量は、図4のBにおける実線のボデー90の下面と二点鎖線のボデーの下面との間の距離dである。また、「被取付物80の外観から認識できる」とした理由は、クリップ10を組み付けたピラーガーニッシュ80をボデー90に取り付けた時にはクリップ10がピラーガーニッシュ80で覆われており、クリップ10が見えないからである。クリップ10が外観から見える場合には、「被取付物80の外観から認識できる」は、「クリップ10の外観から認識できる」としてもよい。
クリップ10は、第2の係止爪26が設けられているにもかかわらず、ボデー90のボデー孔92への挿入またはボデー孔92からの抜去を可能にするために、一対の脚22の間に配置され一対の脚22の対向方向と直交する面に沿って弾性変位可能なコントロールレバー30をさらに有している。
コントロールレバー30には、凸部38が形成されており、第2の係止爪26が形成されている脚22の膨出部の内面には、凹部28が形成されている。凸部38は、コントロールレバー30がコントロールレバー30に負荷がかかっていない自由状態にある時に第2の係止爪26が形成されている脚22の膨出部の内面に対向する部位に形成されている。凸部38は、コントロールレバー30の表面から、脚22の膨出部の内面に向かって突出している。凹部28は、コントロールレバー30が負荷をかけられて変位した時に凸部38に対向する脚22の内面に形成されている。凹部28は、一対の脚22が互いに接近する方向に移動されてコントロールレバー30に接触した時に、凸部38の先端と干渉しないように凸部38を受け入れることができる深さを有している。
コントロールレバー30の座部20への接続部32は、一対の脚22の対向方向と直交する方向における厚さを薄くされており、したがって、一対の脚22の対向方向と直交する方向に座部への接続部32まわりに弾性変形可能である。これにより、コントロールレバー30の凸部38と脚22の凹部28の位置を、一対の脚22の対向方向と直交方向に相対的に変化させることができる。
コントロールレバー30は、コントロールレバー30に負荷がかかっていない自由状態で取る初期位置Pa(図4のDにおけるコントロールレバー30の位置)と負荷をかけて変位された変位位置Pb(図6のDにおけるコントロールレバー30の位置)との間にわたって、一対の脚22の対向方向と直交する面に沿って弾性変位可能である。CSA展開時には、コントロールレバー30が初期位置Paにあるままの状態で、一対の第2の係止爪26が互いに近づく方向にボデー孔92の縁部で押されて一対の脚22が互いに近づく方向に変位され、一対の脚22の内面がコントロールレバー30の凸部38に接触する。(図8のD)。
第2の係止爪26は、コントロールレバー30を初期位置Paと変位位置Pbとの間に変位させることにより、ボデー孔92から抜去不能な状態Sb(図4の状態、および図8の状態)と抜去可能な状態Sa(図6の状態)との間に切り替え可能である。第2の係止爪26がボデー孔92から抜去不能な状態Sbにある時には、一対の第2の係止爪26の外面間距離は丸孔からなるボデー孔92の直径より大であり、第2の係止爪26がボデー孔92から抜去可能な状態Saにある時には、一対の第2の係止爪26の外面間距離はボデー孔92の直径以下である。
図1−図3に示すように、コントロールレバー30は、自由状態で一対の脚22の外面から外側に突出する突出部36を有する。図5−図6に示すように、クリップ10をボデー孔92に挿入する時には、突出部36がボデー孔92の縁部に接触してコントロールレバー30を変位位置Pbに変位させ、第2の係止爪26を、ボデー孔92を挿通可能な状態Saにする。
突出部36は、クリップ中心軸線10aに対して横方向に延びる弾性を有する複数の枝片36aからなる。枝片36aはスリット36bが設けられることにより各枝片36aは上下方向に弾性的に撓むことができるようになっている。クリップ10をボデー孔92に挿入する時に各枝片36aが順次ボデー孔92の縁部に接触して上方に撓んで接触面が斜めになり、これによって、コントロールレバー30に座部20との接続部32まわりのモーメントを与えることができる。クリップ中心軸線10aから枝片36aの先端までの距離は、脚22の先端に近い枝片36aほど短い。これによって、枝片36aが順次撓んでいく時に、突出部36のボデー孔92の縁部との接触面が上方に滑らかに湾曲する湾曲面となり、座部20との接続部32まわりに、クリップ10のボデー孔92への挿入量が大きくなるにしたがって次第に大きくなるモーメントを与えることができる。そのため、ク
リップ10のボデー孔92への挿入時におけるコントロールレバー30の回転変位がスムースになる。
図2−図3に示すように、コントロールレバー30は、一対の脚22の対向方向と直交する方向に、一対の脚の外面から外側に延びる摘まみ部34を有しており、摘まみ部34はクリップ10がボデー90に取り付けられた時にはボデー90よりもアクセス可能側(図4のAにおいて、ボデー90よりも上側)に位置する。摘まみ部34にアクセスする時には、ピラーガーニッシュ80をボデー90からリフトさせ、ピラーガーニッシュ80とボデー90との間の隙間から指や工具、たとえばドライバを差し込むことにより行う。
図5−図6に示すように、摘まみ部34は、クリップ抜き方向(図4のAで上方)に引っ張られた時に、コントロールレバー30を初期位置Paから変位位置Pbに変位させる。これによって、摘まみ部34は、コントロールレバー30の凸部38を、脚22の内側面のうち凹部28とストッパー40以外の部分22bに対向する位置から、脚22の凹部28に対向する位置まで、一対の脚22の対向方向と直交方向に変位させて、第2の係止爪26をボデー孔挿通不可能な状態Sbからボデー孔挿通可能な状態Saに切り替える。この場合、第2の係止爪26の切り替えとクリップ10のボデー90からの抜きを、図4のAで上方に向かう力で行えることを利用して、1動作で行う。
クリップ10のボデー90への取り付けにおいてクリップ10が第1の係止爪24でボデー孔92の縁部に正規嵌合している時には、図4に示すように、コントロールレバー30が初期位置Paにあり、かつ、第2の係止爪26がボデー孔挿通不可能な状態Sbにある。
クリップ10のボデー90への取り付けにおいて第1の係止爪24がボデー孔92の縁部に半嵌合または未嵌合の状態にある時には、図4に示すように、正規嵌合の時と同様に、コントロールレバー30が初期位置Paにあり、かつ、第2の係止爪26がボデー孔挿通不可能な状態Sbにある。したがって、半嵌合または未嵌合の状態にある第1の係止爪24が車両の振動などによりボデー孔92の縁部から外れても、第2の係止爪26がボデー孔92の縁部に掛かり、クリップ10およびピラーガーニッシュ80のボデー90からの抜け外れを防止する。
クリップ10のボデー90への取り付けにおいてクリップ10が第1の係止爪24でボデー孔92の縁部に正規嵌合または未嵌合、半嵌合している状態で、車両の側面衝突やロールオーバが生じてCSA88の展開荷重がクリップ10にかかった時には、図8に示すように、コントロールレバー30が初期位置Paにあり、かつ、第2の係止爪26がボデー孔挿通不可能な状態Sbにある。
CSA88の展開荷重がクリップ10にかかった時などにおいても、第2の係止爪26がボデー孔92の縁部から抜けないようにするために、図8に示すように、一対の脚22の対向面に、第2の係止爪26に抜去荷重反力がかかった時に初期位置Paにあるコントロールレバー30に接触し、コントロールレバー30が初期位置Paから変位位置Pbに変位するのを防止する、ストッパー40が設けられている。ストッパー40は、一方の脚22の対向面から他方の脚22の対向面に向かって突出している。ストッパー40は、一方の脚22の対向面(内側面)のうち、部分22bと凹部28との間に設けられる。すなわち、ストッパー40は、初期位置Paにあるコントロールレバー30の凸部38の位置と、変位位置Pbにあるコントロールレバー30の凸部38の位置と、の間にある脚22の対向面部位に、設けられる。
図4のB、Cに示すように、および図6のBで細線にて示すように、一対の脚22の先
端部22aは互いに一体に結合されていることが望ましい。ただし、図6のCで実線にて示すように、および図8のB、Cに示すように、一対の脚22の先端部を互い違いにすることにより互いに干渉しないようにした場合は、一対の脚22の先端部22aは互いに一体に結合されていなくてもよい。
クリップ10がピラーガーニッシュ80をピラー90に取り付けるテザークリップである場合、クリップ10は、さらに、座部20に接続され脚22と反対側に立ち上がるテザー50と、座部20に接続されテザー50と同じ側に座部20から立ち上がる一対の係合保持部60と、座部20に一体にまたは別体にかつ脚22と同じ側に設けられるぐらつき抑制弾性片70と、を有する。テザー50は先端にアンカー54を有する。各係合保持部60は、座部20から立ち上がる立ち上がり部60aと、立ち上がり部60aに接続し立ち上がり部60aよりも外側に膨出する膨出部60bとを有する。係合保持部60は、弾性変形可能なように、中空状に形成されている。
図9−図10に示すように、ピラーガーニッシュ80は、本体壁82とテザー収納部84を有する。テザー収納部84は、長方形の底壁84aと長方形の底壁84aの3辺と本体壁82とを連結する側壁84bを有する。長方形の底壁84aの残りの1辺には側壁84bが設けられておらず開口しており、テザー収納部84の内部空間はピラーガーニッシュ80の長手方向後側に開口している。
クリップ10は、ピラーガーニッシュ80のテザー収納部84の底壁84aに設けられた長方形のガーニッシュ孔86の部位にてピラーガーニッシュ80に組付けられる。この場合、ガーニッシュ孔86の長手方向は、ピラーガーニッシュ80の長手方向に向けられている。また、アンカー54とそれに続くテザー部分はテザー収納部84の開口を通してテザー収納部84の内部空間から外側に出ている。これによって、CSA展開時にピラーガーニッシュ80とピラー90との間に十分な隙間を形成し得るテザー50の長さが確保されている。クリップ10が組付けられたピラーガーニッシュ80は、ピラーガーニッシュ80の長手方向をピラー90の長手方向に向けて、ピラー90に設けたクリップ取付孔92の部位にて、ピラー90に取り付けられる。
クリップ10がピラーガーニッシュ80に組付けられた状態では、テザー収納部84の底壁84aにおけるガーニッシュ孔86の縁部が係合保持部60の膨出部60bと座部20との間に保持される。クリップ10が組付けられたピラーガーニッシュ80がピラー90に取り付けられた状態では、ピラー90のボデー孔92の縁部がぐらつき抑制弾性片70と一対の脚22のそれぞれに設けた第1の係止爪24との間に保持される。
図10に示すように、車両の側面衝突時やロールオーバ時にはCSA88が短時間に膨張展開し、CSA88からの荷重を受けてピラーガーニッシュ80がピラー90から離れる方向に移動する。この時、ガーニッシュ孔86の縁部が係合保持部60の立ち上がり部60aから膨出部60b側に移動し、膨出部60bを弾性変形させて膨出部60bを通り抜け、ピラーガーニッシュ80がアンカー54に当たるまでテザー50が伸展し、ピラーガーニッシュ80とピラー90との間にCSA88が膨張展開し得る間隙が形成される。また、クリップ10は、ピラーガーニッシュ80がアンカー54に当たった状態以上にピラーガーニッシュ80がピラー90から離れる方向に移動することを止め、ピラーガーニッシュ80の車室方向への飛散を抑制する。
図1−図2に示すように、テザー50は、座部20に接続される根本部50aと、アンカー54に接続される先端部50cと、根本部50aおよび先端部50cの間にわたって延びる中間部50bと、を有する。テザー50は、座部20と直交する一面に沿って延びるテザー長手方向を有し、テザー50の全長の少なくとも一部は上記一面に沿って湾曲さ
れている。
座部20からテザー50の形状に沿って隔たった任意のテザー部位における、テザー50の接線方向と直交する面で切断して見たテザー断面の形状は、細長断面である。
また、根本部50aと中間部50bにおけるテザー断面の形状は、先端部50cにおけるテザー断面の形状よりも幅広で薄厚の帯状とされている。
根本部50aおよび中間部50bにおける細長テザー断面の長辺の長さは、長方形状のガーニッシュ孔86の短辺の長さより長い。そのため、テザー断面の長軸の延び方向をガーニッシュ孔86の短辺の延び方向に向けると、テザー50をガーニッシュ孔86内に配置できなくなる。
テザー50をガーニッシュ孔86内に配置するために、図1に示すように、根本部50aおよび中間部50bにおけるテザー断面の長軸の延び方向は、ガーニッシュ孔86の長軸と直交する方向(ガーニッシュ孔86の短辺が延びる方向)から所定角度だけ傾けられている。したがって、テザー50は、テザー50の断面の中心まわりに捩じられている。テザー50はテザー50が沿って延びる平面と平行な方向に湾曲されると共に、テザー50の断面中心まわりに捩じられている。すなわち、テザー50には曲げと捩じりがある。従来のテザークリップのテザーは曲げだけで、捩じられてはいない。なお、テザー50の根本部50aにおけるテザー断面の長軸の延び方向の、ガーニッシュ孔86の長軸と直交する方向からの傾き角度は、望ましくは、40度±20度の範囲にある。
テザー50の先端部50cにおけるテザー断面の長辺の長さは、ガーニッシュ孔86の短辺の長さより短い。これによって、クリップ10のピラーガーニッシュ80への組み付けが可能になる。組み付けにおいては、アンカー54の長手方向をガーニッシュ孔86の長軸の延び方向に向け、アンカー54をガーニッシュ孔86に挿通させ、アンカー54をテザー収納部84内に入れると共にテザー50の先端部50cをガーニッシュ孔86内に位置させる。この状態ではテザー50の先端部50cはガーニッシュ孔86内で回転可能であるから、アンカー54を90度回転させる。ついで、テザー50をテザー収納部84内に挿入していき、係合保持部60と座部20との間にガーニッシュ孔86の縁部を保持した状態で組み付けが完了する。この状態では、アンカー54がテザー収納部開口からテザー収納部84の外側に出ている。
テザー50の中間部50bにおけるテザー先端部50c側の端部には、アンカー54の延び方向(アンカー54の長手方向)に平行な方向と直交する方向に突出する一対の案内板52が設けられている。一対の案内板52は、テザー20の中間部50bを挟んで(間において)、ほぼ対称に設けられている。
アンカー54には、アンカー54からテザー先端部50cを間においてテザー先端部50cの両側空間に延びる一対のアンカー弾性片56が接続されている。アンカー弾性片56はアンカー長手方向と直交方向に延びる。アンカー弾性片56はテザー50の案内板52と同じ平面に沿って延びる。アンカー弾性片56と案内板52とは、互いに離れて、互いに対向している。
ぐらつき抑制弾性片70は、クリップ10の脚22をピラー90のボデー孔92に挿入してクリップ10がピラー90に取り付けられた時に、ピラー90のボデー孔92の縁部を第1の係止爪24とぐらつき抑制弾性片70とで弾性的に挟み込んで、クリップ10のピラー90に対するぐらつきを抑制するものである。ぐらつき抑制弾性片70によってクリップ10のぐらつきを抑制したい方向は、とくにテザー長手方向と直交する面に沿う方向の回転である。
ぐらつき抑制弾性片70は、クリップ中心軸線10aから離れた部位で、座部20に一体に接続されている。ぐらつき抑制弾性片70は、ぐらつき抑制弾性片70の自由状態(ぐらつき抑制弾性片70に荷重がかかっていない状態)で、座部20にほぼ垂直にピラー90に向かって直線状または湾曲状に延びる軸方向部70aを有している。
ぐらつき抑制弾性片70は、先端側の端部に、クリップ10をテザー長手方向と直交方向に見た時に、軸方向部70aから湾曲されついでぐらつき抑制弾性片70の自由状態で座部20と平行に延びる曲がり部70bを有していてもよい。
座部20は、クリップ中心軸線10aと直交する面に沿う方向に長方形状に形成されている。座部20の長方形の一辺はテザー長手方向に向けられている。ぐらつき抑制弾性片70は、座部20の下側座面の長方形状の四隅に設けられている。
ぐらつき抑制弾性片70の軸方向部70aは、ぐらつき抑制弾性片70の自由状態で、テザークリップ10をテザー長手方向に見た時に、座部20に完全に垂直に延びる。また、ぐらつき抑制弾性片70の軸方向部70aは、ぐらつき抑制弾性片70の自由状態で、クリップ10をテザー長手方向と直交方向に見た時に、座部20に完全に垂直な方向からクリップ中央側に0度−15度(0度より大で15度以下)の範囲にある所定角度で傾けられていてもよい。
ピラーガーニッシュ取付構造2は、ピラーガーニッシュ80と、ピラー90と、ピラーガーニッシュ80をピラー90に取り付けるクリップ10と、からなる。
組み付けの手順と、クリップ10およびピラーガーニッシュ取付構造2の作動は、つぎのとおりである。
まず、クリップ10をピラーガーニッシュ80に組み付ける。ついで、クリップ10が組付けられたピラーガーニッシュ80を、脚22をボデー孔92に押し込むことにより、ピラー90に取り付ける。取り付け完了時には、第1の係止爪24がボデー孔92の縁部に掛かり、第2の係止爪26はボデー90より挿入方向奥側に位置しておりボデー孔92の縁部に掛かっていない。この時、コントロールレバー30は初期位置Paにあり、第2の係止爪26はボデー孔挿通不可能な状態Sbにある。この状態が図3−図4の状態である。取り付け完了時において、第1の係止爪24がボデー孔92の縁部に未嵌合あるいは半嵌合の状態にあると、使用中に第1の係止爪24がボデー孔92の縁部から外れるかもしれない。しかし、たとえ外れても、コントロールレバー30が初期位置Paにあり、第2の係止爪26がボデー孔挿通不可能な状態Sbにあるため、第2の係止爪26がボデー孔縁部に係止し、クリップ10がボデー孔92から外れることが防止される。
脚22のボデー孔92への挿入時には、コントロールレバー30の突出部36がボデー孔92の縁部によってクリップ中心軸線10a側に押されてコントロールレバー30が変位位置Pbに変位され、これによって、第2の係止爪26がボデー孔挿通可能な状態Saに切り替えられる。この状態で、脚22をボデー孔92に押し込むと、一対の脚22がボデー孔92の縁部によってクリップ中心軸線10a側に押され、第2の係止爪26がボデー孔92を通り抜け、ついで第1の係止爪24がボデー孔92を通り抜ける。挿入時の状態が図5−図6の状態である。第1の係止爪24がボデー孔92を通り抜けた時には、コントロールレバー30は初期位置Paに復帰しており、一対の脚22も弾性によって元の位置に復帰しており、図3−図4の状態となる。
サービス時などにおいて、クリップ10をピラーガーニッシュ80ごとピラー90から抜去する時は、ピラーガーニッシュ80に抜去力をかけてピラーガーニッシュ80をピラ
ー90とクリップ10からリフトさせる。この時、ガーニッシュ孔86の縁部が係合保持部60の膨出部60bを変形させて膨出部60bを通り抜ける。ついで、ピラーガーニッシュ80とピラー90との間隙から指か工具(たとえば、ドライバ)を挿入して、摘まみ部34を上方に持ち上げる。コントロールレバー30が変位位置Pbに変位され、それと同時にクリップ10に抜去力がかかり一対の脚22がボデー孔92で押されて第2の係止爪26がボデー孔挿通可能な状態Saとなる。この状態が図5−図6の状態である。摘まみ部34の持ち上げとクリップ10の抜去が同じ方向のため、1つの動作(ワンモーション)で行われる。
車両の側面衝突時やロールオーバ時には、図10に示すように、CSA88が膨張展開され、ピラーガーニッシュ80にピラー90から離れる方向の荷重がかかり、ピラーガーニッシュ80とピラー90との間に間隙が形成され、その間隙を通してCSA88が膨張展開する。この時、ピラーガーニッシュ80からクリップ10に抜去力がかかる。この抜去力は非常に大きいため、第1の係止爪24のボデー孔縁部との係合が外れ、第2の係止爪26がボデー孔92の縁部に係止する。この時、コントロールレバー30が初期位置Paにあり、第2の係止爪26がボデー孔挿通不可能な状態Sbにあるため、クリップ10がボデー孔92から外れることが防止される。したがって、ピラーガーニッシュ80がピラー90から外れて車室内に飛散することはない。この状態が図7−図8の状態である。この状態では、図8のDに示すように、ストッパー40がコントロールレバー30の凸部38の、脚22の凹部28側への移動を阻止しているので、コントロールレバー30が誤って変位位置Pbに変位されることはない。
つぎに、クリップ10およびピラーガーニッシュ取付構造2の効果は、つぎのとおりである。
第2の係止爪26が脚22に形成され第2の係止爪26の脚22に対する姿勢が一定のため、第2の係止爪が傾斜姿勢、縦姿勢、横姿勢間に変化していた従来クリップよりも、第2の係止爪26が必要姿勢をとりかつ第1の係止爪24と第2の係止爪26との間に必要な間隔を確保するために脚22に必要とされる長さが短くて済む。その結果、周りのスペース等から脚22の長さが制限される場合であっても、第1の係止爪24と第2の係止爪26との間に必要とされるクリップ軸方向間隔を容易に確保できる。第1の係止爪24と第2の係止爪26との間に必要とされるクリップ軸方向間隔を確保することにより、クリップ10がボデー90に第1の係止爪24で正規嵌合している時の被取付物80の状態と、クリップ10がボデー90に第2の係止爪26で嵌合している時の被取付物80の状態とを、被取付物80のボデー90からのリフト量によって外観から容易に見分けることができる。その結果、クリップ10のボデー90への取付けにおける正規嵌合の信頼性が確保される。
クリップ10のボデー90への嵌合が未嵌合または半嵌合であることが発見された場合は、被取付物80をボデー90に対してさらに強く押してクリップ10の脚22をボデー孔92に一層奥に押し込むことにより、クリップ10をボデー90に正規嵌合させることができる。
また、万一、クリップ10のボデー90への嵌合が未嵌合または半嵌合とされたままで使用され、使用中に第1の係止爪24がボデー90から外れても、第2の係止爪26がボデー90に係止するので、被取付物80のボデー90からの外れを防止できる。そのため、取付けにおいて、クリップ10がボデー90に正規嵌合しているか、または未嵌合または半嵌合にあるかに余り気を遣わなくてよくなり、取付け作業におけるストレスが低減する。
第2の係止爪26の第1の係止爪24からのクリップ軸方向距離を、被取付物80の外観から、クリップ10がボデー90に正規嵌合しているか、または未嵌合または半嵌合にあるかを容易に見つけることができる距離以上としたので、取付けが正規嵌合となっていると認定された場合の信頼性は高い。
クリップ10がコントロールレバー30を有するので、コントロールレバー30を操作して、コントロールレバー30を初期位置Paと変位位置Pbとの間に変位させるだけで、第2の係止爪26をボデー孔92から抜去不能な状態Sbと抜去可能な状態Saとの間に切り替え可能である。従来のように第2の係止爪の姿勢を変化させる必要はない。
クリップ10が、一対の脚22と、一対の脚22の間に配置され一対の脚22の対向方向と直交する面に沿って弾性変位可能としたコントロールレバー30とを有するので、クリップ10を、クリップ中心軸線10aに直交する方向に可動の2対の成形型を用いて四方開きの成形が可能である。そのため、従来のようにクリップ軸方向に可動の型を追加して設ける必要がないので、成形が容易になり、成形型が単純になる。
コントロールレバー30に脚22の外面から外側に突出する突出部36が設けられているので、脚22のボデー孔92への押し込み時には、突出部36がボデー孔92の縁部に押される。それによって、コントロールレバー30にモーメントがかかり、コントロールレバー30が座部20への接続部32まわりに回動されて自動的に変位位置Pbに変位される。また、コントロールレバー30を意図的に操作することなく、第2の係止爪26を、ボデー孔92に挿通可能な状態に切り替えることができる。そのため、取付けの作業性は良好である。
コントロールレバー30に摘まみ部34が設けられているので、サービス時には、摘まみ部34にクリップ抜き方向の力をかけるだけで、コントロールレバー30を変位位置Pbに変位させることができる。この場合、コントロールレバー30を変位位置Pbに変位させ、第2の係止爪26をボデー孔挿通可能な状態Saに切り替える動作と、クリップ10のボデー90からの抜き動作とを、ワンモーションで行うことができる。そのため、サービス時におけるクリップ10のボデー90からの抜き外しは良好である。
一対の脚22にストッパー40が設けられているので、CSA88の展開時において第2の係止爪26に動的な抜去荷重反力がかかっても、コントロールレバー30が初期位置Paから変位位置Pbに変位するのを防止することができる。これによって、CSA88の展開時に、第2の係止爪26がボデー孔92から抜けるのを防止でき、クリップ10がボデー孔92から外れるのを防止できる。
コントロールレバー30が座部20への接続部32まわりに回動変形するので、コントロールレバー30が初期位置Paと変位位置Pbとの間に変位する時のコントロールレバー30と第2の係止爪26のクリップ軸方向変位量は小さい。そのため、脚22の長さを従来に比べて短くすることができる。
突出部36が複数の枝片36aからなり、クリップ中心軸線10aから枝片36aの先端までの距離は、脚22の先端に近づくほど短いので、脚22のボデー孔92への挿入時に、ボデー孔92の縁部が、枝片36aを上方に変形させ、かつ、接触部が下側の枝片36aから上側の枝片36aに順次移動していく。この時、枝片36aにおけるボデー孔92の縁部との接触面の傾斜角度がクリップ軸直角方向からクリップ軸方向に向かってスムースに変わっていく。その結果、低い挿入荷重でコントロールレバー30の十分な回転力が得られ、コントロールレバー30を、座部20への接続部32まわりに回動させて変位位置Pbに変位させることができる。
一対の脚22の先端部22aが互いに一体に結合されている場合は、脚22のボデー孔92への挿入時に脚22の先端部22aが孔92の縁に引っ掛かりにくい。そのため、挿入作業が容易になる。
ピラーガーニッシュ取付構造2において、上記のクリップ10を用いているので、脚22の長さに制限がある場合でも、ピラー90からのピラーガーニッシュ80の外れを防止できる。また、ピラーガーニッシュ80の外れ防止を維持したまま、脚22の長さを短くことができる。脚22の長さを短くした場合は、ピラー90の断面における内板(ボデー孔があるパネル)とその外側の外板との距離を小さくでき、乗員からの視野がピラー90によって狭められにくくなる。