JP6647930B2 - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電動モータの出力軸と車輪用軸受とを減速機を介して連結したインホイールモータ駆動装置に関する。
インホイールモータ駆動装置では、減速機を使用することにより、モータを小型化してインホイールモータ駆動装置全体としての小型軽量化、及びばね下重量の軽減を図ることができる。これは、モータの出力トルクがモータのサイズ及び重量に比例するため、モータだけで車両の駆動に必要なトルクを発生させようとすると、大型のモータが必要になるところ、減速機を利用することで減少するモータの重量及び体積が減速機のそれらを上回るためである。
インホイールモータ駆動装置の小型軽量化により、車両の軽量化を達成できるだけでなく、内燃機関車両と車体を兼用した場合の既存懸架装置の流用により、サスペンション特性や転舵特性の変化を排除し、車両の乗り心地の悪化を防止することができる。しかしながら、例えば特開2015−73370号公報(特許文献1)に開示されるインホイールモータ駆動装置のように、減速機の出力軸の延長線方向に車輪用軸受を配置した場合、インホイールモータ駆動装置全体の軸方向寸法が長くなり、既存の懸架装置と干渉するおそれがある。そのため、懸架装置の設計変更が必要となり、サスペンション特性や転舵特性が悪化するおそれがある。
特開2015−73370号公報
以上の対策として、外輪回転タイプの車輪用軸受を使用してその外径側に減速機を配置し、減速機の出力軸を軸受外輪に外嵌して両者をスプラインにより結合することが考えられる。これにより、インホイールモータ駆動装置の軸方向長さを短縮することができるため、上記の不具合を解消することができる。
その一方で、外輪回転タイプの車輪用軸受では、旋回荷重や上下方向の荷重が作用した際に軸受外輪が傾く。この時、仮に出力軸のスプラインと軸受外輪のスプラインが締まり嵌めの状態(圧入状態)にあると、出力軸と軸受外輪が一体化されるため、軸受外輪の傾きによって減速機の出力軸も傾く。そのため、減速機内でギヤの歯面同士が線当たりし、減速機の耐久性が低下するおそれがある。
以上の問題を回避するためには、出力軸のスプラインと軸受外輪のスプライン嵌合部をすきま嵌めにするのが好ましい。これにより、出力軸に対する軸受外輪の相対的な傾きが許容され、軸受外輪の傾きの一部がスプライン歯面同士の摺動で吸収されるため、出力軸の傾きを抑制して減速機の耐久性を向上させることができる。この場合、スプラインの歯面同士が頻繁に微小摺動することによる振動の増加、スプライン嵌合部の異常摩耗、あるいは発熱が懸念されるため、その対策としてスプライン嵌合部の歯面間にグリースを介在させる必要がある。
スプライン嵌合部の歯面間にグリースを介在させてグリース潤滑を行うためには、スプライン嵌合部からのグリース漏れを如何にして回避するかが問題となる。軸受外輪と出力軸は共に回転部材であるため、両部材間でのシールとしては、例えばOリングを使用することがコスト的にも有利となるが、かかる構成では、軸受外輪を出力軸内周へ挿入する際に、軸受外輪の外周溝に装着したインボード側Oリングが雌スプラインと干渉するおそれがあり、スプライン嵌合部のインボード側でのシール性を保証することが難しくなる。
そこで、本発明は、外輪回転タイプの車輪用軸受を使用してスプライン嵌合部でグリース潤滑を行う際の簡易なシール構造を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、モータと、ハウジング内に収容され、前記モータの回転を減速して出力する減速機と、複列のアウタレースを有する外方部材、複列のインナレースを有する内方部材、およびアウタレースとインナレースの間に配置した複列の転動体を有する車輪用軸受とを有し、減速機の出力軸を車輪用軸受の外方部材に外嵌し、出力軸と外方部材の間でスプラインを介してトルク伝達を行い、かつ出力軸と外方部材間のスプライン嵌合部にグリースを介在させたインホイールモータ駆動装置において、前記スプライン嵌合部のインボード側端部に通じるグリース充填空間を形成し、該グリース充填空間を区画する部材のうち、出力軸と静止部材の間にシール部材を配置したことを特徴とする。
グリース充填空間を区画する出力軸と静止部材の間にシール部材を配置することで、スプライン嵌合部のインボード側からのグリース漏れを防止することができる。また、出力軸と静止部材の間にシール部材を配置すれば、出力軸の内周への外方部材の組み込み時に当該シール部材が他部材と干渉することはない。従って、当該シール部材のシール性を保証することができ、これによりスプライン嵌合部のインボード側からのグリース漏れを確実に防止することが可能となる。
前記静止部材は前記ハウジングとし(図3)、あるいは車輪用軸受の内方部材とする(図7)ことができる。
前記グリース充填空間を形成する部材のうち、外方部材と内方部材の間にシール部材を配置すれば、スプライン嵌合部を軸受内部空間と分離することができる。従って、スプライン嵌合部で生じた摩耗粉等が軸受内部空間に侵入することを防止でき、軸受性能の安定化を図ることができる。
前記外方部材のアウトボード側の開口部にキャップを圧入すれば、摩擦抵抗の増大を招くことなく軸受内部空間のアウトボード側を密封することが可能となる。
前記スプライン嵌合部よりもアウトボード側で、前記出力軸と外方部材との間にシール部材を配置すれば、スプライン嵌合部からのグリース漏れをより確実に防止することが可能となる。
このようにスプライン嵌合部に供給したグリースの漏れが防止されることで、スプライン嵌合部をすきま嵌めにした場合も歯面間で安定してグリース潤滑を行うことができる。そのため、モーメント荷重等により外方部材が傾いた際にもその一部をスプライン嵌合部での歯面間の摺動で吸収し、外方部材の傾きに追従した出力軸の傾きを抑制することができる。従って、減速機の耐久性を向上させることができる。
本発明によれば、スプライン嵌合部のインボード側からのグリース漏れを確実に防止することができる。従って、スプライン嵌合部の歯面間でグリースを長期間安定して保持することができ、外輪回転タイプの車輪用軸受を使用した場合でも、スプライン嵌合部での異常摩耗や発熱、あるいは振動の発生を防止することが可能となる。
ホイールの内側空間に配置したインホイールモータ駆動装置をアウトボード側から見た正面図である。 図1中のモータ中心Oa、中間軸中心O1および車軸中心Obを通るP−P線に沿う断面図である。 図2の車輪用軸受の周辺構造(第1実施形態)を拡大して示す断面図である。 比較例を拡大して示す断面図である。 第2実施形態を示す断面図である。 第3実施形態を示す断面図である。 第4実施形態を示す断面図である。 第5実施形態を示す断面図である。 インホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車の概略構成を示す平面図である。 図9の電気自動車を示す後方断面図である。
本発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図9は、インホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図、図10は、電気自動車11を後方から見た概略断面図である。
電気自動車11は、図9に示すように、シャシー12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを装備する。後輪14は、図10に示すように、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、懸架装置(サスペンション)16を介してシャシー12の下部に固定されている。
懸架装置16は、左右に延びるサスペンションアームにより後輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットにより、後輪14が地面から受ける振動を吸収してシャシー12の振動を抑制する。左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時などの車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられている。懸架装置16は、路面の凹凸に対する追従性を向上させ、後輪14の駆動力を効率よく路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させる独立懸架式としている。
電気自動車11は、ホイールハウジング15の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構などを設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
この実施形態の特徴的な構成を説明する前にインホイールモータ駆動装置21の全体構成を図1および図2に基づいて説明する。以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21を車両に搭載した状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側と称し、中央寄りとなる側をインボード側と称する。
図1は、後輪14のホイールの内側空間に配置したインホイールモータ駆動装置21をアウトボード側から見た正面図である。図2は、図1中のモータ中心Oa、中間軸中心O1および車軸中心Obを通るP−P線に沿う断面図である。
図1および図2に示すように、インホイールモータ駆動装置21は、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機部Bと、減速機部Bからの出力を駆動輪としての後輪に伝達する車輪用軸受部Cとを備えている。モータ部A、減速機部B、および車輪用軸受部Cは、それぞれハウジング22に収容される。ハウジング22は図2に示すように一体構造とする他、分割可能な構造にすることもできる。
図2に示すように、モータ部Aは、ハウジング22に固定されたステータ23と、ステータ23の径方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータ24と、ロータ24の径方向内側に配置されてロータ24と一体回転するモータ回転軸25とを備えたラジアルギャップ型の電動モータ26で構成されている。モータ回転軸25は、毎分一万数千回転程度で高速回転可能である。ステータ23は磁性体コアにコイルを巻回することによって構成され、ロータ24は永久磁石等で構成されている。
モータ回転軸25は、その軸方向一方側の端部(図2の左側)が転がり軸受40により、軸方向他方側の端部(図2の右側)が転がり軸受41により、ハウジング22に対してそれぞれ回転自在に支持されている。
減速機部Bは、入力ギヤ30と、複数の中間ギヤとしての第1中間ギヤ31および第2中間ギヤ32と、出力ギヤ35とを有する。入力ギヤ30は入力軸30aを一体に有しており、この入力軸30aはスプライン嵌合(セレーション嵌合を含む。以下、同じ)によってモータ回転軸25と同軸に連結されている。第1中間ギヤ31は中間軸S1と一体に形成され、この第1中間軸S1に第2中間ギヤ32がスプライン嵌合により連結されている。出力ギヤ35は、中空の出力軸36と一体に形成されている。
入力軸30a、中間軸S1および出力軸36は互いに平行に配置されている。入力軸30aは転がり軸受42,43によって、中間軸S1は転がり軸受44,45によって、出力軸36は転がり軸受48,49によって、それぞれハウジング22に対して回転自在に支持されている。
この減速機部Bでは、入力ギヤ30と第1中間ギヤ31とが噛合し、第2中間ギヤ32と出力ギヤ35とが噛合している。第1中間ギヤ31の歯数は、入力ギヤ30および第2中間ギヤ32の歯数よりも多い。また、出力ギヤ35の歯数は第2中間ギヤ32の歯数よりも多い。以上の構成から、モータ回転軸25の回転運動を2段階に減速する平行軸歯車減速機39が構成される。
本実施形態では、減速機39を構成する入力ギヤ30、各中間ギヤ31,32、および出力ギヤ35として、はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が増え、歯当たりが分散されるので音が静かで、トルク変動が少ない点で有効である。歯車のかみあい率や限界の回転数などを考慮して、各ギヤのモジュールは1〜3程度に設定するのが好ましい。
車輪用軸受部Cは、外輪回転タイプの車輪用軸受50で構成される。車輪用軸受50は、車軸51と、車軸51のアウトボード側の外周面に嵌合固定された軸受内輪52と、車軸51の外周側に配置された外方部材としての軸受外輪53と、軸受内輪52の外周面および車軸51の外周面に形成した複列のインナレース54と、軸受外輪53の内周面に形成した複列のアウタレース55と、インナレース54とアウタレース55の間に配置された複数の転動体としての玉56と、各玉56を保持する保持器(図示省略)とを備えた複列アンギュラ玉軸受である。この実施形態では、軸受内輪52と車軸51とが、複列のインナレース54を外周に備える内方部材を構成する。
車軸51のインボード側端部には、ハウジング22の内周面と嵌合する円筒面状の大径部51aが形成されている。大径部51aのアウトボード側には、インボード側に向けて徐々に拡径する拡径部51bが形成されている。また、車軸51のアウトボード側の軸端には雄ねじ部51cが形成されている。この雄ねじ部51cにナット58を螺合させて締め付けることにより、車輪用軸受50の分離が防止されると共に、軸受内部に予圧が付与される。
軸受外輪53のアウトボード側端部には、車輪取り付け用のフランジ部53aが形成されている。このフランジ部53aにブレーキディスク59および後輪のホイールがハブボルトを用いて取り付けられる(ホイール及びハブボルトの図示は省略している)。軸受外輪53のフランジ部53aよりもインボード側には、減速機39の中空出力軸36の内周に配置される円筒部53bが形成される。円筒部53bの外周面に形成した雄スプラインと出力軸36の内周面に形成した雌スプラインとを嵌合させることでスプライン嵌合部60が形成され、このスプライン嵌合部60によって軸受外輪53と出力軸36とがトルク伝達可能に連結される。これにより、減速機部Bの出力が後輪に伝達される。
車軸51のインボード側端部に形成された大径部51a、さらにハウジング22をナックルに取り付けることで、インホイールモータ駆動装置21が車体の懸架装置に取り付けられる。この時、図1に示すように、中間軸S1の中心O1は、モータ26の中心Oa(モータ中心)と車軸51の中心Ob(車軸中心)を結ぶ線から当該線と直交する方向にオフセットさせて、モータ中心Oaと車軸中心Obの間に配置される。図1では、インホイールモータ駆動装置21を、モータ中心Oaと車軸中心Obを結ぶ線が略垂直となるような向きにして車体に取り付けた場合を例示している。
インホイールモータ駆動装置21は、ホイールハウジング15(図10参照)の内部に収められ、ばね下荷重となるため、小型軽量化が必須である。平行軸歯車減速機39を電動モータ26と組み合わせることで、低トルクかつ高回転型の小型電動モータ26を使用することが可能となる。例えば、減速比11の平行軸歯車減速機39を用いた場合、毎分一万数千回転程度の高速回転の電動モータ26を使用することにより電動モータ26を小型化することができる。これにより、コンパクトなインホイールモータ駆動装置21を実現することができ、ばね下重量を抑えて走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を得ることができる。
[第1実施形態]
次に、本発明の特徴的構成の第1実施形態を図3に基づいて説明する。なお、図3は図2中の車輪用軸受50の周辺部分を拡大して示す断面図である。
減速機39の出力軸36と軸受外輪53とを結合するスプライン嵌合部60の嵌め合いは、歯面間にすきまを有するすきま嵌め状態とされる(スプライン嵌合部60の歯底と歯先にもすきまがある)。また、スプライン嵌合部60の対向する歯面間にはグリースが介在させてある。例えば、出力軸36と軸受外輪53の何れか一方または双方のスプラインにグリースを塗布し、その後、出力軸36の内周に軸受外輪53を挿入することにより、スプライン嵌合部60の歯面間にグリースを介在させることができる。
本発明では、車輪用軸受50の内部および周辺に、スプライン嵌合部60のインボード側端部と通じる、グリースで満たされたグリース充填空間64が形成される。グリース充填空間64は、出力軸36、ハウジング22、車軸51、軸受内輪52、軸受外輪53等の部材によって区画された空間であり、主に車輪用軸受50の軸受内部空間62と、車軸51の拡径部51bに面する車軸外周空間63とで形成される。ここでいう軸受内部空間62は、軸受外輪53の内周面と、これに対向する内方部材の外周面(車軸51の外周面および軸受内輪52の外周面)とで形成される空間である。なお、図3中の散点模様はグリースの存在領域を表す。
本発明では、グリース充填空間64を区画する出力軸36と静止部材との間にシール部材70が配置される。図3は、具体例として出力軸36と、減速機39を収容するハウジング22との間にシール部材70を配置した場合を示している。シール部材70としては、例えばオイルシールを使用することができる。オイルシールは、シールリップの外周に装着したリング状のばね72でシールリップの先端を軸の外周面に押し付けて密封効果を得るものである。オイルシール70をハウジング22の内周面に圧入固定し、シールリップの先端を出力軸36のインボード側端部の外周面に接触させることで、相対回転する出力軸36とハウジング22の間で確実に密封効果を得ることができる。
インホイールモータ駆動装置21では、モータ26の冷却や減速機39の潤滑および冷却のため、図示しない回転ポンプで圧送した潤滑油が各部に供給される。各部の冷却および潤滑に使用された潤滑油は、図3中にクロスハッチングで示すように減速機部Bの内部空間の底部に溜まって潤滑油溜まり61を構成する。潤滑油溜まり61に溜まった潤滑油は、回転ポンプに吸い上げられて各部に再供給される。
出力軸36のアウトボード側端部の外周面とハウジング22の間には、上述のオイルシール等からなるシール部材71が配置される。このシール部材71と、前述のシール部材70とにより、潤滑油溜まり61がアウトボード側とインボード側の双方で密封され、グリース充填空間64や外部への潤滑油の漏れ出しが防止される。
また、軸受内部空間62からのグリースの漏れを防止するため、軸受内部空間62のアウトボード側の開口部はオイルシール等からなるシール部材73で密封されている。
スプライン嵌合部60よりもアウトボード側では、出力軸36の内周面と軸受外輪53の円筒部53bの外周面との間がシール部材74で密封される。出力軸36と軸受外輪53は何れも回転部材であり、両部材間に相対回転は生じないため、シール部材74としては、上述のオイルシールではなく、Oリングで足りる。また、車軸51の大径部51aの外周面とハウジング22の内周面との間にもシール部材75が配置される。車軸51とハウジング22は何れも静止部材であり、両部材間に相対回転は生じないので、シール部材75としてはOリングで足りる。
以上の構成から、スプライン嵌合部60、潤滑油溜まり61、およびグリース充填空間64のそれぞれが密封状態となる(既に述べたように、スプライン嵌合部60のインボード側端部はグリース充填空間64に連通している)。また、潤滑剤溜まり61と、グリース充填空間64とはシール部材70によって隔絶された状態となる。
このようにスプライン嵌合部60のインボード側とアウトボード側の双方が密封されるため、スプライン嵌合部60からのグリース漏れを確実に防止することができる。従って、スプライン嵌合部60をすきま嵌め状態にして、その歯面間でグリース潤滑を行うことが可能となる。これにより、モーメント荷重等による軸受外輪53の傾きの一部をスプライン嵌合部60の歯面同士の摺動で吸収し、軸受外輪53の傾きに伴う出力軸36の傾きを低減して減速機部39の耐久性の低下を抑制することができる。従って、外輪回転タイプの車輪用軸受50を使用してその外径側に減速機39を配置することができ(図2参照)、インホイールモータ駆動装置21の軸方向長さを短縮することが可能となる。
しかも、潤滑油溜まり61とグリース充填空間64を完全に分離することができるため、予め潤滑油を満たしておいた減速機部Bの内周に軸受外輪53を挿入して車輪用軸受50を組み立てる事が可能となり、インホイールモータ駆動装置21の組み立て作業を簡略化することができる。加えて、スプライン嵌合部60と軸受内部空間62に同一グリースを充填できるため、グリース塗布工程を簡略化することを回避することができる。
スプライン嵌合部60の密封だけを念頭におけば、アウトボード側と同様に、インボード側でも出力軸36の内周面と軸受外輪53の円筒部53bの外周面との間にOリングを配置することが先ず考えられる。しかしながら、図3に示すように、この領域での円筒部53bの外周面53b1(小径部)は歯底径よりも小径であり、出力軸36の内周面との間の隙間幅が大きくなるため、Oリングとしては厚肉のものを使用する必要がある。この場合、組み立て時にOリングを小径部53b1に装着して軸受外輪53を出力軸36の内周面に挿入しようとすると、Oリングが出力軸36の雌スプラインと干渉して正しく装着されない可能性があり、スプライン嵌合部60のインボード側でのシール性を保証することが困難となる。
代案として、図4に示すように、ハウジング22の内周面にオイルシール77,78を圧入固定してそのシールリップの先端を軸受外輪53の外周面に接触させることも考えられる。この場合、組み立て時には、インボード側のオイルシール77をハウジングに圧入固定した状態で出力軸36の内周に軸受外輪53を挿入できるため、スプライン嵌合部60のインボード側でのシール性を保証することができる。しかしながら、かかる構成では、スプライン嵌合部60を潤滑油溜まり61から分離することができず、スプライン嵌合部60に潤滑油溜まり61の潤滑油が侵入することになる。また、インボード側のオイルシール77の設置スペース確保のため、軸受外輪53をインボード側に延長せざるを得ず、その分だけ拡径部51bの肉を削る必要があるため、車軸51の強度が低下する問題もある。
これに対し、図3に示す本発明の構成であれば、上記の問題を全て解消することができる。すなわち、組み立て時に出力軸36の内周に軸受外輪53を挿入する際にインボート側のシール部材70が他部材と干渉するおそれはないため、スプライン嵌合部60のインボード側でのシール性を保証することが容易となる。また、スプライン嵌合部60を潤滑油溜まり61から完全に分離することが可能となる。
[第2実施形態]
図5に本発明の第2実施形態を説明する。
図1〜図3に示す第1実施形態では、車輪用軸受50として、複列のインナレース54のうち、インボート側のインナレース54を車軸51の外周面に形成すると共に、アウトボード側のインナレース54を軸受内輪52の外周面に形成した、所謂第3世代を使用する場合を例示したが、図5に示す第2実施形態では、車輪用軸受50として、車軸51の外周面に二つの軸受内輪52a,52bを圧入固定し、両軸受内輪52a,52bの外周面にそれぞれインナレース54を形成した、所謂第2世代を使用している(以下の実施形態でも同様に第2世代の車輪用軸受50を使用することができる)。この第2世代の車輪用軸受50では、車軸51と二つの軸受内輪52a,52bで内方部材が形成される。以上の点を除き、第2実施形態の構成および作用効果は、第1実施形態の構成および作用効果と共通するので重複説明を省略する。
[第3実施形態]
図6に本発明の第3実施形態を示す。
この第3実施形態は、図1〜図3に示す第1実施形態において、軸受内部空間62のアウトボード側をシールするシール部材73を省略し、その代りに軸受外輪53のアウトボード側の開口部にキャップ80を圧入固定したものである。このように接触タイプのシール部材73に代えてキャップ80を使用してグリース漏れを防止することにより、摩擦抵抗を軽減して車輪用軸受50の低トルク化を達成することが可能となる。特に問題がなければ、シール部材73を省略せずに、シール部材73とキャップ80を併用しても構わない(図8参照)。以上の点を除き、第3実施形態の構成および作用効果は、第1実施形態の構成および作用効果と共通するので重複説明を省略する。
[第4実施形態]
図7に本発明の第4実施形態を示す。
図1〜図3に示す実施形態では、出力軸36のインボード側端部とハウジング22の間に配置したシール部材70でグリース充填空間64を密封しているが、図7に示す第4実施形態では、出力軸36と車軸51(静止部材)との間に配置したシール部材81でグリース充填空間64を密封している。具体的には出力軸36のインボード側端部の内周面にシール部材81を圧入し、そのシールリップを車軸51の外周面に接触させてグリース充填空間64を密封している。かかる構成によっても、第1実施形態と同様に、スプライン嵌合部60のインボード側からのグリース漏れを防止することができる。
この場合、出力軸36のインボード側端部とハウジング22の間にオイルシール等からなるシール部材70を配置することで、潤滑油溜まり61を密封することができる。このように第4実施形態は、グリース充填空間64の密封と潤滑油溜まり61の密封とを別体のシール部材81,70を用いて行っており、この点で、一つのシール部材70で潤滑油溜まり61とグリース充填空間64とを分離している第1実施形態とは構成が異なる。
なお、図7に示す第4実施形態では、車輪軸受57の軸受内部空間62のアウトボード側をキャップ80を用いて密封しているが、第1実施形態と同様にオイルシール等のシール部材73(図3参照)を用いて密封することもできる。以上の点を除き、第4実施形態の構成および作用効果は、第1実施形態の構成および作用効果と共通するので重複説明を省略する。
[第5実施形態]
図8に本発明の第5実施形態を示す。
この第5実施形態は、軸受内部空間62のインボード側を密封して、軸受内部空間62とスプライン嵌合部60とを分離したものである。具体的には、軸受外輪53のインボード側端部の内周面にシール部材82を圧入し、そのシールリップを車軸51の外周面に接触させている。この場合、車軸外周空間63のみがスプライン嵌合部60のインボード側端部に通じるグリース充填空間となる。かかる構成であれば、スプライン嵌合部60での歯面同士の摺動で摩耗粉が発生した場合でも、当該摩耗粉が車輪用軸受50に入り込む事態を防止することができる。また、スプライン嵌合部60と軸受内部空間62とで異なるグリースを使用することも可能となる。
また、この第5実施形態では、アウトボード側でもハウジング22と軸受外輪53の間にオイルシール等からなるシール部材83を配置しており、これにより潤滑油やグリースの密封効果をさらに高めている。以上の点を除き、第5実施形態の構成および作用効果は、第1実施形態の構成および作用効果と共通するので重複説明を省略する。
以上の各実施形態の説明では、モータ部Aとしてラジアルギャップ型の電動モータ26を例示したが、任意の構成のモータを適用可能である。例えば、ハウジングに固定されたステータと、ステータの軸方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータとを備えるアキシャルギャップ型の電動モータであってもよい。また、減速機39として平行軸減速機を使用する場合を例示したが、減速機39の構成は任意であり、例えば遊星歯車機構を含む減速機を使用することもできる。また、減速機39の減速段数も任意であり、3段階以上に減速させることもできる。
また、以上の説明では、モータ部Aに電力を供給してモータ部を駆動させ、モータ部Aからの動力を後輪14に伝達させる場合を示したが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、後輪14側からの動力を減速機部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電してもよい。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、後でモータ部Aを駆動させることや、車両に備えられた他の電動機器などの作動に用いてもよい。
以上に述べた実施形態では、図9および図10に示すように、後輪14を駆動輪とした電気自動車11を例示したが、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等も含むものである。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置
26 モータ
30 入力ギヤ
30a 入力軸
35 出力ギヤ
36 出力軸
39 減速機
50 車輪用軸受
51 車軸(内方部材)
52 軸受内輪(内方部材)
53 軸受外輪(外方部材)
54 インナレース
55 アウタレース
56 転動体
60 スプライン嵌合部
61 潤滑油溜まり
62 軸受内部空間
63 車軸外周空間
64 グリース充填空間
70 シール部材(オイルシール)
71 シール部材(オイルシール)
73 シール部材(オイルシール)
74 シール部材(Oリング)
75 シール部材(Oリング)
80 キャップ
81 シール部材
82 シール部材

Claims (7)

  1. モータと、ハウジング内に収容され、前記モータの回転を減速して出力する減速機と、複列のアウタレースを有する外方部材、複列のインナレースを有する内方部材、およびアウタレースとインナレースの間に配置した複列の転動体を有する車輪用軸受とを有し、減速機の出力軸を車輪用軸受の外方部材に外嵌し、出力軸と外方部材の間でスプラインを介してトルク伝達を行い、かつ出力軸と外方部材間のスプライン嵌合部にグリースを介在させたインホイールモータ駆動装置において、
    前記スプライン嵌合部のインボード側端部に通じるグリース充填空間を形成し、該グリース充填空間を区画する部材のうち、出力軸と静止部材の間にシール部材を配置したことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  2. 前記静止部材は前記ハウジングである請求項1記載のインホイールモータ駆動装置。
  3. 前記静止部材は車輪用軸受の内方部材である請求項1記載のインホイールモータ駆動装置。
  4. 前記グリース充填空間を形成する部材のうち、外方部材と内方部材の間にシール部材を配置した請求項1〜3何れか1項に記載のインホイールモータ駆動装置。
  5. 前記外方部材のアウトボード側の開口部にキャップを圧入した請求項1〜4何れか1項に記載のインホイールモータ駆動装置。
  6. 前記スプライン嵌合部よりもアウトボード側で、前記出力軸と外方部材との間にシール部材を配置した請求項1〜5何れか1項に記載のインホイールモータ駆動装置。
  7. 前記スプライン嵌合部をすきま嵌めにした請求項1〜6何れか1項に記載のインホイールモータ駆動装置。
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