JP6647621B2 - 不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法 - Google Patents

不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法に関し、特に不純物元素の拡散係数の極めて小さい固体材料に対して不純物元素を導入する技術に関する。
パワー半導体としてシリコンカーバイド(SiC)、特に4Hのシリコンカーバイド(4H−SiC)等のワイドバンドギャップ半導体は、不純物元素の拡散係数が小さい。半導体基板が4H−SiCの場合、4H−SiCの(0001)面((000−1)面)に対して、例えば1015/cm程度以上の高ドーズのイオン注入を行う際には、不純物元素の活性化を4H−SiCの再結晶化と共に促進するため、半導体基板を事前に300〜800℃程度に昇温させて加熱すると共に、イオン注入後、1600〜1800℃程度の高温のアニールを行う必要がある。しかし、このような処理を経ても、例えばp型のドーパントであるアルミニウム(Al)は4H−SiCの結晶中でほとんど熱拡散しない。現在までの知見では、Al以外の他の有用な不純物元素についてもSiCの結晶中での拡散係数は小さいとされている。
これに対し、n型のSiC半導体基板の表面上にAlを蒸着して200nm程度の厚みで成膜し、このAl膜にレーザー光の光パルスを照射して、SiC基板にp型の不純物ドープ層を形成する方法が提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1に記載の発明においては、室温、約6.7×10−5Paの低圧状態で、1J/cm程度のエネルギー密度の光パルス(KrFエキシマレーザー、波長248nm)を、照射時間20nsで、4発(4ショット)照射して、不純物元素のAlを、n型のSiC半導体基板の表面に4×1020 cm −3 レベルの濃度で導入する。しかし、特許文献1の技術を用いても、表面から50nm〜100nmレベルの深さにおいては、Alの導入濃度は1×1016cm−3レベルに留まる。この1×1016cm−3レベルの値が特許文献1の技術における導入濃度の最下限値である。
特開2013−214657号公報
本発明は上記した問題に着目して為されたものであって、例えばワイドバンドギャップ半導体材料等の不純物元素の拡散係数の極めて小さい固体材料であっても、固体材料の表面から50nm以上の深い位置に、固体材料の固溶濃度に近いレベルの高濃度で不純物元素を導入可能な不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る不純物導入装置のある態様は、光パルスを出射する光源を有し、光パルスを対象物に照射するビーム調整系と、光源を制御する光源制御部と、を備え、不純物元素を含み、光パルスの1回あたりの照射時間及び光パルスのエネルギー密度を考慮して決定された膜厚を有する不純物源膜を固体材料からなる対象物の表面に形成し、不純物源膜に対して膜厚の決定に考慮した照射時間及びエネルギー密度で光パルスを照射して、対象物に不純物元素を導入することを要旨とする。
また本発明に係る不純物導入方法のある態様は、光パルスの1回あたりの照射時間及び光パルスのエネルギー密度を考慮して決定された膜厚で、不純物元素を含む不純物源膜を固体材料からなる対象物の表面上に堆積するステップと、光パルスを、膜厚の決定に考慮した照射時間及びエネルギー密度で不純物源膜に向けて照射するステップと、を含み、対象物に不純物元素を導入することを要旨とする。
また本発明に係る半導体素子の製造方法のある態様は、第1導電型の第1の半導体領域を有する中間生成物を用意する工程と、光パルスの1回あたりの照射時間及び光パルスのエネルギー密度を考慮して決定される膜厚で、第2導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜を半導体領域の表面上に堆積する工程と、光パルスを、膜厚の決定に考慮した照射時間及びエネルギー密度で不純物源膜に向けて照射して、半導体領域に不純物元素を導入することにより、第2導電型の第2の半導体領域を形成する工程と、を含み、中間生成物にpn接合を含む素子構造を形成することを要旨とする。
また本発明に係る半導体素子の製造方法の他の態様は、一導電型の半導体領域を有する中間生成物を用意する工程と、光パルスの1回あたりの照射時間及び光パルスのエネルギー密度を考慮して決定される膜厚で、一導電型と同一導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜を半導体領域の表面上に堆積する工程と、光パルスを、膜厚の決定に考慮した照射時間及びエネルギー密度で不純物源膜に向けて照射して、半導体領域に不純物元素を導入することにより、半導体領域よりも高濃度のコンタクト領域を形成する工程と、コンタクト領域に対しオーム性接触をする電極膜を形成する工程と、を含み、中間生成物にオーム性のコンタクト構造を含む素子構造を形成することを要旨とする。
また本発明に係る半導体素子の製造方法の更に他の態様は、第1導電型の第1の半導体領域を有する中間生成物を用意する工程と、第1の半導体領域の上に、不純物導入用の窓部を有する不純物導入マスクを形成する工程と、第2導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜を、一部に不純物導入マスクを介在して、光パルスの1回あたりの照射時間及び光パルスのエネルギー密度を考慮して決定される膜厚で第1の半導体領域の表面上に堆積する工程と、光パルスを、照射時間及びエネルギー密度で不純物源膜に向けて照射して、窓部の直下の第1の半導体領域に第2導電型の第2の半導体領域のパターンを選択的に形成する工程と、を含むことを要旨とする。
従って本発明に係る不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法によれば、不純物元素の拡散係数の極めて小さい固体材料であっても、固体材料の表面から50nm以上の深い位置に、固体材料の固溶濃度に近いレベルの高濃度で不純物元素を導入することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る不純物導入装置の構成の概略を模式的に説明する断面図を含むブロック図である。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法で用いられる光パルスのエネルギー密度と不純物源膜の膜厚との関係を説明するグラフ図である。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を説明するフローチャートである。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する工程断面図である(その1)。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する工程断面図である(その2)。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する工程断面図である(その3)。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する工程断面図である(その4)。 図8(a)及び図8(b)は、第1の実施の形態に係る不純物導入方法によりそれぞれ異なる膜厚の不純物源膜を用いて得られた不純物導入領域の上面の、残存する不純物源膜を除去する前の状態を示すSEM画像の一部である。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する工程断面図である(その5)。 図10(a)及び図10(b)は、第1の実施の形態に係る不純物導入方法によりそれぞれ異なる膜厚の不純物源膜を用いて得られた不純物導入領域の上面の、残存する不純物源膜を除去した後の状態を示すSEM画像の一部である。 図11(a)は、図10(a)中の一部の領域を拡大した図であり、図11(b)は、図11(a)中のA部分のAES分析結果を示すグラフ図であり、図11(c)は、図11(a)中のB部分のAES分析結果を示すグラフ図である。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する工程断面図である(その6)。 第1の実施の形態に係る不純物導入方法を用いて得られた半導体基板の内部の不純物元素の濃度と侵入深さのプロファイルを示すグラフ図である。 図14(a)及び図14(b)は、第1の実施の形態に係る不純物導入方法を用いて得られた半導体基板の内部のpn接合ダイオードのI−V特性を、それぞれスケールを変えて示すグラフ図である。 図15(a)及び図15(b)は、比較例に係る不純物導入方法によりそれぞれ異なる膜厚の不純物源膜を用いて得られた不純物導入領域の上面の、残存する不純物源膜を除去する前の状態を示すSEM画像の一部である。 図16(a)及び図16(b)は、比較例に係る不純物導入方法によりそれぞれ異なる膜厚の不純物源膜を用いて得られた不純物導入領域の上面の、残存する不純物源膜を除去した後の状態を示すSEM画像の一部である。 図17(a)及び図17(b)は、第1の実施の形態及び比較例に係る不純物導入方法を用いて得られた半導体基板の内部のpn接合ダイオードのI−V特性を、それぞれスケールを変えて示すグラフ図である。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を説明する工程断面図である。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第1変形例を説明する工程断面図である(その1)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第1変形例を説明する工程断面図である(その2)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第1変形例を説明する工程断面図である(その3)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第1変形例を説明する工程断面図である(その4)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その1)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程上面図である(その2)。 図24中のA−A方向から見た工程断面図である。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その3)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その4)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その5)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その6)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その7)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その8)。 第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例を説明する工程断面図である(その9)。 第2変形例に係る半導体素子の製造方法において、カソード電極膜を先に形成する場合のプロセスを説明する工程断面図である。 第2変形例に係る半導体素子の製造方法を用いて得られた実施例に係る半導体素子を、アノード電極膜の上面の高さで水平に断面した状態を、光学顕微鏡で見た上面図である。 比較例に係る半導体素子を、アノード電極膜の上面の高さで水平に断面した状態を、光学顕微鏡で見た上面図である。 実施例及び比較例に係るそれぞれの半導体素子の、正の電圧領域におけるI−V特性を示すグラフ図である。 実施例及び比較例に係るそれぞれの半導体素子の、負の電圧領域におけるI−V特性を示すグラフ図である。 本発明の第2の実施の形態に係る不純物導入装置の構成の概略を模式的に説明する断面図を含むブロック図である。
以下に本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。また本明細書及び添付図面においては、n又はpを冠した領域や層では、それぞれ電子又は正孔が多数キャリアであることを意味する。またnやpに付す+や−は、+及び−が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。
(第1の実施の形態)
−不純物導入装置の構造−
本発明の第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aは、図1に示すように、固体材料からなる対象物2の表面に不純物元素を含む不純物源膜4を設ける成膜装置10と、不純物源膜4を介して平坦な表面を有する対象物2にレーザー光6等の照射フルエンス(エネルギー密度)の大きな光パルスを照射して不純物元素を導入する光照射装置20と、不純物源膜4の膜厚等の成膜条件及びレーザー光6のエネルギー密度や対象物2に対する光パルスの相対的な光照射位置等の光照射条件を制御可能な演算制御装置30と、を備える。
成膜装置10は、例えばスパッタ装置、電子ビーム蒸着装置、プラズマCVD装置等が採用可能である。第1の実施の形態に係る成膜装置10では、図1に示すように、真空排気可能なチャンバ11と、チャンバ11内に設けられ対象物2を載置する下部電極12aと、を備えるスパッタ装置の場合を例示している。チャンバ11内では、チャンバ上板13側に、下部電極12aに対向して不純物元素を含むターゲット14が配置される。
スパッタ装置としては、更に下部電極12aとターゲット14との間に接続された電源15と、チャンバ11に接続されチャンバ11内にアルゴン(Ar)ガス等の希ガスを導入するガス導入バルブ16と、チャンバ11に接続されチャンバ11内を真空状態にするロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ或いはクライオポンプ等で構成される真空ポンプ17と、が設けられる。電源15、ガス導入バルブ16及び真空ポンプ17には、成膜される不純物源膜4の膜厚を制御する膜厚制御部31が接続されている。また膜厚制御部31は成膜装置10に装備された図示を省略した膜厚計からの信号をインシツ(in situ)モニタして帰還制御することができる。電源15、ガス導入バルブ16及び真空ポンプ17は、膜厚制御部31を介して演算制御装置30に接続されている。
図1のDCスパッタ装置の場合で説明すれば、下部電極12aとターゲット14との間に電源15によって直流電圧を印加して、導入した希ガスをイオン化してターゲット14に衝突させ、ターゲット14からはじき飛ばされた不純物元素の粒子を対象物2の表面に衝突、付着させて成膜することになる。成膜装置10は、DCスパッタ装置以外にRFスパッタ装置、マグネトロンスパッタ装置、イオンビームスパッタ装置等で構成してもよい。成膜される不純物源膜4の膜厚は、成膜時の処理時間を調整することで制御できる。
第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aの光照射装置20は、対象物2の表面に不純物源膜4を介して光パルスを一定寸法の照射領域でスキャン照射するビーム調整系33と、支持台12bを介して対象物2を対象物2の主面に平行な面内に定義されるX−Y方向に自在に移動させるX−Y移動ステージ23と、を備える。光照射装置20は、不純物源膜4を介して対象物2の上面にレーザー光6の光パルスをスキャン照射して、レーザー光6で与えたエネルギー効果によって対象物2の内部の一部に不純物元素を導入する。エネルギー効果には熱エネルギーの効果も含まれる。
第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aの対象物2としてはSiC基板を用いる場合を例示的に採用し、具体的にはパワー半導体用として期待されている4H−SiC基板を用いる場合について説明する。対象物2は、(0001)面((000−1)面)を有するn型の半導体基板21の上に、図4に例示したように、1×1016/cm程度の濃度で10μm程度の厚みを有するn型の4H−SiCのエピタキシャル成長層(以下、「エピ層」と称する。)22を設けた2層構造である。対象物2は、エピ層22側の面を表面としてビーム調整系33側に向けて配置されている。対象物2の表面上には図示を省略するが位置合わせのための基準マークが設けられていてもよい。尚、対象物2の材料はSiCに限定されることなく、例えば窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)、ダイヤモンド等、他のワイドバンドギャップ半導体材料であっても本発明を適用できるし、ワイドバンドギャップ半導体材料に限定されるものでもない。
不純物源膜4は、対象物2にドーピングさせる不純物元素を不純物導入源として含む膜であり、例えばp型の不純物元素としてAlを選択した場合は、Al薄膜が使用できる。また不純物源膜4は、不純物元素そのものの単一元素膜に限定されることなく、他の元素との化合物、例えば窒化物等の化合物や混合物からなる薄膜であってもよいし、或いはこれらを積層した多層の複合膜等であってもよい。また、不純物元素はAlに限定されるものではなく、導電型の選択、或いは母相の元素の置換位置又は格子間位置に対応して、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、窒素(N)、リン(P)、砒素(As)等の他の不純物元素が適宜用いられてよい。
第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aのビーム調整系33は、図1に示すように、レーザー光6等のエネルギー密度の大きな光パルスを出射する光源34と、出射されたレーザー光6を集光する図示を省略するレンズ系や所定の形状に成形する可変スリット等を備える。ビーム調整系33には、照射されるレーザー光6の照射条件を制御する光源制御部32が接続されると共に、光源制御部32は演算制御装置30に接続されている。ビーム調整系33の光源34は、光源制御部32を介して演算制御装置30に制御されている。
またビーム調整系33は、レーザー光6を掃引する場合、必要であれば、成形されたレーザー光6を反射して図示を省略するレンズ等の集光装置に導く、不図示の反射ミラーやプリズム等の他の光学系を備えるようにしてもよい。成形されたレーザー光6等のエネルギー密度の大きな光パルスは、対象物2の上面と不純物源膜4との界面領域に向けて照射される。
成形されるレーザー光6の形状は、長方形(矩形)状が好適に用いられるが、矩形に限定されることなく、他の形状であってもよい。またいずれも図示を省略しているが、対象物2に対する光パルスの照射位置を制御するに際し、ビーム調整系33には、対象物2の基準マークを撮像するCCDカメラ等の撮像装置、照明光を照射する照明光発光装置、照明光を反射及び透過させるミラー及びアライメント機構等を必要に応じて別途設けてもよい。
エネルギー密度の大きな光パルスとしては、不純物源膜4を介して十分な反応エネルギーが生じるように、光エネルギーを不純物元素及び対象物2の格子振動に与えることが可能な波長を有するレーザー光6のパルスが好ましい。例えば、248nm(KrF)、193nm(ArF)、308nm(XeCl)、351nm(XeF)等の発振波長を有するエキシマレーザーや、266nm(YAG第4高調波)、355nm(YAG第3高調波)、532nm(YAG第2高調波)レーザーや、1.064μm(YAG基本波)、10.6μm(炭酸(CO)ガス)レーザー等を用いることができる。また水銀(Hg)ランプやキセノン(Xe)ランプ等の高出力の連続光を分光器やフィルターで波長選択してもエネルギー密度の大きな光パルスを得ることが可能であるので、必ずしもレーザーに限定されるものではない。
またエキシマレーザーのように、多くの半導体材料の禁制帯幅よりも大きなエネルギーとなる、紫外線領域の波長のレーザー光6を照射するように構成すれば、紫外線領域の光エネルギーによる光触媒作用等の表面反応を光励起させることができる。このため不純物元素の導入対象となる固体表面の格子振動を励起し、不純物元素を目的とする固体材料の格子間位置や置換位置等の導入位置に移動させる表面マイグレーション等を含めた表面反応等を容易にすることができる。ただし、ArF(=193nm)レーザー等よりも短波長、すなわち真空紫外光の範囲に含まれる短波長の光は、大気中の酸素分子に吸収され伝播が阻害されるため、大気中でのレーザードーピングにおいては、190nm程度以上の波長を有するレーザー光6であることが好ましい。
X−Y移動ステージ23は、支持台12bを下方から水平に支持するとともに、図示を省略する移動ステージ駆動装置に接続され、移動ステージ駆動装置を演算制御装置30によって制御することにより支持台12bを水平面内の方向(X−Y方向)にそれぞれ自在に移動することで、対象物2を光パルスの照射位置に対し自在に移動できるように構成されている。例えば光パルスの照射位置に対する対象物2の相対的な位置を自在に移動することにより、直接描画の手法が可能になる。更に、支持台12bとX−Y移動ステージ23との間に、支持台12bをX−Y方向に垂直なZ方向に移動させるZ移動ステージを設けることで、X−Y方向に加えZ方向にも移動可能に支持台12bを構成して焦点等の調整ができるようにしてもよい。
演算制御装置30には入力装置41及びデータ記憶装置42が接続されており、演算制御装置30は、データ記憶装置42の内部に格納されたデータにアクセス可能に構成されている。データ記憶装置42には、入力装置41を介して、不純物元素の種類(物性値)、1パルス(1ショット)の照射時間(パルス幅)及びレーザー光6のエネルギー密度が入力される。演算制御装置30は、データ記憶装置42に格納された不純物元素の種類、1パルスの照射時間及びエネルギー密度を経験則である式(1)を用いて、不純物源膜4の膜厚tを算出するように設定することが可能である。
t=α・ln(F)−β …(1)
ここでαは、不純物元素の種類とレーザー光6の照射時間とから定まる熱拡散長(nm)、Fはレーザー光6のエネルギー密度(J/cm)である。またβは、事前の実験データから不純物元素の種類とレーザー光6の照射時間とを考慮した経験則として設定される補正係数(nm)である。熱拡散長α及び補正係数βは入力装置41を介してデータ記憶装置42に格納されている。
式(1)について詳述する。Al膜表面で吸収されたレーザーエネルギーは熱拡散により基板内部に拡散する。この時、ある時刻tでの熱拡散長αは,熱拡散係数をDとするとα=2√(Dt)で与えられる。従って、レーザーパルスを照射した直後の深さxでの温度T(x)は近似的に
T(x)=AFexp(−x/2√(Dτ))
で与えられる。ここでτはレーザーのパルス幅(照射時間)、Fはレーザー照射フルエンス(エネルギー密度)であり、Aは固体の比熱、密度、反射率などの関数であり、近似的に一定の係数とおける。
ある照射フルエンスでドーピングを行うことが可能な最大膜厚xmaxは、ドーピングを行うことが可能なAl/SiC界面での最低温度をTlimit(x=xmax)とすると下式が得られる。
式(2)より
を得る。ここでAlの熱伝導率はk=2.3×10 /mK,比熱はρ=0.90J/gK、密度はC=2.7g/cmであるので、熱拡散係数Dは、
D=k/ρC≒0.95cm/s …(4)
と求められる。よってレーザーパルス照射直後の熱拡散長αは、パルス幅が約50nsであるので、
と求められる。また(3)、(5)式より
を得る。
ここで、Al膜厚が120nm程度と薄い場合には表面荒れ(表面欠陥)が多く形成され、逆方向リーク電流の増加、及びON電流の低減などが生じ電気特性が劣化する。Al膜厚が240nm程度と厚くなり表面欠陥が減少すると逆方向飽和電流(リーク電流)の減少、及びON電流の増加が達成され電気特性が改善する。すなわち膜厚は、図2中での下限膜厚(下限厚さ)として点線で示したように、Al膜厚を240nm程度以上と厚くする方が特性の良いドーピングが達成される。
また、図2の実験結果と式(6)とをフィッティングすることで、ある照射フルエンスFにおけるAl膜厚の最大値(上限厚さ)tfmaxは、下式(7)で与えられることが明らかになった。
fmax=4.4×10・ln(F)−5350(nm) …(7)
すなわちAl膜をレーザーアブレーションすることでドーピングを行うためには、Alの膜厚tは、
≧240nm(下限厚さtfmin
であることが望ましく、また、
≦4.4×10・ln(F)−5350nm(上限厚さtfmax
であることが望ましい。
不純物元素の種類及び照射時間τに応じて熱拡散長α及び補正係数βが設定されることにより、図2に示したような膜厚上限直線Lが得られる。尚、式(1)は自然対数を用いた式であるので厳密には直線とはならないが、図2に示した範囲等に着目すれば略直線と見做せることから、説明のため本明細書では式(1)を「直線」の語を用いて説明する。
図2中の膜厚上限直線Lの右側には、丸印(○)をデータ点とする3個のプロットa1〜a3、三角印(△)をデータ点とする1個のプロットa4及びプラス(+)をデータ点とする1個のプロットc1が含まれている。3個の○印のプロットa1〜a3のうち図中右側の2個のプロットa1,a2の場合、エネルギー密度Fはいずれも4.0J/cm程度であり、膜厚tはそれぞれ240nm程度と480nm程度である。また3個のプロットa1〜a3のうち図中左側の○印のプロットa3及び△印のプロットa4の場合、エネルギー密度Fはいずれも3.7J/cm程度であり、膜厚tはそれぞれ240nm程度と120nm程度である。また+印のプロットc1の場合、エネルギー密度Fは4.0J/cm程度であり、膜厚tは120nm程度である。
エネルギー密度F=4.0J/cmで、照射時間τ=50ns、1ショットの光パルスをAlの不純物源膜4に照射する場合、不純物源膜4の膜厚tの上限厚さtfmaxは、式(7)で表す膜厚上限直線Lの方程式を用いて、
fmax=4.4×10・ln(4.0)−5350≒750nm
となる。
すなわち光パルス照射前の膜厚tを、240≦t≦750(nm)の範囲内で設定することにより、光パルス照射後に対象物2の表面に不純物源膜4が少なくとも一原子層相当の膜厚分残存するようにできる。一定の範囲内で膜厚tを1点設定する方法は適宜決められてよいし、或いは例えば、上限厚さtfmaxと下限厚さtfminとの中間値である「(tfmax+tfmin)/2」等を用いて決めてもよい。
そして図2中の4個のプロットa1〜a4のように、光パルスのエネルギー密度Fの値と不純物源膜4の膜厚tの値との組み合わせ(F, )が式(7)を満たすものであれば、1ショットで、対象物2の表面に不純物元素を高濃度、且つ、表面から深く導入することが可能となる。更に下限厚さtfmin以上である3個のプロットa1〜a3では、光パルス照射後に対象物2の表面に不純物源膜4が少なくとも一原子層相当の膜厚分残存させて、対象物2の表面に電極を設けて半導体素子を形成した際に所望のダイオード特性を得られるように、表面の欠陥を許容範囲に抑えることができる。一方、下限厚さtfmin=240nm未満である○印のプロットa4及び+印のプロットc1の場合、ドーピングできても表面の欠陥の程度が大きくなり、電気特性が劣化する。
尚、図2中の膜厚上限直線Lとエネルギー密度Fを表す横軸との交点で示されるように、1ショットで所望のドーピングを行うためには、光パルスのエネルギー密度Fに下限値がある。図2に例示した、不純物元素がAl、照射時間τ=50nsである場合には、膜厚上限直線Lと横軸との交点の値より、エネルギー密度Fの下限値としては約3.3J/cmに設定できる。一方、エネルギー密度Fの上限値は、不純物源膜4の膜厚tに応じて大きくすることが可能であるが、エネルギー効率の観点から第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aにおいては、6.0J/cm以下であることが好ましい。
式(7)及び下限厚さtfminを満たすような任意の光パルスのエネルギー密度Fの値と不純物源膜4の膜厚tの値との組み合わせ(F,t)を選択することにより、一定のエネルギー密度Fに対して光パルス照射後に対象物2の表面に不純物源膜4が少なくとも一原子層相当の膜厚分残存可能となる最も薄い膜厚tが設定可能である。また同時に、一定の膜厚tに対する最も小さいエネルギー密度Fも設定可能である。
また図2中の膜厚上限直線Lより左側の領域には、3個の×印をデータ点とするプロットb1〜b3が例示されている。3個のプロットb1〜b3のような、光パルスのエネルギー密度Fの値と不純物源膜4の膜厚tの値との組み合わせ(F,t)の場合、上記した3個のプロットa1〜a3の場合と異なり、所望のレーザードーピングを行うことができない。
3個の×印のプロットb1〜b3のうち中央のb1及び右側のb2の場合、エネルギー密度Fが膜厚tに対して大きすぎる、又は膜厚tがエネルギー密度Fに対して薄すぎるため、不純物元素を対象物2の表面にドーピングできても、光パルス照射後に対象物2の表面に不純物源膜4が少なくとも一原子層相当の膜厚分残存できなくなるようになり、図7中の陥凹部Mや図16(a)に示すような、不純物導入領域2aの表面欠陥の程度が激しくなる。
そして後工程で、対象物2の表面に電極を設けて半導体素子を製造した際、順方向の電流値低下や、逆バイアス時のリーク電流の増加を招き、十分な特性を備えることができない。また3個の×印のプロットb1〜b3のうち左側のb3の場合、光パルスのエネルギー密度Fが下限値未満となる。すなわち膜厚上限直線Lを用いてプロセスウィンドウを規定して、光パルスのエネルギー密度Fと不純物源膜4の膜厚tとを設定することにより、対象物2の表面に陥凹部Mを過剰に形成することなく、表面欠陥が発生しても、欠陥の程度を許容できる一定の範囲内に留める。
演算制御装置30が算出した膜厚tのデータは、膜厚制御部31に入力されると共に、演算制御装置30に入力された照射時間τ、エネルギー密度Fのデータ、及びパルス数を1回とするデータは、光源制御部32に入力される。また演算制御装置30には、図示を省略する表示装置が接続されることで、膜厚t、照射時間τ、エネルギー密度F、及びパルス数のデータ等が表示されるように構成されてもよい。
膜厚制御部31は、入力された膜厚tで不純物源膜4が対象物2上に成膜されるように、成膜装置10の電源15の電圧、ガス導入バルブ16及び真空ポンプ17の動作を制御する。光源制御部32は、入力されたエネルギー密度F、パルス数及び照射時間τで光パルスのスキャン照射が行われるようにビーム調整系33の動作を制御する。
−第1の実施の形態に係る不純物導入方法−
次に、本発明の第1の実施の形態に係る不純物導入方法を、図3のフローチャート及び図4〜図12を参照して説明する。まず、図3のステップS1において図4に示すように、n型の半導体基板21の上面側にn型のエピ層22が形成された対象物2を用意し、図1中の成膜装置10の内部に2点鎖線で示したように、対象物2の上面をターゲット14側に向けて載置し固定する。
次に、ステップS2において入力装置41を介して、不純物元素の種類、1パルスの照射時間τ及びレーザー光6のエネルギー密度Fをデータ記憶装置42に格納する。尚、ステップS2をステップS1の前に実施してもよい。不純物元素はAl、照射時間τ=50ns、エネルギー密度F=4.0J/cmであるとする。また式(1)の熱拡散長αは上記した4.4×10nm、また補正係数βは5350nmの値を予め設定する。
演算制御装置30は、ステップS3においてデータ記憶装置42から1パルスの照射時間τ、レーザー光6のエネルギー密度F、熱拡散長α及び補正係数βを読み出して、式(1)を用いて、
(F=4.0,ns=50)<4.4×10・ln(4.0)−5350
<750nm
と、不純物源膜4の膜厚tを算出し、後続の成膜工程における成膜条件として設定する。本実施例では膜厚t=240nmとした。
またレーザー光6の照射工程における照射条件として、パルス数を1ショット、照射時間τ=50ns、エネルギー密度F=4.0J/cmと設定する。そして設定した膜厚t=240nmを成膜装置10の膜厚制御部31に出力すると共に、パルス数1回、照射時間τ=50ns及びエネルギー密度F=4.0J/cmのそれぞれを光照射装置20の光源制御部32に出力する。
次に、成膜装置10の膜厚制御部31は、ステップS4において下部電極12aとターゲット14間の電圧、ガス導入バルブ16及び真空ポンプ17の動作を制御して、図5に示すように、対象物2のエピ層22の上面に設定された膜厚t=240nmで、Alの薄膜からなる不純物源膜4を成膜する。
次に、不純物源膜4が成膜された対象物2を成膜装置10から取り出して光照射装置20へ搬送し、不純物源膜4の上面をビーム調整系33側に向けて、支持台12b上に載置し固定する。光照射装置20は、室温状態の大気の雰囲気中に配置されている。そして対象物2上のエピ層22に対し不純物元素をドーピングさせる最初の照射目標位置に応じた基準マークの位置を、レーザー光6の光軸に合致させるように、ビーム調整系33をX方向及びY方向に所定量移動させる。
次に、光照射装置20の光源制御部32は、設定されたパルス数1回、照射時間τ=50ns及びエネルギー密度F=4.0J/cmでレーザー光6が照射されるように、ビーム調整系33の動作を制御して、ステップS5において図6に示すように、対象物2のエピ層22の上面に不純物源膜4を介してレーザー光6の光パルスを照射する。レーザー光6は例えば248nm(KrF)エキシマレーザーを用い、照射領域が平面パターンで約350μm角の正方形状となるようにビームを成形する。
このとき、照射する光パルスのエネルギー密度Fは、4.0J/cmと高エネルギー状態であるので、光パルスが照射された不純物源膜4の照射領域では、Alが飛躍的に活性化して溶融し、エピ層22との界面ではAlがエピ層22の内部に導入される。また不純物源膜4のレーザー光6側の表面には、アブレーションによるプルーム24が生じ、照射領域の周囲にAlが飛散すると共に照射領域周辺には溶融流動領域が生じる。その結果、図7に示すように、照射領域では不純物源膜4の膜厚tが減じると共に、照射領域と非照射領域との境界近傍の領域の一部には、溶融流動によりAlの一部が盛り上がる。
光パルスの照射後、照射領域の不純物源膜4の内部では、高エネルギーの光パルスの照射により、対象物2の上面の一部もアブレーションし、対象物2の表面欠陥をなす陥凹部M(段差)が、多様な深さをなして複数形成されるが、先行して行われたステップS2及びS3の処理により、照射領域に形成される陥凹部Mの分布状態及び最大深さが制御されている。陥凹部Mのエピ層22の表面からの最大深さdは、120nm〜200nm程度である。
また陥凹部Mの内側には、陥凹部Mを介してエピ層22の表面に固着し、且つ、上方に突出する複数の突起部3が、多様な高さをなして形成される。突起部3のエピ層22の表面からの最大高さhは、120nm〜200nm程度である。また光パルスの照射領域には、光パルス照射後に不純物導入領域2aの表面に少なくとも一原子層相当の厚さが残るように、不純物源膜4の一部が、複数の突起部3を覆うように一定の厚みで堆積して残留している。そのため、図8(a)のSEM画像の上面図に示すように、図中に略正方形状で示されるショットの輪郭線の内側には、残留したAl薄膜の淡い金属光沢が表れている。またショットの輪郭線の外側には、光パルス照射後にAlのアブレーションによって照射領域の周囲に溶融流動したAl等により、黒みがかった色調で表れている。
図8(b)は、不純物源膜4の膜厚tを480nmとした以外、膜厚tが240nmの場合のレーザー光6の照射条件を同じとしてドーピングを行った場合の、照射領域の上面を撮影したSEM画像である。図8(a)の上面図と同様に、ショットの輪郭線の内側には、光パルス照射後に残留したAl薄膜の淡い金属光沢が表れていると共に、ショットの輪郭線の外側には、Alのアブレーションによって照射領域の周囲に溶融流動したAlが、図8(a)の場合よりも更に黒みを増した色調で表れている。尚、図7中に示す陥凹部Mの断面形状は、説明のため模式的に示されており、実際の形状を限定するものではない。また同様に、突起部3の断面形状も例示的に示されており、実際の形状は、略円柱状、略三角錐状、他角柱状等、各種の幾何学形状をなしうる。
次に、ステップS6において不純物源膜4がAlの場合は熱リン酸(HPO)等を用いて、図9に示すように、対象物2のエピ層22の表面上に残留した不純物源膜4を除去する。図10(a)のSEM画像の上面図には、照射領域の内側に黒みがかった色調がグラデーションをなすように表れ、残留していた不純物源膜4が概ね除去されると共に、対象物2上に固着して残留した突起部3が示されている。
尚、図10(b)は、図8(b)の場合(不純物源膜4の膜厚t=480nm)の対象物2の照射領域の上面を、図10(a)の場合と同様に、熱リン酸等を用いて、光パルス照射後に残留した不純物源膜4を除去した後の、SEM画像の上面図である。図10(a)の上面図と同様に、照射領域の内側に、膜厚t=240nmの場合と略同程度の色調及びグラデーションが表れ、残留していた不純物源膜4が概ね除去されると共に、対象物2上に固着して残留した突起部3が示されている。
図10(a)の中央部における黒みがかった領域には、図11(a)の拡大図に示すように、複数の突起部3が高密度で集積している。また図11(b)のエネルギースペクトル図に示すように、図11(a)中の突起部3に位置するA部分をAES分析すると、突起部3は、Alを含むSi系の反応生成物であることがわかる。また図11(b)中の、複数の突起部3間に位置し突起部3よりも低いB部分で示す領域にも、図11(c)のエネルギースペクトル図に示すように、Alを含むSi系の反応生成物が堆積していることがわかる。
次に、ステップS7においてエピ層22の表面を、例えばテトラフルオロメタン(CF)を用いたプラズマエッチング等で20分間程度処理し、対象物2の表面上に固着した突起部3を除去する。突起部3の除去により、図12に示すように、エピ層22の表面上に複数の陥凹部Mが露出し、第1の実施の形態に係る不純物導入方法が終了する。
以上のような第1の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、図13に示すように、Alをエピ層22の最表面では4H−SiCの固溶濃度を超える、濃度6×1021cm−3程度以上で、かつ、エピ層22の内部には深さ100nm近傍位置までAlを導入することができる。またエピ層22の表面から50nm程度の深さ位置では、Alを4H−SiCの固溶濃度に近いレベルである、1×1020cm−3程度にまで導入することができる。この点、図13中のSiのイオン強度を表す軌跡が示すように、エピ層22の表面から50nm程度の深さ位置の間に亘って、Siの濃度が大きく減少し、対象物2の表面近傍の領域では、AlとSiとの合金等の化合物又は混合物が形成されていることがわかる。
また参考値として、図13中に、塩化アルミニウム(AlCl)水溶液中で、4.5J/cmのエネルギー密度Fでレーザー光6を照射して液相のAlを4H−SiCへ導入した場合のSIMS測定結果を破線で示す。溶液中でのドーピングに関する他の条件や方法については、非特許文献「液体中に浸漬した4H−SiCへのエキシマレーザ照射による燐ドーピング(Phosphorus doping of 4H SiC by liquid immersion excimer laser irradiation)」池田晃裕 他3名、アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)、第102巻、p052104−1〜052104−4(2013年1月)等に記載の方法に準じた。
図13に示すように、AlCl水溶液中を用いたドーピングによる4H−SiCの表面濃度は、2×1020cm−3以下、かつ、対象物2の内部への侵入深さは40nm近傍までであり、Al薄膜を用いて固相からレーザードーピングすることで、液相からのドーピングに比し、より高濃度でより深いドーピングが行えることがわかる。また、Alを4H−SiCへドーピングして形成したp++型の不純物導入領域2aと、n型のエピ層22の表面の領域とで形成したpn接合ダイオードの特性を、不純物導入領域2aとオーミック接触性を有するタングステンプローブを不純物導入領域2aに接触させて測定した。図14(a)に示すように、pn接合ダイオードの立ち上がり電圧は、対象物2である4H−SiCのビルトイン電圧である約2.5V近傍であった。また図14(b)に示すように、pn接合ダイオードのオンオフ比は4桁程度の整流性であり、十分なpn接合が形成されていることが確認できた。
(比較例に係る不純物導入方法)
一方、図15に、比較例に係る不純物導入方法を用いてp型の不純物導入領域を4H−SiCに形成した対象物2の上面のSEM画像を示す。図15は第1の実施の形態に係る不純物導入方法における対象物2の上面を示した図8に対応する比較例の画像である。比較例では、図2中に示した膜厚上限直線Lと膜厚下限を示す点線との間に挟まれた、図2中右上側に表れるプロセスウィンドウ以外の、エネルギー密度Fと膜厚tとの組み合わせを用いてドーピングを行った。尚、他の導入条件は上記した膜厚t=240nmの場合と同様とした。
図15(a)は、図2中の+印のプロットc1の場合(膜厚t=120nm)の上面図であり、エネルギー密度F=4.0J/cmの光パルス照射後、ショットの輪郭線の内側は黒みがかった色調で変色すると共に金属光沢は表れておらず、不純物源膜4が残存していないことがわかる。またショットの輪郭線の外側には、光パルス照射後に、溶融流動したAlの痕跡が表れている。そしてこの場合、図16(a)の上面図に示すように、照射領域の広範囲に亘って変色した状態が形成され、陥凹部M及び突起部3が大量に形成され広く分布している。
また図15(b)は、図2中の3個の×印のプロットb1〜b3のうち最も上側のb1の場合(膜厚t=810nm)の上面図であり、エネルギー密度F=4.0J/cmの光パルス照射後、ショットの輪郭線の内側は極めて黒みがかった色調で変色すると共に金属光沢が表れている。またショットの輪郭線の外側には、光パルス照射後に、溶融流動したAlの痕跡が表れていない。そしてこの場合、図16(b)の上面図に示すように、対象物2の上面は全く変色しておらず、陥凹部M及び突起部3が一切形成されていない。
ここで、第1の実施の形態に係る膜厚t=240nm、480nmのそれぞれの場合、及び、比較例に係る膜厚t=120nm、810nmのそれぞれの場合について、各種の電圧を印加した際に流れる電流を測定して、ダイオード特性を検証した。図17(a)に示すように、膜厚t=240nm、480nmのいずれの場合も、膜厚t=120nmの場合に比べ、表面の欠陥の程度が抑制されたため、逆電圧印加時のリーク電流が少なくなった。また図17(b)に示すように、膜厚t=240nm、480nmのいずれの場合も、膜厚t=120nmの場合に比べ、順方向の電流を大きくすることができた。尚、膜厚t=810nmの場合、照射領域上にタングステンプローブを接触させて電流を測定したが、電圧を大きくしても、ピコアンペア(pA)レベルの電流しか検出されず、対象物2の表面の照射領域には、ほとんどドーピングできていなかった。
第1の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、室温、大気圧下で、光パルスの1回あたりのエネルギー密度Fを、従来に比して飛躍的に高めて高エネルギー状態で照射することにより、不純物源膜4における光パルスの照射領域の格子振動を一気に活性化させ昇温する。同時に4H−SiCの対象物2のエピ層22の不純物源膜4との界面近傍における格子振動を活性化させ、エピ層22の表面がアブレーションし始める状態となるように昇温させる。これにより、大気圧中での1ショットあたりの4H−SiCのエピ層22の表面への不純物元素の導入を促進する。
また第1の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、光パルスの1ショットあたりのエネルギー密度Fを高めることにより、高エネルギーの光パルスの影響で不純物源膜4の下側のエピ層22の表面の欠陥状態(荒れ)が生じることを考慮して、光パルスの照射前に、不純物源膜4の厚みを不純物源膜4が光パルス照射後に残存するレベルの厚さに予め設定してエピ層22の表面上に成膜する。これにより高エネルギーの光パルスを不純物源膜4に照射しても、照射後に不純物源膜4がエピ層22の表面に残存するのでエピ層22の表面の欠陥状態を所定の許容範囲内に収まるように制御する。
この結果、第1の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、対象物2としての4H−SiCのエピ層22の表面の不純物元素の濃度を1×1021の後半レベルという、4H−SiCの通常の固溶濃度を大きく上回る高濃度で導入することができると共に、対象物2の表面から50nm程度の深さ位置までに亘り、Alを1×1020cm−3程度以上導入することができる。また50nm以降の深さ位置においても、Alを表面から100nmレベルの深さまで導入することができる。
この点、不純物元素のイオンを高電圧で加速して結晶に注入する場合、基板の表面から深さ30nmまでの範囲であっても、1019cm−3以上の不純物を注入することは困難である。第1の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、イオン注入法による導入の上限値を、最表面の濃度及び侵入深さのいずれの点でも上回る。また第1の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、イオン注入法において、必要とされる対象物のイオン注入前の加熱処理や注入後の高温アニールを省ける点でも有利である。
また従来は、4H−SiCの対象物2上に不純物元素を固相導入源として設けてレーザー光6を照射しレーザードーピングする際、約6.7×10−5Paの低圧状態で行っていたが、第1の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、大気圧下でも不純物元素を導入可能になるため、低圧状態とするための設備負担や作業負担を無くし、従来以上に容易かつ迅速にレーザードーピングを行うことができる。
−第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法−
第1の実施の形態に係る不純物導入方法で用いた図4〜図7、図9、図12及び図18を用いて第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を説明する。例えば、まず図4に示したのと同様に、第1導電型の第1の半導体領域となるエピ層22を有する中間生成物を対象物2として用意する。第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、第1導電型はn型であり、第2導電型は第1導電型の反対のp型であると選択する。その後、図5に示したのと同様に、第1導電型の第1の半導体領域のn型のエピ層22側の上面に第2導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜4を成膜する。
次に、図6に示したのと同様に、第1の半導体領域であるエピ層22の上面に不純物源膜4を介してレーザー光6の光パルスを照射する。この際、エピ層22の上面にレーザー光6をスキャンして照射し、エピ層22の上部に、第2導電型の不純物元素を導入し、p++型の第2の半導体領域2aを所望のパターンで選択的に形成し、pn接合を得る。スキャンは、図1中のX−Y移動ステージ23の内部に双方向矢印で示したようなX−Y移動ステージ23の移動、又はビーム調整系33側の移動により行えばよい。また第2の半導体領域2aのパターニングは、予め不純物源膜4をエピ層22の表面上で所望のパターンに成膜した上で、膜のパターンに沿ってスキャン照射して行ってもよいし、或いは不純物源膜4をエピ層22の表面全面に成膜した上で、所望のパターンに沿ってスキャン照射して行ってもよい。
次に、図9に示したのと同様に、エピ層22の表面上に残留した不純物源膜4を除去し、その後、図12に示したのと同様に、エピ層22の表面上に固着した突起部3を除去して第2の半導体領域2aを露出する。そして図18に示すように、露出した第2の半導体領域2aの上に、例えばニッケル(Ni)や、チタン(Ti)やAlの積層膜等のオーム性接触をするアノード電極膜7を接合して形成する。また半導体基板21の裏面には、例えばNiからなるカソード電極膜8を形成する。
その後、真空アニールを875℃で6分間程度施し、アノード電極膜7を例えばTiSi等の電極膜として、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法が終了する。尚、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、導入する不純物元素の種類や、それぞれの濃度、形成する照射パターンを適宜変化させて組み合わせることで、各種の半導体素子を製造することが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法によれば、対象物2の表面に生じる欠陥状態を制御するように不純物源膜4の膜厚tを調整することにより、高エネルギーの光パルスを用いることで生じる問題を克服し、固相の不純物元素に対するレーザードーピングの高速化と、半導体素子の高品質化とを両立させる。そして1ショットの光パルスであっても、充分な侵入深さ及び表面濃度で不純物元素の導入領域を形成可能となるので、半導体領域をパターニングする作業時間を大きく低減できると共に、一定の品質を維持した半導体素子を効率よく大量生産できる。
また第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法によれば、不純物元素を対象物2の表面から非常に深い位置まで導入すると共に、高濃度で導入して半導体領域を形成するので、大電流を使用するパワー半導体等向けの半導体素子として好適な半導体素子を得ることができる。
(第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第1変形例)
第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、第1導電型(n型)の第1の半導体領域を有する中間生成物を対象物2として、対象物2のn型のエピ層22の内部にp++型の不純物元素を導入して第2の半導体領域2aを形成する場合を例として説明した。これに対し、図19〜図22に示すように、例えば第2導電型(p型)の第1の半導体領域をベース層73として有する中間生成物のp型のベース層73の内部に、ベース層73より高濃度のp++型の第2の半導体領域をベースコンタクト領域74aとして形成するようにすれば、MOSFETの製造方法の一部を構成できる。
この場合も、まず図19に示すように、ドレイン領域71の上にn型のドリフト層72をエピタキシャル成長させて形成し、更にドリフト層72の上にp型のベース層73を連続エピタキシャル成長させて形成した中間生成物を用意する。その後、図20に示すように、第2導電型のベース層73の上面に、第2導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜74を、光パルスの1回あたりの照射時間τ及びエネルギー密度Fを考慮して決定した膜厚tで成膜する。
次に、不純物源膜74を介してレーザー光6の光パルスを照射する。この際、ベース層73の上面にレーザー光6をスキャンして照射し、ベース層73の上部に、第2導電型の不純物元素を導入し、ベース層73よりも高濃度のp++型のベースコンタクト領域74aを所望のパターンで選択的に形成する。レーザー光6のスキャン及びベースコンタクト領域74aのパターニングの方法は、図6等に示した半導体素子の製造方法に準じればよい。
次に、ベース層73及びベースコンタクト領域74aの表面上に残留した不純物源膜74を除去し、その後、図21に示すように、ベースコンタクト領域74aの表面上に固着した突起部3を除去する。そしてそれぞれ図示を省略したソース領域の形成、ベース層73を貫通するU溝の形成、U溝の内側におけるゲート絶縁膜の形成、ゲート絶縁膜の上のゲート電極の形成等の工程を経て、図22に示すように、露出したベース層73及びベースコンタクト領域74aの上に、例えばNiやTiやAlの積層膜等のオーム性接触をするソース電極膜75を形成し、ドレイン領域71の裏面に図示を省略するドレイン電極膜を形成すれば、第1の実施の形態に係る半導体素子としてのMOSFETの製造工程が終了する。
第1変形例に係る半導体素子の製造方法を用いたMOSFETの製造方法によれば、ベース層73の内部で中間生成物の表面に、ベース層73に比し極めて高濃度のベースコンタクト領域74aを迅速に形成可能となるので、MOSFETの品質を維持しつつ効率よく大量生産できる。
(第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の第2変形例)
また第1の実施の形態に係る不純物導入方法を用いれば、図32に示すように、エピタキシャル成長層(エピ層)82の上部に高濃度のp++型の第2の半導体領域84a〜84cを所望する任意のパターンで形成することにより、主面に平行なpn接合を構成した半導体素子(ダイオード)が製造できる。以下に図23〜図33を用いて第1導電型(n型)の第1の半導体領域をエピ層82として有する中間生成物を用意し、この中間生成物のn型のエピ層82と不純物源膜84の間に、不純物元素の導入を選択的に阻止する障壁をなす、第1導入阻止パターン83a、第2導入阻止パターン83b及び第3導入阻止パターン83cを有する不純物導入マスクを設けて選択的なレーザードーピングを行う方法について説明する。
まず図23に示すように、n型の半導体基板81の上に、n型の半導体領域をエピタキシャル成長させて形成したエピ層82を有する中間生成物を用意する。エピ層82は、例えば1×1016cm−3程度の濃度であり、厚みは10μm程度で構成できる。その後、エピ層82の上面に、例えばプラズマCVD(PECVD)等により、酸化珪素(SiO)からなる薄膜を成膜する。そして成膜されたSiO膜の上にフォトレジスト膜を塗布し、塗布したフォトレジスト膜をフォトリソグラフィ技術でパターニングし、このパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして薄膜をエッチングして所望のパターンに形成する。薄膜がSiO膜の場合、エッチングは、例えばフッ化アンモニウム(NHF)及びフッ化水素酸(HF)を含む水溶液である緩衝フッ酸(BHF)を用いて行うことができる。
図24の上面図(平面図)には、エピ層82の主面の中央に形成された円環状の第1導入阻止パターン83aと、この第1導入阻止パターン83aと同心位置で第1導入阻止パターン83aの外側に導入窓部となる隙間を介して形成された円環状の第2導入阻止パターン83bと、この第2導入阻止パターン83bの外側に導入窓部となる隙間を介して形成された枠状の第3導入阻止パターン83cとを有するパターンが、薄膜をエッチングすることにより形成された場合が例示されている。第1導入阻止パターン83a、第2導入阻止パターン83b及び第3導入阻止パターン83cによって、本発明の「不純物導入マスク」が構成されている。
第1導入阻止パターン83aと第2導入阻止パターン83bの隙間及び第2導入阻止パターン83bと第3導入阻止パターン83cの隙間は所定の間隔を有し、それぞれ不純物元素の選択的な導入用の窓部をなし、図25に示すように、エピ層82の上面の一部がそれぞれの隙間に露出している。尚、図24及び図25中に例示した窓部をなす隙間の幅は略等幅であるが、この幅は、エピ層82と第2の半導体領域84a〜84cのpn接合から生じる空乏層の延伸状態を考慮して設定されるため、実際には例示したものに限定されず、適宜変更され得る。
次に、図26に示すように、エピ層82の上に、第2導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜84を、光パルスの1回あたりの照射時間τ及びエネルギー密度Fを考慮して決定した膜厚tで、第1導入阻止パターン83a、第2導入阻止パターン83b及び第3導入阻止パターン83cを介して成膜する。不純物元素がAlの場合、膜厚tは例えば240nm程度である。尚、図26中では説明の便宜のため、エピ層82の厚みと不純物源膜84の厚みは略同程度に描かれている。
次に、図27に示すように、大気雰囲気中で、不純物源膜84を介してレーザー光6としてKrFエキシマレーザーの光パルスを照射する。不純物元素がAlの場合、光パルスのエネルギー密度Fは例えば4.0J/cmとし、照射回数は1回とする。光パルスの照射は、1回の照射範囲に、第3導入阻止パターン83cの枠の内側の領域が漏れなくすべて含まれるようにビームを成形して行う。図27中では、第1導入阻止パターン83a、第2導入阻止パターン83b及び第3導入阻止パターン83cのすべての表面に対して光パルスが照射された状態が例示されている。
光パルスの照射により、第1導入阻止パターン83aと第2導入阻止パターン83bの隙間に露出したエピ層82の上部の一部に、堆積した不純物源膜84を介してp++型の不純物元素を選択的に導入する。また第2導入阻止パターン83bと第3導入阻止パターン83cの隙間に露出したエピ層82の上部の一部にも、堆積した不純物源膜84を介してp++型の不純物元素を選択的に導入する。
その結果、エピ層82の上部には、平面パターンで、p++型の不純物元素が選択的に導入された半導体領域84a〜84cの上面と、導入されないエピ層82の上面とが等間隔で交互に同心円状のパターンとして表れる。すなわちエピ層82の上部にn型の半導体領域とp型の半導体領域とが、主面に平行な面内に繰り返し形成された表面パターンが構成される。尚、p++型の半導体領域84a〜84cの幅及びp++型の半導体領域84a〜84c間の隙間の幅は、適宜変更して設定できる。
次に、図28に示すように、第1導入阻止パターン83a、第2導入阻止パターン83b及び第3導入阻止パターン83cの表面上に残留した不純物源膜84の一部を、所定のエッチング液で除去し、その後、p++型の半導体領域84a〜84cの表面上に発生して固着した図9に示したような突起部を除去する。不純物源膜84がAlの場合は、例えば75℃程度の熱リン酸(HPO)等をエッチング液として使用可能である他、リン酸/硝酸/酢酸混合液や王水等の種々の酸も使用可能である。
次に、エピ層82の上面と、第1導入阻止パターン83a、第2導入阻止パターン83b及び第3導入阻止パターン83cの上面とにフォトレジスト膜を塗布して、フォトリソグラフィ技術でフォトレジスト膜をパターニングする。そしてパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとし、BHF等を用いたエッチングにより、エピ層82の上面に残存する不純物導入マスクを選択的に除去した後、フォトレジスト膜を除去すると、図29に例示するように、第3導入阻止パターン83cのみが残留したパターンが形成される。すなわち第1導入阻止パターン83a及び第2導入阻止パターン83bが除去され、平面パターンで円形状の開口部が形成されている。この開口部には、エピ層82の上部のp++型の半導体領域84a〜84cが同心円状に形成された領域の上面が露出している。
次に、図30に示すように、エピ層82のp++型の半導体領域84a〜84cが同心円状に形成された領域を覆うように、例えばTi等の金属膜を成膜する。そして、半導体基板81に所定の温度で所定の時間、アニールを施し、表面側のアノード電極膜86を形成する。図30中には、エピ層82のp++型の半導体領域84a〜84cが形成された領域の上面に、アノード電極膜86が積層された状態が例示されている。尚、第3導入阻止パターン83cの内縁側の一部の領域の上面にも、アノード電極膜86が積層され、アノード電極膜86の周縁部をなすように形成されている。第3導入阻止パターン83cの内側の円形状のエピ層82の領域とアノード電極膜86との界面がショットキー界面をなし、p++型の半導体領域84a〜84cとアノード電極膜86との界面がオーミックコンタクトする。
次に、図31に示すように、ショットキー界面上のアノード電極膜86の上面に電極パッド87を形成する。その後、半導体素子の裏面側をなす半導体基板81のエピ層82と反対側の表面上に、例えばNi等の金属膜を成膜した上で、半導体基板81に所定のアニールを施し、裏面側のカソード電極膜85を形成する。
次に、エピ層82側の全面にポリイミド膜等を堆積させてパッシベーション膜88を形成する。尚、エピ層82の表面上に残存させた第3導入阻止パターン83cは層間絶縁膜として用いるが、CVD法等により別途SiO膜を追加して積層させることにより、層間絶縁膜として必要な厚みを適宜形成してもよい。
次に、図32に示すように、電極パッド87上のパッシベーション膜88の一部を、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により開口させ、その後、半導体基板81を複数のチップ状にダイシングして、電極パッド87を介してワイヤーボンディングし、パッケージに搭載(マウント)すれば、第2変形例に係る半導体素子の製造工程が終了する。
尚、エピ層82とアノード電極膜86とのショットキー接合の特性改善及び半導体基板81とカソード電極膜85とのオーミックコンタクト特性改善のため、アノード電極膜86の堆積後のアニール温度をカソード電極膜85より低くする場合は、図33に示すように、先にカソード電極膜85を形成した後で、図30に示したようなアノード電極膜86を形成し、以下、図31及び図32で説明したようなプロセスを行ってもよい。このとき例えば、カソード電極膜85のアニール温度を900℃とし、アノード電極膜86のアニール温度を500℃とすることができる。
第2変形例の実施例として、図34に示すように、平面パターンで約200μm程度の円形状のショットキー界面を有する半導体素子を例示する。この円の内側には、p++型の半導体領域84a〜84cの上面とエピ層82の一部の上面とが、それぞれ4μm程度の幅をなして同心で表れるように、p型の不純物元素であるAlが選択的に導入されている。すなわち実施例に係る半導体素子は、エピ層82の上部に形成された主面に平行なpn接合が、いわゆる接合障壁ショットキー構造(Junction Barrier Shottky構造)をなすダイオードである。この実施例に係る半導体素子の表面と裏面に電圧を印加し、表面と裏面の間の縦方向に流れる電流を測定した。
一方、p++型の半導体領域84a〜84cのレーザードーピング以外、図23〜図33で説明したプロセスを同様に行って、図35に示すように、選択的なp++型の半導体領域のパターンが形成されていない半導体素子を比較例として製造した。すなわち比較例に係る半導体素子は、通常のショットキーバリアダイオード(SBD)である。比較例に係る半導体素子についても、実施例に係る半導体素子と同様に電圧を印加して電流を測定した
図36中に実線の軌跡で示したように、正の電圧(順バイアス)を印加したとき、実施例に係る半導体素子は、破線の軌跡で示した比較例と同様に、2V以下の僅かな電圧の印加で、同等程度の電流が流れた。また負の電圧(逆バイアス)を印加すると、図37中に実線の軌跡で示したように、破線の軌跡で示した比較例と同様に、流れる電流(リーク電流)が小さく抑えられ、ダイオードとしての整流性を備えていることが分かった。一方、例えば−30Vの電圧を印加したとき、比較例に係る半導体素子のリーク電流は1×10−8A程度であったが、実施例に係る半導体素子のリーク電流は1×10−10A程度に抑えられ、比較例の場合よりおよそ2桁低減した。
このように第2変形例に係る半導体素子は、接合障壁ショットキー構造の特性を著しく向上させることができた。第2変形例に係る半導体素子の製造方法によれば、p型の不純物元素を選択的に高濃度で導入し、導入された半導体領域と導入しない半導体領域とにより所望のパターンを描くことにより、ワイドバンドギャップ半導体を用いた高耐圧、低オン抵抗で、且つ、リーク電流を低減させた半導体素子が実現できる。
(第2の実施の形態)
―不純物導入装置の構造―
本発明の第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bは、図38に示すように、対象物2の表面に不純物元素を含む不純物源膜4を設けると共に、不純物源膜4を介して対象物2にレーザー光6等のエネルギー密度の大きな光パルスを照射して不純物元素を導入する導入処理装置50と、この導入処理装置50の不純物源膜4の膜厚等の成膜条件及びレーザー光6のエネルギー密度や対象物2に対する光パルスの相対的な光照射位置等の光照射条件を制御可能な演算制御装置30と、を備える。
導入処理装置50は、真空排気可能なチャンバ51と、チャンバ51内に設けられ対象物2を支持し絶縁材料を含んで構成された支持台62と、支持台62の上に設けられた下部電極12と、を備える。チャンバ51内では不純物元素を含むターゲット54が下部電極12に対向して配置されている。チャンバ51の上部の対象物2に対向する位置には、光学窓(ビューポート)51aがチャンバ上板53の上に保持されて設けられると共に、チャンバ上板53及びこのチャンバ上板53の下に設けられたターゲット54には互いに同軸の貫通孔がそれぞれ形成されている。
光学窓51aの上方には光源34を有するビーム調整系33が設けられ、ビーム調整系33からレーザー光6が、光学窓51a、チャンバ上板53及びターゲット54のそれぞれの貫通孔を貫通して対象物2の上面に照射される。また導入処理装置50には支持台62の内部に、対象物2を加熱するシートヒータ等の加熱装置61が埋め込まれている。
導入処理装置50には、更に下部電極12とターゲット54との間に接続された電源15と、チャンバ51に接続されチャンバ51内に希ガスを導入するガス導入バルブ16と、チャンバ11に接続されチャンバ11内を真空状態にする真空ポンプ17と、が設けられる。電源15、ガス導入バルブ16及び真空ポンプ17はいずれも膜厚制御部31を介して演算制御装置30に接続されており、第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aの場合と同様に、それぞれの動作が制御される。
またビーム調整系33は光パルスを出射する光源34を有し、光源制御部32を介して演算制御装置30に接続され、第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aの場合と同様に、動作が制御される。図38中において、図1に示した不純物導入装置1aの同じ符号を付した部材については詳細な説明を省略する。
第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bにおいては、図1に示した成膜装置10と光照射装置20とを一体化して、対象物2をチャンバ51の内側に維持した状態で、成膜処理とレーザー光照射処理とを導入処理装置50の同じチャンバ51内で交互に連続的に行うことができるように構成されている点が、第1の実施の形態に係る不純物導入装置1aと異なる特徴である。また第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bでは、真空中でレーザー光6を照射可能であるため、10〜200nm付近の真空紫外光の範囲に含まれるArFエキシマレーザー(193nm)やFレーザー(157nm)のような短波長の光パルスを使用できる。
第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bによれば、成膜装置10と光照射装置20とを一体化して不純物元素の固相からのレーザードーピングを行うので、不純物源膜4の成膜処理後に対象物2を別の場所に搬送する必要がない。また例えば、レーザー光6を1ショットした後、照射領域上に再度、不純物源膜4を成膜し、先行のショットと同一の照射領域上にレーザー光6を更に1ショット、…のように、光パルスの照射処理と成膜処理とを連続して交互に繰り返し行うことも可能となり、不純物元素の導入速度をより早めて導入濃度を高めることができる。
また第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bによれば、対象物2を搭載した下部電極12の温度を加熱装置61によって調節して、対象物2を一定の温度に昇温させた状態で、光パルスを照射してレーザードーピングを行うことができる。対象物2を昇温させる熱効果により、不純物元素の注入及び拡散によって欠損した4H−SiCの結晶の回復を促進することができる。不純物元素がAlの場合、対象物2の温度が、室温以上500℃程度以下の状態であることが好ましい。500℃を超える場合、対象物2の周辺の装置の発熱量等も考慮して、Alが溶融し固相を維持できない場合がある。尚、第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bを用いた不純物導入方法については、第1の不純物導入方法と同様であるため、説明を省略する。また第2の実施の形態に係る不純物導入方法を用いた半導体素子の製造方法についても同様であるため、説明を省略する。
(第2の実施の形態に係る不純物導入装置の変形例)
第1の実施の形態に係る不純物導入方法では、レーザー光6の光パルスを照射する際には大気圧下で照射するように構成した。これに対し例えば、第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bを用いて、チャンバ51中の雰囲気ガスに気相の不純物元素を含ませると共に、不純物源膜4と同一の不純物元素からなる分子の分圧を高めることによって、ドーピング時のチャンバ51内の圧力を大気圧よりも高めて、光パルスを照射するように構成してもよい。これにより、雰囲気ガスに含まれる不純物元素の分圧を用いて不純物元素の導入を促進することができる。
(その他の実施の形態)
本発明は上記の開示した第1及び第2の実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。例えば、対象物2の表面の欠陥状態の程度を一定の範囲に制御できる限り、光パルスの照射回数を1回に限定することなく、2回、3回等、複数回照射するように構成してもよい。
不純物元素がレーザー光6のエネルギーを複数回吸収することにより、活性化率を高めることができる。特に第2の実施の形態に係る不純物導入装置1bによれば、このような連続的な照射を効率的に実行可能になる。ただし、照射回数が多すぎると作業時間がかかり過ぎ、半導体素子の生産性が低下するため、多くても10回程度以内、より好ましくは3回以内に留めることが好ましい。照射回数の制御は、演算制御装置30を介して光照射装置20の動作を制御すればよい。
また本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、pn接合ダイオードやMOSFETを半導体素子の代表例として説明したが、半導体素子としてはダイオードやMOSFETに限定されるものではない。本発明はIGBT、SIT、GTO、SIサイリスタ等、各種の半導体素子(半導体装置)に適用することができる。
また本発明に係る不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法は、図1〜図38で示したようなそれぞれの実施の形態の技術的思想を互いに組み合わせて構成してもよい。以上のとおり本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1a,1b 不純物導入装置
2 対象物(中間生成物)
2a 不純物導入領域(半導体領域)
3 突起部
4 不純物源膜
6 レーザー光
10 成膜装置
20 光照射装置
21 半導体基板
22 エピタキシャル成長層
30 演算制御装置
31 膜厚制御部
32 光源制御部
33 ビーム調整系
34 光源
50 導入処理装置
51 チャンバ
51a 光学窓
61 加熱装置
73 ベース層
74 不純物源膜
74a ベースコンタクト領域(コンタクト領域)
75 ソース電極膜(電極膜)
81 半導体基板
82 エピタキシャル成長層
83a 第1導入阻止パターン
83b 第2導入阻止パターン
83c 第3導入阻止パターン
84 不純物源膜
84a〜84c 半導体領域
85 カソード電極膜
86 アノード電極膜
F エネルギー密度
M 陥凹部
膜厚
τ 照射時間

Claims (24)

  1. 光パルスの1回あたりの照射時間及び前記光パルスのエネルギー密度を考慮して式(1)を用いて決定された膜厚で、固体材料からなる対象物の表面上に、前記固体材料に対する不純物元素を含む不純物源膜を堆積するステップと、
    前記光パルスを、前記照射時間及び前記エネルギー密度で前記不純物源膜に向けて照射して、前記対象物に前記不純物元素を導入するステップと、
    を含み、
    t=α・ln(F)−β …(1)
    ここでαは、不純物元素の種類と光パルスの照射時間とから定まる熱拡散長であり、Fは光パルスのエネルギー密度であり、βは補正係数であることを特徴とする不純物導入方法。
  2. 前記不純物源膜の膜厚は、前記光パルスの照射により前記対象物の表面に生じる陥凹部の分布状態又は深さを更に考慮して決定されることを特徴とする請求項1に記載の不純物導入方法。
  3. 前記エネルギー密度は、3.3J/cm以上6.0J/cm以下であることを特徴とする請求項2に記載の不純物導入方法。
  4. 前記光パルスの波長は、190nm以上であることを特徴とする請求項3に記載の不純物導入方法。
  5. 前記光パルスを照射する処理は、前記対象物を室温以上500℃以下の状態として行われることを特徴とする請求項4に記載の不純物導入方法。
  6. 前記固体材料が炭化珪素であり、前記不純物源膜がアルミニウム膜であることを特徴とする請求項1に記載の不純物導入方法。
  7. 前記膜厚は、前記エネルギー密度をF(J/cm)としたとき、
    240nm以上、
    (4.4×10・ln(F)−5350)nm以下、の範囲内で決定されることを特徴とする請求項6に記載の不純物導入方法。
  8. 第1導電型の第1の半導体領域を有する中間生成物を用意する工程と、
    光パルスの1回あたりの照射時間及び前記光パルスのエネルギー密度を考慮して式(1)を用いて決定される膜厚で、前記第1の半導体領域に対する不純物元素であって、第2導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜を前記第1の半導体領域の表面上に堆積する工程と、
    前記光パルスを、前記照射時間及び前記エネルギー密度で前記不純物源膜に向けて照射して、前記第1の半導体領域に前記不純物元素を導入することにより、第2導電型の第2の半導体領域を形成して、前記中間生成物にpn接合を含む素子構造を形成する工程と、
    を含み、
    t=α・ln(F)−β …(1)
    ここでαは、不純物元素の種類と光パルスの照射時間とから定まる熱拡散長であり、Fは光パルスのエネルギー密度であり、βは補正係数であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
  9. 一導電型の半導体領域を有する中間生成物を用意する工程と、
    光パルスの1回あたりの照射時間及び前記光パルスのエネルギー密度を考慮して式(1)を用いて決定される膜厚で、前記半導体領域に対する不純物元素であって、前記一導電型と同一導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜を前記半導体領域の表面上に堆積する工程と、
    前記光パルスを、前記照射時間及び前記エネルギー密度で前記不純物源膜に向けて照射して、前記半導体領域に前記不純物元素を導入することにより、前記半導体領域よりも高濃度のコンタクト領域を形成する工程と、
    前記コンタクト領域に対しオーム性接触をする電極膜を形成して、前記中間生成物にオーム性のコンタクト構造を含む素子構造を形成する工程と、
    を含み、
    t=α・ln(F)−β …(1)
    ここでαは、不純物元素の種類と光パルスの照射時間とから定まる熱拡散長であり、Fは光パルスのエネルギー密度であり、βは補正係数であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
  10. 前記光パルスを照射する処理は、前記不純物元素を導入した領域をパターニングするように前記光パルスをスキャンして行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体素子の製造方法。
  11. 第1導電型の第1の半導体領域を有する中間生成物を用意する工程と、
    前記第1の半導体領域の上に、不純物導入用の窓部を有する不純物導入マスクを形成する工程と、
    前記第1の半導体領域に対する不純物元素であって、第2導電型を呈する不純物元素を含む不純物源膜を、一部に前記不純物導入マスクを介在して、光パルスの1回あたりの照射時間及び前記光パルスのエネルギー密度を考慮して式(1)を用いて決定される膜厚で前記第1の半導体領域の表面上に堆積する工程と、
    前記光パルスを、前記照射時間及び前記エネルギー密度で前記不純物源膜に向けて照射して、前記窓部の直下の前記第1の半導体領域に第2導電型の第2の半導体領域のパターンを選択的に形成する工程と、
    を含み、
    t=α・ln(F)−β …(1)
    ここでαは、不純物元素の種類と光パルスの照射時間とから定まる熱拡散長であり、Fは光パルスのエネルギー密度であり、βは補正係数であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
  12. 前記不純物導入マスクは、酸化珪素膜であることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子の製造方法。
  13. 光パルスを出射する光源を有し、前記光パルスを対象物に照射するビーム調整系と、
    前記光源を制御する光源制御部と、を備え、
    固体材料からなる前記対象物の表面に、前記固体材料に対する不純物元素を含み、前記光パルスの1回あたりの照射時間及び前記光パルスのエネルギー密度を考慮して式(1)を用いて決定された膜厚を有する不純物源膜を形成し、前記不純物源膜に対して前記照射時間及び前記エネルギー密度で前記光パルスを照射して、前記対象物に前記不純物元素を導入し、
    t=α・ln(F)−β …(1)
    ここでαは、不純物元素の種類と光パルスの照射時間とから定まる熱拡散長であり、Fは光パルスのエネルギー密度であり、βは補正係数であることを特徴とする不純物導入装置。
  14. 前記照射時間と、前記エネルギー密度と、前記不純物元素の種類とを入力データとして前記膜厚を決定する演算処理を実行する演算制御装置を更に備えることを特徴とする請求項13に記載の不純物導入装置。
  15. 前記演算制御装置は、前記光パルスの照射により前記対象物の表面に生じる陥凹部の分布状態又は深さを更に考慮して前記膜厚を設定することを特徴とする請求項14に記載の不純物導入装置。
  16. 前記光源は、前記エネルギー密度が3.3J/cm以上6.0J/cm以下となる前記光パルスを出射することを特徴とする請求項15に記載の不純物導入装置。
  17. 前記光源は、波長が190nm以上の前記光パルスを出射することを特徴とする請求項16に記載の不純物導入装置。
  18. 前記光源は、前記光パルスを照射領域1箇所につき1回以上10回以内の照射回数で出射することを特徴とする請求項17に記載の不純物導入装置。
  19. 前記光パルスの照射時に前記対象物を室温以上500℃以下の状態に調温可能な加熱装置を更に有することを特徴とする請求項18に記載の不純物導入装置。
  20. 前記固体材料が炭化珪素であり、前記不純物源膜がアルミニウム膜であることを特徴とする請求項13に記載の不純物導入装置。
  21. 前記演算制御装置は、前記膜厚を、前記エネルギー密度をF(J/cm)としたとき、
    240nm以上、
    (4.4×10・ln(F)−5350)nm以下、の範囲内で決定することを特徴とする請求項14に記載の不純物導入装置。
  22. 前記対象物を収納し、前記不純物源膜を前記膜厚で前記対象物の表面上に成膜する処理を実行するチャンバを備えることを特徴とする請求項21に記載の不純物導入装置。
  23. 前記チャンバは、前記光パルスを導入する光学窓を備え、
    前記対象物を前記チャンバの内側に維持した状態で、前記不純物源膜を前記対象物の表面上に設ける処理と、前記光パルスを前記対象物に照射する処理とを、交互に連続して実行可能に構成されていることを特徴とする請求項22に記載の不純物導入装置。
  24. 前記中間生成物が炭化珪素であり、前記不純物源膜がアルミニウム膜であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
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