JP6647554B2 - 造塩染料及びそれを用いた筆記具用インキ組成物 - Google Patents
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Description
また、油性インキに用いられる溶剤として、キシレンやケトン等が用いられている。これらの溶剤は、人体に対する毒性や臭気等の問題を有するので、アルコールやグリコールのようなアルコール系溶剤が用いられている。しかしながらアルコール系溶剤は親水性であるので、これらの溶剤中に染料を溶解させたインキは耐水性に乏しく、筆跡が水に濡れると染料が滲み出してしまう。そのため書かれた文字の判読が困難になったり、未使用の筆記媒体に染料が写って染着したりするという不具合を生じる。
造塩染料は、前記酸性染料及び前記有機酸が少なくともスルホン酸基を2個有するものであることが好ましい。
造塩染料は、前記酸性染料がジスアゾ酸性染料であってもよい。
造塩染料は、燃焼クーロメトリー法によって測定された全塩素量が50〜1000ppmであることが好ましい。さらに造塩染料は、原子吸光で測定した鉄の含有量が最大で100ppmであることがより好ましい。
本発明の筆記具用染料は、上記いずれかの造塩染料を含むものである。
本発明の黒色配合着色剤は、上記いずれかの造塩染料を含むものである。
本発明の筆記具用インキ組成物は、上記の筆記具用染料又は上記の黒色配合着色剤と、液媒体と、前記液媒体に溶解する樹脂とを、少なくとも含むものである。
本発明の黒色配合着色剤は、上記の造塩染料を含んでいるので、高濃度に発色して深色化した良好な漆黒を発色する。
本発明の筆記具用インキ組成物は、上記の造塩染料を含んでいるので、耐水性に優れ筆跡のブリードや滲みが生じ難い。
本発明の造塩染料について、まず造塩染料Aを説明する。化学式(1)中、Yが酸性染料から得られる残基(酸性染料アニオン)である本発明の造塩染料Aは、下記化学式(2)で表される。
一般的に市販されているものは、化学式(5)中のXb−がCl−であり、m=1であるトリフェニルメタン系塩基性染料である。
工程1:塩基性染料を溶解する工程
工程2:酸性染料を溶解する工程
工程3:造塩染料を合成し、結晶を析出する工程
工程4:得られた造塩染料の結晶を濾過・水洗する工程
工程5:濾過された造塩染料を乾燥する工程
を少なくとも有する製造方法である。この製造方法によれば、高純度の造塩染料Aを得ることができる。以下、各工程を詳しく説明する。
工程1は、トリフェニルメタン系塩基性染料と無機酸又は有機酸とを、溶媒に加えて加熱しながら混合し、トリフェニルメタン系塩基性染料を溶解する工程である。この溶媒として、精製水、蒸留水、及び純水のような水やアルコールのような親水性溶媒を挙げることができる。なかでも水が好ましい。無機酸として塩酸、硫酸及び硝酸が挙げられ、有機酸として酢酸、乳酸及びシュウ酸が挙げられる。なかでも塩酸が好ましい。無機酸又は有機酸の量は、トリフェニルメタン系塩基性染料を溶解することができれば特に限定されないが、トリフェニルメタン系塩基性染料に対して0.5〜1.5当量であることが好ましい。また無機酸又は有機酸のpHは、1〜4であることが好ましい。混合・溶解の温度は、室温から80℃が好ましい。
[工程2]
工程2は、酸性染料と塩基性物質とを溶媒中で混合して、酸性染料を溶解する工程である。溶媒として水や親水性溶媒が挙げられる。塩基性物質として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムのような水酸化物;炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムのような炭酸塩;アンモニア水を挙げることができ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましい。塩基性物質の量は、酸性染料を溶解することができれば特に限定されないが、酸性染料に対して0.5〜1.5当量であることが好ましい。また塩基性物質のpHは8〜11が好ましい。酸性染料は、弱アルカリ条件とすることにより、溶媒に溶解し易い。混合・溶解の温度は、室温から90℃が好ましい。
[工程3]
工程3は、工程1の溶液に、pHを弱酸性又は中性に調整しつつ加熱しながら工程2の溶液を加えて造塩染料を合成し、結晶を析出させる工程(工程3−1)、又は工程2の溶液に、pHを弱アルカリ性から弱酸性に調整しつつ加熱しながら工程1の溶液を加え、造塩染料を合成し、pHを弱酸性にして結晶を析出させる工程(工程3−2)である。工程3における反応は、下記化学式(6)で表される。
[工程4]
工程4は、工程3で得られた造塩染料の結晶を濾過・水洗して造塩染料を得る工程である。工程1〜工程3において生成した無機塩の量を低減するため、濾液の電導度が300μS/cm以下となるように濾過することが好ましい。また必要に応じて、造塩染料を溶解し、この溶解液をイオン交換膜に通じて脱塩処理を行ってもよい。濾過することによって得られた造塩染料の結晶又はウェットケーキに洗浄水を加えることによって、造塩染料を再分散させて水洗することが好ましい。
[工程5]
工程5は、工程4で得られた造塩染料を乾燥させる工程である。乾燥方法として、熱風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、及びスプレードライ乾燥を挙げることができる。
得られた造塩染料Aは、非水溶性で油溶性の染料構造を有しているため、不純物や原料、特に無機塩を除去し易い。
少なくとも2個のスルホン酸基(ジスルホン酸)を有する酸性染料は、2個のアゾ基を有するジスアゾ酸性染料であることがより好ましい。それにより、スルホン酸基の深色化効果に加えて、2個のアゾ発色部がさらに強い着色力を発現するので、造塩染料Aが高濃度に発色する。このような造塩染料Aを含む黒色配合着色剤や、筆記具用インキ組成物は、特にボールペン用のインキに好適に用いられる。
さらに、C.I.Acid Red 97のようにβ−ナフトールを2個有するジスアゾ酸性染料を選択することにより、造塩染料Aの堅牢性が向上して、耐熱性や耐光性が向上する。造塩染料Aは、このように酸性染料の構造を選択することにより、深色化し、紫色が深くなり、高濃度においては黒色に近くなっている。このため、調色において、黒色系の色合わせが容易になり、黒色用途の原材料として、好適に用いられる。またジスアゾ酸性染料は高い水溶性を有しているため、造塩染料Aの製造工程において、未反応のジスアゾ酸性染料が残存していたとしても、水洗することによって容易に取り除くことができ、造塩染料Aの純度を高めることができる。
C.I.Acid Yellow 4、6、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、39、40、40:1、41、43、46、48、53、55、60、63、65、66、69、72、76、94、122、127、131、136、143、144、145、146、149、153、168、169,172、174、178、180、189、190、192、199等;
C.I.Acid Orange 1、1:1、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、20:1、22、23、27、28、28:1、30、31、35、36、41、50、102、106、117、119、131、134、136等;
C.I.Acid Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、25:1、26、26:1、26:2、27、29、30、31、32、33、34、35、36、37、39、40、41、42、43、44、45、53、54、55、57、59、60、62、64、68、74、76、76:1、88、102、106、107、108、110、113、120、127、131、133、135、137、138、141、155、157、160、161、172、175、176、177、181、229、231、237、239、240、242、249、252、253、257、263、264、266、267、274、276、280、309、311、324、325、326、334、335、336、337、340、343、344、347、348、353、354等;
C.I.Acid Violet 1、2、3、5、5:1、6、7、7:1、11、12、13、14、20、27、67、96、97等;
C.I.Acid Blue 4、6、21、70、89、92、95、117、135、155、159、169、174、183等;
C.I.Acid Green 2、55、66、70等;
C.I.Acid Brown 2、3、4、6、7、8、9、12、16、20、23、35、38、51、71、87、88、89、90、91、102、203、324、340、345等;
C.I.Acid Black 22、31、34、128、173等;
C.I.Direct Yellow 127、129等;
C.I.Direct Orange 17、75、76、84、104、114等;
C.I.Direct Red 3、20、47、48、51、64、65、66、69、70、113、118、118:1、119、123、126、131、142、144、145、147、151、168、191、193、215、216等;
C.I.Direct Violet 8、10、97等;
C.I.Direct Green 24、78、80等;
C.I.Direct Brown 30、53、55、191等
を挙げることができる。
C.I.Acid Yellow 38、42、42:1、44、51、56、67、68、82、83、84、86、87、90、105、115、117、132、141、142、159、166、175、183、187、188、191等;
C.I.Acid Orange 4、24、24:1、25、33、37、38、45、49、51、54、55、56、59、79、83、94、95、116、128、132、138等;
C.I.Acid Red 47、56、65、66、67、70、71、73、85、86、89、97、99、104、111、114、115、116、123、125、128、132、134、142、144、148、150、151、152、154、158、163、164、167、170、171、173、241、255、260、286、299、323、333、350、351等;
C.I.Acid Violet 4、30、102等;
C.I.Acid Blue 29、44、73、85、113、114、116、118、120、128、262等;
C.I.Acid Green 19、20、34、94等;
C.I.Acid Brown 5、14、15、17、24、32、41、43、55、62、63、65、70、73、74、77、79、80、125、152、153、154、155、156、157、158、197、198、199、200、202、204、205、206、208、209、213、215、229、247、288、318、319、323、326、327、341等;
C.I.Acid Black 1、3、5、5:1、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16、16:1、17、18、20、21、23、24、26、26:1、26:2、26:3、26:4、27、28、30、32、35、36、37、41、166等;
C.I.Direct Yellow 1、2、4、12、13、15、20、24、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、120、121、126、132、133、134等;
C.I.Direct Orange 1、2、3、4、5、6、7、8、10、13、19、20、21、24、25、26、29、29:1、30、31、32、33、43、49、51、56、59、69、72、73、74、79、80、83、85、87、88、90、91、92、95、96、97、98、101、102、102:1、108、112等;
C.I.Direct Red 1、2、2:1、4、5、6、7、8、10、10:1、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、26、26:1、28、29、31、33、33:1、34、35、36、37、39、42、43、43:1、44、46、49、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、67、67:1、68、72、72:1、73、74、75、77、78、79、81、81:1、85、86、88、89、90、97、100、101、101:1、107、108、110、114、116、117、120、121、122、122:1、124、125、127、127:1、127:2、128、129、130、132、134、135、136、137、138、140、141、148、149、150、152、153、154、155、156、169、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、186、189、204、211、213、214、217、222、224、225、226、227、228、232、236、237、238等;
C.I.Direct Violet 1、3、4、5、6、7、9、11、12、13、14、16、17、18、21、22、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、51、52、57、58、61、62、63、64、71、72、77、78、79、80、81、82、83、85、86、87、88、93等;
C.I.Direct Blue 1、2、3、4、6、7、8、8:1、9、10、12、14、15、16、19、20、21、21:1、22、23、25、27、29、31、35、36、37、40、42、45、48、49、50、53、54、55、58、60、61、64、65、67、79、96、98:1、101、111、116、122、123、124、128、129、130、130:1、132、136、138、140、145、146、149、152、153、154、156、158、158:1、164、165、166、167、168、169、170、174、177、181、184、185、188、192、193、206、207、209、213、215、225、226、229、230、231、242、243、244、253、254、260、263等;
C.I.Direct Green 11、13、14、34、38、42、49、55、56、57、60、79等;
C.I.Direct Brown 2、18、37、50、56、58、59、60、67、80、86、112、118、123、125、126、146、147、148、152、155、165、167、168、179、184、185、186、206、208等;
C.I.Direct Black 3、15、17、29、30、39、47、51、71、84、85、86、87、90、96、104、129、148等
を挙げることができる。
C.I.Direct Violet 54等;
C.I.Direct Blue 97、106、107、108、109、190等
を挙げることができる。
C.I.Acid Yellow 7等
を挙げることができる。
C.I.Acid Red 50、52、91、92、93、289、306等;
C.I.Acid Violet 9等;
C.I.Acid Blue 19等
を挙げることができる。
C.I.Acid Yellow 2、3、5等;
C.I.Direct Yellow 5、119等
を挙げることができる。
C.I.Acid Violet 15、16、17、19、21、23、24、25、38、49、72等;
C.I.Acid Blue 1、3、5、7、9、11、13、15、17、22、24、26、34、48、75、83、84、86、88、90、90:1、91、93、99、100、103、104、108、109、110、119、123、147、206、213、269等;
C.I.Acid Green 3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、18、22等
を挙げることができる。
C.I.Acid Red 80、81、82、83、143、356等;
C.I.Acid Violet 29、31、33、34、36、39、41、42、43、47、51、63、76、103、109等;
C.I.Acid Blue 2、8、14、23、25、27、35、37、40、41、41:1、43、45、46、47、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、62、62:1、63、64、65、68、69、78、79、80、81、96、111、124、127、127:1、129、137、138、143、145、150、175、176、198、203、204、205、208、227、230、231、232、233、235、239、245、247、253、257、258、260、261、264、266、271、272、273、274、277、278、280等;
C.I.Acid Green 10、17、25、25:1、27、36、37、38、40、41、42、44、54、59、69、71、81、84、95等;
C.I.Acid Brown 25、26、27、36等;
C.I.Acid Black 46、48、48:1、50、97等;
C.I.Direct Green 30等
を挙げることができる。
なお上記の化学式中、アンモニウム原子団として、NH4 +や炭素数1〜12のアルキル基を有するモノ−,ジ−,トリ−,又はテトラアルキルアンモニウムイオンが挙げられる。
硫酸エステル系界面活性剤として、具体的に、アルキル硫酸エステル又はその塩、アルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル又はその塩、及びアルキルアミド硫酸エステル又はその塩が挙げられる。
本発明の造塩染料を含む黒色配合着色剤は、黒色筆記具用インキの着色剤である。造塩染料A及び/又は造塩染料Bの調色に、黄色染顔料、赤味の黄色(オレンジ色)染顔料、及び赤色染顔料を用いることができる。
黄色染料の具体的な例として、
C.I.Solvent Yellow 13、15、21、30、32、34、44、54、57、60、61、62、65、83、93、105、120、136、155等;
C.I.Basic Yellow 28、51等;
を挙げることができる。
赤味の黄色(オレンジ色)染料の具体的な例として、
C.I.Solvent Orange 1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、19、20、37、37.1、40、40:1、49等;
C.I.Basic Orange 2、22等
を挙げることができる。
赤色染料の具体的な例として、
C.I.Solvent Red 8、13、14、18、30、35、36、37、38、39、46、49、52、79、81、82、83、96、99、100、102、109、112、113、115、119、122、124、127、128、142、184、185、186、187、203、2034、205、206等;
C.I.Basic Red 1等
を挙げることができる。
C.I.Pigment Yellow 1、3、12、13、14、16、17、34、42、55、73、74、79、81、83、93、94、95、97、104,109、110、111、120、128、133、136、138、139、147、151、154、155、167、173、174、175、176、180、185、191、194、213等
を挙げることができる。
赤味の黄色(オレンジ色)顔料の具体的な例として、
C.I.Pigment Orange 5、13、16、34、36、38、43、62、68、72、74等
を挙げることができる。
赤色顔料の具体的な例として、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、25、30、31、32、37、38、39、40、41、42、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、49:3、50、50:1、50:2、50、52、52:1、52:2、52:3、53:1、53:2、54、55、56、57、57:1、57:2、58、58:1、58:2、58:3、58:4、59、60、60:1、101、104、112、122、144、146、149、166、170、175、176、177、179、184、185、187、188、202、207、208、209、210、211、213、214、242、253、254、255、256、257、264、266、268、270、272等
を挙げることができる。
黒色含金染料の具体的な例として、
C.I.Solvent Black 15、22、22:1、23、25、26、27、28、29、30、34、35、36、37、38、40、41、42、43、45、47、48等
を挙げることができる。
黒色顔料の具体的な例として、
C.I.Pigment Black 1、6、7、11、28、30等
を挙げることができる。
本発明の筆記具用インキ組成物は、少なくとも造塩染料A及び造塩染料Bのいずれかを含む筆記具用染料、又は少なくとも造塩染料A及び造塩染料Bのいずれか並びに染顔料のような着色剤を配合することにより得られる配合着色剤と、液媒体と、この液媒体に溶解する樹脂とを含むものであり、ボールペン、マーキングペン、サインペンのような筆記具に充填されることにより好適に用いられる。筆記具用染料又は配合着色剤の含有量は、筆記具用インキ組成物全量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜25質量%であることがより好ましい。含有量が0.1質量%未満であると、筆記具用インキ組成物の着色力、発色性が不十分となってしまう。一方30質量%を超えると筆跡にカスレが生じてしまう。
この筆記具用インキ組成物によれば、造塩染料A、造塩染料B、及び黒色配合着色剤の少なくとも一種の着色剤を含有する油性のインキを処方でき、このインキが充填された筆記具による筆跡は、耐水性及び耐ブリード性に優れている。
アルコール系溶剤は、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、3−ペンタノール、tert-アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n-ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、2−フェノキシエタノールのような高級アルコール等が挙げられる。
多価アルコール系溶剤として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコールのような分子内に2個以上の炭素、2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコール、及びこれらの誘導体が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤として、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、なかでも炭素数2〜7のグリコールエーテルが好ましい。
ジエーテル系溶剤として、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤として、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、分子内にヒドロキシ基を有しないジエステルが挙げられる。
このような樹脂として、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンのようなケトン系樹脂;ポリスチレンのようなスチレン系樹脂;ポリビニルブチラールのようなポリビニルアセタール;ポリビニルピロリドン;ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂のようなマレイン酸系樹脂;ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂のようなフェノール系樹脂;スチレン−アクリル樹脂のようなアクリル系樹脂;ロジン系樹脂;尿素アルデヒド系樹脂;シクロヘキサノン系樹脂が挙げられる。なかでもポリビニルブチラール樹脂が好ましい。造塩染料A及び造塩染料Bは、製造工程における水洗によって未反応の酸性染料のような遊離した酸成分を有していないので、この酸成分によるポリビニルブチラール樹脂の加水分解を生じさせず、筆記具用インキ組成物は経時安定性や保存安定性に優れている。そのためポリビニルブチラール樹脂を選択することによって、筆記具用インキ組成物に良好な造膜性や高い増粘作用を付与できる。
ボールペンの構造、形状は特に限定されないが、例えばボールを先端のボール受け座に装着したボールチップを先端部に接続させているインキ収容管が軸筒の内空に収容され、このチップが軸筒の先端から突き出ている構造を有しているボールペンを挙げることができる。インキ収容管の開口した基端から筆記具用インキ組成物が充填された後、基端の開口は逆流防止の液栓又は逆流防止体で塞がれる。ボールが筆記媒体上を転がることにより、ボールチップとボールとの間隙からボール表面に筆記具用インキ組成物が供給され、筆記媒体に染み込んで筆跡が形成される。なお軸筒やインキ収容管は、樹脂成形物や金属加工体である。
マーキングペンの構造や形状は特に限定されないが、例えば軸筒の内空に、繊維束で形成されたインキ吸蔵体と、これに一体化したペン芯が軸筒の先端から突き出ている構造や、これに加えて軸筒の先端部に、繊維束で形成された櫛溝状のインキ流量調節部材を有しているマーキングペンを挙げることができる。筆記具用インキ組成物が、軸筒に充填されることにより、インキ吸蔵体に含浸される。ペン芯に筆記具用インキ組成物が供給され、繊維チップが紙のような筆記媒体にこすり付けられることにより、筆記具用インキ組成物が筆記媒体に染み込んで筆跡が形成される。なおペン芯は、繊維束製、フェルト製、又はプラスチック製を用いることができる。
潤滑剤として、オレイン酸のような高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アシルアミノ酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸トリエステル、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル又はこれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩のリン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。これらの潤滑剤は、単独又は複数が混合されたものであってもよい。潤滑剤を含む筆記具用インキ組成物は、ボールペンのボールチップのボール受け座の摩耗防止効果を発現する。
潤滑性をさらに向上させる微粒子が筆記具用インキ組成物に含まれていてもよい。この微粒子として、アクリル系、シリコーン系、ポリエチレン系の樹脂微粒子やアルミナ微粒子、シリカ微粒子が挙げられる。なかでも、球状のシリカ微粒子が好ましい。微粒子がボールチップのボール受け座とボールとの間隙に入り込むことにより、ボール受け座とボールとの金属接触が抑制されるので、潤滑性が向上する。
せん断減粘性付与剤として、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体の水溶液、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、デキストリン脂肪酸エステル、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカが挙げられる。せん断減粘性付与剤を含んでいることにより、ボールペンのボールとボールチップとの間隙から筆記具用インキ組成物が遺漏せず、またボールチップを上向き(正立状態)でボールペンが放置された場合に筆記具用インキ組成物が逆流しない。
粘度調整剤として、ケトン樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドンのような合成高分子物質;グァーガム、ローカストビーンガムのような種子多糖類及びその誘導体;ザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、のような微生物系多糖類及びその誘導体;カラーギナン、アルギン酸のような海藻多糖類及びその誘導体;タラガントガムのような樹脂多糖類;セルロース系樹脂;ピロリドン系樹脂が挙げられる。
レベリング剤として、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
防錆剤として、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン、エチレンジアミン四酢酸、金属塩系化合物、及びリン酸エステル系化合物が挙げられる。
防腐剤として、ベンゾイソチアザリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、イソチアゾロン、オキサゾリジン系化合物が挙げられる。
表面張力調整剤として、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。
酸化防止剤として、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン類が挙げられる。
紫外線吸収剤として、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及びp−安息香酸−2−ヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。
消泡剤として、ジメチルポリシロキサンのようなシリコーン系化合物、鉱物油、及びフッ素系化合物が挙げられる。
湿潤剤として、グリセリン、ソルビタン系化合物、多糖類、尿素、エチレン尿素又はこれらの誘導体が挙げられる。
分散助剤として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
pH調整剤として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アミン、アンモニウムのようなアルカリ化剤が挙げられる。
このような染料として、公知の染料インキ組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、造塩染料、アルコール溶解性染料、アゾイック染料、硫化染料、硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶性染料、食用染料、及び金属錯塩染料が挙げられる。これらの染料として、アゾ系染料、アントラキノン系染料、オキサジン系染料、フタロシアニン系染料、キナクリドン系染料、キノフタロン系染料、トリフェニルメタン系染料、ペリノン系染料、及びペリレン系染料を挙げることができる。染料の含有量は、筆記具用インキ組成物全量に対して、0.01〜50質量%であることが好ましい。
また前記染料は、市場において入手可能な造塩染料が好ましい。この造塩染料として、
VALIFAST(登録商標) YELLOW 1101、1103、1109、3108、3120、3150、3170、3180、4120、4121等;
VALIFAST ORANGE 1201、2210、3208、3209、3210等;
VALIFAST RED 1308、1320、1364、1388、2303、2320、3304、3306、3311、3312、3320等;
VALIFAST PINK 2310N、2312等;
VALIFAST BROWN 2402、3402、3405等;
VALIFAST GREEN 1501等;
VALIFAST BLUE 1605、1613、1621、1631、2620、2670、2680等;
VALIFAST VIOLET 1701、1702、1704、1705等;
VALIFAST BLACK 1807、1821、3804、3806、3808、3810、3820、3830、3840、3870、3877等;
OIL BLUE 613等;
OIL PINK 312(オリヱント化学工業社製)等;
C.I.Basic Red 1とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸との造塩染料;
C.I.Basic Red 1:1とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸との造塩染料;
C.I.Basic Red 2と有機酸との造塩染料;
C.I.Basic Yellow 1と有機酸との造塩染料;
C.I.Basic Yellow 2と有機酸との造塩染料;
C.I.Basic Yellow 51と有機酸との造塩染料;
C.I.Basic Yellow 52と有機酸との造塩染料;
C.I.Acid Black 52とアミンとの造塩染料
が挙げられる。
前記顔料は、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン顔料のような無機顔科;タルク、シリカ、アルミナ、マイカ、アルミナシリケートのような体質顔科;アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、各種レーキ顔料のような有機顔料;蛍光顔料、パール顔料、金色、銀色のようなメタリック顔料が挙げられる。
また潤滑性を有する黒色顔料として、黒鉛(グラファイト)が好ましい。黒鉛は、人造黒鉛及び天然黒鉛を使用でき、鱗片上黒鉛、塊状黒鉛、及び土状黒鉛を、必要に応じた性状と大きさのものを使用できる。
他の黒色顔料として、プリンテックス3、25、30、35、40、45、55、60、75、80、85、90、95、300、スペシャルブラック4、5、100、250、550(以上、エボニックデグサジャパン社製)。
三菱カーボンブラック#2700、#2650、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750、#650、#260、#95#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、MCF88、MA600、MA77、MA7、MA11、MA100、MA100R、MA100S、MA220、MA230(以上、三菱化学社製)、
トーカブラック#8500/F、#8300/F、#7550SB/F、#7400、#7360SB/F、#7350/F、#7270SB、#7100/F、#7050(以上、東海カーボン社製)等のカーボンブラックや、
ダイヤモンドブラックN(玉億色材社製)等のアニリンブラックや、ボーンブラック(三重カラーテクノ社製)や、鉄化ブラックKN−320(日本鉄化社製)等の鉄黒が挙げられる。
黄色顔料、赤味の黄色(オレンジ色)顔料、及び赤色顔料は、黒色配合着色剤に含まれるものと同様のものを使用できる。
青色顔料として、C.I.Pigment Blue 2、9、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、28、29、36、60、68、76、80等が挙げられる。
緑色顔料として、C.I.Pigment Green 7、36、37等が挙げられる。
紫色顔料として、C.I.Pigment Violet 19、23等が挙げられる。
これらの顔料は、単独又は複数が混合されたものであってもよい。
必要に応じて無機顔料の分散体や染料が添加された加工顔料を用いてもよい。さらに、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィンのようなモノマーを重合して得られる樹脂エマルション、筆記具用インキ組成物中で膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、又はこれらのエマルションが着色剤で染着された染着樹脂粒子である有機多色顔料を用いてもよい。
顔料は、ディゾルバーのような攪拌機により攪拌されることによって、また、ボールミルやロールミル、ビーズミル、サンドミル、ピンミルのような粉砕機により混合粉砕された後、遠心分離や濾過されることで粗大粒子、未溶解物、及び混入固形物が取り除かれていることが好ましい。
染料例A−1を、塩素・硫黄分析装置(三菱化学アナリテック社製、製品名TOX−2100H)にて全塩素の含有量を測定したところ、423ppmであった。
染料例A−1を、原子吸光測定器(バリアン テクノロジーズ ジャパン リミテッド社製、製品名SpectrAA−220FS)にて鉄の含有量を測定したところ、58ppmであった。
染料例A−1の吸光度を次の条件で測定した。
染料例A−1を0.050g秤量し、ベンジルアルコール10mLに溶解させ、100mLメスフラスコに加え1−メトキシ−2−プロパノールで100mLとした。この溶液1mLをホールピペットで秤量し100mLメスフラスコに移し、1−メトキシ−2−プロパノールを加えて100mLとした。この溶液の吸光度を、紫外線可視分光光度計(島津製作所社製、製品名UV−1700 UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER)にて測定した。結果を図1に示した。
トリフェニルメタン塩基性染料とC.I.Acid Red 97との造塩染料(染料例A−2)の合成
染料例A−2の化学式は、染料例A−1の化学式(A−1)と同一である。
3Lビーカーに水2450gを入れて75℃に加熱し、50gのトリフェニルメタン塩基性染料1をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=3.8)。この溶液に5質量%の塩酸溶液を加えpH=2.7とした後濾過し、濾液を5Lビーカーに移して、溶液−Aとした。別な1Lビーカーに水576gを入れて75℃に加熱し36gのC.I.Acid Red 97をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=8.3)。この溶液に炭酸ナトリウム4gを加えpH=10.7とした後濾過し、溶液−Bとした。溶液−A及び溶液−Bを50℃に加熱し、溶液−Aに溶液−Bを40分間で滴下し50℃にて1時間反応した(pH=7.1)。8質量%酢酸水溶液をこれに徐々に加えpH=4.7に調整した後、72℃まで加熱した。50℃まで冷却し、濾過後、電気伝導度が192μS/cmになるまで水洗した。その後、棚型温風乾燥機にて75℃で2日間乾燥した(収量=65.8g)。それによって染料例A−2を得た。
得られた染料例A−2について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、305ppmであった。また、同様に鉄の含有量を測定したところ、63ppmであった。
トリフェニルメタン塩基性染料とC.I.Acid Red 97との造塩染料(染料例A−3)の合成
染料例A−3の化学式は、染料例A−1の化学式(A−1)と同一である。
3Lビーカーに水2450gを入れて75℃に加熱し、50gのトリフェニルメタン塩基性染料1をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=3.8)。この溶液に5質量%の塩酸溶液を加えpH=2.7とした後濾過し、濾液を5Lビーカーへ移して、溶液−Aとした。別な1Lビーカーに水576gを入れて75℃に加熱し、36gのC.I.Acid Red 97をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=8.3)。この溶液に炭酸ナトリウム4gを加えpH=10.7とした後濾過し、溶液−Bとした。溶液−A及び溶液−Bを50℃に加熱し、溶液−Aに溶液−Bを130分間で滴下し50℃にて1時間反応した(pH=7.1)。72℃まで加熱した後50℃まで冷却し、濾過後、電気伝導度が191μS/cmになるまで水洗した。その後、棚型温風乾燥機にて75℃で2日間乾燥した(収量=65.9g)。それによって染料例A−3を得た。
得られた染料例A−3について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、378ppmであった。また、同様に鉄の含有量を測定したところ、61ppmであった。
得られた染料例A−4について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、364ppmであった。また、同様に鉄の含有量を測定したところ、73ppmであった。
得られた染料例A−5について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、397ppmであった。
トリフェニルメタン塩基性染料とC.I.Acid Red 97:C.I.Acid Yellow 42=75:25との造塩染料(染料例A−6)の合成
3Lビーカーに水2450gを入れて75℃に加熱し、50gのトリフェニルメタン塩基性染料1をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=3.8)。この溶液に5質量%の塩酸溶液を加えpH=2.7とした後濾過し、濾液を5Lビーカーへ移して、溶液−Aとした。別な1Lビーカーに水575gを入れて75℃に加熱し、27.0gのC.I.Acid Red 97及び9.8gのC.I.Acid Yellow 42をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=8.1)。この溶液に炭酸ナトリウム4gを加えpH=10.9とした後濾過し、溶液−Bとした。溶液−A及び溶液−Bを50℃に加熱し、溶液−Aに溶液−Bを37分間で滴下し50℃にて1時間反応した(pH=7.2)。72℃まで加熱した後50℃まで冷却し、濾過後、電気伝導度が179μS/cmになるまで水洗した。その後、棚型温風乾燥機にて75℃で2日間乾燥した(収量=67.1g)。それによって染料例A−6を得た。
得られた染料例A−6について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、412ppmであった。
得られた染料例B−1について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、410ppmであった。また、同様に鉄の含有量を測定したところ、68ppmであった。
得られた染料例B−1の吸光度を製造例A−1と同様に測定した。結果を図2に示した。
トリフェニルメタン塩基性染料とドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸との造塩染料(染料例B−2)の合成
染料例B−2の化学式は、染料例B−1の化学式(B−1)と同一である。
3Lビーカーに水2450gを入れて75℃に加熱し、50gのトリフェニルメタン塩基性染料1をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=3.8)。この溶液に5質量%の塩酸溶液を加えpH=2.7とした後濾過し、濾液を5Lビーカーに移して、溶液−Aとした。別な1Lビーカーに水576gを入れ、59.2gのドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸(濃度50質量%)を加え、1時間撹拌した後濾過し、溶液−Bとした(pH=9.3)。溶液−A及び溶液−Bを20℃に冷却し、溶液−Aに溶液−Bを30分間で滴下し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液をこれに徐々に加えpH=8.5に調整し、20℃にて1時間反応した。30℃まで加熱した後15℃まで冷却し、濾過後、電気伝導度が199μS/cmになるまで水洗した。その後、減圧乾燥機にて50℃で2日間乾燥した(収量=61.3g)。それによって染料例B−2を得た。
得られた染料例B−2について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、337ppmであった。
トリフェニルメタン塩基性染料とドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸との造塩染料(染料例B−3)の合成
染料例B−3の化学式は、染料例B−1の化学式(B−1)と同一である。
3Lビーカーに水2450gを入れて75℃に加熱し、50gのトリフェニルメタン塩基性染料1をこれに徐々に加え2時間かけて溶解させた(pH=3.8)。この溶液に5質量%の塩酸溶液を加えpH=2.7とした後濾過し、濾液を5Lビーカーに移して、溶液−Aとした。別な1Lビーカーに水576gを入れ、59.2gのドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸(濃度50質量%)を加え、1時間撹拌した後濾過し、溶液−Bとした(pH=9.3)。溶液−A及び溶液−Bを20℃に冷却し、溶液−Aに溶液−Bを120分間で滴下し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液をこれに徐々に加えpH=8.5に調整し、20℃にて1時間反応した(pH=6.5)。30℃まで加熱した後15℃まで冷却し、濾過後、電気伝導度が178μS/cmになるまで水洗した。その後、減圧乾燥機にて50℃で2日間乾燥した(収量=62.5g)。それによって染料例B−3を得た。
得られた染料例B−3について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、351ppmであった。
得られた染料例B−4について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、383ppmであった。
得られた染料例B−5について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、424ppmであった。
得られた比較染料例C−1について、製造例A−1と同様に全塩素の含有量を測定したところ、1437ppmであった。また、同様に鉄の含有量を測定したところ、107ppmであった。
得られた比較染料例C−1の吸光度を製造例A−1と同様に測定した。結果を図3に示した。
得られた比較染料例C−2の吸光度を製造例A−1と同様に測定した。結果を図4に示した。
製造例A−1〜A−6及びB−1〜B−5、並びに比較製造例C−1及びC−2で得られた造塩染料と市販されている染料とを粉体混合して、表1に示す実施例用配合着色剤1〜7と、比較例用配合着色剤7〜11とを、調製した。なお、VALIFAST YELLOW 1103(C.I.Acid Yellow 42の有機アミン塩)、VALIFAST RED 1308(C.I.Basic Red 1と C.I.Acid Yellow 42との造塩染料)、VALIFAST BLACK 1815(C.I.Acid Black 1の有機アミン塩)、及びVALIFAST BLACK 1821(C.I.Solvent Black 7の有機酸塩)は、オリヱント化学工業社製の油溶性染料である。
実施例1〜7、及び比較例1〜4のボールペン用インキ組成物を、夫々20mLのガラス瓶に15mL入れ、密栓した後、0℃の恒温槽にて1ヶ月間放置した。その後、ガラス瓶中のインキ組成物の表層及び下層を、目視した。それにより膜状物質の有無、及び析出物の有無を観察した。結果を下記の四段階で評価し、その結果を表3に示した。
膜状物質及び析出物が観察されなかった:○
膜状物質及び析出物が極僅かに観察された:△
膜状物質及び析出物が観察された:×
ボールペンインキ配合着色剤が溶解しなかったため評価できなかった:―
実施例1〜7及び比較例1〜4のボールペン用インキ組成物を、内径1.6mmのポリプロピレン製チューブに適量充填し、先端にボール(超硬合金製、直径1.0mm)が取り付けられたステンレス製ボールチップに装着した。さらにチューブの基端部にインキ追従体を入れ、チューブを軸筒に挿入してボールチップを覆うようにキャップを嵌め、評価試験用ボールペンを作製した。
作製したボールペンのキャップを取り、25℃湿度65%下にて1時間放置した後、PPC用紙にフリーハンドで丸を筆記した。その筆跡のカスレについて下記の四段階で評価した。
カスレが生じ難かった:○
カスレがやや生じた:△
カスレが生じ易かった:×
ボールペンインキ配合着色剤が溶解しなかったため評価できなかった:―
実施例1〜7及び比較例1〜4のボールペン用インキ組成物を50mLのガラス瓶に45mL入れ、上記のボールペンのボールチップと同じ材質のステンレス板(1cm四方、厚さ3mm)を全て浸漬させた。30℃の恒温槽にて1ヶ月間放置後、ステンレス板を取り出し、メタノールで洗浄後、表面を観察し、腐食による表面光沢の落ち度合いを目視にて行い、下記の三段階で評価した。
表面の腐食(表面光沢の落ち度合い)が全くなかった:○
表面の腐食(表面光沢の落ち度合い)が極僅かに確認された:△
表面の腐食(表面光沢の落ち度合い)が明らかに確認された:×
製造例A−1〜A−6及びB−1〜B−5、並びに比較製造例C−1及びC−2で得られた造塩染料と市販されている染料とを粉体混合して、表4に示す実施例用配合着色剤12〜16と、比較例用配合着色剤17〜19とを、調製した。
実施例8〜12、及び比較例5〜7のマーキングペン用インキ組成物を、夫々20mLのガラス瓶に15mL入れ、密栓した後、0℃の恒温槽にて1ヶ月間放置した。その後、ガラス瓶中のインキ組成物の表層及び下層を、目視した。それにより膜状物質の有無、及び析出物の有無を観察した。結果を下記の四段階で評価した。その結果を表6に示した。
膜状物質及び析出物が観察されなかった:○
膜状物質及び析出物が極僅かに観察された:△
膜状物質及び析出物が観察された:×
マーキングペンインキ配合着色剤が溶解しなかったため評価できなかった:―
実施例8〜12、及び比較例5〜7のマーキングペン用インキ組成物を、フェルト製のペン芯を有するマーキングペン(三菱鉛筆社製、製品名:油性ピースマーカー)に適量充填し、ペン芯を覆うようにキャップを嵌め、評価用マーキングペンを作製した。
作製したマーキングペンのキャップを取り、25℃湿度65%下にて1分間放置した後、PPC用紙にフリーハンドで丸を筆記した。その筆跡のカスレについて下記の四段階で評価した。
カスレが生じ難かった:○
カスレがやや生じた:△
カスレが生じ易かった:×
マーキングペンインキ配合着色剤が溶解しなかったため評価できなかった:―
Claims (7)
- 前記酸性染料及び前記有機酸が、少なくともスルホン酸基を2個有することを特徴とする請求項1に記載の造塩染料。
- 前記酸性染料が、ジスアゾ酸性染料であることを特徴とする請求項1に記載の造塩染料。
- 燃焼クーロメトリー法によって測定された全塩素量が、50〜1000ppmであることを特徴とする請求項1に記載の造塩染料。
- 請求項1から4のいずれかに記載の造塩染料を含むことを特徴とする筆記具用染料。
- 請求項1から4のいずれかに記載の造塩染料を含むことを特徴とする黒色配合着色剤。
- 請求項5に記載の筆記具用染料、又は請求項6に記載の黒色配合着色剤と、液媒体と、前記液媒体に溶解する樹脂とを、少なくとも含むことを特徴とする筆記具用インキ組成物。
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