JP2003113339A - 油性インキ組成物及びその用途 - Google Patents

油性インキ組成物及びその用途

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JP2003113339A
JP2003113339A JP2002207318A JP2002207318A JP2003113339A JP 2003113339 A JP2003113339 A JP 2003113339A JP 2002207318 A JP2002207318 A JP 2002207318A JP 2002207318 A JP2002207318 A JP 2002207318A JP 2003113339 A JP2003113339 A JP 2003113339A
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JP2002207318A
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Hidetoshi Ichikawa
秀寿 市川
Atsuyuki Igai
敬幸 猪飼
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶剤としてアルコールやエーテルを使用する
際、青色を主とする染料の高濃度の添加を可能とし高濃
度条件下における欠点を解決し、またインキ中の他の原
材料に対しても相溶性を良好とし、低温経時安定性に優
れた、油性インキ組成物を提供する。また、アルコール
に対して消色し難くすることを目的とする。 【解決手段】 色材として下記化学構造式1あるいは2
で示される染料を少なくとも一種類以上とアンスラキノ
ン系顔料を含み、溶剤としてアルコールまたはエーテル
を含み、かつ樹脂を含むインキ組成物。好ましい態様
で、トリアリールメタン系染料を併用する、樹脂として
ポリビニルブチラールを含む。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインキ組成物とその
用途に係り、より詳しくは筆記具用油性インキ組成物と
して好適に用いられ、インキ中での染料溶解性や他の原
材料との相溶性に優れた特性を持つインキ組成物と、こ
のインキ組成物を用いた油性サインペン、油性スタンプ
台、油性ボールペンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油性の青系インキとしては、色相
及び堅牢性の面から金属錯塩染料を使用する場合が多
い。特に銅フタロシアニン系染料は、金属錯塩染料とし
て必須成分に近い。しかし、金属錯塩染料は油性溶剤に
対する溶解性に問題があった。また、金属錯塩染料だけ
では隠蔽性が低いという欠点があり、金属錯塩染料を使
用する場合は発色が良好なトリアリールメタン系の染料
と併用し色相を調整することが多い。このようにインキ
組成物では金属錯塩染料は各種の他の原材料あるいは溶
剤と混合して使用されるが、金属錯塩染料はやはり溶解
性、特に相溶性が悪いために、使用する溶剤や原材料及
びそれらの添加量によっては極端なインキ粘度の増粘や
沈降物の発生等インキの不具合を引き起こす原因にもな
っていた。また、金属錯塩染料の代わりに堅牢性を付与
するために顔料分散体が使用される場合もあるが、顔料
はもともと溶解性、相溶性がないため、金属錯塩染料を
使用する場合と同様に他の材料を併用する場合に増粘や
沈降物の発生等の問題が生じることがしばしばである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点に鑑み、広く油性溶剤、特に炭素数
2以上のアルコール、多価アルコールなどのアルコー
ル、グリコールエーテルに代表されるエーテル類を使用
する際、青色を主とする染料の高濃度の添加を可能とし
高濃度条件下における上記欠点を解決し、またインキ中
の他の原材料に対しても相溶性を良好とし、低温経時安
定性に優れた、油性インキ組成物を提供する。また、ア
ルコールに対して消色し難くすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、広く各種油性
溶剤、特に酒性溶剤(アルコールやエーテル)に対する
溶解性、他の材料との相溶性に優れた、しかも所望の色
調を有する青色系染料を提供し、それとアントラキノン
系顔料を組み合わせて使用することにより、上記課題を
解決するものである。
【0005】(1)色材として下記化学構造式1あるい
は2で示される染料を少なくとも一種類以上とアンスラ
キノン系顔料を含み、溶剤としてアルコールまたはエー
テルを含み、かつ樹脂を含むことを特徴とするインキ組
成物。
【0006】
【化3】
【化4】 (これらの式中、Aは同じでも異なってもよく、3〜4
級アンモニウムイオン基である。)
【0007】(2)前記溶剤が炭素原子数2以上の脂肪
族アルコール、多価アルコールまたはグリコールエーテ
ルから選ばれたものである、(1)記載のインキ組成
物。 (3)前記染料が化学構造式1あるいは2においてAが
4級アンモニウムイオン基であり、かつ溶剤として使用
するアルコールまたはエーテルに少なくとも20質量%
以上溶解するものである、(1)(2)記載のインキ組
成物。 (4)トリアリールメタン系染料を併用する、(1)
(2)記載のインキ組成物。 (5)樹脂としてポリビニルブチラールを含む、(1)
〜(4)記載のインキ組成物。 (6)炭素原子数2以上の脂肪族アルコール、多価アル
コールまたはグリコールエーテルから選ばれた脂肪族系
溶剤である溶剤がインキ組成物の全溶剤の40質量%以
上を占める、(2)〜(5)記載のインキ組成物。 (7)(1)〜(6)のインキ組成物を用いた油性サイ
ンペン、油性スタンプ台及び油性ボールペン。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の組成物に用いる染料は、
化学構造式1あるいは2で表される化合物からなる染料
である。下記化学構造式3で表される化合物は、酸染Ac
id Dye FD & C Blue No.1、 C.I. 42090、 Food Blue
2、 3844-45-9であり、公知であり、市販されている。
また、化学構造式4で表される化合物も、酸染Acid Dye
D & C Blue No.4、 C.I.42090、 Acid Blue 9、 2650-
18-2であり、公知であり、市販されている。化学構造式
3あるいは4で表される化合物はナトリウム塩あるいは
アンモニウム塩であるが、その他の塩の形で入手し、あ
るいはその他の塩の形に変換したものを出発化合物とし
てもよい。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】本発明によれば、化学構造式1あるいは2
で表される染料は、化学構造式3あるいは4で表される
染料の有する所望のスカイブルー系の色相を有してお
り、それゆえに銅フタロシアニン染料を含む青色系金属
錯塩染料に代えて青色色素として使用でき、しかも金属
錯塩染料の持つ溶解性、相溶性の不都合がないので、金
属錯塩染料では可能でなかった新たな特徴、性質を有す
る油性インキ組成物を構成することができることが見出
されたものである。
【0012】本発明で使用する化学構造式1あるいは2
で表される染料は、水溶性スルフォン酸塩である化学構
造式3あるいは4で表される化合物あるいはそれ以外の
塩を3〜4級アンモニウム塩に変換して疎水性の塩とす
ること(造塩)により製造することができる。
【0013】染料を油溶性造塩する3〜4級アンモニウ
ムイオン基の供給成分に関しては、3級アミンあるいは
3〜4級アンモニウム塩等が使用される。3〜4級アン
モニウム基であれば造塩体が油溶性(疎水性)を持ちか
つ造塩分離できるからである。代表的には種々のアルカ
ノールアミンやアルキルアミン及びアンモニウム塩があ
るが、その他、アミン成分であって造塩染料としての使
用溶剤中での親和性に悪影響を及ぼさないものであれば
よい。一般式NR4(式中、Rは飽和炭化水素等から構
成され、その側鎖等が水酸基、アルキル基、アリール
基、ハロゲン基などで置換されたあるいは置換されない
化学種である。特に染料を化学構造上、疎水性にするた
めには立体障害を造り易くするように化学構造的に大き
いものや、疎水基の割合や大きさを増やしたものが好ま
しい。)で表される化合物を用いることができる。本発
明の目的からは疎水性が高いことが望ましいので、アミ
ン成分の有機基が多く(3級、4級)、炭素原子数が多
い基を持つことが効果が大きいので好ましい。実用性の
観点からは、炭素原子数6〜20のアルキル基を含む長
鎖アルキルアンモニウム塩、特にそのような長鎖アルキ
ル基を1つ以上持つ4級アンモニウム塩が好ましく使用
できる。特に好適に使用できる4級アンモニウム塩の例
を下記に示す。
【0014】
【化7】 Rとしては例えばC16H33,C12H25,C10H21,C14H29,C8H2
どが好適に用いられる。
【0015】造塩方法は常法にしたがうことができ、典
型的には、化学構造式3,4で表される水溶性染料また
はその類似塩を加温された水中に溶解し、攪拌しながら
アミンなどの造塩成分を加えて造塩させればよい。また
は、逆に造塩成分を加温された水中に溶解し、これに上
記水溶性染料を加えて造塩させてもよい。反応温度、反
応のpH、反応終了時のpH等の詳細な条件は造塩する
染料によって適宜決定する。造塩体を水中から回収、精
製するには、濾過、塩析、溶媒抽出、貧溶媒添加など各
種の方法を単独でまたは併用すればよい。
【0016】この様にして得られる疎水性を高められた
造塩染料を一種あるいはそれ以上の配合状態で使用する
ことで、安定性の高い、しかも金属錯塩染料、特に銅フ
タロシアニンに代替できる青色の色調の油性インキ組成
物が得られる。この造塩染料はそれ自体が高濃度に溶解
して油性インキ組成物を構成できるので、基本的には、
金属錯塩染料や顔料分散体を使用しないでも、隠蔽力の
高い良好なインキ組成物として使用できる。また、この
造塩染料は、それ自体油性溶媒に高濃度に溶解できるの
みならず、金属錯塩染料や顔料分散体などとも安定に混
在することが可能である。このため、金属錯塩染料や顔
料分散体などと併用して隠蔽力を高めたり色相を調整し
たりすることができるのみならず、特に金属錯塩染料あ
るいは顔料の使用量を減らすことができるので堅牢性と
隠蔽力の両方の高いインキ組成物を構成することがで
き、さらに他の材料成分との相溶性が優れているので金
属錯塩染料あるいは顔料の使用量を減らして他の成分を
添加しても溶液の安定性を保つことができる効果があ
る。特に金属錯塩染料あるいは顔料を用いながらトリメ
タノール系染料を併用してもインキ組成物が安定である
ことができる効果は重要である。
【0017】さらに、本発明のインキ組成物では、上記
の酒性溶解性の青色造塩染料とともに、アンスラキノン
系顔料を併用することを特徴とする。アンスラキノン系
顔料は堅牢性に優れているので、アンスラキノン系顔料
を用いれば金属錯塩染料を使用することなくインキに堅
牢性を付与することができるが、色調に関しては金属錯
塩染料に依存していた青色を本発明の化学構造式1,2
の造塩染料で得ることができるので、アンスラキノン系
顔料を用いて金属錯塩染料の使用を省略(減少)するこ
とによって、金属錯塩染料を使用する場合にそれとの相
溶性がないために使用できなかった各種の材料、例え
ば、トリフェニルメタン系染料は大きく分けてマラカイ
トグリーン系のジアミノ染料、マジェンタ系のトリアミ
ノ染料とロゾール酸系のオキシフクソン染料があり、ジ
アミノ染料としてはMalachite Green, Brilliant Gree
n、あるいは Diamond Green等が挙げられる。また、ト
リアミノ染料としてはMagenta, methyl Violet, Crysta
l Violet, Vicroria Blue B, Victoria Pure Blue BO等
が挙げられる。また。オキシ・フクソン染料としてはCh
romaxone Violet RS等が挙げられる。その他にキサンテ
ン染料及びフタレイン染料の中ではオキシ・トリフェニ
ルメタン誘導体系のフルオレレッセインを代表とするレ
ゾルシンフタレイン類やガレインを代表とするピロガー
ル・フタレーン類やアミノトリフェニルメタン誘導体系
のローダミンを代表とするm−アミノフェノール・フタ
レイン類やオキシアミノトリフェニルメタン誘導体など
も挙げられる。これらに限定されないが、これらを骨格
とした造塩染料を含めて、自由に併用でき、所望のイン
キ組成物を制限なく構成できる効果がある。
【0018】化学構造式1,2の染料の配合量として
は、限定するわけではないが、一般的には0.5〜30
質量%が可能であり、使用する製品によって異なる。例
えば、油性サインペンであれば0.5〜15質量%、油
性ボールペンや油性スタンプ台などでは0.5〜30%
の範囲が一般的である。本発明の溶解性、相溶性の向上
という目的から、本発明で用いる化学構造式1、2の染
料は、溶剤として使用するアルコールあるいはエーテル
に20質量%以上、より好ましくは30質量%以上溶解
するものが好適である。染料の溶解性が高いほど、イン
キ組成物の安定性が向上するからである。勿論染料の溶
解性は用いる溶剤の種類に依存する。本発明では、染料
及び/又は溶剤の組合せによって上記の溶解度が達成さ
れればよい。
【0019】本発明において有利に併用できるトリメタ
ノール系染料としてはBasicViolet系の染料
やBasic Blue系(ビクトリアブルー)系の骨
格とする造塩染料がある。これらの染料は調色のためイ
ンキの隠蔽性を向上されるため青や藍色として必要とな
る。本発明の油性用インキ組成物に用いる化学構造式1
あるいは2で表される造塩染料以外の着色剤としてはそ
れ以外の染料及び顔料が使用できる。
【0020】染料としては、通常の染料インキ組成物に
用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸
性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫
化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染
料、及び相溶性に問題がなければ金属錯塩染料等や通常
の顔料インキ組成物に用いられる無機および有機顔料の
中から任意のものを使用することができる。その配合量
は、組成物全量当たり1〜50質量%の範囲で選ばれ
る。
【0021】上記の如く、本発明ではアンスラキノン系
顔料を併用することをもう1つの特徴としている。アン
スラキノン系顔料は、アンスラキノンを化学構造に持つ
顔料であり、色相として赤や黄色及び青などがある。ア
ンスラキノン系顔料としては赤や黄色顔料を使用するこ
とも可能であるが、青系のインキの調製を目的として開
発したものであるので、青系の顔料、特にC.I.Pi
gment Blue60が最も好ましい。その平均粒
径は用いる溶剤や分散状態により左右されるが、分散後
の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。
顔料の配合量は、インキ組成物全量に対し、例えば0.
5〜25質量%、好ましくは0.5〜20%までの範囲
で必要に応じて配合することができる。
【0022】そのほか使用できる顔料は、単独又は2種
以上の混合で使用することができる。また、必要に応じ
て無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影
響を与えない程度で添加することができる。更に、スチ
レン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル
酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレ
フィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルション
や、インキ中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマル
ション、または、これらのエマルション自身を着色剤で
染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等
が挙げられる。
【0023】本発明のインキ組成物の色材にはアンスラ
キノン系顔料が含まれる。また本発明のインキ組成物の
色材にはその他の各種の顔料をも使用できる。このよう
な顔料を使用した場合、用いる分散剤としては、ケトン
樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペ
ンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン
フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール
系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アク
リル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹
脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、
ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂の中から顔料
を分散できるものを選択して使用することができ、活性
剤やオリゴマーでも目的にあればどの様なものでも種類
を問わない。具体的な分散剤としては、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルエーテル、スチレン−マレイン酸共重合
体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘
導体、スチレン−アクリル酸共重合体等の合成樹脂やP
O・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等
が挙げることができる。
【0024】本発明に使用する色材に顔料を含み、顔料
分散インキ組成物を製造するには、従来から公知の種々
の方法が採用できる。例えば、上記各成分を配合し、デ
ィゾルバー等の攪拌機により混合攪拌することによっ
て、また、ボールミルやロールミル、ビーズミル、サン
ドミル、ピンミル等によって混合粉砕した後、遠心分離
や濾過によって顔料の粗大粒子、及び未溶解物、混入固
形物を取り除くことによって容易に得ることができる。
【0025】本発明の組成物に用いられる溶剤として
は、アルコールまたはエーテルを用いるが、炭素数2以
上の脂肪族アルコール、多価アルコール、グリコールエ
ーテルから選ばれる水酸基を有する溶剤が好ましい。具
体的にアルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族
アルコールとして、エタノール、n−プロパノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t
ert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソア
ミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペン
タノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノ
ール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノー
ル、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタ
ノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エ
チルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノー
ル、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、ト
リメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタ
デカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘ
キサノール、ベンジルアルコールやその他多種の高級ア
ルコール等が挙げられる。
【0026】また、多価アルコールとしては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,
3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシ
レングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2
個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコー
ルが挙げられる。
【0027】エーテルとしては、メチルイソプロピルエ
ーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エ
チルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエ
ーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテ
ルなどのほか、グリコールエーテルとして、エチレング
リコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモ
ノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エ
チルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テト
ラエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル
−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−
ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピ
レングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリ
コールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェ
ニルエーテル、プロピレングリコールターシャリ−ブチ
ルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール
モノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ
ブチルエーテル等が挙げられる。
【0028】以上挙げた溶剤の中で特に好ましいのは、
炭素数2〜7のグリコールエーテルが特に効果が解り易
い。また、安全性及び経口毒性等の点から好ましくはエ
チレングリコール誘導体等以外の有機溶剤を使用した方
が好ましい。それらの例として、多価アルコール類誘導
体があり、ソルビタン脂肪酸系、ポリグリセリン高級脂
肪酸系、ショ糖脂肪酸系、プロピレングリコール脂肪酸
系等の誘導体も挙げられる。
【0029】エステル類の溶剤としては例えば、プロピ
レングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレン
グリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブ
チルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテル
アセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテ
ート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、
酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イ
ソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロ
ピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸
イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪
酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エ
チル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチ
ル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エ
チル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、ト
リメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロ
ン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、
カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロ
ピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン
酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセラ
イド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリ
ン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレー
ト、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシブチ
ルアセテート等様々なエステルが挙げられる。
【0030】また、分子内に水酸基を持たない溶剤ジエ
ーテルやジエステルは具体的には、エチレングリコール
ジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエ
ーテル等が挙げられる。
【0031】以上の中で、化学構造式1または2の染料
は特に脂肪族系溶剤に使用できることを目的に開発され
たものであり、脂肪族系溶剤に特異的に有利な造塩体染
料の場合に、溶剤中に芳香環を持つ様な溶剤成分が多量
にあると通常の脂肪族系溶剤とは異なる溶解性を示す場
合があるので、そのような場合には芳香族系溶剤量を制
限することが好ましい。即ち、脂肪族系溶剤成分はイン
キ組成物の全溶剤の40質量%以上を使用することが好
ましい。
【0032】本発明のボールペン用油性インキ組成物に
使用される樹脂としては、顔料の分散剤としても使用可
能なケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹
脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹
脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、
フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系
樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイ
ン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂が挙
げられる。
【0033】ここで、ポリビニルブチラール樹脂は顔料
の分散剤として使用するほか、筆記描線の造膜性やイン
キの増粘作用が強いため添加樹脂として使用する場合が
多い。しかし、ポリビニルブチラール樹脂は溶剤中の酸
塩基成分に溶剤中での溶存状態に非常に左右されること
が多く、原材料の使用種については注意を払う必要があ
る。特に造塩染料を使用する際、そのインキの安定性領
域が大きく異なることがあり、ポリビニルブチラールを
使用するためにはより安定な染料を使用する必要があ
る。しかも染料インキでは通常銅フタロシアニン系造塩
染料が必須成分となるため(本発明ではアンスラキノン
顔料で代替してもよいが)、染料間及び原材料間の相溶
性については更に安定性が高い染料が望まれる。ポリビ
ニルブチラールを中心としてこれらの樹脂の配合量とし
ては、1〜30質量%がよく、より好ましくは1〜20
質量%である。その配合量が1%未満であると粘度調整
やペン先での摩耗が困難となり、30質量%超だと樹脂
以外の原材料が配合できなくなったり、書き味に悪影響
を及ぼすことになる。
【0034】更に、本発明では必要に応じて、インキに
悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴
剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を配合することが
できる。特に脂肪酸などは、潤滑剤として好適に使用で
きる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影
響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等
も配合することができる。
【0035】本発明の油性インキ組成物によれば、金属
錯塩染料または顔料分散体を使用する場合は発色が良好
なトリアリールメタン系の染料と併用することが多く、
使用する溶剤や原材料及びそれらの添加量によっては極
端なインキ粘度の増粘や沈降物の発生等インキの不具合
を引き起こす等の欠点を解決するもので、炭素数2以上
のアルコール、多価アルコールなどのアルコール、グリ
コールエーテルなどのエーテル類を使用した際、青色を
主とする染料として高濃度の添加が可能で、高濃度条件
下においてもインキ中の他の原材料に対しても相溶性を
良好にし、低温経時安定性に優れた油性インキ組成物を
提供することを可能にする。また、アルコールに対する
性能を消色し難くさせ向上させることを可能にする。
【0036】この様な効果を発揮する理由としてはイン
キ組成物に特徴があり、アルコールや多価アルコールそ
してグリコールエーテルなどに通常、青色のインキとし
て使用する銅フタロシアニン系染料や銅フタロシアニン
系顔料を使用せず、その代わりに化学構造式1あるいは
2で表される造塩染料とアンスラキノン系顔料分散体を
使用することでインキの安定性を確保し、耐光性をアン
スラキノン系顔料にて維持する。また、隠蔽性に対して
もトリアリールメタン系染料としてBasicBlue
系染料も使用可能となり、その調色幅や配合の自由度を
広げることができた。これらのことから経時的な安定性
や相溶性をより向上させることができると考えられる。
そのため、高濃度条件下や低温での経時安定性に対して
も優れた油性インキ組成物を提供することが可能となっ
た。
【0037】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明は、この実施例によって限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例および比較例における成
分量の単位は質量%である。染料の製造 化学構造式3または4の染料(Na塩、NH4塩、癸巳
化成製)20gを90℃に加熱した精製水に80gに溶
解し、攪拌しながら、これに反応液のpHが6.0とな
るまで下記化学構造式5
【化8】 を有する4級アンモニウム塩を加え、その後30分攪拌
した。添加した化学構造式3を有する4級アンモニウム
は20gであった。攪拌終了後、反応液を放冷し室温に
した後、沈殿した粘ちょう体を分取し、更にその水分を
取り除き、造塩体染料を得た。得られた造塩染料は下記
化学構造式6,7で表される化合物であった。
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】インキ組成物の製造 下記のような配合でディスパー攪拌あるいはビーズミル
またはロールミル分散して、各種のインキ組成物を製造
した。 油性サインペン形態 (比較例1) スピロンブルー2GNH new [保土ヶ谷化学工業製] 6.0% エスレックB.BL−1 [積水化学製] 1.5% マルキードNo. 34 [荒川化学製] 3.0% エタノール 39.5% プロピレングリコールモノメチルエーテル 30.0% 3−メトキシ、1−ブタノール 20.0%
【0041】 (実施例1) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 2.0% 化学構造式6の造塩体 4.0% エスレックB.BM−S [積水化学製] 1.0% マルキードNo. 34 [荒川化学製] 1.0% エタノール 39.5% プロピレングリコールモノメチルエーテル 32.5% 3−メトキシ、1−ブタノール 20.0%
【0042】実施例1は、スカイブルー色を全てフタロ
シアニン染料(スピロンブルー2GNH new)で発
色させている油性サインペン用インキ組成物である比較
例1に対して、フタロシアニン染料を全く使用せず、本
発明の造塩染料とアンスラキノン系顔料(CROMOPHTHAL
Blue A3R)を使用した油性サインペン用インキ組成物で
ある。なお、以下を含めてエスレックシリーズはポリビ
ニルブチラールである。
【0043】 (比較例2) シアニンブルーZCA350EP [大日精化製] 5.0% エスレックB.BL−1 [積水化学製] 2.0% エタノール 50.0% プロピレングリコールモノメチルエーテル 33.0% ベンジルアルコール 10.0%
【0044】 (実施例2) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 2.0% スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 1.0% 化学構造式7の造塩体 2.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 1.0% エタノール 50.0% プロピレングリコールモノメチルエーテル 34.0% ベンジルアルコール 10.0% 実施例2は、ブルー色を全てフタロシアニン顔料(シア
ニンブルーZCA350EP)で発色させている油性サ
インペン用インキ組成物である比較例2に対して、フタ
ロシアニン顔料を使用せず、本発明の造塩染料とアンス
ラキノン系顔料(CROMOPHTHAL Blue A3R)とトリフェニ
ルメタン系染料(スピロンバイオレットC−RH)を使
用した油性サインペン用インキ組成物である。
【0045】 (比較例3) SPTブルー#26 [保土ヶ谷化学工業製] 5.0% スピロンブルーC−RH 3.0% エスレックB.BL−S [積水化学製] 1.5% エタノール 40.0% プロピレングリコールモノメチルエーテル 38.5% ベンジルアルコール 12.0%
【0046】 (実施例3) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 2.0% 化学構造式6の造塩体 3.0% C.I.Basic Violet 4とアルキルジフェニルエーテルジスルフォン 酸ナトリウムの造塩体 2.0% スピロンブルーC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 1.0% エスレックB.BM−S [積水化学製] 1.0% YP90L [ヤスハラケミカル製] 1.0% エタノール 40.0% プロピレングリコールモノメチルエーテル 35.0% ベンジルアルコール 15.0% 実施例3は、ブルー色をフタロシアニン染料(STPブ
ルー#26)とトリフェニルメタン系染料(スピロンブ
ルーC−RH)で発色させている油性サインペン用イン
キ組成物である比較例3に対して、フタロシアニン染料
を使用せず、本発明の造塩染料とアンスラキノン系顔料
(CROMOPHTHAL Blue A3R)と2種のトリフェニルメタン
系染料(B.V.4系、スピロンブルーC−RH)を使
用した油性サインペン用インキ組成物である。
【0047】油性スタンプ台の形態
【0048】 (比較例4) シアニンブルーZCA350EP [大日精化製] 12.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 3.0% ポリプロピレングリコール 43.0% ジプロピレングリコール 42.0% (実施例4) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 5.0% 化学構造式7の造塩体 8.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 2.0% ポリプロピレングリコール 43.0% ジプロピレングリコール 42.0% 実施例4は、ブルー色を全てフタロシアニン顔料で発色
させている油性スタンプ台用インキ組成物である比較例
4に対して、フタロシアニン顔料を使用せず、本発明の
造塩染料とアンスラキノン系顔料(CROMOPHTHAL Blue A
3R)を用いた油性スタンプ台用インキ組成物である。
【0049】 (比較例5) SPTブルー#26 [保土ヶ谷化学工業製]10.0% スピロンブルーC−RH 10.0% エスレックB.BL−S [積水化学製] 5.0% タマノル531 [荒川化学製] 4.0% ジグリセリンモノステアレート 1.0% ジプロピレングリコール 25.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 45.0% (実施例5) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 10.0% スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 2.0% 化学構造式6の造塩体 7.0% エスレックB.BM−S [積水化学製] 5.0% ジグリセリンモノステアレート 1.0% ジプロピレングリコール 20.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 55.0% 実施例5は、ブルー色をフタロシアニン染料(SPTブ
ルー#26)とトリフェニルメタン系染料(スピロンブ
ルーC−RH)で発色させている油性スタンプ台用イン
キ組成物である比較例5に対して、フタロシアニン染料
を使用せず、本発明の造塩染料とアンスラキノン系顔料
(CROMOPHTHAL Blue A3R)とトリフェニルメタン系染料
(スピロンブルーC−RH)を用いた油性スタンプ台用
インキ組成物である。
【0050】 (比較例6) スピロンブルー2GNH new [保土ヶ谷化学工業製]20.0% C.I.Basic Violet 4とC.I.Acid Yellow 36の造塩体 3.0% エスレックB.BL−1 [積水化学製] 5.0% YP90L [ヤスハラケミカル製] 5.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 52.0% ベンジルアルコール 15.0%
【0051】 (実施例6) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 10.0% 化学構造式7の造塩体 12.0% スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0% スピロンブルーC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 1.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 5.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 52.0% ベンジルアルコール 15.0% 実施例6は、ブルー色としてフタロシアニン染料とB.
V.4系トリフェニルメタン系染料(B.V.4系造塩
染料)を含む油性スタンプ台用インキ組成物である比較
例6に対して、フタロシアニン染料を使用せず、本発明
の造塩染料とアンスラキノン系顔料(CROMOPHTHAL Blue
A3R)とトリフェニルメタン系染料2種(スピロンバイ
オレットC−RH、スピロンブルーC−RH)を含む油
性スタンプ台用インキ組成物である。
【0052】油性ボールペン形態
【0053】 (比較例7) サビニルブルーGLS [クラリアント製] 25.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 5.0% ラロパールA101 [BASF製] 5.0% ジプロピレングリコール 10.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 40.0% ベンジルアルコール 15.0%
【0054】 (実施例7) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 7.0% 化学構造式7の造塩体 10.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 4.0% ラロパールA101 [BASF製] 5.0% ジプロピレングリコール 10.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 49.0% ベンジルアルコール 15.0% 実施例7は、ブルー色を全てフタロシアニン染料(サビ
ニルブルーGL)で発色させている油性ボールペン用イ
ンキ組成物である比較例7に対して、フタロシアニン染
料を使用せず、本発明の造塩染料とアンスラキノン系顔
料(CROMOPHTHAL Blue A3R)を用いた油性ボールペン用
インキ組成物である。なお、比較例7の色素全量が25
質量%であるのに対して実施例7の色素全量が17質量
%で少ないのは、フタロシアニン染料(サビニルブルー
GL)の色が薄いので多量に使用する必要があるのに対
してアンスラキノン系顔料(CROMOPHTAL Blue A3R)の
色が深い(濃い)からである。一般的に言って、フタロ
シアニン染料を多量に溶解させるとインキの安定性が悪
くなるが、本発明によれば必要な濃度に多量に色素を安
定に含有させることができる。
【0055】 (比較例8) SPTブルー#26 [保土ヶ谷化学工業製]22.0% スピロンブルーC−RH 8.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 7.0% ラロパールA101 [BASF製] 5.0% ジプロピレングリコール 3.0% 3−メトキシ、1−ブタノール 15.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 40.0%
【0056】 (実施例8) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 8.0% 化学構造式6の造塩体 12.0% C.I.Basic Violet 4とアルキルジフェニルエーテルジスルフォン 酸ナトリウムの造塩体 8.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 7.0% レジンSK [Huels製] 5.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 60.0%
【0057】実施例8は、ブルー色としてフタロシアニ
ン染料(SPTブルー#26)とトリフェニルメタン系
染料(スピロンブルーC−RH)を用いた油性ボールペ
ン用インキ組成物である比較例8に対して、フタロシア
ニン染料を使用せず、本発明の造塩染料とアンスラキノ
ン系顔料(CROMOPHTHAL Blue A3R)とトリフェニルメタ
ン系色素(B.V.4系造塩染料)を使用した油性ボー
ルペン用インキ組成物である。 (比較例9) SPTブルー#26 [保土ヶ谷化学工業製]17.0% スピロンブルーC−RH 10.0% C.I.Basic Violet 4とアルキルスルホン酸ナトリウムの造塩体 8.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 6.0% YP90L [ヤスハラケミカル製] 5.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 35.0% ベンジルアルコール 6.0% ジエチレングリコールモノフェニルエーテル 13.0% (実施例9) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 7.0% 化学構造式7の造塩体 10.0% スピロンブルーC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 3.0% C.I.Basic Violet 4とアルキルスルホン酸ナトリウムの造塩体 8.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 6.0% YP90L [ヤスハラケミカル製] 5.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 55.0% ベンジルアルコール 6.0%
【0058】実施例9は、ブルー色としてポリビニルブ
チラールとの相溶性の悪いフタロシアニン染料(STP
ブルー#26)とトリフェニルメタン系色素(スピロン
ブルーC−RH)を組合せて含む油性ボールペン用イン
キ組成物である比較例9に対して、フタロシアニン染料
を使用せず、本発明の造塩染料とアンスラキノン系顔料
(CROMOPHTHAL Blue A3R)とトリフェニルメタン系色素
(スピロンブルーC−RHとB.V.4系造塩染料)を
含む油性ボールペン用インキ組成物である。
【0059】 (比較例10) シアニンブルーZCA350EP [大日精化製] 25.0% エスレックB.BL−1 [積水化学製] 3.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 2.0% ベンジルアルコール 15.0% ジエチレングリコールモノフェニルエーテル 55.0% (実施例10) CROMOPHTAL Blue A3R[Ciba製] 5.0% 化学構造式7の造塩体 10.0% スピロンブルーC−RH [保土ヶ谷化学工業製]10.0% スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 1.0% エスレックB.BL−1 [積水化学製] 3.0% エスレックB.BM−1 [積水化学製] 2.0% 3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 63.0% ベンジルアルコール 6.0% 実施例10は、2種のポリビニルブチラール樹脂(分子
量の高いBM−1と分量の低いBL−1)を用いてフタ
ロシアニン顔料を分散させている油性ボールペン用イン
キ組成物である比較例10に対して、フタロシアニ顔料
を使用せず、2種の樹脂(分子量の高いBM−1と分量
の低いBL−1)を用い、本発明の造塩染料とアンスラ
キノン系顔料(CROMOPHTHAL Blue A3R)とトリフェニル
メタン系色素(スピロンブルーC−RH)とを含む油性
ボールペン用インキ組成物である。インキ評価試験 以上の様にして得たインキについて、評価テストを下記
の様に行った。
【0060】インキの低温安定性評価 実施例、比較例で得られた各インキを20mlのガラス瓶
に15ml程度入れ、密栓した後、所定の恒温層にて1ヶ
月間放置し、インキの流動性をスパチュラなどで観察す
る。更に、各製品形態に整え、製品の劣化性も観察し
た。 (油性サインペン形態の場合)実施例、比較例で得られ
た各インキをフェルトのペン芯を使用したマーキングペ
ン(三菱油性マーカー[ピース])に適量充填し、評価
用試験サンプルとした。
【0061】(油性スタンプ台の形態)実施例5、比較
例5で得られた各インキを羊毛フェルトと極細繊維を使
用したスタンプ台(三菱油性スタンプ台[HSP−2
G])に適量充填し、評価試験用サンプルとした。但
し、実施例6,7及び比較例6,7についてはインキ粘
度が低いため、ニードルフェルトと平織りの極細繊維を
使用した。
【0062】(油性ボールペンの形態)実施例、比較例
で得られた各インキを内径1.60mmのポリプロピレン
チューブに適量充填し、ステンレスチップ(ボールは超
硬合金で、直径1.0mmである)に装着し、後端部にイ
ンキ追従体を入れボールペン形態とし、評価用試験サン
プルとした。
【0063】所定の恒温層:以下の2条件とした。 1)0℃一定恒温層/低温安定性確認 2)6時間毎に0℃→15℃→30℃→15℃→0℃の
温度変化を与える恒温層/サイクル温度安定性確認
【0064】評価項目 1)インキ低温安定性/ガラス瓶中のインキ流動性の状
態確認 インキ流動性に問題がないもの;○、インキ流動性に対
して初期状態より抵抗が感じられるもの;△、インキ流
動性に対して非常に抵抗を感じられるもの;× 2)インキサイクル温度安定性 底部に何もないもの;○、沈降物が発生している様に感
じられるもの;△、沈降物が多いためはっきりと発生し
ていると確認できるもの;×
【0065】3)製品劣化度 a)油性サインペン形態の場合 PPC用紙にフリーハンド筆記(丸書き)し、「カス
レ」が生じる度合いについて、カスレが生じ難いもの;
○、カスレがやや生じているもの;△、カスレが生じや
すいもの;×とした。
【0066】b)油性スタンプ台の形態の場合 ゴム印にスタンプ台のインキを転写させ、PPC用紙に
捺印する時、盤面と印面間でのはりつき現象(タック性
とする)において、タック性が生じていないもの;○、
タック性が少ないもの;△、タック性が非常によく解る
もの;×とした。 c)油性ボールペンの形態の場合 PPC用紙にフリーハンド筆記(丸書き)し、「カス
レ」が生じる度合いについて、カスレが生じ難いもの;
○、カスレがやや生じているもの;△、カスレが生じや
すいもの;×とした。
【0067】4)耐アルコール性試験 a)油性サインペン形態の場合 PPC用紙にフリーハンド筆記(丸書き)し、縦70mm
×横30mm程度に切り取った試験片とする。この試験片
の半分程度を1日間、エタノールに浸漬し、その描線の
にじんだ具合の判読状態を評価する。描線が全く滲まな
いもの;◎、描線が滲むが判読可能なもの;○、描線が
非常に滲みあまりよく解らないもの;△、描線が消失し
てしまっているもの;×とした。
【0068】b)油性スタンプ台の形態の場合 縦15mm×横50mmのゴム印にスタンプ台のインキを転
写させ、PPC用紙に捺印し、試験片とする。この試験
片の半分程度を1日間、エタノールに浸漬し、その印影
のにじんだ具合の判読状態を評価する。印影が全く滲ま
ないもの;◎、印影が滲むが判読可能なもの;○、印影
が非常に滲みあまりよく解らないもの;△、印影が消失
してしまっているもの;×とした。
【0069】c)油性ボールペンの形態の場合 PPC用紙にフリーハンド筆記(丸書き)し、縦70mm
×横30mm程度に切り取った試験片とする。この試験片
の半分程度を1日間、エタノールに浸漬し、その描線の
にじんだ具合の判読状態を評価する。描線が全く滲まな
いもの;◎、描線が滲むが判読可能なもの;○、描線が
非常に滲みあまりよく解らないもの;△、描線が消失し
てしまっているもの;×とした。
【0070】
【表1】 表1の結果から明らかなように本発明の範囲となる実施
例1〜10の油性インキ組成物は、本発明の範囲外とな
る比較例1〜10の油性インキ組成物に比べて、インキ
低温安定性や製品としての性能劣化の点で非常に優れて
いることが判明した。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、従来の油性インキ組成
物には得られ難い性能としてアルコールやエーテル類を
使用した際、青色を主とする染料として高濃度の添加が
可能で、高濃度条件下においても上記欠点を解決するも
ので、インキ中の他の原材料に対しても相溶性を良好に
し、低温経時安定性に優れ、アルコールに対して消色し
難くする油性インキ組成物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪飼 敬幸 神奈川県横浜市神奈川区入江2丁目5番12 号 三菱鉛筆株式会社横浜研究開発センタ ー内 Fターム(参考) 4H056 BA02 BB12 BC01 4J039 AD07 BC07 BC12 BC17 BC33 BC39 BC54 BC77 BC79 BE02 BE12 EA16 EA44 GA07 GA26 GA27

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材として下記化学構造式1あるいは2
    で示される染料を少なくとも一種類以上とアンスラキノ
    ン系顔料を含み、溶剤としてアルコールまたはエーテル
    を含み、かつ樹脂を含むことを特徴とするインキ組成
    物。 【化1】 【化2】 (これらの式中、Aは同じでも異なってもよく、3〜4
    級アンモニウムイオン基である。)
  2. 【請求項2】 前記溶剤が炭素原子数2以上の脂肪族ア
    ルコール、多価アルコールまたはグリコールエーテルか
    ら選ばれたものである、請求項1に記載のインキ組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記染料が化学構造式1あるいは2にお
    いてAが4級アンモニウムイオン基であり、かつ溶剤と
    して使用するアルコールまたはエーテルに少なくとも2
    0質量%以上溶解するものである、請求項1または2記
    載のインキ組成物。
  4. 【請求項4】 トリアリールメタン系染料を併用する、
    請求項1、2または3記載のインキ組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂としてポリビニルブチラールを含
    む、請求項1〜4のいずれかに記載のインキ組成物。
  6. 【請求項6】 炭素原子数2以上の脂肪族アルコール、
    多価アルコールまたはグリコールエーテルから選ばれた
    脂肪族系溶剤である溶剤がインキ組成物の全溶剤の40
    質量%以上を占める、請求項2〜5のいずれかに記載の
    インキ組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のイ
    ンキ組成物を用いた油性サインペン。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のイ
    ンキ組成物を用いた油性スタンプ台。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のイ
    ンキ組成物を用いた油性ボールペン。
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