JP6647142B2 - セグメントの継手構造 - Google Patents
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Description
このようなセグメントには、例えば、特許文献1に示すように、鋼殻とコンクリートとを一体化したコンクリート一体型鋼製セグメント(合成セグメント)がある。合成セグメントは、高剛性を確保することができるため、鋼製セグメントや鉄筋コンクリート製セグメント等に比べて覆工厚を薄くすることができる。
セグメント同士の接合は、例えば特許文献2に示すように、一方のセグメントの継手板に突設された挿入金具を、他方のセグメントの継手板に設けられた受け金具に嵌め込むことにより行う場合がある。
ここで、タイドアーチとは、継手板から継手金物の基端までの幅を梁高として、継手金物を巻き込むように、継手板、主桁およびスキンプレートに囲まれた空間に打設されたコンクリートにより形成された仮想梁部材である。
一方、全てのセグメントに対してコンクリート強度や継手板の仕様を高めることは、トンネル全体の工事費の高騰化を招いてしまう。
このような観点から、本発明は、比較的簡易な構成によりセグメント間継手の強度を高め、ひいては、製造の手間および費用の低減化を図ることを可能としたセグメントの継手構造を提案することを課題とする。
第一発明のセグメントの継手構造は、前記継手金物の基端に定着部材が形成されている。
第二発明のセグメントの継手構造は、前記受材が、前記継手金物を挿通可能な開口を有した枠状部材である。
第三発明のセグメントの継手構造は、前記アンカー材が、前記一対の主桁に横架された補剛リブに連結されている。
本発明の実施形態では、図1に示すように、鋼殻2と、鋼殻2内に打設されたコンクリート部3とにより構成されたコンクリート一体型鋼製セグメント(以下、端に「セグメント1」という)の継手構造について説明する。
セグメント1は、円弧状に湾曲した版状に形成されており、周方向に複数接続することで、セグメントリング(図示せず)が形成される。このセグメントリングを軸方向に順次接合すると、トンネルの覆工が形成される。
鋼殻2は、一対の主桁4,4と、一対の継手板5,5と、スキンプレート6と、継手金物7,7と、補強部材8(図2(a)参照)と、複数の形状保持材9,9,…とを備えて構成されている。
主桁4は、図2(a)に示すように、トンネルの断面形状に応じて円弧状に形成された鋼製部材からなる。
本実施形態の主桁4は、図2(b)に示すように、ウェブ41と、ウェブ41の地山側端部およびトンネル内空側端部にそれぞれ設けられたフランジ42,42とを備えている。すなわち、本実施形態の主桁4は、ウェブ41と一対のフランジ42,42により、断面視コ字状を呈している。なお、主桁4の構成は限定されるものではなく、必ずしも断面視コ字状である必要はない。
図1に示すように、主桁4には、複数のリング間ジョイント11,11,…が形成されている。リング間ジョイント11は、セグメントリング同士を連結するものである。なお、リング間ジョイント11の構成、配置および数は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
継手板5には、継手金物7を設置するための二つの貫通孔51,51が形成されている。貫通孔51,51は、継手板5のトンネル軸方向中心線からの距離が等間隔になるように形成されている。なお、貫通孔51の形状、数および配置は、継手金物7の位置や形式に応じて適宜設定すればよい。
スキンプレート6は、枠状に組み付けられた主桁4,4および継手板5,5の開口部の外周面側(地山側)を塞ぐように配置された鋼板である。
受け金物71は、セグメント1の端面において開口して、挿入金物72を挿入することが可能な受け部71aと、受け部71aの背面側(継手板5と反対側)に形成された角柱状の定着部71bと、定着部71bの基端部(継手板5と反対側の端部)に形成された定着板71cとにより構成されている。定着板71cの断面形状は、定着部71bの断面形状よりも大きい。受け金物71は、鋼殻2内においてコンクリート部3に埋設されている。
受け金物71と挿入金物72は、セグメント1のトンネル軸方向中央から同一の間隔をあけた位置に配設されている。また、本実施形態の継手金物7は、図1に示すように、鋼殻2の厚さ方向中央付近に形成されているが、継手金物7の形成箇所は限定されるものではない。また、継手金物7は、複数段形成されていてもよい。また、定着部71b,72bによって十分な定着力を確保できる場合には、定着板71c,72cは省略してもよい。さらに、セグメント1同士を接合するための継手構造(継手金物7の構成)は限定されるものではない。
受材81は、継手金物7(定着部71b,72b)の基端(定着板71c,72c)と継手板5との間において継手金物7と交差するように配設されている。本実施形態の受材81は、継手金物7の定着部71b,72bを挿通可能な開口を有した枠状材からなる。本実施形態の受材81は矩形状を呈しているが、受材81の形状は限定されるものではない。また、受材81は、継手金物7に引張力が作用することによりタイドアーチ(コンクリート部3)に発生する支圧応力を受けることが可能となるように、定着板71c,72cよりも大きな面積を有している。
アンカー材82の一端は、受材81に固定されている。アンカー材82の他端は、継手金物7の基端よりも継手板5から離れた位置に配設されている。本実施形態のアンカー材82は、鉄筋により構成されている。なお、アンカー材82を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、鋼より線や板材等であってもよい。アンカー材82は、板材81aの貫通孔81cを挿通した頭部にナットを螺合することにより受材81に固定されている。なお、アンカー材82の固定方法は限定されるものではなく、例えば、溶接してもよい。また、アンカー材82の他端には、必要に応じて定着部材(定着板等)を形成してもよい。また、アンカー材82同士は、定着板を介して連結してもよい。本実施形態では、継手金物7の周囲に4本のアンカー材82,82,…が配設されているが、アンカー材82の本数や配置は限定されるものではない。また、図4(b)に示すように、アンカー材82としてU字状に加工された鉄筋を上下の板材81a,81aに跨って配設してもよい。
形状保持材9は鋼板からなり、地山側端面がスキンプレート6に当接しているとともに、トンネル軸方向両端がそれぞれ主桁4,4の板面に当接している。形状保持材9は、スキンプレート6との当接箇所において溶接されているとともに、端部がウェブ41とフランジ42に溶接されている。なお、形状保持材9の固定方法は限定されない。
継手金物7と交差する位置に配設された形状保持材9には、継手金物7の位置に対応して切欠きが形成されている。また、アンカー材82と交差する位置に配設された形状保持材9には、図3(a)および(b)に示すように、アンカー材82を挿通可能な貫通孔が形成されている。なお、アンカー材82と交差する位置に配設された形状保持材9には、貫通孔に代えてアンカー材の位置に対応して切欠きが形成されていてもよい。また、図4(c)に示すように、形状保持材9の貫通孔を挿通させたアンカー材82の後端を形状保持材9に固定(連結)してもよい。
補強部材8を設置することによりセグメント1の補強が完了するため、高耐力なセグメントを簡易に製造することができる。また、補強が必要な部分に設けられるセグメント1にのみに対して継手部の補強を簡易に行うことができる。そのため、予め特殊なセグメントを製造する場合に比べて、製造コストを抑えることができる。
第二の実施形態では、第一の実施形態と同様に、一対の主桁4,4と、一対の継手板5,5と、スキンプレート6と、継手金物7,7と、補強部材8と、複数の形状保持材9,9,…とを備える鋼殻2と、鋼殻2内に打設されたコンクリート部3とにより構成されたコンクリート一体型鋼製セグメント(以下、端に「セグメント1」という)の継手構造について説明する。
なお、第二の実施形態のコンクリート部3、主桁4、継手板5、スキンプレート6、継手金物7および形状保持材の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
受材81は、継手金物7(定着部71b,72b)の基端(定着板71c,72c)と継手板5との間において継手金物7と交差するように配設されている。本実施形態の受材81は、定着部71b,72bを上下から挟持する一対の板材81c,81cにより構成されている。本実施形態の板材81cは、図6(a)および(b)に示すように、矩形状を呈している。板材81cにはボルト孔81dが形成されている。図5(a)に示すように、一対の板材81c,81cは、ボルト孔81dを挿通したボルトにナットを螺合することにより互いに連結されている。また、板材81cは、継手金物7の継手板71c,72cの継手板5側面に係止されている。なお、板材81cは、必ずしも継手板71cに係止する必要はない。また、板材81c同士は、必ずしもボルトを介して連結する必要はない。
アンカー材82は、図5(a)および(b)に示すように、一端が受材81に固定されていて、他端が継手金物7の基端よりも継手板5から離れた位置に延設されている。本実施形態のアンカー材82は、鉄筋により構成されている。なお、アンカー材82を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、鋼より線や板材等であってもよい。また、アンカー材82は、板材81cに溶接されている。なお、アンカー材82の固定方法は限定されるものではなく、例えば、治具を介して固定してもよい。また、アンカー材82の他端には、必要に応じて定着部材(定着板等)を形成してもよい。本実施形態では、継手金物7の周囲に4本のアンカー材82,82,…が配設されているが、アンカー材82の本数や配置は限定されるものではない。
第三の実施形態では、第一の実施形態と同様に、一対の主桁4,4と、一対の継手板5,5と、スキンプレート6と、継手金物7,7と、補強部材8と、複数の形状保持材9,9,…とを備える鋼殻2と、鋼殻2内に打設されたコンクリート部3とにより構成されたコンクリート一体型鋼製セグメント(以下、端に「セグメント1」という)の継手構造について説明する。
なお、第二の実施形態のコンクリート部3、主桁4、継手板5、スキンプレート6、継手金物7および形状保持材の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
受材81は、継手金物7(定着部71b,72b)の基端(定着板71c,72c)と継手板5との間において継手金物7と交差するように配設されている。なお、受材81の詳細は、第一の実施形態で示した受材81と同様なため詳細な説明は省略する。
アンカー材82は、一端が受材81に固定されていて、他端が継手金物7の基端よりも継手板5から離れた位置に延設されている。なお、アンカー材82の詳細は、第一の実施形態で示したアンカー材82と同様なため詳細な説明は省略する。
横板83は、継手金物7,7の基端から継手板5までの範囲を覆っているため、コンクリート部3が内空側にはらみ出すことを抑制し、よりセグメント間継手の耐力を向上させることができる。セグメント1端部の継手部に形成されるタイドアーチには、継手金物7,7を介して作用する引張力によってタイドアーチ内にせん断力が生じるが、横板83によって継手部が補強されているため、タイドアーチにおいてコンクリート部3が破損することが防止されている。
この他の第三の実施形態のセグメント1の継手構造の作用効果は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。なお、セグメント1の継手構造は、必ずしも横板83および拘束部材84を備えている必要はなく、横板83および拘束部材84のうちのいずれか一方を備えたものであってもよい
セグメント1の用途は限定されるものではなく、例えば、シールドトンネルやTBMの施工に使用すればよい。
2 鋼殻
3 コンクリート部
31 耐火コンクリート
32 内部コンクリート
33 格子状鉄筋
4 主桁
5 継手板
6 スキンプレート
7 継手金物
8 補強部材
81 受材
82 アンカー材
9 形状保持材(補剛リブ)
Claims (3)
- トンネル軸方向の両端に設けられた一対の主桁と、
前記一対の主桁の端部に設けられた継手板と、
前記一対の主桁および前記継手板の地山側に設けられたスキンプレートと、
前記継手板に設けられた継手金物と、
前記主桁、前記継手板および前記スキンプレートに囲まれた空間内に充填されたコンクリート部と、を備えるセグメントの継手構造であって、
前記継手金物の基端と前記継手板との間において前記継手金物と交差するように配設された受材と、
一端が前記受材に固定されていて、他端が前記継手金物の基端よりも前記継手板から離れた位置に延設されたアンカー材と、を備えており、
前記継手金物の基端に定着部材が形成されていることを特徴とする、セグメントの継手構造。 - トンネル軸方向の両端に設けられた一対の主桁と、
前記一対の主桁の端部に設けられた継手板と、
前記一対の主桁および前記継手板の地山側に設けられたスキンプレートと、
前記継手板に設けられた継手金物と、
前記主桁、前記継手板および前記スキンプレートに囲まれた空間内に充填されたコンクリート部と、を備えるセグメントの継手構造であって、
前記継手金物の基端と前記継手板との間において前記継手金物と交差するように配設された受材と、
一端が前記受材に固定されていて、他端が前記継手金物の基端よりも前記継手板から離れた位置に延設されたアンカー材と、を備えており、
前記受材が、前記継手金物を挿通可能な開口を有した枠状材であることを特徴とする、セグメントの継手構造。 - トンネル軸方向の両端に設けられた一対の主桁と、
前記一対の主桁の端部に設けられた継手板と、
前記一対の主桁および前記継手板の地山側に設けられたスキンプレートと、
前記継手板に設けられた継手金物と、
前記主桁、前記継手板および前記スキンプレートに囲まれた空間内に充填されたコンクリート部と、を備えるセグメントの継手構造であって、
前記継手金物の基端と前記継手板との間において前記継手金物と交差するように配設された受材と、
一端が前記受材に固定されていて、他端が前記継手金物の基端よりも前記継手板から離れた位置に延設されたアンカー材と、
前記一対の主桁に横架された補剛リブと、を備えており、
前記アンカー材が、前記補剛リブに連結されていることを特徴とする、セグメントの継手構造。
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