JP6663299B2 - セグメントの継手構造 - Google Patents
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このようなセグメントには、例えば、特許文献1に示すように、鋼殻とコンクリートとを一体化したコンクリート一体型鋼製セグメント(合成セグメント)がある。合成セグメントは、高剛性を確保することができるため、鋼製セグメントや鉄筋コンクリート製セグメント等に比べて覆工厚を薄くすることができる。
セグメント同士の接合は、例えば特許文献2に示すように、一方のセグメントの継手板に突設された挿入金具を、他方のセグメントの継手板に設けられた受け金具に嵌め込むことにより行う場合がある。
ここで、タイドアーチとは、継手板から継手金物の基端までの幅を梁高として、継手金物を巻き込むように、継手板、主桁およびスキンプレートに囲まれた空間に打設されたコンクリートにより形成された仮想梁部材である。
一方、全てのセグメントに対してコンクリート強度や継手板の仕様を高めることは、トンネル全体の工事費の高騰化を招いてしまう。
このような観点から、本発明は、比較的簡易な構成によりセグメント間継手の強度を高め、ひいては、製造の手間および費用の低減化を図ることを可能としたセグメントの継手構造を提案することを課題とする。
かかるセグメントによれば、補強部材を介して継手板を主桁に連結しているので、継手板の変形を抑制することができる。すなわち、本発明は、継手金物を介して継手板に作用した引張力を、補強部材を介して主桁に伝達することで、継手板の変形を抑制するものである。
このように、本発明によれば、コンクリートの強度や継手板の仕様などを変化することなく、補強が必要な部分に設けられるセグメントに対して継手部の補強を行うことができる。そのため、セグメントの製造コストを抑えることができる。
第二の発明は、前記補強部材が、前記各主桁の端部と前記継手板とを連結する一対の横板と、前記継手金物の基端部の内空側において、前記一対の主桁に横架された主桁連結材を備えている。かかるセグメントの継手構造によれば、コンクリートの内空側へのはらみ出しをより抑制できるので、よりセグメント間継手の耐力を向上させることができる。
第三の発明は、前記主桁の内空側に配筋された格子状鉄筋と、前記格子状鉄筋を巻き込む耐火代コンクリートとを備えている。かかるセグメントの継手構造によれば、セグメントの耐火性能が向上する。
なお、前記補強部材が、前記継手金物の基端部の内空側を覆う横板を備えていれば、コンクリートが内空側にはらみ出すことを抑制することが可能となり、よりセグメント間継手の耐力を向上させることができる。
また、前記補強部材が、前記継手板と、前記スキンプレートと、前記横板とを連結する縦板を備えていれば、コンクリートのトンネル内空側へのはらみ出しを抑制し、ひいては、セグメント間継手部における変形を効果的に抑制することができる。
本発明の実施形態では、図1に示すように、鋼殻2と、鋼殻2内に打設されたコンクリート部3とにより構成されたコンクリート一体型鋼製セグメント(以下、端に「セグメント1」という)の継手構造について説明する。
セグメント1は、円弧状に湾曲した版状に形成されており、周方向に複数接続することで、セグメントリング(図示せず)が形成される。このセグメントリングを軸方向に順次接合すると、トンネルの覆工が形成される。
鋼殻2は、一対の主桁4,4と、一対の継手板5,5と、スキンプレート6と、継手金物7,7と、補強部材8と、複数の形状保持材9,9,…とを備えて構成されている。
主桁4は、図2(a)に示すように、トンネルの断面形状に応じて円弧状に形成された鋼製部材からなる。
本実施形態の主桁4は、図2(b)に示すように、ウェブ41と、ウェブ41の地山側端部およびトンネル内空側端部にそれぞれ設けられたフランジ42,42とを備えている。すなわち、本実施形態の主桁4は、ウェブ41と一対のフランジ42,42により、断面視コ字状を呈している。なお、主桁4の構成は限定されるものではなく、必ずしも断面視コ字状である必要はない。
図1に示すように、主桁4には、複数のリング間ジョイント11,11,…が形成されている。リング間ジョイント11は、セグメントリング同士を連結するものである。なお、リング間ジョイント11の構成、配置および数は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
継手板5には、継手金物7を設置するための二つの貫通孔51,51が形成されている。貫通孔51,51は、継手板5のトンネル軸方向中心線からの距離が等間隔になるように形成されている。なお、貫通孔51の形状、数および配置は、継手金物7の位置や形式に応じて適宜設定すればよい。
スキンプレート6は、枠状に組み付けられた主桁4,4および継手板5,5の開口部の外周面側(地山側)を塞ぐように配置された鋼板である。
受け金物71は、セグメント1の端面において開口して、挿入金物72を挿入することが可能な受け部71aと、受け部71aの背面側(継手板5と反対側)に形成された角柱状の定着部71bと、定着部71bの基端部(継手板5と反対側の端部)に形成された定着板71cとにより構成されている。定着板71cの断面形状は、定着部71bの断面形状よりも大きい。受け金物71は、鋼殻2内においてコンクリート部3に埋設されている。
受け金物71と挿入金物72は、セグメント1のトンネル軸方向中央から同一の間隔をあけた位置に配設されている。また、本実施形態の継手金物7は、図1に示すように、鋼殻2の厚さ方向中央付近に形成されているが、継手金物7の形成箇所は限定されるものではない。また、継手金物7は、複数段形成されていてもよい。また、定着部71b,72bによって十分な定着力を確保できる場合には、定着板71c,72cは省略してもよい。さらに、セグメント1同士を接合するための継手構造(継手金物7の構成)は限定されるものではない。
形状保持材9は鋼板からなり、地山側端面がスキンプレート6に当接しているとともに、トンネル軸方向両端がそれぞれ主桁4,4の板面に当接している。形状保持材9は、スキンプレート6との当接箇所において溶接されているとともに、端部がウェブ41とフランジ42に溶接されている。なお、形状保持材9の固定方法は限定されない。
補強部材8は、継手金物7,7の基端から継手板5までの範囲を覆っているため、コンクリート部3が内空側にはらみ出すことを抑制することができ、ひいては、よりセグメント間継手の耐力を向上させることができる。セグメント1端部の継手部に形成されるタイドアーチには、図5に示すように、継手金物7,7を介して作用する引張力によってせん断力が生じるが、横板81によって継手部が補強されているため、タイドアーチにおいてコンクリート部3が破損することが防止されている。
横板81に、開口81a,81bを形成することで、鋼材量の低減化を図ることができる。また、開口81a,81bからバイブレータを挿入することで、鋼殻2内に打設された打設コンクリートを締め固めることができる。
縦板82が配設されているため、横板81の変形が抑制されている。そのため、コンクリート部3がトンネル内空側へはらみ出すことが防止され、ひいては、セグメント間継手部における変形を効果的に抑制することができる。
また、主桁4の内空側に耐火代コンクリート31を備えているため、セグメント1の耐火性能が高い。
第二の実施形態では、第一の実施形態と同様に、一対の主桁4,4と、一対の継手板5,5と、スキンプレート6と、継手金物7,7と、補強部材8と、複数の形状保持材9,9,…とを備える鋼殻2と、鋼殻2内に打設されたコンクリート部3とにより構成されたコンクリート一体型鋼製セグメント(以下、端に「セグメント1」という)の継手構造について説明する。
なお、第二の実施形態のコンクリート部3、主桁4、継手板5、スキンプレート6、継手金物7および形状保持材9の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
横板81は、スキンプレート6と平行な平鋼板であって、継手板5に対して傾斜した状態で配設されている。横板81の一端は、継手板5の中央部に溶接されており、横板81の他端は、主桁4と中桁連結材83との角部においてフランジ41に溶接されている。なお、横板81の固定方法は限定されるものではない。また、横板81を構成する材料は鋼板に限定されるものではない。
主桁連結材83は、スキンプレート6と平行な平鋼板であって、継手金物7の基端部の内空側に配設されている。主桁連結材83の両端は、各主桁4のフランジ41に両端が溶接されている。なお、主桁連結材83の固定方法は限定されるものではない。また、主桁連結材83を構成する材料は、鋼板に限定されるものではなく、例えば鋼棒であってもよい。また、主桁連結材83は必要に応じて設置すればよく、省略してもよい。
横板81,81は、継手金物7,7に作用する引張力によってタイドアーチ(図5参照)内に生じるせん断力と交差するように配設されているため、コンクリート部3に亀裂が生じることを防止する。
また、主桁4の内空側に耐火代コンクリート31を備えているため、セグメント1の耐火性能が高い。
第三の実施形態では、第一の実施形態と同様に、一対の主桁4,4と、一対の継手板5,5と、スキンプレート6と、継手金物7,7と、補強部材8と、複数の形状保持材9,9,…とを備える鋼殻2と、鋼殻2内に打設されたコンクリート部3とにより構成されたコンクリート一体型鋼製セグメント(以下、端に「セグメント1」という)の継手構造について説明する。
なお、第三の実施形態のコンクリート部3、主桁4、継手板5、スキンプレート6、継手金物7および形状保持材9の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
横板81は、スキンプレート6と平行な矩形状の平鋼板からなり、3辺が一対の主桁4,4および継手板5に固定されている。なお、この他の横板81の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。また、補強部材8の構成は限定されるものではなく、例えば、各主桁4の端部と継手板5とを連結するように一対の横板81,81が配設されていてもよい。
この他の第三の実施形態のセグメント1の継手構造の作用効果は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
第四の実施形態では、第一の実施形態と同様に、一対の主桁4,4と、一対の継手板5,5と、スキンプレート6と、継手金物7,7と、補強部材8と、複数の形状保持材9,9,…とを備える鋼殻2と、鋼殻2内に打設されたコンクリート部3とにより構成されたコンクリート一体型鋼製セグメント(以下、端に「セグメント1」という)の継手構造について説明する。
なお、第四の実施形態のコンクリート部3、主桁4、継手板5、スキンプレート6および継手金物7の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
横板81は、スキンプレート6と平行な矩形状の平鋼板からなり、3辺が一対の主桁4,4および継手板5に固定されている。なお、横板81の詳細は、第三の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
拘束部材84は、継手金物7の軸方向に沿って間隔をあけて並設された複数のフープ筋84a,84a,…により構成されている。拘束部材84の詳細は、第三の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。なお、拘束部材84は、必要に応じて設置すればよく、省略してもよい。
アンカー材87の一端は、受材86に固定されている。アンカー材87の他端は、継手金物7の基端よりも継手板5から離れた位置に配置されている。本実施形態のアンカー材87は、鉄筋により構成されている。なお、アンカー材87を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、鋼より線や板材等であってもよい。アンカー材87は、板材86aの貫通孔を挿通した頭部にナットを螺合することにより受材86に固定されている。なお、アンカー材87の固定方法は限定されるものではなく、例えば、溶接してもよい。また、アンカー材87の他端には、必要に応じて定着部材(定着板等)を形成してもよい。本実施形態では、継手金物7の周囲に4本のアンカー材87,87,…が配設されているが、アンカー材87の本数、配置および形状は限定されるものではない。
この他の第四の実施形態に係るセグメント1の継手構造の作用効果は、第三の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
セグメント1の用途は限定されるものではなく、例えば、シールドトンネルやTBMの施工に使用すればよい。
横板81の形状は、主桁4と継手板5とを力の伝達を可能に連結するものであれば前記各実施形態で示したものに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、主桁4と継手板5との角部に固定された矩形状あるいは三角形状の板材であってもよい。
2 鋼殻
3 コンクリート部
31 耐火代コンクリート
32 内部コンクリート
33 格子状鉄筋
4 主桁
5 継手板
6 スキンプレート
7 継手金物
8 補強部材
81 横板
83 主桁連結材
84 拘束部材
86 受材
87 アンカー材
9 形状保持材
Claims (5)
- トンネル軸方向の両端に設けられた一対の主桁と、
前記一対の主桁の端部に設けられた継手板と、
地山に面するスキンプレートと、
前記継手板に設けられた継手金物と、
前記主桁、前記継手板および前記スキンプレートに囲まれた空間内に充填されたコンクリート部と、
前記継手金物よりも内空側において前記一対の主桁と前記継手板とを連結する補強部材と、を備えるセグメントの継手構造であって、
前記補強部材が、前記各主桁の端部と前記継手板とを連結する一対の横板を備えており、
前記一対の横板が、前記継手板に対して傾斜していることを特徴とする、セグメントの継手構造。 - トンネル軸方向の両端に設けられた一対の主桁と、
前記一対の主桁の端部に設けられた継手板と、
地山に面するスキンプレートと、
前記継手板に設けられた継手金物と、
前記主桁、前記継手板および前記スキンプレートに囲まれた空間内に充填されたコンクリート部と、
前記継手金物よりも内空側において前記一対の主桁と前記継手板とを連結する補強部材と、を備えるセグメントの継手構造であって、
前記補強部材が、前記各主桁の端部と前記継手板とを連結する一対の横板と、前記継手金物の基端部の内空側において前記一対の主桁に横架された主桁連結材と、を備えていることを特徴とする、セグメントの継手構造。 - トンネル軸方向の両端に設けられた一対の主桁と、
前記一対の主桁の端部に設けられた継手板と、
地山に面するスキンプレートと、
前記継手板に設けられた継手金物と、
前記主桁、前記継手板および前記スキンプレートに囲まれた空間内に充填されたコンクリート部と、
前記継手金物よりも内空側において前記一対の主桁と前記継手板とを連結する補強部材と、
前記主桁の内空側に配筋された格子状鉄筋と、
前記格子状鉄筋を巻き込む耐火代コンクリートと、を備えていることを特徴とする、セグメントの継手構造。 - 前記補強部材が、前記継手金物の基端部の内空側を覆う横板を備えていることを特徴とする、請求項3に記載のセグメントの継手構造。
- 前記補強部材が、前記継手板と、前記スキンプレートと、前記横板とを連結する縦板を備えていることを特徴とする、請求項4に記載のセグメントの継手構造。
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