以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ10を示す斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、記録媒体12に印刷を行う。記録媒体12は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体12は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体12は、シート状のメディア、例えば、樹脂製のシートなどであってもよい。
以下の説明では、左、右、上、下とは、インクジェットプリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、インクジェットプリンタ10から上記作業者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。後述するインクヘッド80(図2参照)は左方および右方に移動可能である。記録媒体12は、前方および後方に搬送可能である。本実施形態では、インクヘッド80の移動方向を主走査方向Yといい、記録媒体12の搬送方向を副走査方向Xという。ここでは、主走査方向Yは左右方向に対応し、副走査方向Xは前後方向に対応する。主走査方向Yと副走査方向Xとは直交している。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xは特に限定される訳ではなく、インクジェットプリンタ10の形態等に応じて適宜に設定可能である。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、本体部15と、プラテン16と、左側方部22と、右側方部24と、左脚部26と、右脚部28と、を備えている。本体部15は、左右方向に延びる。本体部15の左方には、左側方部22が配置されている。本体部15の右方には、右側方部24が配置されている。本体部15の前部には、プラテン16が設けられている。プラテン16の主走査方向Yの一の端部である左端部には、上下方向に延びる第1側壁14Aが設けられている。プラテン16の主走査方向Yの他の一の端部である右端部には、上下方向に延びる第2側壁14Bが設けられている。第1側壁14Aおよび第2側壁14Bは、本体部15に取り付けられている。左脚部26および右脚部28は、本体部15の下部に取り付けられている。
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、第1カバー部材15Aと、第2カバー部材22Aと、第3カバー部材24Aとを備えている。第1カバー部材15Aは、本体部15の上方および後方を覆う。第2カバー部材22Aは、本体部15の左端部と、左側方部22を覆う。第3カバー部材24Aは、本体部15の右端部と、右側方部24を覆う。第1カバー部材15Aには、第1カバー部材15Aの前端を中心に回動可能なフロントカバー15Hが設けられている。フロントカバー15Hは、光を透過することが可能な材料であれば、特に限定されない。本実施形態では、フロントカバー15Hは、透明なアクリル樹脂で形成されている。フロントカバー15Hを通して、作業者は記録媒体の12の印刷状態等を確認することができる。フロントカバー15Hには、取っ手15Mが設けられている。作業者がとって15Mを前方に引き上げることによって、フロントカバー15Hが開く。なお、図2において、第1カバー部材15A、第2カバー部材22Aおよび第3カバー部材24Aは、便宜上図示を省略している。
図2に示すように、プラテン16には、記録媒体12が配置される。プラテン16は、記録媒体12を支持する。プラテン16は、主走査方向Yに延びる。プラテン16は、平面部16Aと、湾曲部16Bとを備えている。平面部16Aには、記録媒体12の端部12Aが配置される位置合わせ部17が設けられている。本実施形態の位置合わせ部17は、副走査方向Xに延びる溝である。なお、位置合わせ部17は、副走査方向Xに延びる目印であってもよいし、突起であってもよい。位置合わせ部17は、後述のピンチローラ20のうち、最も右方に位置するピンチローラ20の前方に形成されている。湾曲部16Bは、平面部16Aの前縁16AAから前斜め下方に向けて湾曲する。湾曲部16Bは、平面部16Aから離れるほど湾曲が大きくなる。プラテン16の内部には、ヒータ35が設けられている。プラテン16は、ヒータ35によって加熱される。ヒータ35は、プラテン16の表面を暖める。記録媒体12に吐出されたインクは、プラテン16において暖められ、乾燥が促進される。本実施形態では、ヒータ35はプラテン16の平面部16Aに設けられている。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、第1温度センサ91を備えている。第1温度センサ91は、プラテン16の平面部16Aの温度を測定する。第1温度センサ91は、プラテン16の内部に設けられている。第1温度センサ91で測定されたプラテン16の平面部16Aの温度情報は、制御装置70に送られる。
図2に示すように、プラテン16には、記録媒体12を搬送する搬送機構として、円筒状のグリッドローラ18が複数設けられている。グリッドローラ18は、主走査方向Yに並んで配置されている。グリッドローラ18は、その上面を露出させた状態でプラテン16に埋設されている。グリッドローラ18は、フィードモータ55(図3参照)によって駆動される。フィードモータ55は後述する制御装置70に制御される。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、プラテン16の上方に配置された複数のピンチローラ20を備えている。ピンチローラ20は、主走査方向Yに並んで配置されている。ピンチローラ20は、グリッドローラ18より上方に配置されている。ピンチローラ20は、グリッドローラ18に対向している。ピンチローラ20は、記録媒体12の厚さに応じて上下方向の位置を設定可能に構成されている。ピンチローラ20は、記録媒体12を押さえる。グリッドローラ18およびピンチローラ20は、記録媒体12を挟持しながら記録媒体12を副走査方向X(前後方向)に搬送可能に構成されている。
図4に示すように、インクジェットプリンタ10は、ガイドレール30を備えている。ガイドレール30は、プラテン16の上方に配置されている。ガイドレール30は、ピンチローラ20より上方に配置されている。ガイドレール30は、プラテン16と平行に配置され、左右方向に延びている。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、インクヘッド80を備えている。インクヘッド80は、プラテン16の上方に配置されている。インクヘッド80は、インクを記録媒体12に吐出する。インクヘッド80は、インクを吐出するノズル(図示せず)を有している。インクヘッド80は、ガイドレール30を摺動自在に移動するキャリッジ81に設けられている。インクヘッド80は、インクを収容するインク収容体としての複数のインクカートリッジ85(図1参照)に接続されている。インクカートリッジ85は、後述するフレーム部材40の上方に配置されている。インクカートリッジ85は、第2カバー部材22A内に収容されている。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、第2温度センサ92を備えている。第2温度センサ92は、インクヘッド80の温度を測定する。第2温度センサ92は、インクヘッド80に取り付けられている。第2温度センサ92で測定されたインクヘッド80の温度情報は、制御装置70に送られる。第2温度センサ92は、キャリッジ81に設けられていてもよい。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、カッティングヘッド82を備えている。カッティングヘッド82は、記録媒体12を切断する。カッティングヘッド82は、カッター(図示せず)を有している。カッティングヘッド82は、ガイドレール30を摺動自在に移動するキャリッジ83に設けられている。
図4に示すように、インクジェットプリンタ10は、フレーム部材40を備えている。フレーム部材40は、ピンチローラ20より上方に配置されている。フレーム部材40は、第1側壁14A(図2参照)および第2側壁14Bに支持されている。本実施形態では、フレーム部材40は、左側方部22(図2参照)に支持されている。フレーム部材40は、主走査方向Yに延びる。図2に示すように、フレーム部材40は、平面視でプラテン16と重なる。フレーム部材40は、平面視でプラテン16の平面部16Aと重なる。フレーム部材40は、ピンチローラ20より前方に配置されている。フレーム部材40は、プラテン16の湾曲部16Bより後方に配置されている。フレーム部材40には、後述するフルカラーLED50を搭載する複数の回路基板42が設けられている。図4に示すように、フレーム部材40には、複数の開口44が形成されている。開口44は、フルカラーLED50の下方に形成されている。開口44は、平面視でフルカラーLED50と重なる位置に形成されている。
図4に示すように、インクジェットプリンタ10は、複数のフルカラーLED50を備えている。フルカラーLED50は、赤、緑、青の各色彩光をそれぞれ発する3種類の発光素子が1つのパッケージに封入されて構成されている。フルカラーLED50の各発光素子を個別に制御することによって、様々な色の光を発することができる。
図4に示すように、フルカラーLED50は、ピンチローラ20より上方に配置されている。フルカラーLED50は、フレーム部材40に設けられている。フルカラーLED50は、主走査方向Yに並んで配置されている。フルカラーLED50は、回路基板42に搭載されている。回路基板42に搭載されたフルカラーLED50は、略等間隔に配置されている。フルカラーLED50は、例えば50mm〜100mm程度の間隔に配置されている。本実施形態では、各回路基板42には3つのフルカラーLED50が配置されている。なお、回路基板42の枚数および回路基板42に配置されるフルカラーLED50の数は上記構成に限定されない。ピンチローラ20とピンチローラ20との間には、少なくとも一つのフルカラーLED50が配置されている。例えば、図4に示す例では、ピンチローラ20Aとピンチローラ20Bとの間にフルカラーLED50B、フルカラーLED50CおよびフルカラーLED50Dが配置されている。フルカラーLED50B、フルカラーLED50CおよびフルカラーLED50Dは、ピンチローラ20Aよりピンチローラ20B側(即ちピンチローラ20Aより右方)に配置されている。フルカラーLED50B、フルカラーLED50CおよびフルカラーLED50Dは、ピンチローラ20Bよりピンチローラ20A側(即ちピンチローラ20Bより左方)に配置されている。図2に示すように、フルカラーLED50は、平面視で、プラテン16の平面部16Aの前縁16AAとピンチローラ20との間に配置されている。フルカラーLED50は、平面視で、プラテン16の平面部16Aの前縁16AAとピンチローラ20との中間点Mよりピンチローラ20側に配置されている。フルカラーLED50は、平面視で、中間点Mより後方に配置されている。本実施形態では、中間点Mは、ピンチローラ20の主走査方向Yに延びる軸心から副走査方向Xに延びる直線上にある点であって、ピンチローラ20の軸心からの距離と前縁16AAからの距離とが等しくなる点である。
図5に示すように、フルカラーLED50は、プラテン16に向かって光を照射する。図6に示すように、フルカラーLED50は、プラテン16およびピンチローラ20に向かって光を照射する。フルカラーLED50の光は、フレーム部材40に形成された開口44(図4参照)を介してプラテン16およびピンチローラ20に照射される。図5に示すように、フルカラーLED50(図4参照)は、プラテン16の平面部16Aに向かって光を照射する。図5中、符号50Xは、フルカラーLED50から照射された光の照射範囲を示す。フルカラーLED50から照射される光は、隣り合うフルカラーLED50からプラテン16上に照射された光の照射範囲50Xが互いに重なるように後述する制御装置70(図2参照)に制御される。図6に示すように、フルカラーLED50のうち、最も右方に位置するフルカラーLED50Aは、位置合わせ部17に向かって光を照射する。位置合わせ部17は、フルカラーLED50Aの光の照射範囲50X内に位置する。フルカラーLED50は、記録媒体12の印刷領域12Xを含む領域のみに向かって光を照射するように構成されている。例えば、図7に示す例では、フルカラーLED50A〜フルカラーLED50Gは記録媒体12の印刷領域12Xを照射するが、フルカラーLED50HおよびフルカラーLED50Iは記録媒体12の印刷領域12Xを照射しない。すなわち、フルカラーLED50A〜フルカラーLED50Gの光の照射範囲50Xは、印刷領域12Xと重なるが、フルカラーLED50HおよびフルカラーLED50Iの光の照射範囲50Xは、印刷領域12Xと重ならない。このため、フルカラーLED50HおよびフルカラーLED50Iは、光を照射しないように後述する制御装置70(図2参照)に制御される。また、図8に示す例では、フルカラーLED50A〜フルカラーLED50Dは記録媒体12の印刷領域12Xを照射するが、フルカラーLED50E〜フルカラーLED50Iは記録媒体12の印刷領域12Xを照射しない。すなわち、フルカラーLED50A〜フルカラーLED50Dの光の照射範囲50Xは、印刷領域12Xと重なるが、フルカラーLED50E〜フルカラーLED50Iの光の照射範囲50Xは、印刷領域12Xと重ならない。このため、フルカラーLED50E〜フルカラーLED50Iは、光を照射しないように制御装置70に制御される。本明細書において、印刷領域12Xは、インクヘッド80からインクが吐出される領域と、カッティングヘッド82が記録媒体12をカッティングする領域と、を含む概念である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、操作パネル60を備えている。操作パネル60は、フルカラーLED50から照射される光の色を調整可能に構成されている。操作パネル60は、押しボタン等からなる複数の操作子62と、表示画面64とを備えている。なお、操作子62に代えて、表示画面64にタッチパネルを設けてもよい。操作パネル60の表示画面64には、フルカラーLED50から照射される光の色に関する情報が表示される。
図9に示すように、操作パネル60(図1参照)の表示画面64には、フルカラーLED50から照射可能な全ての色が表示されたカラーバー65と、カーソル69とが表示される。本実施形態においてカラーバーとは、色相を表示するものである。作業者は、操作子62を操作してカーソル69を動かすことによって、特定の色を選択することができる。カラーバー65に基づいて、フルカラーLED50から照射される光の色を選択する場合、作業者は色を事前に確認することができるため、光の色の選択が容易である。
また、図10に示すように、操作パネル60(図1参照)の表示画面64には、フルカラーLED50から照射される光のR値66A、G値66B、B値66Cと、カーソル69とを表示させてもよい。作業者は、操作子62を操作してカーソル69を動かし、各R値66A、G値66B、B値66Cを調整することができる。これにより、表示画面64が白黒液晶の場合であっても、フルカラーLED50から照射される光の色を調整することができる。
また、図11に示すように、操作パネル60(図1参照)の表示画面64には、予め記憶された光の色を文字によって表示させてもよい。本実施形態では、例えば、後述する記憶部72に予め記憶された昼光色、昼白色および電球色を、それぞれ昼光色という文字68A、昼白色という文字68Bおよび電球色という文字68Cによって表示画面64に表示させてもよい。ここで、昼光色、昼白色および電球色は、JIS Z9112に規定された光源色である。作業者は、操作子62を操作してカーソル69を動かすことによって、予め記憶された昼光色、昼白色および電球色のいずれかを選択することができる。なお、フルカラーLED50から照射される光の色を表示する文字は上記のものに限定されない。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、制御装置70を備えている。インクジェットプリンタ10の全体の動作は、制御装置70によって制御されている。制御装置70は、インクヘッド80、カッティングヘッド82およびフルカラーLED50にそれぞれ接続されている。本実施形態では、制御装置70として、マイクロコンピューターを備えている。制御装置70は、左側方部22に設けられている。
図3に示すように、制御装置70は、記憶部72と、光変更部74と、判定部75と、制御部76と、インクヘッド制御部77と、カッティングヘッド制御部78と、を備えている。制御装置70は、フルカラーLED50から照射される光を制御する。
記憶部72は、操作パネル60の表示画面64に表示されるカラーバー65(図9参照)、フルカラーLED50から照射される光のR値66A、G値66B、B値66C(図10参照)等を予め記憶している。記憶部72は、昼光色、昼白色および電球色を予め記憶している。記憶部72は、インクジェットプリンタ10が所定の状態であるときのフルカラーLED50から照射される光の色を予め記憶している。記憶部72は、例えば、ヒータ35(図2参照)の暖機中、即ち、ヒータ35がプラテン16(図2参照)を加熱し、かつ、プラテン16の温度が所定の温度未満(例えば45℃〜60℃未満)の場合には、フルカラーLED50から照射される光の色として第1色を記憶している。本実施形態では、第1色は例えば黄色である。また、記憶部72は、例えば、ヒータ35(図2参照)の冷却中、即ち、ヒータ35がプラテン16を加熱せず、かつ、プラテン16の温度が所定の温度以上(例えば45℃〜60℃以上)の場合には、フルカラーLED50から照射される光の色として第1色とは異なる第2色を記憶している。本実施形態では、第2色は例えば青色である。さらに、記憶部72は、例えば、インクヘッド80(図2参照)の高温異常時、即ち、インクヘッド80の温度が所定の温度以上(例えば60℃〜70℃以上)の場合には、フルカラーLED50から照射される光の色として第3色を記憶している。第3色は、第1色または第2色と同じであってもよい。本実施形態では、第3色は例えば黄色である。また、記憶部72は、例えば、インクヘッド80の低温異常時、即ち、インクヘッド80の温度が所定の温度未満(例えば10℃〜15℃未満)の場合には、フルカラーLED50から照射される光の色として第3色とは異なる第4色を記憶している。本実施形態では、第4色は例えば青色である。
光変更部74は、各フルカラーLED50から照射される光の色を変更する。色は、色調、彩度および明度の少なくともいずれか変更することによって変更することができる。光変更部74は、フルカラーLED50から照射される光の色をカラーバー65(図9参照)のいずれかの色に変更する。即ち、作業者が操作パネル60の表示画面64に表示されたカラーバー65の所定の色を選択した場合、光変更部74は、フルカラーLED50から照射される光の色を選択された色に変更する。また、光変更部74は、表示画面64に表示されたR値66A、G値66B、B値66C(図10参照)に基づいて、フルカラーLED50から照射される光の色を変更してもよい。即ち、作業者が操作パネル60の表示画面64に表示されたR値66A、G値66B、B値66Cを調整することによって所定の色を選択した場合、光変更部74は、フルカラーLED50から照射される光の色を選択された色に変更してもよい。また、光変更部74は、フルカラーLED50から照射される光の色を、昼光色、昼白色または電球色に変更してもよい。即ち、作業者が操作パネル60の表示画面64に表示された昼光色という文字68A、昼白色という文字68Bおよび電球色という文字68Cからいずれかの文字を選択した場合、光変更部74は、フルカラーLED50から照射される光の色を選択された色に変更してもよい。さらに、光変更部74は、インクジェットプリンタ10の状態に応じてフルカラーLED50から照射される光の色を記憶部72に予め記憶された色に変更する。
判定部75は、ヒータ35(図2参照)がプラテン16(図2参照)を加熱しているか否かを判定する。判定部75は、第1温度センサ91に基づいて、プラテン16の温度が所定の温度未満(例えば45℃〜60℃未満)であるか否かを判定する。判定部75は、第1温度センサ91に基づいて、プラテン16の温度が所定の温度以上(例えば45℃〜60℃以上)であるか否かを判定する。判定部75は、第2温度センサ92に基づいて、インクヘッド80(図2参照)の温度が所定の温度以上所定の温度以上(例えば60℃〜70℃以上)であるか否かを判定する。判定部75は、第2温度センサ92に基づいて、インクヘッド80の温度が所定の温度未満所定の温度未満(例えば10℃〜15℃未満)であるか否かを判定する。
制御部76は、各フルカラーLED50から照射される光の点灯および消灯を制御する。フルカラーLED50から照射される光は、制御部76によって点灯、消灯および点滅する。制御部76は、インクジェットプリンタ10の状態に応じてフルカラーLED50から照射される光の点灯および消灯を制御する。制御部76は、インクジェットプリンタ10の状態に応じてフルカラーLED50に供給する電流を変更することによって、フルカラーLED50から照射される光の点灯状態、すなわち照度を制御する。例えば、ヒータ35(図2参照)がプラテン16(図2参照)を加熱し、かつ、プラテン16の温度が所定の温度未満であると判定部75によって判定された場合、制御部76は、フルカラーLED50から第1色の光を照射させる。また、ヒータ35がプラテン16を加熱せず、かつ、プラテン16の温度が所定の温度以上であると判定部75によって判定された場合、制御部76は、フルカラーLED50から第2色の光を照射させる。さらに、インクヘッド80(図2参照)の温度が所定の温度以上であると判定部75によって判定された場合、制御部76は、フルカラーLED50から第3色の光を照射させる。また、インクヘッド80(図2参照)の温度が所定の温度未満であると判定部75によって判定された場合、制御部76は、フルカラーLED50から第4色の光を照射させる。
例えば、表1に示すように、インクジェットプリンタ10の電源がOFFの場合、制御装置70にも電源が供給されておらず、フルカラーLED50には電流が供給されないため、フルカラーLED50は消灯する。また、(1)インクジェットプリンタ10が待機中の場合、および、(2)定期メンテナンスを行う場合、制御部76はフルカラーLED50に電流を供給しないため、フルカラーLED50は消灯する。
一方、表1に示すように、(1)インクヘッド80およびカッティングヘッド82の原点位置を設定する場合、(2)フロントカバー15Hを開けた場合、(3)テスト印刷を行う場合、(4)テスト印刷を終了した場合、(5)インクジェットプリンタ10が印刷またはカッティング作業を行っている場合、(6)印刷を終了した場合、(7)インクジェットプリンタ10が印刷またはカッティング作業を一時停止している場合、および、(8)インクヘッド80のクリーニングを行っている場合、(9)ヒータ35の暖機中の場合、および、(10)ヒータ35の冷却中の場合、制御部76はフルカラーLED50に電流を供給するため、フルカラーLED50は点灯する。即ち、フルカラーLED50から表1に示す色の光が照射される。なお、上記(3)〜(6)のときには、通常、作業者が操作パネル60を操作することによって、フルカラーLED50から照射される光の色を任意の色とする。
さらに、(1)インクヘッド高温異常時の場合、および、(2)インクヘッド低温異常時の場合、制御部76はフルカラーLED50に電流を断続的に供給するため、フルカラーLED50は点滅する。なお、インクジェットプリンタ10の状態と、フルカラーLED50の状態およびフルカラーLED50から照射される光の色とは上記組み合わせに限定されない。また、フルカラーLED50の点滅の間隔を適宜変更してもよい。また、インクジェットプリンタ10に設けられた操作パネル60(図1参照)やインクジェットプリンタ10とは別体に設けられたインクジェットプリンタ10を制御するコントローラ(図示せず)等を作業者が操作することによって、インクジェットプリンタ10の状態に関係なく、強制的にフルカラーLED50から照射される光の点灯および消灯を実施できるように構成されていてもよい。
インクヘッド制御部77は、インクヘッド80(図2参照)を制御する。インクヘッド制御部77は、キャリッジ81(図2参照)の移動を制御する。インクヘッド制御部77は、インクヘッド80から記録媒体12に吐出するインクの量やタイミング等を制御する。制御部76がフルカラーLED50から第3色または第4色の光を照射させるとき、インクヘッド制御部77は、インクヘッド80の作動を停止させてもよい。即ち、インクヘッド80の高温異常時および低温異常時には、インクヘッド制御部77は、インクヘッド80の作動を停止させてもよい。
カッティングヘッド制御部78は、カッティングヘッド82(図2参照)を制御する。カッティングヘッド制御部78は、キャリッジ83(図2参照)の移動を制御する。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ10は、プラテン16およびピンチローラ20に向かって光を照射する複数のフルカラーLED50と、フルカラーLED50から照射される光を制御する制御装置70と、を備えている。そして、制御装置70は、フルカラーLED50から照射される光の色を変更する光変更部74と、各フルカラーLED50から照射される光の点灯および消灯を制御する制御部76とを備えている。このため、インクジェットプリンタ10の状態に関係なく、強制的にフルカラーLED50から照射される光の点灯および消灯を実施できるだけでなく、記録媒体12に印刷された印刷物に対して、任意の色の光をフルカラーLED50から照射することができる。従って、作業者は、記録媒体12に印刷された印刷物の印刷状況を確認しやすい光の色を適宜に選択し、印刷状態をより正確に確認することができる。また、隣り合うフルカラーLED50からプラテン16上に照射された光の照射範囲50Xが互いに重なるように、各フルカラーLED50から照射される光が制御装置70により制御されているため、隣り合うフルカラーLED50から照射される光の照射範囲50Xの縁部のうち、互いに重なっている部分には虹色が確認されず、各フルカラーLED50から照射される光が確認されることになる。この結果、1つのフルカラーLED50の光の照射範囲50Xと、これに隣り合う1つのフルカラーLED50の光の照射範囲50Xとの間において、記録媒体12に印刷された印刷物の印刷状態をより正確に確認することができる。なお、フルカラーLED50から照射される光の色をインクジェットプリンタ10の状態に応じて適宜変更することによって、作業者はインクジェットプリンタ10の状態を即時に認識することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ10は、図1に示すように、フルカラーLED50(図2参照)から照射される光の色を調整可能に構成された操作パネル60を備えている。これにより、作業者は操作パネル60を操作することによって、フルカラーLED50から照射される光の色を適宜変更することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ10によれば、図9に示すように、操作パネル60の表示画面64には、フルカラーLED50から照射可能な全ての色が表示されたカラーバー65が表示され、光変更部74は、フルカラーLED50から照射される光の色を、選択されたカラーバー65のいずれかの色に変更する。これにより、作業者はカラーバー65に表示された色を選択することによって、フルカラーLED50から照射される光の色を適宜変更することができる。
なお、図10に示すように、操作パネル60の表示画面64には、フルカラーLED50から照射される光のR値66A、G値66B、B値66Cが表示され、光変更部74は、表示画面64に表示されたR値66A、G値66BおよびB値66Cに基づいて、フルカラーLED50から照射される光の色を変更してもよい。これにより、作業者はフルカラーLED50のR値66A、G値66B、B値66Cを調整することによって、フルカラーLED50から照射される光の色を適宜変更することができる。
また、図11に示すように、光変更部74は、フルカラーLED50から照射される光の色を、昼光色、昼白色または電球色に変更してもよい。このように、作業者はフルカラーLED50から照射される光の色を昼光色、昼白色または電球色に変更することによって、記録媒体12に印刷された印刷物が実際に配置される場所での色合い等を確認することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ10は、図2に示すように、プラテン16の内部に設けられ、プラテン16を加熱するヒータ35と、プラテン16の温度を測定する第1温度センサ91と、を備えている。ヒータ35がプラテン16を加熱し、かつ、プラテン16の温度が所定の温度未満の場合、制御部76は、フルカラーLED50から第1色の光を照射させる。このように、作業者はフルカラーLED50から第1色の光が照射されていることを確認することによって、ヒータ35がプラテン16を加熱しているが、プラテン16の温度が所定の温度未満であるというインクジェットプリンタ10の所定の状態を認識することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ10によれば、ヒータ35がプラテン16を加熱せず、かつ、プラテン16の温度が所定の温度以上の場合、制御部76は、フルカラーLED50から第1色とは異なる第2色の光を照射させる。このように、作業者はフルカラーLED50から第2色の光が照射されていることを確認することによって、ヒータ35がプラテン16を加熱しておらず、プラテン16の温度が所定の温度以上であるというインクジェットプリンタ10の所定の状態を認識することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ10は、図2に示すように、インクヘッド80の温度を測定する第2温度センサ92を備えている。インクヘッド80の温度が所定の温度以上の場合、制御部76は、フルカラーLED50から第3色の光を照射させる。このように、作業者はフルカラーLED50から第3色の光が照射されていることを確認することによって、インクヘッド80の温度が所定の温度以上であるというインクジェットプリンタ10の所定の状態を認識することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ10によれば、インクヘッド80の温度が所定の温度未満の場合、制御部76は、フルカラーLED50から第3色とは異なる第4色の光を照射させる。このように、作業者はフルカラーLED50から第4色の光が照射されていることを確認することによって、インクヘッド80の温度が所定の温度未満であるというインクジェットプリンタ10の所定の状態を認識することができる。
本実施形態のインクジェットプリンタ10によれば、図3に示すように、制御装置70は、インクヘッド80を制御するインクヘッド制御部77を備えている。制御部76がフルカラーLED50から第3色または第4色の光を照射させるとき、インクヘッド制御部77は、インクヘッド80の作動を停止させる。インクヘッド80の温度が所定の範囲内にない場合には、印刷性能が低下する虞があるため、インクヘッド80の作動を停止させることによって、記録媒体12に印刷された品質の低下を未然に防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することが可能である。
インクジェットプリンタ10の制御装置70の記憶部72と、光変更部74と、判定部75と、制御部76と、インクヘッド制御部77と、カッティングヘッド制御部78とは、ソフトウェアによって構成されていてもよい。即ち、上記各部は、コンピュータプログラムがコンピュータに読み込まれることにより、当該コンピュータによって実現されるようになっていてもよい。本発明には、コンピュータを上記各部として機能させるためのコンピュータプログラムが含まれる。また、本発明には、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が含まれる。また、上記各部は、インクジェットプリンタ10に構成された回路によって実現されるものであってもよい。