以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のヒータ装置1は、道路走行車両の車室内の暖房装置として用いられる。車室内には、乗員2が着座するための座席3が設置されている。座席3は、前席である。図1に示す座席3は運転席である。車室内には、座席3よりも車両前方側にインストルメントパネル4が設置されている。インストルメントパネル4は、車両の内装部材である。本明細書で言うインストルメントパネル4には、計器類が配置されている部分だけでなく、オーディオやエアコンを収納する部分が含まれる。
ヒータ装置1は、面状のヒータ本体部10を備えている。ヒータ本体部10は、インストルメントパネル4の下部のうち座席3の前方に対応する部位に設置される。ヒータ本体部10は、加熱対象物である乗員2の足に向けて輻射熱H1を放射する。ヒータ本体部10は、輻射熱H1によって乗員2を暖める。本実施形態では、乗員2がユーザに対応する。
図2に示すように、ヒータ本体部10は、ヒータ層12と、検出層14とを有する。ヒータ層12は、乗員2側の表面12aを有する。ヒータ層12は、表面12aから乗員2に向けて輻射熱H1を放出する。検出層14は、ヒータ層12の乗員2側の表面12aへの乗員2の接触を検出する。検出層14は、ヒータ層12の乗員2側とは反対側に積層されている。
図3に示すように、ヒータ層12は、複数のヒータ部121、122、123を有する。本実施形態では、複数のヒータ部121、122、123は、第1ヒータ部121、第2ヒータ部122、第3ヒータ部123の3つのヒータ部で構成されている。以下では、第1ヒータ部121、第2ヒータ部122、第3ヒータ部123のそれぞれを、単に、ヒータ部121、ヒータ部122、ヒータ部123という。複数のヒータ部121、122、123のそれぞれは、電力が供給されて発熱して輻射熱を放出する。複数のヒータ部121、122、123のそれぞれは、供給される供給電力量に応じたヒータ温度となる。すなわち、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれは、供給電力量が少ないほど、ヒータ温度が低くなる。
検出層14は、複数の接触検出部141、142、143を有する。複数の接触検出部141、142、143は、複数のセンサ部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aへの乗員2の接触を検出する。複数の接触検出部141、142、143のそれぞれは、感圧式スイッチで構成されている。感圧式スイッチは、圧力が加えられることで働く。なお、複数の接触検出部のそれぞれとして、静電容量式センサを用いてもよい。静電容量式センサは、測定物が近接したことで生じる測定電極と測定物間の静電容量変化を検出する。
このように、1枚のヒータ本体部10は、複数のヒータ部121、122、123と、複数の接触検出部141、142、143とを備える。複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの乗員2側とは反対側に、複数の接触検出部141、142、143のそれぞれが積層されている。
ヒータ装置1は、ヒータ制御装置30を備える。ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれへの供給電力量を制御する制御装置である。ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123の温度を制御する。ヒータ制御装置30は、図示しない空調制御装置とは別体として構成されている。空調制御装置は、車室内の冷暖房を行うための空調ユニットを制御する。
ヒータ制御装置30は、駆動回路31と検出回路32とを有する。駆動回路31は、複数のヒータ部121、122、123の駆動を制御する。駆動回路31は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれと接続されている。駆動回路31は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれへの供給電力量を制御する。
検出回路32は、複数の接触検出部141、142、143のそれぞれと電気的に接続されている。検出回路32は、複数の接触検出部141、142、143からの検出信号が入力される。検出回路32は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aへの乗員2の接触の有無を検出するための回路である。ヒータ制御装置30は、検出回路32によって、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれにおける乗員2の接触の有無の情報を取得することができる。
ヒータ装置1は、操作部40を備える。操作部40は、乗員2に操作される。操作部40は、乗員2の操作情報をヒータ制御装置30に入力する。操作部40は、作動スイッチ41などの操作スイッチを有する。作動スイッチ41は、乗員2がヒータ本体部10の作動(すなわち、ON)と停止(すなわち、OFF)を入力するための操作スイッチである。
また、ヒータ制御装置30は、車室内温度を検出する内気センサ51からセンサ信号が入力されるようになっている。ヒータ制御装置30は、車両電源電圧を検出する電圧センサ52からセンサ信号が入力されるようになっている。
図4に示すように、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれは、基板部20と、一対の電極22、24と、複数の発熱部26とを有する。なお、図4は、1つのヒータ部を示している。図4の矢印で示すX軸方向、Y軸方向は、互いに直交する方向である。X軸方向およびY軸方向が、ヒータ本体部10の表面に平行な方向、すなわち、ヒータ本体部10の面方向である。
基板部20は、平板形状である。基板部20の内部に、一対の電極22、24と、複数の発熱部26とが配置されている。基板部20は、絶縁材料としての可撓性を有する合成樹脂で構成されている。合成樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂である。
一対の電極22、24は、それぞれ、Y軸方向に沿って線状に延びている。一対の電極22、24は、X軸方向で互いに離れて配置されている。一対の電極22、24は、複数の発熱部26に電気的に接続される。
複数の発熱部26は、通電によって発熱して輻射熱を放射する。複数の発熱部26は、金属材料で構成されている。複数の発熱部26は、一対の電極22、24の間に並列に配置されている。1つの発熱部26は、一対の電極22、24の間で、X軸方向に沿って線状に延びている。1つの発熱部26の一端側は、一方の電極22と電気的に接続されている。第1発熱部26の他端側は、一対の電極22、24の他方の電極24と電気的に接続されている。1つの発熱部26は、膜状である。
基板部20の内部において、複数の発熱部26のうち隣り合う2つの発熱部26の間には、低熱伝導部27が存在する。低熱伝導部27は、発熱部26よりも熱伝導性が低い部分である。低熱伝導部27は、隣り合う発熱部26同士を熱的に分離している。低熱伝導部27は、基板部20を構成する絶縁材料によって構成されている。
本実施形態では、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの基板部20が一体に成形された一体成形品で構成されている。すなわち、複数のヒータ部121、122、123が一体化されている。
図3に示すヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、132のそれぞれのヒータ温度を独立して制御するヒータ温度制御を行う。このヒータ温度制御において、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aのいずれかに乗員2が接触した場合、複数のヒータ部121、122、123のうち乗員2が接触したヒータ部のヒータ温度を下げる。
具体的には、ヒータ制御装置30は、図5に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれに対して、ヒータ温度制御を行う。以下では、複数のヒータ部121、122、123のうち1つのヒータ部121のヒータ温度制御を説明するが、他のヒータ部122、123のヒータ温度制御も内容は同じである。なお、図5中に示した各ステップは、各種処理を実現する実現部に対応するものである。他の図中に示した各ステップについても同様である。
図5に示すように、ステップS1では、ヒータ制御装置30は、作動スイッチ41がONか否かを判定する。作動スイッチ41がOFFの場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS2に進む。
ステップS2で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121をOFFとする。すなわち、ヒータ部121が駆動していれば、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を停止させる。ヒータ部121が停止していれば、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121の停止を維持する。
ステップS1において、作動スイッチ41がONの場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS3に進む。
ステップS3では、ヒータ制御装置30は、ヒータ駆動のデューティ(duty)比Dxを算出する。
本実施形態では、ヒータ制御装置30は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によってヒータ部121への供給電力量を制御する。すなわち、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121に供給される単位時間当たりの電力量を制御する。ヒータ駆動のduty比Dxとは、ヒータ部121への供給電力をPWM制御によって制御するときの1周期に対するヒータ部121の通電時間の比である。PWM制御では、ヒータ部121の通電(ON)と停止(OFF)とが繰り返される。このときの通電と停止とが1つずつで1周期である。duty比は、百分率で表される。duty比は、百分率でなくてもよい。
このステップS3では、duty比Dxとして、非接触時のduty比D1が算出される。非接触時のduty比D1は、次のように、車室内温度と車両電源電圧から算出される。ヒータ制御装置31は、内気センサ51が検出した車室内温度に基づいて、ヒータ部121の目標温度を算出する。ヒータ制御装置30は、算出した目標温度となるように、電圧センサ52が検出した車両電源電圧に基づいて、非接触時のduty比D1を算出する。
車室内温度が高ければ、ヒータ部121の目標温度は低くてよい。このため、図6に示すように、車室内温度が高いほど、非接触時のduty比D1は小さくなるように算出される。
また、車両電源電圧は、車両の種類や運転状態によって異なる場合がある。電圧が高い場合と、低い場合とにおいて、電力量を同じとするためには、電圧が高い場合の通電時間は、電圧が低い場合の通電時間よりも短くされる。このため、図7に示すように、車両電源電圧が高いほど、非接触時のduty比D1は小さくなるように算出される。
続いて、ステップS4では、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121の表面121aへの乗員2の接触があるか否かを判定する。すなわち、ヒータ制御装置30は、接触検出部141が乗員2の接触を検出したか否かを判定する。乗員2の接触が無い非接触の場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS5に進む。
ステップS5では、ヒータ制御装置30は、算出されたduty比Dxにてヒータ部121を駆動する。ステップS4でNO判定の場合、ヒータ制御装置30は、非接触時のduty比D1にて、ヒータ部121を駆動する。これにより、乗員2の接触が無い場合、ヒータ部121のヒータ温度は、車室内温度と車両電源電圧とに基づいて算出された目標温度に近づく。
その後、ヒータ制御装置30は、本フローを終了して、再び、次のフローを開始する。
一方、ステップS4において、乗員2の接触がある場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS6に進む。
ステップS6では、ヒータ制御装置30は、duty比Dxを補正する。このとき、ヒータ制御装置30は、下記の式のように、非接触時のduty比D1に、duty比を小さくするための補正係数αを掛け合わせる。
Dx=D1(%)×α/100(%)=D2(%)
補正係数αは、例えば、50(%)である。これにより、duty比Dxを非接触時のduty比D1から接触時のduty比D2に変更する。この結果、図6、7に示すように、接触時のduty比D2は、非接触時のduty比D1よりも小さく変更される。
その後、ステップS5に進む。ステップS5では、ヒータ制御装置30は、算出されたduty比Dxにてヒータ部121を駆動する。ステップS4でYES判定の場合、ヒータ制御装置30は、接触時のduty比D2にて、ヒータ部121を駆動する。これにより、乗員2の接触がある場合、ヒータ部121は、乗員2の接触が無い場合と比較して、供給電力量が少なくされる。この結果、乗員2の接触が無い場合と比較して、ヒータ部121のヒータ温度が低くされる。
その後、ヒータ制御装置30は、本フローを終了して、再び、次のフローを開始する。
複数のヒータ部121、122、123のうちヒータ部121のみに乗員2の接触がある場合、ヒータ部121に対応する接触検出部141が乗員2の接触を検出する。他の接触検出部142、143は乗員2の接触を検出しない。
この場合、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121のみに対して、接触検出部141が乗員2の接触を検出していな場合と比較して、供給電力量を少なくする。これにより、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121のヒータ温度を目標温度よりも下げる制御を行う。
ヒータ制御装置30は、第2ヒータ部122および第3ヒータ部123に対しては、接触検出部141が乗員2の接触を検出していな場合と比較して、供給電力量を少なくしない。これにより、ヒータ制御装置30は、第2ヒータ部122および第3ヒータ部123のそれぞれのヒータ温度を目標温度とする制御を行う。
このように、本実施形態のヒータ装置1では、複数のヒータ部121、122、123のうち一部のヒータ部への乗員2の接触がある場合、複数の接触検出部141、142、143のうち一部のヒータ部に対応する接触検出部が乗員2の接触を検出する。この場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち一部のヒータ部のみに対して、対応する接触検出部が乗員2の接触を検出していな場合と比較して、供給電力量を少なくする制御を行う。これにより、ヒータ制御装置30は、ユーザの接触がある一部のヒータ部のヒータ温度を、複数のヒータ部のうち一部のヒータ部を除くヒータ部、すなわち、ユーザの接触がないヒータ部のヒータ温度よりも低くする。
これによれば、ユーザの接触があるヒータ部のヒータ温度は、ユーザの接触が無いヒータ部のヒータ温度よりも低くなる。このため、ヒータ部への接触時に乗員2が熱的に不快に感じるのを回避することができる。
さらに、これによれば、ヒータ制御装置30は、乗員2の接触が無いヒータ部に対しては、ヒータ温度を下げずに、ヒータ温度を目標温度とする制御を行う。これにより、ヒータ制御装置30は、乗員2の接触が無いヒータ部のヒータ温度を、乗員2の接触があるヒータ部のヒータ温度よりも高くする。このため、ヒータ制御装置30が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれのヒータ温度を一律に下げる場合と比較して、暖房性能を向上させることができる。
さらに、これによれば、ヒータ制御装置30は、乗員2の接触があるヒータ部に対して、停止させずに、目標温度よりも低い温度で作動させる。このため、接触があるヒータ部からの熱伝導によって乗員2を暖めることができる。また、乗員2の接触が無いヒータ部からの輻射熱によって乗員2を温めることができる。よって、本実施形態によれば、熱伝導と輻射熱の両方で、乗員2を暖めることができる。
ところで、本実施形態のヒータ装置1において、複数のヒータ部121、122、123への乗員2の接触を検出する替わりに、複数のヒータ部121、122、123への乗員2の接近を検出することが考えられる。すなわち、複数のヒータ部121、122、123のうち一部のヒータ部のみに乗員2の接近がある場合、ヒータ制御装置30が、接近がある一部のヒータ部のみに対して、ヒータ温度を下げる制御を行うことが考えられる。
しかし、本実施形態のように、ヒータ装置1が車室内の暖房装置として用いられる場合、車室内の空間は広くないため、乗員2が複数のヒータ部121、122、123に意図せず近づいてしまうことが多い。体の大きな乗員2であれば、常時、乗員2が複数のヒータ部121、122、123に接近した状態となる。この場合、複数のヒータ部121、122、123への乗員2の接近の度に、複数のヒータ部121、122、123のヒータ温度を下げることは、ヒータ装置1の暖房性能の低下につながる。また、手などの体の一部を暖めるために乗員2が体の一部を近づけた場合に、複数のヒータ部121、122、123のヒータ温度が下がると、乗員2は暖房感を得られない。また、ヒータ本体部10の作動を確認するために乗員2が体の一部を近づけた場合に、ヒータ本体部10のヒータ温度が下がると、ヒータ本体部10が作動している状態を乗員2に伝えづらくなる。このため、ヒータ本体部10の作動を乗員が確認するのに時間がかかる。または、ヒータ本体部10が作動していないという誤解を乗員2に与える。
これに対して、本実施形態のヒータ装置1では、複数のヒータ部121、122、123に乗員2が物理的に触ったときのみ、乗員2が触ったヒータ部のヒータ温度を下げる制御をヒータ制御装置30が行う。このため、上記の問題を回避することができる。
なお、本実施形態では、複数の接触検出部141、142、143が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aへの乗員2の接触を検出する接触検出部を構成していた。しかし、1つの接触検出部が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aへの乗員2の接触を検出する接触検出部を構成してもよい。
が用いられてもよい。
また、本実施形態では、ステップS4でYES判定の場合、ヒータ制御装置30は、ステップS6でduty比Dxを小さく変更したが、ヒータ部121を停止させてもよい。ヒータ部121を停止させることは、ヒータ部121への供給電力量を少なくすることに含まれる。この場合も、ヒータ部121が停止することで、ヒータ部121のヒータ温度が、ヒータ部122、123のそれぞれのヒータ温度よりも低くなる。
(第2実施形態)
図8に示すように、本実施形態のヒータ装置1では、ヒータ制御装置30は、時間計測部33を有する。時間計測部33は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aに乗員2が接触した場合の接触開始からの経過時間を計測する。換言すると、時間計測部33は、複数の接触検出部141、142、143のそれぞれが検出した乗員2の接触の継続時間を計測する。ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態のヒータ装置1と同じである。
本実施形態では、ヒータ制御装置30は、図9に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。図9に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートに対して、ステップS11が追加されている。
図9に示すように、ステップS4において、ヒータ部121への乗員2の接触がある場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS11に進む。
ステップS11では、ヒータ制御装置30は、時間計測部33によって計測された経過時間が所定時間以上経過したか否かを判定する。所定時間以上経過している場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS2に進む。ステップS2で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を停止させる。
ステップS11において、所定時間以上経過していない場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS6に進む。
このように、本実施形態のヒータ装置1では、複数のヒータ部121、122、123のうち一部のヒータ部のみに乗員2の接触がある場合であって、乗員2の接触の継続時間が所定時間を超えた場合、ヒータ制御装置30は、一部のヒータ部のみを停止させる。これによれば、一部のヒータ部への乗員2の接触の継続時間が長い場合、乗員2が接触しているヒータ部の温度を下げることができる。このため、一部のヒータ部への接触によって乗員2が熱的に不快と感じることを回避することができる。
(第3実施形態)
本実施形態は、第2実施形態に対して、ヒータ温度制御の一部が変更されている。本実施形態では、ヒータ制御装置30は、図10に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。図10に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートに対してステップS12が追加されている。
図10に示すように、ステップS11の判定において、所定時間以上経過している場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS12に進む。ステップS12で、ヒータ制御装置30は、duty比Dxを補正する。このとき、ヒータ制御装置30は、下記の式のように、非接触時のduty比D1に、duty比を小さくするための補正係数βを掛け合わせる。
Dx=D1(%)×β/100(%)=D2(%)
補正係数βは、例えば、25(%)である。補正係数βは、補正係数αよりも小さい。これにより、duty比Dxを非接触時のduty比D1から接触時間が長い時のduty比D3に変更する。この結果、接触時間が長い時のduty比D3は、非接触時のduty比D1および接触時のduty比D2よりも小さく変更される。
その後、ステップS5に進む。ステップS5では、ヒータ制御装置30は、算出されたduty比Dxにてヒータ部121を駆動する。ステップS11でYES判定の場合、ヒータ制御装置30は、接触時間が長い時のduty比D3にて、ヒータ部121を駆動する。
このように、本実施形態では、接触検出部141が検出した乗員2の接触の継続時間が所定時間を超えた場合、ヒータ制御装置30は、接触検出部141が乗員2の接触を検出していない場合および接触検出部141が検出した乗員2の接触の継続時間が所定時間を超えていない場合と比較して、ヒータ部121への供給電力量を少なくする。これによっても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
本実施形態は、第2実施形態に対して、ヒータ温度制御の一部が変更されている。本実施形態では、ヒータ制御装置30は、図11に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。図11に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートに対して、ステップS6が省略され、ステップS13が追加されている。
図11に示すように、本実施形態では、ステップS11の判定において、所定時間経過していない場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS5に進む。ステップS5で、ヒータ制御装置30は、非接触時のduty比D1にて、ヒータ部121を駆動する。
ステップS11の判定において、所定時間経過している場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS13に進む。ステップS13では、第1実施形態で説明したステップS6と同様に、ヒータ制御装置30は、duty比Dxを非接触時のduty比D1から接触時のduty比D2に変更する。その後、ステップS5に進み、ヒータ制御装置30は、接触時のduty比D2にて、ヒータ部121を駆動する。
このように、本実施形態では、接触検出部141が接触を検出しても、接触検出部141が検出した乗員2の接触の継続時間が所定時間を超えていない場合、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121への供給電力量を変更せず、非接触時の供給電力量のままとする。接触検出部141が検出した乗員2の接触の継続時間が所定時間を超えた場合、ヒータ制御装置30は、接触検出部141が乗員2の接触を検出していな場合と比較して、ヒータ部121への供給電力量を少なくする。これによっても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態のステップS13では、ヒータ制御装置30は、duty比Dxを小さく変更したが、ヒータ部121を停止させてもよい。
(第5実施形態)
図12に示すように、本実施形態のヒータ装置1では、ヒータ本体部10は、検出層15を有する。検出層15は、第1実施形態の検出層14に対応する。検出層15は、複数の検出部151、152、153を有する。
複数の検出部151、152、153は、複数の検出部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aへの乗員2の接触を検出する接触検出部として機能する。複数の検出部151、152、153は、さらに、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aから乗員2までの距離を検出する距離検出部として機能する。複数の検出部151、152、153のそれぞれは、静電容量式センサで構成されている。
複数の検出部151、152、153のそれぞれは、ヒータ制御装置30の検出回路32aと電気的に接続されている。ヒータ制御装置30は、検出回路32aによって、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれにおける乗員2の接触の有無の情報および乗員2との距離の情報を取得することができる。
ヒータ制御装置30は、空調制御装置60と電気的に接続されている。ヒータ制御装置30と空調制御装置60とは、互いに電気的に通信可能に構成されている。ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態のヒータ装置1と同じである。
車両全体における電力消費を調整するために、ヒータ制御装置30に対して空調制御装置60から電力制限信号が入力される場合がある。電力制限信号は、複数のヒータ部121、122、123への総供給電力量の抑制を要求する信号である。そこで、ヒータ制御装置30は、図13に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。図13に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートに対して、ステップS21、S22が追加されている。
図13に示すように、ステップS1において、作動スイッチ41がONの場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS21に進む。
ステップS21では、ヒータ制御装置30は、空調制御装置30からの電力制限信号の入力があるか否かを判定する。電力制限信号の入力が無い場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS3に進む。電力制限信号の入力がある場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS22に進む。
ステップS22では、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123の中でヒータ部121が乗員2に最も近いか否かを判定する。この判定は、複数の検出部151、152、153のそれぞれが検出した距離を比較して判定される。例えば、複数の検出部151、152、153のそれぞれから出力される電圧信号の値を比較して判定される。複数の検出部151、152、153のそれぞれが検出した距離の中で、ヒータ部121に対応する検出部151が検出した距離が最も短い場合、ヒータ部121が乗員2に最も近いヒータ部である。
ステップS22で、ヒータ部121が乗員2に最も近くない場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS2に進む。ステップS2で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を停止させる。
一方、ステップS22で、ヒータ部121が乗員2に最も近い場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS3に進む。そして、第1実施形態と同様に、ステップS3、S4、S5、S6を実行する。
このように、本実施形態のヒータ装置1では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち乗員2に最も近いヒータ部のみを作動させる。ヒータ制御装置30は、乗員2に最も近いヒータ部以外のヒータ部を停止させる。これにより、ヒータ制御装置30は、乗員2に最も近いヒータ部以外のヒータ部のヒータ温度を、乗員2に最も近いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。このため、複数のヒータ部121、122、123の総供給電力量を抑制しつつ、効率的に乗員2を暖めることができる。
また、本実施形態では、電力抑制要求が無い場合、ヒータ制御装置30は、第1実施形態と同様に、複数のヒータ部121、122、123の駆動を制御する。したがって、電力抑制要求が無い場合、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第6実施形態)
本実施形態では、ヒータ制御装置30は、図14に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。図14に示すフローチャートは、図13に示すフローチャートのステップS22がステップS23に変更されている。
図14に示すように、ステップS21の判定でYESの場合、ステップS23に進む。ステップS23では、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123の中でヒータ部121が乗員2から最も遠いか否かを判定する。ヒータ部121が乗員2から最も遠いか否かの判定は、複数の検出部151、152、153のそれぞれが検出した距離を比較して判定される。複数の検出部151、152、153のそれぞれが検出した距離の中で、ヒータ部121に対応する検出部151が検出した距離が最も長い場合、ヒータ部121が乗員2から最も遠いヒータ部である。
ステップS23で、ヒータ部121が乗員2から最も遠い場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS2に進む。ステップS2で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を停止させる。
一方、ステップS23で、ヒータ部121が乗員2から最も遠くない場合、ステップS3に進む。そして、第1実施形態と同様に、ステップS3、S4、S5、S6を実行する。
このように、本実施形態のヒータ装置1では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち乗員2に最も遠いヒータ部のみを停止させる。ヒータ制御装置30は、最も遠いヒータ部以外のヒータ部を作動させる。これにより、ヒータ制御装置30は、乗員2に最も遠いヒータ部のヒータ温度を、最も遠いヒータ部以外のヒータ部のヒータ温度よりも低くする。これによっても、第5実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、電力抑制要求が無い場合、ヒータ制御装置30は、第1実施形態と同様に、複数のヒータ部121、122、123の駆動を制御する。したがって、電力抑制要求が無い場合、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
第5、第6実施形態は、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30が、複数のヒータ部121、122、123のうち乗員2に最も近いヒータ部を作動させる点で共通している。この場合、ヒータ制御装置30は、乗員2に最も近いヒータ部への供給電力量を、電力抑制要求が無い場合と同じ供給電力量としている。
また、第5、第6実施形態は、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30が、複数のヒータ部121、122、123のうち最も遠いヒータ部を停止させる点が共通している。ヒータ部を停止させることは、ヒータ部への供給電力量を少なくすることに該当する。したがって、第5、第6実施形態では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30が、乗員2から最も遠いヒータ部への供給電力量を、電力抑制要求が無い場合よりも少なくしている。これにより、ヒータ制御装置30は、乗員2から最も遠いヒータ部のヒータ温度を、乗員2から最も近いヒータ部のヒータ温度よりも低くしている。
なお、第5実施形態では、ステップS22で、NO判定の場合、制御装置30は、ステップS2で、ヒータ部121を停止させていた。同様に、第6実施形態では、ステップS23で、YES判定の場合、制御装置30は、ステップS2で、ヒータ部121を停止させていた。しかし、ヒータ部121を停止させる替わりに、duty比Dxを小さくしてもよい。この場合、ステップS21よりも先にステップS3を行う。ステップS3で算出したduty比Dxを、非接触時のduty比D1よりも小さくする。このときのduty比Dxは、接触時のデューティ比D2よりも大きくても、小さくても、同じでもよい。このように、ヒータ部121への供給電力量を、電力抑制要求が無い場合であって乗員2の接触が無い場合よりも少なくしてもよい。これによっても、複数のヒータ部121、122、123の総供給電力量を抑制することができる。
また、第5、第6実施形態では、ステップS21、S22またはステップS21、S23の通り、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、乗員2に最も近いヒータ部を作動させ、乗員2に最も遠いヒータ部を停止させる。そして、乗員2に最も近いヒータ部に乗員2の接触が有る場合、ヒータ制御装置30は、ステップS4、S6の通り、duty比Dxを小さくして、ヒータ部のヒータ温度を下げる。このとき、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち停止中のヒータ部を作動させてもよい。これにより、複数のヒータ部121、122、123の総供給電力量を抑制しつつ、乗員2を暖めることができる。
また、第5、第6実施形態では、ヒータ制御装置30に対して、電力制限信号が空調制御装置60から入力されていたが、上位制御装置等の他の制御装置から電力制限信号が入力されるようになっていてもよい。上位制御装置は、車両全体の電力消費を制御する制御装置である。
また、第5、第6実施形態では、複数の検出部151、152、153が用いられていたが、複数の検出部151、152、153の替わりに、1つの検出部が用いられてもよい。この場合、1つの検出部が、複数の検出部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aへの乗員2の接触を検出する。さらに、この1つの検出部が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれにおける表面121a、122a、123aから乗員2までの距離を検出する。
また、第5、第6実施形態では、各検出部151、152、153が、接触検出部と距離検出部との両方の機能を有していたが、これに限定されない。ヒータ装置1が、複数の接触検出部と、複数の距離検出部とを別々に有していてもよい。この場合、接触検出部として感圧スイッチを用いることができる。距離検出部として赤外線センサを用いることができる。また、この場合、複数の接触検出部に替えて、1つの接触検出部が用いられていてもよい。同様に、複数の距離検出部に替えて、1つの距離検出部が用いられていてもよい。
(第7実施形態)
図15は、車室内の座席3とインストルメントパネル4とを車両上方から見た平面図である。図15に示すように、本実施形態のヒータ装置1は、1つのヒータ本体部10を備える。1つのヒータ本体部10は、座席3の乗員2の足の前方に配置される。1つのヒータ本体部10は、複数の表面温度検出部161、162、163を有する。複数の表面温度検出部161、162、163のそれぞれは、サーミスタで構成されている。複数の表面温度検出部161、162、163のそれぞれは、他の温度センサで構成されていてもよい。
図16に示すように、複数の表面温度検出部161、162、163のそれぞれは、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aの温度を検出する。複数の表面温度検出部161、162、163のそれぞれは、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aに設置されている。複数の表面温度検出部161、162、163のそれぞれは、ヒータ制御装置30の検出回路34と電気的に接続されている。ヒータ制御装置30は、検出回路34によって、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面温度の情報を取得することができる。
ヒータ制御装置30は、空調制御装置60と電気的に接続されている。ヒータ制御装置30と空調制御装置60とは、互いに電気的に通信可能に構成されている。ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態のヒータ装置1と同じである。
ヒータ制御装置30は、図17に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。図17に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートに対して、ステップS31、S32が追加されている。
本実施形態では、図17に示すように、ヒータ制御装置30は、ステップS4またはステップS6の後に、ステップS31を行う。
ステップS31では、ヒータ制御装置30は、空調制御装置30からの電力制限信号の入力があるか否かを判定する。電力制限信号の入力が無い場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS5に進み、ヒータ部を駆動させる。電力制限信号の入力がある場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS32に進む。
ステップS32では、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123の中でヒータ部121の表面温度が最も低いか否かを判定する。ヒータ部121の表面温度が最も低いか否かの判定は、複数の表面温度検出部161、162、163のそれぞれが検出した温度を比較して判定される。
ステップS32で、表面温度が最も低くない場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS2に進む。ステップS2で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を停止させる。
一方、ステップS32で、表面温度が最も低い場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS5に進む。ステップS5で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を駆動させる。ステップS3、S4、S5、S6は、第1実施形態と同じである。
このように、本実施形態のヒータ装置1では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち表面温度が最も低いヒータ部のみを作動させる。ヒータ制御装置30は、表面温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部を停止させる。これにより、ヒータ制御装置30は、表面温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部のヒータ温度を、表面温度が最も低いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。このため、複数のヒータ部121、122、123の総供給電力量を抑制しつつ、効率的に乗員2を暖めることができる。
また、電力抑制要求が無い場合、ヒータ制御装置30は、第1実施形態と同様に、複数のヒータ部121、122、123の駆動を制御する。したがって、電力抑制要求が無い場合、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、ステップS3、S4、S6を、第2−第4実施形態のように変更してもよい。この場合、第2−第4実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、複数の表面温度検出部161、162、163が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aの温度を検出する温度検出部を構成していた。しかし、1つの表面温度検出部が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aの温度を検出する温度検出部を構成してもよい。
また、本実施形態では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち表面温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部を停止させていた。これに替えて、ヒータ制御装置30は、表面温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部への供給電力量を電力抑制要求が無い場合であって乗員2の接触が無い場合よりも少なくしてもよい。これによっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち表面温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部を停止させていた。これに替えて、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち表面温度が最も高いヒータ部のみを停止させてもよい。これにより、ヒータ制御装置30は、表面温度が最も高いヒータ部のヒータ温度を、表面温度が最も低いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。これによっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
(第8実施形態)
図18は、図15に対応する車室内の平面図である。図18に示すように、本実施形態のヒータ装置1は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれが、別体として構成されている点が、第7実施形態のヒータ装置1と異なる。
ヒータ装置1は、3つのヒータ本体部10を備える。3つのヒータ本体部10の1つは、乗員2の足の前方に配置されている。3つのヒータ本体部10の他の1つは、乗員2の足の左側方に配置されている。3つのヒータ本体部10の他の1つは、乗員2の足の右側方に配置されている。3つのヒータ本体部10のそれぞれは、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれを有している。複数の表面温度検出部161、162、163のそれぞれは、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aに設置されている。その他のヒータ装置1の構成は、第7実施形態と同じである。
また、ヒータ制御装置30は、第7実施形態と同様に、ヒータ温度制御を行う。このため、本実施形態によっても、第7実施形態と同様の効果が得られる。
(第9実施形態)
図19は、図15に対応する車室内の平面図である。図19、20に示すように、本実施形態のヒータ装置1は、1つのヒータ本体部10を備える。1つのヒータ本体部10は、座席3の乗員2の足の前方に配置される。1つのヒータ本体部10は、複数の空気温度検出部171、172、173を有する。複数の空気温度検出部171、172、173は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aに面する所定領域R1、R2、R3の空気の温度を検出する。所定領域R1、R2、R3は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれと乗員2の足との間の空間である。複数の空気温度検出部171、172、173のそれぞれは、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aに設置されている。複数の空気温度検出部171、172、173のそれぞれは、赤外線センサで構成されている。複数の空気温度検出部171、172、173のそれぞれは、他の温度センサで構成されていてもよい。
図20に示すように、複数の空気温度検出部171、172、173のそれぞれは、ヒータ制御装置30の検出回路36と電気的に接続されている。ヒータ制御装置30は、検出回路36によって、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面に面する空気の温度の情報を取得することができる。
ヒータ制御装置30は、空調制御装置60と電気的に接続されている。ヒータ制御装置30と空調制御装置60とは、互いに電気的に通信可能に構成されている。ヒータ装置1の他の構成は、第1実施形態のヒータ装置1と同じである。
ヒータ制御装置30は、第8実施形態と同様に、図17に示すフローチャートに従って、ヒータ温度制御を行う。
図17に示すように、ステップS32において、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121に対応する空気温度検出部171が検出した空気の温度が最も低いか否かを判定する。空気の温度が最も低いか否かの判定は、複数の空気温度検出部171、172、173のそれぞれが検出した温度を比較して判定される。
ステップS32で、空気の温度が最も低くない場合、ヒータ制御装置30は、NO判定して、ステップS2に進む。ステップS2で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を停止させる。
一方、ステップS32で、空気の温度が最も低い場合、ヒータ制御装置30は、YES判定して、ステップS5に進む。ステップS5で、ヒータ制御装置30は、ヒータ部121を駆動させる。ステップS3、S4、S5、S6は、第1実施形態と同じである。
このように、本実施形態のヒータ装置1では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち表面121a、122a、123aに面する空気の温度が最も低いヒータ部のみを作動させる。ヒータ制御装置30は、空気の温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部を停止させる。これにより、ヒータ制御装置30は、空気の温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部のヒータ温度を、空気の温度が最も低いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。このため、複数のヒータ部121、122、123の総供給電力量を抑制しつつ、効率的に乗員2を暖めることができる。
また、電力抑制要求が無い場合、ヒータ制御装置30は、第1実施形態と同様に、複数のヒータ部121、122、123の駆動を制御する。したがって、電力抑制要求が無い場合、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、ステップS3、S4、S6を、第2−第4実施形態のように変更してもよい。この場合、第2−第4実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、複数の空気温度検出部171、172、173が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aに面する所定領域R1、R2、R3の空気の温度を検出する温度検出部を構成していた。しかし、1つの空気温度検出部が、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれの表面121a、122a、123aに面する所定領域R1、R2、R3の空気の温度を検出する温度検出部を構成してもよい。
また、本実施形態では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち表面温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部を停止させていた。これに替えて、ヒータ制御装置30は、表面温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部への供給電力量を電力抑制要求が無い場合よりも少なくしてもよい。これによっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、電力抑制要求がある場合、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち空気の温度が最も低いヒータ部以外のヒータ部を停止させていた。これに替えて、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち空気の温度が最も高いヒータ部のみを停止させてもよい。これにより、ヒータ制御装置30は、空気の温度が最も高いヒータ部のヒータ温度を、空気の温度が最も低いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。これによっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
(第10実施形態)
図21は、図15に対応する車室内の平面図である。図21に示すように、本実施形態のヒータ装置1は、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれが、別体として構成されている点が、第9実施形態のヒータ装置1と異なる。
本実施形態のヒータ装置1は、3つのヒータ本体部10を備えている。3つのヒータ本体部10のそれぞれは、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれを有している。3つのヒータ本体部10の配置は、第8実施形態と同じである。その他のヒータ装置1の構成は、第9実施形態と同じである。
また、ヒータ制御装置30は、第9実施形態と同様に、ヒータ温度制御を行う。このため、本実施形態によっても、第9実施形態と同様の効果が得られる。
(他の実施形態)
(1)上記の各実施形態では、ヒータ制御装置30は、複数のヒータ部121、122、123のうち一部のヒータ部への乗員2の接触を複数の接触検出部141、142、143が検出した場合に、乗員2の接触が無いヒータ部への供給電力量を変更しなかった。しかし、この場合に、ヒータ制御装置30は、乗員2の接触が無いヒータ部への供給電力量を、乗員2の接触が無い場合よりも多くするようになっていてもよい。
(2)上記の各実施形態では、各実現部をヒータ制御装置30の機能により実現させていた。しかし、これらの各実現部の少なくとも一部をヒータ制御装置30とは別の制御装置で実現させても良い。
(3)上記の各実施形態では、複数のヒータ部121、122、123のそれぞれが、図4に示す構造であったが、他の構造であってもよい。
(4)上記の各実施形態では、ヒータ装置1が車両の暖房装置に適用されていた。しかし、ヒータ装置1は車両以外の暖房装置に適用されてもよい。
(5)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、ヒータ装置は、複数のヒータ部と、接触検出部と、制御装置とを備える。制御装置は、複数のヒータ部のうち一部のヒータ部へのユーザの接触を接触検出部が検出した場合に、一部のヒータ部への供給電力量を接触検出部が一部のヒータ部へのユーザの接触を検出していない場合よりも少なくする。これにより、制御装置は、一部のヒータ部のヒータ温度を複数のヒータ部のうち一部のヒータ部を除くヒータ部のヒータ温度よりも低くする。
また、第2の観点によれば、一部のヒータ部へのユーザの接触を接触検出部が検出し、かつ、接触検出部が検出したユーザの接触の継続時間が所定時間を超えた場合に、制御装置は、一部のヒータ部のみに対して、供給電力量を少なくする。これによれば、一部のヒータ部へのユーザの接触の継続時間が長い場合、ユーザが接触しているヒータ部のヒータ温度を下げることができる。これにより、ヒータ部への接触によってユーザが熱的に不快と感じることを回避することができる。
また、第3の観点によれば、接触検出部は、複数のヒータ部のそれぞれからユーザまでの距離を検出する。制御装置は、複数のヒータ部への総供給電力量を抑制する電力抑制要求がある場合、複数のヒータ部のうち接触検出部が検出した距離が最も長いヒータ部への供給電力量を電力抑制要求が無い場合よりも少なくする。これにより、制御装置は、距離が最も長いヒータ部のヒータ温度を複数のヒータ部のうち接触検出部が検出した距離が最も短いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。これによれば、電力抑制要求がある場合に、複数のヒータ部の総供給電力量を抑制しつつ、効率的にユーザを暖めることができる。
また、第4の観点によれば、ヒータ装置は、複数のヒータ部のそれぞれの表面の温度を検出する温度検出部を備える。制御装置は、複数のヒータ部の総供給電力量を抑制する電力抑制要求がある場合、複数のヒータ部のうち温度検出部が検出した温度が最も高いヒータ部への供給電力量を電力抑制要求が無い場合よりも少なくする。これにより、制御装置は、温度が最も高いヒータ部のヒータ温度を複数のヒータ部のうち温度検出部が検出した温度が最も低いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。これによれば、電力抑制要求がある場合に、複数のヒータ部の総供給電力量を抑制しつつ、効率的にユーザを暖めることができる。
また、第5の観点によれば、ヒータ装置は、複数のヒータ部のそれぞれの表面に面する所定領域の空気の温度を検出する温度検出部を備える。制御装置は、複数のヒータ部の総供給電力量を抑制する電力抑制要求がある場合、複数のヒータ部のうち温度検出部が検出した温度が最も高いヒータ部への供給電力量を電力抑制要求が無い場合よりも少なくする。これにより、制御装置は、温度が最も高いヒータ部のヒータ温度を複数のヒータ部のうち温度検出部が検出した温度が最も低いヒータ部のヒータ温度よりも低くする。これによれば、電力抑制要求がある場合に、複数のヒータ部の総供給電力量を抑制しつつ、効率的にユーザを暖めることができる。