以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
[A.概要]
図1は、実施形態に従う画像形成装置の概要を説明する図である。図1(a)は感光体の主走査方向における表面電位を、図1(b)は、印字する画像データを、図1(c)は感光体の表面構造を、それぞれ関連して説明する図である。
図1(a)〜(c)を参照して、帯電装置によって帯電された感光体の表面電位は、−600V程度となり、露光装置によって潜像を形成された感光体の表面電位(以下、「露光後電位」とも称する。)Viは−100V程度となる。
しかし、図1(b)に示されるような副走査方向に延びる帯状画像を繰り返し感光体に露光した場合、露光後電位Viは、本来の−100Vから低下してしまうという現象が生じる。以下、この現象が生じる仕組みを説明する。
まず、感光体は、通常、有機積層感光体が用いられる。一般的に、有機積層感光体は、図1(c)に示されるように、導電性支持体であるアルミニウム(AL)素管の上に、下引き層(UCL)、電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)が順次塗布されている。露光装置が感光体に潜像を作像する行程において、感光体は、帯電−露光(CD:Charge Discharge)を繰り返し行われる。このCD繰り返しにより、露光によって発生した電子がCGL−UCL界面またはUCL中に徐々に蓄積される。この蓄積した電子は、CGLに印加される電界を弱める働きをする。この現象は、露光によって生じる。そのため、感光体の主走査方向の一部分から副走査方向に延びる帯状画像を連続して露光(作像)する場合、帯状画像を露光された感光体の部分は、他の部分に比べて露光後電位が低くなる。その結果、露光後電位が低い状態でベタ画像やハーフトーン画像を印字すると、当該露光後電位が低い部分の画像濃度が薄くなるという、CD繰り返しメモリ画像が発生してしまう。
通常、このCD繰り返しメモリ画像を抑制するために、帯電装置による感光体の帯電を行なう前に、光除電装置によって感光体を全面露光する。これにより、感光体は、主走査方向にムラなく露光されることになるため、CD繰り返しメモリ画像の影響を受けにくい。しかし、上述したように、光除電装置を用いると、感光体の帯電能低下など、劣化促進を引き起こしてしまうという問題もある。また、光除電装置を搭載することによって、画像形成装置の生産コストの上昇および大型化を招いてしまう。そのため、光除電装置を用いずにCD繰り返しメモリ画像を抑制することが望ましい。
そこで、実施形態に従う画像形成装置は、帯状画像を連続印字することによって感光体中に蓄積された電子を中和するために、転写装置から正極性のバイアス電圧を印加する。より具体的には、人間がCD繰り返しメモリ画像として認識する程度に感光体中に電子が蓄積される前に、感光体への露光(作像)動作を一時中断し、転写装置から印字動作中よりも強いバイアス電圧を印加する。これにより、感光体の表面からキャリアが注入されるとともに、内部に蓄積された電子を中和することができる。以下、実施形態に従う画像形成装置の具体的な構成および制御について説明を行なう。
[B.実施形態1−累積印字枚数に基づいて電位回復モードを実行]
上述の通り、CD繰り返しメモリ画像は、感光体の局所領域が短期間の間に何度も露光されることによって生じる。そのため、以下の実施形態に従う画像形成装置は、露光装置による露光の実行履歴に関する予め定められた条件を満たす場合に、CD繰り返しメモリ画像を抑制する動作を実行する。実施形態1に従う画像形成装置は、この予め定められた条件として、連続して印字される用紙の累積枚数が所定枚数を超える場合に、CD繰り返しメモリ画像を抑制する動作を行なう。以下、その詳細な説明を行なう。
(b1.画像形成装置100)
図2は、実施形態に従う画像形成装置100の構成例を説明する図である。画像形成装置100は、レーザプリンタやLEDプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置である。図2に示されるように、画像形成装置100は、内部の略中央部にベルト部材として中間転写ベルト1を備えている。中間転写ベルト1の下部水平部の下には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色にそれぞれ対応する4つの作像ユニット2Y、2M、2C、2Kが中間転写ベルト1に沿って並んで配置され、回転可能に構成される感光体3Y、3M、3C、3Kをそれぞれ有している。中間転写ベルト1の材料としては、一例として、ポリカーボネートやPTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)、あるいはポリイミドを主原料としてカーボンを分散させた半導電性材料が用いられる。
像担持体である各感光体3Y、3M、3C、3Kは回転可能に構成され、周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電ローラー4Y、4M、4C、4Kと、露光装置5Y、5M、5C、5Kと、各現像ローラー6YR、6MR、6CR、6KRに対応する現像装置6Y、6M、6C、6Kと、中間転写ベルト1を挟んで各感光体3Y、3M、3C、3Kと対向する1次転写ローラー7Y、7M、7C、7Kと、クリーニングブレード8Y、8M、8C、8Kとがそれぞれ配置されている。
帯電ローラー4Y、4M、4C、4Kは、対応する感光体3Y、3M、3C、3Kとはそれぞれ当接しており、対応する感光体の回転にともない従動回転する。現像装置6Y、6M、6C、6Kは、現像剤としてキャリアとトナーを用いる2成分現像装置である。1次転写ローラー7Y、7M、7C、7Kは、半導電性のゴムローラあるいは金属ローラーが用いられる。
中間転写ベルト1の中間転写ベルト駆動ローラー9で支持された部分には、2次転写ローラー10が圧接されており、当該領域で2次転写が行なわれる。2次転写領域後方の搬送路R1の下流位置には、定着ローラー11と加圧ローラー12とを含む定着加熱部20が配置されている。
画像形成装置100の下部には、給紙カセット30が着脱可能に配置されている。給紙カセット30内に積載収容された用紙Pは、給紙ローラー31の回転によって最上部の用紙から1枚ずつ搬送路R1に送り出されることになる。
なお、本実施形態において、画像形成装置100は、一例として、タンデム式の中間転写方式を採用しているがこれに限定されるものではない。具体的には、電子写真方式であって、サイクル方式を採用する画像形成装置であってもよいし、現像装置から用紙に直接トナーを転写する直接転写方式を採用する画像形成装置であってもよい。
(b2.画像形成装置100の概略動作)
次に、以上の構成からなる画像形成装置100の概略動作について説明する。まず、作像ユニット2Y、2M、2C、2Kでの動作について説明する。これら作像ユニットの構成および動作は略同じであるため、実施形態1〜3において、代表例として、作像ユニット2Yの動作について説明を行なう。
制御部70は、画像形成装置100の全体動作を司る。また、制御部70は、温湿度センサ80と電気的に接続され、画像形成装置100内の温度および湿度をモニタする。外部装置(たとえば、パソコン等)から画像形成装置100の制御部70に画像信号が入力されると、制御部70は、帯電ローラー4Yによって感光体3Yを負極性に一様に帯電する。一例として、帯電ローラー4Yには図示しない電源装置から−1050Vの帯電バイアス電圧が印加される。これにより、感光体3Yは、−600Vに帯電される。
なお、他の局面において、帯電ローラーには直流電圧に交流電圧を重畳した交番電圧を印加してもよい。さらに他の局面において、帯電装置として、感光体に当接する帯電ローラー方式の代わりに、感光体に近接して配置されるスコロトロン帯電器を用いてもよい。
制御部70は入力された画像信号をイエローに色分解したデジタル画像信号を作成し、当該デジタル画像信号に基づいて露光装置5Yを発光させ、感光体3Yに潜像を作像する。これにより、感光体3Yの露光された部分の露光直後の表面電位、すなわち露光後電位Viは、一例として約−100Vとなる。
感光体3Yは、形成された潜像を担持しながら回転搬送を行なう。現像装置6Yは、感光体3Y上に形成された潜像にトナーを付着させ、現像する。より具体的には、現像ローラー6YRのスリーブに、直流電圧Vb=−400Vと5kHz,矩形波,Vpp=1400Vの交流電圧とを重畳した現像バイアス電圧が印加される。これにより、現像バイアス電圧Vbと露光後電位Viとの電位差に基づいて、キャリアとの摩擦帯電により負極性に帯電したトナーが露光部に付着されるとともに、感光体3Y上にトナー画像が形成される。
1次転写ローラー7Yには、帯電バイアス電圧とは逆極性である正極性の転写バイアス電圧VTが印加される。感光体3Y上に形成されたトナー画像は、1次転写ローラー7Yによって押圧された中間転写ベルト1に接触する。この状態で、1次転写ローラー7Yには、転写バイアス電圧VTとしてV0(V)が印加される。印字動作中の転写バイアス電圧VOは、一例として、1000Vとする。この値は、上述したポジメモリおよびネガメモリが生じないような転写バイアス電圧である。この1次転写ローラー7Yの作用によって、感光体3Y上に形成されたトナー画像は、図2中の矢印A方向に移動する中間転写ベルト1上に1次転写される。
なお、転写バイアスは、定電圧制御および定電流制御のどちらでも構わない。定電圧制御を行なう場合、制御部70は、中間転写ベルト1および1次転写ローラー7Yの抵抗変動を相殺するためのテストモードを設け、テストモード時に所定の電流を流したときの電圧値に基づいて、定電圧制御を行なうようにしても良い。また、1次転写ローラー7Yとして、金属ローラーを用い、かつ、定電圧制御を行なう場合は、1次転写ローラー7Y、7M、7C、7Kを同一の電源装置で転写バイアス電圧を印加するように制御してもよいし、各色個別の電源装置で制御するように構成してもよい。一方、定電流制御を行なう場合、制御部70は、1次転写ローラー7Y、7M、7C、7Kを各色個別の電源装置で制御するように構成してもよい。
クリーニングブレード8Yは、転写行程後に感光体3Y上に残留するトナーを回収する清掃装置として機能することによって、次の画像形成サイクル時の画像ムラを抑制する。より具体的には、クリーニングブレード8Yは、一例としてポリウレタンゴムによって構成され、感光体3Yに線圧30N/mで当接されることにより、感光体3Y上に残留するトナーを回収する。
このようにして中間転写ベルト1上に形成されたトナー画像は、2次転写ローラー10の作用により、用紙Pに一括して2次転写される。用紙Pに2次転写されたトナー画像は、定着加熱部20に達する。トナー画像は、加熱された定着ローラー11、および加圧ローラー12の作用により用紙Pに定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、排紙ローラー50を介して排紙トレイ60に排出される。
(b3.感光体)
次に、感光体3Yの構造について説明を行なう。なお、他の感光体3M、3C、3Kも同様の構造であるため、その説明は繰り返さない。感光体3Yは、図1(c)に示されるように、導電性支持体であるアルミニウム(AL)素管の上に、下引き層(UCL)、電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)が順次塗布される積層型有機感光体であるとする。
UCLは、設置されたAL素管と、CGLとの間に設けられ、AL素管およびCGLを接着させるとともに、導電性支持体からCGLへのホールの移動を妨げるバリアーとしての役割を有する。
UCLは、一例として、アルコール可溶性のポリアミド樹脂などのバインダー樹脂に、抵抗調整の目的で、酸化チタンなどの金属酸化物粒子を含有させたものである。CGLは、一例として、フタロシアニン顔料などの電荷発生物質およびポリビニルブチラール樹脂などのバインダー樹脂を含む。CTLは、一例として、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などの電荷輸送物質、およびポリカーボネート樹脂などのバインダー樹脂を含む。また、CTL中には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどを添加してもよい。
このような積層型の感光体3Yは、帯電ローラー4Yにより負極性に帯電され、その後、露光装置5Yによって画像データに応じて露光される。露光によりCGLにホールと電子との対が生成される。生成されたホールは、感光体表面の負電荷によって形成される電界により、CTLを輸送されるとともに、表面の負電荷を消去する。これにより、露光された感光体の表面電位が低下する。一方、電荷発生層内の電子は、UCLを通り接地された導電性基体に流れる。このように、感光体3Yでは、帯電および除電の工程(CD)が繰り返される。
ところで、CTLはホール輸送性に優れている。そのため、感光体3Yが帯電ローラー4Yによって負極性に帯電されたとき、感光体3Yの負電荷に起因する電界によって導電性基体からホールが注入される可能性がある。背景部のうちホールが注入された表面電位は上昇してしまい、背景部の一部が印字されてしまうカブリ現象が発生する。このような導電性基体からのホール注入を阻止するため、UCLはある程度の抵抗に調整している。
(b4.CD繰り返しメモリ画像を抑制する制御)
一方、UCLがある程度の抵抗に調整されていることに起因して、CGL内の電子もAL素管側へ移動しにくくなっている。特に低湿度の場合、UCLの抵抗が上昇するため、CGLとUCLとの界面およびUCL内に電子が蓄積される。上述の通り、図1(b)に示されるような、帯状画像を連続して感光体3Yに露光すると、感光体内部に電子が蓄積するとともに感光体3Yの露光後電位Viが徐々に低下する。その結果、CD繰り返しメモリ画像として顕在化する。
図3は、帯状画像の連続印字枚数に対する、感光体3Yの露光後電位Viの変動ΔViについて説明する図である。図3に示される例において、帯状画像は、主走査方向の一部において、副走査方向に延びる所定距離にわたって印字領域が形成される画像である。露光後電位の変動ΔViは、1枚の帯状画像を露光した後の感光体3Yの露光後電位Viと、連続してn枚目(連続印字枚数)の帯状画像を露光した後の感光体3Yの露光後電位Viとの差分である。
図3から、帯状画像の連続印字枚数の増加とともに、露光後電位の変動ΔViが大きくなり、ある値で飽和することが読み取れる。実施形態1に従う条件において、露光後電位の変動ΔViが15V以上生じている状態で、ベタ画像を印字すると、人間の目に濃度ムラとして認識されるCD繰り返しメモリ画像が発生する。
また、図3から、露光後電位の変動ΔViは、絶対湿度が低い程、大きくなることが読み取れる。10℃、15%RHの条件において約10枚、15℃、35%RHの条件において約20枚、帯状画像を連続印字すると露光後電位の変動ΔViが15Vに到達する。23℃65%RHという絶対湿度が高い条件においては、帯状画像を約100枚連続印字しても、露光後電位の変動ΔViは15Vに到達しない。
この露光後電位の変動ΔViは、露光装置5Yによる露光動作を中止した状態で、感光体3Yを放置することによっても徐々に小さくなる。その理由は、感光体3Yの内部に蓄積された電子が、導電性支持体であるAL素管に抜けていくためである。
図4は、露光後電位の変動ΔViの、感光体3Yを空回転させる時間に対する遷移を説明する図である。図4に示される例において、制御部70は、帯状画像を10枚連続で印字した後に、露光装置5Yによる作像動作を一時的に中断するとともに、1次転写ローラー7Yに印字動作中の転写バイアス電圧V0(=1000V)を印加した状態で感光体3Yを空回転させる。
図4に示されるように、1次転写ローラー7Yに転写バイアス電圧V0を印加した状態で感光体3Yを空回転させる構成は、15℃,35%RHの条件において、露光後電位の変動ΔViが2〜3Vまで小さくなるのに6秒程度要し、10℃,15%RHの条件においては、20秒以上要する。そのため、CD繰り返しメモリ画像を抑制するにあたって、この構成を採用した場合、画像形成の生産性を著しく悪化させてしまう。なお、帯状画像の印字動作を再開すると露光後電位の変動ΔViが再び上昇する。そのため、印字動作を中断する間隔を長くするために、露光後電位の変動ΔViを2〜3V程度まで小さくすることが望ましい。
そこで、上記のCD繰り返しメモリ画像を抑制するために、実施形態1に従う画像形成装置100は、露光後電位の変動ΔViが15Vに到達する前に、感光体の表面から積極的にホールを注入し、感光体内部に蓄積された電子を中和する電位回復モードを実行する。より具体的には、画像形成装置100は、電位回復モードにおいて、露光装置5Yによる作像(露光)動作を一時的に中止するとともに、1次転写ローラー7Yから正極性の転写バイアス電圧V1を印加することによって、回転中の感光体3Yの表面からホールを注入する。
図5は、実施形態1に従う電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1と感光体表面の露光後電位Viの変動ΔViとの関係について説明する図である。図5に示される例において、画像形成装置100は、10℃、30%RHの条件において帯状画像を10枚連続で印字した後に、電位回復モードを実行する。より具体的には、画像形成装置100は、電位回復モードにおいて、露光装置5Yによる印字動作を一時的に中断し、1次転写ローラー7Yに転写バイアス電圧V1を、感光体3Yが3回転する時間(約2秒)にわたって印加する。図5における縦軸は、電位回復モードを実行した後の、感光体3Yの露光後電位の変動ΔViを表す。
図5に示されるように、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1が印字動作中の転写バイアス電圧VO(=1000V)以下の場合、電位回復モード実行後の変動ΔViは15V付近から変動しておらず、ホール注入が不十分であることが読み取れる。一方、転写バイアス電圧V1が、印字動作中の転写バイアス電圧VOよりも大きい場合、転写バイアス電圧V1が大きいほど、電位回復モード実行後の変動ΔViが小さくなることが読み取れる。特に、転写バイアス電圧V1=1800Vの場合、当該電圧を印加後の感光体表面の露光後電位Viの変動ΔViは2V付近まで小さくなることが読み取れる。すなわち、電位回復モードにおいて絶対値が印字動作中の転写バイアス電圧VOよりも大きい転写バイアス電圧V1を印加する構成は、画像形成の生産性の低下を抑制しつつ、CD繰り返しメモリ画像を抑制することができる。以下、図6を用いて、実施形態1に従う画像形成装置100のCD繰り返しメモリ画像を抑制する制御について説明を行なう。
図6は、実施形態1に従う画像形成装置100における、CD繰り返しメモリ画像を抑制する制御についてのフローチャートである。図6に示される処理は、制御部70が後述する制御プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子その他のハードウェアによって実行されてもよい。
図6を参照して、ステップS10において、制御部70は、外部装置などから用紙Pに画像を形成する印刷ジョブの入力を受ける。ステップS12において、制御部70は、温湿度センサ80から画像形成装置100内の温度および湿度を取得するとともに、絶対湿度Aを算出する。
ステップS14において、制御部70は、算出した絶対湿度Aに基づいて、電位回復モードへと遷移するまでの連続印字枚数B0と、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1および実行時間tの値を設定する。より具体的には、制御部70は、図7に示されるテーブルに基づいて、各パラメーター値を設定する。上述の通り、感光体3Yの内部に蓄積される電子の量は、絶対湿度Aに依存するためである。なお、図7に示されるテーブルは、後述する記憶装置120に格納されているものとする。
図7は、実施形態1に従う絶対湿度Aに応じた、連続印字枚数B0、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1、および電位回復モードの実行時間tに関連する感光体の回転数Trの一例を説明するテーブルである。実施形態1において、一例として、絶対湿度Aは3g/m3であるとする。この場合、制御部70は、連続印字枚数B0を15枚、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1を1800V、電位回復モードの実行時間tを感光体3Yが3回転する時間t0に設定する。制御部70は、記憶装置120に格納される感光体3Yの回転速度と、感光体3Yの回転数Trとに基づいて時間t0を算出する。
なお、電位回復モードにおける感光体3Yの回転速度は、印字動作時の回転速度でもよいし、複数ある回転速度から任意の回転速度に設定されてもよい。制御部70は、感光体3Yの回転速度が複数存在する場合は、電位回復モードにおける回転速度を当該複数の回転速度の中から最大速度に設定することによって、電位回復モードの実行時間を短縮してもよい。
また、図7に示される例において、電位回復モード時の転写バイアス電圧V1を絶対値で設定しているが、他の局面において、印字動作時の転写バイアス電圧VOとの相対値によって設定してもよい。さらに他の局面において、1次転写ローラー7Yに印加する転写バイアスを定電圧制御でなく定電流制御する場合、制御部70は、電位回復モードにおける電流値の絶対値を、印字動作時の電流値の絶対値よりも大きくなるように設定してもよい。
また、図7に示される例において、絶対湿度Aが12g/m3を超える場合、制御部70は、電位回復モードを実行しないように構成される。より具体的には、絶対湿度Aが12g/m3を超える場合、連続印字枚数B0は、画像形成装置100で連続して印字可能な枚数(たとえば、999枚)を超える値に設定される。
また、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1は図7に示される例に限られず、電位回復モードの実行時間tが短くなるように設定されることが好ましい。しかしながら、転写バイアス電圧V1を高く設定しすぎると、上述したポジメモリの問題が発生する可能性が高くなる。そのため、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1は、各絶対湿度においてポジメモリが生じない程度に高めに設定し、電位回復モードの実行時間tを短くすることが好ましい。
再び図6を参照して、ステップS16において、制御部70は、印字動作を開始する。ステップS18において、制御部70は、印刷ジョブを開始してから印字された用紙の累積枚数Cが連続印字枚数B0に到達したか否かを判断する。累積枚数Cが連続印字枚数B0に到達していないと判断した場合(ステップS18においてNO)、制御部70は、処理をステップS28に進める。一方、累積枚数Cが連続印字枚数B0に到達したと判断した場合(ステップS18においてYES)、制御部70は、処理をステップS20に進める。
ステップS20において、制御部70は、電位回復モードを実行する。より具体的には、制御部70は、露光装置5Yによる作像(露光)動作を中止するとともに、実行時間t0にわたって、転写バイアス電圧VTを、ステップS14で設定した転写バイアス電圧V1にセットし、1次転写ローラー7Yに印加する。
ステップS22において、制御部70は、電位回復モード終了時に転写バイアスVTを印字動作中の転写バイアス電圧V1にセットするとともに、累積枚数Cを0にリセットする。なお、他の局面において、制御部70は、電位回復モードの実行時に累積枚数Cを0にリセットする構成であってもよい。言い換えれば、制御部70は、電位回復モードの実行に応じて、電位回復モードを実行する条件における、露光の実行履歴を初期値にリセットする。
ステップS24において、制御部70は、感光体3Yの状態を印字動作中の状態に近づけるリフレッシュモードを実行する。より具体的には、制御部70は、リフレッシュモードにおいて、感光体3Yが少なくとも1回転以上する時間Δtにわたって、露光装置5Yによる作像動作を中止するとともに、1次転写ローラー7Yに印字動作中の転写バイアス電圧V0を印加する。これは、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1が高い場合に、感光体3YのCTLにホールが蓄積され、次回印字動作時における感光体3Yの帯電ローラー4Yによる帯電後の表面電位が高くなることを防ぐためである。仮に、電位回復モードを実行した直後に印字動作を再開すると、電位回復モードの直後に印字される画像と、数枚(たとえば、5枚)後に印字される画像とで濃度が異なる可能性がある。
リフレッシュモードを実行する時間Δtは、画像形成装置100の絶対湿度が低いほど長く設定されることが好ましい。また、時間Δtは、印字動作中の転写バイアス電圧V0と、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1との差が大きいほど長く設定されることが好ましい。
ステップS26において、制御部70は、電位回復モードおよびリフレッシュモードを実行した後に印字動作を再開する。ステップS28において、制御部70は、1枚印字を終了するごとに、累積枚数Cを1ずつカウントアップする。ステップS30において、制御部70は、印刷ジョブが終了したか否かを判断する。制御部70は、印刷ジョブが終了していないと判断する場合(ステップS30においてNO)、処理をステップS18に戻す。一方、印刷ジョブが終了したと判断する場合(ステップS30においてYES)、制御部70は、処理をステップS32に進め、累積枚数Cを0にリセットするとともに一連の処理を終了する。
上記によれば、実施形態1に従う画像形成装置100は、感光体内部に蓄積される電子を、絶対値が印字動作中の転写バイアス電圧V0よりも大きい転写バイアス電圧V1を印加することによって、短時間で中和することができる。すなわち、実施形態1に従う画像形成装置100は、生産性の低下を抑制しつつ、CD繰り返しメモリ画像を抑制することができる。
また、実施形態1に従う画像形成装置100は、光除電装置による全面露光ではなく、転写バイアス電圧V1の印加によってCD繰り返しメモリ画像を抑制する。そのため、実施形態1に従う画像形成装置100は、感光体3Yに与えるダメージが少なく、感光体3Yの長寿命化を実現することができる。また、実施形態1に従う画像形成装置100は、光除電装置を搭載しないことにより、小型化および低コストでの製造を実現することができる。
なお、上記の例において、画像形成装置100は、印刷ジョブを開始してから印字された用紙の累積枚数Cが連続印字枚数B0に到達した場合に電位回復モードを実行する構成であったが、これに限られない。先の印刷ジョブを終了した直後に後の印刷ジョブが開始される場合など、露光後電位の変動ΔViが十分に小さくなっていない状態で印刷ジョブが開始される場合も考えられる。そのため、画像形成装置100は、先の画像形成動作から後の画像形成動作が所定時間内に実行される一連の画像形成動作における、印字された用紙の累積枚数が所定枚数に到達したときに電位回復モードを実行する構成が好ましい。この所定時間とは、一例として、画像形成装置100の待機状態において、露光後電位の変動ΔViが、人間の目でCD繰り返しメモリ画像として認識される電圧値(たとえば、15V)から2〜3V程度まで低下するまでの時間とする。また、当該所定時間は、絶対湿度Aが低いほど、長くなるように設定されてもよい。
当該構成を実現する一例として、制御部70は、予め定められた時間にわたって露光装置による作像動作を行なわないときに累積枚数Cを初期値(0)にリセットするように構成されてもよい。さらに他の例として、制御部70は、ステップS32において、印刷ジョブを終了してから所定時間経過後に累積枚数Cを0にリセットするように構成されてもよい。また、他の局面において、制御部70は、絶対湿度Aが所定値以下である場合に、印刷ジョブの終了後に電位回復モードを所定時間実行する構成であってもよい。
また、上記の例において、画像形成装置100は、図7に示されるように、絶対湿度に基づいて、露光装置による露光の実行履歴に関する予め定められた条件を設定する構成であるが、これに限られない。他の局面において、画像形成装置100は、温度および相対湿度のうちいずれか一方に基づいて、上記予め定められた条件を設定する構成であってもよい。より具体的には、画像形成装置100は、温度が低くなるほど、および、相対湿度が低くなるほど、露光後電位の変動ΔViが大きくなるとして、上記予め定められた条件を設定する構成であってもよい。
また、人間の目は、色によってCD繰り返しメモリ画像を含む画像の濃度ムラに対する感度が異なる。人間の目は、シアンおよびマゼンタの画像の濃度ムラに対する感度は高いものの、イエローおよびブラックの画像の濃度ムラに対する感度は低い。そのため、画像形成装置100は、印刷に用いる色に応じて、露光装置による露光の実行履歴に関する予め定められた条件を設定する構成であってもよい。その一例として、画像形成装置100は、モノクロ印刷を行なう場合、電位回復モードを実行する連続印字枚数B0を、カラー印刷を行なう場合よりも長く設定してもよい。
図8は、図6に示される制御を説明するタイミングチャートである。図8を参照して、時刻T0において、外部装置などから画像形成装置100に印刷ジョブが入力される。制御部70は、印刷ジョブの入力から所定時間経過後の時刻T1において、感光体3Yを回転駆動させるとともに、電源装置から帯電ローラー4Yおよび現像ローラー6YRに帯電バイアス電圧および現像バイアス電圧を印加させる。また、時刻T1において、感光体3Yは、露光装置5Yによる作像動作を開始する。
時刻T2において、累積枚数Cが連続印字枚数B0に到達する。これを受け、制御部70は、時刻T3から電位回復モードを実行する。より具体的には、制御部70は、露光装置5Yによる作像動作を中止するとともに、1次転写ローラー7Yに、印字動作中の転写バイアス電圧V0よりも大きい転写バイアス電圧V1を印加する。
図8に示される例において、制御部70は、電位回復モードにおいて、帯電ローラー4Yに、印字動作中と同じの帯電バイアス電圧を印加する。その理由は、電位回復モードにおいて帯電バイアス電圧をオフにした場合、1次転写ローラー7Yから感光体3Yへのキャリア注入効率の向上によって電位回復モードを短時間化できる時間よりも、感光体3Yの表面電位を再び帯電電位に戻す時間の方が長くなってしまうためである。なお、他の局面において、電位回復モードにおいて、帯電ローラー4Yの帯電バイアス電圧をオフにする構成であってもよい。
時刻T4において、制御部70は、電位回復モードを終了するとともにリフレッシュモードを実行する。より具体的には、制御部70は、電位回復モードが終了した時刻T4から時刻T5までの時間Δtにわたって、露光装置5Yの作像動作を中止した状態において、1次転写ローラー7Yに印字動作中の転写バイアス電圧V0を印加する。時刻T5において、制御部70は、リフレッシュモードを終了し、露光装置5Yによる作像動作を再開する。
[C.実施形態2−印字する画像に基づいて電位回復モードを実行]
実施形態1に従う画像形成装置は、露光装置による露光の実行履歴に関する予め定められた条件として、連続して印字される用紙の枚数が所定枚数を超える場合に、電位回復モードを実行する構成であった。しかしながら、CD繰り返しメモリ画像は、帯状画像を連続して印字するなど、感光体の局所領域が短期間の間に何度も露光されることによって生じるため、印字する画像によっては、発生しない場合も存在する。そのため、実施形態1に従う画像形成装置は、不必要な電位回復モードの実行によって、生産性を低下させてしまうという可能性がある。そのため、実施形態2に従う画像形成装置は、印字する画像に基づいて、電位回復モードを実行するか否かを判断する。なお、実施形態2に従う画像形成装置の基本構成は、実施形態1に従う画像形成装置100と同じであるので、その説明は繰り返さない。
図9は、実施形態2に従う画像形成装置100のCD繰り返しメモリ画像を抑制する制御について説明する図である。図9を参照して、制御部70は、印字される画像データを主走査方向に複数に区分する。図9に示される例において、制御部70は、印字される画像データを主走査方向に6画素ごとに区分する。制御部70は、この複数に区分された領域の各々において、トナーが付着される印字画素数の積算値CPを算出する。図9に示される画像データが印字される場合、制御部70は、領域Lの印字画素数の積算値CPを12とする。
なお、印字される画像データにおける主走査方向の位置は、感光体3Yにおける主走査方向の位置と相関する。そのため、上記の制御を換言すれば、制御部70は、主走査方向に複数に区分される感光体3Yの領域ごとに、印字画素数の積算値CPを算出する。
実施形態2に従う制御部70は、先の画像形成動作から後の画像形成動作が所定時間内に実行される一連の画像形成動作において、上記複数に区分される領域のうち少なくとも1つの領域における、単位期間あたりの印字画素数の積算値CPが所定値を上回った場合に、電位回復モードを実行する。この単位期間は、絶対湿度Aによって設定されるものであってもよい。以下、具体例を用いて説明を行なう。
たとえば、先の印刷ジョブを終了してから、所定時間以上が十分に経過した後に、15枚連続で印字を行なう印刷ジョブが画像形成装置100に入力されるとする。単位期間は、一例として、図7に示される連続印字枚数B0を連続して印刷する時間とする。この場合、単位期間は、絶対湿度Aが1.5g/m3のときに、10枚連続して印字する時間とする。
この場合、制御部70は、印字枚数が10枚目に到達したときに、1枚目から10枚目の、各々の領域における印字画素数の積算値CPを算出するとともに、これら積算値CPが所定値を上回るか否かを判断する。制御部70は、いずれかの領域における積算値CPが所定値を上回ると判断する場合、電位回復モードを実行する。また、制御部70は、電位回復モードの実行に応じて、各々の領域における印字画素数の積算値CPを0にリセットする。
一方、制御部70は、いずれかの領域における積算値CPが所定値を上回らないと判断する場合、11枚目を印字する。続いて、制御部70は、2枚目から11枚目の各々の領域における印字画素数の積算値CPを算出するとともに、これら積算値CPが所定値を上回るか否かを判断する。以下、制御部70は、印刷ジョブを終了するまで、すなわち、15枚目を印字し終わるまで、上記の制御を繰り返す。
上記によれば、実施形態2に従う画像形成装置は、印字される画像を反映して、電位回復モードを実行するか否かを判断することができる。そのため、実施形態2に従う画像形成装置は、不要な電位回復モードの実行を避けることができるため、実施形態1に従う画像形成装置に比して、生産性をさらに向上させることができる。
なお、上記の例において、画像形成装置100は、トナーが付着される印字画素数の積算値CPのみに基づいて、電位回復モードを実行するか否かを判断する構成であったが、これに限られない。他の局面において、画像形成装置は、トナーが付着される印字画素数の積算値CPに加えて、トナーが付着されない非印字画素数の積算値CNも考慮して、電位回復モードを実行するか否かを判断する構成であってもよい。
図4に示されるように、露光装置5Yによる作像(露光)動作を行なわずに、転写バイアス電圧V0を印加し、感光体3Yを回転させると、感光体3Yに蓄積される電子は緩やかに導電性支持体に抜けていく。そのため、画像形成装置は、複数に区分される領域ごとに、単位期間あたりの印字画素数の積算値から非印字画素数の積算値に所定の係数を乗じた値を差し引いた値が所定値を上回る場合に、電位回復モードを実行するように構成されてもよい。1の印字画素を露光することによる露光後電位Viの低下度合いに比して、1の非印字画素が通過することによる露光後電位Viの上昇度合いよりも大きい。そのため、所定の係数は1未満の値であることが好ましい。当該構成によれば、画像形成装置は、さらに生産性を向上させることができる。
[D.実施形態3−感光体の膜厚に基づいて電位回復モードを実行する条件を設定]
実施形態1および2に従う画像形成装置は、露光の実行履歴に関する予め定められた条件(電位回復モードを実行する条件)を、絶対湿度Aに基づいて設定する構成であった。しかしながら、感光体の膜厚が変動することによって、露光後電位の変動ΔViの大きさ、および帯電後の感光体の表面電位は変動する。そこで、実施形態3に従う画像形成装置は、絶対湿度Aに加えて、感光体の膜厚も考慮して露光の実行履歴に関する予め定められた条件を設定する。なお、実施形態3に従う画像形成装置の基本構成は、実施形態1に従う画像形成装置100と同じであるので、その説明は繰り返さない。
実施形態3に従う画像形成装置100において、感光体3Yには、クリーニングブレード8Yおよび帯電ローラー4Yが当接して配置される。そのため、感光体3Yは、使用にともない、これらの部材との摺擦によって膜厚が徐々に薄くなる。
感光体3Yの膜厚が薄くなるにつれて、露光後電位の変動ΔViは小さくなる。この第1の観点からは、感光体3Yの膜厚が薄くなるにつれて、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1を小さく、電位回復モードの実行時間tを短くする必要がある。
一方で、帯電ローラー4Yに印加される帯電バイアス電圧は略一定であるため、感光体3Yの膜厚が薄くなるほど、感光体3Yに作用する電界強度は大きくなる。これにより、感光体3Yは、膜厚が薄くなるほど帯電ローラー4Yによる帯電後の表面電位の絶対値が上昇する。画像形成装置100は、電位回復モード時において、転写バイアス電圧V1を1次転写ローラー7Yに印加することによって感光体3Yにホールを注入し、感光体3Yに蓄積される電子を中和する。このとき、画像形成装置100は、感光体3Yの表面に存在する負電荷を中和した上で、感光体3Yの内部に蓄積される電子を中和する。そのため、この第2の観点からは、感光体3Yの膜厚が薄くなるほど、転写バイアス電圧V1を大きく、電位回復モードの実行時間tを長くする必要がある。
図10は、感光体3Yの膜厚および絶対湿度Aに応じた、連続印字枚数B0、転写バイアス電圧V1、および電位回復モードの実行時間tに関連する感光体の回転数Trの一例を説明するテーブルである。一例として、制御部70は、感光体3Yを回転させている時間を合計した累積回転時間に基づいて感光体3Yの膜厚を算出する。他の局面において、制御部70は、感光体3Yの累積回転数または累積回転距離に基づいて、感光体3Yの膜厚を算出してもよい。さらに他の局面において、制御部70は、帯電ローラー4Yまたは1次転写ローラー7Yのうちいずれか一方に予め定められた電圧を印加したときに、当該電圧を印加したローラーに流れる電流の大きさに基づいて、感光体3Yの膜厚を算出してもよい。当該構成において、感光体3Yの膜厚が薄くなるほど、電圧を印加したローラーに流れる電流値は大きくなる。
感光体3Yの膜厚が所定値(たとえば、28μm)より厚い場合は、上記第2の観点の影響が強い。そのため、制御部70は、図10に示されるように、感光体3Yの膜厚が薄くなるほど、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1を大きく、電位回復モードの実行時間tを長く設定する。一方、感光体3Yの膜厚が所定値より薄い場合は、上記の第1の観点の影響が強くなる。そのため、制御部70は、感光体3Yの膜厚が薄くなるほど、電位回復モードにおける転写バイアス電圧V1を小さく、電位回復モードの実行時間tを短く設定する。
図10に示される例において、感光体3Yの膜厚が22μm未満である場合、制御部70は、電位回復モードを実行しないように構成される。より具体的には、感光体3Yの膜厚が22μm未満である場合、連続印字枚数B0は、画像形成装置100で連続して印字可能な枚数(たとえば、999枚)を超える値に設定される。
上記によれば、実施形態3に従う画像形成装置は、絶対湿度に加えてさらに感光体の膜厚に応じて、露光装置による露光の実行履歴に関する予め定められた条件を設定することができる。そのため、実施形態3に従う画像形成装置は、不必要な電位回復モードの実行を抑制することにより、生産性をさらに向上させることができる。
ところで、画像形成装置100のように、複数の感光体(3Y,3M,3C,3K)を有する場合、各々の感光体の膜厚が異なる場合がある。そのため、カラー印刷時において、画像形成装置は、複数の感光体の中で最も、連続印字枚数B0が小さい感光体についての露光の実行履歴に関する予め定められた条件を満たした場合に、電位回復モードを実行する構成であってもよい。また、カラー印刷時において電位回復モードを実行する場合、画像形成装置は、複数の感光体について同時に電位回復モードを実行することが好ましい。
また、上記の例において、画像形成装置は、絶対湿度および感光体膜厚の両方のパラメーターを用いて露光装置による露光の実行履歴に関する予め定められた条件を設定する構成であるが、感光体の膜厚にのみ基づいて当該条件を設定する構成であってもよい。
上記の実施形態1〜3において、説明を分かりやすくするために作像ユニット2Yを用いて説明を行ったが、本開示の内容は作像ユニット2Yに限定されるものではなく、他の色の作像ユニットについても適用することができる。
[E.画像形成装置100のハードウェア構成]
図11を用いて、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。図11は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図11に示されるように、画像形成装置100は、制御部70と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ネットワークインターフェイス104と、操作パネル107と、記憶装置120とを含む。
制御部70は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
制御部70は、本実施の形態に従う制御プログラム122などの各種プログラムを実行することで画像形成装置100全体の動作を制御する。制御部70は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からROM102に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
ネットワークインターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置100は、制御プログラム122をアンテナを介してサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
操作パネル107は、表示部とタッチパネルとで構成されている。表示部およびタッチパネルは互いに重ねられており、操作パネル107は、表示部に対するタッチ操作を受け付ける。操作パネル107は、たとえば、画像形成装置100に対する印刷操作などを受け付ける。
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。記憶装置120は、本実施の形態に従う制御プログラム122などを格納する。
制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、開示された実施形態は、いかなる組み合わせも行なうことができるものである。また、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。