JP6644696B2 - 樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システム - Google Patents

樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システム Download PDF

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Description

本発明は、樹脂容器の内面に薄膜を形成する樹脂容器用コーティング装置およびこの樹脂容器用コーティング装置を備える樹脂容器製造システムに関する。
家庭用品などに幅広く使用されるポリエチレンなどの樹脂は、一般的に酸素や二酸化炭素のような低分子ガスを透過する性質を有し、更に低分子有機化合物がその内部に収着してしまう性質も有している。このため、樹脂を容器として使用する際、ガラスなどの他の容器と比べ、その使用対象や使用形態などで種々の制約を受けることが知られている。例えば、樹脂容器に炭酸飲料水を充填して使用する場合には、その炭酸が容器を通じて外部に透過してしまい、炭酸飲料水としての品質を長期間維持するのが難しい場合がある。
そこで、樹脂容器を製造する際、樹脂容器における低分子ガスの透過、および低分子有機化合物の収着による不都合を解消するため、その樹脂容器の内部表面などに対し、プラズマCVD成膜技術を用いてDLC(Diamond Like Carbon)コーティングなどの成膜を行うものが知られている。また、コーティング処理済みの樹脂容器を大量に製造する量産効率を向上させる観点から、容器保持部の一部に保持された樹脂容器の内面に薄膜を形成している間に、容器保持部の他の部分において、コーティング処理済みの樹脂容器を未成膜の樹脂容器と交換することが可能なコーティング装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載のコーティング装置は、未成膜の樹脂容器を供給する位置とコーティング処理済の樹脂容器を取り出す位置とが共通である。このため、樹脂容器の供給工程と取出工程とを並行して行うことができず、コーティング処理済みの樹脂容器の量産効率を向上させることが難しかった。
そこで、特許文献2には、コーティング処理済みの樹脂容器を量産する効率を向上させることが可能な樹脂容器用コーティング装置が提案されている。
日本国特許第4804654号公報 国際公開第2014/112533号
特許文献2の装置では、回転台は機台に形成された凹部内に収容されている。この構成では、回転台がスムーズに回転できるように、回転台の底面と機台の凹部内の底面との間に所定のクリアランスを確保する必要がある。
しかし、このクリアランスが確保された構成では、コーティング処理の際に容器保持部材と電極部材とが組み合わされる際の衝撃力が、床面に設置された機台まで伝わらず、容器保持部材が設置された回転台を含む回転機構がこの衝撃力のほとんどを受け止めることとなってしまう。この衝撃力は、コーティング処理の度に回転機構に伝達するため、回転機構の故障の原因となり易く、回転機構について定期的なメンテナンスが必要となる。
本発明は、コーティング処理された樹脂容器を量産する効率の向上を図りつつ、コーティング処理に起因するメンテナンスの頻度を低減することが可能な樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システムを提供することを目的とする。
本発明にかかる樹脂容器用コーティング装置は、
回転台と、
前記回転台を回転させるための回転機構と、
前記回転台上に設置され、複数の樹脂容器を保持することが可能な容器保持部材と、
前記容器保持部材と組み合わされた状態において、前記容器保持部材に保持された前記樹脂容器の内面に薄膜を形成するコーティング処理を行うことが可能な電極部材と、
前記回転台上に設置された前記容器保持部材を前記回転台から離間する離間位置へ移動させる移動機構と、
を備え、
前記容器保持部材は、前記樹脂容器が供給される容器供給位置と、前記電極部材と組み合わされた状態で前記コーティング処理が行われるコーティング処理位置と、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器を取り出すことが可能な容器取出位置とに配置されるように前記回転台上に複数設置され、
前記回転台上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記回転台の回転に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動するように構成され、
前記コーティング処理位置に配置された前記容器保持部材を前記移動機構が前記離間位置へ移動させた後に、前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされる。
上記構成によれば、容器保持部材と電極部材とが組み合わされる前に容器保持部材が回転台上から離間した離間位置に移動するため、容器保持部材と電極部材とが組み合わされる際の衝撃力が回転台まで直接的には伝達しない。このため、コーティング処理の度に発生する上述の衝撃力に起因して回転機構が故障する可能性を低下させることができ、メンテナンスの頻度を低減させることができる。
また、上記構成によれば、未成膜の樹脂容器を供給する工程と、コーティング処理を行う工程と、成膜された樹脂容器を取り出す工程とを並行して行うことができるため、コーティング処理を要する樹脂容器を製造する量産効率を向上させることができる。
このように、上記構成によれば、コーティング処理された樹脂容器の量産効率の向上を図りつつ、コーティング処理に起因するメンテナンスの頻度を低減することができる。
本発明の樹脂容器用コーティング装置において、前記回転台上には、前記容器保持部材が前記離間位置へ移動することをガイドするガイド部材が設けられていても良い。
上記構成によれば、容器保持部材を精度よく離間位置へ移動させることができる。また、容器保持部材が離間位置と異なる位置へ移動することを防ぐことができる。
本発明の樹脂容器用コーティング装置において、前記移動機構は、前記コーティング処理位置に配置された前記容器保持部材と接続して、前記容器保持部材と前記電極部材とで形成される内部空間の空気を外部へ排気するための排気経路を構成する排気部材でも良い。
上記構成によれば、コーティング処理に必要な排気部材を利用することで、部品点数の増加を抑えつつ、容器保持部材を離間位置へ移動させる機構を実現することができる。
本発明の樹脂容器用コーティング装置において、前記容器保持部材は、第1シールド部材を有し、前記電極部材は、第2シールド部材を有し、前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされた状態において、前記第1シールド部材と第2シールド部材とは互いに電気的に接続して遮蔽空間を形成し、前記容器保持部材と前記電極部材は、前記遮蔽空間の内部に配置されても良い。
上記構成によれば、コーティング処理の際に発生する高周波が装置の外部へ伝搬することを防ぐことができる。
本発明の樹脂容器用コーティング装置において、前記第1シールド部材と前記第2シールド部材の少なくとも一方には、導電性の弾性部材が設けられ、前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされた状態において、前記第1シールド部材と第2シールド部材とは、互いに前記弾性部材を介して電気的に接続しても良い。
上記構成によれば、導電性の弾性部材を介して各シールド部材を接続することにより、遮蔽空間の密閉性が確保しやすくなる。また、容器保持部材と電極部材とが組み合わされる際に第1シールド部材と第2シールド部材との間に発生する衝撃力を低減することができ、各シールド部材を薄肉化してコストを低下させることができる。
また、本発明にかかる樹脂容器製造システムは、
前記樹脂容器を製造する樹脂容器製造装置と、
上記のいずれか一つに記載の樹脂容器用コーティング装置と、
前記樹脂容器製造装置によって製造され保持された状態の複数の前記樹脂容器の各々を、前記樹脂容器製造装置から一括して取り出して前記樹脂容器用コーティング装置の前記容器供給位置まで搬送し、前記容器保持部材に複数の前記樹脂容器の各々を保持させる樹脂容器搬送装置と、
を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、製造装置によって製造された樹脂容器をベルトコンベヤーで搬送して樹脂容器用コーティング装置まで搬送する構成と比較して、樹脂容器用コーティング装置に設置するための整列作業が不要となり量産効率がより向上する。
また、本発明の樹脂容器用コーティング装置は、
搬送部材を有する搬送機構と、
前記搬送部材上に設置され、複数の樹脂容器を保持することが可能な容器保持部材と、
前記容器保持部材と組み合わされた状態において、前記容器保持部材に保持された前記樹脂容器の内面に薄膜を形成するコーティング処理を行うことが可能な電極部材と、
前記搬送部材上に設置された前記容器保持部材を前記搬送部材から離間する離間位置へ移動させる移動機構と、
を備え、
前記容器保持部材は、前記樹脂容器が供給される容器供給位置と、前記電極部材と組み合わされた状態で前記コーティング処理が行われるコーティング処理位置と、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器を取り出すことが可能な容器取出位置とに配置されるように前記搬送部材上に複数設置され、
前記搬送部材上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記搬送部材の移動に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動するように構成され、
前記コーティング処理位置に配置された前記容器保持部材を前記移動機構が前記離間位置へ移動させた後に、前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされる。
上記構成によれば、コーティング処理された樹脂容器の量産効率の向上を図りつつ、コーティング処理に起因するメンテナンスの頻度を低減することができる。
本発明によれば、コーティング処理された樹脂容器を量産する効率の向上を図りつつ、コーティング処理に起因するメンテナンスの頻度を低減することが可能な樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システムを提供することができる。
本発明に係る樹脂容器用コーティング装置の一例を示す平面図である。 図1のA−A線における断面図である。 図1のB−B線における断面図である。 コーティング処理位置に設けられたコーティング部の断面図である。 コーティング部の動きを説明する図であって、(a)および(b)は、それぞれ樹脂容器用コーティング装置のコーティング処理位置における断面図である。 コーティング処理時における動きを説明する図であって、(a)から(c)は、それぞれコーティング部の断面図である。 図1のC−C線における断面図である。 本発明に係る樹脂容器製造システムの一例を示す平面図である。
以下、本発明に係る樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システムの実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、樹脂容器用コーティング装置1を上方から見た平面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。図1および図2に示すように、樹脂容器用コーティング装置1は、機台2と、機台2の上面に配置された回転台3と、樹脂容器が保持される容器保持部材5a,5b,5c,5dと、回転台3を回転駆動する駆動機構(回転機構の一例)6とを備えている。
機台2は、矩形状を有する厚板によって形成されている。機台2の上面中央部には回転台3を取り付けるための円形状の凹部300が形成されている。機台2は、その下方に、駆動機構6が収納される機台ベース200を備えている。
回転台3は、円形状を有する平板によって形成されている。回転台3の径は、機台2の凹部300の径よりも僅かに小さく形成されている。また、回転台3の厚さは、機台2の凹部300の深さよりも僅かに小さく形成されている。回転台3は、機台2の凹部300に緩挿されており、回転台3の上面と機台2の上面とは略同じ高さとなるように配置されている。これにより、機台2の凹部300の内周面と回転台3の外周面との間および機台2の凹部300の底面と回転台3の底面との間には、僅かな隙間が設けられている。回転台3は、機台2に対して支軸7を中心に図に示す矢印Qの方向(反時計回りの方向)へ回転可能に設けられている。
回転台3の上面には、複数(この形態では4つ)の容器保持部材5a,5b,5c,5dが配置されている。回転台3の矢印Q方向への回転に伴って容器保持部材5a,5b,5c,5dは、回転台3とともに矢印Q方向へ回転する。
駆動機構6は、回転台3を回転させるための回転機構である。駆動機構6は、例えば、ステッピングモータ、サーボモータ等によって構成することができる。駆動機構6は、回転台3に固定された支軸7を介して回転台3を回転させる。駆動機構6は、機台ベース200内に配置されている。
容器保持部材5a,5b,5c,5dは、それぞれ複数の樹脂容器8を保持することが可能な部材である。容器保持部材5a,5b,5c,5dは、回転台3上に支軸7を中心として90度間隔で設置されている。
容器保持部材5a,5b,5c,5dは、載置された樹脂容器8を保持する容器保持用孔部9a,9b,9c,9dを有している。容器保持用孔部9a,9b,9c,9dは、容器保持部材5a,5b,5c,5dに複数個(この形態では8個)形成されており、容器保持部材5a,5b,5c,5dを上下方向に貫通している。例えば図2の容器保持部材5bに示されるように、樹脂容器8は、当該樹脂容器8の口部を容器保持用孔部9bに嵌入した状態で保持される。
容器保持部材5a,5b,5c,5dは、回転台3とともに矢印Q方向に回転する過程において、それぞれの容器保持部材5a,5b,5c,5dが容器供給位置P1、コーティング処理位置P2、クリーニング処理位置P3、および容器取出位置P4の何れかの位置に配置されるように構成されている。それぞれの容器保持部材5a,5b,5c,5dが配置される位置は、最初が容器供給位置P1、続いてコーティング処理位置P2、次にクリーニング処理位置P3、そして最後が容器取出位置P4の順序に設定されている。
例えば、図1では、容器保持部材5aが容器供給位置P1に配置され、容器保持部材5bがコーティング処理位置P2に配置され、容器保持部材5cがクリーニング処理位置P3に配置され、そして容器保持部材5dが容器取出位置P4に配置されている。
この状態から回転台3が矢印Q方向に回転されるとその回転に伴って各容器保持部材5a,5b,5c,5dも回転し、容器保持部材5a,5b,5c,5dはそれぞれ次の位置へ配置される。すなわち、容器保持部材5aは容器供給位置P1から移動してコーティング処理位置P2に配置され、容器保持部材5bはコーティング処理位置P2から移動してクリーニング処理位置P3に配置され、容器保持部材5cはクリーニング処理位置P3から移動して容器取出位置P4に配置され、容器保持部材5dは容器取出位置P4から移動して容器供給位置P1に配置される。
容器供給位置P1は、コーティング処理されていない樹脂容器(未成膜容器)8が供給されるステージ(未成膜容器供給工程を行う位置)として設定されている位置である。例えば、ブロー成形機等によって成形された未成膜容器が複数個、等間隔で容器保持用孔部9a,9b,9c,9dに嵌入される。図1では、容器供給位置P1に配置されている容器保持部材5aの容器保持用孔部9aに未成膜容器が8個嵌入される。
コーティング処理位置P2は、後述のチャンバ30内(図4等参照)に樹脂容器8が収容され、それらの樹脂容器8の内面に一括成膜が行われるステージ(コーティング処理工程を行う位置)として設定されている位置である。コーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5a,5b,5c,5dは、容器保持用孔部9a,9b,9c,9dに樹脂容器8を保持する部材として機能するとともに、チャンバ30の一部としても機能する。図1に示す状態においては、容器保持部材5bがコーティング処理位置P2に配置されており、容器保持部材5bに載置された樹脂容器(容器供給位置P1で供給された8個の未成膜容器)8がチャンバ30内に密封されて一括成膜が行われる。このように、例えばコーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5bは、容器保持用孔部9bに樹脂容器8を保持する部材として機能するとともに、チャンバ30の一部としても機能する。
クリーニング処理位置P3は、樹脂容器8の内部に付着した塵、ホコリ、ダスト、異物等のパーティクルが除去されるステージ(クリーニング処理工程を行う位置)として設定されている位置である。図1に示す状態においては、容器保持部材5cがクリーニング処理位置P3に配置されており、容器保持部材5cに載置された樹脂容器(コーティング処理位置P2で成膜された8個の樹脂容器)8がクリーニング処理される。
容器取出位置P4は、コーティング処理、およびクリーニング処理された樹脂容器8が取り出されるステージ(成膜完了容器取出工程を行う位置)として設定されている位置である。図1に示す状態においては、容器保持部材5dが容器取出位置P4に配置されており、容器保持部材5dの容器保持用孔部9dに載置された樹脂容器(クリーニング処理位置P3でクリーニングされた8個の樹脂容器)8がコーティング完了容器として取り出される。
図3は、図1のB−B線における断面図であり、コーティング処理位置P2に設けられたコーティング部10を示している。コーティング部10は、チャンバ30内に複数の樹脂容器8を格納し、プラズマCVD技術を用いて樹脂容器8の内部表面にケイ素化合物のガス等から構成される膜を一括成形する。
コーティング部10は、容器保持部材5a,5b,5c,5d(図1および図3に示す状態では容器保持部材5b)と、チャンバ蓋部(電極部材の一例)11と、チャンバ蓋支持部12と、内部電極13と、ガス供給部14と、高周波電源15を備える。
コーティング処理位置P2において、容器保持部材5bは、チャンバ蓋部11と組み合わされ、チャンバ蓋部11とともにチャンバ30の一部を構成する。チャンバ30は、コーティング処理時における外部電極として機能する。
チャンバ蓋部11は、チャンバ蓋支持部12によって容器保持部材5bの上部に上下方向(図3に示すRの向き)に移動可能に支持されている。
内部電極13は、チャンバ30に収容された樹脂容器8の内部にそれぞれ挿入配置されるパイプ状の電極である。内部電極13は、ガス供給部14に連結されており、内部電極として機能するとともに、ガスを放出するガスノズルとしても機能する。
ガス供給部14は、内部電極13を介して各樹脂容器8内に原料ガスを供給する。原料ガスとしては、ケイ素化合物、あるいは酸素等のガスと混合したガスを使用することができる。
高周波電源15は、プラズマCVDの外部電極に電力を供給するための電源である。高周波電源15は、機台ベース200内に配置されている。
次に、コーティング部10の具体的な構造および動きを説明する。
図4は、コーティング処理位置P2に設けられたコーティング部10の断面図である。図5は、コーティング部10の動きを説明する図であって、(a)および(b)は、それぞれ樹脂容器用コーティング装置1のコーティング処理位置P2における断面図である。図6は、コーティング処理時における動きを説明する図であって、(a)から(c)は、それぞれコーティング部10の断面図である。
図4および図5(a)(b)に示すように、コーティング部10は、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とを備えている。コーティング部10は、複数(本実施形態では8つ)の略円筒状の樹脂容器8をそれぞれ個別に独立した状態で格納する8つのチャンバ30を備えている。チャンバ30には、樹脂容器8を格納する格納室Sが形成される。
容器保持部材5a,5b,5c,5dは、基台となるベース部40と、このベース部40上に配置される平板状の絶縁板50と、この絶縁板50上に設置された下側チャンバ60と、ベース部40上に配置される下側シールド部材(第1シールド部材の一例)70とを有している。また、容器保持部材5a,5b,5c,5dの下方には、格納室Sにそれぞれ設置された複数の樹脂容器8の内部にそれぞれ挿入配置されるパイプ状(筒状)の前述した内部電極13と、チャンバ30の格納室Sにそれぞれ連通して排気を行う排気管路(排気経路の一例)80と、チャンバ30の格納室Sに設置された樹脂容器8の内部に原料ガスをそれぞれ供給する前述したガス供給部14と、を備えている。
ベース部40は、ステンレスなどの金属プレートであり、回転台3の上面に載置されている。ベース部40には、その各角部近傍に、厚み方向へ貫通するガイド孔41が形成されており、これらのガイド孔41には、回転台3に固定されて回転台3上に立設されたガイドピン(ガイド部材の一例)42が挿通されている。ベース部40は、回転台3に対してガイド孔41に挿通されたガイドピン42によってガイドされた状態で、上下に移動可能に支持されている。ガイドピン42は、その上端部に外周へ張り出す頭部43を有している。これにより、ベース部40は、頭部43によって上方への移動が規制されている。ベース部40には、孔部44が形成されている。この孔部44は、機台2および回転台3に形成された孔部2a,3aと連通される。これらの互いに連通される孔部44,2a,3aには、排気管路80の端部が配置される。
絶縁板50は、絶縁性を有する樹脂材料を板状に形成したもので、ベース部40の上面側に固定されている。絶縁板50には、各格納室Sに対応する孔部51が形成されており、この孔部51は、チャンバ30の格納室S内と連通されている。絶縁板50には、その上面に、孔部51を囲うようにシール溝52が形成されており、このシール溝52には、Oリング53が装着されている。
下側チャンバ60は、チャンバ30の下側を構成するもので、金属材料から形成されている。下側チャンバ60は、上下に貫通する容器保持用孔部9a,9b,9c,9dが形成されている。この容器保持用孔部9a,9b,9c,9dに樹脂容器8が挿し込まれて保持される。容器保持用孔部9a,9b,9c,9dは、格納室Sの下側を形成する。下側チャンバ60は、絶縁板50上に固定されている。この下側チャンバ60を絶縁板50に固定することで、下側チャンバ60の下面にOリング53が密着されて絶縁板50と下側チャンバ60との間がシールされている。
下側シールド部材70は、金属板を角筒状に形成したもので、下端部に絶縁板50を嵌め込むようにしてベース部40上に固定されている。これにより、下側シールド部材70によって下側チャンバ60の周囲が囲われている。下側シールド部材70は、その上端に、外方へ張り出すフランジ部71を有している。フランジ部71には、全周にわたって導電性シール部材(弾性部材の一例)72が取り付けられている。この導電性シール部材72は、導電性を有する弾性材料から形成されている。
図5(a)(b)に示すように、排気管路80は、固定管路部81と、移動管路部(排気部材の一例)82とを有している。固定管路部81は、L字状に屈曲されている。この固定管路部81は、一端が機台2に固定され、他端が真空ポンプ(図示略)に接続されている。移動管路部82は、コ字状(U字状)に屈曲されている。この移動管路部82は、一端が互いに連通される孔部44,2a,3aに導かれ、他端が固定管路部81の一端に接続される。移動管路部82の一端には、Oリング83が取り付けられている。また、移動管路部82の一端側には、内部電極13が挿通されている。
移動管路部82は、上下方向へ移動可能とされている。移動管路部82の下方側には、機台ベース200に固定されたエアシリンダ85が設けられている。エアシリンダ85は、シリンダ本体86と、このシリンダ本体86に対して上下方向へ進退されるロッド87とを有している。ロッド87の端部は、移動管路部82の底部に固定されている。
エアシリンダ85および移動管路部82は、回転台3上に設置された容器保持部材5a,5b,5c,5dを、回転台3上に載置された待機位置から上昇させて回転台3から離間する離間位置へ移動させる移動機構90を構成する。
移動機構90は、エアシリンダ85のシリンダ本体86からロッド87を突出させることで移動管路部82を上昇させ、その一端を孔部44,2a,3a内へ挿し込み、他端を固定管路部81の一端に接続させる。上昇する移動管路部82は、孔部44,2a,3a内へ挿し込まれた一端が絶縁板50に当接する。これにより、容器保持部材5a,5b,5c,5dが上方へ持ち上げられて回転台3から離間した離間位置へ移動される。また、このとき、移動管路部82の一端に設けられたOリング83が絶縁板50に密着して移動管路部82と絶縁板50との間がシールされる。
移動機構90は、エアシリンダ85のシリンダ本体86にロッド87を引き込ませることで、移動管路部82を下降させ、その一端を孔部44,2a,3a内から抜き出させ、他端を固定管路部81の一端から離す。移動管路部82が下降すると、離間位置に配置されていた容器保持部材5a,5b,5c,5dが下方の待機位置へ配置される。
チャンバ30の上方側を構成するチャンバ蓋部11は、支持板110と、絶縁板120と、上側チャンバ130と、上側シールド部材(第2シールド部材の一例)140とを有している。
支持板110は、平板状に形成されており、チャンバ蓋支持部12から延びる支持アーム12aに支持されている。支持板110には、孔部111が形成されており、この孔部111には、支持アーム12aから引き出された給電線112が挿通されている。
絶縁板120は、絶縁性を有する樹脂材料を板状に形成したもので、支持板110の下面側に固定されている。絶縁板120には、貫通孔121が形成されており、この貫通孔121に給電線112が通されている。
上側チャンバ130は、チャンバ30の上側を構成するもので、金属材料から形成されている。上側チャンバ130は、保持孔131を有しており、保持孔131は、格納室Sの上側を構成する。上側チャンバ130には、給電線112が接続されている。保持孔131には、下側チャンバ60に保持された樹脂容器8が収容される。上側チャンバ130は、絶縁板50の下面側に固定されている。上側チャンバ130には、その下面に、保持孔131を囲うようにOリング132が取り付けられている。
上側シールド部材140は、金属板を角筒状に形成したもので、上端部に絶縁板120を嵌め込むようにして支持板110に固定されている。これにより、上側シールド部材140によって上側チャンバ130の周囲が囲われている。上側シールド部材140は、その下端に、外方へ張り出すフランジ部141を有している。
このような構成を有するコーティング部10において、コーティング処理が行われる場合、チャンバ蓋支持部12によってチャンバ蓋部11が下降されるとともに、移動機構90が駆動され、移動管路部82がエアシリンダ85によって上昇される。これにより、図6(a)に示すように、待機位置に配置されていた容器保持部材5a,5b,5c,5dが、図6(b)に示すように、上方へ持ち上げられる。このとき、下降するチャンバ蓋部11の上側チャンバ130の保持孔131に樹脂容器8の一部が入り込む。そして、図6(c)に示すように、容器保持部材5a,5b,5c,5dが離間位置へ移動された後、チャンバ蓋部11と容器保持部材5a,5b,5c,5dとが組み合わされる。
このように、チャンバ蓋部11と容器保持部材5a,5b,5c,5dとが組み合わされると、下側チャンバ60と上側チャンバ130とが互いに当接されてチャンバ30内に格納室Sが形成され、格納室S内に樹脂容器8が収容された状態となる。この状態で、下側チャンバ60と上側チャンバ130とは、当接箇所で互いに接触して電気的に接続される。また、これらの下側チャンバ60と上側チャンバ130との当接箇所は、上側チャンバ130に設けられたOリング132によってシールされる。
また、チャンバ蓋部11が容器保持部材5a,5b,5c,5dに突き合わされると、下側シールド部材70と上側シールド部材140とが、導電性シール部材72を介して互いに当接されて電気的に接続される。そして、下側シールド部材70と上側シールド部材140とによって遮蔽空間が形成され、下側チャンバ60と上側チャンバ130とからなるチャンバ30が遮蔽空間内に配置された状態となる。また、下側シールド部材70と上側シールド部材140とは、下側シールド部材70に設けられた導電性シール部材72によってシールされる。
また、チャンバ蓋部11と容器保持部材5a,5b,5c,5dとが組み合わされる際に、下方位置に配置されていた内部電極13が上昇し、その先端がチャンバ30の格納室S内に収容されている樹脂容器8内に挿入される。
上記のように、チャンバ蓋部11と容器保持部材5a,5b,5c,5dとが組み合わされ、内部電極13が樹脂容器8の口部から樹脂容器8の内部に挿入配置されると、格納室S内の空気が排気管路80を介して真空ポンプによって排気され、格納室S内が真空状態にされる。この状態で、ガス供給部14から原料ガスが供給され、供給された原料ガスはパイプ状を有する内部電極13の先端から樹脂容器8の内部に放出される。原料ガスの放出後に、チャンバ30に外部の高周波電源15から電力が投入される。これにより、外部電極であるチャンバ30と内部電極13との間に生じる電位差によってプラズマが発生し、8つの樹脂容器8の内部表面に膜が一括形成される。
また、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされた状態において、下側シールド部材70と上側シールド部材140とが互いに当接されて電気的に接続されるとともに遮蔽空間を形成する。そして、この遮蔽空間内に容器保持部材5a,5b,5c,5dの下側チャンバ60とチャンバ蓋部11の上側チャンバ130からなるチャンバ30が配置された状態となる。したがって、コーティング処理の際に発生する高周波の外部への伝搬が防がれる。
なお、コーティング部10におけるコーティングの処理は、図示を省略する制御部から出力される各制御信号に基づいて実施される。
ところで、チャンバ蓋部11が下降して容器保持部材5a,5b,5c,5dが組み合わされる際に、容器保持部材5a,5b,5c,5dには、チャンバ蓋部11から下方へ向かう衝撃力が作用する。一方、回転台3の底面と機台2の凹部300内の底面との間に所定のクリアランスがある。また、容器保持部材5a,5b,5c,5dは、回転台3上において、回転台3の支軸7から所定距離だけ径方向外方へ離れた位置に設置されている。
このため、例えば、特許文献2に記載された装置のように、容器保持部材5a,5b,5c,5dが回転台3に固定された構造では、コーティング処理において容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる際の衝撃力が、床面に設置された機台2まで伝わりにくく、この衝撃力を主に回転台3で受け止めることとなってしまう。そして、この衝撃力が、回転台3のうち支軸7から所定距離だけ離れた部位にコーティング処理の度に加わることにより、駆動機構6が故障してしまう可能性がある。例えば、回転台3の形状が変形したり、回転台3と支軸7との接合部分が変形したりする可能性がある。このため、特許文献2の装置では、駆動機構6について定期的なメンテナンスが必要である。
そこで、例えば、回転台3の底面と機台2の凹部300内の底面との間のクリアランスに、摺動部材を設けることが考えられる。この構成では、回転台3のスムーズな回転を確保しつつ、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる際の衝撃力を、摺動部材を介して機台2で受け止めることが可能となる。
しかしながら、このような摺動部材は高価であり装置コストが高くなってしまう。また、摺動部材は摩耗するため、摺動部材の定期的なメンテナンスが必要となってしまう。
これに対して、本実施形態に係る樹脂容器用コーティング装置1では、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる前に容器保持部材5a,5b,5c,5dが回転台3上から離間した離間位置に移動するため、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる際の衝撃力が回転台3まで直接的には伝達しない。このため、コーティング処理の度に発生する上述の衝撃力に起因して駆動機構6が故障する可能性を低下させることができ、メンテナンスの頻度を低減させることができる。
また、排気管路80を構成する移動管路部82は、エアシリンダ85によって上下移動される。このため、衝撃力が発生した瞬間、容器保持部材5a,5b,5c,5dは少しだけ離間位置から回転台3の方へ移動可能である。これにより、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる際の衝撃力を、容器保持部材5a,5b,5c,5dが下方へ少し移動することで緩衝させることができる。これにより、容器保持部材5a,5b,5c,5dも壊れにくい。
図7は、図1のC−C線における断面図であり、クリーニング処理位置P3に設けられたクリーニング部20を示している。クリーニング部20は、容器保持部材5cと、容器押さえ部21と、容器押さえ支持部22と、ノズル23と、圧縮空気供給部24を備える。
容器押さえ部21は、容器保持用孔部9cに嵌入された樹脂容器8を上方から押さえ込む樹脂容器8の外れ防止部材である。容器押さえ部21は、押さえ板21aと、一端部に押さえ板21aを支持する押さえアーム21bとを備えている。押さえアーム21bの他端は、容器押さえ支持部22に取り付けられている。容器押さえ部21は、上下方向(図7に示す矢印S方向)へ移動自在に支持されている。
ノズル23は、容器保持部材5cの容器保持用孔部9cに保持されている樹脂容器8の内部にそれぞれ挿入されるパイプ部材である。ノズル23は、圧縮空気供給部24に連結されている。圧縮空気供給部24から供給された空気はノズル23を介して樹脂容器8内に放出される。
ところで、前述したコーティング部10における成膜時において、樹脂容器8の内部に挿入される内部電極13等に膜が付着する場合がある。この場合、コーティング処理を複数回繰り返すことによりその膜が徐々に大きな堆積物となり、その堆積物が樹脂容器8の内部に剥がれ落ちる場合がある。また、排気管路80内に付着した堆積物が大気開放時の空気の流れで巻き上げられ樹脂容器8内に入り込む場合もある。
クリーニング部20では、各樹脂容器8内にノズル23を挿入して、ノズル23から圧縮空気を樹脂容器8内に吹き込む。このとき圧縮空気の吹き込みにより容器保持部材5cにセットした樹脂容器8が吹き飛ばされないように、樹脂容器8の上側に容器押さえ部21を配置させて押さえ込む。これにより、成膜時に容器の内面に付着した塵、ホコリ、ダスト、異物等のパーティクルを樹脂容器8の外部に除去することができる。
次に、上記構成の樹脂容器用コーティング装置1の動作について説明する。
コーティング処理が行なわれる初期状態では、4つの容器保持部材5a,5b,5c,5dは全て空の状態、すなわち、樹脂容器8は載置されていない状態になっている。この状態をこの初期状態として、図1を参照して以下説明していく。
初期状態において先ず、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5aの容器保持用孔部9aに、コーティングされていない未成膜の樹脂容器8が嵌入されることにより供給される。
容器保持部材5aへの樹脂容器8の供給が完了すると、続いて、回転台3が支軸7を中心として矢印Q方向へ90度回転する。この回転により、容器保持部材5aがコーティング処理位置P2まで移動する。
このとき他の容器保持部材5b,5c,5dも矢印Q方向へ同じ角度だけ回転して、容器保持部材5bがクリーニング処理位置P3まで移動し、容器保持部材5cが容器取出位置P4まで移動し、容器保持部材5dが容器供給位置P1まで移動する。
容器保持部材5aがコーティング処理位置P2まで移動すると、当該コーティング処理位置P2において、容器保持部材5aに供給された樹脂容器8に対しコーティング処理が開始される。コーティング処理の内容は、上述した通りである。
このコーティング処理位置P2における容器保持部材5aの樹脂容器8にコーティング処理が実施されている間、この処理と並行して、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5dの容器保持用孔部9dには未成膜の樹脂容器8を嵌入する処理が実施される。
容器保持部材5aに供給された樹脂容器8へのコーティング処理と、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5dへの容器供給処理とが完了すると、さらに、回転台3が90度回転して、容器保持部材5aがクリーニング処理位置P3まで移動する。
このとき他の容器保持部材5b,5c,5dもそれぞれ同じ角度回転して、容器保持部材5bが容器取出位置P4まで移動し、容器保持部材5cが容器供給位置P1まで移動し、容器保持部材5dがコーティング処理位置P2まで移動する。
容器保持部材5aがクリーニング処理位置P3まで移動すると、当該クリーニング処理位置P3において、容器保持部材5aに保持されている樹脂容器8に対しクリーニング処理が開始される。クリーニング処理の内容は、上述した通りである。
このクリーニング処理位置P3における容器保持部材5aの樹脂容器8にクリーニング処理が実施されている間、この処理と並行して、コーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5dの樹脂容器8に対しコーティング処理が実施される。また、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5cの容器保持用孔部9cには未成膜の樹脂容器8を嵌入する処理が実施される。
容器保持部材5aに保持されている樹脂容器8へのクリーニング処理と、容器保持部材5dに保持されている樹脂容器8へのコーティング処理と、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5cへの容器供給処理とが完了すると、さらに、回転台3が90度回転して、容器保持部材5aが容器取出位置P4まで移動する。
このとき他の容器保持部材5b,5c,5dもそれぞれ同じ角度回転して、容器保持部材5bが容器供給位置P1まで移動し、容器保持部材5cがコーティング処理位置P2まで移動し、容器保持部材5dがクリーニング処理位置P3まで移動する。
容器保持部材5aが容器取出位置P4まで移動すると、当該容器取出位置P4において、容器保持部材5aに載置されている成膜済み樹脂容器8を取出す処理が開始される。樹脂容器用コーティング装置1から取り出された樹脂容器8は、その内部に液体などの内容物を充填する充填装置へと搬送される。
この容器取出位置P4における容器保持部材5aに保持された成膜済み樹脂容器8の取り出し処理が実施されている間、この処理と並行して、クリーニング処理位置P3に配置された容器保持部材5dの樹脂容器8に対しクリーニング処理が実施される。また、コーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5cの樹脂容器8に対しコーティング処理が実施される。また、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5bの容器保持用孔部9bには未成膜の樹脂容器8を嵌入する容器供給処理が実施される。
コーティング処理、クリーニング処理、取り出し処理、容器供給処理の各処理が完了すると、さらに、回転台3が90度回転して、容器保持部材5aが再度、容器供給位置P1まで移動する。このとき容器保持部材5aは、樹脂容器8が供給されていない空の状態である。
そして、容器供給位置P1まで戻った容器保持部材5aに対しては上述したように未成膜の樹脂容器8の供給処理が実施される。また、さらに回転が繰り返されると、順次、各位置P1からP4においてそれぞれ上述した動作が繰り返される。
なお、上述した容器供給処理、コーティング処理、クリーニング処理、取り出し処理、容器供給処理の各処理は所定時間内に終了するように設定されている。本例では、上述の4つの各処理が例えば10秒以内で処理が終了するように設定されており、回転台3は例えば10秒毎に支軸7を中心として矢印Q方向へ90度回転し、各位置P1からP4においてそれぞれ上述した動作が繰り返される。
以上説明したように、本実施形態に係る樹脂容器用コーティング装置1によれば、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる前に容器保持部材5a,5b,5c,5dが回転台3上から離間した離間位置に移動するため、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる際の衝撃力が回転台3まで直接的には伝達しない。このため、コーティング処理の度に発生する上述の衝撃力に起因して駆動機構6が故障する可能性を低下させることができ、メンテナンスの頻度を低減させることができる。
また、本実施形態に係る樹脂容器用コーティング装置1によれば、未成膜の樹脂容器8を供給する工程と、コーティング処理を行う工程と、クリーニング処理を行う工程と、成膜された樹脂容器8を取り出す工程とを並行して行うことができるため、コーティング処理を要する樹脂容器8を製造する量産効率を向上させることができる。
このように、本実施形態によれば、コーティング処理された樹脂容器8の量産効率の向上を図りつつ、コーティング処理に起因するメンテナンスの頻度を低減することができる。
しかも、回転台3の小型化や低コスト化も可能であり、装置全体の低コスト化に寄与することも可能である。
また、容器保持部材5a,5b,5c,5dが離間位置へ移動することをガイドするガイドピン42を回転台3上に設けているので、容器保持部材5a,5b,5c,5dを精度よく離間位置へ移動させることができる。また、容器保持部材5a,5b,5c,5dが離間位置と異なる位置へ移動することを防ぐことができる。
しかも、ガイドピン42によって、容器保持部材5a,5b,5c,5dが回転台3上の水平方向へ移動することを防ぐことができる。これにより、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる際の衝撃力によって、容器保持部材5a,5b,5c,5dの位置ずれが発生することを抑制できる。
また、移動機構90には、コーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5a,5b,5c,5dと接続して、容器保持部材5a,5b,5c,5dの下側チャンバ60とチャンバ蓋部11の上側チャンバ130とで形成される格納室Sの空気を外部へ排気するための排気管路80を構成する排気部材が用いられる。つまり、コーティング処理に必要な排気部材を移動機構90として利用することで、部品点数の増加を抑えつつ、容器保持部材5a,5b,5c,5dを離間位置へ移動させる機構を実現することができる。
また、容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされた状態において、下側シールド部材70と上側シールド部材140とで形成される遮蔽空間内に容器保持部材5a,5b,5c,5dの下側チャンバ60とチャンバ蓋部11の上側チャンバ130からなるチャンバ30が配置された状態となる。これにより、コーティング処理の際に発生する高周波が装置の外部へ伝搬することを防ぐことができる。
また、下側シールド部材70と上側シールド部材140とが、下側シールド部材70に設けた導電性を有する弾性材料からなる導電性シール部材72を介して接続されることにより、遮蔽空間の密閉性が確保しやすくなる。
ここで、下側チャンバ60および上側チャンバ130は、真空に耐えられるように肉厚に設計されるが、下側シールド部材70および上側シールド部材140は電気的に遮蔽できれば問題ない。そのため、下側シールド部材70および上側シールド部材140は、下側チャンバ60および上側チャンバ130と比較して薄肉に設計できるが、衝撃力による変形の可能性も考慮しなくてはならない。
本実施形態では、下側シールド部材70に設けた導電性を有する弾性材料からなる導電性シール部材72によって容器保持部材5a,5b,5c,5dとチャンバ蓋部11とが組み合わされる際に下側シールド部材70と上側シールド部材140との間に発生する衝撃力を低減することができる。これにより、下側シールド部材70および上側シールド部材140を薄肉化してコストを低下させることができる。
次に、上記の樹脂容器用コーティング装置1を備えた樹脂容器製造システム230について説明する。
図8は、樹脂容器製造システム230の一実施形態を上方から見た平面図である。樹脂容器製造システム230は、樹脂容器8を製造する成形機(樹脂容器製造装置の一例)240と、樹脂容器8にコーティング処理を行なう樹脂容器用コーティング装置1と、成形機240で製造された樹脂容器8を樹脂容器用コーティング装置1に搬送するロボットアーム(樹脂容器搬送装置の一例)250を備える。なお、樹脂容器用コーティング装置1は、上記実施形態において説明した樹脂容器用コーティング装置と同じ装置である。
成形機240は、樹脂容器8の原料が供給される原料供給ステージ241と、プリフォームを成形するプリフォーム成形ステージ242と、プリフォームの温度分布を均一にするための温度調整ステージ243と、空気を吹き込むブロー成形ステージ244と、成形した樹脂容器8を取り出す取出ステージ245を備えている。取出ステージ245に並列配置される樹脂容器8の数および樹脂容器8のピッチ(金型のピッチ)は、樹脂容器用コーティング装置1の容器供給位置P1に配置される容器保持部材5a,5b,5c,5dの容器保持用孔部9a,9b,9c,9dの数およびそのピッチに対応するように設定されている。
ロボットアーム250は、成形機240と樹脂容器用コーティング装置1との間に配置されている。ロボットアーム250は、成形機420の取出ステージ245に配置されている樹脂容器8を取り出して、取り出した樹脂容器8を樹脂容器用コーティング装置1の容器供給位置P1に配置されている容器保持部材5aに搬送する。また、ロボットアーム250は、搬送した樹脂容器8を容器保持部材5aの容器保持用孔部9aに嵌入することにより保持させる。
以上説明したように、本実施形態の樹脂容器製造システム230によれば、成形機240に保持された樹脂容器8が、ロボットアーム250によって直接的に樹脂容器用コーティング装置1に供給される。このため、成形機240によって製造された樹脂容器8をベルトコンベヤーで搬送してコーティング装置まで搬送する構成と比較して、コーティング装置に設置するための整列作業が不要となり量産効率がより向上する。
また、取出ステージ245の樹脂容器8の数およびそのピッチ(金型のピッチ)と、容器供給位置P1の容器保持用孔部9a,9b,9c,9dの数およびそのピッチを対応させたことにより、ロボットアーム250によって確実に樹脂容器8を受け渡すことができ、更に量産効率を向上させることができる。
ここで、樹脂容器8の製造装置とコーティング装置は連結されて使用されることがある(例えば、日本国特開2005−036260号および日本国特開2005−2469号参照)。このように、樹脂容器8の製造装置とコーティング装置とを連結して使用する装置では、製造装置で最終形状に形成された樹脂容器8を、一個ずつコーティング装置の個別の搬送部材(チャンバの下部分など)に整列させた状態で供給する必要がある。この種の装置は、主に大量生産される汎用の形状を有する樹脂容器8を製造するのに用いられている。
ところで、コーティングの対象となる樹脂容器8は、大量生産されて汎用の形状となっているものだけでなく、小型や扁平等の形状であって少量生産されるものも含まれる。主に少量生産される、例えば小型で扁平の形状を有する樹脂容器8については、整列させた状態で搬送して一個ずつ連続的に個別の搬送部材に供給することが難しく、コーティング処理の効率を低下させる原因の一つでもある。
これに対して、本実施形態の樹脂容器製造システム230によれば、成形機240で製造されて正立した状態の樹脂容器8をそのまま樹脂容器用コーティング装置1の容器保持部材5a,5b,5c,5dに保持させることができるため、小型や扁平等の形状であって多品種少量生産される樹脂容器8に対してもコーティング処理の効率が低下しにくい。
また、樹脂容器8の製造装置とコーティング装置とを連結して使用する装置は、樹脂容器8を一個ずつ個別の搬送部材(チャンバの下部分など)に連続的に供給し、一個ずつ円状の経路に沿って流していく。このようなロータリータイプの装置において、例えば20〜50個の樹脂容器8を一度に円状に配置できるスペック(1時間あたり10000〜30000個の容器を処理可能なスペック)を有する装置の場合、20〜50回だけ樹脂容器8を供給口に連続して供給して次の位置に移動させることとなり、供給する樹脂容器8の数だけ装置の回転機構を動作させることとなるため、装置のメンテナンスや故障のリスクが樹脂容器8の数に影響を受けやすい。また、1つの樹脂容器に対して1個の搬送部材が設けられており、装置として大型でコストが高いものとなる。
これに対し、本実施形態に係る樹脂容器製造システム230では、一度に複数の樹脂容器8を1つの容器保持部材5a(5b,5c,5d)に保持させる。このため、ロータリータイプと比較して、回転機構が故障するリスクを大幅に下げられるとともに、装置のコストも低下させることができる。
上記の樹脂容器製造システム230において、取出ステージ245の樹脂容器8の数およびそのピッチ(金型のピッチ)と、容器供給位置P1の容器保持用孔部9a,9b,9c,9dの数およびそのピッチが異なる構成の場合は、ロボットアーム250によって、ピッチや数の相違を調整する構成としても良い。
なお、上記実施形態において、回転台3上に配置される容器保持部材の数、すなわちコーティング処理工程と並行して行う他の工程の数は、上記の例に限らず、クリーニング処理を省略した3工程、または、他の処理を加えて5以上の工程であっても良い。これによりさらに量産効率を向上させることが可能になる。
また、コーティング処理の回数は1回に限定されず、2回のコーティング処理を行なうようにしても良い。すなわちコーティング処理工程を2工程備えるようにしても良い。その場合、同じコーティング処理を2回行うようにしても良いし、あるいは2回目のコーティング処理においては1回目と異なる膜を成膜するようにしても良い。
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
例えば、上述した例では、回転台3を回転駆動する駆動機構を備える構成を説明したがこれに限らない。例えば、回転台を含む回転機構の代わりに、搬送台を含む搬送機構(ベルトコンベヤー等)を備える構成に対しても本発明を適用することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2014年10月27日出願の日本特許出願・出願番号2014-218561に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1:樹脂容器用コーティング装置、3:回転台、5a,5b,5c,5d:容器保持部材、6:駆動機構(回転機構の一例)、8:樹脂容器、11:チャンバ蓋部(電極部材の一例)、42:ガイドピン(ガイド部材の一例)、70:下側シールド部材(第1シールド部材の一例)、72:導電性シール部材(弾性部材の一例)、80:排気管路(排気経路の一例)、82:移動管路部(排気部材の一例)、90:移動機構、140:上側シールド部材(第2シールド部材の一例)、230:樹脂容器製造システム、240:成形機(樹脂容器製造装置の一例)、250:ロボットアーム(樹脂容器搬送装置の一例)、P1:容器供給位置、P2:コーティング処理位置、P4:容器取出位置

Claims (7)

  1. 回転台と、
    前記回転台を回転させるための回転機構と、
    前記回転台上に設置され、複数の樹脂容器を保持することが可能な容器保持部材と、
    前記容器保持部材と組み合わされた状態において、前記容器保持部材に保持された前記樹脂容器の内面に薄膜を形成するコーティング処理を行うことが可能な電極部材と、
    前記回転台上に設置された前記容器保持部材を前記回転台から離間する離間位置へ移動させる移動機構と、
    を備え、
    前記容器保持部材は、前記樹脂容器が供給される容器供給位置と、前記電極部材と組み合わされた状態で前記コーティング処理が行われるコーティング処理位置と、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器を取り出すことが可能な容器取出位置とに配置されるように前記回転台上に複数設置され、
    前記回転台上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記回転台の回転に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動するように構成され、
    前記コーティング処理位置に配置された前記容器保持部材を前記移動機構が前記離間位置へ移動させた後に、前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされる、樹脂容器用コーティング装置。
  2. 前記回転台上には、前記容器保持部材が前記離間位置へ移動することをガイドするガイド部材が設けられている、請求項1に記載の樹脂容器用コーティング装置。
  3. 前記移動機構は、前記コーティング処理位置に配置された前記容器保持部材と接続して、前記容器保持部材と前記電極部材とで形成される内部空間の空気を外部へ排気するための排気経路を構成する排気部材である、請求項1または請求項2に記載の樹脂容器コーティング装置。
  4. 前記容器保持部材は、第1シールド部材を有し、
    前記電極部材は、第2シールド部材を有し、
    前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされた状態において、前記第1シールド部材と第2シールド部材とは互いに電気的に接続して遮蔽空間を形成し、前記容器保持部材と前記電極部材は、前記遮蔽空間の内部に配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の樹脂容器コーティング装置。
  5. 前記第1シールド部材と前記第2シールド部材の少なくとも一方には、導電性の弾性部材が設けられ、
    前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされた状態において、前記第1シールド部材と第2シールド部材とは、互いに前記弾性部材を介して電気的に接続する、請求項4に記載の樹脂容器コーティング装置。
  6. 前記樹脂容器を製造する樹脂容器製造装置と、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の樹脂容器用コーティング装置と、
    前記樹脂容器製造装置によって製造され保持された状態の複数の前記樹脂容器の各々を、前記樹脂容器製造装置から一括して取り出して前記樹脂容器用コーティング装置の前記容器供給位置まで搬送し、前記容器保持部材に複数の前記樹脂容器の各々を保持させる樹脂容器搬送装置と、
    を備えることを特徴とする樹脂容器製造システム。
  7. 搬送部材を有する搬送機構と、
    前記搬送部材上に設置され、複数の樹脂容器を保持することが可能な容器保持部材と、
    前記容器保持部材と組み合わされた状態において、前記容器保持部材に保持された前記樹脂容器の内面に薄膜を形成するコーティング処理を行うことが可能な電極部材と、
    前記搬送部材上に設置された前記容器保持部材を前記搬送部材から離間する離間位置へ移動させる移動機構と、
    を備え、
    前記容器保持部材は、前記樹脂容器が供給される容器供給位置と、前記電極部材と組み合わされた状態で前記コーティング処理が行われるコーティング処理位置と、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器を取り出すことが可能な容器取出位置とに配置されるように前記搬送部材上に複数設置され、
    前記搬送部材上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記搬送部材の移動に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動するように構成され、
    前記コーティング処理位置に配置された前記容器保持部材を前記移動機構が前記離間位置へ移動させた後に、前記容器保持部材と前記電極部材とが組み合わされる、樹脂容器用コーティング装置。
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