JP6644183B1 - 多孔質構造体、多孔質構造体の製造方法、及び、3d造形用データ - Google Patents
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Abstract
Description
前記多孔質構造体は、
複数のセル孔を区画する、骨格部と、
前記骨格部の仮想外輪郭面の少なくとも一部を覆うとともに、前記骨格部と一体に構成された、表皮部と、
を備えており、
前記表皮部は、
前記骨格部の前記仮想外輪郭面に沿って延在する複数の柱部と、
それぞれ前記複数の柱部の端部どうしを結合する、複数の柱結合部と、
前記複数の柱部どうしの間で区画される複数の表皮仮想面と、
を有しており、
前記表皮部は、1cm2内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である単位面積率が、不均一である。
本発明の多孔質構造体により、耐久性を向上できる。
前記表皮部は、
大曲率半径部分と、
前記大曲率半径部分よりも小さな曲率半径を有する、小曲率半径部分と、
を有しており、
前記小曲率半径部分内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である小部面積率は、前記大曲率半径部分内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である大部面積率よりも、高いと、好適である。
これにより、良好なクッション性を得つつ、曲げ剛性やねじり剛性を向上できる。
前記多孔質構造体は、クッション材に用いられるものであり、
前記多孔質構造体は、
使用者からの荷重を受けるように構成された、荷重受け面と、
前記荷重受け面から連続する、側面と、
を有しており、
前記多孔質構造体の前記荷重受け面は、前記表皮部の前記大曲率半径部分によって構成されており、
前記多孔質構造体における前記荷重受け面と前記側面との間のエッジ部は、前記表皮部の前記小曲率半径部分によって構成されていると、好適である。
これにより、良好なクッション性を得つつ、曲げ剛性やねじり剛性を向上できる。
前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも前記単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における前記表皮仮想面の1個当たりの面積の平均値は、前記低面積率部分における前記表皮仮想面の1個当たりの面積の平均値よりも、小さいと、好適である。
これにより、耐久性を向上しつつ、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも前記単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における前記柱部の1本当たりの長さの平均値は、前記低面積率部分における前記柱部の1本当たりの長さの平均値よりも、短いと、好適である。
これにより、耐久性を向上しつつ、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも前記単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における前記柱部の幅の平均値は、前記低面積率部分における前記柱部の幅の平均値よりも、大きくてもよい。
前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも前記単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における1cm2当たりの前記柱部の本数密度及び1cm2当たりの前記柱結合部の個数密度は、それぞれ、前記低面積率部分における1cm2当たりの前記柱部の本数密度及び1cm2当たりの前記柱結合部の個数密度よりもと、好適である。
これにより、耐久性を向上しつつ、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
前記骨格部のうち、前記仮想外輪郭面上に位置する部分のそれぞれは、いずれか1つの前記柱結合部と連結されていると、好適である。
これにより、耐久性をより向上できる。
前記複数の柱部は、それぞれ、断面積を一定に維持しつつ延在していると、好適である。
これにより、表皮部の構造をシンプルにすることができるので、3Dプリンタによる多孔質構造体の製造が容易となる。
前記多孔質構造体は、シートパッドに用いられるものであるとよい。
前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の骨結合部と、
から構成されており、
前記骨格部は、前記セル孔を内部に区画するセル区画部を複数有しており、
前記セル区画部は、それぞれ環状に構成された複数の環状部を有していると、好適である。
これにより、多孔質構造体のクッション材としての特性がより良好になる。
前記環状部は、当該環状部に隣接する一対の前記セル区画部によって共有されていると、好適である。
これにより、多孔質構造体のクッション材としての特性がより良好になる。
前記多孔質構造体は、3Dプリンタによって造形されたものであるとよい。
3Dプリンタを用いて、上述の多孔質構造体を製造するものである。
本発明の多孔質構造体の製造方法によれば、耐久性を向上できる多孔質構造体を得ることができる。
3Dプリンタの造形部が造形を行う際に前記3Dプリンタの制御部に読み込まれる3D造形用データであって、
前記制御部が、前記造形部に、上述の多孔質構造体を、造形させるように構成されている。
本発明の3D造形用データによれば、耐久性を向上できる多孔質構造体を得ることができる。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
図1の例において、多孔質構造体1は、クッション材に用いられるように構成されており、具体的には、シートパッド(より具体的には、車両用シートパッド)302に用いられるように構成されている。図1は、本発明の任意の実施形態に係る多孔質構造体1を備えることができるシートパッド(より具体的には、車両用シートパッド)302を備えた、車両用シート300の一例を示している。後述するように、多孔質構造体1は、内部に複数のセル孔C(図6及び図7)を区画しており、また、3Dプリンタによって造形されたものである。
なお、以下では、説明の便宜のため、シートパッド302を構成する部品を、単に「シートパッド302」と呼ぶ場合がある。
ただし、車両用シート300は、シートパッド302(ひいては多孔質構造体1)を覆う表皮を備えていてもよい。
ただし、シートパッド302を構成する1つ又は複数の部品は、それぞれ、それぞれの部品の任意の一部のみが、多孔質構造体1から構成されていてもよい。その場合、シートパッド302を構成する当該部品のうち残りの部分は、金型成形等において化学反応により発泡させる工程を経て製造されるとよい。
また、シートパッド302を構成する複数の部品のうち一部の部品のみが、それぞれの一部又は全部において多硬質構造体1から構成されていてもよい。その場合、シートパッド302を構成する複数の部品のうち残り部品は、金型成形等において化学反応により発泡させる工程を経て製造されるとよい。
つぎに、図2〜図14を参照しつつ、本発明の様々な実施形態に係る多孔質構造体1について説明する。
図2〜図7は、本発明の一実施形態に係る多孔質構造体1を示している。なお、図2〜図7に示す多孔質構造体1は、図1の例のシートパッド302におけるヘッドレスト部340のサイドパッド部342に用いられるように構成されている。ただし、本明細書で説明する各例の多孔質構造体1の構成は、図1の例のシートパッド302やその他の任意のシートパッド、並びに、他の種類のクッション材にも、好適に用いることができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る多孔質構造体1を、荷重受け面FS側から観た様子を示す、斜視図である。図3は、図2の多孔質構造体のB部を拡大して示している。図4は、図2の多孔質構造体1を、図2とは反対側(裏面BS側)から観た様子を示す、斜視図である。図5は、図2の多孔質構造体1を、図2のA−A線に沿った断面により示す、A−A断面図である。図6は、図5の多孔質構造体1のD部を拡大して示している。図7は、図6に示す多孔質構造体1の部分を斜めから観た様子を示す、斜視図である。
ここで、骨格部2の「仮想外輪郭面(VC)」とは、図5及び図6において破線で示すように、骨格部2の外輪郭をなす仮想外表面であり、骨格部2のうち最も外側に位置する部分(肉部分)どうしを滑らかに繋げてなる仮想面である。
骨格部2と表皮部6の構成については、後に詳しく説明する。
また、3Dプリンタを用いて多孔質構造体1を製造することにより、骨格部2に一体に構成された表皮部6を備えた多孔質構造体1を、一工程で、簡単かつ所期したとおりに、得ることができる。なお、従来のように化学反応により発泡させる工程を経る場合、骨格部2に一体に構成された表皮部6を備えた多孔質構造体1を得ることはできない。
ここで、「可撓性のある樹脂」とは、外力が加わると変形することができる樹脂を指しており、例えば、エラストマー系の樹脂が好適であり、ポリウレタンがより好適である。ゴムとしては、天然ゴム又は合成ゴムが挙げられる。多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂又はゴムから構成されているので、外力の付加・解除に応じた圧縮・復元変形が可能であり、クッション性を有することができる。
なお、3Dプリンタによる製造のし易さの観点からは、多孔質構造体1は、可撓性のある樹脂から構成されている場合のほうが、ゴムから構成されている場合よりも、好適である。
多孔質構造体1を構成する材料(可撓性のある樹脂又はゴム)の組成は、多孔質構造体1の全体にわたって同一でもよいし、あるいは、多孔質構造体1の部分ごとに異なっていてもよい。3Dプリンタによる製造のし易さの観点からは、多孔質構造体1を構成する材料の組成は、多孔質構造体1の全体にわたって同一であると好適である。
以下、図2〜図7を参照しつつ、本発明の様々な実施形態に係る多孔質構造体1の表皮部6について、さらに詳しく説明する。
表皮部6は、骨格部2の仮想外輪郭面VCの少なくとも一部を覆うとともに、骨格部2と一体に構成されている。図2〜図7の例において、表皮部6は、骨格部2の仮想外輪郭面VCの全部を覆っているが、表皮部6は、骨格部2の仮想外輪郭面VCの任意の一部のみを覆っていてもよい。表皮部6は、多孔質構造体1における最も外側に位置する部分である。したがって、多孔質構造体1のうち、表皮部6が設けられた領域において、表皮部6は、多孔質構造体1の外表面を構成する。
表皮部6は、その全体が、骨格部2の仮想外輪郭面VCに沿って延在している。
図3及び図6に拡大して示すように、表皮部6は、複数の柱部6Cと、複数の柱結合部6Jと、複数の表皮仮想面V6と、を有している。各柱部6Cは、それぞれ、柱状に構成されており、骨格部2の仮想外輪郭面VCに沿って延在している。各柱結合部6Jは、それぞれ、互いに異なる方向に延在する複数の柱部6Cの延在方向の端部6Ceどうしが互いに隣接する箇所で、これらの柱部6Cの端部6Ceどうしを結合している。表皮部6の柱部6C及び柱結合部6Jは、骨格部2の仮想外輪郭面VCよりも外側(骨格部2とは反対側)に位置しているとともに骨格部2の仮想外輪郭面VCに接触しており、骨格部2の内部には位置していない。各表皮仮想面V6は、それぞれ、上記複数の柱部6Cどうしの間で区画されている。より具体的に、各表皮仮想面V6の外縁は、環状をなすように互いに柱結合部6Jを介して結合された3本以上(図3の例では3本)の柱部6Cの内周側縁部によって、区画されている。各表皮仮想面V6には、それぞれ、表皮部6をその厚み方向に貫通する貫通穴66が設けられていてもよいし、あるいは、表皮仮想面V6を覆う表皮膜65が設けられていてもよい。表皮膜65は、当該表皮膜65の周囲を囲む柱部6C及び柱結合部6Jと一体であり、柱部6Cよりも薄く構成されるものである。多孔質構造体1の通気性向上の観点から、図3の例のように、表皮部6が有する複数の表皮仮想面V6のうち少なくとも一部(好適には全部)の表皮仮想面V6には、それぞれ、貫通穴66が設けられていると好適である。表皮部6が貫通穴66を有することにより、表皮部6の貫通穴66を介した、骨格部2の内外への通気が、可能になる。ただし、表皮部6が骨格部2の仮想外輪郭面VCのうちの一部のみを覆っている場合、骨格部2の内外への通気は、骨格部2の仮想外輪郭面VCのうち表皮部6が設けられていない部分を介して確保することが可能であるので、表皮部6は、貫通穴66を有していなくてもよく、すなわち、表皮部6の各表皮仮想面V6が表皮膜65によって覆われていてもよい。
また、本実施形態の多孔質構造体1は、骨格部2よりも凹凸が少ない表皮部6を備えていることから、使用者が多孔質構造体1に対して荷重を掛けるときに使用者が感じる違和感を低減できる。このことは、特に、多孔質構造体1がクッション材(例えばシートパッド、特には車両用シートパッド)に用いられる場合に好適である。
また、本実施形態の多孔質構造体1は、骨格部2よりも凹凸が少ない表皮部6を備えていることから、図1の例のように多孔質構造体1がクッション材(例えばシートパッド、特には車両用シートパッド)に用いられる場合に、多孔質構造体1とは別体の表皮を多孔質構造体1に被せる必要性を低減できる。よって、当該クッション材を用いた製品(図1の例では車両用シート300)の部品点数の低減や製造の簡単化が可能になる。このような観点からは、多孔質構造体1は、クッション材に用いられるものであるとともに、荷重受け面FS及び側面SSを有している場合、図2の例のように、表皮部6が、多孔質構造体1の外表面のうち、荷重受け面FSの一部又は全部を構成していると好適であり、表皮部6が、多孔質構造体1の外表面のうち、荷重受け面FSの一部又は全部と側面SSの一部又は全部とを構成しているとより好適である。
また、本実施形態の多孔質構造体1は、骨格部2よりも凹凸が少ない表皮部6を備えていることから、図1及び図2の例のように多孔質構造体1のうち表皮部6が設けられた面(図1の例では裏面BS)が別部材(図1の例ではフレーム301)に固定される場合に、仮に多孔質構造体1の骨格部2が直接別部材に固定される場合に比べて、多孔質構造体1の当該別部材への接触面積を増大することが可能であり、ひいては、多孔質構造体1を、面ファスナや接着材等を介して、より確実に、当該別部材に固定することが可能になる。このような観点からは、多孔質構造体1は、図1及び図2の例のように、表皮部6が、多孔質構造体1の外表面のうち、別部材への固定面の一部又は全部を構成していると好適である。同様の観点からは、多孔質構造体1は、クッション材に用いられるものであるとともに、荷重受け面FS、側面SS、及び裏面BSを有している場合、図1及び図2の例のように、表皮部6が、多孔質構造体1の外表面のうち、別部材への固定面となり得る、裏面BSの一部若しくは全部、かつ/又は、側面SSの一部若しくは全部を構成していると、好適である。
また、本実施形態の多孔質構造体1は、表皮部6が、複数の柱部6Cと、複数の柱結合部6Jと、複数の表皮仮想面V6と、を有しており、ひいては、網目状に構成されている。これにより、仮に表皮部6が厚さ一定のシート状に構成されている場合に比べて、表皮部6を設けることによる多孔質構造体1のクッション性の低減を抑制できる。
UAR[%]=UTA[cm2]×100/(1[cm2])
によって算出される。
本明細書において、表皮部6について、「単位面積率(UAR)が不均一である」とは、表皮部6の単位面積率(UAR)が表皮部6の全体にわたって均一(一定)である場合を除く、全ての単位面積率分布を指しており、言い換えれば、表皮部6が、少なくとも1箇所で、単位面積率(UAR)が他の部分とは異なることを指している。したがって、各単位領域UAの単位面積率UARが同一(略同一も含む)であれば、表皮部6の単位面積率UARは均一であることとなる。一方、少なくとも2つの単位領域UAの単位面積率UARどうしが異なれば、表皮部6の単位面積率UARは不均一であることとなる。
多孔質構造体1の曲げ剛性やねじり剛性は、表皮部6の単位面積率UARに依存する。表皮部6の単位面積率UARが高い部分では多孔質構造体1の曲げ剛性やねじり剛性が高くなり、表皮部6の単位面積率UARが低い部分では多孔質構造体1の曲げ剛性やねじり剛性が低くなり多孔質構造体1のクッション性が高くなる。したがって、表皮部6の単位面積率UARの分布を調整することにより、多孔質構造体1の曲げ剛性やねじり剛性の分布を調整できる。
このような構成を有する多孔質構造体1を、3Dプリンタによって造形することにより、従来実現できなかった、単位面積率(UAR)が不均一な表皮部6を有する多孔質構造体1を、簡単かつ精度良く、所期したとおりに実現できる。また、設計自由度を格段に高くすることができるので、従来では対応できなかったような様々な要求特性に対応した多孔質構造体1の構成を、自由に設計し、簡単かつ所期したとおりに実現できる。また、表皮部6の単位面積率UARを不均一にするために、複数の異なる組成の材料を使う必要はなく、1つの同じ組成の材料を使うだけで済む。
なお、本明細書で説明する各例の多孔質構造体1において、表皮部6は、単位面積率UARが、不均一であるものとする。
大曲率半径部分61と小曲率半径部分62とは、それぞれ、曲率半径が不均一であってもよいし、あるいは、曲率半径が均一であってもよい。ただし、小曲率半径部分62の曲率半径の最大値(小曲率半径部分62のうち最も曲率半径が大きい箇所における曲率半径)は、大曲率半径部分61の曲率半径の最小値(大曲率半径部分61のうち最も曲率半径が小さい箇所における曲率半径)よりも小さい。大曲率半径部分61は、その全体が曲面状に湾曲していてもよいし、あるいは、その一部が平坦であって残りの部分が曲面状に湾曲していてもよいし、あるいは、その全体が平坦であってもよい。小曲率半径部分62は、その全体が曲面状に湾曲している。表皮部6の「曲率半径」は、表皮部6のうち各表皮仮想面V6の部分をそれぞれの周囲の柱部6Cと同じ厚さにすることで表皮部6の外表面を滑らかに連続させたときにおける、表皮部6の外表面の曲率半径を指す。このとき、表皮部6における、ある部分の曲率半径を測定するにあたっては、測定方向によって曲率半径が異なる場合、そのうち最小の曲率半径を、当該部分の曲率半径とするものとする。
図2〜図4の例のように、表皮部6が大曲率半径部分61と小曲率半径部分62とを有している場合、小曲率半径部分62内の柱部6C及び柱結合部6Jの総面積STAの割合である小部面積率SARは、大曲率半径部分61内の柱部6C及び柱結合部6Jの総面積LTAの割合である大部面積率LARよりも、高いと、好適である。
ここで、小部面積率SARは、小曲率半径部分62の全体面積をSEAとしたとき、
SAR[%]=STA[cm2]×100/(SEA[cm2])
によって算出される。小曲率半径部分62の全体面積SEAは、小曲率半径部分62の外縁によって囲まれる領域の面積を指しており、小曲率半径部分62内の表皮仮想面V6の面積を含む。
また、大部面積率LARは、大曲率半径部分61の全体面積をLEAとしたとき、
LAR[%]=LTA[cm2]×100/(LEA[cm2])
によって算出される。大曲率半径部分61の全体面積LEAは、大曲率半径部分61の外縁によって囲まれる領域の面積を指しており、大曲率半径部分61内の表皮仮想面V6の面積を含む。
なお、小部面積率SAR及び大部面積率LARは、表皮部6を平面上に展開した上で、表皮部6を平面視した状態で、測定される。また、互いから離間した複数の小曲率半径部分62が存在する場合、小部面積率SARは、個々の小曲率半径部分62毎に測定される。同様に、互いから離間した複数の大曲率半径部分61が存在する場合、大部面積率LARは、個々の大曲率半径部分61毎に測定される。
表皮部6のうち比較的フラットな大曲率半径部分61の大部面積率LARを低くすることにより、大曲率半径部分61に対して荷重が掛かったときに、多孔質構造体1は、優れたクッション性を発揮することができる。また、表皮部6のうち小曲率半径部分62の小部面積率SARを高くすることにより、多孔質構造体1の曲げ剛性やねじり剛性を効果的に向上できる。よって、良好なクッション性を得つつ、曲げ剛性やねじり剛性を向上できる。
ただし、小曲率半径部分62の小部面積率SARは、大曲率半径部分61の大部面積率LARと同じ又はそれよりも低くてもよい。
多孔質構造体1の荷重受け面FSを、表皮部6のうち比較的フラットでかつ面積率(大部面積率LAR)の低い大曲率半径部分61によって構成することにより、荷重受け面FSに対して荷重が掛かったときに、多孔質構造体1は、優れたクッション性を発揮することができる。また、一般的に、多孔質構造体1の曲げ剛性やねじり剛性は、荷重受け面FSの外縁に相当する、荷重受け面FSと側面SSとの間のエッジ部Eの寄与度が極めて高い。よって、多孔質構造体1のエッジ部Eを、表皮部6のうち比較的湾曲しかつ面積率(小部面積率SAR)の高い小曲率半径部分62によって構成することにより、多孔質構造体1の曲げ剛性やねじり剛性を効果的に向上できる。よって、良好なクッション性を得つつ、曲げ剛性やねじり剛性を向上できる。
ただし、多孔質構造体1のエッジ部Eを構成する小曲率半径部分62の小部面積率SARは、多孔質構造体1の荷重受け面FSを構成する大曲率半径部分61の大部面積率LARと同じ又はそれよりも低くてもよい。
なお、多孔質構造体1の側面SSは、図2〜図4の例のように、表皮部6の大曲率半径部分61の外表面によって構成されており、エッジ部Eを構成する小曲率半径部分62の小部面積率SARが、側面SSを構成する大曲率半径部分61の大部面積率LARよりも高いと、好適である。これにより、良好なクッション性を得つつ、曲げ剛性やねじり剛性を向上できる。ただし、多孔質構造体1のエッジ部Eを構成する小曲率半径部分62の小部面積率SARは、多孔質構造体1の側面SSを構成する大曲率半径部分61の大部面積率LARと同じ又はそれよりも低くてもよい。
また、多孔質構造体1の裏面BSは、図2〜図4の例のように、表皮部6の大曲率半径部分61の外表面によって構成されており、エッジ部Eを構成する小曲率半径部分62の小部面積率SARが、裏面BSを構成する大曲率半径部分61の大部面積率LARよりも高いと、好適である。ただし、多孔質構造体1のエッジ部Eを構成する小曲率半径部分62の小部面積率SARは、多孔質構造体1の裏面BSを構成する大曲率半径部分61の大部面積率LARと同じ又はそれよりも低くてもよい。
低面積率部分63と高面積率部分64とは、それぞれ、単位面積率UARが不均一であってもよいし、あるいは、単位面積率UARが均一であってもよい。ただし、高面積率部分64の単位面積率UARの最小値(高面積率部分64内の単位面積率UARのうち最も値の小さな単位面積率UAR)は、低面積率部分63の単位面積率UARの最大値(小面積率部分63内の単位面積率UARのうち最も値の大きな単位面積率UAR)よりも高い。ここで、低面積率部分63と高面積率部分64とを特定するにあたっては、まず、表皮部6を平面上に展開した上で、表皮部6を平面視した状態で、表皮部6をメッシュ状に1cm2の正方形の単位領域UA毎に区分し、単位領域UA毎に単位面積率UARを算出する。そして、表皮部6内の複数の単位領域UAのうち、単位面積率UARが所定値以上である単位領域UAを、高面積率部分64として特定し、表皮部6内の複数の単位領域UAのうち、単位面積率UARが当該所定値未満である単位領域UAを、低面積率部分63として特定する。
本明細書で説明する各例において、良好なクッション性を得つつ、曲げ剛性やねじり剛性を向上させる観点からは、表皮部6の小曲率半径部分62の大部分又は全部が、表皮部6の高面積率部分64によって構成されていると好適である。言い換えれば、表皮部6の平面視において、表皮部6の小曲率半径部分62のうち、表皮部6の高面積率部分64によって構成される部分の総面積が、表皮部6の小曲率半径部分62のうち、表皮部6の低面積率部分63によって構成される部分の総面積よりも大きいと、好適である。また、本明細書で説明する各例において、同様の観点からは、表皮部6の大曲率半径部分61の大部分又は全部が、表皮部6の低面積率部分63によって構成されていると好適である。言い換えれば、表皮部6の平面視において、表皮部6の大曲率半径部分61のうち、表皮部6の低面積率部分63によって構成される部分の総面積が、表皮部6の大曲率半径部分61のうち、表皮部6の高面積率部分64によって構成される部分の総面積よりも大きいと、好適である。
ただし、表皮部6の小曲率半径部分62の半分以上が、表皮部6の低面積率部分63によって構成されていてもよい。言い換えれば、表皮部6の平面視において、表皮部6の小曲率半径部分62のうち、表皮部6の低面積率部分63によって構成される部分の総面積が、表皮部6の小曲率半径部分62のうち、表皮部6の高面積率部分64によって構成される部分の総面積と同じ又はそれよりも大きくてもよい。また、同様の観点から、表皮部6の大曲率半径部分61の半分以上が、表皮部6の高面積率部分64によって構成されていてもよい。言い換えれば、表皮部6の平面視において、表皮部6の大曲率半径部分61のうち、表皮部6の高面積率部分64によって構成される部分の総面積が、表皮部6の大曲率半径部分61のうち、表皮部6の低面積率部分63によって構成される部分の総面積と同じ又はそれよりも大きくてもよい。
これにより、多孔質構造体1の耐久性を向上しつつ、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。
同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、図2〜図4の例のように、表皮部6の小曲率半径部分62における表皮仮想面V6の1個当たりの面積の平均値は、表皮部6の大曲率半径部分61における表皮仮想面V6の1個当たりの面積の平均値よりも、小さいと、好適である。
これにより、多孔質構造体1の耐久性を向上しつつ、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
ここで、柱部6Cの長さは、柱部6Cの延在方向に沿って測るものとする。
同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、図2〜図4の例のように、表皮部6の小曲率半径部分62における柱部6Cの1本当たりの長さの平均値は、表皮部6の大曲率半径部分61における柱部6Cの1本当たりの長さの平均値よりも、短いと、好適である。
ただし、本明細書で説明する各例においては、表皮部6を構成する各柱部6Cの幅W6Cは、柱部6Cどうしで異なっていてもよい。
例えば、表皮部6の高面積率部分64における柱部6Cの幅W6Cの平均値は、低面積率部分における柱部の幅の平均値よりも、大きくてもよい。これにより、多孔質構造体1の耐久性を向上しつつ、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
なお、柱部6Cの幅W6Cは、柱部6Cの延在方向に垂直な断面に沿って測ったときの、当該断面における最大幅を指す。
本明細書で説明する各例において、表皮部6を構成する各柱部6Cの幅W6Cの最大値は、多孔質構造体1のクッション性を確保する観点から、3.0mm以下であると好適であり、2.5mm以下であるとより好適であり、2.0mm以下であるとさらに好適である。表皮部6を構成する各柱部6Cの幅W6Cの最小値は、表皮部6の耐久性の観点から、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適であり、0.20mm以上であるとさらに好適である。これらの数値範囲は、多孔質構造体1がクッション材に用いられる場合に好適であり、多孔質構造体1がシートパッドに用いられる場合により好適である。
なお、表皮部6の厚さT6は、表皮部6のうち柱部6C又は柱結合部6Jの厚さを指すものとし、表皮部6の表皮仮想面V6における厚さは無視するものとする。表皮部6の厚さT6は、表皮部6の外表面に対し垂直な方向に沿って測定される。
表皮部6の厚さT6の最大値は、多孔質構造体1のクッション性を確保する観点から、3.0mm以下であると好適であり、2.5mm以下であるとより好適であり、2.0mm以下であるとさらに好適である。表皮部6の厚さT6の最小値は、表皮部6の耐久性の観点から、0.05mm以上であると好適であり、0.10mm以上であるとより好適であり、0.20mm以上であるとさらに好適である。これらの数値範囲は、多孔質構造体1がクッション材に用いられる場合に好適であり、多孔質構造体1がシートパッドに用いられる場合により好適である。
これにより、表皮部6の構造をシンプルにすることができるので、3Dプリンタによる多孔質構造体1の製造が容易となる。
ただし、表皮部6の複数の柱部6Cは、それぞれ、断面積を変化させつつ延在していてもよく、すなわち、断面積が延在方向に沿って不均一であってもよい。
なお、表皮部6の高面積率部分64又は低面積率部分63における1cm2当たりの柱部6Cの本数密度は、それぞれ、高面積率部分64又は低面積率部分63における各単位領域UA内の柱部6Cの本数の平均値を指す。
また、本明細書で説明する各例においては、図2〜図4の例のように、表皮部6の高面積率部分64における1cm2当たりの柱結合部6Jの個数密度は、表皮部6の低面積率部分63における1cm2当たりの柱結合部6Jの個数密度よりも高いと、好適である。これにより、耐久性を向上しつつ、多孔質構造体のクッション材としての特性を向上できる。
なお、表皮部6の高面積率部分64又は低面積率部分63における1cm2当たりの柱結合部6Jの個数密度は、それぞれ、高面積率部分64又は低面積率部分63における各単位領域UA内の柱結合部6Jの個数の平均値を指す。
また、本明細書で説明する各例においては、図6〜図7の例のように、骨格部2のうち、骨格部2の仮想外輪郭面VC上に位置する部分(具体的には、後述の骨部2B又は骨結合部2J)のそれぞれが、表皮部6におけるいずれか1つの柱結合部6Jと連結されていると、好適である。これにより、仮に骨格部2のうち、骨格部2の仮想外輪郭面VC上に位置する部分のそれぞれが、表皮部6における柱部6Cと連結されている場合に比べて、多孔質構造体1の耐久性をより向上できるとともに、多孔質構造体1のクッション性をより向上できる。
ただし、多孔質構造体1は、追加連結部7を備えていなくてもよい。
ただし、本明細書で説明する各例において、表皮部6を構成する各柱部6Cのうち全部又は一部の柱部6Cは、それぞれの断面形状が、多角形(正三角形、正三角形以外の三角形、四角形等)でもよいし、あるいは、真円形以外の円形(楕円形等)でもよい。また、各骨部2Bは、それぞれの断面形状が、その延在方向に沿って均一でもよいし、あるいは、その延在方向に沿って非均一でもよい。また、各柱部6Cどうしで、断面形状が互いに異なっていてもよい。
なお、図3の例のように表皮部6を平面視したときの貫通穴66の形状が非円形である場合、貫通穴66の「直径」は、表皮部6を平面視したときの貫通穴66の外接円の直径を指すものとする。
以下、図8〜図14を参照しつつ、本発明の様々な実施形態に係る多孔質構造体1の骨格部2について、さらに詳しく説明する。
図8〜図11は、骨格部2の一例を示している。図8は、図6の骨格部2と同様のセル構造を有する骨格部2の一部を示す、斜視図である。図9は、図8の骨格部2を、図8のG矢印の方向から観たときの様子を示す、G矢視図である。図10は、図8の骨格部2を、図8のH矢印の方向から観たときの様子を示す、H矢視図である。図11は、図8の骨格部2のセル区画部21を示す、斜視図である。
また、図8〜図13では、多孔質構造体1の向きを理解しやすくするために、それぞれの例の多孔質構造体1に固定されたXYZ直交座標系の向きを表示している。
図8〜図10には、多孔質構造体1の一部分に、骨格部2の骨格線Oを1点鎖線により示している。骨格部2の骨格線Oは、各骨部2Bの骨格線Oと、各骨結合部2Jの骨格線Oと、からなる。骨部2Bの骨格線Oは、骨部2Bの中心軸線である。骨結合部2Jの骨格線Oは、当該骨結合部2Jに結合された各骨部2Bの中心軸線をそれぞれ当該骨結合部2J内へ滑らかに延長させて互いに連結させてなる、延長線部分である。
骨部2Bの延在方向は、骨部2Bの骨格線O(骨格線Oのうち、骨部2Bに対応する部分。以下同じ。)の延在方向である。
多孔質構造体1は、そのほぼ全体にわたって骨格部2を備えているので、通気性を確保しつつ、外力の付加・解除に応じた圧縮・復元変形が可能であるので、クッション材(例えばシートパッド)としての特性が良好になる。また、多孔質構造体1の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち、一部又は全部の骨部2Bが、湾曲しながら延在してもよい。この場合、一部又は全部の骨部2Bが湾曲していることで、荷重の入力時において、骨部2Bひいては多孔質構造体1の急激な形状変化を防ぎ、局所的な座屈を抑制することができる。
ここで、骨部2Bの断面積は、骨部2Bの骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。また、骨部2Bの幅W0(図8)は、骨部2Bの骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、当該断面における最大幅を指す。
ただし、本明細書で説明する各例において、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの幅W0及び/又は断面積が、骨部2Bの延在方向に沿って不均一でもよい。例えば、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの延在方向の両側の端部2Beを含む部分において、骨部2Bの幅W0が、骨部2Bの延在方向の両端に向かうにつれて徐々に増大又は減少していてもよい。また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨部2Bの延在方向の両側の端部2Beを含む部分において、骨部2Bの断面積が、骨部2Bの延在方向の両端に向かうにつれて徐々に増大又は減少していてもよい。
一方、骨格部2の外縁(外輪郭)形状の精度を向上させる観点や、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点や、クッション材としての特性を良好にする観点からは、骨部2Bの幅W0は、2.0mm以下であると好適である。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
これにより、骨格部2の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。また、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでの機械特性を再現しやすい。よって、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。また、このように骨部2Bを柱状に構成することにより、仮に骨部2Bを薄い膜状の部分に置き換えた場合に比べて、骨格部2の耐久性を向上できる。
なお、各骨部2Bの断面形状は、それぞれ、骨部2Bの中心軸線(骨格線O)に垂直な断面における形状である。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
例えば、本明細書で説明する各例において、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち全部又は一部の骨部2Bは、それぞれの断面形状が、多角形(正三角形、正三角形以外の三角形、四角形等)でもよいし、あるいは、真円形以外の円形(楕円形等)でもよく、その場合でも、本例と同様の効果が得られる。また、各骨部2Bは、それぞれの断面形状が、その延在方向に沿って均一でもよいし、あるいは、その延在方向に沿って非均一でもよい。また、各骨部2Bどうしで、断面形状が互いに異なっていてもよい。
ここで、「骨格部2の見かけの体積VS」とは、骨格部2の仮想外輪郭面VCによって囲まれた内部空間の全体(骨格部2の占める体積と、後述のセル膜3(図12)が設けられる場合はセル膜3の占める体積と、空隙の占める体積との合計)の体積を指している。
骨格部2を構成する材料を同じとして考えたとき、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が高いほど、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)は硬くなる。また、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積の割合VBが低いほど、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)は柔らかくなる。
骨格部2に外力が付加されたときに骨格部2に生じる反力、ひいては、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)の硬さを、クッション材として、特にはシートパッドとして、さらに特には車両用のシートパッドとして、良好なものにする観点からは、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合が、4〜8%であると、より好適である。
なお、骨格部2の見かけの体積VSのうち、骨格部2の占める体積VBの割合を調整する方法としては、任意の方法を用いてよいが、例えば、骨格部2を構成する一部又は全部の骨部2Bの太さ(断面積)、及び/又は、骨格部2を構成する一部又は全部の骨結合部Jの大きさ(断面積)を、調整する方法が挙げられる。
図11は、1つのセル区画部21を単独で示している。本例の骨格部2は、多数のセル区画部21がX、Y、Zの各方向に連なった構造を有している。
図8〜図11に示すように、各セル区画部21は、それぞれ、複数(本例では、14つ)の環状部211を有している。各環状部211は、それぞれ、環状に構成されており、それぞれの環状の内周側縁部2111によって、平坦なセル仮想面V1を区画している。セル区画部21を構成する複数の環状部211は、それぞれの内周側縁部2111によって区画するセル仮想面V1どうしが交差しないように互いに連結されている。
セル孔Cは、セル区画部21を構成する複数の環状部211と、これら複数の環状部211がそれぞれ区画する複数のセル仮想面V1とによって、区画されている。概略的に言えば、環状部211は、セル孔Cのなす立体形状の辺を区画する部分であり、セル仮想面V1は、セル孔Cのなす立体形状の構成面を区画する部分である。
各環状部211は、それぞれ、複数の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数の骨結合部2Jと、から構成されている。
互いに連結された一対の環状部211どうしの連結部分は、これら一対の環状部211に共有される、1つの骨部2Bと、その両側の一対の骨結合部2Jと、から構成されている。すなわち、各骨部2B及び各骨結合部2Jは、それぞれに隣接する複数の環状部211によって共有されている。
これにより、仮に、環状部211が、当該環状部211に隣接する一対のセル区画部21(すなわち、当該環状部211を間に挟んだ一対のセル区画部21)によって共有されておらず、すなわち、当該一対のセル区画部21が互いから独立して構成されており、それぞれの環状部211が互いに隣接又は互いから離間して形成されている場合や、それぞれの環状部211の間にリブ等が介在している場合に比べて、セル孔C1どうしの間の隙間(間隔)(ひいては、セル孔C1どうしの間の骨格部2の肉部分)を小さくすることができるので、多孔質構造体1のクッション材(特にはシートパッド、さらに特には車両用シートパッド)としての特性を向上できる。よって、3Dプリンタによって、クッション性のある多孔質構造体1を容易に製造することができる。
なお、骨格部2を構成する各環状部211がこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各環状部211のうち一部の環状部211のみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
同様の観点から、本明細書で説明する各例において、互いに隣接する一対のセル区画部21の骨格線Oどうしは、当該一対のセル区画部21によって共有される環状部211において、一致していると、好適である。
これにより、仮に、セル仮想面V1が、当該セル仮想面V1に隣接する一対のセル孔C1(すなわち、当該セル仮想面V1を間に挟んだ一対のセル孔C1)によって共有されておらず、すなわち、当該一対のセル孔C1のセル仮想面V1が互いから離間した位置にある場合に比べて、セル孔C1どうしの間の隙間(間隔)を小さくすることができるので、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。
なお、骨格部2を構成する各セル仮想面V1がこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各セル仮想面V1のうち一部のセル仮想面V1のみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
これにより、多孔質構造体1のクッション材としての特性がより良好になる。
同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、各図の例のように、互いに隣接する一対のセル区画部21の骨格線Oどうしは、当該一対のセル区画部21によって共有される環状部211において、一致していると、好適である。
また、同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、各図の例のように、互いに隣接する一対のセル区画部21によって共有される環状部211を構成する骨部2Bの断面積(例えば、骨一定部2B1の断面積)が、当該一対のセル区画部21のうち前記共有される環状部211に隣接する部分を構成する骨部2Bの断面積(例えば、骨一定部2B1の断面積)のそれぞれと、同じであると、好適である。
なお、骨格部2において互いに隣接する一対のセル区画部21によって共有される環状部211の全てがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2において互いに隣接する一対のセル区画部21によって共有される環状部211のうち一部の環状部211のみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
これにより、多孔質構造体のクッション材としての特性がより良好になる。
同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、各図の例のように、互いに連結された一対の環状部211の骨格線Oどうしは、当該一対の環状部211どうしの連結部分において、一致していると、好適である。
また、同様の観点から、本明細書で説明する各例においては、各図の例のように、互いに隣互いに連結された一対の環状部211どうしの連結部分を構成する骨部2Bの断面積(例えば、骨一定部2B1の断面積)が、当該一対の環状部211のうち前記連結部分に隣接する部分を構成する骨部2Bの断面積(例えば、骨一定部2B1の断面積)のそれぞれと、同じであると、好適である。
なお、骨格部2において互いに連結された一対の環状部211どうしの連結部分の全てがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2において互いに連結された一対の環状部211どうしの連結部分のうち一部の連結部分のみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
本例のように、骨格部2の一部または全部(本例では、全部)のセル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、骨格部2の一部または全部(本例では、全部)のセル孔Cの形状)を多面体とすることにより、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になり、より多くのセル孔Cを骨格部2の内部に形成することができる。また、これにより、外力の付加・解除に応じた骨格部2(ひいては、多孔質構造体1)の圧縮・復元変形の挙動が、クッション材として、特にはシートパッドとして、さらに特には車両用のシートパッドとして、より良好になる。
セル区画部21の骨格線Oのなす多面体形状(ひいては、セル孔Cのなす多面体形状)としては、本例に限らず、任意のものが可能である。例えば、セル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、セル孔Cのなす形状)を略4面体、略8面体又は略12面体とした場合も、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点から好適である。また、骨格部2の一部または全部のセル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、骨格部2の一部または全部のセル孔Cのなす形状)は、略多面体以外の立体形状(例えば、球、楕円体、円柱等)でもよい。また、骨格部2は、セル区画部21として、骨格線Oの形状が同じである1種類のセル区画部21のみを有していてもよいし、あるいは、骨格線Oの形状が異なる複数種類のセル区画部21を有していてもよい。同様に、骨格部2は、セル孔Cとして、同じ形状からなる1種類のセル孔Cのみを有していてもよいし、あるいは、形状の異なる複数種類のセル孔Cを有していてもよい。なお、本例のように、セル区画部21の骨格線Oの形状(ひいては、セル孔Cの形状)を略ケルビン14面体(切頂8面体)とした場合は、他の形状に比べて、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等のクッション材の特性を、最も再現し易い。
図11から判るように、本例において、大環状部211Lは、その骨格線Oが正6角形をなしており、それに伴い、セル大仮想面V1Lも、略正6角形をなしている。また、本例において、小環状部211Sは、その骨格線Oが正4角形をなしており、それに伴い、セル小仮想面V1Sも、略正4角形をなしている。このように、本例において、セル小仮想面V1Sとセル大仮想面V1Lとは、面積だけでなく、形状も異なる。
各大環状部211Lは、それぞれ、複数(本例では、6つ)の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数(本例では、6つ)の骨結合部2Jと、から構成されている。各小環状部211Sは、それぞれ、複数(本例では、4つ)の骨部2Bと、これらの複数の骨部2Bの端部2Beどうしを結合する複数(本例では、4つ)の骨結合部2Jと、から構成されている。
セル区画部21を構成する複数の環状部211が、大きさの異なる小環状部211Sと大環状部211Lとを含むことにより、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をより小さくすることが可能になる。また、本例のように、小環状部211Sと大環状部211Lとの形状が異なる場合、骨格部2を構成するセル孔C間の隙間(間隔)をさらに小さくすることが可能になる。
ただし、セル区画部21を構成する複数の環状部211は、それぞれ、大きさ及び/又は形状が互いに同じでもよい。セル区画部21を構成する各環状部211の大きさ及び形状が同じである場合、X、Y、Zのそれぞれの方向に等しい機械特性を得ることができる。
なお、骨格部2を構成する各環状部211のうち、少なくとも1つの環状部211の骨格線O(ひいては、骨格部2を構成する各セル仮想面V1のうち、少なくとも1つのセル仮想面V1)が、本例のような略正6角形、略正4角形以外の任意の略多角形状、あるいは、略多角形状以外の平面形状(例えば、円(真円、楕円等))をなしてもよい。環状部211の骨格線Oの形状(ひいてはセル仮想面V1の形状)が円(真円、楕円等)である場合は、環状部211の形状(ひいてはセル仮想面V1の形状)がシンプルになるので、製造性や特性の調整のし易さを向上できるとともに、より均質な機械特性が得られる。例えば、環状部211の骨格線Oの形状(ひいてはセル仮想面V1の形状)が、荷重が掛かる方向に対して略垂直な方向に長い楕円(横長の楕円)である場合は、荷重が掛かる方向に略平行な方向に長い楕円(縦長の楕円)である場合に比べて、環状部211が、ひいては、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)が、荷重の入力に対して変形し易くなる(柔らかくなる)。
なお、従来のシートパッドを構成する多孔質構造体は、化学反応によって発泡させる工程を経て製造されていたため、直径が5mm以上のセル孔Cを形成することはできなかった。
また、骨格部2が直径5mm以上のセル孔Cを有することにより、骨格部2の通気性や変形し易さを向上しやすくなる。
このような観点から、骨格部2を構成する全てのセル孔Cの直径が、それぞれ、5mm以上であると、好適である。
セル孔Cの直径が大きくなるほど、3Dプリンタを用いた多孔質構造体1の製造が実現し易くなり、また、通気性や変形し易さを向上しやすくなる。このような観点から、骨格部2は、少なくとも1つ(好適には全部)のセル孔Cの直径が、より好適には8mm以上、さらに好適には10mm以上であるとよい。
一方、骨格部2のセル孔Cが大きすぎると、骨格部2(ひいては多孔質構造体1)の外縁(外輪郭)形状をきれいに(滑らかに)形成するのが難しくなり、クッション材(特にはシートパッド)の形状精度が低下し外観が悪化するおそれがある。また、クッション材(特にはシートパッド)としての特性も、十分に良好でなくなるおそれがある。よって、外観やクッション材としての特性を向上させる観点から、骨格部2の各セル孔Cの直径は、好適には30mm未満、より好適には25mm以下、さらに好適には20mm以下であるとよい。
なお、セル孔Cの直径は、本例のようにセル孔Cが厳密な球形状とは異なる形状をなす場合、セル孔Cの外接球の直径を指す。
セル膜3は、環状部211の環状の内周側縁部2111によって区画されたセル仮想面V1上を延在しており、それにより、当該環状部211によって区画されたセル仮想面V1を覆っている。図12の例の多孔質構造体1においては、骨格部2を構成する各セル仮想面V1のうちの少なくとも1つが、セル膜3で覆われている。セル膜3は、骨格部2と同じ材料からなり、骨格部2と一体に構成されている。図12の例において、セル膜3は、平坦に構成されている。ただし、セル膜3は、非平坦(例えば、湾曲状(曲面状))に構成されてもよい。
セル膜3は、骨部2Bの幅W0(図8)よりも小さな厚さを有すると、好適である。
セル膜3によって、セル仮想面V1を間に挟んだ2つのセル孔Cどうしが、セル仮想面V1を通じた連通がなくなり、セル仮想面V1を介した通気ができなくなるため、ひいては、多孔質構造体1の全体としての通気性が低下する。多孔質構造体1を構成する各セル仮想面V1のうち、セル膜3で覆われたものの数を調整することにより、多孔質構造体1の全体としての通気性を調整でき、要求に応じて様々な通気性レベルを実現可能である。例えば、多孔質構造体1が車両用シートパッドに利用される場合、多孔質構造体1の通気性を調整することにより、車内のエアコンの効きを高めたり、耐ムレ性を高めたり、乗り心地を高めることができる。多孔質構造体1が車両用シートパッドに利用される場合、車内のエアコンの効き及び耐ムレ性を高めるとともに、乗り心地を高める観点からは、多孔質構造体1を構成する各セル仮想面V1の全てがセル膜3で覆われているのは好ましくなく、言い換えれば、多孔質構造体1を構成する各セル仮想面V1のうち少なくとも1つがセル膜3で覆われておらず開放されていることが好ましい。
なお、従来の多孔質構造体は、上述のとおり、化学反応によって発泡させる工程を経て製造されていたため、各セルどうしを連通する連通孔における膜を、所期したとおりの位置及び個数で形成することは難しかった。本例のように、多孔質構造体1を3Dプリンタで製造する場合は、3Dプリンタに読み込まれる3D造形用データに、予めセル膜3の情報も含めることで、確実に、所期したとおりの位置及び個数でセル膜3を形成することが可能である。
同様の観点から、骨格部2を構成する各セル小仮想面V1Sのうちの少なくとも1つが、セル膜3で覆われていてもよい。かつ/又は、骨格部2を構成する各セル大仮想面V1Lのうちの少なくとも1つが、セル膜3で覆われていてもよい。
図13及び図14(a)に示すように、骨格部2の各骨部2Bは、それぞれ、断面積を一定に保ちつつ延在する、骨一定部2B1と、骨一定部2B1の延在方向の両側において、断面積を徐々に変化させつつ、骨一定部2B1から骨結合部2Jまで延在する、一対の骨変化部2B2と、から構成されている。本例において、各骨変化部2B2は、断面積を徐々に増大させつつ、骨一定部2B1から骨結合部2Jまで延在している。なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていても、同様の効果が得られる。また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部又は全部の骨部2Bは、それぞれ、骨一定部2B1の一方側の端部のみに骨変化部2B2を有し、骨一定部2B1の他方側の端部が直接骨結合部2Jに結合されていてもよく、その場合も、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
ここで、骨一定部2B1及び骨変化部2B2の断面積は、それぞれ、骨一定部2B1及び骨変化部2B2の骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。
本例では、多孔質構造体1を構成する各骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2とからなり、骨変化部2B2が、骨一定部2B1から骨結合部2Jに向かうにつれて断面積が徐々に増大するので、骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界の近傍部分で、骨一定部2B1に向かって細くなるようにくびれた形状をなしている。そのため、外力が加わる際に、骨部2Bが、そのくびれた部分や骨一定部2B1の中間部分で座屈変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームと同等の挙動及び特性が得られる。また、これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。よって、例えば、多孔質構造体1がシートパッドに用いられる場合、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、より柔らかい感触を与えるようになる。このような柔らかい感触は、一般的に、広く好まれるものであり、また、高級車のシートパッドの着座者(例えば運転手付きで後部座席に人を乗せる場合、後部座席に座る着座者)に好まれるものである。
0.15≦A0/A1≦2.0
を満たしていると、好適である。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感を、シートパッドの特性として、柔らかすぎず、硬すぎず、ほどよい硬さにすることができる。よって、例えば、多孔質構造体1がシートパッドに用いられる場合、着座する際の、特に着座し始めのタイミングで、着座者に、ほどよい硬さの感触を与えるようになる。比A0/A1が小さいほど、多孔質構造体1の表面のタッチ感が、より柔らかくなる。比A0/A1が0.15未満である場合は、多孔質構造体1の表面のタッチ感が柔らかくなりすぎて、クッション材(特にはシートパッド)の特性として好ましくなくなるおそれがあり、また、3Dプリンタによる製造がしにくくなるため、製造性の面で好ましくない。比A0/A1が2.0超である場合は、多孔質構造体1の表面のタッチ感が硬くなりすぎて、クッション材(特にはシートパッド)の特性として好ましくなくなるおそれがある。
なお、比A0/A1は、0.5以上であると、より好適である。
より具体的に、本例では、骨部2Bが骨一定部2B1とその両側に連続する一対の骨変化部2B2とを有しており、各骨変化部2B2が、それぞれ、断面積を徐々に増大させつつ、骨一定部2B1から骨結合部2Jまで延在しており、比A0/A1が1.0未満である。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感を、クッション材(特にはシートパッド)の特性として、比較的柔らかくすることができる。このような柔らかい感触は、一般的に、広く好まれるものであり、また、高級車のシートパッドの着座者(例えば運転手付きで後部座席に人を乗せる場合、後部座席に座る着座者)に好まれるものである。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
そして、骨変化部2B2が、断面積を徐々に減少させつつ、骨一定部2B1から骨結合部2Jまで延在している場合、比A0/A1は、1.0超となる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
この場合、比A0/A1は、1.0となる。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていてもよいし、あるいは、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、いずれの場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
なお、骨結合部2Jの断面積は、骨結合部2Jの骨格線Oに垂直な断面の断面積を指す。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
なお、骨一定部2B1、骨変化部2B2、骨結合部2Jの幅は、それぞれ、骨一定部2B1、骨変化部2B2、骨結合部2Jの骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、当該断面における最大幅を指す。骨結合部2Jの骨格線Oは、骨格線Oのうち、骨結合部2Jに対応する部分である。図14(a)には、参考のため、骨一定部2B1の幅W0と、骨変化部2B2の幅W1とを、示している。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
一方、多孔質構造体1の外縁(外輪郭)形状の精度を向上させる観点や、セル孔C間の隙間(間隔)を小さくする観点や、クッション材としての特性を良好にする観点からは、骨一定部2B1の幅W0(図14)は、0.05mm以上2.0mm以下であると好適である。
なお、骨格部2を構成する各骨部2Bがこの構成を満たしていると好適であるが、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
これによっても、外力が加わる際に、骨部2Bが、骨一定部2B1と骨変化部2B2との境界近傍におけるくびれた部分で、座屈変形しやすくなり、ひいては、多孔質構造体1が圧縮変形しやすくなる。これにより、多孔質構造体1の表面のタッチ感がより柔らかくなる。
ここで、骨変化部2B2の延在方向は、骨変化部2B2の中心軸線(骨格線O)の延在方向である。また、骨変化部2B2の傾斜面2B23の幅W2は、骨変化部2B2の骨格線Oに垂直な断面に沿って測ったときの、傾斜面2B23の幅を指す。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
これにより、多孔質構造体1の構造がシンプルになり、3Dプリンタによる造形がしやすくなる。また、化学反応によって発泡させる工程を経て製造された一般的なポリウレタンフォームでの機械特性を再現しやすい。よって、多孔質構造体1のクッション材としての特性を向上できる。また、このように骨部2Bを柱状に構成することにより、仮に骨部2Bを薄い膜状の部分に置き換えた場合に比べて、多孔質構造体1の耐久性を向上できる。
なお、骨一定部2B1、骨変化部2B2の断面形状は、それぞれ、骨一定部2B1、骨変化部2B2の中心軸線(骨格線O)に垂直な断面における形状である。
なお、本例に限らず、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち一部の骨部2Bのみが、この構成を満たしていてもよく、その場合でも、程度の差はあり得るものの、同様の効果が得られる。
また、骨格部2を構成する各骨部2Bのうち全部又は一部の骨部2Bにおいて、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が、正三角形以外の多角形(正三角形以外の三角形、四角形等)でもよいし、あるいは、円形(真円形、楕円形等)でもよく、その場合でも、本例と同様の効果が得られる。また、骨一定部2B1と骨変化部2B2は、それぞれの断面形状が互いに異なるものでもよい。また、各骨部2Bは、それぞれの断面形状が、その延在方向に沿って均一でもよいし、あるいは、その延在方向に沿って非均一でもよい。また、各骨部2Bどうしで、断面形状が互いに異なっていてもよい。
つぎに、図15及び図16を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る、多孔質構造体の製造方法を説明する。
図15では、図2の例の多孔質構造体1を、3Dプリンタにより製造する様子を一例として示している。ただし、以下に説明する多孔質構造体の製造方法は、本明細書で上述した任意の例の多孔質構造体1を製造するために好適に使用できる。
まず、事前に、コンピュータを用いて、多孔質構造体1の3次元形状を表す3次元形状データ(例えば、3次元CADデータ)を作成する。
つぎに、コンピュータを用いて、上記3次元形状データを、3D造形用データ500に変換する。3D造形用データ500は、3Dプリンタ400の造形部420が造形を行う際に3Dプリンタ400の制御部410に読み込まれるものであり、制御部410が、造形部420に、多孔質構造体1を、造形させるように構成されている。3D造形用データ500は、例えば、多孔質構造体1の各層の2次元形状を表すスライスデータを含む。
つぎに、3Dプリンタ400によって多孔質構造体1の造形を行う。3Dプリンタ400は、例えば、光造形方式、粉末焼結積層方式、熱溶融積層方式(FDM方式)、インクジェット方式等、任意の造形方式を用いて造形を行ってよい。図15では、熱溶融積層方式(FDM方式)によって造形を行う様子を示している。
3Dプリンタ400は、例えば、CPU等によって構成された制御部410と、制御部410による制御に従って造形を行う造形部420と、造形される造形物(すなわち、多孔質構造体1)を載せるための支持台430と、支持台430及び造形物が収容される収容体440と、を備える。造形部420は、本例のように熱溶融積層方式(FDM方式)を用いる場合、最終的に造形物(すなわち、多孔質構造体1)を構成するメイン材MMを吐出するように構成されたメイン材ノズル421と、造形中にメイン材MMを支持するサポート材SMを吐出するように構成されたサポート材ノズル422と、を有している。メイン材MMとしては、可撓性のある樹脂又はゴムを用いるのがよいが、特に、可撓性のある樹脂を用いるのが好適である。
このように構成された3Dプリンタ400は、まず、制御部410が、3D造形用データ500を読み込み、読み込んだ3D造形用データ500に含まれる3次元形状に基づいて、造形部420にメイン材MM、サポート材SMを吐出させるよう制御しながら、各層を順次造形していく。このとき、多孔質構造体1のうち、空隙以外の部分(すなわち、骨格部2や表皮部6)を、メイン材MMによって造形し、多孔質構造体1の空隙部分を、サポート材SMによって形成する。
3Dプリンタ400による造形が完了した後は、造形物からサポート材SMを除去する。それにより、最終的に、造形物として、多孔質構造体1が得られる。
この場合、3Dプリンタ400は、例えば、CPU等によって構成された制御部410と、制御部410による制御に従って造形を行う造形部420と、造形される造形物(すなわち、多孔質構造体1)を載せるための支持台430と、液体樹脂LR、支持台430及び造形物が収容される収容体440と、を備える。造形部420は、本例のように光造形方式を用いる場合、紫外線レーザ光LLを照射するように構成されたレーザ照射器423を有する。収容体440には、液体樹脂LRが充填されている。液体樹脂LRは、レーザ照射器423から照射される紫外線レーザ光LLが当たると、硬化し、可撓性のある樹脂となる。
このように構成された3Dプリンタ400は、まず、制御部410が、3D造形用データ500を読み込み、読み込んだ3D造形用データ500に含まれる3次元形状に基づいて、造形部420に紫外線レーザ光LLを照射するよう制御しながら、各層を順次造形していく。
3Dプリンタ400による造形が完了した後は、造形物を収容体440から取り出す。それにより、最終的に、造形物として、多孔質構造体1が得られる。
また、多孔質構造体1をゴムで構成する場合、3Dプリンタ400による造形が完了した後に、造形物としての多孔質構造体1を加硫してもよい。
2:骨格部、 2B:骨部、 2Be:骨部の端部、 2B1:骨一定部、 2B2:骨変化部、 2B21:骨変化部の骨結合部側の端、 2B22:骨変化部の骨一定部側の端、 2B23:骨変化部の傾斜面、 2J:骨結合部、 21:セル区画部、 211:環状部、 211L:大環状部、 211S:小環状部、 2111:環状部の内周側縁部、
C:セル孔、 O:骨格線、 V1:セル仮想面、 V1L:セル大仮想面、 V1S:セル小仮想面、 VC:骨格部の仮想外輪郭面、
3:セル膜、
6:表皮部、 6C:柱部、 6Ce:柱部の端部、 6J:柱結合部、 61:大曲率半径部分、 62:小曲率半径部分、 63:低面積率部分、 64:高面積率部分、 65:表皮膜、 66:貫通穴、
UA:単位領域、 V6:表皮仮想面、
7:追加連結部、
FS:荷重受け面、 SS:側面、 E:荷重受け面と側面との間のエッジ部、 BS:裏面、
300:車両用シート、
301:フレーム、
302:シートパッド(車両用シートパッド)、 310:クッションパッド部、 311:メインパッド部(着座部)、 311t:腿下部、 311h:尻下部、 312:サイドパッド部、 320:バックパッド部、 321:メインパッド部、 322:サイドパッド部、 340:ヘッドレスト部、 341:メインパッド部、 342:サイドパッド部、
TD:厚さ方向、
400:3Dプリンタ、 410:制御部、 420:造形部、 421:メイン材ノズル、 422:サポート材ノズル、 423:レーザ照射器、 430:支持台、 440:収容体、 MM:メイン材、 SM:サポート材、 LL:紫外線レーザ光、 LR:液体樹脂、 500:3D造形用データ
Claims (16)
- 可撓性のある樹脂又はゴムから構成された多孔質構造体であって、
前記多孔質構造体は、
複数のセル孔を区画する、骨格部と、
前記骨格部の仮想外輪郭面の少なくとも一部を覆うとともに、前記骨格部と一体に構成された、表皮部と、
を備えており、
前記表皮部は、
前記骨格部の前記仮想外輪郭面に沿って延在する複数の柱部と、
それぞれ前記複数の柱部の端部どうしを結合する、複数の柱結合部と、
前記複数の柱部どうしの間で区画される複数の表皮仮想面と、
を有しており、
前記表皮仮想面は、環状をなすように互いに前記柱結合部を介して結合された3本以上の前記柱部の内周側縁部によって、区画されている、多孔質構造体。 - 前記表皮部は、
大曲率半径部分と、
前記大曲率半径部分よりも小さな曲率半径を有する、小曲率半径部分と、
を有しており、
前記小曲率半径部分内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である小部面積率は、前記大曲率半径部分内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である大部面積率よりも、高い、請求項1に記載の多孔質構造体。 - 前記多孔質構造体は、クッション材に用いられるものであり、
前記多孔質構造体は、
使用者からの荷重を受けるように構成された、荷重受け面と、
前記荷重受け面から連続する、側面と、
を有しており、
前記多孔質構造体の前記荷重受け面は、前記表皮部の前記大曲率半径部分によって構成されており、
前記多孔質構造体における前記荷重受け面と前記側面との間のエッジ部は、前記表皮部の前記小曲率半径部分によって構成されている、請求項2に記載の多孔質構造体。 - 前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも、1cm2内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における前記表皮仮想面の1個当たりの面積の平均値は、前記低面積率部分における前記表皮仮想面の1個当たりの面積の平均値よりも、小さい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質構造体。 - 前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも、1cm2内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における前記柱部の1本当たりの長さの平均値は、前記低面積率部分における前記柱部の1本当たりの長さの平均値よりも、短い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質構造体。 - 前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも、1cm2内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における前記柱部の幅の平均値は、前記低面積率部分における前記柱部の幅の平均値よりも、大きい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質構造体。 - 前記表皮部は、
低面積率部分と、
前記低面積率部分よりも、1cm2内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である単位面積率が高い、高面積率部分と、
を有しており、
前記高面積率部分における1cm2当たりの前記柱部の本数密度及び1cm2当たりの前記柱結合部の個数密度は、それぞれ、前記低面積率部分における1cm2当たりの前記柱部の本数密度及び1cm2当たりの前記柱結合部の個数密度よりも、高い、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔質構造体。 - 前記骨格部のうち、前記仮想外輪郭面上に位置する部分のそれぞれは、いずれか1つの前記柱結合部と連結されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔質構造体。
- 前記複数の柱部は、それぞれ、断面積を一定に維持しつつ延在している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多孔質構造体。
- 前記多孔質構造体は、シートパッドに用いられるものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多孔質構造体。
- 前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の骨結合部と、
から構成されており、
前記骨格部は、前記セル孔を内部に区画するセル区画部を複数有しており、
前記セル区画部は、それぞれ環状に構成された複数の環状部を有している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多孔質構造体。 - 前記環状部は、当該環状部に隣接する一対の前記セル区画部によって共有されている、請求項11に記載の多孔質構造体。
- 前記骨格部は、
複数の骨部と、
それぞれ前記複数の骨部の端部どうしを結合する、複数の骨結合部と、
から構成されており、
前記骨格部の前記複数の骨部のうち少なくとも一部の骨部が、その少なくとも一部分において、断面積を一定に保ちつつ延在する骨一定部を有しており、
前記少なくとも一部の骨部のそれぞれにおいて、当該骨部のいずれか一方側の端の断面積A1に対する、当該骨部の前記骨一定部の断面積A0の比A0/A1は、
0.15≦A0/A1≦2.0
を満たす、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多孔質構造体。 - 前記表皮部は、1cm2内の前記柱部及び前記柱結合部の総面積の割合である単位面積率が、不均一である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の多孔質構造体。
- 可撓性のある樹脂又はゴムから構成された多孔質構造体であって、
前記多孔質構造体は、
複数のセル孔を区画する、骨格部と、
前記骨格部の仮想外輪郭面の少なくとも一部を覆うとともに、前記骨格部と一体に構成された、表皮部と、
を備えており、
前記表皮部は、
前記骨格部の前記仮想外輪郭面に沿って延在する複数の柱部と、
それぞれ前記複数の柱部の端部どうしを結合する、複数の柱結合部と、
前記複数の柱部どうしの間で区画される複数の表皮仮想面と、
を有しており、
前記骨格部は、前記セル孔を内部に区画するセル区画部を複数有しており、
前記セル区画部は、それぞれ環状に構成された複数の環状部を有しており、
前記環状部は、当該環状部に隣接する一対の前記セル区画部によって共有されている、多孔質構造体。 - 3Dプリンタを用いて、請求項1〜15のいずれか一項に記載の多孔質構造体を製造する、多孔質構造体の製造方法。
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