JP6643784B2 - 多彩色絵柄パイル布帛と織物地 - Google Patents
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Description
このように繊維の染色性は繊維素材の種類によって異なり、全ての繊維が全ての染料によって染色される訳ではない。つまり、染料は繊維素材によって使い分けられ、それぞれ染着性のある繊維の染色に使われると言うことである。
とは言え、染料の染着性は、繊維素材の種類によって相異があり、繊維素材が同じであっても、濃く染まるものもあれば薄く染まるものもあり、中程度に染まるものもある。
薄く染まる繊維に使用する染液の染料濃度を高めても、その繊維の染料着座容量が少ないので染料の使用量は少なくなるので、余剰染料は使い捨てになり無駄になる(例えば、特許文献1参照)。
そこで、絵柄の捺染時には、染着性の弱い染料と染着性の強い染料が隣合わないように配慮される(例えば、特許文献1参照)。
そうであれば、絵柄の捺染では染着性の弱い染料と染着性の強い染料を別々に分けて使用する、つまり、2回或いは3回以上繰り返して染色することが有効となる。
本発明は、そのように特定の繊維に対して染着性があると認められる同じ種類の染料であっても染着性の度合いに差異があり、その特定の種類の繊維以外の他の種類の繊維に対して染着性があると認められる特異な染料がある、との知見に基づいて完成された。
一部の第1パイル領域10aの一部11a(図4)か、一部の第1パイル領域10aの全域12a(図5)か、全部の第1パイル領域13a,13b(図6)の何れか、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21a(図7)か、一部の第2パイル領域20aの全域22a(図8)か、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23d(図9)の何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記色分け絵柄42は、前記染着性を異にする染料が混合された混合染液に色分けされ、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれていることを第1の特徴とする。
尚、織物地の画素は、一本か数本の経糸の上を越えて織物の表面に露出する一本か数本の緯糸の側面と一本か数本の緯糸の上を越えて織物の表面に露出する一本か数本の経糸の側面が構成する平織組織、斜紋(綾)織組織、繻子(朱子)織組織等の織組織によって構成され、その構成する経糸と緯糸が複数本であることから広い面積を有する。
これに対し、パイル布帛の絵柄の画素は、パイル表面を構成している一個一個のパイルの先端部分であり、その一個一個のパイル糸の先端部分の断面積あって経糸や緯糸の側面によって構成される織物地の画素に比して細かく、織物地に比してパイル布帛の表面には画素が細かく鮮明な絵柄を描出することが出来、本発明の効果を遺憾なく表現することが出来る。
一部の第1パイル領域10aの一部11aか、一部の第1パイル領域10aの全域12aか、全部の第1パイル領域13a,13bの何れか、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21aか、一部の第2パイル領域20aの全域22aか、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23dの何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記染着性を異にする染料には、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する染料が含まれ、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている点にある。
その他、多彩色絵柄パイル布帛は、一部の第1パイル領域10aの一部11a(図4)か、一部の第1パイル領域10aの全域12a(図5)か、全部の第1パイル領域13a,13b(図6)の何れかにおいて、第1パイル糸61に対し染着性を有する第1染料か、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する第2染料が染着、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21a(図7)か、一部の第2パイル領域20aの全域22a(図8)か、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23d(図9)の何れかにおいて、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する第2染料が染着した色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出されていても良い。
その他、多彩色絵柄パイル布帛は、第1パイル領域15aと、第1パイル領域15aを介して隣り合う第2パイル領域25aと25b(図11)の色彩、又は、第2パイル領域25aと、第2パイル領域25aを介して隣り合う第1パイル領域15aと15b(図12)の色彩が同系色になっており、第1パイル領域15aを介して隣り合う第2パイル領域25aと25bの間(図11)、又は、第2パイル領域25aを介して隣り合う第1パイル領域15aと15bの間(図12)が連結領域31を構成していても良い。
その他、多彩色絵柄パイル布帛は、それぞれ数珠繋ぎ状に隣接する第2パイル領域20dの一部32と第1パイル領域10bの一部33、第1パイル領域10bの一部33と第2パイル領域20aの一部34、第2パイル領域20aの一部34と第1パイル領域10aの一部35、第1パイル領域10aの一部35と第2パイル領域20cの一部36、第2パイル領域20cの一部36と第1パイル領域10aの一部37、第1パイル領域10aの一部37と第2パイル領域20bの一部38、第2パイル領域20bの一部39と第1パイル領域10a………の各隣接部分の色彩が同系色になっており、それらの隣接部分が連続した連続領域32〜39(図13)を構成していても良い。
(2) 一部の第1画素領域10aの一部11aか、一部の第1画素領域10aの全域12aか、全部の第1画素領域13a,13bの何れか、又は、一部の第2画素領域20aの一部21aか、一部の第2画素領域20aの全域22aか、全部の第2画素領域23a,23b,23c,23dの何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記色分け絵柄42は、前記染着性を異にする染料が混合された混合染液に色分けされ、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれていることを第1の特徴とする。
本発明に係る多彩色絵柄織物地の第2の特徴は、(1) 染色性を異にする第1経糸と第2経糸、および、第1経糸と染色性を同じくする第1緯糸と第2経糸と染色性を同じくする第2緯糸によって織成された織物の表面に、それらの染色性を同じくする第1経糸と第1緯糸によって織成される第1画素領域と染色性を同じくする第2経糸と第2緯糸によって織成される第2画素領域との境界線によって柄際53が形成された下地絵柄41が描出されており、
(2) 一部の第1画素領域10aの一部11aか、一部の第1画素領域10aの全域12aか、全部の第1画素領域13a,13bの何れか、又は、一部の第2画素領域20aの一部21aか、一部の第2画素領域20aの全域22aか、全部の第2画素領域23a,23b,23c,23dの何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記染着性を異にする染料には、第1画素糸61と第2画素糸71の双方に対し染着性を有する染料が含まれ、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている点にある。
その中空円打抜基板82を矩形基板81に周辺を揃えて貼り合わせ、その中空円打抜基板82の内径75mmの中空円に同心円状に中心を合わせて外径45mmの円板83を矩形基板81に貼り合わせる。
こうして、円板83の外周縁と中空円打抜基板82の内周縁に縁取られた溝幅15mmの真円環溝84を有するランドルト基盤86を作成する。
このランドルト基盤86の円環溝84にパイル布帛の融合領域30や連続領域31や連続領域32から切り出した縦15mm×横10mmの第1パイル裁断片85aや第2パイル裁断片85bを敷き詰めてランドルト環80を視力検査表の中の視力0.1(眼鏡着用矯正可)と判定される直径45mm×75mmの同心円で表示される視力0.1判定用ランドルト環に準じて作成する。
パイル裁断片を敷き詰める際には、第1パイル裁断片85aと第2パイル裁断片85bの何れか一方の裁断片の敷詰量を1片とし、その1片のパイル裁断片85をもってランドルト環80を横切る指標87とする。
ここに『16個』とは、左右各片目毎に16個の意味、即ち、左目で16個のランドルト環を見、右目で16個のランドルト環を見るとの意味、つまり左右合計32回見るとの意味である。
又、『16個中の12個以上』と規定するのは、16個のランドルト環の中の1〜4個程度なら、当てずっぽうに答えても指標87の位置を見間違うことなく答えたと判定してしまう誤判を回避するためである。
そのように、判定試験表88を見る距離を2m以上と規定する理由は、2m未満の至近距離から見る場合は、手作業でランドルト基盤86の円環溝84にパイル裁断片85を敷き詰めて作成されるランドルト環80の出来栄えにパイル裁断片の切り取り方や敷き詰め方の個人差に起因するバラツキが生じ易く、指標87の位置が殊更目立ち易くなったり、カットとループやハイ・ロー長短差等のパイル形態の差異が殊更目立ち易くなったり、撚り斑や番手(繊度)斑等のパイル糸条の形態差が目立ち易くなり、指標87の位置の判断に誤判が生じ易くなること、又、大人の身長からして目に映るカーペットと視点の距離は概して2m前後になる等の理由による。
尚、『同系色』と判定される場合の判定試験表88と視点の距離を5mと規定する理由は、視力検査におけるランドルト環と視点の距離が通常5mに規定されていること、又、判定試験表88と視点の距離を5m以上に規定する場合はランドルト環自体輪郭も不明確になって指標87の位置の判断に誤判が生じ易くなる等の理由による。
即ち、ここに言う『全部の第1パイル領域』とか『全部の第2パイル領域』とは、パイル布帛の全面即ち全ての部分ではなく、第1染料や第2染料が印捺されるパイル布帛の一部分を意味する。
若し、パイル布帛の全面即ち全ての部分を意味するのであれば、パイル布帛全体が第1染料や第2染料に無地染めされることになり、それでは捺染されることにはならないからである。
そのように、印捺されるパイル布帛の部分を意味するが故に、そのパイル布帛の部分が図1に図示するように枡目状に区切られた複数の区画A〜Tの中の一区画であれば、その各区画A〜Tの全部をそれぞれ特定の色彩に染め上げるときは、図2に図示するように各区画毎に異なる色彩に染め上げられた市松模様状の色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出されことにもなる。
その場合、レギュラーポリアミド繊維糸条である第1パイル糸61に対し染着性を有する第1染料を酸性染料とすれば、レギュラーポリアミド繊維糸条とカチオン可染ポリアミド繊維糸条との双方に対し染着性を有する第2染料としては含金属染料が使用されることになる。
その二種類の染料は、染液に混合し、混合染液としてパイル面に印捺する一浴染めとして使用することが出来るので捺染工程が高速化される。
従って本発明によると、在来の捺染パイル布帛に比してパイル面の色調が豊かな多彩色絵柄パイル布帛を効率的に得ることが出来る。
そして、その同系色に発色した第1パイル62と第2パイル72は、第1パイル領域10と第2パイル領域20との隣接部分14・24において色彩が同系色の融合領域30(図10)を構成し、第1パイル領域10の輪郭と第2パイル領域20の輪郭が変化し、下地絵柄41の輪郭が変化した色分け絵柄42が描出されることになる。
又、こうして連続領域32〜39が発生すると、その各パイル領域10・20が分離状態にあった下地絵柄41の構図が崩れ、その各パイル領域10・20が連続して統制のとれた統制色分け絵柄44が描出されることになる(図19)。
そのように図13は、図3に図示するパイル地生機の連続領域32〜39が発生して変化した下地絵柄41の構図を図示するものである。
そのように変化後の構図を図示する図4〜図13と変化前のパイル地生機の構図を図示する図3を対比して明らかなように、本発明によると、パイル形成過程において構成された下地絵柄41とはイメージが大きく変化した新規な多彩色絵柄パイル布帛を得ることが出来る。
その第1パイル糸61を非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維糸条とし、第2パイル糸71をカチオン可染ポリアミド繊維糸条とする第2の理由は、含金属染料はレギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着するものの、含金属染料の中にはカチオン可染ポリアミド繊維に対する染着性の度合いが酸性染料のレギュラーポリアミド繊維に対する染着性と同程度のものもあり、そのカチオン可染ポリアミド繊維に対する染着性の度合いの高い高染着性含金属染料と酸性染料との混合染液でカチオン可染ポリアミド繊維とレギュラーポリアミド繊維を一浴染色する場合には、その染色性の異なるカチオン可染ポリアミド繊維とレギュラーポリアミド繊維を染め分けし易いことによる。
第1パイル糸61を非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維糸条とし、第2パイル糸71をカチオン可染ポリアミド繊維糸条とする第3の理由は、カチオン可染ポリアミド繊維もレギュラーポリアミド繊維も汎用され、含金属染料も酸性染料も汎用されていて入手し易いことによる。
このように、第1パイル糸61を非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維糸条とし、第2パイル糸71をカチオン可染ポリアミド繊維糸条とし、含金属染料と酸性染料を使用すると本発明が実施し易くなる。
本発明では、(1) レギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着する通常の含金属染料を第2染料とし、(2) そのカチオン可染ポリアミド繊維に対する染着性の度合いの高い高染着性含金属染料を第3染料として通常の含金属染料と使い分け、第1パイル62と第2パイル72を同系色に発色させる必要がある第1パイル領域10や第2パイル領域20の部位に高染着性含金属染料を第3染料として適用すると資材管理や工程管理の上で好都合である。
(a) 染色性を異にするレギュラーポリアミド繊維第1パイル糸61の第1パイル62が植設される第1パイル領域10とカチオン可染ポリアミド繊維第2パイル糸71の第2パイル72が植設される第2パイル領域20と、それらの隣り合う二つのパイル領域10・20の境界線によって形成される柄際53とによって構成される下地絵柄41を、パイル面の全面又はパイル面の少なくとも一部に設定し(図3)、
(b) 第1パイル糸と第2パイル糸との何れか一方に染着性を有する第1染料と、第1パイル糸と第2パイル糸との双方に染着性を有する第2染料と、第1パイル糸と第2パイル糸との双方に高い染着性を有する第3染料を下地絵柄41のパイル面に印捺し、
(c) 一部の第1パイル領域10aの一部11a(図4)か、一部の第1パイル領域10aの全域12a(図5)か、全部の第1パイル領域13a,13b(図6)の何れかを第1染料か第2染料で第2パイル領域20aと染め分け、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21a(図7)か、一部の第2パイル領域20aの全域22a(図8)か、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23d(図9)の何れかに第3染料として高染着性含金属染料を使用して第1パイル領域10aと染め分けて構成される色分け絵柄42を下地絵柄41に重ねて描出する。
ここに言う第1染料にはレギュラーポリアミド繊維に染着性を示す酸性染料が該当し、第2染料にはレギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着性を有する通常の含金属染料が該当し、第3染料にはカチオン可染ポリアミド繊維とレギュラーポリアミド繊維の双方に高い染着性を有する高染着性含金属染料が該当する。
染色性を異にする少なくとも2種類のパイル糸61・71の外観は、単繊維繊度、総繊度、総繊度斑、合撚の有無、異種繊維の混繊の有無、撚り密度、スペースダイの有無の何れかに起因して相異していてもよい。
染色性を異にする第1パイル糸61と第2パイル糸71が、パイル形成前において、先染め糸か未染色の生地糸、原着糸であるか、或いは、それら第1パイル糸61と第2パイル糸71の単繊維繊度、総繊度、総繊度斑、合撚の有無、異種繊維の混繊の有無、撚り密度、スペースダイの有無の何れかに起因して外観を異にしていれば、その外観の相異によって、後染め捺染されるパイル地生機の下地絵柄41は細かく色分けされる。
それ故に、高染着性含金属染料の使用は、本発明の必須要件としてよりも寧ろ資材管理や工程管理上での好ましい本発明の実施形態として推奨される。
染色性を異にする第1パイル糸61と第2パイル糸71が形成する第1パイル62と第2パイル72が、パイル長短差およびカットパイルとループパイルとの形態差に起因して外観を異にしていれば、その外観の相異によって、後染め捺染されるパイル地生機の下地絵柄41は細かく色分けされる。
図16は、パイル地生機のパイル面を図示し、パイル面には、『※』印によって図示される原着金茶色カチオン可染ポリアミド繊維によって構成される第2パイル72が植設された第2パイル領域20と、『・』印によって図示される未着色白地レギュラーポリアミド繊維によって構成される第1パイル糸61の第1パイル62が植設された第1パイル領域10によって構成される下地絵柄41が描出されている。
下地絵柄41の構図は、『・』印によって図示されるレギュラーポリアミド繊維の第1パイル領域10をベースとし、『※』印によって図示されるカチオン可染ポリアミド繊維によって構成される第2パイル糸71の第2パイル72によってパイル面の全面に描出された網目地模様43と、その第2パイル72に囲まれる網目地模様43の内部に『・』印によって図示される一部の第1パイル領域10に『※』印によって図示される第2パイル72の散点模様45と、網目地模様43の内部の『・』印によって図示される残余の第1パイル領域10の無地模様46とによって構成されている。
混合染液は、下地絵柄41の網目地模様43よりも枡目が広い斜め菱形模様状にパイル面の全面に広がる第1混合染液91と、第1混合染液91に囲まれた菱形枡目内部に印捺された第2混合染液92との2種類になっている。
第2混合染液92は、菱形枡目内部の全面を覆っており、菱形枡目内部に現れる網目地模様43の一部と残余の散点模様45と無地模様46に塗着している。
第1混合染液91と第2混合染液92には、それぞれカチオン可染ポリアミド繊維に染着性を示す普通の低染着性含金属染料とレギュラーポリアミド繊維に染着性を有する普通の酸性染料との2種類の染料が混合されている。
2種類の混合染液に混合されている低染着性含金属染料と酸性染料の発色性は異なり、それらの混合染液に占める染料濃度も少ないので、パイルは薄目に染め上がる。
(1) 第1混合染液91の印捺部分は、図16に『・』印で図示される未着色白地レギュラーポリアミド繊維の第1パイル62と、図16に『※』印で図示される網目地模様43の一部を成す原着金茶色カチオン可染の第2パイル72とで構成されている。
その未着色白地レギュラーポリアミド繊維の第1パイル62は、図18に『■』印(62a)で図示されるように、酸性染料によって着色される。
原着金茶色カチオン可染ポリアミド繊維の第2パイル72は、図18に『+』印(72a)で図示されるように、低染着性含金属染料によって淡い金茶色に着色される。
(2) 第2混合染液92の印捺された網目地模様部分(43)では、それが図16に『※』印で図示されていた原着金茶色カチオン可染ポリアミド繊維の第2パイル72なので、第2混合染液92に配合されている低染着性含金属染料によって薄目に着色され、それが金茶色に予め原着されているので、その原着色彩の金茶色を呈し、図18に『★』印で図示されるように、網目地模様43の状態で再現する。
(3) 第2混合染液92の印捺された散点模様部分(45)では、その図16に『・』印で図示されていた未着色白地レギュラーポリアミド繊維の第1パイル62は、第2混合染液92に配合されている酸性染料によって薄目に着色される。
その図16に『※』印で図示されていた原着金茶色カチオン可染ポリアミド繊維の第2パイル72は、第2混合染液92に配合されている低染着性含金属染料によって更に薄目に着色され、それが金茶色に予め原着されているので、その原着の金茶色を呈し、図18に『★』印で図示されるように、散点模様45の状態で再現する。
(4) 第2混合染液92の印捺された無地模様部分(46)では、それが図16に『・』印で図示されていた未着色白地レギュラーポリアミド繊維の第1パイル62なので、図18に『☆』印(62e)と『○』印(62f)と『◎』印(62g)と『◇』印(62h)で図示されるように、第2混合染液92に配合されている低染着性含金属染料と酸性染料によって薄目に着色される。
尚、図19に図示される多彩色絵柄パイル布帛には、カチオン可染ポリアミド繊維に染着性を示す普通の低染着性含金属染料とレギュラーポリアミド繊維に染着性を有する普通の酸性染料を混合した第2混合染液92が、そのまま使用されている。
そのように、普通の低染着性含金属染料と酸性染料との2種類の染料を混合した第1混合染液に代えて数種類の高染着性含金属染料を混合した混合染液が第1混合染液を使用すると、図19が図示するように、図18に図示されている色分け絵柄の構図が大きく変化する。即ち、図19に図示される多彩色絵柄パイル布帛においては、未着色白地レギュラーポリアミド繊維の第1パイル62aは、『■』印で図19に図示されるように、高染着性含金属染料によって濃目に着色される。
また、原着金茶色カチオン可染ポリアミド繊維の第2パイル72aは、『●』印で図19に図示されるように、酸性染料によって着色されたレギュラーポリアミド繊維のパイルであるかのように高染着性含金属染料によって濃目に着色される。
その結果、原着金茶色カチオン可染ポリアミド繊維の第2パイル72bとレギュラーポリアミド繊維の第1パイル62は、色彩が酷似した同系色となる。
そして同系色になった第1パイル62と第2パイル72bは、連結領域31を形成することになる(図11,図12,図19)。
このように、印捺パターンが同じであっても、染液のレサイプが変われば、パイル面全体の美観も変わり、多彩且つ多種多様な色分け多彩色絵柄パイル布帛を需要に応じて迅速に設計し提供する上で本発明は頗る好都合である。
Blue 171)が例示される。
カチオン可染ポリエステル繊維とレギュラーポリエステル繊維との双方に染着性を示す高染着性分散染料としては、住友化学株式会社製のスミカロン・イエロー・E−RPD、スミカロン・レッド・E−RPD、スミカロン・ブルー・E−RPDが例示される。
タフテッド機では、図3〜図13に図示するように、外観が異なる2種類のパイル糸11・12を交互に配列してパイル長が高低異なる高パイル63・73と低パイル64・74の2種類のパイルを択一的に基布51に植設する柄出装置を備えたハイ・ロータフテッド機の他に、外観の異なる数種類のパイル糸を選択的に植設する柄出装置を備えた所謂カラーテックタフテッド機も好適に使用される。
図3〜図13は、ハイ・ロータフテッド機によって得られたタフテッドパイル地生機を図示し、図中符号14は、基布51の裏面で前後するパイル間を繋ぐバックステッチを図示している。
本発明に好適なパイル地は、基布51が薄く軽量で染色工程での乾燥が短時間で済むタフテッドパイル地、就中、ポリプロピレンテープヤーンを経緯に用いた織基布にパイルを植設したタフテッドパイル地である。
本発明の更に好ましい実施態様は、それらの融合領域(図10)や隣接部分(図11〜13)の色彩が、判定試験表88を2m離れた位置から見て『同一色』と判定される程度に酷似していることである。
それらの色彩を『同等色』と判定される程度に酷似するようにするためには染液をパイルの根元に到着する程度に深くパイル層に浸透させ、又、『同一色』と判定される程度に酷似するようにするためには染液を基布51のバックステッチ面14に滲み出る程度に深くパイル層に浸透させることが好ましい本発明の実施形態となる。
ポリアクリル酸塩2.5重量部、クエン酸0.4重量部、消泡剤0.3重量部、水97重量部によって染液元糊を調製した。
この染液元糊50重量部、田岡化学株式会社製の高染着性含金属染料Lanyl・Yellow・Ge/c(C.I.No.Acid Yellow 116)0.2重量部、ダイスター社製の高染着性含金属染料ISOLAN BOREDAUX R 220%(C.I.No.Acid Red 182)0.2重量部、ダイスター社製の高染着性含金属染料ISOLAN BLUE 3GL(C.I.No.Acid Blue 171)0.3重量部、水50重量部によって第1混合染液91を調製した。
また、染液元糊35重量部、田岡化学株式会社製の高染着性含金属染料Lanyl・Yellow・Ge/c(C.I.No.Acid Yellow 116)0.04重量部、ダイスター社製の高染着性含金属染料ISOLAN BOREDAUX R 220%(C.I.No.Acid Red 182)0.035重量部、ダイスター社製の高染着性含金属染料ISOLAN BLUE 3GL(C.I.No.Acid Blue 171)0.0019重量部、ダイスター社製の酸性染料SUPURALAN Yellow 4GL(C.I.No.Acid Yellow 79)0.13重量部、住友化学株式会社製酸性染料(SUMINOL・M.B.RED・B−conc:C.I.No.Acid Red 249)0.0058重量部、ダイスター社製の酸性染料TELON BLUE M−BLW(C.I.No.Acid Blue 203)0.33重量部、水65重量部によって第2混合染液92を調製した。
非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維によって構成される第1パイル糸と、その第1パイル糸と染着性を共通する住友化学株式会社製カチオン可染最適含金属染料(Lanyl・Yellow・Ge/c:C.I.No.Acid Yellow 116)によってイエローに先染めのカチオン可染ポリアミド繊維によって構成される第2パイルとを交互に配列し、隣り合う第1パイル糸による長パイルと第2パイル糸による長パイルとを択一的に形成し、第1パイル領域と第2パイル領域が細かく分かれて入り込んだ地模様をベースとし、そのベース地模様の上に細長い第1パイル領域と第2パイル領域が交互する斜め菱形格子の網目地模様を描出した図16に図示する下地絵柄のタフテッドパイル生機を調製した。
図17に図示する捺染パターンに従って、第1混合染液(91)と第2混合染液(92)をタフテッドパイル生機のパイル面に印捺する。
即ち、図17に図示する下地絵柄41の網目地模様43よりも枡目が広い斜め菱形模様状部分には、高染着性含金属染料の配合された第1混合染液(91)を印捺し、その枡目が広い斜め菱形模様状部分に囲まれた菱形枡目内部には酸性染料に高染着性含金属染料を混合した第2混合染液(92)を印捺する。
その結果、レギュラーポリアミド繊維が大半を占める菱形枡目内部の無地模様(46)は第2混合染液(92)の主成分である酸性染料によってグリーンに彩られ、その無地模様(46)の菱形枡目内部に散在するカチオン可染ポリアミド繊維散点模様(45)と、無地模様(46)の菱形枡目内部に現れる網目地模様(43)の一部分のカチオン可染ポリアミド繊維網目地模様(43)は、第2混合染液(92)に配合されているカチオン可染最適含金属染料によってベージュに彩られる。
そして、枡目が広い斜め菱形模様状部分に網目地模様(43)の一部分のカチオン可染ポリアミド繊維網目地模様(43)は、第1混合染液(91)に配合されているカチオン可染最適含金属染料によってブラックに彩られ、枡目が広い斜め菱形模様状部分に網目地模様(43)の残余のレギュラーポリアミド繊維は、第1混合染液(91)の主材のカチオン可染最適含金属染料によってブラックに彩られる(図20)。
染色性を異にする2種類のパイルによって下地絵柄が描出されている絵柄パイル布帛を後染めして新たな絵柄を描出するとき、その新たな絵柄は、染色性を異にする2種類のパイル領域が交互して細かく分断されて統制がとれず躍動感を欠くものとなるが、本発明実施例のように、高染着性含金属染料の配合された第1混合染液(91)が印捺された枡目が広い斜め菱形模様状部分が染色性を異にする2種類のパイル領域が交互して細かく分断されていても、図20に図示するように、その染色性を異にするレギュラーポリアミド繊維の第1パイルとカチオン可染ポリアミド繊維の第2パイルを共にブラックの同系色になって途切れ途切れにならず連続し、統制がとれて力強く躍動感を与えるタフテッド多彩色絵柄パイル布帛が得られることになる(図20)。
K,L,M,N,O,P,Q,R,S,T:パイル面の区画
10,10a,10b:第1パイル領域
11,11a,11b:一部の第1パイル領域の一部
12,12a,12b:一部の第1パイル領域の全域
13,13a,13b:全部の第1パイル領域
20,20a,20b,20c,20d:第2パイル領域
21,21a,21b,21c,21d:一部の第2パイル領域の一部
22,22a,22b,22c,22d:一部の第2パイル領域の全域
23,23a,23b,23c,23d:全部の第2パイル領域
14a:隣接部分
24b:隣接部分
30:融合領域
31a,31b:連結領域
32〜39:連続領域
41:下地絵柄
42:色分け絵柄
43:網目地模様
44:統制色分け絵柄
45:散点模様
46:無地模様
51:基布
52:バックステッチ
53:柄際
61:第1パイル糸
62,62a:第1パイル
63:高パイル
64:低パイル
71:第2パイル糸
72,72a,72b:第2パイル
73:高パイル
74:低パイル
80,80aA,80bA,80aB,80bB,80aC,
80bC,80aD,80bD,80aE,80bE,
80aF,80bF,80aG,80bG,80aH,80bH:ランドルト環
81:基板
82:中空円打抜基板
83:円板
84:真円環溝
85a:第1パイル裁断片
85b:第2パイル裁断片
86:ランドルト基盤
87:指標
88:判定試験表
Claims (7)
- 染色性を異にする第1パイル糸(61)の第1パイル(62)が植設された第1パイル領域(10a,10b)と第2パイル糸(71)の第2パイル(72)が植設された第2パイル領域(20a,20b,20c,20d)によってパイル地のパイル形成過程において構成され、それらのパイルが隣り合う第1パイル領域(10)と第2パイル領域(20)の境界線によって柄際(53)が形成された下地絵柄(41)が描出されており、
一部の第1パイル領域(10a)の一部(11a)か、一部の第1パイル領域(10a)の全域(12a)か、全部の第1パイル領域(13a,13b)の何れか、又は、一部の第2パイル領域(20a)の一部(21a)か、一部の第2パイル領域(20a)の全域(22a)か、全部の第2パイル領域(23a,23b,23c,23d)の何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄(42)が下地絵柄(41)に重なって描出され、
前記色分け絵柄(42)は、前記染着性を異にする染料が混合された混合染液に色分けされ、
前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている多彩色絵柄パイル布帛。 - 前記染着性を異にする染料には、第1パイル糸(61)と第2パイル糸(71)の双方に対し染着性を有する染料が含まれている請求項1に記載の多彩色絵柄パイル布帛。
- 染色性を異にする第1パイル糸(61)の第1パイル(62)が植設された第1パイル領域(10a,10b)と第2パイル糸(71)の第2パイル(72)が植設された第2パイル領域(20a,20b,20c,20d)によってパイル地のパイル形成過程において構成され、それらのパイルが隣り合う第1パイル領域(10)と第2パイル領域(20)の境界線によって柄際(53)が形成された下地絵柄(41)が描出されており、
一部の第1パイル領域(10a)の一部(11a)か、一部の第1パイル領域(10a)の全域(12a)か、全部の第1パイル領域(13a,13b)の何れか、又は、一部の第2パイル領域(20a)の一部(21a)か、一部の第2パイル領域(20a)の全域(22a)か、全部の第2パイル領域(23a,23b,23c,23d)の何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄(42)が下地絵柄(41)に重なって描出され、
前記染着性を異にする染料には、第1パイル糸(61)と第2パイル糸(71)の双方に対し染着性を有する染料が含まれ、
前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている多彩色絵柄パイル布帛。 - 前記染着性を異にする染料には、第1パイル糸(61)に対し染着性を有する染料も含まれている請求項1〜3の何れか1項に記載の多彩色絵柄パイル布帛。
- 第1パイル領域(10a)の第2パイル領域(20a)に対する隣接部分(14a)と、第2パイル領域(20a)の第1パイル領域(10b)に対する隣接部分(24a)における基布(51)のバックステッチ面(14)に、前記染着性を異にする染料を含む染液が滲み出て、色彩が同色の融合領域(30)を構成している請求項1〜4の何れか1項に記載の多彩色絵柄パイル布帛。
- (1) 染色性を異にする第1経糸と第2経糸、および、第1経糸と染色性を同じくする第1緯糸と第2経糸と染色性を同じくする第2緯糸によって織成された織物の表面に、それらの染色性を同じくする第1経糸と第1緯糸によって織成される第1画素領域と染色性を同じくする第2経糸と第2緯糸によって織成される第2画素領域との境界線によって柄際(53)が形成された下地絵柄(41)が描出されており、
(2) 一部の第1画素領域(10a)の一部(11a)か、一部の第1画素領域(10a)の全域(12a)か、全部の第1画素領域(13a,13b)の何れか、又は、一部の第2画素領域(20a)の一部(21a)か、一部の第2画素領域(20a)の全域(22a)か、全部の第2画素領域(23a,23b,23c,23d)の何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄(42)が下地絵柄(41)に重なって描出され、
前記色分け絵柄(42)は、前記染着性を異にする染料が混合された混合染液に色分けされ、
前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている多彩色絵柄織物地。 - (1) 染色性を異にする第1経糸と第2経糸、および、第1経糸と染色性を同じくする第1緯糸と第2経糸と染色性を同じくする第2緯糸によって織成された織物の表面に、それらの染色性を同じくする第1経糸と第1緯糸によって織成される第1画素領域と染色性を同じくする第2経糸と第2緯糸によって織成される第2画素領域との境界線によって柄際(53)が形成された下地絵柄(41)が描出されており、
(2) 一部の第1画素領域(10a)の一部(11a)か、一部の第1画素領域(10a)の全域(12a)か、全部の第1画素領域(13a,13b)の何れか、又は、一部の第2画素領域(20a)の一部(21a)か、一部の第2画素領域(20a)の全域(22a)か、全部の第2画素領域(23a,23b,23c,23d)の何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄(42)が下地絵柄(41)に重なって描出され、
前記染着性を異にする染料には、第1画素糸(61)と第2画素糸(71)の双方に対し染着性を有する染料が含まれ、
前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている多彩色絵柄織物地。
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