JP6641528B2 - エレベータ、その懸架体、及びその製造方法 - Google Patents

エレベータ、その懸架体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、かごがベルト状の懸架体により吊り下げられているエレベータ、及びその懸架体の構造、及びその懸架体の製造方法に関するものである。
従来の強化繊維を用いた巻上機のロープでは、荷重支持部は、ポリママトリックス及び強化繊維により構成されている。強化繊維としては、炭素繊維又はガラス繊維が用いられている。また、強化繊維は、ポリママトリックス内に均一に分散されており、かつロープの長手方向に平行に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
このような強化繊維を用いたロープは、鋼線を撚ったワイヤロープに比べて、重量あたりの破断強度が高い。そのため、特に長いロープが必要となる高層エレベータでは、ロープ全体の重量を低減でき、巻上機の駆動負担を低減することができる。
特許第5713682号公報
しかし、上記のような従来のロープは、柔軟性に乏しいため、巻上機の駆動シーブに沿って曲げ難いだけでなく、曲げられることで内部の応力が高くなり、破断する恐れがある。これを避けるためには、駆動シーブの直径を大きくする必要がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、曲げられたときに懸架体の荷重支持層に生じる応力を低減することができるエレベータ、その懸架体、及びその製造方法を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層は、コアの厚さ方向に互いに間隔をおいて配置されている複数の分割層に分割されており、コアの厚さ方向に隣り合う分割層の間には、荷重支持層とは異なる材料からなる中間層が介在している。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層は、コアの厚さ方向に互いに間隔をおいて配置されている一対の外側支持層と、一対の外側支持層の間に介在している中間支持層とを有しており、一対の外側支持層の曲げ剛性が中間支持層の曲げ剛性よりも低い。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層は、コアの厚さ方向に分割された複数の層により構成されており、荷重支持層を構成する層のうち、駆動シーブの外周に沿って曲げられたときに駆動シーブの径方向の最も外側に位置する層である最外層の曲げ剛性が、荷重支持層を構成する他の層よりも低い。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層は、コアの厚さ方向に分割された複数の層により構成されており、荷重支持層を構成する層の曲げ剛性は、コアの厚さ方向の一方から他方へ向けて徐々に低くなっている。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアの厚さ方向の両端の少なくともいずれか一方における荷重支持層の弾性率と幅との積が、コアの中立面における荷重支持層の弾性率と幅との積よりも小さい。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアの厚さ方向の両端における荷重支持層の弾性率と幅との積が、互いに異なっている。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアは、幅方向に互いに間隔をおいて配置されている複数のコア分割体に分割されており、隣り合うコア分割体の間には、被覆層が入り込んでいる。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層の厚さ方向の中央部における高強度繊維の密度は、荷重支持層の厚さ方向の両端部における高強度繊維の密度よりも高い。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層の厚さ方向の第1の端部における高強度繊維の密度は、荷重支持層の厚さ方向の第2の端部における高強度繊維の密度よりも高い。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアは、互いに間隔をおいて配置されている複数のコア分割体に分割されており、隣り合うコア分割体の間には、被覆層が入り込んでおり、各コア分割体の厚さ方向の中央部における高強度繊維の密度は、各コア分割体の厚さ方向の両端部における高強度繊維の密度よりも高い。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層の幅方向の中央部における高強度繊維の密度は、荷重支持層の幅方向の両端部における高強度繊維の密度よりも高い。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアは、互いに間隔をおいて配置されている複数のコア分割体に分割されており、隣り合うコア分割体の間には、被覆層が入り込んでおり、各コア分割体の長さ方向に直角な断面形状は、円形であり、各コア分割体における高強度繊維は、螺旋状に捻られた状態で配置されている。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、荷重支持層の内部の高強度繊維は、コアの長さ方向に平行に配置されており、荷重支持層の外周部の高強度繊維の少なくとも一部は、コアの長さ方向に対して交差する方向に配置されている。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアは、互いに間隔をおいて配置されている複数のコア分割体に分割されており、隣り合うコア分割体の間には、含浸樹脂と同材料からなる第1の樹脂層と、被覆層と同材料からなる第2の樹脂層とが介在している。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と、複数の高強度繊維束とを含む荷重支持層を有しているコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、各高強度繊維束には、複数の高強度繊維が螺旋状に捻られた状態で配置されている。
また、この発明に係るエレベータの懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアの幅方向の両端部は、被覆層から外部に露出している。
また、この発明に係るエレベータは、かご、駆動シーブを有する巻上機、及び駆動シーブに巻き掛けられており、かつかごを吊り下げている懸架体を備え、懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、コアの厚さ方向の一端と他端とに剛性差が付けられており、懸架体は、懸架体を駆動シーブの外周面に沿わせたときに懸架体が曲がり易い方向に曲がる向きで、駆動シーブに巻き掛けられている。
また、この発明に係るエレベータは、かご、駆動シーブを有する巻上機、駆動シーブに巻き掛けられており、かつかごを吊り下げている懸架体、及び懸架体の両端部に設けられている一対の端末保持装置を備え、懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、一対の端末保持装置は、懸架体の内部で荷重支持層が懸架体の長さ方向へずれるのを阻止するように懸架体の両端部を保持しており、懸架体にかごの荷重がかかり懸架体が駆動シーブに沿って曲げられた状態で、荷重支持層に発生する懸架体の長さ方向の引張最大応力が、懸架体の長さ方向の引張強度よりも小さくなり、かつ、荷重支持層に発生する懸架体の長さ方向の圧縮最大応力が懸架体の長さ方向の圧縮強度よりも小さくなるように、駆動シーブの半径が設定されている。
また、この発明に係るエレベータは、かご、駆動シーブを有する巻上機、駆動シーブに巻き掛けられており、かつかごを吊り下げている懸架体、及び懸架体の両端部に設けられている一対の端末保持装置を備え、懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、一対の端末保持装置の少なくともいずれか一方は、懸架体の厚さ方向の一端と他端とが懸架体の長さ方向にずれた状態で懸架体の両端部を保持している。
また、この発明に係るエレベータは、昇降体、駆動シーブを有する巻上機、駆動シーブに巻き掛けられており、かつ昇降体を吊り下げている懸架体、及び懸架体の両端部に設けられている一対の端末保持装置を備え、懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、一対の端末保持装置の少なくともいずれか一方は、懸架体の幅方向に平行な軸を中心として回転可能に昇降体に連結されている。
また、この発明に係るエレベータは、かご、駆動シーブを有する巻上機、及び駆動シーブに巻き掛けられており、かつかごを吊り下げている懸架体を備え、懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、懸架体の長さ方向の少なくともいずれか一方の端部は、円弧に沿って曲げられている。
また、この発明に係るエレベータは、かご、駆動シーブを有する巻上機、及び駆動シーブに巻き掛けられており、かつかごを吊り下げている懸架体を備え、懸架体は、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及びコアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層を備え、懸架体は輪状になっている。
また、この発明に係るエレベータの懸架体の製造方法は、それぞれ高強度繊維織物を含む複数の高強度繊維層と、高強度繊維織物よりも弾性率の低い低弾性繊維織物を含む低弾性繊維層とを交互に積層して積層体を形成する工程、積層体に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させる工程、未硬化の熱硬化性樹脂を加熱硬化させてコアを形成する工程、及びコアの外周の少なくとも一部を覆う被覆層を形成する工程を含む。
また、この発明に係るエレベータの懸架体の製造方法は、一方に高強度繊維織物を含む複数の高強度繊維層を、他方に高強度繊維織物よりも弾性率の低い低弾性繊維織物を含む低弾性繊維層を積層して積層体を形成する工程、積層体に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させる工程、未硬化の熱硬化性樹脂を加熱硬化させてコアを形成する工程、及びコアの外周の少なくとも一部を覆う被覆層を形成する工程を含む。
また、この発明に係るエレベータの懸架体の製造方法は、高強度繊維糸集束部から引抜装置を通過させて集束部に戻し、集束体を形成する工程、集束体に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させる工程、未硬化の熱硬化性樹脂を加熱硬化させてコアを形成する工程、及びコアの外周の少なくとも一部を覆う被覆層を形成する工程を含む。
また、この発明に係るエレベータの懸架体の製造方法は、複数の高強度繊維と樹脂とからなる複数の一方向FRP板を形成する工程、熱可塑性樹脂からなる中間層熱可塑シートと一方向FRP板とを交互に積層して積層体を形成する工程、及び加圧成形により、積層体を一体化してコアを形成するとともに、コアの外周の少なくとも一部を覆う被覆層を形成する工程を含む。
また、この発明に係るエレベータの懸架体の製造方法は、繊維密度が異なる複数の高強度繊維群を、それぞれ対応するボビンから繰り出す工程、複数の高強度繊維群を、互いの相対位置を維持しつつ、互いに近付け、複数の高強度繊維群の束を形成する工程、束に含浸樹脂を含浸させる工程、樹脂含浸された束を加熱成形してコアを形成する工程、及びコアの外周の少なくとも一部を覆う被覆層を形成する工程を含む。
また、この発明に係るエレベータの懸架体の製造方法は、複数の高強度繊維群を、それぞれ対応するボビンから繰り出す工程、複数の高強度繊維群を互いに近付け、複数の高強度繊維群の束を形成する工程、束を捻るとともに、束に含浸樹脂を含浸させる工程、樹脂含浸された束を加熱成形してコアを形成する工程、及びコアの外周の少なくとも一部を覆う被覆層を形成する工程を含む。
この発明のエレベータ、その懸架体、及びその製造方法は、曲げられたときに懸架体の荷重支持層に生じる応力を低減することができる。
この発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。 図1の懸架体の長さ方向に直角な断面を模式的に示す断面図である。 図2の断面構造を有する懸架体の断片を折り曲げた状態を示す断面図である。 図3のIV部を拡大して示す断面図である。 図2の分割層を4層とした変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態2によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態3によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態4によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態4の第1の変形例を示す断面図である。 実施の形態4の第2の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態5によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態6によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態7によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態8によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態8の第1の変形例を示す断面図である。 実施の形態8の第2の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態9によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態9の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態10によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態11によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態12によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態13によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態14によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態15によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態15の第1の変形例を示す断面図である。 実施の形態15の第2の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態16によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態16の第1の変形例を示す断面図である。 実施の形態16の第2の変形例を示す断面図である。 実施の形態16の第3の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態17によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態18によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態19によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態19の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態20によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態21によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態22によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態22の第1の変形例を示す断面図である。 実施の形態22の第2の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態23によるエレベータの懸架体の断面図である。 実施の形態23の第1の変形例を示す断面図である。 実施の形態23の第2の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態24によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態25によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態26によるエレベータの懸架体が駆動シーブに掛けられた状態を示す側面図である。 図45の非接着部の断面図である。 図45の接着部の断面図である。 実施の形態26の非接着部の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態27によるエレベータの要部を示す構成図である。 図49の端末保持装置の断面図である。 図49の懸架体の駆動シーブに巻き掛けられている部分の形状変化を示す説明図である。 図49の懸架体の駆動シーブに巻き掛けられた部分の長さ方向の応力状態を示す説明図である。 図49の端末保持装置の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態28によるエレベータの要部を示す構成図である。 図54の端末保持装置の断面図である。 図54の端末保持装置の変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態29によるエレベータの端末保持装置の断面図である。 図57の端末保持装置が回転した状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態30によるエレベータの要部を示す構成図である。 この発明の実施の形態31によるエレベータの要部を示す構成図である。 この発明の実施の形態32によるエレベータの要部を示す構成図である。 この発明の実施の形態33によるエレベータの要部を示す構成図である。 この発明の実施の形態34によるエレベータの要部を示す構成図である。 この発明の実施の形態35によるエレベータの懸架体の製造途中の状態を示す断面図である。 図64の高強度繊維層を部分的に拡大して示す断面図である。 実施の形態35の懸架体の第1の製造装置を示す概略の構成図である。 図66の第1の製造装置で製造された懸架体のコアの断面図である。 実施の形態35の懸架体の第2の製造装置を示す概略の構成図である。 図68の加圧成形装置によるコア及び熱可塑シートの加圧状態を示す断面図である。 図69の加圧成形装置により加圧成形された完成前の懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態36によるエレベータの懸架体の製造途中の状態を示す断面図である。 図71の積層体の加熱硬化による変化を示す説明図である。 この発明の実施の形態37による製造方法により製造された懸架体の断面図である。 図73の懸架体の製造途中の状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態38の懸架体の製造装置の一部を示す概略の構成図である。 この発明の実施の形態39の製造方法による懸架体の製造途中の状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態40の製造方法による懸架体の製造途中の状態を示す断面図である。 図77の一方向FRP板の断面図である。 図77の加圧成形工程により加圧成形された完成前の懸架体の断面図である。 実施の形態40の製造方法により製造された懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態41の製造方法による懸架体の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態41の懸架体の端部を予備加熱する工程を示す側面図である。 図82の予備加熱の後に懸架体の端部を加圧成形する工程の第1の例を示す側面図である。 図83の第1の成形型と第2の成形型との間に懸架体の端部を挟んだ状態を示す側面図である。 図84の工程により湾曲した懸架体の端部を示す側面図である。 図82の予備加熱の後に懸架体の端部を加圧成形する工程の第2の例を示す側面図である。 図86の第1の成形型と第2の成形型との間に懸架体の端部を挟んだ状態を示す側面図である。 図87の工程により変形した懸架体の端部を示す側面図である。 この発明の実施の形態42によるエレベータの懸架体の第1の製造装置を示す概略の構成図である。 この発明の実施の形態43によるエレベータの懸架体の断面図である。 図90の101a部を拡大して示す断面図である。 図90の101b部を拡大して示す断面図である。 実施の形態43における懸架体の製造装置を示す概略の構成図である。 図93の要部断面図である。 この発明の実施の形態44による荷重支持層の厚さ方向の中央部を拡大して示す断面図である。 実施の形態44による荷重支持層の厚さ方向の端部を拡大して示す断面図である。 この発明の実施の形態45によるエレベータの懸架体の断面図である。 図97の101c部を拡大して示す断面図である。 図97の101d部を拡大して示す断面図である。 この発明の実施の形態46によるエレベータの懸架体の断面図である。 図100の101e部を拡大して示す断面図である。 この発明の実施の形態47によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態48によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態49によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態50によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態51によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態52によるエレベータの懸架体の断面図である。 図107の101f部を拡大して示す断面図である。 図107の101g部を拡大して示す断面図である。 この発明の実施の形態53による荷重支持層の幅方向の中央部を拡大して示す断面図である。 実施の形態53による荷重支持層の幅方向の端部を拡大して示す断面図である。 この発明の実施の形態54によるエレベータの懸架体の断面図である。 図112の第1のコア分割体を示す平面図である。 図112の第2のコア分割体を示す平面図である。 この発明の実施の形態55によるエレベータの懸架体の断面図である。 図115のコア分割体を示す平面図である。 この発明の実施の形態56によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態57によるエレベータの懸架体の断面図である。 この発明の実施の形態58によるエレベータの懸架体の断面図である。 図119の113部を拡大して示す断面図である。 図120の第1の高強度繊維束を示す平面図である。 図120の第2の高強度繊維束を示す平面図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。図において、昇降路1の上部には、機械室2が設けられている。機械室2には、巻上機3、そらせ車4、及びエレベータ制御装置5が設置されている。巻上機3は、駆動シーブ6と、駆動シーブ6を回転させる巻上機モータ(図示せず)と、駆動シーブ6の回転を制動する巻上機ブレーキ(図示せず)とを有している。
駆動シーブ6及びそらせ車4には、複数本(図1では1本のみ示す)の懸架体7が巻き掛けられている。各懸架体7は、昇降体としてのかご8に接続されている第1の端部7aと、昇降体としての釣合おもり9に接続されている第2の端部7bとを有している。
かご8及び釣合おもり9は、1:1ローピング方式で懸架体7により吊り下げられている。また、かご8及び釣合おもり9は、駆動シーブ6を回転させることにより昇降路1内を昇降する。エレベータ制御装置5は、巻上機3を制御することにより、かご8の運行を制御する。
昇降路1内には、一対のかごガイドレール(図示せず)及び一対の釣合おもりガイドレール(図示せず)が設置されている。かごガイドレールは、かご8の昇降を案内する。釣合おもりガイドレールは、釣合おもり9の昇降を案内する。
かご8は、かご枠10及びかご室11を有している。懸架体7は、かご枠10に接続されている。かご室11は、かご枠10に支持されている。
図2は図1の懸架体7の長さ方向(図2のZ軸方向)に直角な断面を模式的に示す断面図である。懸架体7は、厚さ方向(図2のY軸方向)の寸法が幅方向(図2のX軸方向)の寸法よりも小さいベルト状である。即ち、懸架体7は、いわゆるフラットベルトである。
また、懸架体7は、厚さ方向のいずれか一方の端面であるシーブ接触面7cを有している。シーブ接触面7cは、懸架体7が駆動シーブ6に巻き掛けられたときに駆動シーブ6の外周面に接触する。即ち、懸架体7は、駆動シーブ6を通過する際、シーブ接触面7cが内側となるように駆動シーブ6の外周面に沿って曲げられる。
懸架体7は、ベルト状のコア21と、コア21の全周を覆っている被覆層22とを有している。
被覆層22の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、被覆層22の材料として、オレフィン系、スチレン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、又はブタジエン系の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
さらに、被覆層22の材料として、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなとの熱硬化性エラストマー(ゴム)を用いてもよい。
さらにまた、被覆層22の材料として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリ−パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、又は玄武岩繊維を用いてもよい。また、繊維と樹脂との複合材料であってもよい。
被覆層22の材料としては、耐熱性及び耐摩耗性が高い材料が好ましい。被覆層22の材料を変更することで、懸架体7と駆動シーブ6との間の摩擦係数を調整することができる。
コア21は、荷重支持層23と、複数の中間層24とを有している。荷重支持層23は、コア21の厚さ方向、即ち懸架体7の厚さ方向に複数に分割されている。即ち、荷重支持層23は、コア21の厚さ方向に互いに間隔をおいて配置されている複数の分割層25により構成されている。
中間層24は、被覆層22及び荷重支持層23とは異なる材料からなっている。また、中間層24は、コア21の厚さ方向に隣り合う分割層25の間に介在している。即ち、分割層25及び中間層24は、コア21の厚さ方向に交互に積層されている。この例では、荷重支持層23が3層の分割層25に分割されている。このため、2層の中間層24が用いられている。
また、中間層24は、コア21の厚さ方向に隣り合う分割層25の間の全体に介在していてもよいし、屈曲部のみに介在してもよい。これにより、隣り合う分割層25同士は直接接しておらず、また隣り合う分割層25の間には被覆層22が入り込んでいない。
荷重支持層23は、懸架体7に作用する荷重を主として支持する層である。また、荷重支持層23は、含浸樹脂と、含浸樹脂内に設けられている高強度繊維群とを含んでいる。
高強度繊維群は、コア21の長さ方向(図2のZ軸方向)に沿って配置された複数の高強度繊維を含んでいる。また、高強度繊維群は、コア21の長さ方向に沿って配置された高強度繊維を含む高強度繊維の織物又は組み紐であってもよい。
高強度繊維は、軽量で高強度な繊維である。高強度繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリ−パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、又は玄武岩繊維を用いることができる。また、高強度繊維として、これらの繊維を組み合わせた複合繊維を用いてもよい。
荷重支持層23の含浸樹脂としては、ポリウレタン、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シリコーンなどの熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、含浸樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂を用いることもできる。
さらに、含浸樹脂は、グリース、油などの潤滑材を含むことができる。また、含浸樹脂の代わりにグリースなどの潤滑材を用いてもよい。
特に、含浸樹脂としては、高強度繊維との接着性が良い樹脂が好ましい。含浸樹脂として弾性率の低い樹脂を用いれば、懸架体7の曲げ剛性をより低くすることができる。一方、含浸樹脂として弾性率の高い樹脂を用いれば、高強度繊維を強固に一体化して懸架体7の強度のばらつきを低減することができる。
中間層24のせん断剛性は、分割層25のせん断剛性よりも低い。中間層24の材料としては、ポリウレタン、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シリコーンなどの熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、中間層24の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂を用いることもできる。
このようなエレベータの懸架体7では、荷重支持層23がコア21の厚さ方向に分割されており、隣り合う分割層25の間に中間層24が介在しているので、中間層24の材料の選択により、コア21の曲げ易さを改善することができる。また、コア21が曲げられたときに最内層に位置する分割層25及び最外層に位置する分割層25の応力を緩和することができる。これにより、駆動シーブ6の直径を小さくすることもできる。
また、中間層24のせん断剛性を分割層25のせん断剛性よりも低くしたので、コア21が曲げられたときに中間層24がせん断方向(図2のZ軸方向)へ変形し易くなる。これにより、コア21が曲げられたときに最内層に位置する分割層25及び最外層に位置する分割層25の応力をより確実に緩和することができる。
図3は図2の断面構造を有する懸架体7の断片を折り曲げた状態を示す断面図であり、懸架体7の長さ方向に沿う断面(YZ断面)を示している。また、図4は図3のIV部を拡大して示す断面図である。図4に示すように、懸架体7が曲げられたとき、中間層24がコア21の長さ方向にせん断変形し、懸架体7の屈曲性が向上する。
なお、分割層25の層数は、3層に限定されるものではなく、例えば図5に示すように4層であってもよい。即ち、分割層25の層数は、2層以上であれば何層であってもよい。分割層25の層数をnとすると、中間層24の層数はn−1となる。
また、中間層24のせん断弾性率は、被覆層22のせん断弾性率よりも低くすることが望ましい。これにより、分割層25間がよりせん断変形し易くなり、懸架体7の屈曲性がさらに向上する。また、コア21が曲げられたときに荷重支持層23に生じる応力をさらに低減することができる。
さらに、中間層24の材料の圧縮剛性は、荷重支持層23の材料の圧縮剛性よりも低くすると、懸架体7が駆動シーブ6を通過する際に、断面を圧縮する方向の荷重を懸架体7が受け、圧縮荷重を受けた部分の厚みが薄くなり、懸架体7が曲がり易くなる。
さらにまた、中間層24は、分割層25よりも弾性率の低い特性を持つエラストマー材料で構成してもよい。エラストマー材料としては、例えば、オレフィン系、スチレン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、又はブタジエン系の熱可塑性エラストマーを用いることができる。また、エラストマー材料として、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの熱硬化性エラストマー(ゴム)を用いることもできる。
また、中間層24の材料として、固体と液体との中間的な性質を併せ持つ高分子ゲルを用いてもよい。
さらに、中間層24の材料として、液体潤滑材、半固体潤滑材、固体潤滑材等の潤滑材を用いてもよい。液体潤滑材としては、例えば潤滑油が挙げられる。半固体潤滑材としては、例えばグリースが挙げられる。固体潤滑材としては、例えば、グラファイト、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、又はポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
さらにまた、中間層24は、荷重支持層23と接着されない低摩擦のシートで構成されていてもよい。シートとしては、例えば、オレフィン系シート、フッ素系シート、ポリエステル系シート、又はポリアミド系シートを用いることができる。
オレフィン系シートの材料としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレンが挙げられる。フッ素系シートの材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。ポリエステル系シートの材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリアミド系シートの材料としては、例えば6ポリアミドが挙げられる。
また、シートは、複数層重ねて配置することができ、さらには、液体潤滑材、半固体潤滑材、及び、固体潤滑材を併用して使用することができる。例えば、固体潤滑材のシートの表面に液体潤滑材を配置した構成が考えられる。このような潤滑材を用いることにより、中間層24におけるせん断抵抗を低下させることができ、懸架体7の屈曲性が向上する。
さらに、中間層24の材料として、分割層25に比べて、柔軟かつ圧縮方向のクッション性に富んだ材料を用いてもよい。このような材料としては、例えば、高分子発泡体が挙げられる。高分子発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリエチレンテレフタレート発泡体、ポリプロピレン発泡体、アクリル発泡体、ポリスチレン発泡体、フェノール発泡体、シリコーン発泡体、又はEVA発泡体が挙げられる。
このような圧縮方向のクッション性に富んだ材料を用いることにより、かご8の運転時の振動及び衝撃を吸収することができる。また、懸架体7が張力を受けた際、懸架体7の駆動シーブ6に接する部分が厚み方向に圧縮され、その部分の厚みが薄くなるため、懸架体7が曲げ変形し易くなる。
また、中間層24内に繊維(以下、中間層繊維と称する)を含んでもよい。この場合の中間層繊維の形態は、コア21の長さ方向に連続した連続繊維が好ましいが、長繊維又は短繊維でも構わない。中間層24内に中間層繊維を入れることで、中間層24の圧縮方向、即ち厚さ方向の変形を抑制できるため、圧縮荷重を受けたときの分割層25の屈曲による応力集中を緩和することができる。
さらに、中間層24内に中間層繊維を入れる場合、荷重支持層23内でコア21の長さ方向に沿って配置されている高強度繊維の繊維密度又は弾性率よりも、中間層24内でコア21の長さ方向に沿って配置されている中間層繊維の繊維密度又は弾性率を低くするのが好適である。
これにより、中間層24の圧縮変形を抑制しつつ、荷重支持層23よりもコア21の長さ方向の曲げ剛性を低くすることができ、懸架体7の屈曲性が向上する。
繊維密度を低くする方法としては、例えば、繊維径を細くする方法、又は繊維の含有率を低くする方法がある。繊維の弾性率を低くする方法として、例えば、荷重支持層23の高強度繊維が炭素繊維の場合、中間層繊維には、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維、又はアラミド繊維を用いる方法がある。
また、中間層24内に中間層繊維を入れる場合、中間層繊維は、コア21の長さ方向に対して傾斜、例えば45度傾斜した傾斜繊維を含んでもよい。この構成により、コア21の長さ方向の曲げに対する剛性を下げつつ、捻りに対する剛性を向上させることができる。
さらに、中間層24内に中間層繊維を入れる場合、中間層繊維は、コア21の長さ方向に対して直交する方向、即ち懸架体7の幅方向に沿って配置された直交繊維を含んでもよい。この構成により、コア21の長さ方向の曲げに対する剛性を下げつつ、コア21の幅方向の曲げ剛性を向上させることができる。
さらにまた、実施の形態1の荷重支持層23は、含浸樹脂を含まずに高強度繊維群から構成されていてもよい。この構成により、さらに曲げ剛性を低減することができる。
また、被覆層22に潤滑材を含ませてもよい。
さらに、被覆層22、荷重支持層23、及び中間層24のそれぞれについて、長さ方向の位置により前記潤滑材が含まれている部分と含まれていない部分とがあってもよい。
実施の形態2.
次に、図6はこの発明の実施の形態2によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態2のコア21は、懸架体7の幅方向に互いに間隔をおいて配置されている複数のコア分割体26に分割されている。この例では、コア21が3つのコア分割体26に分割されている。懸架体7の幅方向に隣り合うコア分割体26の間には、被覆層22が入り込んでいる。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような懸架体7では、コア分割体26間に被覆層22の樹脂が介在しているため、懸架体7がその幅方向にも曲げ易くなる。このため、駆動シーブ6の懸架体7に接する面が懸架体7の幅方向に湾曲している場合に、懸架体7を駆動シーブ6に沿って曲げ易くなる。
なお、コア21の分割数は、2つ以上であればいくつでもよい。
また、コア21を分割する構成においても、分割層25の層数及び中間層24の構成について実施の形態1と同様の変更が可能である。
実施の形態3.
次に、図7はこの発明の実施の形態3によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態3では、懸架体7の厚さ方向に互いに間隔をおいて配置された2つのコア21が、被覆層22内に設けられている。懸架体7の厚さ方向に隣り合うコア21の間には、被覆層22が入り込んでいる。各コア21は、3層の分割層25と2層の中間層24とを有している。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような懸架体7では、曲げられた際に、各コア21内の中間層24と、コア21間に入り込んでいる被覆層22の樹脂との両方のせん断方向への変形により、分割層25に生じる応力を低減することができる。
なお、コア21の数は、2つ以上であればいくつでもよい。
また、被覆層22内に2つ以上のコア21を配置する構成においても、分割層25の層数及び中間層24の構成について実施の形態1と同様の変更が可能である。
さらに、被覆層22内に2つ以上のコア21を配置する構成において、少なくとも一部のコア21を実施の形態2のように複数のコア分割体26に分割してもよい。即ち、実施の形態2、3を組み合わせて実施してもよい。
実施の形態4.
次に、図8はこの発明の実施の形態4によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態4では、各中間層24に複数の変形抑制部材27が設けられている。各変形抑制部材27は、コア21の厚さ方向、即ち圧縮方向への中間層24の変形を抑制する。このため、変形抑制部材27は、中間層24よりも圧縮剛性の高い材料により構成されている。
また、実施の形態4の変形抑制部材27は、コア21の厚さ方向に隣り合う分割層25の間に介在し、分割層25の間隔を保持するスペーサとして機能する。図8では、変形抑制部材27の断面形状は円形である。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような懸架体7では、懸架体7の圧縮強度が向上し、中間層24の圧縮方向の変形が抑制されるため、コア21が厚み方向に圧縮荷重を受けたときに最内層に位置する分割層25及び最外層に位置する分割層25の応力集中を緩和することができる。
図9は実施の形態4の第1の変形例を示す断面図である。第1の変形例では、断面矩形の変形抑制部材28が用いられている。このように、変形抑制部材の断面形状は、円形に限定されない。
図10は実施の形態4の第2の変形例を示す断面図であり、懸架体7の長さ方向に沿う断面(YZ断面)を示している。第2の変形例では、波板状の変形抑制部材29が用いられている。
なお、変形抑制部材は、コア21の長さ方向に連続して配置しても、長さ方向に複数に分割して配置してもよい。また、粒状の変形抑制部材をコア21の長さ方向に分散して配置してもよい。
また、変形抑制部材は、懸架体7の全長に渡って配置しても、懸架体7の端部及び駆動シーブ6に接する部分など、懸架体7に圧縮荷重が作用する部分のみに配置してもよい。
さらに、変形抑制部材は、分割層に直接接触しないように中間層に埋設してもよい。
さらにまた、実施の形態2、3の中間層に変形抑制部材を設けてもよい。
実施の形態5.
次に、図11はこの発明の実施の形態5によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態5のコア21は、中間層24を有しておらず、荷重支持層23のみにより構成されている。荷重支持層23は、一対の外側支持層である最外層31及び最内層32と、中間支持層33とを有している。
最外層31は、懸架体7が駆動シーブ6に沿って曲げられたときに、コア21の中で駆動シーブ6の径方向の最も外側に配置される層である。最内層32は、懸架体7が駆動シーブ6に沿って曲げられたときに、コア21の中で駆動シーブ6の径方向の最も内側に配置される層である。
中間支持層33は、コア21の長さ方向及び幅方向の全体に渡って最外層31と最内層32との間に均等に介在している。最外層31、最内層32及び中間支持層33は、いずれも実施の形態1と同様に、含浸樹脂と、含浸樹脂内に設けられている高強度繊維群とを含んでいる。
但し、実施の形態5では、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。各層の曲げ剛性は、例えば、高強度繊維群に含まれる高強度繊維の密度、高強度繊維の材料、又は含浸樹脂の材料を変えることにより調整することができる。
即ち、最外層31及び最内層32における高強度繊維の密度を、中間支持層33における高強度繊維の密度よりも低くすることにより、最外層31及び最内層32の曲げ剛性を、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くすることができる。
また、最外層31及び最内層32の弾性率を、中間支持層33の弾性率よりも低くすることによっても、最外層31及び最内層32の曲げ剛性を、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くすることができる。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような懸架体7では、曲げられたときに伸縮しない面である中立面Cから離れた位置にある最外層31及び最内層32の曲げ剛性が、中間支持層33の曲げ剛性よりも低いため、コア21の長さ方向の屈曲性が向上する。これにより、懸架体7が曲げられたときに、荷重支持層23に生じる応力を低減することができる。
実施の形態6.
次に、図12はこの発明の実施の形態6によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態6では、最外層31と中間支持層33との間、及び最内層32と中間支持層33との間に、実施の形態1と同様の中間層24が介在している。即ち、最外層31、最内層32及び中間支持層33は、それぞれ実施の形態1の分割層25として見ることもできる。
このような懸架体7では、実施の形態1で説明したように、中間層24がせん断方向へ変形し易いため、コア21の長さ方向の屈曲性がより向上する。特に、中間層24をせん断剛性の低い材料で構成することで、懸架体7が曲げられたときに、荷重支持層23に生じる応力をより緩和することができる。
実施の形態7.
次に、図13はこの発明の実施の形態7によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態7では、最外層31及び最内層32のそれぞれの厚さ寸法が、中間支持層33の厚さ寸法よりも小さくなっている。これにより、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。他の構成は、実施の形態6と同様である。
このような構成によっても、最外層31及び最内層32の曲げ剛性を、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くすることができ、懸架体7の屈曲性が向上する。また、懸架体7が駆動シーブ6に巻き付けられたときに、最外層31及び最内層32に生じる応力を低減することができる。
実施の形態8.
次に、図14はこの発明の実施の形態8によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態8では、最外層31及び最内層32のそれぞれの幅寸法が、中間支持層33の幅寸法よりも小さくなっている。これにより、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。他の構成は、実施の形態6と同様である。
このような構成によっても、最外層31及び最内層32の曲げ剛性を、中間支持層33の曲げ剛性よりも小さくすることができ、懸架体7の屈曲性が向上する。
図15は実施の形態8の第1の変形例を示す断面図である。第1の変形例では、コア21の幅方向両端が、厚さ方向の両端から中間へ向けて連続して徐々に幅方向外側へ突出している。これにより、最外層31及び最内層32のそれぞれの幅寸法が、中間支持層33の幅寸法よりも小さくなっている。また、荷重支持層23の曲げ剛性が、中立面Cからコア21の厚さ方向の両端へ向けて連続的に徐々に低くなっている。
このような構成では、曲げ剛性の不連続な変化がないため、強度を安定させることができる。
図16は実施の形態8の第2の変形例を示す断面図である。第2の変形例は、第1の変形例のコア21を、実施の形態2と同様に、懸架体7の幅方向に互いに間隔をおいて配置されている複数のコア分割体26に分割したものである。
各コア分割体26の幅方向両端は、厚さ方向の両端から中間へ向けて連続して徐々に幅方向外側へ突出している。これにより、最外層31及び最内層32のそれぞれの幅寸法が、中間支持層33の幅寸法よりも小さくなっている。
実施の形態9.
次に、図17はこの発明の実施の形態9によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態9では、最外層31及び最内層32のそれぞれの厚さ寸法が、中間支持層33の厚さ寸法よりも小さくなっている。また、最外層31及び最内層32のそれぞれの幅寸法が、中間支持層33の幅寸法よりも小さくなっている。これにより、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。
即ち、実施の形態9は、実施の形態7、8を組み合わせたものであり、他の構成は実施の形態7又は8と同様である。
また、図18は実施の形態9の変形例を示す断面図である。この変形例は、実施の形態8の第1の変形例と実施の形態7とを組み合わせたものである。
このように、最外層31及び最内層32の曲げ剛性を中間支持層33の曲げ剛性よりも低くするための実施の形態5〜8の構成は、適宜組み合わせて実施してもよい。
実施の形態10.
次に、図19はこの発明の実施の形態10によるエレベータの懸架体7の断面図であり、懸架体7の長さ方向に沿う断面(YZ断面)を示している。実施の形態10では、最外層31及び最内層32に含まれる高強度繊維34が、コア21の長さ方向に沿って波状に配置されている。
最外層31内及び最内層32内には、高強度繊維34を案内する複数の棒状のガイド部材35がそれぞれ設けられている。ガイド部材35は、コア21の長さ方向に互いに間隔をおいて配置されている。また、ガイド部材35は、コア21の幅方向に平行に配置されている。
中間支持層33に含まれる高強度繊維は、図示しないが、コア21の長さ方向に平行に配置されている。これにより、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。他の構成は、実施の形態7と同様である。
このような構成によっても、最外層31及び最内層32の曲げ剛性を、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くすることができ、懸架体7の屈曲性が向上する。
なお、ガイド部材35は、横糸、又は横糸の束であってもよい。
また、高強度繊維34を波状に配置することができれば、ガイド部材35は省略してもよい。例えば、予め波状に織られた高強度繊維34の織物を用いてもよい。
さらに、実施の形態5〜9の最外層31及び最内層32に、実施の形態10の波状の高強度繊維34を適用してもよい。
さらにまた、図12〜19では中間層24が用いられているが、中間層24は省略してもよい。
また、実施の形態5〜10を実施の形態2、3、4と適宜組み合わせて実施してもよく、それぞれの実施の形態の効果を得ることができる。
さらに、実施の形態5〜10では、荷重支持層23を3層構造としたが、中間支持層33をさらに複数層に分割して4層以上で荷重支持層23を構成してもよい。
実施の形態11.
次に、図20はこの発明の実施の形態11によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態11では、実施の形態6と同様に、荷重支持層23がコアの厚さ方向に分割された複数の層、即ち最外層31、最内層32及び中間支持層33により構成されている。但し、最外層31の曲げ剛性と最内層32の曲げ剛性とは異なっている。
実施の形態11では、最外層31の曲げ剛性が、荷重支持層23を構成する他の層、即ち最内層32及び中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。最内層32の曲げ剛性は、中間支持層33の曲げ剛性よりも低いか、又は中間支持層33の曲げ剛性と同じである。
最外層31と最内層32との間に剛性差を生じさせる方法として、例えば、最外層31における高強度繊維の密度を、最内層32及び中間支持層33における高強度繊維の密度よりも低くすることにより、最外層31の曲げ剛性を、最内層32及び中間支持層33の曲げ剛性よりも低くすることができる。
また、最外層31の弾性率を、最内層32及び中間支持層33の弾性率よりも低くすることによっても、最外層31の曲げ剛性を、最内層32及び中間支持層33の曲げ剛性よりも低くすることができる。他の構成は、実施の形態6と同様である。
このような懸架体7では、懸架体7が駆動シーブ6に巻き付けられたときに、最外層31に生じる応力を低減することができる。また、コア21の厚さ方向の一側と他側とに剛性差が生じているため、駆動シーブ6に巻き付ける際に曲げ易くなる。さらに、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
実施の形態12.
次に、図21はこの発明の実施の形態12によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態12では、最外層31の厚さ寸法が、最内層32の厚さ寸法と異なっており、最外層31の厚さ寸法が最内層32の厚さ寸法よりも小さくなっている。また、最外層31及び最内層32の厚さ寸法が中間支持層33の厚さ寸法よりも小さい。これにより、最外層31の曲げ剛性が、最内層32及び中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。他の構成は、実施の形態11と同様である。
このような構成によっても、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が中間支持層33の曲げ剛性よりも小さく、最外層31及び最内層32に剛性差が生じているため、懸架体7を駆動シーブ6に巻き付ける際に曲げ易くなる。また、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
実施の形態13.
次に、図22はこの発明の実施の形態13によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態13では、最外層31の幅寸法が、最内層32の幅寸法よりも小さくなっている。これにより、最外層31の曲げ剛性が、最内層32の曲げ剛性よりも低くなっている。
また、最内層32の幅寸法が、中間支持層33の幅寸法よりも小さくなっている。これにより、最内層32の曲げ剛性が、中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。他の構成は、実施の形態11と同様である。
このような構成によっても、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が中間支持層33の曲げ剛性よりも小さく、最外層31及び最内層32に剛性差が生じているため、懸架体7を駆動シーブ6に巻き付ける際に曲げ易くなる。また、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
実施の形態14.
次に、図23はこの発明の実施の形態14によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態14では、コア21の幅方向両端が、厚さ方向の両端から、最内層32とそれに隣接する中間層24との境界へ向けて連続して徐々に幅方向外側へ突出している。
また、最外層31の厚さ寸法が、最内層32及び中間支持層33のそれぞれの厚さ寸法よりも小さくなっている。これにより、最外層31の曲げ剛性が、最内層32及び中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。他の構成は、実施の形態11と同様である。
このような構成によっても、最外層31及び最内層32の曲げ剛性が中間支持層33の曲げ剛性よりも小さく、最外層31及び最内層32に剛性差が生じているため、懸架体7を駆動シーブ6に巻き付ける際に曲げ易くなる。また、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
なお、最外層31の曲げ剛性を最内層32及び中間支持層33の曲げ剛性よりも低くするための実施の形態11〜14の構成は、適宜組み合わせて実施してもよい。
また、図21〜23では中間層24が用いられているが、中間層24は省略してもよい。
さらに、実施の形態11〜14を実施の形態11よりも前に記載した実施の形態と適宜組み合わせて実施してもよく、それぞれの実施の形態の効果を得ることができる。
さらに、実施の形態11〜14では、荷重支持層23を3層構造としたが、中間支持層33をさらに複数層に分割して4層以上で荷重支持層23を構成してもよい。
実施の形態15.
次に、図24はこの発明の実施の形態15によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態15では、中間支持層33の幅寸法が、最内層32の幅寸法よりも小さくなっている。また、最外層31の幅寸法が、中間支持層33の幅寸法よりも小さくなっている。
これにより、荷重支持層23を構成する層の曲げ剛性が、最内層32から最外層31へ向けて徐々に低くなっている。即ち、中間支持層33の曲げ剛性が最内層32の曲げ剛性よりも低く、最外層31の曲げ剛性が中間支持層33の曲げ剛性よりも低くなっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような懸架体7では、最外層31と最内層32とに剛性差が生じているため、懸架体7を駆動シーブ6に巻き付ける際に曲げ易くなる。
また、コア21の厚さ方向の一側と他側とに剛性差が生じているため、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7が一方向に曲がり易くなり、座屈し難くすることができる。
図25は実施の形態15の第1の変形例を示す断面図である。第1の変形例では、コア21の幅寸法が、駆動シーブ6に沿って曲げられたときの駆動シーブ6の径方向内側の端部から外側の端部へ向けて連続して徐々に小さくなっている。これにより、荷重支持層23を構成する層の曲げ剛性が内径側から外径側へ向けて連続して徐々に低くなっている。
図26は実施の形態15の第2の変形例を示す断面図である。第2の変形例では、コア21の幅寸法が、最内層32とそれに隣接する中間層24との境界から、外径側へ向けて連続して徐々に小さくなっている。これにより、荷重支持層23を構成する層の曲げ剛性が内径側から外径側へ向けて連続して徐々に低くなっている。
図25及び図26に示したような構成では、曲げ剛性の不連続な変化がないため、強度を安定させることができる。
なお、図24〜26では中間層24が用いられているが、中間層24は省略してもよい。
また、実施の形態15を実施の形態2、3、4、10等と適宜組み合わせて実施してもよく、それぞれの実施の形態の効果を得ることができる。
さらに、実施の形態15では、荷重支持層23を3層構造としたが、中間支持層33をさらに複数層に分割して4層以上で荷重支持層23を構成してもよい。
さらにまた、実施の形態11〜14では、最外層31の曲げ剛性を最内層32よりも小さくしたが、最内層32の曲げ剛性を最外層31の曲げ剛性より小さくしてもよい。即ち、図20〜23の上下を逆にした構成としてもよい。
また、実施の形態15では、荷重支持層23の曲げ剛性を内径側から外径側へ向けて徐々に小さくしたが、外径側から内径側へ向けて徐々に小さくしてもよい。即ち、図24〜図26の上下を逆にした構成としてもよい。
実施の形態16.
次に、図27はこの発明の実施の形態16によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態16では、コア21が荷重支持層23のみにより構成されている。荷重支持層23のコア21の長さ方向に直角な断面は、第1の領域23aと複数の第2の領域23bとを組み合わせて構成されている。
第2の領域23bにおける高強度繊維の繊維密度は、第1の領域23aにおける高強度繊維の繊維密度よりも低い。
第1の領域23aと第2の領域23bとは、コア21の厚さ方向の両端における荷重支持層23の弾性率Eと幅Wとの積であるE×Wが、コア21の中立面Cにおける荷重支持層23の弾性率Eと幅Wとの積であるE×Wよりも小さくなるように組み合わせられている。
図27では、荷重支持層23は、幅寸法が一定の矩形断面を有している。そして、コア21の長さ方向に直角な断面において、第1の領域23aの幅寸法が、中立面Cからコア21の厚さ方向の両端へ向けて連続して徐々に小さくなっている。
これにより、中立面Cからコアの厚さ方向へ向けて、第1の領域23aが連続して徐々に狭くなり、第2の領域23bが連続して徐々に広くなっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような懸架体7では、中立面Cから離れたコア21の表面側の曲げ剛性が小さくなるので、コア21の長さ方向の屈曲性が向上する。
図28は実施の形態16の第1の変形例を示す断面図である。第1の変形例では、コア21の長さ方向に直角な断面において、コア21の厚さ方向の荷重支持層23の両端面の幅方向中央に凹部が設けられている。そして、これらの凹部内が第2の領域23b、他の部分が第1の領域23aとなっている。
図29は実施の形態16の第2の変形例を示す断面図である。第2の変形例では、コア21の厚さ方向の荷重支持層23の中間部全体が第1の領域23aとなっている。そして、コア21の厚さ方向の荷重支持層23の両端部が第2の領域23bとなっている。
図30は実施の形態16の第3の変形例を示す断面図である。第3の変形例では、コア21の内部の荷重支持層が第1の領域23aとなっており、第1の領域23aを覆うように第2の領域23bが構成されている。
また、領域23bは高強度繊維を含まない構成であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー材料のほか、第1の領域23aと接着されない潤滑材又は低摩擦のシートで構成されていてもよい。また、シートは、複数層重ねて配置することができ、さらには、液体潤滑材、半固体潤滑材、及び、固体潤滑材を併用して使用することができる。例えば、固体潤滑材のシートの表面に液体潤滑材を配置した構成が考えられる。この構成により、懸架体7の曲げ剛性がさらに低減できる。
これら図28〜30のような構成によっても、コア21の厚さ方向の両端における荷重支持層23のE×Wが、コア21の中立面Cにおける荷重支持層23のE×Wよりも小さくなる。
なお、実施の形態16では、第2の領域23bの繊維密度を第1の領域23aの繊維密度よりも低くしたが、第2の領域23bの長さ方向の弾性率を第1の領域23aの長さ方向の弾性率よりも低くしてもよい。
実施の形態17.
次に、図31はこの発明の実施の形態17によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態17では、コア21が荷重支持層23のみにより構成されている。また、コア21の長さ方向に直角な断面において、荷重支持層23の材料及び繊維密度は全体で同じである。但し、荷重支持層23の幅寸法は、中立面Cからコア21の厚さ方向の両端へ向けて連続して徐々に小さくなっている。
これにより、コア21の厚さ方向の両端における荷重支持層23のE×Wが、コア21の中立面Cにおける荷重支持層23のE×Wよりも小さくなっている。
なお、図27〜31では中立面Cがコア21の厚さ方向の中央にあるが、中立面Cが中央から厚さ方向のいずれか一方にずれていてもよい。
また、図27〜31は、コア21の長さ方向に直角な断面において、コア21の厚さ方向の両端における荷重支持層23のE×Wを、コア21の中立面Cにおける荷重支持層23のE×Wよりも小さくする方法の一例であり、断面構成はこれらに限定されるものではない。
さらに、実施の形態16、17では、コア21の厚さ方向の両端における荷重支持層23のE×Wが、コア21の中立面Cにおける荷重支持層23のE×Wよりも小さくなっているが、コア21の厚さ方向の両端のいずれか一方における荷重支持層23のE×Wのみを、コア21の中立面Cにおける荷重支持層23のE×Wよりも小さくしてもよい。
実施の形態18.
次に、図32はこの発明の実施の形態18によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態18では、コア21が荷重支持層23のみにより構成されている。荷重支持層23は、最外層31、最内層32及び中間支持層33を有している。
最外層31における高強度繊維の繊維密度は、最内層32における高強度繊維の繊維密度よりも低い。これにより、コア21の厚さ方向の両端における荷重支持層23のE×Wが互いに異なっている。
具体的には、駆動シーブ6に沿って曲げられたときの駆動シーブ6の径方向外側の荷重支持層23の端面のE×Bが、径方向内側の荷重支持層23の端面のE×Bよりも小さくなっている。従って、コア21の長さ方向に直角な断面において、駆動シーブ6の径方向外側の荷重支持層23の端部の単位厚みあたりの曲げ剛性が、径方向内側の荷重支持層23の端部の単位厚みあたりの曲げ剛性よりも小さくなっている。他の構成は、実施の形態16と同様である。
このような懸架体7では、懸架体7が駆動シーブ6に沿って曲げられたときに、コア21に生じる圧縮応力を低減することができる。
さらに、コア21の厚さ方向の一側と他側とに剛性差が生じているため、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
なお、実施の形態18では、最外層31の繊維密度を最内層32の繊維密度よりも低くしたが、最外層31の弾性率を最内層32の弾性率よりも低くしてもよい。
実施の形態19.
次に、図33はこの発明の実施の形態19によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態19では、コア21の長さ方向に直角な断面において、荷重支持層23の材料及び繊維密度は全体で同じである。
但し、懸架体7が駆動シーブ6に沿って曲げられたときの駆動シーブ6の径方向外側の荷重支持層23の端面の幅寸法が、径方向内側の荷重支持層23の端面の幅寸法よりも小さくなっている。これにより、径方向外側の荷重支持層23の端面のE×Bが、径方向内側の荷重支持層23の端面のE×Bよりも小さくなっている。
従って、コア21の長さ方向に直角な断面において、駆動シーブ6の径方向外側の荷重支持層23の端部の単位厚みあたりの曲げ剛性が、径方向内側の荷重支持層23の端部の単位厚みあたりの曲げ剛性よりも小さくなっている。
また、荷重支持層23の幅寸法は、コア21の厚さ方向に連続して変化している。他の構成は、実施の形態18と同様である。
このような構成によっても、コア21の長さ方向の屈曲性を向上させることができる。そして、コア21の厚さ方向の一側と他側とに剛性差が生じているため、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
図34は実施の形態19の変形例を示す断面図である。この変形例では、荷重支持層23の幅寸法が、径方向内側から径方向外側へ向けて連続して徐々に小さくなっている。このような断面形状としても、コア21の厚さ方向の荷重支持層23の両端面のE×Bを異ならせることができる。
なお、荷重支持層23の断面形状は、図33、34に限定されるものではない。
実施の形態20.
次に、図35はこの発明の実施の形態20によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態20は、実施の形態18、19を組み合わせたものである。即ち、実施の形態20の荷重支持層23は、最外層31、最内層32及び中間支持層33を有している。また、荷重支持層23の幅寸法は、図33と同様に変化している。他の構成は、実施の形態18と同様である。
このように、実施の形態18、19を組み合わせることにより、実施の形態18、19よりも大きな効果を得ることができる。
なお、実施の形態19と実施の形態18の変形例とを組み合わせてもよい。
また、実施の形態18〜20において、荷重支持層23を2層又は4層以上で構成してもよい。
さらに、荷重支持層23を複数層で構成する場合、実施の形態1〜4で示したような中間層24を介在させてもよい。
さらに、実施の形態18〜20では、径方向外側の荷重支持層23の端面のE×Bを、径方向内側の荷重支持層23の端面のE×Bよりも小さくしたが、逆であってもよい。即ち、図32〜35の上下を逆にした構成としてもよい。このため、コア21の長さ方向に直角な断面において、駆動シーブ6の径方向内側の荷重支持層23の端部の単位厚みあたりの曲げ剛性を、径方向外側の荷重支持層23の端部の単位厚みあたりの曲げ剛性よりも小さくしてもよい。これにより、懸架体7が駆動シーブ6に沿って曲げられたときに、コア21に生じる引張応力を低減することができる。
実施の形態21.
次に、図36はこの発明の実施の形態21によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態21では、コア21が荷重支持層23のみにより構成されている。但し、コア21は、実施の形態8の第2の変形例と同様に、3つのコア分割体26に分割されている。また、懸架体7の幅方向に隣り合うコア分割体26の間には、被覆層22が入り込んでいる。各コア分割体26の形状及び他の構成は、実施の形態8の第2の変形例と同様である。
このような懸架体7では、コア分割体26間に被覆層22の樹脂が介在しているため、懸架体7がその幅方向に曲げ易くなる。このため、駆動シーブ6の懸架体7に接する面が懸架体7の幅方向に湾曲している場合に、懸架体7を駆動シーブ6に沿って曲げ易くなる。このため、懸架体7が曲げられたときに、荷重支持層23に生じる応力を低減することができる。
なお、コア21の分割数は、2つ以上であればいくつでもよい。
また、実施の形態2、8以外の実施の形態についても、コア21を複数のコア分割体26に分割することが可能である。
実施の形態22.
次に、図37はこの発明の実施の形態22によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態22では、コア21が荷重支持層23のみにより構成されている。荷重支持層23のコア21の長さ方向に直角な断面は、複数の第1の領域23aと第2の領域23bとを組み合わせて構成されている。第2の領域23bにおける長さ方向の弾性率は、第1の領域23aにおける長さ方向の弾性率よりも低い。
コア21の厚さ方向の両端における第2の領域23bの弾性率Eと幅Wとの積であるE×Wが、コア21の厚さ方向内側にある第1の領域23aの存在する平面Dにおける弾性率Eと幅Wとの積であるE×Wよりも小さくなるように組み合わせられている。
このような懸架体7では、中立面Cから離れたコア21の表面側の曲げ剛性が小さくなるので、コア21の長さ方向の屈曲性が向上する
また、第2の領域23bは高強度繊維を含まない構成であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー材料のほか第1の領域23aと接着されない潤滑材又は低摩擦のシートで構成されていてもよい。また、シートは、複数層重ねて配置することができ、さらには、液体潤滑材、半固体潤滑材、及び、固体潤滑材を併用して使用することができる。例えば、固体潤滑材のシートの表面に液体潤滑材を配置した構成が考えられる。この構成により、懸架体7の曲げ剛性がさらに低減できる。
なお、図37に示す実施の形態22の第1の領域23aは2層からなるが、3層以上であってもよい。
図38は実施の形態22の第1の変形例を示す断面図である。第1の変形例では、第1の領域23aは、最外層側の長さ方向の弾性率が最内層側の長さ方向の弾性率よりも小さい構成である。
このような構成によれば、第1の領域23aの最外層側の曲げ剛性が最内層側の曲げ剛性よりも小さくなり、コア21の厚さ方向の一側と他側とに剛性差が生じているため、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
図39は実施の形態22の第2の変形例を示す断面図である。第2の変形例では、第1の領域23aは、最外層側の幅寸法が最内層側の幅寸法よりも小さい構成である。
なお、図38及び図39の組み合わせの構成でもよい。
また、図38及び図39では、第1の領域23aの最外層側の曲げ剛性を最内層側よりも小さくしたが、最内層側の曲げ剛性を最外層側の曲げ剛性より小さくしてもよい。即ち、図38及び図39の上下を逆にした構成としてもよい。
実施の形態23.
次に、図40はこの発明の実施の形態23によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態23では、コア21の内部に荷重を支持する第1の領域23aが点在しており、第1の領域23aを覆うように第2の領域23bが構成されている。
コア21の厚さ方向の両端における第2の領域23bの弾性率Eと幅Wとの積であるE×Wが、コア21の内側にある第1の領域23aの存在する平面Dにおける弾性率Eと幅Wとの積であるE×Wよりも小さくなるように組み合わせられている。
このような懸架体7では、荷重を支持する第1の領域23aが小さい円形状に分離されているため、コア21の長さ方向の屈曲性が向上する
また、第2の領域23bは高強度繊維を含まない構成であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー材料のほか第1の領域23aと接着されない潤滑材で構成されていてもよい。この構成により、懸架体7の曲げ剛性がさらに低減できる。
なお、被覆材22を含まない構成であってもよい。
また、第1の領域23aの形状は、円形以外にも矩形や楕円形状でもよい。また、第1の領域23aを構成する高強度繊維は、長さ方向に沿って配置されていてもよいし、撚り線のように編んであってもよい。
さらに、第1の領域23aの本数は、懸架体7の仕様に応じて、任意に設定できる。
図41は実施の形態23の第1の変形例を示す断面図である。第2の変形例では、第1の領域23aは、最外層側の幅方向に並ぶ本数が最内層側の幅方向に並ぶよりも少ない構成である。
このような構成によれば、第1の領域23aの最外層側の曲げ剛性が最内層側の曲げ剛性よりも小さくなり、コア21の厚さ方向の一側と他側とに剛性差が生じているため、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
また、図41では、第1の領域23aの最外層側の曲げ剛性を最内層側よりも小さくしたが、最内層側の曲げ剛性を最外層側の曲げ剛性より小さくしてもよい。即ち、図41の上下を逆にした構成としてもよい。
また、領域23bは高強度繊維を含まない構成であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー材料のほか第1の領域23aと接着されない潤滑材で構成されていてもよい。この構成により、懸架体7の曲げ剛性がさらに低減できる。
図42は実施の形態23の第2の変形例を示す断面図である。第2の変形例では、懸架体7の断面の厚み方向の中央部に荷重支持層である第1の領域23aが存在し、懸架体7の表面側に第2の領域23bが点在して構成されている。
このような構成によれば、中立面Cにおける第1の領域23aの曲げ剛性よりも表層側の領域23bが存在する平面Dにおける曲げ剛性が小さくなるため、懸架体7の屈曲性が向上する。
実施の形態24.
次に、図43はこの発明の実施の形態24によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態24では、懸架体7の駆動シーブ6に接する側の面には、懸架体7の幅方向に並んだ複数の表面突起7dが設けられている。表面突起7dの断面形状は、V字型、詳細には駆動シーブ6に接する下底が上底よりも短い台形形である。駆動シーブ6には、表面突起7dと噛み合う溝6aが設けられている。
荷重を支持するコア21は、複数の荷重支持層23により構成されている。荷重支持層23は、懸架体7の厚さ方向に2層に分割されている。駆動シーブ6の径方向外側に位置する荷重支持層23は、懸架体7の幅方向に連続して配置されている。駆動シーブ6の径方向内側に位置する荷重支持層23は、懸架体7の幅方向に複数に分割されており、それぞれ表面突起7d内に分散して配置されている。
このような懸架体7では、表面突起7dと溝6aとが噛み合った状態で懸架体7に張力が作用することで、接触摩擦力が増加するため、懸架体7の表面が平坦な場合よりも大きな動力を伝達することができる。
また、懸架体7の表面突起7dと駆動シーブ6の溝6aとが噛み合っているため、駆動シーブ6の幅方向への懸架体7のずれを防止できる。
さらに、表面突起7d内にコア21が存在することで、幅方向のずれに対する表面突起7dの剛性が向上する。
さらにまた、コア21の厚さ方向の一側と他側とに剛性差が生じているため、巻上機ブレーキなどにより懸架体7が長さ方向の圧縮荷重を受けた場合に、懸架体7を一方向に曲がり易くすることができる。
なお、図43の例では、表面突起7d内にコア21が存在しているが、表面突起7d内にコア21がなくても同様の効果を得ることができる。
また、表面突起7dの数は3つに限定されない。
さらに、表面突起7dの断面形状もV字型に限定されない。
さらにまた、荷重支持層23は、2層に限定されない。
また、図43のコア21は荷重支持層23のみから構成されているが、上記の実施の形態のいずれかと適宜組み合わせて実施してもよく、それぞれの実施の形態の効果を得ることができる。
実施の形態25.
次に、図44はこの発明の実施の形態25によるエレベータの懸架体7の断面図である。実施の形態25では、懸架体7は、内部に荷重を支持するコア21と、被覆層22とから構成されている。被覆層22の駆動シーブ6に接触する内周側表面には、深さの異なる複数の溝22aが設けられている。溝22aは、懸架体7の長さ方向に沿って設けられている。
このような懸架体7では、駆動シーブ6の比較的平坦な表面と懸架体7の内周側表面とが接触することで、懸架体7の内周側表面の摩耗を目視で確認することができる。特に、深さの異なる溝22aを組み合わせることで、摩耗の経過状態をより確認し易くなる。
なお、図44では溝22aの深さを2種類としたが、溝22aの深さの種類数は2種類に限定されず、1種類又は3種類以上であってもよい。
また、溝22aの方向は、懸架体7の長さ方向に平行な方向に限らず、例えば、長さ方向に対して45°の方向又は90°の方向であってもよい。
さらに、溝22aの断面形状は矩形に限定されず、例えばV字形又は半円形状であってもよい。但し、図44に示すように溝22aの断面形状を矩形とすれば、摩耗が進行しても駆動シーブ6と接触する面積が同じであるため、一定の速度で摩耗が進行する。そのため、摩耗の進行の予測が容易となる。
実施の形態26.
次に、図45はこの発明の実施の形態26による懸架体7が駆動シーブ6に掛けられた状態を示す側面図である。実施の形態26の懸架体7は、懸架体7の長さ方向の位置により内部の接着状態が異なることが特徴である。即ち、懸架体7は、複数の接着部7eと、複数の非接着部7fとを有している。
非接着部7fの断面図を図46、接着部7eの断面図を図47にそれぞれ示す。図46において、非接着部7fは、3層の荷重支持層23と2層の中間層24aとを有するコア21aに加えて、コア21aと被覆層22との間に介在するコア被覆層22cを有している。
特にこの例では、中間層24a及びコア被覆層22cは潤滑材で構成されており、隣接する層の間が滑り易い構成となっている。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー材料のほか荷重支持層23と接着されない潤滑材又は低摩擦のシートで構成されていてもよい。また、シートは、複数層重ねて配置することができ、さらには、液体潤滑材、半固体潤滑材、及び、固体潤滑材を併用して使用することができる。例えば、固体潤滑材のシートの表面に液体潤滑材を配置した構成が考えられる。
一方、図47において、接着部7eは、3層の荷重支持層23と2層の中間層24bとを有するコア21bに加えて、コア21bと被覆層22との間に介在するコア被覆層22bを有している。
中間層24b及びコア被覆層22bは共に層間を接着するする固体材料となっている。固体材料は、荷重支持層23又は被覆層22と同じ材料であってもよいし、別途の材料としてもよい。
このような構成では、接着部7eにより懸架体7全体が硬固な一体構造とできると同時に、駆動シーブ6で曲げられる部分においては荷重支持層23間のずれを許容することができるので、曲がり易さを実現できる。
図48は実施の形態26の非接着部7fの変形例を示す断面図である。この例では、コア21aの厚さ方向の両面にはコア被覆層22bを設け、コア21aの幅方向の両面にはコア被覆層22cを設けている。即ち、コア21aの上下面は接着し、コア21aの両側面は接着しない構成としている。
このような構造においては、被覆層22と荷重支持層23との間に滑りが生じないため、より外形形状を維持しつつ、駆動シーブ6で曲げられる部分においては荷重支持層23間のずれを許容することで曲がり易さも実現できる。
なお、曲げられたときに伸縮しない面である中立面Cを、図12〜18、図27〜31、図37〜42、図46〜48に示すように、コア21の厚さ方向の中心に位置させることにより、懸架体7に張力が作用したときの懸架体7の挙動を安定させることができる。
さらにまた、上記のいくつかの実施の形態で示したように、コア21の厚さ方向の一端と他端との間に剛性差が付けられている場合、懸架体7を駆動シーブ6の外周面に沿わせたときに懸架体7が曲がり易い方向に曲がる向きで、懸架体7を駆動シーブ6に巻き掛けられるのが好適である。これにより、懸架体7を駆動シーブ6に巻き掛ける際の施工性を向上させることができる。
また、以上の実施の形態の懸架体7を適用するエレベータの構成は、図1の構成に限定されるものではなく、例えば、機械室レスエレベータ、2:1ローピング方式のエレベータ、ダブルデッキエレベータ、及びマルチカー式エレベータにも適用できる。マルチカー式エレベータは、上かごと、上かごの真下に配置された下かごとが、それぞれ独立して共通の昇降路を昇降する方式のエレベータである。
実施の形態27.
次に、この発明の実施の形態27について説明する。実施の形態27のエレベータの全体構成は、図1と同様である。実施の形態27では、図1の懸架体7として、ベルト状のコアと、コアを覆っている樹脂製の被覆層とを有しているベルト状の懸架体が用いられる。コアは、含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有している。このような懸架体7の断面構造は、実施の形態1〜26のいずれかの構造であっても、他の構造であってもよい。
また、実施の形態27では、図49に示すように、懸架体7の両端部に一対の端末保持装置41が設けられている。端末保持装置41は、懸架体7の内部で荷重支持層が懸架体7の長さ方向へずれるのを阻止するように懸架体7の両端部を拘束し保持している。
図50は図49の端末保持装置41の断面図である。端末保持装置41は、ソケット42と一対の楔43a,43bとを有している。懸架体7の端部は、ソケット42に通されている。楔43a,43bは、ソケット42と懸架体7の端部との間に打ち込まれている。このような状態で、懸架体7は、かご8及び釣合おもり9に接続されている。
さらに、実施の形態27では、駆動シーブ6の半径が、以下の条件を満たすように設定されている。
条件1:懸架体7にかご8及び釣合おもり9の荷重がかかり、懸架体7が駆動シーブ6に沿って曲げられた状態で、荷重支持層に発生する懸架体7の長さ方向の引張最大応力が、懸架体7の長さ方向の引張強度よりも小さい。
条件2:懸架体7にかご8及び釣合おもり9の荷重がかかり、懸架体7が駆動シーブ6に沿って曲げられた状態で、荷重支持層に発生する懸架体7の長さ方向の圧縮最大応力が懸架体7の長さ方向の圧縮強度よりも小さい。
ここで、駆動シーブ6に巻き掛けられた状態での懸架体7の厚さをt、駆動シーブ6の中心から懸架体7の厚さ方向の中心までの距離をRとする。
図51は図49の懸架体7の駆動シーブ6に巻き掛けられている部分の形状変化を示す説明図である。懸架体7の断面構造が厚さ方向の中心に対して対称であり、かつ引張負荷がない状態であれば、駆動シーブ6の中心から距離Rの位置は、懸架体7の長さ方向に引張力及び圧縮力が作用しないいわゆる中立面(又は中立軸)の位置にあたる。
これに対して、引張負荷が加わった場合、単位巻付角dθあたりで見ると、懸架体7の駆動シーブ6に接触している側の部分は、圧縮されて(R−t/2)dθとなる。一方、懸架体7の駆動シーブ6に接触していない側の部分は、(R+t/2)dθとなる。
従って、駆動シーブ6と接触する内周面の長さと接触しない外周面の長さとの差分は、厚さt×単位巻付角dθで決まることとなる。また、せん断歪みは、単位巻付角dθで定められる。
図52は図49の懸架体7の駆動シーブ6に巻き掛けられた部分の長さ方向の応力状態を示す説明図である。懸架体7の強度部材のヤング率をE、懸架体7の長さ方向に直角な荷重支持層の断面積をA、懸架体7に作用する引張負荷をTとする。
図51で示した形状変化による応力は、歪みt/(2・R)とヤング率Eとの積で定められ、さらに引張負荷による応力T/Aがかかることを考慮する必要がある。それぞれ、引っ張り方向の応力を正とすると、懸架体7の駆動シーブ6に接する側の部分は、−E×t/(2・R)+T/Aとなる。また、懸架体7の駆動シーブ6に接触しない側の部分は、E×t/(2・R)+T/Aとなる。
実施の形態27では、懸架体7の両端部が端末保持装置41により保持されているので、懸架体7に生じる応力に対して、懸架体7内での荷重支持層のずれが許容されない。このため、懸架体7の断面積A、厚さt、及び最大張力負荷を厳密に考慮して駆動シーブ6の半径を定めることが望ましい。
即ち、荷重支持層が破壊されないためには、荷重支持層の圧縮強度がSpress<−E×t/(2・R)+T/A(条件1)となり、荷重支持層の引張強度がSpull>E×t/(2・R)+T/A(条件2)となるように、駆動シーブ6の半径を定めることが望ましい。
実施の形態1〜4に示したように、荷重支持層23が複数の分割層25に分割されている場合、最も厚さ寸法の大きい分割層25の厚さ寸法をtとしてもよい。
このような構成とすることにより、懸架体7が曲げられたときに荷重支持層23に過大な応力が生じるのを防止して、荷重支持層の破壊を防止しつつ、懸架体7の曲げ半径を小さくし、駆動シーブ6の径を小さくすることができる。
なお、引張負荷Tは、静的な状態だけでなく、かご8内に利用者が乗ったり、急制動で衝撃的に負荷が大きくなったりするケースも想定して、高く見積もることが好ましい。
具体的には、かご8の重量に利用者の最大積載重量を加え、トラクション駆動式エレベータの最大加速度である1Gで急減速した場合に懸架体7にかかる負荷を見込んでTを定める。そして、その際の最大引張応力が引張強度を超えない範囲で駆動シーブ6の半径を定めることが好ましい。
また、この場合、引張強度及び圧縮強度には、荷重支持層の経年的な強度低下を考慮して、理想強度の1/2以下とするのが好ましい。
さらに、一般的に、駆動シーブ6の半径が小さくなれば、巻上機モータの駆動トルクが小さくて済むため、経済的である。特に、駆動シーブ6の半径が200mm以下であれば汎用のモータが利用できるため、駆動シーブ6の半径を200mm以下とできるように、引張負荷Tを考慮して懸架体7の厚さtを定めることが好ましい。
図53は図49の端末保持装置41の変形例を示す断面図である。図50では、2つの楔43a,43bを用いた両楔式の装置を示したが、図53の端末保持装置41は、1つの楔43aのみを用いた片楔式の装置である。楔43aは、懸架体7の厚さ方向の両端のうち、駆動シーブ6の径方向の外側に位置する面とソケット42との間に打ち込まれている。
実施の形態28.
次に、図54はこの発明の実施の形態28によるエレベータの要部を示す構成図、図55は図54の端末保持装置41の断面図である。実施の形態28の端末保持装置41は、懸架体7の厚さ方向の一端と他端とが懸架体7の長さ方向にずれた状態で懸架体7の両端部を拘束し保持している。
具体的には、懸架体7の両端部において、懸架体7の厚さ方向の一端、即ち駆動シーブ6に接する側の端部が、懸架体7の厚さ方向の他端よりも突出するように、端末保持装置41が懸架体7の両端部を拘束している。言い換えると、端末保持装置41は、駆動シーブ6の径方向について懸架体7の外側の面が駆動シーブ6に寄るように、懸架体7の両端部を拘束している。他の構成は、実施の形態27と同様である。
このようなエレベータでは、引張負荷により駆動シーブ6の外周で懸架体7に生じる応力を低減することができる。このため、懸架体7に生じる引張応力と圧縮応力とが限界強度を超えない範囲で、懸架体7の曲げ半径を小さくし、駆動シーブ6の径を小さくすることができる。
図56は図54の端末保持装置41の変形例を示す断面図である。図55では、2つの楔43a,43bを用いた両楔式の装置を示したが、図56の端末保持装置41は、1つの楔43aのみを用いた片楔式の装置である。楔43aは、懸架体7の厚さ方向の両端のうち、駆動シーブ6の径方向の外側に位置する面とソケット42との間に打ち込まれている。
なお、実施の形態28では、懸架体7の両端部で、懸架体7の厚さ方向の一端と他端とが懸架体7の長さ方向にずらしたが、いずれか一方の端部のみでもよい。
実施の形態29.
次に、この発明の実施の形態29について説明する。実施の形態29のエレベータの全体構成は、図1と同様である。図57は実施の形態29の端末保持装置41の断面図である。実施の形態29の端末保持装置41は、図53と同様の構成であるが、懸架体7の幅方向に平行な軸44を中心として回転可能にかご8及び釣合おもり9に連結されている。即ち、端末保持装置41は、懸架体7の厚さ方向へ傾斜可能になっている。
懸架体7の駆動シーブ6に巻き掛けられた部分に引張負荷による応力が発生すると、懸架体7の両端部に曲げモーメントMが作用する。このとき、端末保持装置41は、図58に示すように、応力を逃がす方向へ回転する。かご8及び釣合おもり9には、応力を逃がす方向とは反対側への端末保持装置41の回転を阻止するストッパ45が設けられている。他の構成は、実施の形態27と同様である。
このような構成によっても、引張負荷により駆動シーブ6の外周で懸架体7に生じる応力を低減することができる。このため、懸架体7に生じる引張応力と圧縮応力とが限界強度を超えない範囲で、懸架体7の曲げ半径を小さくし、駆動シーブ6の径を小さくすることができる。
また、曲げモーメントMが大きくかかった場合に端末保持装置41が傾くことができるため、懸架体7の端部に伝達されたずれ分だけを効率的に解消することができる。
なお、実施の形態29の構成は、かご8側及び釣合おもり9側のいずれか一方のみに適用してもよい。
実施の形態30.
次に、図59はこの発明の実施の形態30によるエレベータの要部を示す構成図である。かご8及び釣合おもり9には、円筒状のガイド体46がそれぞれ固定されている。懸架体7の第1の端部7a及び第2の端部7bは、ガイド体46の外周面の円弧46aに沿って曲げられている。また、第1の端部7aの先端及び第2の端部7bの先端は、把持具(図示せず)等によりガイド体46に止められている。
この例では、円弧46aの曲率半径は、駆動シーブ6の懸架体7が接している面の曲率半径と同じである。また、円弧46aにおける懸架体7の厚さ方向への曲げ方向は、駆動シーブ6における曲げ方向と反対の方向である。
さらに、各ガイド体46に対する懸架体7の巻き付け角度範囲は、駆動シーブ6に対する懸架体7の巻き付け角度範囲の半分である。即ち、両ガイド体46に対する懸架体7の巻き付け角度範囲の合計は、駆動シーブ6に対する懸架体7の巻き付け角度範囲と同じである。他の構成は、実施の形態27と同様である。
このような構成によっても、引張負荷により駆動シーブ6の外周で懸架体7に生じる応力を低減することができる。
なお、懸架体7の端部に伝達されるずれは、最大でも駆動シーブ6に対する懸架体7の巻き付け角度範囲分であるため、円弧46aに対する懸架体7の巻き付け角度範囲の合計は、駆動シーブ6に対する懸架体7の巻き付け角度範囲よりもある程度小さくてもよい。
実施の形態31.
次に、図60はこの発明の実施の形態31によるエレベータの要部を示す構成図である。実施の形態31では、かご8のみにガイド体46が設けられている。ガイド体46に対する第1の端部7aの巻き付け角度範囲は、駆動シーブ6に対する懸架体7の巻き付け角度範囲と同じである。
第2の端部7bは、実施の形態27と同様に端末保持装置41により拘束され保持されている。即ち、実施の形態31では、懸架体7が駆動シーブ6で曲げられることによるずれ量の全てを第1の端部7aに寄せている。他の構成は、実施の形態27と同様である。
このような構成によっても、引張負荷により駆動シーブ6の外周で懸架体7に生じる応力を低減することができる。
実施の形態32.
次に、図61はこの発明の実施の形態32によるエレベータの要部を示す構成図である。実施の形態32では、2:1ローピング方式のエレベータの場合を示す。かご8には、かご吊り車47が設けられている。釣合おもり9には、釣合おもり吊り車48が設けられている。
懸架体7は、第1の端部7a側から順に、かご吊り車47、駆動シーブ6、及び釣合おもり吊り車48の順に巻き掛けられている。
第1の端部7aは、昇降路1の上部で、実施の形態27と同様に端末保持装置41により拘束され保持されている。昇降路1の上部には、ガイド体46が設けられている。第2の端部7bは、ガイド体46の外周面の円弧46aに沿って曲げられている。第2の端部7bの先端は、ガイド体46に止められている。
円弧46aにおける懸架体7の厚さ方向への曲げ方向は、釣合おもり吊り車48における曲げ方向と反対の方向である。他の構成は、実施の形態31と同様である。
このような構成によっても、引張負荷により駆動シーブ6の外周で懸架体7に生じる応力を低減することができる。
2:1ローピング方式では、懸架体7が逆向きに曲げられることによりずれ量が解消されるため、差し引きを考慮して、懸架体7の端部でのずれ量を定めるのが望ましい。図61の例では、駆動シーブ6で曲げられた180°分に対して、かご吊り車47及び釣合おもり吊り車48では反対方向に合計360°曲げられている。このため、合計として、駆動シーブ6で曲げられる方向とは反対の方向に180°分だけ懸架体7をガイド体46で曲げている。
なお、実施の形態30〜33において、ガイド体46は、懸架体7を巻き掛ける部分に円弧46aが設けられていればよく、円筒状でなくてもよい。
実施の形態33.
次に、図62はこの発明の実施の形態33によるエレベータの要部を示す構成図である。実施の形態33では、実施の形態32のガイド体46の代わりに、実施の形態28のような端末保持装置41が第2の端部7bに設けられている。他の構成は、実施の形態32と同様である。
このような構成によっても、引張負荷により駆動シーブ6の外周で懸架体7に生じる応力を低減することができる。
なお、実施の形態32、33において、第1の端部7aと第2の端部7bとを入れ替えてもよい。
また、実施の形態28〜33において、懸架体7の断面構造は、実施の形態1〜26のいずれかの構造であっても、他の構造であってもよい。
実施の形態34.
図63はこの発明の実施の形態34によるエレベータの要部を示す構成図である。実施の形態34では、懸架体7が端部のない輪状、即ちループ状となっている。また、2つの駆動シーブ6A,6Bが用いられている。かご8には、かご吊り車47が設けられている。釣合おもり9には、釣合おもり吊り車48が設けられている。
懸架体7は、かご吊り車47、駆動シーブ6A,6B、及び釣合おもり吊り車48に巻き掛けられている。
このような構成によって、端末保持による懸架体7の端部への応力集中を解消することができる。予め輪状に製造した懸架体7を使用するため、360°分の曲げ角度がついた状態で巻き掛けることとなる。駆動シーブ6A、かご吊り車47、釣合おもり吊り車48と、駆動シーブ6Bとでは、懸架体7が反対方向に曲げられており、前者の曲げ角度が180°×3=540°分、後者が180°分となる。初期状態の曲げ角度360°を考慮すると、差し引きで曲げによるずれ量は解消される。
以下、実施の形態1〜4、6〜15に示したような中間層24を有する懸架体7の製造方法について説明する。
実施の形態35.
図64はこの発明の実施の形態35によるエレベータの懸架体7の製造途中の状態を示す断面図であり、懸架体7の長さ方向に直角な断面に相当する断面を示している。実施の形態35の製造方法では、複数の高強度繊維層51と、少なくとも1層の低弾性繊維層52とを、懸架体の厚さ方向に交互に積層して積層体53を形成する。
図65は図64の高強度繊維層51を部分的に拡大して示す断面図である。各高強度繊維層51は、実施の形態1で示したような高強度繊維により構成された高強度繊維織物54を複数枚積層して構成されている。なお、高強度繊維層51は、1枚の高強度繊維織物54のみで構成してもよい。
各高強度繊維織物54は、複数本の束になった高強度繊維糸55に横糸56を通して構成された一方向繊維織物である。横糸56の繊維種類は問わない。また、図65では、高強度繊維糸55が一列に揃った状態を示しているが、互いにずれていてもよい。
低弾性繊維層52は、高強度繊維織物54よりも弾性率の低い低弾性繊維織物を複数層積層して構成されている。なお、低弾性繊維層52は、1枚の低弾性繊維織物のみで構成してもよい。
低弾性繊維織物に用いられる繊維、即ち実施の形態35の中間層繊維としては、例えばガラス繊維又はポリエステル繊維が挙げられる。また、低弾性繊維織物の形態は、例えば、織物、不織布又は編み布である。
図66は実施の形態35の懸架体7の第1の製造装置を示す概略の構成図であり、実施の形態1のコア21を製造する装置である。図66の製造装置は、積層部57、樹脂槽58、加熱成形装置59、引抜装置60及び巻取装置61を有している。図66では、簡単のため、2層の高強度繊維層51及び1層の低弾性繊維層52のみを示している。
ロールから引き出された高強度繊維層51及び低弾性繊維層52が積層部57で積層され、積層体53が形成される。なお、各高強度繊維層51を構成する高強度繊維織物54の積層、及び各低弾性繊維層52を構成する低弾性繊維織物の積層を、積層部57で行ってもよい。
積層部57で形成された積層体53は、引抜装置60により樹脂槽58に引き入れられる。樹脂槽58には、未硬化の熱硬化性樹脂が入れられている。熱硬化性樹脂としては、実施の形態1で中間層24及び分割層25に用いられる熱硬化性樹脂が用いられる。樹脂槽58では、未硬化の熱硬化性樹脂が積層体53に含浸される。狭い繊維間へ含浸させる必要があるため、樹脂槽58内の熱硬化性樹脂の粘度は低い方が望ましい。
この後、積層体53は、引抜装置60により加熱成形装置59に引き入れられる。加熱成形装置59では、積層体53が加熱されることにより、熱硬化性樹脂が硬化する。これにより、高強度繊維層51と低弾性繊維層52とが一体化し、実施の形態1のコア21が形成される。コア21は、巻取装置61に巻き取られる。
図67は図66の第1の製造装置で製造された懸架体7のコア21の断面図であり、コア21の長さ方向に直角な断面を示している。実施の形態35の分割層25は、それぞれ高強度繊維織物54を含むFRPで構成されている。また、中間層24は、それぞれ低弾性繊維織物を含むFRPで構成されている。さらに、分割層25に含まれる樹脂は、中間層24に含まれる樹脂と同じである。
図67に示すようなコア21の外周を樹脂製の被覆層22で覆うことにより、懸架体7が完成する。被覆層22を構成する樹脂としては、実施の形態1で挙げた樹脂を用いることができる。
被覆層22は、連続プレス成形、間欠プレス成形、又はラミネート成形によりコア21の外周を樹脂で被覆し、不要部分をトリミングすることにより形成される。
図68は実施の形態35の懸架体7の第2の製造装置を示す概略の構成図であり、被覆層22を形成するための装置を示している。第2の製造装置は、シート配置部62及び加圧成形装置63を有している。シート配置部62では、被覆層22を構成する熱可塑性樹脂からなる複数の熱可塑シート64がコア21の周囲を囲むように配置される。
この後、コア21及び熱可塑シート64は、加圧成形装置63に送られて加圧成形される。図68では、加圧成形装置63としてダブルベルトプレスを示したが、加圧成形装置63はこれに限定されるものではなく、熱可塑シート64及びコア21の一体化に必要な圧力を連続又は断続的に加えることができれば、例えば間欠プレス又はラミネータであってもよい。
図69は図68の加圧成形装置63によるコア21及び熱可塑シート64の加圧状態を示す断面図であり、コア21の長さ方向に直角な断面を示している。熱可塑シート64は、コア21の厚さ方向(図69の上下方向)の両側、及びコア21の幅方向(図69の左右方向)の両側にそれぞれ配置されている。
加圧成形装置63は、コア21の厚さ方向両側からコア21及び熱可塑シート64を挟み込む一対の成形型63a,63bを有している。これらの成形型63a,63bにより、図69の矢印方向に圧力が加えられる。
図70は図69の加圧成形装置63により加圧成形された完成前の懸架体7の断面図である。加圧成形装置63を通過した状態では、懸架体7の幅方向の両側に必要以上に被覆層22が突出している。このため、不要部分を図70の破線に沿ってトリミングする。これにより、懸架体7が完成する。
このような製造方法によれば、荷重支持層23がコア21の厚さ方向に分割されており、隣り合う分割層25の間に中間層24が介在している懸架体7を容易に製造することができる。これにより、コア21の曲げ易さを改善することができ、最内層に位置する分割層25及び最外層に位置する分割層25の応力集中を緩和することができる。
実施の形態36.
次に、図71はこの発明の実施の形態36によるエレベータの懸架体7の製造途中の状態を示す断面図であり、懸架体7の長さ方向に直角な断面に相当する断面を示している。実施の形態36の懸架体7の製造方法では、懸架体の厚さ方向の一方に複数の高強度繊維層51を、他方に少なくとも1層の低弾性繊維層52を積層して積層体53を形成する。他の製造方法は、実施の形態35と同様である。
このような製造方法によれば、樹脂の硬化により硬化収縮が生じたとき、高強度繊維層51と低弾性繊維層52との間で長さ方向の収縮率に差が生じ、低弾性繊維層52の方が高強度繊維層51より大きく収縮する。これにより、図72に示すように、懸架体7は低弾性繊維層52の方へ屈曲して成形される。予め懸架体7を屈曲させて製造することにより、屈曲性を向上させることができる。
実施の形態37.
次に、図73はこの発明の実施の形態37による製造方法により製造された懸架体7の断面図、図74は図73の懸架体7の製造途中の状態を示す断面図であり、それぞれコア21の長さ方向に直角な断面を示している。
実施の形態37の懸架体7の製造方法では、積層体53の形成後、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸する前に、積層体53をスティッチングにより一体化する。即ち、高強度繊維層51及び低弾性繊維層52を糸等のスティッチ材65で纏める。他の製造方法は、実施の形態35と同様である。
このような製造方法によれば、高強度繊維層51及び低弾性繊維層52の横ずれを防止し、成形性を向上することができる。繊維のよれがあると、よれの部分では荷重を負担せず、懸架体7の強度が低下する恐れがある。繊維のよれを抑制することにより、十分な強度を有する懸架体7を得ることができる。また、スティッチングにより繊維のよれを抑制することができる。さらに、樹脂含浸工程において、熱硬化性樹脂がスティッチ材65を介して積層体53の厚み方向に含浸し易くなる。
実施の形態38.
次に、図75はこの発明の実施の形態38の懸架体7の製造装置の一部を示す概略の構成図である。図75の製造装置は、実施の形態35の第2の製造装置に対応しているが、シート配置部62と加圧成形装置63との間に加熱装置66が配置されている点が実施の形態35と異なっている。
加熱装置66としては、超音波加熱装置、ラジカルヒータ、又は遠赤外線ヒータなど、一定時間内に急速加熱が可能な装置が用いられる。
実施の形態38の製造方法では、コア21の周囲に熱可塑シート64を配置した後、加熱装置66により熱可塑シート64を予備加熱してから、コア21及び熱可塑シート64を加圧成形する。他の製造方法は、実施の形態35又は30と同様である。
このような製造方法では、加圧成形工程の前に熱可塑シート64を軟化させ、成形性を向上させることができる。
実施の形態39.
次に、図76はこの発明の実施の形態39の製造方法による懸架体7の製造途中の状態を示す断面図であり、実施の形態35の図69に相当する断面を示している。実施の形態39の製造方法では、分割層25の材料として、一方向FRP板71が用いられている。一方向FRP板71の材料としては、実施の形態1で示した熱硬化性樹脂と複数の高強度繊維が用いられている。
また、中間層24の材料として、実施の形態1で示した熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーからなる複数の中間層熱可塑シート72が用いられている。さらに、被覆層22の材料として、実施の形態1で示した熱可塑性樹脂からなる複数の被覆層熱可塑シート73が用いられている。
各一方向FRP板71は、引抜成形により製造する。そして、図76に示すように、一方向FRP板71と1枚以上の中間層熱可塑シート72とを交互に積層して積層体70を形成する。
この後、積層体70の周囲を囲むように被覆層熱可塑シート73を配置し、積層体70及び被覆層熱可塑シート73を加圧成形する。これにより、積層体70を一体化してコア21を形成するとともに、被覆層熱可塑シート73を一体化して被覆層22を形成する。そして、図70に示したように、被覆層22の不要部分をトリミングする。これにより、懸架体7が完成する。他の製造方法は、実施の形態35と同様である。
このような製造方法によれば、荷重支持層23がコア21の厚さ方向に分割されており、隣り合う分割層25の間に中間層24が介在している懸架体7を容易に製造することができる。これにより、コア21の曲げ易さを改善することができ、最内層に位置する分割層25及び最外層に位置する分割層25の応力集中を緩和することができる。
また、一方向FRP板71を予め成形して熱硬化性樹脂を硬化させておくことにより、分割層25内での高強度繊維層のよれを防止することができる。さらに、実施の形態35の低弾性繊維層52よりもさらに低弾性な中間層熱可塑シート72を用いることで、中間層24のせん断変形の効果を向上させることができる。
実施の形態40.
次に、図77はこの発明の実施の形態40の製造方法による懸架体7の製造途中の状態を示す断面図であり、実施の形態35の図69に相当する断面を示している。実施の形態40の実施の形態39との相違点は、一方向FRP板71が幅方向に凹凸を有している点である。
実施の形態40では、一方向FRP板71を成形する際に、幅方向に凹凸のある断面形状の成形型を使用する。他の製造方法は、実施の形態39と同様である。
図78は図77の一方向FRP板71の断面図である。図78では、一方向FRP板71に三角波状の凹凸が形成されている。凹凸の形状は、互いに噛み合う形状であればよく、これに限定されるものではない。例えば、正弦波状、台形波状又は矩形波状であってもよい。
図79は図77の加圧成形工程により加圧成形された完成前の懸架体7の断面図である。図79の状態から、被覆層22の余分な部分をトリミングすることにより、図80に示す懸架体7が製造される。
図80では、コア21の長さ方向に直角な断面において、分割層25及び中間層24の接合面に凹凸が形成されている。
このような製造方法では、積層体70及び被覆層熱可塑シート73を加圧成形する最、幅方向の凹凸で一方向FRP板71同士が中間層熱可塑シート72を介して噛み合い、幅方向のずれを防止することができる。これにより、懸架体7の幅寸法を適正な範囲内に収めることができる。
実施の形態41.
次に、図81はこの発明の実施の形態41の製造方法による懸架体7の製造途中の状態を示す断面図であり、実施の形態35の図69に相当する断面を示している。実施の形態39の一方向FRP板71では、高強度繊維は全て長さ方向に沿っており、樹脂は熱硬化性樹脂が用いられていたが、実施の形態41のFRP板74では、一部の高強度繊維が長さ方向に対して斜め方向に配向していてもよく、樹脂は熱可塑性樹脂が用いられている。他の製造方法は、実施の形態39と同様である。
このような製造方法では、FRP板74の材料として熱可塑性樹脂が用いられているため、加圧成形する際のFRP板74と中間層熱可塑シート72との親和性が高い。このため、分割層25と中間層24との層間強度を向上させることができる。特に、FRP板74の熱可塑性樹脂として、中間層熱可塑シート72と同種の樹脂を用いることにより、層間強度をさらに向上させることができる。
また、懸架体7全体で熱可塑性樹脂を用いているため、被覆層22の形成後に懸架体7の端部7a,7bを予備加熱して任意の形状、例えば端部7a,7bの把持に適した形状に加工することができる。
図82は実施の形態41の懸架体7の端部7a,7bを予備加熱する工程を示す側面図である。加熱装置75としては、加熱装置66と同様に、超音波加熱装置、ラジカルヒータ、又は遠赤外線ヒータなど、一定時間内に急速加熱が可能な装置が用いられる。
図83は図82の予備加熱の後に懸架体7の端部7a,7bを加圧成形する工程の第1の例を示す側面図である。第1の例では、円弧状に窪んだ第1の成形面76aを有する第1の成形型76と、円弧状に突出した第2の成形面77aを有する第2の成形型77との間に端部7a,7bが配置される。
図84は図83の第1の成形型76と第2の成形型77との間に端部7a,7bを挟んだ状態を示す側面図である。図84のように、第1の成形型76と第2の成形型77とによって端部7a,7bを加圧した後、成形型76,77から端部7a,7bを取り出す。これにより、図85に示すように、端部7a,7bを円弧状に湾曲させることができる。
図86は図82の予備加熱の後に懸架体7の端部7a,7bを加圧成形する工程の第2の例を示す側面図である。第2の例では、波形の凹凸面である第1の成形面78aを有する第1の成形型78と、波形の凹凸面である第2の成形面79aを有する第2の成形型79との間に端部7a,7bが配置される。
図87は図86の第1の成形型78と第2の成形型79との間に端部7a,7bを挟んだ状態を示す側面図である。図87のように、第1の成形型78と第2の成形型79とによって端部7a,7bを加圧した後、成形型78,79から端部7a,7bを取り出す。これにより、図88に示すように、端部7a,7bを波形に変形させることができる。
なお、実施の形態39〜41の製造方法において、実施の形態38と同様に予備加熱を行ってもよい。即ち、積層体70の周囲に被覆層熱可塑シート73を配置した後、被覆層熱可塑シート73を予備加熱してから、積層体70及び被覆層熱可塑シート73を加圧成形してもよい。これにより、成形性を向上させることができる。
また、予備加熱を行う場合、積層体70も含めて予備加熱してもよい。
また、実施の形態35〜41の製造方法は、実施の形態2〜4、6〜15に示したような懸架体7にも適用できる。
実施の形態42.
次に、実施の形態34に示したような中間層24を有する懸架体7の製造方法について説明する。図89はこの発明の実施の形態42によるエレベータの懸架体7の第1の製造装置を示す概略の構成図であり、実施の形態34のコア21を製造する装置である。図89の製造装置は、実施の形態35の第1の製造装置に対応しているが、巻取装置61がない点が実施の形態35と異なっている。
実施の形態42の製造方法では、ボビン80から引き出された高強度繊維糸81は、引抜装置60を通過した後に集束部82へ戻され、必要な繊維量が集束された状態で成形された集束体が形成される。そして、集束体に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させ、未硬化の熱硬化性樹脂を加熱硬化させてコア21を形成する。他の製造方法は、実施の形態35又は37と同様である。
引抜装置60を通過した高強度繊維糸81が集束部82へ戻される際、一定の周長を保つため、プーリなどを介して高強度繊維糸81に一定の張力を加えることが望ましい。高強度繊維糸81に一定の張力を加え続けることにより、周長は集束部82から引抜装置60を経て集束部82へ戻るまでの最短経路の長さに保たれる。
このような製造方法によれば、実施の形態34に示す端部のない輪状の懸架体7を製造することができる。高強度繊維糸81の端部は、高強度繊維糸の集束体として一体に成形されるため、懸架体7としての端部は存在しない。
実施の形態43.
次に、図90はこの発明の実施の形態43によるエレベータの懸架体の断面図、図91は図90の101a部を拡大して示す断面図、図92は図90の101b部を拡大して示す断面図である。図90の101a部は、荷重支持層23の厚さ方向の中央部に位置している。また、図90の101b部は、荷重支持層23の厚さ方向の端部に位置している。
実施の形態43のコア21は、荷重支持層23のみにより構成されている。荷重支持層23は、含浸樹脂103と、複数の高強度繊維102とから構成されている。また、荷重支持層23の厚さ方向の中央部における高強度繊維102の密度は、荷重支持層23の厚さ方向の両端部における高強度繊維102の密度よりも高い。
なお、全ての実施の形態において、高強度繊維102の密度とは、荷重支持層23中に含まれる高強度繊維の割合を意味する。即ち、一定量の荷重支持層23に含まれる高強度繊維102の体積含有率、又はコア21の長さ方向に対して直角な断面に占める高強度繊維102の断面積の割合がこれに該当する。
実施の形態43では、高強度繊維102の密度が、荷重支持層23の厚さ方向の中央部から荷重支持層23の厚さ方向の両端部へ向けて連続的に低下している。また、実施の形態43では、コア21の長さ方向に直角な断面積に占める高強度繊維102の本数を変えることで、高強度繊維102の密度を変化させている。他の構成は、実施の形態11と同様である。
ここで、高強度繊維102のZ軸方向の引張剛性は、含浸樹脂103のZ軸方向の引張剛性よりも高い。これは、FRP全体の中で、高強度繊維102が主に強度及び剛性を高める役割を担い、含浸樹脂103が主に高強度繊維102を一体化させる役割を担っているためである。
本実施の形態における荷重支持層23は、Y軸方向中央部分におけるZ軸方向の引張剛性が高く、Y軸方向中央部分から離れるにつれて引張剛性が低下する特性を具備している。このため、荷重支持層23の断面が同形状で、かつ高強度繊維102の含有量も同一であれば、高強度繊維102が含浸樹脂103中に均一に分散している場合に比べて、X軸に関する曲げ、即ちX軸周りの曲げについて断面二次モーメントが低くなる。
これにより、懸架体がX軸に関して曲がり易くなり、駆動シーブ6への懸架体の巻き付け始め及び巻き付け終わりの部分が浮きにくくなる。このため、駆動シーブ6で送られる際に、懸架体が駆動シーブ6から外れにくくなる。
また、実施の形態43の荷重支持層23において、荷重支持層23の厚さ方向の中央部とは、駆動シーブ6に掛けられた状態で圧縮も引っ張りも受けない中立軸上の位置に近い部分であることが望ましい。このため、エレベータに適用された状態では懸架体に張力が作用するため、荷重支持層23の中央部は、厚さ方向の中心部分よりも駆動シーブ6との接触面に近い側に位置させるのが望ましい。
また、懸架体の表面と駆動シーブ6との接触面を大きくできるため、接触面に働く摩擦力により伝達できる駆動力を大きくすることができる。また、懸架体が曲がり易いため、保管、運搬、据付、交換等の作業での取り扱いが容易となる。
ここで、荷重支持層23全体としての曲がり易さには、含浸樹脂103のヤング率も影響している。即ち、含浸樹脂103のヤング率を低くすると、曲がり易さは改善される。理想的には、含浸樹脂103のヤング率は、6GPa以下とするのが好ましい。
一方、荷重支持層23にX軸に関して曲げを作用させた場合、高強度繊維102には、Z軸方向の引っ張りを受ける部分と、Z軸方向の圧縮を受ける部分とが発生する。これに対して、含浸樹脂103のヤング率を低下させ過ぎると、高強度繊維102が圧縮された場合にZ軸方向に垂直な方向へ動き易くなる。そして、高強度繊維102と含浸樹脂103との間に剥離が生じて、荷重支持層23が破断する現象が発生し易くなる。このため、含浸樹脂103のヤング率は、0.1GPa以上とすることが望ましい。
このように、含浸樹脂103のヤング率は、6GPa以下で、0.1GPa以上とすることが好ましい。特に、曲がり易さと破断し難さとをよりバランス良く両立させる特性としては、2GPa以下のヤング率、より好ましくは1.5GPa以下のヤング率の含浸樹脂103を選定するのが良い。これは、含浸樹脂103を用いる懸架体に関する他の全ての実施の形態についても、同様に言えることである。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も高い部分、即ち荷重支持層23の厚さ方向の中央部では、高強度繊維102の体積含有率を60%以上、より好ましくは70%以上とすることが良い。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も低い部分、即ち荷重支持層23の厚さ方向の両端部では、高強度繊維102の体積含有率を50%以下、より好ましくは40%以下とすることが良い。
これは、高強度繊維102の密度が高過ぎると、含浸樹脂103により高強度繊維102同士を一体化する効果が低下して、曲げによる疲労が進み易くなるためである。コア21が長手方向に曲げられることによる応力が小さい厚さ方向の中央部は、製造上含浸できる高い炭素繊維密度で構成する一方、曲げによる応力変化が大きい端部は、一体化効果が十分に得られる炭素繊維密度とすることで、疲労と強度との最適化を図ることができる。
図93は、本実施の形態における懸架体の製造装置を示す概略の構成図、図94は図93の要部断面図である。図93の装置では、第1の高強度繊維群111と、複数の第2の高強度繊維群112とが、それぞれ対応するボビンから繰り出される。第1の高強度繊維群111の繊維密度は、第2の高強度繊維群112の繊維密度よりも高い。
図93では、簡単のため、2種類の高強度繊維群111,112を示しているが、さらに多くのボビンを配置し、繊維密度の異なる3種類以上の高強度繊維群を繰り出すことにより、高強度繊維102の密度を連続的に変化させることができる。
ボビンから繰り出された高強度繊維群111,112は、繊維位置決め部110に通される。図94に示すように、繊維位置決め部110には、高強度繊維群111,112を個別に通す複数の孔110bが設けられている。孔110bの周囲には、高強度繊維群111を個別に案内するガイド壁110aが形成されている。
高強度繊維群111,112は、繊維位置決め部110を通されることにより、互いの相対位置を維持しつつ、互いに近付けられる。また、高強度繊維群111,112は、繊維位置決め部110を通過した後、インジェクション装置109に通される。
インジェクション装置109では、高強度繊維群111,112の束に含浸樹脂103が含浸される。他の製造装置の構成及び製造方法は、実施の形態35と同様である。
このように、実施の形態43の懸架体の製造方法は、第1ないし第5の工程を含んでいる。第1の工程は、繊維密度が異なる複数の高強度繊維群111,112を対応するボビンから繰り出す工程である。第2の工程は、高強度繊維群111,112を、互いの相対位置を維持しつつ、互いに近付け、高強度繊維群111,112の束を形成する工程である。
第3の工程は、高強度繊維群111,112の束に含浸樹脂103を含浸させる工程である。第4の工程は、樹脂含浸された高強度繊維群111,112の束を加熱成形してコア21を形成する工程である。第5の工程は、コア21の外周の少なくとも一部を覆う被覆層22を形成する工程である。
このような製造方法により、図90に示したような断面構造を持つ懸架体を効率的に製造することができる。
実施の形態44.
次に、図95はこの発明の実施の形態44による荷重支持層23の厚さ方向の中央部を拡大して示す断面図、図96は実施の形態44による荷重支持層23の厚さ方向の端部を拡大して示す断面図である。なお、図95は、図90の101a部に相当する部分を示している。図96は、図90の101b部に相当する部分を示している。
実施の形態44では、径が異なる複数種類の高強度繊維102が用いられている。即ち、高強度繊維102として、複数の第1の高強度繊維102aと、複数の第2の高強度繊維102bとが用いられている。第2の高強度繊維102bの径は、第1の高強度繊維102aの径よりも大きい。第2の高強度繊維102bの材料は、第1の高強度繊維102aの材料と同じである。
荷重支持層23の厚さ方向の中央部では、第2の高強度繊維102bの間に第1の高強度繊維102aが配置されている。これに対して、荷重支持層23の厚さ方向の両端部では、第2の高強度繊維102bの間に第1の高強度繊維102aが全く配置されていないか、又は第2の高強度繊維102bの間に配置される第1の高強度繊維102aの数が削減されている。
これにより、荷重支持層23の厚さ方向の中央部における高強度繊維102の密度は、荷重支持層23の厚さ方向の両端部における高強度繊維102の密度よりも高い。
また、第1の高強度繊維102aの数を荷重支持層23の厚さ方向に沿って連続的に変化させることにより、高強度繊維102の密度を、荷重支持層23の厚さ方向の中央部から荷重支持層23の厚さ方向の両端部へ向けて連続的に低下させることができる。他の構成は、実施の形態43と同様である。
また、実施の形態44の荷重支持層23を製造する場合、図93の上下のボビンから繰り出される高強度繊維群112における第1の高強度繊維102aの密度を低くし、中央のボビンから繰り出される高強度繊維群111における第1の高強度繊維102aの密度を高くすればよい。
このような構成によっても、実施の形態43と同様の効果を得ることができる。また、太さの異なる高強度繊維102a,102bを用いるため、樹脂含浸時に高強度繊維102a,102bが寄せ集められるようなことが起こりにくく、目標とする密度分布をより精度良く実現することができる。
実施の形態45.
次に、図97はこの発明の実施の形態45によるエレベータの懸架体の断面図、図98は図97の101c部を拡大して示す断面図、図99は図97の101d部を拡大して示す断面図である。図97の101c部は、荷重支持層23の厚さ方向の第1の端部に位置している。図97の101d部は、荷重支持層23の厚さ方向の第2の端部に位置している。
実施の形態45では、荷重支持層23の厚さ方向の第1の端部における高強度繊維102の密度が、荷重支持層23の厚さ方向の第2の端部における高強度繊維102の密度よりも高い。また、高強度繊維102の密度は、荷重支持層23の厚さ方向の第1の端部から第2の端部へ向けて連続的に低下している。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も高い部分、即ち荷重支持層23の厚さ方向の第1の端部では、高強度繊維102の体積含有率を60%以上、より好ましくは70%以上とすることが良い。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も低い部分、即ち荷重支持層23の厚さ方向の第2の端部では、高強度繊維102の体積含有率を50%以下、より好ましくは40%以下とすることが良い。他の構成及び製造方法は、実施の形態43と同様である。
このような懸架体では、曲げ断面の中立面をずらすことができ、曲がり易さを向上させることができる。
なお、実施の形態45のように高強度繊維102の密度を変化させるために、実施の形態44と同様の方法を適用してもよい。
実施の形態46.
次に、図100はこの発明の実施の形態46によるエレベータの懸架体の断面図、図101は図100の101e部を拡大して示す断面図である。図100の101e部は、荷重支持層23の厚さ方向の端部に位置している。
実施の形態46では、荷重支持層23の厚さ方向の中央部における高強度繊維102の密度が、荷重支持層23の厚さ方向の両端部における高強度繊維102の密度よりも高い。また、荷重支持層23の厚さ方向の両端部には、含浸樹脂103のみによる層が形成されている。他の構成及び製造方法は、実施の形態43又は44と同様である。
このような懸架体の構成によっても、曲げ易さを向上させることができる。また、荷重支持層23の表面に含浸樹脂103のみによる層があることにより、被覆層22との接着性を向上させることができる。これにより、曲げによって荷重支持層23と被覆層22との間に剥離が発生することを抑制することができる。
なお、実施の形態45の第2の端部に、実施の形態46の含浸樹脂103のみによる層を設けてもよい。
また、含浸樹脂103のみによる層以外の部分では、高強度繊維102の密度を荷重支持層23の厚さ方向に均等としてもよい。
実施の形態47.
次に、図102はこの発明の実施の形態47によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態47では、被覆層22の幅寸法が、荷重支持層23の幅寸法よりも小さくなっている。即ち、被覆層22は、荷重支持層23の厚さ方向の両面のみを覆っており、荷重支持層23の幅方向の両端面を覆っていない。
これにより、コア21の幅方向の両端部、即ち荷重支持層23の幅方向両端部は、被覆層22から外部に突出しており、被覆層22から外部に露出している。他の構成及び製造方法は、実施の形態43と同様である。
このような懸架体では、荷重支持層23に対する検査を、荷重支持層23の幅方向の両端部から直接実施することができる。
なお、荷重支持層23の幅方向の両端面は、被覆層22の幅方向の両端面と面一であっても、被覆層22の幅方向の両端面よりも幅方向の中心側に引っ込んでいてもよい。
また、実施の形態47のようにコア21の幅方向の両端部を被覆層22の外部に露出させる構成は、懸架体の構成に関する他の全ての実施の形態にも適用することができる。
実施の形態48.
次に、図103はこの発明の実施の形態48によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態48では、コア21が荷重支持層23のみにより構成されている。また、コア21は、複数のコア分割体26に分割されている。コア分割体26は、コア21の幅方向に互いに間隔をおいて配置されている。隣り合うコア分割体26の間には、被覆層22が入り込んでいる。
各コア分割体26の厚さ方向(Y軸方向)の中央部における高強度繊維の密度は、各コア分割体26の厚さ方向の両端部における高強度繊維の密度よりも高い。また、各コア分割体26における高強度繊維の密度は、厚さ方向の中央部から両端部へ向けて連続的に低下している。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も高い部分、即ちコア分割体26の厚さ方向の中央部では、高強度繊維102の体積含有率を60%以上、より好ましくは70%以上とすることが良い。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も低い部分、即ちコア分割体26の厚さ方向の両端部では、高強度繊維102の体積含有率を50%以下、より好ましくは40%以下とすることが良い。
各コア分割体26の長さ方向(Z軸方向)に直角な断面形状は、矩形である。他の構成及び製造方法は、実施の形態43又は44と同様である。図103の101a部の断面は、図91又は図95と同様である。図103の101b部の断面は、図92、図96又は図101と同様である。
このような懸架体では、コア21がコア分割体26に分割されているため、荷重支持層23を製造するための設備の規模を小さくすることができる。
実施の形態49.
次に、図104はこの発明の実施の形態49によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態49では、各コア分割体26の断面形状が円形となっている。他の構成及び製造方法は、実施の形態48と同様である。図104の101a部の断面は、図91又は図95と同様である。図104の101b部の断面は、図92、図96又は図101と同様である。
このような懸架体では、荷重支持層23を製造するための設備の規模を小さくできる効果に加えて、コア分割体26の断面の角部への応力集中を回避することができるという効果が得られる。このため、高強度繊維間の剥離を抑制することができる。
実施の形態50.
次に、図105はこの発明の実施の形態50によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態50では、コア21が、幅方向だけではなく、厚さ方向にも分割されている。これにより、コア分割体26は、コア21の幅方向及び厚さ方向に互いに間隔をおいて配置されている。他の構成及び製造方法は、実施の形態48と同様である。図105の101a部の断面は、図91又は図95と同様である。図105の101b部の断面は、図92、図96又は図101と同様である。
このような懸架体では、荷重支持層23を製造するための設備の規模をさらに小さくすることができる。また、懸架体がより曲がり易くなる。
実施の形態51.
次に、図106はこの発明の実施の形態51によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態51のコア21は、6つの第1のコア分割体列と、5つの第2のコア分割体列とを有している。各第1のコア分割体列は、コア21の厚さ方向(Y軸方向)に並んだ3つのコア分割体26からなっている。また、第1のコア分割体列は、コア21の幅方向(X軸方向)に互いに間隔をおいて配置されている。
第2のコア分割体列は、隣り合う第1のコア分割体列間に配置されている。各第2のコア分割体列は、コア21の厚さ方向に並んだ2つのコア分割体26からなっている。第2のコア分割体列のコア分割体26は、第1のコア分割体列のコア分割体26に対して、コア21の厚さ方向にずらして配置されている。
各コア分割体26の断面形状は、円形である。他の構成及び製造方法は、実施の形態50と同様である。図106の101a部の断面は、図91又は図95と同様である。図106の101b部の断面は、図92、図96又は図101と同様である。
このような懸架体では、より多くのコア分割体26を配置することができるため、同じ強度を持つ1つの懸架体として構成する場合、曲がり易さを向上させることができる。
実施の形態52.
次に、図107はこの発明の実施の形態52によるエレベータの懸架体の断面図、図108は図107の101f部を拡大して示す断面図、図109は図107の101g部を拡大して示す断面図である。図107の101f部は、荷重支持層23の幅方向の中央部に位置している。また、図108の101g部は、荷重支持層23の幅方向の端部に位置している。
実施の形態52では、荷重支持層23の幅方向の中央部における高強度繊維102の密度が、荷重支持層23の幅方向の両端部における高強度繊維102の密度よりも高い。また、高強度繊維102の密度が、荷重支持層23の幅方向の中央部から荷重支持層23の幅方向の両端部へ向けて連続的に低下している。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も高い部分、即ち荷重支持層23の幅方向の中央部では、高強度繊維102の体積含有率を60%以上、より好ましくは70%以上とすることが良い。
また、荷重支持層23内で高強度繊維102の密度が最も低い部分、即ち荷重支持層23の幅方向の両端部では、高強度繊維102の体積含有率を50%以下、より好ましくは40%以下とすることが良い。他の構成及び製造方法は、実施の形態43と同様である。
このような懸架体では、コア21の幅方向の両端部の剛性が低くなるため、コア21がZ軸に関して曲がり易くなり、駆動シーブ6との接着性が向上する。
なお、実施の形態52を実施の形態43と組み合わせてもよい。即ち、実施の形態52において、荷重支持層23の厚さ方向の両端部における高強度繊維102の密度を厚さ方向の中央部における高強度繊維102の密度よりも低くしてもよい。
また、荷重支持層23の幅方向両端部に、含浸樹脂103のみによる層を設けてもよい。
実施の形態53.
次に、図110はこの発明の実施の形態53による荷重支持層23の幅方向の中央部を拡大して示す断面図、図111は実施の形態53による荷重支持層23の幅方向の端部を拡大して示す断面図である。懸架体全体の断面は、図107と同様である。
実施の形態53では、実施の形態44と同様の方法により、荷重支持層23の幅方向の中央部における高強度繊維102の密度が、荷重支持層23の幅方向の両端部における高強度繊維102の密度よりも高くしている。他の構成及び製造方法は、実施の形態52と同様である。
このような懸架体では、太さの異なる高強度繊維102a,102bを用いるため、樹脂含浸時に高強度繊維102a,102bが寄せ集められるようなことが起こりにくく、目標とする密度分布をより精度良く実現することができる。
実施の形態54.
次に、図112はこの発明の実施の形態12によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態54のコア21は、複数の第1のコア分割体26aと、複数の第2のコア分割体26bとに分割されている。各コア分割体26a,26bの断面形状は、円形である。各コア分割体26a,26bの断面積は、同じである。
各コア分割体26a,26bにおける高強度繊維は、螺旋状に捻られた状態で配置されている。高強度繊維を螺旋状に配置するためには、コア21の成形前に、長さ方向に直角な断面の中心を中心として、高強度繊維群の束を周方向へ捻る工程を加えればよい。
図113は図112の第1のコア分割体26aを示す平面図、図114は図112の第2のコア分割体26bを示す平面図である。図113及び図114に示すように、第1のコア分割体26aと第2のコア分割体26bとでは、高強度繊維の捻り方向が反対になっている。
また、図112では、第1のコア分割体26aと第2のコア分割体26bとが、コア21の幅方向に交互に配置されている。各コア分割体26a,26bの長さ方向に直角な断面における高強度繊維の密度は、均等であっても、中央部から径方向外側へ向けて低くなっていてもよい。また、各コア分割体26a,26bの外周に、含浸樹脂のみによる層を設けてもよい。他の構成及び製造方法は、実施の形態49と同様である。
このように、高強度繊維を螺旋状に捻られた状態で配置することで、斜め方向に対する強度と剛性とを向上させることができ、より捩りに強い構造とすることができる。
なお、図112では、第1のコア分割体26aと第2のコア分割体26bとを交互に配置したが、コア21の幅方向の中心に対して、幅方向の一側に第1のコア分割体26aを配置し、幅方向の他側に第2のコア分割体26bを配置してもよい。第1のコア分割体26aの本数と第2のコア分割体26bの本数とは、同じであることが好ましい。
実施の形態55.
次に、図115はこの発明の実施の形態55によるエレベータの懸架体の断面図、図116は図115のコア分割体26を示す平面図である。
実施の形態55では、各コア分割体26における荷重支持層23の内部105aの高強度繊維が、コア21の長さ方向に平行に配置されている。内部105aにおける高強度繊維の密度は、均等であっても、上記のいずれかの実施の形態のように変化させてもよい。
また、各コア分割体26における荷重支持層23の外周部105bの高強度繊維は、コア21の長さ方向に対して交差する方向に配置されている。この例では、外周部105bの高強度繊維は、織物状に配置されている。即ち、外周部105bの高強度繊維は、コア21の長さ方向に対して斜めに配置されている。他の構成及び製造方法は、実施の形態48と同様である。
荷重支持層23の主な役割は、Z軸方向の荷重を負担することであるため、断面積の大部分を占める内部105aの高強度繊維は、Z軸方向に沿って配置されている。一方、荷重支持層23の表面では、高強度繊維が織物状に配置されている。
このため、実施の形態55の構成によれば、斜め方向の強度を向上させることが可能である。また、一方向に揃えられた内部105aの高強度繊維を、織物状に配置した高強度繊維によって包むことで、高強度繊維全体を一体化して製造工程に通すことができる。これにより、成形が比較的容易になる。
実施の形態56.
次に、図117はこの発明の実施の形態56によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態56は、実施の形態55のコア分割体26の断面形状を円形にしたものである。他の構成及び製造方法は、実施の形態55と同様である。
このような懸架体では、コア分割体26の断面の角部への応力集中を回避することができる。これにより、高強度繊維間の剥離を抑制することができる。
なお、実施の形態56のコア分割体26の内部105aの高強度繊維を、実施の形態54のように螺旋状に捻られた状態で配置することもできる。
実施の形態57.
次に、図118はこの発明の実施の形態57によるエレベータの懸架体の断面図である。実施の形態57では、隣り合うコア分割体26間に、第1の樹脂層107と第2の樹脂層108とが介在している。第1の樹脂層107は、荷重支持層23の含浸樹脂と同材料からなっている。第2の樹脂層107は、被覆層22と同材料からなっている。
懸架体の製造時には、隣り合うコア分割体26の間に、含浸樹脂と同材料からなる第1のプレートと、被覆層22と同材料からなる第2のプレートとが、コア分割体26の長さ方向に沿って連続して配置される。そして、コア分割体26と第1及び第2のプレートとを一体化することで、第1の樹脂層107及び第2の樹脂層108が形成される。
各コア分割体26における高強度繊維の密度は、均等であっても、上記のいずれかの実施の形態のように変化させてもよい。他の構成及び製造方法は、実施の形態48と同様である。
このような懸架体では、第1及び第2の樹脂層107,108を介してコア分割体26が一体化されているので、コア21がZ軸回転方向に曲がり易くなり、駆動シーブ6の表面とより密着し易くなる。
なお、実施の形態57のコア分割体26を実施の形態55と同様に構成してもよい。
実施の形態58.
次に、図119はこの発明の実施の形態58によるエレベータの懸架体の断面図、図120は図119の113部を拡大して示す断面図である。実施の形態58のコア21は、荷重支持層23のみにより構成されている。荷重支持層23は、含浸樹脂103と、複数の第1の高強度繊維束114aと、複数の第2の高強度繊維束114bとを有している。第1及び第2の高強度繊維束114a,114bは、コア21の長さ方向に沿って配置されている。
図121は図119の第1の高強度繊維束114aを示す平面図、図122は図119の第2の高強度繊維束114bを示す平面図である。各高強度繊維束114a,114bには、複数の高強度繊維が螺旋状に捻られた状態で配置されている。第1の高強度繊維束114aにおける高強度繊維の捻り方向と、第2の高強度繊維束114bにおける高強度繊維の捻り方向とは、逆向きである。
また、第1の高強度繊維束114aの本数と第2の高強度繊維束114bの本数とは、同じであることが好ましい。また、第1の高強度繊維束114aと第2の高強度繊維束114bとは、コア21の長さ方向に直角な断面内に均等に分布させることが好ましい。図120の例では、第1の高強度繊維束114aの層と第2の高強度繊維束114bの層とが、コア21の厚さ方向に交互に配置されている。
実施の形態58の懸架体は、図93に示された複数のボビンに、予め捻られた高強度繊維束114a,114bを巻き付けておくことにより、製造することができる。また、実施の形態58の懸架体は、複数のボビンから出た高強度繊維束に捻りを加えてからまとめることによっても、製造することができる。この場合、ボビンを回転させることで、高強度繊維束に捻りを加えてもよい。他の構成及び製造方法は、実施の形態43と同様である。
このような懸架体では、高強度繊維が、コア21の長さ方向に対して斜め方向にも配置されているため、捩り変形に対する強度を向上させることができる。
また、第1及び第2の高強度繊維束114a,114bの撚り方向が互いに異なっているため、両方向への捩り変形に対する懸架体の強度を向上させることができる。
また、隣り合う第1の高強度繊維束114aと第2の高強度繊維束114bとの間には、含浸樹脂103が介在しているため、第1の高強度繊維束114aと第2の高強度繊維束114bとが互いに接触することは少ない。しかし、含浸樹脂103を含浸しても、一部の高強度繊維束114a,114bは互いに接触することがある。また、エレベータに適用された懸架体は、繰り返し曲げられるため、含浸樹脂103が疲労して、第1の高強度繊維束114aと第2の高強度繊維束114bとの接触が発生する。
このように、第1の高強度繊維束114aと第2の高強度繊維束114bとが接触した場合、それぞれの表面における高強度繊維は、交差せず、平行又はほぼ平行な状態で接触する。このため、表面の高強度繊維に生じる接触応力を下げることができ、耐疲労性及び強度を向上させることができる。
なお、全ての高強度繊維束の捻り方向を同じにしてもよい。
また、捻り加えていない高強度繊維束又は高強度繊維と、捻りを加えた高強度繊維束とを混在させてもよい。
また、実施の形態58のコア21を図103、104、105、又は106に示すように、複数のコア分割体26に分割してもよい。
また、実施の形態58のコア21を複数のコア分割体26に分割する場合、図112に示したようにコア分割体26毎に捻りを加えたり、図115又は117に示すように外周部105bに織物状の高強度繊維を配置したり、図118に示すようにコア分割体26間に第1及び第2の樹脂層107,108を介在させたりしてもよい。
6 駆動シーブ、7 懸架体、8 かご(昇降体)、9 釣合おもり(昇降体)、21 コア、22 被覆層、23 荷重支持層、24 中間層、25 分割層、26 コア分割体、27,28,29 変形抑制部材、31 最外層(外側支持層)、32 最内層(外側支持層)、33 中間支持層、34,102 高強度繊維、41 端末保持装置、44 軸、46a 円弧、51 高強度繊維層、52 低弾性繊維層、53,70 積層体、54 高強度繊維織物、71,74 一方向FRP板、72 中間層熱可塑シート、73 被覆層熱可塑シート、102a 第1の高強度繊維、102b 第2の高強度繊維、103 含浸樹脂、105a 内部、105b 外周部、107 第1の樹脂層、108 第2の樹脂層、111,112 高強度繊維群。

Claims (25)

  1. 含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及び
    前記コアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層
    を備え、
    前記荷重支持層の厚さ方向の中央部における前記高強度繊維の密度は、前記荷重支持層の厚さ方向の両端部における前記高強度繊維の密度よりも高いエレベータの懸架体。
  2. 前記荷重支持層の厚さ方向の前記中央部の引張剛性は、前記荷重支持層の厚さ方向の前記両端部の引張剛性よりも高い請求項1記載のエレベータの懸架体。
  3. 前記荷重支持層の厚さ方向の前記中央部における前記高強度繊維の体積含有率は、60%以上であり、
    前記荷重支持層の厚さ方向の前記両端部における前記高強度繊維の体積含有率は、50%以下である請求項1記載のエレベータの懸架体。
  4. 前記含浸樹脂のヤング率は、1.5GPa以下、0.1GPa以上である請求項1記載のエレベータの懸架体。
  5. 前記荷重支持層の前記高強度繊維は、径が異なる高強度繊維を含み、
    前記荷重支持層の厚さ方向の前記両端部は、前記中央部よりも径が小さい高強度繊維の数が削減されている請求項1記載のエレベータの懸架体。
  6. 前記高強度繊維の密度は、前記中央部から前記両端部へ向けて連続的に低下している請求項1、及びのいずれか1項に記載のエレベータの懸架体。
  7. 前記両端部には、前記高強度繊維が配置されない部分が形成されている請求項1、及びのいずれか1項に記載のエレベータの懸架体。
  8. 前記荷重支持層の幅方向の前記中央部における前記高強度繊維の密度は、前記荷重支持層の幅方向の前記両端部における前記高強度繊維の密度よりも高い請求項1、及びのいずれか1項に記載のエレベータの懸架体。
  9. 含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているコア、及び
    前記コアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層
    を備え、
    前記コアは、互いに間隔をおいて配置されている複数のコア分割体に分割されており、
    隣り合う前記コア分割体の間には、前記被覆層が入り込んでおり、
    各前記コア分割体の厚さ方向の中央部における前記高強度繊維の密度は、各前記コア分割体の厚さ方向の両端部における前記高強度繊維の密度よりも高いエレベータの懸架体。
  10. 前記コア分割体の厚さ方向の前記中央部の引張剛性は、前記コア分割体の厚さ方向の前記両端部の引張剛性よりも高い請求項記載のエレベータの懸架体。
  11. 前記コア分割体の厚さ方向の前記中央部における前記高強度繊維の体積含有率は、60%以上であり、
    前記コア分割体の厚さ方向の前記両端部における前記高強度繊維の体積含有率は、50%以下である請求項記載のエレベータの懸架体。
  12. 前記含浸樹脂のヤング率は、1.5GPa以下、0.1GPa以上である請求項9記載のエレベータの懸架体。
  13. 前記コア分割体の前記高強度繊維は、径が異なる高強度繊維を含み、
    前記コア分割体の厚さ方向の前記両端部は、前記中央部よりも径が小さい高強度繊維の数が削減されている請求項記載のエレベータの懸架体。
  14. 前記高強度繊維の密度は、前記中央部から前記両端部へ向けて連続的に低下している請求項1011及び13のいずれか1項に記載のエレベータの懸架体。
  15. 含浸樹脂と複数の高強度繊維とを含む荷重支持層を有しているベルト状のコア、及び
    前記コアの外周の少なくとも一部を覆っている被覆層
    を備え、
    前記荷重支持層の幅方向の中央部における前記高強度繊維の密度は、前記荷重支持層の幅方向の両端部における前記高強度繊維の密度よりも高いエレベータの懸架体。
  16. 前記荷重支持層の幅方向の前記中央部の引張剛性は、前記荷重支持層の幅方向の前記両端部の引張剛性よりも高い請求項15記載のエレベータの懸架体。
  17. 前記荷重支持層の幅方向の前記中央部における前記高強度繊維の体積含有率は、60%以上であり、
    前記荷重支持層の幅方向の前記両端部における前記高強度繊維の体積含有率は、50%以下である請求項15記載のエレベータの懸架体。
  18. 前記含浸樹脂のヤング率は、1.5GPa以下、0.1GPa以上である請求項15記載のエレベータの懸架体。
  19. 前記荷重支持層の前記高強度繊維は、径が異なる高強度繊維を含み、
    前記荷重支持層の幅方向の前記両端部は、前記中央部よりも径が小さい高強度繊維の数が削減されている請求項15記載のエレベータの懸架体。
  20. 前記高強度繊維の密度は、前記中央部から前記両端部へ向けて連続的に低下している請求項15から請求項19までのいずれか1項に記載のエレベータの懸架体。
  21. 前記両端部には、前記高強度繊維が配置されない部分が形成されている請求項15から請求項20までのいずれか1項に記載のエレベータの懸架体。
  22. かご、及び
    前記かごを吊り下げる請求項1から請求項21までのいずれか1項に記載の懸架体
    を備えているエレベータ。
  23. 繊維密度が異なる複数の高強度繊維群を、それぞれ対応するボビンから繰り出す工程、
    繊維密度が異なる前記複数の高強度繊維群を、互いの相対位置を維持しつつ、互いに近付け、前記複数の高強度繊維群の束を形成する工程、
    前記束に含浸樹脂を含浸させる工程、
    樹脂含浸された前記束を加熱成形してコアを形成する工程、及び
    前記コアの外周の少なくとも一部を覆う被覆層を形成する工程
    を含むエレベータの懸架体の製造方法。
  24. 前記複数の高強度繊維群の前記束を形成する工程は、繊維密度が高い前記高強度繊維群を前記コアの厚さ方向の中央部に位置決めし、繊維密度が低い前記高強度繊維群を前記コアの厚さ方向の両端部に位置決めして形成する請求項23記載のエレベータの懸架体の製造方法。
  25. 前記高強度繊維群の繊維数は、位置決めされる前記中央部から前記両端部に沿って連続的に変化させる請求項24記載のエレベータの懸架体の製造方法。
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