WO2023223474A1 - ロープシステム - Google Patents
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- B66B—ELEVATORS; ESCALATORS OR MOVING WALKWAYS
- B66B7/00—Other common features of elevators
- B66B7/06—Arrangements of ropes or cables
Abstract
寿命が短くなることを抑制でき、容易に製造されることができるロープシステムを提供する。ロープシステムは、回転可能に設けられ、回転軸方向において中央から端側に向かって外径が小さくなるクラウンが形成された滑車と、長手方向に垂直な断面が矩形状に形成され、幅方向が回転軸方向を向くよう滑車に巻き掛けられるロープと、を備え、ロープは、幅方向の位置が異なる第1部分と第2部分とを含み、第1部分は、幅方向において、第2部分よりも幅方向の中央側に位置し、第1部分のばね定数は、第2部分のばね定数よりも小さい。
Description
本開示は、ロープシステムに関する。
特許文献1は、ロープシステムを開示する。当該ロープシステムにおいて、滑車には、ベルトロープの蛇行を抑制するために、逆U字状の円弧曲面であるクラウンが形成される。クラウンの形成によってベルトの寿命が短くなることを抑制するために、ベルトロープの表面形状は、クラウンの形状に沿った円弧状に成形される。このため、ベルトロープと滑車の表面との間の面圧が位置によって不均等になることが抑制され得る。
しかしながら、特許文献1に記載のロープシステムにおいて、ベルトロープの被覆材の形状は、複雑な形状となる。また、当該形状は、高い精度で成形されることが要求される。このため、ロープの製造が困難となる。
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、寿命が短くなることを抑制でき、容易に製造されることができるロープシステムを提供することである。
本開示に係るロープシステムは、回転可能に設けられ、回転軸方向において中央から端側に向かって外径が小さくなるクラウンが形成された滑車と、長手方向に垂直な断面が矩形状に形成され、幅方向が前記回転軸方向を向くよう前記滑車に巻き掛けられるロープと、を備え、前記ロープは、前記ロープの長手方向にわたってそれぞれ設けられ、前記幅方向に並ぶ複数の支持部材と、前記ロープの長手方向にわたって前記複数の支持部材を覆い、接触面を有し、前記滑車と前記接触面で接触する被覆材と、を有し、前記複数の支持部材には第1支持部材と第2支持部材とが含まれ、前記第1支持部材は、前記幅方向において、前記第2支持部材よりも前記幅方向の中央側に位置し、前記断面において、前記第1支持部材の長手方向に作用する張力の第1重心位置から前記接触面までの距離よりも、前記第2支持部材の長手方向に作用する張力の第2重心位置から前記接触面までの距離が大きい。
本開示に係るロープシステムは、回転可能に設けられ、回転軸方向において中央から端側に向かって外径が小さくなるクラウンが形成された滑車と、長手方向に垂直な断面が矩形状に形成され、幅方向が前記回転軸方向を向くよう前記滑車に巻き掛けられるロープと、を備え、前記ロープは、前記幅方向の位置が異なる第1部分と第2部分とを含み、前記第1部分は、前記幅方向において、前記第2部分よりも前記幅方向の中央側に位置し、前記第1部分のばね定数は、前記第2部分のばね定数よりも小さい。
本開示によれば、滑車にはクラウンが形成される。また、ロープは、断面が矩形状に形成される。ロープにおいて、張力の第1重心位置から接触面までの距離よりも、張力の第2重心位置から接触面までの距離が大きい。または、ロープにおいて、第1部分のばね定数は、第2部分のばね定数よりも小さい。このため、寿命が短くなることを抑制でき、容易に製造されることができる。
本開示を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるロープシステムが適用されるエレベーター装置の概要を示す図である。
図1は実施の形態1におけるロープシステムが適用されるエレベーター装置の概要を示す図である。
図1のエレベーター装置1において、昇降路2は、建築物3の各階を貫く。昇降路2は、建築物3の昇降方向に延びる空間である。機械室4は、昇降路2の直上に設けられる。図1には、1:1ローピング方式のエレベーター装置1が例として示される。エレベーター装置1は、ロープシステム5を備える。
ロープシステム5は、駆動綱車6とそらせ車7と複数の主ロープ8とを備える。駆動綱車6は、滑車として機械室4の内部に設けられる。そらせ車7は、滑車として機械室4の内部に設けられる。そらせ車7は、回転軸を中心として回転可能に設けられる。複数の主ロープ8の各々は、同様の構成を備える。図1には、複数の主ロープ8のうちの1つが図示される。主ロープ8は、駆動綱車6とそらせ車7とに巻き掛けられる。
巻上機9は、モータ10とブレーキ11とを備える。また、巻上機9の構成には、駆動綱車6が含まれる。モータ10は、機械室4に設けられる。モータ10の駆動軸には、駆動綱車6が固定される。ブレーキ11は、駆動綱車6に制動力を与え得るよう設けられる。
かごガイドレール12は、昇降路2の内部に設けられる。かごガイドレール12の長手方向は、昇降路2が延びる方向を向く。おもりガイドレール13は、昇降路2の内部に設けられる。おもりガイドレール13の長手方向は、昇降路2が延びる方向を向く。
かご14は、昇降路2の内部において、かごガイドレール12に隣接して設けられる。かご14は、主ロープ8の一側に吊るされる。かご14は、かご枠14aとかご室14bとを備える。かご枠14aは、一側保持システム15を介して主ロープ8の一端に取り付けられる。かご室14bは、エレベーター装置1の乗客、荷物等の積載物を載せる部屋である。かご室14bは、かご枠14aに荷重を支持される。
釣合おもり16は、昇降路2の内部において、おもりガイドレール13に隣接して設けられる。釣合おもり16は、主ロープ8の他側に吊るされる。具体的には、釣合おもり16は、他側保持システム17を介して主ロープ8の他端に取り付けられる。
制御盤18は、機械室4に設けられる。制御盤18は、エレベーター装置1を全体的に制御し得る。例えば、制御盤18は、かご14の運行を制御する。
エレベーター装置1が通常運行する場合、制御盤18は、巻上機9のモータ10を駆動させる。モータ10の駆動軸は、回転する。駆動綱車6は、駆動軸を回転軸として回転する。複数の主ロープ8の各々は、駆動綱車6との間の摩擦力によって、駆動綱車6の回転に追従して移動する。そらせ車7は、複数の主ロープ8の各々との間の摩擦力によって、複数の主ロープ8の移動に追従して回転する。かご14と釣合おもり16とは、複数の主ロープ8の移動に追従して、昇降方向に沿って互いに反対に昇降する。この際、かご14は、かごガイドレール12に案内されながら昇降路2が延びる方向に昇降する。釣合おもり16は、おもりガイドレール13に案内されながら昇降路2が延びる方向に昇降する。その後、制御盤18は、かご14を停止させる指令を送信する。ブレーキ11は、駆動綱車6に制動力を与える。駆動綱車6が停止することで、かご14が停止する。ブレーキ11は、駆動綱車6に制動力を与え続けることで、駆動綱車6を静止保持する。
なお、図1には、機械室4が設けられるエレベーター装置1が示されたが、エレベーター装置1は、機械室4が設けられない方式であってもよい。この場合、巻上機9、そらせ車7、および制御盤18は、昇降路2の内部に設けられてもよい。巻上機9、そらせ車7、および制御盤18は、昇降路2の底部に設けられてもよいし、頂部に設けられてもよい。
なお、エレベーター装置1は、1:1ローピング方式以外のローピング方式が採用されてもよい。例えば、エレベーター装置1は、2:1ローピング方式のエレベーターであってもよい。この場合、主ロープ8の一端は、一側保持システム15を介して、昇降路2または機械室4に設けられた固定体に固定されてもよい。主ロープ8の他端は、他側保持システム17を介して、昇降路2または機械室4に設けられた固定体に固定されてもよい。
次に、図2を用いて、滑車である駆動綱車6またはそらせ車7を説明する。
図2は実施の形態1におけるロープシステムの滑車の要部の断面図である。なお、図2では、複数の主ロープ8の図示が省略される。
図2は実施の形態1におけるロープシステムの滑車の要部の断面図である。なお、図2では、複数の主ロープ8の図示が省略される。
図2は、滑車である駆動綱車6の回転軸を含む平面による断面図を示す。駆動綱車6には、クラウンが形成される。クラウンは、滑車の外周面の形状である。具体的には、クラウンは、滑車の回転軸方向において、外周面の中央から端側に向かって外径が小さくなる形状である。即ち、回転軸方向の中央部において、滑車の外径が最も大きい。駆動綱車6は、外周面6aと一対の縁部材6bとを備える。
外周面6aには、曲率半径Rを有するクラウンが形成される。即ち、外周面6aから回転軸までの距離は、回転軸方向の中央部の方が回転軸方向の端部よりも大きい。一対の縁部材6bは、回転軸方向において、外周面6aの両端部にそれぞれ設けられる。一対の縁部材6bの各々は、外周面6aから回転軸方向とは垂直に延びる。
図示されないが、駆動綱車6には、外周面6aと一対の縁部材6bとが複数の主ロープ8の数だけ並ぶ。複数の主ロープ8は、外周面6aと一対の縁部材6bとの組のうちのいずれかにそれぞれ巻き掛けられる。駆動綱車6に巻き掛けられた場合、主ロープ8は、対応する外周面6aの一部に接触する。一対の縁部材6bの各々は、対応する主ロープ8が外周面6aから脱落しないよう、当該主ロープ8を案内する。
図示されないが、滑車であるそらせ車7は、駆動綱車6と同様の外周面および縁部材を備える。なお、そらせ車7の外周面には、クラウンが形成されなくてもよい。
次に、図3と図4とを用いて、主ロープ8を説明する。
図3は実施の形態1におけるロープシステムの主ロープの要部の斜視図である。図4は実施の形態1におけるロープシステムの主ロープのA-A断面を示す図である。
図3は実施の形態1におけるロープシステムの主ロープの要部の斜視図である。図4は実施の形態1におけるロープシステムの主ロープのA-A断面を示す図である。
図3は、主ロープ8の要部を示す。主ロープ8は、平ベルト形のロープである。以降、主ロープ8を説明する際に、XYZ軸に規定される方向を併せて用いる。XYZ軸は、主ロープ8が図3には図示されない駆動綱車6に巻き掛けられたときの主ロープ8に対して規定される。主ロープ8の幅方向に広がる面は、駆動綱車6の外周面6aの一部に接触する。
X方向は、主ロープ8の幅方向を向く。X方向は、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられたときに駆動綱車6の回転軸と平行となる。Z方向は、主ロープ8の長手方向に沿った方向である。Y方向は、主ロープ8の厚み方向を向く。主ロープ8の厚み方向は、主ロープ8における幅方向と長手方向とに垂直な方向である。即ち、Y方向は、X方向およびZ方向に垂直な方向である。
図4は、図3に示された主ロープ8のA-A断面を示す。A-A断面は、XY平面による断面である。また、A-A断面は、主ロープ8の長さ方向に垂直な断面である。主ロープ8の長手方向に垂直な任意の断面は、いずれも同じ形状となる。
図4に示されるように、A-A断面において、主ロープ8の外形は、矩形状に形成される。主ロープ8の幅方向の寸法である幅寸法は、厚み方向の寸法である厚み寸法よりも大きい。主ロープ8は、接触面8aと接触対面8bとを有する。図4には図示されないが、主ロープ8は、接触面8aにおいて滑車である駆動綱車6およびそらせ車7と接触する。接触対面8bは、接触面8aとは反対を向く。主ロープ8に負荷が加わっていない状態において、接触面8aと接触対面8bとは、いずれも平坦な面である。主ロープ8は、被覆材20と複数の支持部材21とを備える。
被覆材20は、主ロープ8の外形を成す。即ち、A-A断面において、被覆材20の外形は、主ロープ8と同様の矩形状に形成される。例えば、被覆材20は、複数の支持部材21を除く主ロープ8の全体を構成する。即ち、被覆材20は、接触面8aを構成する。
被覆材20の材料は、主ロープ8に要求される滑車の表面との摩擦力に関係するトラクション能力が満たされる材料が採用される。被覆材20の材料は、外部環境に起因する負荷および物理的な負荷から複数の支持部材21を保護し得る材料が採用される。ここで、外部環境に起因する負荷には、熱に起因する負荷および湿度に起因する負荷が含まれる。物理的な負荷には、滑車である駆動綱車6およびそらせ車7と接触することに起因する負荷が含まれる。
例えば、被覆材20の材料には、オレフィン系、スチレン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、またはブタジエン系の熱可塑性エラストマーが採用され得る。また、被覆材20の材料には、エラストマー材料として、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの熱硬化性エラストマー、即ち熱硬化性のゴムが採用され得る。
複数の支持部材21は、主ロープ8の長手方向にわたって被覆材20の内部に設けられる。即ち、複数の支持部材21の各々は、被覆材20に全周を覆われる。複数の支持部材21は、主ロープ8の幅方向に並ぶ。複数の支持部材21の各々は、主ロープ8に作用するZ方向の張力を支持する。例えば、主ロープ8には、かご14を吊り上げるための負荷によって発生する張力が加わる。なお、当該負荷のうち被覆材20によって支持される負荷は、支持部材21によって支持される負荷と比べて無視できるほど小さい。つまり、当該張力は、支持部材21のみによって支持されるとみなすことができる。
例えば、複数の支持部材21の各々は、同様の構成を備える。具体的には、複数の支持部材21の材料は、それぞれ等しい。複数の支持部材21の形状は、それぞれ等しい。A-A断面において、支持部材21は、扁平な矩形状に形成される。支持部材21の幅方向の寸法は、支持部材21の厚み方向の寸法よりも大きい。なお、支持部材21の各々の形状は、図4に示される形状に限定されない。
図4には、A-A断面における支持部材21に生じるZ方向の張力の重心位置Gが示される。張力の重心位置Gは、支持部材21の重心位置Gとも呼称される。主ロープ8のA-A断面に作用するZ方向の張力は、支持部材21a、21b、21c、21dの各々の断面における1点である作用位置にそれぞれ作用しているとみなすことができる。張力の重心位置Gは、当該作用位置である。複数の支持部材21の各々において、支持部材21の長手方向にわたって材料等の特性が変化しない場合、張力の重心位置Gは、当該支持部材21の幅方向の中心位置かつ厚み方向の中心位置となる位置と一致する。例えば、張力の重心位置Gは、支持部材21の外形を構成する図形の重心を示す位置と一致する。
図4は、複数の支持部材21の数が4つである例を示す。例えば、複数の支持部材21は、支持部材21a、21b、21c、21dである。
支持部材21bと支持部材21cとは、第1支持部材として、複数の支持部材21のうち幅方向における中央の側に設けられる。例えば、支持部材21bと支持部材21cとは、主ロープ8の幅方向における中央位置に対して幅方向に線対称に設けられる。第1重心位置である支持部材21bの重心位置Gと支持部材21cの重心位置Gとは、主ロープ8の厚み方向において、中央位置を示す破線Sの上に位置する。即ち、支持部材21bと支持部材21cとは、主ロープ8の厚み方向の中央に位置する。
支持部材21aは、第2支持部材として、主ロープ8の幅方向において、第1支持部材である支持部材21bよりも中央より端側に位置する。支持部材21aは、主ロープ8の厚み方向において、支持部材21bよりも接触面8aから離れた位置に存在する。即ち、第2重心位置である支持部材21aの重心位置Gと接触面8aとの距離は、第1重心位置である支持部材21bの重心位置Gと接触面8aとの距離よりも大きい。そのため、支持部材21aの重心位置Gは、破線Sからずれ量hだけ離れた位置に存在する。hは、0より大きい値である。ここで、ずれ量hは、第2支持部材24aの重心位置Gから接触面8aまでの距離と第1支持部材24bの重心位置Gから接触面8aまでの距離との差としても求められる。
支持部材21dは、第2支持部材として、支持部材21aとは幅方向における中央位置に対して対称な位置に設けられる。即ち、支持部材21dは、主ロープ8の幅方向において、第1支持部材である支持部材21cよりも中央より端側に位置する。支持部材21dは、支持部材21cよりも接触面8aから離れた位置に存在する。
次に、図5を用いて、支持部材21の構成を説明する。
図5は実施の形態1におけるロープシステムの支持部材の断面の拡大図である。
図5は実施の形態1におけるロープシステムの支持部材の断面の拡大図である。
図5は、支持部材21の長手方向に垂直な平面による断面を示す。図5には、支持部材21の材料組織が示される。支持部材21は、複数の高強度繊維201と樹脂母材202とを備える。
高強度繊維201は、支持部材21の長手方向に沿って配置される。複数の高強度繊維201は、樹脂母材202によって互いに結合される。
高強度繊維201の材料には、軽量かつ高強度な繊維が採用され得る。例えば、高強度繊維201の材料には、ガラス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、または玄武岩繊維が採用され得る。さらに、高強度繊維201の材料には、これらの繊維が任意の組み合わせで組み合わされた複合繊維が採用されてもよい。
例えば、樹脂母材202の材料には、ポリウレタン、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シリコーンなどの熱硬化性樹脂が採用され得る。また樹脂母材202には、複数の高強度繊維201を結合する含侵樹脂として、含浸樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂が採用され得る。
なお、支持部材21には、成形性を向上させるためのフィラー、高強度繊維201と樹脂母材202との接合性を向上させるための接着剤、等がさらに含まれてもよい。
なお、支持部材21は、高強度繊維201と樹脂母材202との複合材ではなく、鋼線、等であってもよい。
次に、図6と図7とを用いて、滑車に巻き掛けられた主ロープ8を説明する。
図6および図7は実施の形態1におけるロープシステムの要部の断面図である。
図6および図7は実施の形態1におけるロープシステムの要部の断面図である。
図6は、駆動綱車6の回転軸を含む平面による断面図である。当該平面による主ロープ8の断面は、XY平面による主ロープ8の断面と同じである。図6には、駆動綱車6に巻き掛けられる前の主ロープ8が模式的に示される。
一点鎖線Cは、駆動綱車6のX方向における中央位置を示す線である。主ロープ8は、主ロープ8のX方向における中央位置と駆動綱車6のX方向における中央位置が揃うように、駆動綱車6に巻き掛けられる。
クラウンの変化量hsは、支持部材21cの第1重心位置Gに対応する外周面6aのY方向位置と、支持部材21dの第2重心位置Gに対応する外周面6aのY方向位置との差分である。なお、外周面6aのY方向位置は、回転軸からの距離で規定される。そのため、変化量hsは、第1重心位置Gに対応する外周面6aの部分から回転軸までの第1距離と、第2重心位置Gに対応する外周面6aの部分から回転軸までの第2距離と、の差として求められる。変化量hsは、主ロープ8が外周面6aに巻き付いた際に、支持部材21dが支持部材21cに対してY方向に相対的に移動する量に相当する。例えば、ずれ量hは、変化量hsと等しい値に設定される。なお、ずれ量hは、0より大きければ変化量hsより小さい値であってもよい。
図7は、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられた状態における、主ロープ8と駆動綱車6との断面である。当該断面は、駆動綱車6の回転軸を含む平面によって形成される。
主ロープ8は、駆動綱車6に巻き掛けられる場合、クラウンが形成された外周面6aに沿って湾曲する。この際、駆動綱車6のX方向における中央位置よりも端側に位置する主ロープ8の部分ほど、回転軸との距離が短くなる。一方で、複数の支持部材21の重心位置Gは、同一の直線上に存在する。複数の支持部材21の重心位置Gを通る直線は、駆動綱車6の回転軸と平行になる。即ち、支持部材21の重心位置Gと回転軸との距離である回転径は、いずれの支持部材21においても等しい。
本実施の形態の主ロープ8において、複数の支持部材21の重心位置Gが回転軸と等しい距離に存在するため、複数の支持部材21に生じる張力は、それぞれほぼ同じ大きさとなる。
なお、駆動綱車6でなくそらせ車7に主ロープ8が巻き掛けられた場合も、同様の状態となる。
次に、図8を用いて、本実施の形態の主ロープ8との比較例を説明する。
図8は実施の形態1におけるロープシステムとは異なる比較例の要部の断面図である。
図8は実施の形態1におけるロープシステムとは異なる比較例の要部の断面図である。
図8には、ずれ量hが0である主ロープ8-1が示される。即ち、主ロープ8-1に負荷がかかっていない状態において、複数の支持部材21-1の重心位置は、全て同一直線上に存在する。
主ロープ8-1が駆動綱車6に巻き掛けられた場合、複数の支持部材21-1の重心位置は、Y方向に異なる位置に存在するため、同一直線上に乗らない。
この場合、支持部材21-1bと支持部材21-1cとに生じる長手方向の張力が、支持部材21-1aと支持部材21-1dとに生じる張力よりも大きくなる。この場合、支持部材21-bと支持部材21-1cとは、支持部材に均等に張力が加えられる場合、即ち複数の支持部材の各々が均等に荷重を負担する場合と比べて、損傷しやすくなる。また、支持部材21-1bと外周面6aとの間の面圧は、支持部材21-1aと外周面6aとの間の面圧よりも大きくなる。そのため、接触面8-1aには、局所的な摩耗が発生し得る。その結果、主ロープ8-1は、本実施の形態の主ロープ8よりも早期に交換が必要となる。
以上で説明した実施の形態1によれば、ロープシステム5は、滑車である駆動綱車6またはそらせ車7とロープである主ロープ8とを備える。滑車には、クラウンが形成される。このため、ロープの蛇行が抑制される。主ロープ8は、複数の支持部材21と被覆材20とを備える。主ロープ8において、第1支持部材である支持部材21bの第1重心位置から接触面8aまでの距離よりも、第2支持部材である支持部材21aの第2重心位置から接触面8aまでの距離が大きい。このため、複数の支持部材21に与えられる長手方向の張力のばらつきが抑制され得る。接触面8aと外周面6aとの間の面圧の分布がばらつくことを抑制することができる。その結果、主ロープ8の寿命を延ばすことができ、ロープシステム5の信頼性を向上させることができる。また、主ロープ8の交換頻度を低下させ、ライフサイクルコストを低減させることができる。
さらに、従来の主ロープに対して、複数の支持部材21の配置を変更するだけで、このような主ロープ8を製造することができる。この際、例えば被覆材20の形状を高精度で制御する等の高い製造技術が求められることはない。被覆材20の形状を矩形でない形状に成形する場合、滑車に形成されたクラウンに対応するような成形型を作成する、または矩形状に成形した後にクラウンに対応する形状に主ロープ8を加工する必要がある。一方、本実施の形態の主ロープ8を作成する際は、複数の支持部材21の配置の変更という容易な変更が施されるのみである。このため、主ロープ8は容易に製造されることができる。また、このような主ロープ8を作成するために、製造コストが増大することが抑制され得る。
また、複数の支持部材21の厚み方向のずれ量hは、駆動綱車6のクラウンの高さ変化量hsに応じて設定される。具体的には、距離hは、変化量hs以下となるように設定される。このため、複数の支持部材21に加わる張力のばらつきを抑制することができる。具体的には、ずれ量hが変化量hsと同程度である場合、複数の支持部材21に生じる張力の値のばらつきは、ずれ量hが0である場合と比べて1/10程度の値となる、という結果が有限要素法による解析によって得られている。ここで、張力の値のばらつきは、複数の支持部材21に生じるそれぞれの張力のうち、最小値と最大値との差分である。
なお、複数の支持部材21には、第1支持部材と第2支持部材との組が少なくとも1つ含まれていればよい。例えば、第1支持部材と第2支持部材の組である支持部材21bと支持部材21aとがY方向に異なる位置に配置されていれば、支持部材21cと支持部材21dとはY方向に異なる位置に配置されていなくてもよい。
なお、複数の支持部材21の数は、2以上であればいくらでもよい。例えば、複数の支持部材21の数は、3、6、または8等であってもよい。支持部材21の数が多いほど、Y方向の支持部材21の配置のパターンが増える。このため、支持部材21の数が多いほど、複数の支持部材21のそれぞれに加わる張力がより均等となるように、複数の支持部材21が配置され得る。また、複数の支持部材21は、主ロープ8のX方向の中央位置に対して対称になるよう配置されなくてもよい。
実施の形態2.
図9は実施の形態2におけるロープシステムの主ロープの断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当する部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
図9は実施の形態2におけるロープシステムの主ロープの断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当する部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
実施の形態2における主ロープ8は、幅方向におけるばね定数が中央側と端側とで異なるよう形成される。ここで、ばね定数は、部材に与えられる力に対して当該部材の変形の容易性を示す定数である。ばね定数は、部材が弾性変形する際に、部材に与えられる力の大きさと当該部材の変形量との比例関係における比例定数である。例えば、ばね定数は、(荷重が加えられる荷重方向への部材の弾性率)×(荷重方向に垂直な面での断面積)/荷重方向における荷重が加わる長さ)で求められる。
図9は、実施の形態2の主ロープ8を長手方向に垂直な平面によって切断した断面を示す。主ロープ8は、2つの第1部分P1と2つの第2部分P2とに分けられる。第1部分P1と第2部分P2とは、主ロープ8の幅方向を厚み方向に沿って分割した主ロープ8の部分である。第1部分P1は、幅方向の中央側に位置する。第2部分P2は、幅方向において、第1部分P1よりも端の側に位置する。本実施例では、主ロープ8の幅方向の中央位置を中心として、2つの第1部分P1が対称に位置する。主ロープ8の幅方向の中央位置を中心として、2つの第2部分P2が対称に位置する。なお、第2部分P2は、第1部分P1よりも幅方向における端の側に位置していれば、図9に示される部分でなくてもよい。
実施の形態2において、主ロープ8は、実施の形態1とは異なり、複数の支持部材22を備える。複数の支持部材22は、幅方向に並ぶ。主ロープ8に荷重が付加されていない無負荷状態において、複数の支持部材22の重心位置は、全て同一直線上に存在する。複数の支持部材22には、第1支持部材22b、22cと第2支持部材22a、22dとが含まれる。
第1支持部材22b、22cと第2支持部材22a、22dとは、同じ材料で形成される。詳細は図示されないが、第1支持部材22b、22cと第2支持部材22a、22dとの高強度繊維201の含有率は、製造上のばらつきを除いて、全て等しい。第1支持部材22b、22cと第2支持部材22a、22dとの樹脂母材202は、同じである。そのため、第1支持部材22b、22cと第2支持部材22a、22dとの単位体積あたりの弾性率は、等しい。
第1支持部材22b、22cは、それぞれ第1部分P1に位置する。第1支持部材22b、22cの厚み方向の寸法は、それぞれh2である。
第2支持部材22a、22dは、それぞれ第2部分P2に位置する。第2支持部材22a、22dの厚み方向の寸法は、それぞれh1である。h1は、h2よりも大きい。第2支持部材22a、22dの幅方向の寸法は、第1支持部材22b、22cの幅方向の寸法と同じである。
主ロープ8の長手方向のばね定数である長手ばね定数kLは、材料力学的な関係に基づいて、次の(1)式で計算可能である。
(1)式において、Eは、支持部材22の長手方向の弾性率である。Aは、支持部材22の長手方向に垂直な断面の断面積である。Lは、図9には図示されない駆動綱車6に主ロープ8が巻き掛けられる長さである。
第1支持部材22b、22cの断面積A1は、第2支持部材22a、22dの断面積A2よりも小さい。このため、第1支持部材22b、22cの第1長手ばね定数kLは、第2支持部材22a、22dの第2長手ばね定数kLよりも小さい。
即ち、実施の形態2の主ロープ8において、第1部分P1の第1長手ばね定数kLは、第2部分P2の第2長手ばね定数kLよりも小さい。
主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられると、第1部分P1の位置に対応する駆動綱車6の周径は、第2部分P2の位置に対応する駆動綱車6の周径よりも大きい。即ち、駆動綱車6に主ロープ8が巻き掛けられた場合、第1部分P1の弾性変形量は、第2部分P2の弾性変形量よりも大きくなる。一方で、第1部分P1の第1長手ばね定数kLが第2部分P2の第2長手ばね定数kLよりも小さいため、第1部分P1は、第2部分P2よりも容易に弾性変形する。このため、第1部分P1および第2部分P2が弾性変形した状態で、第1部分P1に生じる張力と第2部分P2に生じる張力との差が小さくなる。即ち、第1部分P1と第2部分P2とにおいて、2箇所の張力のばらつきが抑制される。
以上で説明した実施の形態2によれば、ロープシステム5は、クラウンが形成された滑車とロープである主ロープ8とを備える。滑車には、クラウンが形成される。このため、ロープの蛇行が抑制される。主ロープ8は、幅方向に並ぶ第1部分P1と第2部分P2とに分けられる。第1部分P1のばね定数は、第2部分P2のばね定数よりも小さい。このため、滑車に巻き掛けられた状態で主ロープ8に荷重が加えられた場合、第1部分P1の方が、第2部分P2よりも伸びる。第1部分P1に生じる張力と第2部分P2に生じる張力とのばらつきを抑制することができる。また、第1部分P1と外周面6aとの間の面圧と第2部分P2と外周面6aとの間の面圧とのばらつきを抑制することができる。その結果、主ロープ8の寿命を延ばすことができる。
さらに、従来の主ロープに対して、複数の支持部材22の断面寸法を変更するだけで、このような主ロープ8を製造することができる。このため、主ロープ8は容易に製造されることができる。
また、主ロープ8は、第1支持部材22bと第2支持部材22aと被覆材20とを有する。第1部分P1のばね定数は、第1支持部材22bの第1長手ばね定数である。第2部分P2のばね定数は、第2支持部材22aの第2長手ばね定数である。第1長手ばね定数は、第2長手ばね定数よりも小さい。このため主ロープ8の寿命を延ばすことができる。
なお、複数の支持部材22の本数は、2本以上であれば、実施の形態2に記載された数に限定されない。
なお、複数の支持部材22の断面の形状は、長手ばね定数の大きさを調整することができるならば、実施の形態2に記載された形状に限定されない。例えば、支持部材22の幅方向の長さが変更されてもよい。この場合、支持部材22と外周面6aとの間の面圧が均等化され得る。
次に、図10と図11とを用いて、実施の形態2の変形例を説明する。
図10および図11は実施の形態2におけるロープシステムの主ロープの断面図である。
図10および図11は実施の形態2におけるロープシステムの主ロープの断面図である。
図10は、実施の形態2の変形例の主ロープ8を長手方向に垂直な平面によって切断した断面を示す。変形例において、主ロープ8は、複数の支持部材22ではなく、複数の支持部材23を備える。それ以外の構成は、図9に示された実施の形態2と同様である。
複数の支持部材23には、第1支持部材23b、23cと第2支持部材23a、23dとが含まれる。第1支持部材23b、23cは、2つの第1部分P1にそれぞれ位置する。第2支持部材23a、23dは、2つの第2部分P2にそれぞれ位置する。無負荷状態において、複数の支持部材23a、23b、23c、23dは、全て同一直線上に存在する。
第1支持部材23b、23cの形状は、第2支持部材23a、23dの形状と同じである。第2支持部材23a、23dの図10には図示されない高強度繊維201の含有率は、第1支持部材23b、23cの高強度繊維201の含有率よりも高い。そのため、第2支持部材23a、23dの長手方向の弾性率Eは、第1支持部材23b、23cの長手方向の弾性率Eよりも高い。その結果、(1)式に基づけば、第1支持部材23b、23cの長手ばね定数kLは、第2支持部材23a、23dの長手ばね定数kLよりも小さくなる。
図11は、距離w1と距離w2とを示す。距離w1は、主ロープ8の幅方向における中央位置から第1部分P1の重心位置である地点1までの距離である。例えば、第1部分P1の重心位置は、第1支持部材23cの重心位置である。距離w2は、主ロープ8の幅方向における中央位置から第2部分P2の重心位置である地点2までの距離である。例えば、第2部分P2の重心位置は、第2支持部材23dの重心位置である。この場合、第1支持部材23cの長手方向の弾性率と第2支持部材23dの長手方向の弾性率とは、以下の(2)式を満たすように設定されることが望ましい。
(2)式において、kL1は、地点1における幅方向の単位長さの主ロープ8が有する長手ばね定数である。kL2は、地点2における幅方向の単位長さの主ロープ8が有する長手ばね定数である。図示されないが、L1は、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられて回転する際に、外周面6aの地点1における部分が回転移動する距離、即ち地点1の周径である。ここで、外周面6aの地点1における部分は、外周面6aのうち第1部分P1と接触する部分である。L2は、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられて回転する際に、外周面6aの地点2における部分が回転移動する距離、即ち地点2の周径である。ここで、外周面6aの地点2における部分は、外周面6aのうち第2部分P2と接触する部分である。
(2)式は、地点2において主ロープ8に加わる長手方向の張力の値が、地点1において主ロープ8に加わる長手方向の張力の値を5倍したものよりも小さくなる条件である。さらに、第1支持部材23cの長手方向の弾性率と第2支持部材23dの長手方向の弾性率とは、以下の(3)式を満たすように設定されることが、最も望ましい。
(3)式は、地点2において主ロープ8に加わる長手方向の張力の値が、地点1において主ロープ8に加わる長手方向の張力の値に等しくなる条件である。
なお、第1支持部材23bの弾性率と第2支持部材23aの弾性率とも、同様に設定される。
以上で説明した実施の形態2の変形例によれば、主ロープ8には、複数の支持部材22ではなく、複数の支持部材23が設けられる。複数の支持部材23は、それぞれ材質が変更されることで、長手ばね定数が調整される。このため、主ロープ8は容易に製造されることができる。
また、第1部分P1のばね定数と第2部分P2のばね定数とは、第1部分P1に加わる長手方向への張力の最大値が、第2部分P2に加わる長手方向への張力の最小値の5倍以下となるように設定される。このため、主ロープ8の寿命を延ばすことができる。
なお、長手方向への弾性率が変更されれば、高強度繊維201の含有率だけでなく、高強度繊維201の素材、樹脂母材202の素材、等の他の要素が変更されてもよい。
また、主ロープ8において、弾性率は、(2)式を満たすように調整される。このため、主ロープ8の寿命を延ばすことができる。
実施の形態3.
図12は実施の形態3におけるロープシステムの主ロープの断面図である。図13は実施の形態3におけるロープシステムの主ロープと駆動綱車との断面図である。なお、実施の形態1または実施の形態2の部分と同一又は相当する部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
図12は実施の形態3におけるロープシステムの主ロープの断面図である。図13は実施の形態3におけるロープシステムの主ロープと駆動綱車との断面図である。なお、実施の形態1または実施の形態2の部分と同一又は相当する部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
実施の形態3における主ロープ8は、複数の支持部材24と第1圧縮部材30b、30cと第2圧縮部材30a、30dとを備える。なお、第1圧縮部材30b、30cと第2圧縮部材30a、30dとは、被覆材20と同様に、主ロープ8の長手方向に発生する荷重をほとんど支持しない。そのため、実施の形態3において、当該荷重による張力は、複数の支持部材24のみで支持されているとみなすことができる。
複数の支持部材24の材質は、全て同じである。主ロープ8が無負荷状態である場合、複数の支持部材24の形状は、全て同じである。主ロープ8が無負荷状態である場合、当該断面において、複数の支持部材24の重心位置は、全て同一直線上に存在する。
第1圧縮部材30b、30cは、2つの第1部分P1にそれぞれ含まれる。第1圧縮部材30b、30cは、主ロープ8の長手方向にわたって設けられる。第1圧縮部材30b、30cは、第1支持部材24b、24cの面のうち接触面8aの側の面にそれぞれ接する。第1圧縮部材30b、30cは、接触面8aと共に主ロープ8の外形を構成する。
第2圧縮部材30a、30dは、2つの第2部分P2にそれぞれ含まれる。第2圧縮部材30a、30dは、主ロープ8の長手方向にわたって設けられる。第2圧縮部材30a、30dは、第2支持部材24a、24dの面のうち接触面8aの側の面にそれぞれ接する。第2圧縮部材30a、30dは、接触面8aと共に主ロープ8の外形を構成する。
主ロープ8の長手方向に水平な任意の断面において、第1圧縮部材30b、30cの形状と第2圧縮部材30a、30dの形状とは、同じである。第1圧縮部材30b、30cの厚み方向への弾性率は、第2圧縮部材30a、30dの厚み方向への弾性率よりも小さい。そのため、厚み方向へのばね定数である厚みばね定数について、第1圧縮部材30b、30cの第1厚みばね定数は、第2圧縮部材30a、30dの第2厚みばね定数よりも小さい。その結果、第1部分P1のばね定数は、第2部分P2のばね定数よりも小さい。
第1圧縮部材30bの第1厚みばね定数は、(第1圧縮部材30bの厚み方向への弾性率)×(厚み方向に垂直な面での第1圧縮部材30bの断面積)/(第1圧縮部材30bの厚み方向の長さ)で求められる。第1圧縮部材30cの第1厚みばね定数も、同様に求められる。
第2圧縮部材30aの第2厚みばね定数は、(第2圧縮部材30aの厚み方向への弾性率)×(厚み方向に垂直な面での第2圧縮部材30aの断面積)/(第2圧縮部材30aの厚み方向の長さ)で求められる。第2圧縮部材30dの第2厚みばね定数も、同様に求められる。
図13は、実施の形態2の図11と同様に、距離w1と距離w2とを示す。距離w1は、主ロープ8の幅方向における中央位置から第1支持部材24cの重心位置である地点1までの距離である。例えば、第1部分P1の重心位置は、第1支持部材24cの重心位置である。距離w2は、主ロープ8の幅方向における中央位置から第2部分P2の重心位置である地点2までの距離である。例えば、第2部分P2の重心位置は、第2支持部材24dの重心位置である。この場合、第1圧縮部材30cの厚み方向への弾性率と第2圧縮部材30dの厚み方向への弾性率とは、以下の(4)式を満たすように設定されることが望ましい。
(4)式において、hsは、地点1と地点2との間に対応するクラウンの変化量である。Tは、主ロープ8に作用する全張力である。Wは、複数の支持部材24の幅寸法の総和である。kT1は、地点1における幅方向の単位長さの第1圧縮部材30cが有する第1厚みばね定数である。kT2は、地点2における幅方向の単位長さの第2圧縮部材30dが有する第2厚みばね定数である。
次に、図14を用いて、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられた状態を説明する。
図14は実施の形態3におけるロープシステムの要部の断面図である。
図14は実施の形態3におけるロープシステムの要部の断面図である。
図14は、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられた状態における、主ロープ8と駆動綱車6との断面である。当該断面は、駆動綱車6の回転軸を含む平面によって形成される。この状態において、第1圧縮部材30b、30cおよび第2圧縮部材30a、30dは、いずれも外周面6aに接する。即ち、第1圧縮部材30b、30cは、それぞれ第1支持部材24b、24cと外周面6aとの間に位置する。第2圧縮部材30a、30dは、それぞれ第2支持部材24a、24dと外周面6aとの間に位置する。
駆動綱車6に巻き掛けられた状態の主ロープ8に張力が発生した場合、複数の支持部材24の各々は、隣接する圧縮部材に対して駆動綱車6の回転軸の方向へ荷重を加える。
第1圧縮部材30b、30cおよび第2圧縮部材30a、30dは、当該荷重によって圧縮され、厚み方向に縮む。この際、厚みばね定数が異なるため、第1圧縮部材30b、30cの各々が縮む量は、第2圧縮部材30a、30dの各々が縮む量よりも大きい。即ち、第1支持部材24b、24cが回転軸へ向かって移動する量は、第2支持部材24a、24dが回転軸へ向かって移動する量よりも大きい。その結果、複数の支持部材24の重心位置Gは、同一の直線上に存在することになる。複数の支持部材24の重心位置Gを通る直線は、駆動綱車6の回転軸と平行になる。
この場合、実施の形態1と同様に、複数の支持部材24に生じる張力は、それぞれほぼ同じ大きさとなる。
以上で説明した実施の形態3によれば、主ロープ8は、複数の支持部材24と被覆材20と第1圧縮部材30b、30cと第2圧縮部材30a、30dとを備える。第1部分P1のばね定数は、第1圧縮部材30bの第1厚みばね定数である。第2部分P2のばね定数は、第2圧縮部材30aの第2厚みばね定数である。第1厚みばね定数は、第2厚みばね定数よりも小さい。このため、実施の形態1と同様に、複数の支持部材24に生じる張力がばらつくことを抑制することができる。その結果、主ロープ8の寿命を延ばすことができる。この際、主ロープ8は、全体では矩形状に成形される。このため、主ロープ8は、容易に製造されることができる。
また、第1厚みばね定数および第2厚みばね定数は、(4)式の関係を満たすように設定される。このため、主ロープ8の幅方向に生じる張力がより均等になる。その結果、主ロープ8の寿命を延ばすことができる。
なお、第1圧縮部材30b、30cおよび第2圧縮部材30a、30dは、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられた際に、少なくとも、対応する支持部材24と外周面6aとの間に位置していればよい。そのため、第1圧縮部材30b、30cおよび第2圧縮部材30a、30dの配置には、いくつかの変形例が想定され得る。
図15は実施の形態3におけるロープシステムの主ロープの第1変形例の断面図である。
図15に示される第1変形例において、第1圧縮部材30b、30cおよび第2圧縮部材30a、30dの各々は、対応する支持部材24の両側方に設けられる。即ち、第1圧縮部材30b、30cおよび第2圧縮部材30a、30dは、接触対面8bの側にも更に設けられる。
このため、図示されないが、作業員は、主ロープ8を駆動綱車6に巻き掛ける作業を行う際に、主ロープ8の表と裏とを区別することなく作業を行うことができる。そのため、施工性が向上される。また、主ロープ8の表と裏とが間違って巻き掛けられる恐れが無いため、システムの信頼性を向上させることができる。また、主ロープ8がある滑車に接触面8aで接触した後、別の滑車に接触対面8bで接触する場合に、いずれの滑車においても、主ロープ8に発生する張力がばらつくことを抑制することができる。
図16は実施の形態3におけるロープシステムの主ロープの第2変形例の断面図である。
図16に示される第2変形例において、第1圧縮部材30b、30cおよび第2圧縮部材30a、30dの各々は、被覆材20に覆われる。即ち、図示されないが、例えば、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられた状態において、第2支持部材24aと外周面6aとの間には、第2圧縮部材30aと被覆材20とが存在する。
このため、主ロープ8と駆動綱車6との間のトラクションを安定させることができる。なお、第2変形例ではなく図14で示されたように、圧縮部材と外周面6aとが接触する場合は、第2変形例と比べて圧縮部材の変形量を予測しやすいため、厚みばね定数を容易に調整することができる。
図17は実施の形態3におけるロープシステムの主ロープの第3変形例の断面図である。
図17に示される第3変形例において、主ロープ8には、第1圧縮部材30b、30cが設けられない。第2圧縮部材30a、30dの厚みばね定数は、いずれも被覆材20の厚みばね定数よりも大きい値に設定される。
図示されないが、主ロープ8が駆動綱車6に巻き掛けられた場合、第1支持部材24b、24cの各々と外周面6aとの間に存在する被覆材20は、図14に示されたような第1圧縮部材30b、30cと同様の作用を及ぼす。
なお、第3変形例において、第1圧縮部材30b、30cが設けられて、第2圧縮部材30a、30dが設けられないような主ロープ8であってもよい。この場合、第1圧縮部材30b、30cの厚みばね定数は、いずれも被覆材20の厚みばね定数よりも小さい値に設定される。
なお、主ロープ8は、実施の形態1から実施の形態3が任意に組み合わせられて構成されてもよい。例えば、主ロープ8は、無負荷状態において複数の支持部材と接触面8aとの距離がそれぞれ異なり、複数の支持部材の長手方向のばね定数がそれぞれ異なり、かつ複数の圧縮部材を備えるロープであってもよい。
なお、ロープシステム5は、エレベーター装置ではなく、滑車とベルトロープとが用いられる他の装置に適用されてもよい。例えば、ロープシステム5は、クレーンに適用されてもよい。この場合、ロープシステム5のロープは、クレーン用のロープであってもよい。また、ロープシステム5の滑車は、駆動綱車6またはそらせ車7でなく、その他の滑車、プーリ、等であってもよい。
以上のように、本開示に係るロープシステムは、エレベーター装置に利用できる。
1 エレベーター装置、 2 昇降路、 3 建築物、 4 機械室、 5 ロープシステム、 6 駆動綱車、 6a 外周面、 6b 縁部材、 7 そらせ車、 8,8-1 主ロープ、 8a,8-1a 接触面、 8b 接触対面、 9 巻上機、 10 モータ、 11 ブレーキ、 12 かごガイドレール、 13 おもりガイドレール、 14 かご、 14a かご枠、 14b かご室、 15 一側保持システム、 16 釣合おもり、 17 他側保持システム、 18 制御盤、 20 被覆材、 21,21a,21b,21c,21d,21-1,21-1a,21-1b,21-1c,21-1d 支持部材、 22 支持部材、 22a,22d 第2支持部材、 22b,22c 第1支持部材、 23 支持部材、 23a,23d 第2支持部材、 23b,23c 第1支持部材、 24 支持部材、 24a,24d 第2支持部材、 24b,24c 第1支持部材、 30a,30d 第2圧縮部材、 30b,30c 第1圧縮部材、 201 高強度繊維、 202 樹脂母材、 G 重心位置、 P1 第1部分、 P2 第2部分
Claims (11)
- 回転可能に設けられ、回転軸方向において中央から端側に向かって外径が小さくなるクラウンが形成された滑車と、
長手方向に垂直な断面が矩形状に形成され、幅方向が前記回転軸方向を向くよう前記滑車に巻き掛けられるロープと、
を備え、
前記ロープは、
前記ロープの長手方向にわたってそれぞれ設けられ、前記幅方向に並ぶ複数の支持部材と、
前記ロープの長手方向にわたって前記複数の支持部材を覆い、接触面を有し、前記滑車と前記接触面で接触する被覆材と、
を有し、
前記複数の支持部材には第1支持部材と第2支持部材とが含まれ、
前記第1支持部材は、前記幅方向において、前記第2支持部材よりも前記幅方向の中央側に位置し、
前記断面において、前記第1支持部材の長手方向に作用する張力の第1重心位置から前記接触面までの距離よりも、前記第2支持部材の長手方向に作用する張力の第2重心位置から前記接触面までの距離が大きいロープシステム。 - 前記ロープが前記滑車に巻き掛けられた際に、前記滑車の表面のうちの前記第1支持部材と前記滑車の回転軸との間に存在する部分から前記回転軸までの第1距離と、前記滑車の表面のうちの前記第2支持部材と前記回転軸との間に存在する部分から前記回転軸までの第2距離と、の差であるクラウン変化量に対して、
前記複数の支持部材は、前記第2重心位置から前記接触面までの距離と前記第1重心位置から前記接触面までの距離との差が前記クラウン変化量以下になるように配置された請求項1に記載のロープシステム。 - 回転可能に設けられ、回転軸方向において中央から端側に向かって外径が小さくなるクラウンが形成された滑車と、
長手方向に垂直な断面が矩形状に形成され、幅方向が前記回転軸方向を向くよう前記滑車に巻き掛けられるロープと、
を備え、
前記ロープは、前記幅方向の位置が異なる第1部分と第2部分とを含み、
前記第1部分は、前記幅方向において、前記第2部分よりも前記幅方向の中央側に位置し、
前記第1部分のばね定数は、前記第2部分のばね定数よりも小さいロープシステム。 - 前記第1部分のばね定数および前記第2部分のばね定数の各々は、荷重が加えられる荷重方向への弾性率と前記荷重方向に垂直な面での断面積との積を、前記荷重方向における前記ロープの長さで除算した値である請求項3に記載のロープシステム。
- 前記第1部分のばね定数および前記第2部分のばね定数は、荷重が加えられた前記ロープを前記滑車に巻き掛けて移動させた場合に、前記第1部分に加わる長手方向のへの張力の最大値が前記第2部分に加わる長手方向への張力の最小値の5倍以下になるように設定された請求項3または請求項4に記載のロープシステム。
- 前記ロープは、
前記ロープの長手方向にわたってそれぞれ設けられ、前記幅方向に並ぶ複数の支持部材と、
前記ロープの長手方向にわたって前記複数の支持部材を覆い、接触面を有し、前記滑車と前記接触面で接触する被覆材と、
を有し、
前記複数の支持部材には、
前記第1部分に含まれる第1支持部材と、
前記第2部分に含まれる第2支持部材と、
が含まれ、
前記第1部分のばね定数は、前記第1支持部材の前記長手方向の弾性率と前記第1支持部材の前記断面における断面積との積を前記ロープのうち前記滑車に巻き掛けられる部分の長さで除算した値である第1長手ばね定数であり、
前記第2部分のばね定数は、前記第2支持部材の前記長手方向の弾性率と前記第2支持部材の前記断面における断面積との積を前記ロープのうち前記滑車に巻き掛けられる部分の長さで除算した値である第2長手ばね定数であり、
前記第1長手ばね定数は、前記第2長手ばね定数よりも小さい請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のロープシステム。 - 前記ロープは、
前記ロープの長手方向にわたってそれぞれ設けられ、前記幅方向に並ぶ複数の支持部材と、
前記ロープの長手方向にわたって前記複数の支持部材を覆い、接触面を有し、前記滑車と前記接触面で接触する被覆材と、
前記ロープの長手方向にわたってそれぞれ設けられ、前記複数の支持部材の前記接触面を向く面にそれぞれ隣接する複数の圧縮部材と、
を備え、
前記複数の支持部材には、
前記第1部分に含まれる第1支持部材と、
前記第2部分に含まれる第2支持部材と、
が含まれ、
前記複数の圧縮部材には、
前記第1部分に含まれ、前記第1支持部材に隣接する第1圧縮部材と、
前記第2部分に含まれ、前記第2支持部材に隣接する第2圧縮部材と、
が含まれ、
前記第1部分のばね定数は、前記複数の支持部材から前記接触面への厚み方向に沿った弾性率である前記第1圧縮部材の前記厚み方向への弾性率と前記厚み方向に垂直な面での前記第1圧縮部材の断面積との積を前記第1圧縮部材の前記厚み方向の長さで除算した値である第1厚みばね定数であり、
前記第2部分のばね定数は、前記第2圧縮部材の前記厚み方向への弾性率と前記厚み方向に垂直な面での前記第2圧縮部材の断面積との積を前記第2圧縮部材の前記厚み方向の長さで除算した値である第2厚みばね定数であり、
前記第1厚みばね定数は、前記第2厚みばね定数よりも小さい請求項3に記載のロープシステム。 - 前記ロープは、エレベーターの主ロープである請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のロープシステム。
- 前記滑車は、前記主ロープが巻き掛けられる綱車である請求項10に記載のロープシステム。
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JP2001524060A (ja) * | 1996-12-30 | 2001-11-27 | コネ コーポレイション | エレベータロープ装置 |
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