JP6640625B2 - 線材のリング径制御方法及び線材の製造装置 - Google Patents
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X=X0−a×Δr ・・・(1)
但し、X0は調整工程によって回転数比を調整する前の一対の最終圧延ロールの回転数VRに対する一対のピンチロールの回転数VPの比であり、aはリング径の改善実績に基づいて予め設定された係数である。
図1の線材の製造装置(以下、単に「当該製造装置」ともいう。)は、複数の圧延ロール1と、一対のピンチロール2と、レイングヘッド3と、測定装置4と、制御装置5とを主として備える。また、当該製造装置は、ビレット等の鋳片を加熱する加熱炉(図示せず)と、レイングヘッド3により巻き取られた線材Xを搬送するコンベア6とをさらに備える。当該製造装置は、上記加熱炉、複数の圧延ロール1、一対のピンチロール2、レイングヘッド3及びコンベア6が上流から下流にこの順で配設されている。当該製造装置は、上記加熱炉で鋳片を加熱した上、複数の圧延ロール1によってこの鋳片を線材Xに加工し、さらに一対のピンチロール2及びレイングヘッド3によりこの線材Xをコイル状に巻き取り可能に構成されている。なお、当該製造装置は、複数の圧延ロール1からレイングヘッド3に送られる線材Xを冷却する冷却手段をさらに備えていてもよい。上記加熱炉及び冷却手段については、公知の構成とすることができるので、詳細な説明は省略する。
当該製造装置は、複数の圧延ロール1として、粗圧延ロール、中間圧延ロール及び仕上げ圧延ロールを有する。これらの粗圧延ロール、中間圧延ロール及び仕上げ圧延ロールは上流から下流にかけてこの順で配設されている。当該製造装置は、粗圧延ロール、中間圧延ロール及び仕上げ圧延ロールを各々一又は複数対有しており、仕上げ圧延ロールの最下流に位置する一対の圧延ロールが一対の最終圧延ロール1aとして構成されている。当該製造装置は、上記加熱炉によって加熱された鋳片を粗圧延ロール、中間圧延ロール及び仕上げ圧延ロールに順次搬送することでこの鋳片を所定の断面形状及び径を有する線材Xに加工可能に構成されている。
一対のピンチロール2は、一対の最終圧延ロール1aと一定の間隔を開けて配設されている。一対のピンチロール2は、一対の最終圧延ロール1aから搬送される線材Xを一定の圧力で押圧し、この線材Xをレイングヘッド3に誘導する。
レイングヘッド3は、回転軸を有する回転体、及びこの回転体に取り付けられる螺旋状のレイングパイプを有する。レイングヘッド3は、上記回転軸とレイングパイプの中心軸とが一致するよう構成されており、一対のピンチロール2から誘導される線材Xを回転体を回転させつつレイングパイプ内を通過させることによりコイル状に巻き取り可能に構成されている。
コンベア6は、レイングヘッド3でコイル状に巻き取られた線材X(以下、コイル状に巻き取られた線材を「コイル状線材X」ともいう。)を下流側に搬送する。コンベア6は、水平面を基準として下流側に向けて上方に傾斜した第一搬送部6aと、この第一搬送部6aから連続し、水平方向に伸びる第二搬送部6bとを有する。なお、当該製造装置は、コンベア6の下流側に集積装置(図示省略)を有しており、コンベア6によって搬送されたコイル状線材Xはこの集積装置に載積される。
測定装置4は、例えばCCDカメラ等の画像センサを有する。測定装置4は、第一搬送部6a上を搬送されるコイル状線材Xを撮像し、線材Xが複数の圧延ロール1のうち最下流に位置する一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の両方に支持された状態における平均リング径rave、並びに線材Xの尾端が一対の最終圧延ロール1aを通過した後における最大リング径rmaxを測定する。
制御装置5は、測定装置4の測定結果に基づいて一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の回転数を調整する。制御装置5は、例えばパーソナルコンピューターやプログラマブルコントローラー等により構成することができる。つまり、測定装置4は、制御プログラムに従って、一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の回転数を制御するものとすることができる。
X=X0−a×Δr ・・・(1)
但し、X0は次材製造時において回転数比を調整する前の回転数比(つまり、変化率Δr算出時における一対の最終圧延ロール1aの回転数VRに対する一対のピンチロール2の回転数VPの比)であり、aはリング径の改善実績に基づき予め設定された値である。
次に、当該製造装置を用いた線材のリング径制御方法(以下、単に「当該リング径制御方法」ともいう。)を説明する。当該リング径制御方法は、複数の圧延ロール1、一対のピンチロール2及びレイングヘッド3により線材Xをコイル状に巻き取る線材のリング径制御方法である。当該リング径制御方法は、図3に示すように、線材Xが複数の圧延ロール1のうち最下流に位置する一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の両方に支持された状態における平均リング径rave並びに線材Xの尾端が一対の最終圧延ロール1aを通過した後における最大リング径rmaxを測定する工程(測定工程)と、上記測定工程で測定した平均リング径rave及び最大リング径rmaxからリング径の変化率Δr=(rmax−rave)/raveを算出する工程(算出工程)と、上記算出工程で算出したリング径の変化率Δrが予め定めた閾値を超えたかどうかを判定する工程(判定工程)と、上記判定工程で閾値を超えたと判定された場合に、上記算出工程で算出した変化率Δrを基に、次材巻取時の一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の回転数を調整する工程(調整工程)とを備える。
上記測定工程(S01)は、測定装置4によって行われる。上記測定工程では、第一搬送部6aの上面よりも上方に位置し、この上面と平行でかつコイル状線材Xの積層高さよりも低い位置に測定ラインYを設定し、この測定ラインYの輝度を測定する。上記測定工程では、測定ラインYにおいて、リング径方向に画像の輝度を微分し微分値が一定の閾値を超える位置をリングのエッジ位置と認定し、左右のエッジ位置間の画素数を実際のリング径に換算し、これによりコイル状線材Xのリング径を測定する。
上記算出工程(S02)は、制御装置5によって行われる。上記算出工程では、上述のように上記測定工程で測定した平均リング径rave及び最大リング径rmaxからリング径の変化率Δr=(rmax−rrave)/raveを算出する。
上記判定工程(S03)は、制御装置5によって行われる。上記判定工程では、上記算出工程で測定されたリング径の変化率Δrが予め定めた閾値を超えたかどうかを判定する。上記判定工程において上記リング径の変化率Δrが閾値以下であると判定された場合、次材製造時には後述する調整工程は行わない。一方、上記判定工程において上記リング径の変化率Δrが閾値を超えていると判定された場合、次材製造時に調整工程を行う。つまり当該リング径制御方法は、上記変化率Δrが予め定めた閾値を超えた場合に調整工程を行う。なお、この閾値としては、リング径の管理範囲に応じて決めればよいが、例えば0.03以上0.10以下の任意の数を採用することができ、0.05が好ましい。
上記調整工程(S04)は、制御装置5によって行われる。上記調整工程では、上記判定工程でリング径の変化率Δrが閾値を超えたと判定された場合に、次材製造時に上記回転数比X=(VP/VR)を例えば下記式(1)によって調整する。
X=X0−a×Δr ・・・(1)
但し、X0は次材製造時において回転数比を調整する前の回転数比(つまり、変化率Δr算出時における一対の最終圧延ロール1aの回転数VRに対する一対のピンチロール2の回転数VPの比)であり、aはリング径の改善実績に基づき予め設定された値である。
当該リング径制御方法は、線材Xが複数の圧延ロール1のうち最下流に位置する一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の両方に支持された状態における平均リング径rave並びに線材Xの尾端が一対の最終圧延ロール1aを通過した後における最大リング径rmaxからリング径の変化率Δr=(rmax−rave)/raveを算出し、この変化率Δrを基に次材巻取時の一対の最終圧延ロール及び一対のピンチロールの回転数を調整するので、線材Xの尾端側のリング径とその他の部分のリング径との均一化を促進することができる。つまり、一対の最終圧延ロール1aを通過した後における線材Xの線速は圧延ロールの振れ等に起因して安定的に測定できないことがあるが、レイングヘッド3によって巻き取られた後のリング径は巻き取り状態で安定的に保たれるため、このリング径を実測しこのリング径に基づいて次材巻取時の一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の回転数を調整することで、例えば小径の線材Xであってもリング径の均一化を確実に図ることができる。また、当該リング径制御方法は、レイングヘッド3による巻取後のリング径を実測するものであるため、実際のリング径の調整具合を確認することができ、リング径変動を容易に把握することができる。
なお、本発明に係る線材のリング径制御方法及び線材の製造装置は、上記態様の他、種々の変更、改変を施した態様で実施することができる。例えば当該リング径制御方法及び当該製造装置は、一対の最終圧延ロールの回転数VRに対する一対のピンチロールの回転数VPの比(VP/VR)に加え、レイングヘッドの回転数を調整してもよい。また、当該製造装置は、圧延ロールの数は限定されない。
上述の線材の製造装置を用い、一対の最終圧延ロール1aの回転数VRに対する一対のピンチロール2の回転数VPの比(VP/VR)を1.0に設定して平均径5.5mmの線材Xをコイル状に巻き取った。また、コイル状に巻き取られた線材Xのリング径を測定装置4によって連続的に撮像し、線材Xが一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の両方に支持された状態におけるリング径の測定値の平均によって平均リング径raveを求めると共に、線材Xの尾端が一対の最終圧延ロール1aを通過後におけるリング径の最大値を最大リング径rmaxとして求めた。なお、線材Xの鋼種はJIS−G4104:1979で規定されるSCR420、線材Xの線速は95m/sとした。比較例による平均リング径raveは1243mm、最大リング径rmaxは1358mmであり、この平均リング径rave及び最大リング径rmaxから求められるリング径の変化率Δrは0.092であった。この比較例における測定装置4による測定結果を図4に示す。
比較例による線材Xの製造後に、比較例と同様の条件で線材Xを製造した。但し、実施例では、線材Xが一対の最終圧延ロール1a及び一対のピンチロール2の両方に支持された状態において、上記比較例で測定したリング径の変化率Δrに基づいて回転数比(VP/VR)を調整した。具体的には、回転数比(VP/VR)を下記式(2)によって調整した。
VP/VR=1.0−0.08×0.092 ・・・(2)
なお、上記式(2)における「1.0」は回転数比を変化する前の回転数比であり、「0.08」はリング径の改善実績に基づいて予め設定された係数であり、「0.092」は上記比較例で測定したリング径の変化率Δrである。
上述のとおり、リング径の変化率Δrに基づいて回転数比(VP/VR)を調整した実施例は、比較例に比べてリング径の変化率Δrが0.062小さくなっており、線材Xのリング径の均一化が促進されたことが分かる。このことから、例えばリング径の変化率Δrが一定の閾値を超えた場合にこのリング径の変化率Δrに基づいて回転数比(VP/VR)を調整することで、線材Xのリング径の均一化を促進できることが分かる。
1a 最終圧延ロール
2 ピンチロール
3 レイングヘッド
4 測定装置
5 制御装置
6 コンベア
6a 第一搬送部
6b 第二搬送部
X 線材
Y 測定ライン
Claims (3)
- 複数の圧延ロール、一対のピンチロール及びレイングヘッドにより線材をコイル状に巻き取る線材のリング径制御方法であって、
上記線材が複数の圧延ロールのうち最下流に位置する一対の最終圧延ロール及び上記一対のピンチロールの両方に支持された状態における平均リング径rave並びに上記線材の尾端が上記一対の最終圧延ロールを通過した後における最大リング径rmaxを測定する工程と、
上記測定工程で測定した平均リング径rave及び最大リング径rmaxからリング径の変化率Δr=(rmax−rave)/raveを算出する工程と、
上記算出工程で算出した変化率Δrを基に、次材巻取時の一対の最終圧延ロール及び一対のピンチロールの回転数を調整する工程と
を備え、
上記調整工程が、上記一対の最終圧延ロールの回転数VRに対する上記一対のピンチロールの回転数VPの比X=(VP/VR)を下記式(1)によって調整し、
上記変化率Δrが予め定めた閾値を超えた場合に上記調整工程を行う線材のリング径制御方法。
X=X0−a×Δr ・・・(1)
但し、X0は調整工程によって回転数比を調整する前の一対の最終圧延ロールの回転数VRに対する一対のピンチロールの回転数VPの比であり、aはリング径の改善実績に基づいて予め設定された係数である。 - 上記調整工程が、上記一対の最終圧延ロール及び一対のピンチロールの両方に線材が支持された状態で、上記回転数VPの比X=(VP/VR)を調整する請求項1に記載の線材のリング径制御方法。
- 複数の圧延ロール、一対のピンチロール及びレイングヘッドが上流から下流にこの順で配設され、上記複数の圧延ロール、一対のピンチロール及びレイングヘッドにより線材をコイル状に巻き取る線材の製造装置であって、
上記線材が複数の圧延ロールのうち最下流に位置する一対の最終圧延ロール及び上記一対のピンチロールの両方に支持された状態における平均リング径rave並びに上記線材の尾端が上記一対の最終圧延ロールを通過した後における最大リング径rmaxを測定する測定装置と、
上記測定装置の測定結果に基づいて上記一対の最終圧延ロール及び一対のピンチロールの回転数を調整する制御装置と
を備え、
上記制御装置が、
上記測定装置が測定した平均リング径rave及び最大リング径rmaxからリング径の変化率Δr=(rmax−rave)/raveを算出する制御要素と、
上記変化率Δrを基に、次材巻取時の一対の最終圧延ロール及び一対のピンチロールの回転数を調整する制御要素と
を有し、
上記制御装置が、上記一対の最終圧延ロールの回転数VRに対する上記一対のピンチロールの回転数VPの比X=(VP/VR)を下記式(1)によって調整し、
上記変化率Δrが予め定めた閾値を超えた場合に上記回転数の比X=(VP/VR)を調整する線材の製造装置。
X=X0−a×Δr ・・・(1)
但し、X0は制御装置によって回転数比を調整する前の一対の最終圧延ロールの回転数VRに対する一対のピンチロールの回転数VPの比であり、aはリング径の改善実績に基づいて予め設定された係数である。
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