JP6634653B2 - 質量分析を行うべき試料をスクリーニングする方法 - Google Patents
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Description
また、試料中の標的タンパク質を断片化する過程における誤差、すなわち断片化の未処理効率や標的タンパク質のチューブへの吸着等による試料損失が補正されない、などの問題があった。
このような形態とすることで、免疫測定工程と質量分析工程で得られる結果の間の相関性を向上させることができ、より信頼性の高い測定結果を得ることができる。
免疫測定工程により得られた検出結果と、質量分析工程により得られた検出結果を照合することによって、より信頼性の高い定量値を算出することができる。
このような形態においては、免疫測定工程と質量分析工程において同一の抽出工程により得られたタンパク質溶液を分析するため、より信頼性の高い測定結果を得ることができる。
このような標準ペプチドを含む溶液を標準液とすることによって、本発明の方法によって得られる定量値の信頼性を向上させることができる。
このように、免疫測定工程と質量分析工程において共通の標準ペプチドを測定することで、免疫測定と質量分析という異なる測定法間での標準化が可能となる。
免疫測定工程の結果に含まれる偽陽性を排除する目的や、陽性の試料に含まれる対象のタンパク質の量を正確に定量する目的においては、このような形態とすることが好ましい。
免疫測定工程において明らかな陽性判定がなされた試料について特定タンパク質の正確な定量の必要性が無い場合や、陽性と陰性の正確な判断が必要な場合には、このような形態とすることが好ましい。
免疫測定工程で用いる抗体の検出限界以下であるが、検出対象のタンパク質が含まれる試料を発見する目的や、偽陰性を排除したい目的においては、このような形態とすることが好ましい。
このように質量分析工程をイオン選択的な検出形態とすることによって、ノイズを排除することができ、より正確な定量結果を得ることができる。
このような形態の発明においては、質量分析において良好な感度で検出することができるペプチド断片に含まれるアミノ酸配列を認識する抗ペプチド抗体により免疫測定工程を行うこととなる。そのため、免疫測定工程の結果をより優れた精度で確かめることが可能となる。
また、本発明はアレルゲンを検出する方法に応用することが好ましい。
本発明の設計方法によれば、質量分析工程において感度良く検出することができるペプチド断片を構成するアミノ酸配列の一部を認識することができる抗ペプチド抗体の抗原ペプチドを容易に設計することができる。
本発明のスクリーニング方法によれば、質量分析工程にかかるコストを低減することができ、経済性を向上させることができる。
(1)検出対象
免疫測定工程と質量分析工程における検出対象について図1〜4を参照しながら説明する。図1は全長の特定タンパク質(上段)と、免疫測定工程で使用する抗ペプチド抗体を生産するために用いた抗原ペプチド(中段)、そして、特定タンパク質をタンパク質分解酵素で消化したときに生じるペプチド断片であり質量分析工程での検出対象であるペプチド断片(以下、質量分析対象ペプチド断片ともいう)(下段)を模式的に表した図である。
この特徴により、免疫測定工程における測定結果と、質量分析工程における測定結果は相関性を有することとなる。よって、本発明の方法によれば、高い信頼性を有する試料中の特定タンパク質の検出結果を得ることができる。
また、共通アミノ酸配列の長さは、抗原ペプチドの長さの、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。
共通アミノ酸配列のペプチド長を上記範囲とすることによって、信頼性の高い特定タンパク質の検出結果を得ることができる。
免疫測定工程においては、抗ペプチド抗体を用いた免疫測定法によって特定タンパク質を検出する。
免疫測定法の種類は特に制限されず、例えば、標識物質により標識した抗ペプチド抗体を用いた、イムノクロマト法、ELISA等の免疫学的測定法を挙げることができる。
具体的には、不溶性担体に結合した抗ペプチド抗体に特定タンパク質を捕捉させた後に、該特定タンパク質を認識する標識抗体(二次抗体)を用いるサンドイッチELISAや、不溶性担体に結合した抗ペプチド抗体に試料中の特定タンパク質を標識化抗原の存在下で反応させる競合法などの公知の免疫測定法を利用することができる。これらのうち、高感度であるという点でサンドイッチELISAが好ましい。
また、上記標識物質としては、アルカリフォスファターゼ、HRP等の酵素、抗体のFc領域、GFP等の蛍光物質などを具体的に例示することができる。
ポリクローナルである抗ペプチド抗体を生産する場合には、まず、キャリアと結合した抗原ペプチドをアジュバントとよく混合して、ウサギ、ヤギ、ラット、マウス、トリ、ウマ等の動物に投与し免疫する。免疫してから所定の期間の経過後に全採血を行い、抗血清を得る。この抗血清を塩析、カラム等により精製し、ポリクローナルである抗ペプチド抗体を得ることができる。
また、モノクローナルである抗ペプチド抗体を生産する場合には、まず、キャリアと結合した抗原ペプチドを免疫動物に免疫し、抗体を産生しているリンパ球として例えばマウス脾臓細胞と、ミエローマ細胞とをポリエチレングリコール存在下にて細胞融合させ、ハイブリドーマを得る。この中より、抗原ペプチドに対する抗体を産生する細胞をスクリーニングし、その細胞を培養することによって、抗ペプチド抗体を得ることができる。
精製した特定タンパク質に対して、加熱処理、SDS等のイオン性界面活性剤による処理、また、イオン性界面活性剤と2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールや亜硫酸ナトリウム等の還元剤を併用した処理を加えることによって、免疫原とする変性した特定タンパク質を得る。
このようにして得られた変性した特定タンパク質をマウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ウサギ等の免疫動物に免疫する。
免疫動物から得られた抗血清を、抗原ペプチドが担持された精製カラムを用いて精製する。
具体的には、抗原ペプチドをクロマトグラフィー用の樹脂、例えば、CNBr活性化セファロースやHiTrap NHS−activated(Amersham Pharmacia社製)に共有結合で固相化し、該固相化樹脂に抗血清を供する。そして、該抗血清中に含まれる抗原ペプチドを構成するアミノ酸配列に特異的に結合するポリクローナル抗体を樹脂上に吸着させ、ついで、該樹脂上に吸着した前記ポリクローナル抗体を適切な緩衝液やカオトロピックイオン等を用いて溶出させる。これにより、抗原ペプチドに特異的に結合する抗ペプチド抗体を得ることができる。
また、上記精製の前に、変性した特定タンパク質が担持されたカラムを用いた中間精製を行ってもよい。
抽出溶媒としてイオン性界面活性剤を含む水性溶媒を用いることによって、立体構造を維持している特定タンパク質において抗ペプチド抗体のエピトープ配列が分子内部に埋もれている場合であっても、該アミノ酸配列を露出させ、特定タンパク質と抗ペプチド抗体との抗原−抗体反応を可能にする。
好適には、イオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム、ラウリルサルコシンナトリウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルピリジニウムおよびそれらの混合物から成る群より選択される。
特に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が好適なイオン性界面活性剤として挙げられる。
イオン性界面活性剤の濃度を前記範囲とすることによって、効率的に試料から特定タンパク質を抽出することができ、また、抗原−抗体反応の効率を向上させることができる。
具体的には、試料を含む水性溶媒をホモゲナイザーや超音波破砕機、すり鉢などで処理し、得られた縣濁液を遠心分離し、上清を回収することで、タンパク質溶液を得ることができる。
または、イオン性界面活性剤濃度が0.03%(W/V)以下にならない範囲で希釈したタンパク質溶液と抗ペプチド抗体を接触させることが好ましい。
すなわち、プレートのウェルの底辺に前記抗体を固相化し、該ウェルにタンパク質溶液を分注することによって、本明細書の段落0034以降に記載された工程(2)を実施することができる。
このような実施の形態の本発明によれば、試料中のブタ血清アルブミンを定量的に検出することができる。
すなわち、タンパク質溶液に抗ペプチド抗体溶液を添加することで抗原−抗体複合体を形成した後に、ビーズに担持された、抗原ペプチドを認識する二次抗体をさらに添加することによって、該抗原−抗体複合体を回収し、ウエスタンブロットなどで検出することができる。
質量分析工程においては、特定タンパク質の部分ペプチドであって、抗原ペプチドを構成するアミノ酸配列の少なくとも4アミノ酸残基が同一であるアミノ酸配列を有するペプチド断片(質量分析対象ペプチド断片)を検出する。
具体的には、質量分析計の試料導入部が、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、ガスクロマトグラフ(GC)、キャピラリー電気泳動(CE)に直結している、LC−MC、GC−MS、CE−MSを用いることができる。特に分析対象である試料が食品試料である場合には、LC−MSを用いることが好ましい。
具体的には、四重極型の分析部を備える質量分析計において選択イオンモニタリング(Selected Ion Monitoring,SIM)により、質量分析対象ペプチド断片に由来する1つの荷電粒子(1つの質量荷電比)のみを検出器へ透過させるよう調整してもよい。
また、質量分析計として、四重極型の分析部を2つ組み合わせたMS/MSを用いて、多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring,MRM)により、質量分析対象ペプチド断片に由来するイオンのみを選択的に検出することができる。
このように質量分析対象ペプチド断片のみを選択的に検出する形態とすることにより、試料中の他のペプチド断片は全く検出せず、特定のm/zを有する質量分析対象ペプチド断片に由来するイオンすべてを検出することができるため、ノイズを低減し、感度を大きく向上させることができる。
このような実施の形態においては、質量分析工程において良好な感度で検出できるペプチド断片と同一であるアミノ酸配列を有する抗原ペプチドを特異的に認識する抗ペプチド抗体により免疫測定工程が行われることとなる。
したがって、このような実施の形態の本発明によれば、より高い精度で試料中の特定タンパク質を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明を加える。
上述したように、試料をイオン性界面活性剤で処理することで特定タンパク質を含むタンパク質溶液を得て、該タンパク質溶液中に含まれる特定タンパク質を免疫測定工程において検出することが好ましい。
本発明のより好ましい実施の形態では、このようにして調製したタンパク質溶液又はその処理物をタンパク質分解酵素で処理することで得られるペプチド溶液を試料として質量分析工程を行う(図5)。
このような形態とすれば、免疫測定工程と質量分析工程において試料を別々に調製する必要が無い。また、同一の処理により得られた溶液を免疫測定工程と質量分析工程において分析するため、これら2つの工程で得られる検出結果の相関性が向上し、より精度の高い検出結果を得ることができる。
このような形態とすることによって、免疫測定工程の結果に含まれる偽陽性を排除することができ、また、陽性の試料に含まれる特定タンパク質の含有量を正確に定量するという目的において有用である。このような実施の形態によれば、陰性の試料について質量分析を行わずともよいので、経済性に優れる。
明らかに陽性である試料について特定タンパク質の正確な定量が無い場合に有用である。明らかに陽性である試料について質量分析を行わずともよいので、経済性に優れる。
また、陽性と陰性の正確な判断が必要な場合にも本実施形態とすることが好ましい。
このような形態とすることによって、免疫測定工程の結果に含まれる偽陽性を排除することができる。また、免疫測定工程で用いる抗体の検出限界以下であるが、検出対象のタンパク質が含まれる試料を発見する目的において有用である。
定量値の算出方法は特に限定されず、それぞれの分析工程で得られた定量値を照らし合わせ、各種計算を行うことで定量値を算出するいずれの方法も採用することができる。
本発明の好ましい実施の形態では、特定タンパク質の部分ペプチドであり、抗ペプチド抗体が結合可能であり、質量分析対象ペプチド断片を構成するアミノ酸配列の少なくとも一部を含む、標準ペプチドの溶液を標準液とする。
さらに好ましくは、免疫測定工程と質量分析工程において同一の標準ペプチドを含有する標準液を用いる。このような実施の形態とすることによって、免疫測定と質量分析という異なる測定法間の標準化が可能になる。
例えば、上記(i)〜(iii)で述べたように、試料を質量分析工程に供するか否かの判別工程として一の事業者が免疫測定工程を行い、その結果に基づき選出された試料について、他の事業者が質量分析工程を行うような実施の形態としてもよい。
このような実施形態とすることにより、質量分析計を保有していない事業者が質量分析計を購入する必要が無いなど、経済性に優れる。
このような形態とすることにより、事業者間の試料の調製法の差異に起因する測定誤差が生じることを防止することができる。
本発明は、上述の特定タンパク質の検出方法に用いる抗ペプチド抗体の製造のための抗原ペプチドの設計方法にも関する。
本発明においては、まず、特定タンパク質をタンパク質分解酵素で処理したペプチド溶液を試料として質量分析を行い、クロマトグラフまたはマススペクトルを得る。
次いで、最も高い強度で検出されたシグナルの好ましくは50%以上の強度、より好ましくは70%以上の強度、さらに好ましくは90%以上の強度、さらに好ましくは100%の強度で検出されるシグナルに対応するペプチド断片を選出する。
そして、選出したペプチド断片を構成するアミノ酸配列と4アミノ酸残基以上、より好ましくは6アミノ酸残基以上、さらに好ましくは10アミノ酸残基以上と同一のアミノ酸配列を含む、特定タンパク質の部分ペプチドを抗原候補とする。
具体的には、他種における特定タンパク質のオーソログタンパク質との相同性が、好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下であるアミノ酸配列を有する、特定タンパク質の部分ペプチドを抗原候補として選出する。
このような工程を加えることで、交差反応が生じにくい抗ペプチド抗体を選出することができる。
ここで、「他種」とは、免疫動物の種のほか、任意に設定した種を含む。
また、本発明は特定タンパク質に含まれる特定のアミノ酸配列を特異的に認識する抗ペプチド抗体を用いた免疫測定法により、試料中に含まれる前記特定タンパク質を検出する免疫測定工程を含むことを特徴とする、前記特定タンパク質の検出のための質量分析を行うべき試料をスクリーニングする方法にも関する。
本発明の実施の形態については、本明細書の段落0066〜0068の(i)〜(iii)に記載した事項を始め、本明細書の段落0029以降の<1>に記載した事項を適用することができる。
(1)抗ペプチド抗体の作製
(1−1)中間精製カラムと精製カラムの作製
以下の方法で中間精製カラムと精製カラムを作製した。
150mM NaCl、0.6% SDS、0.1M Na2SO3を含む20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に精製ブタ血清アルブミンを10mg/mLの濃度で溶解し、沸騰水中に10分間浸漬した後、流水で冷却した。
このようにして得た変性したブタ血清アルブミン25mgを5mg/mL樹脂の濃度で5mLのクロマトグラフィー用の樹脂に結合して、中間精製カラムを作製した。
135℃で処理したブタ血清アルブミンを免疫したウサギから得た抗血清を40,000×gで20分間遠心分離して上清を得た。
この上清150mLを中間精製カラムに1mL/minの流速で通じた後、60mLのPBSで洗浄した。
その後、中間精製カラムに0.1M Glycine−HCl緩衝液(pH2.3)を通じることにより、カラムに吸着したポリクローナル抗体を溶出した。
こうして得られた抗体量は約70mgであった(A280=1.4=1mg/mLとして計算)。
上記操作を4回繰り返し、約280mgのポリクローナルな抗ペプチド抗体を得た。
中間精製工程で得られたポリクローナルな抗ペプチド抗体を、精製カラムに通じた後、15mLのPBSで洗浄した。
その後、精製カラムに0.1M Glycine−HCl緩衝液(pH2.3)を通じることにより、カラムに吸着したポリクローナルな抗ペプチド抗体を溶出した。
このようにして、ブタ血清アルブミンのC末端の前記アミノ酸配列に特異的に結合するポリクローナルな抗ペプチド抗体を約2mg得た。
(2−1)固相化プレートの作製
精製工程で得られた抗ペプチド抗体を50mM 炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)によって1μg/mLに調製し、0.1mLずつ96穴マイクロプレートに分注して室温で2時間静置した。
その後、ウェルから当該抗体溶液を捨て、150mM NaClと0.02% Tween20を含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した後、1mg/mLの卵白アルブミンを含む同緩衝液を200μLずつ分注して室温で2時間静置した。このようにして、精製工程で得たポリクローナル抗体が固相化された固相化プレートを作製した。固相化プレートは使用時まで4℃で保存した。
精製カラムにより吸着されなかった前記抗変性ブタ血清アルブミンポリクローナル抗体を西洋ワサビペルオキシダーゼで標識し標識抗体を調製した。
この溶液を150mM NaCl、0.05% Tween 20、1mg/mL BSAを含む20mM Tris−HCl(pH7.4)で希釈することで、表1に示す濃度の変性ブタ血清アルブミン標準溶液を調製した。
表1に前記標準溶液における変性ブタ血清アルブミンの濃度と、比色定量の結果を示し、図11に検量線を示す。
試験例1と同じ変性ブタ血清アルブミン標準溶液のうち、0μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、40μg/mLの変性ブタ血清アルブミンを含むものをトリプシンによって酵素消化した。そして、このトリプシン酵素消化液を試料として、四重極型分析部を2つ備えたタンデム型であるLC−MS/MSによる質量分析を行った。具体的には、変性ブタ血清アルブミン標準溶液をトリプシンによって酵素消化することによって生じたGILA(配列番号3)ペプチドとFVIEIR(配列番号4)ペプチド(図10下段)に対応するイオンをMRMトランジションとして、面積値に基づく定量分析を行った。結果を表2に示し、図12及び13に検量線を示す。
水及び牛乳にそれぞれ10μg/mL、20μg/mL、40μg/mLの濃度となるように、精製ブタ血清アルブミンを添加したブタ血清アルブミン添加食品を調製した。また、陰性対照として精製ブタ血清アルブミンを添加していない水及び牛乳も用意した。
これらブタ血清アルブミン添加/非添加食品を試料として、試験例1で作製した固相化プレートを用いてELISAを行った。ELISAは試料を希釈した状態で行った。その結果得られた比色定量の結果を図11の検量線に当てはめることで、各試料におけるブタ血清アルブミンの定量値を算出した。結果を表3に示す。
試験例3で調製したブタ血清アルブミン添加/非添加食品を試料として、試験例2と同様の方法でLC−MS/MSによりブタ血清アルブミンの質量分析を行った。その結果得られた各試料におけるGILA(配列番号3)ペプチドイオンとFVIEIR(配列番号4)ペプチドイオンの面積値を図12又は13の検量線に当てはめることで、各試料におけるブタ血清アルブミンの定量値を算出した。結果を表4及び5に示す。
試験例3のELISAの結果と試験例4のLC−MS/MSの結果について相関性の検定を行った。具体的には、同一の試料をELISA及びLC−MS/MSにより測定して得られた結果についてP値を求めた。LC−MS/MSについては、GILA(配列番号3)ペプチドイオンとFVIEIR(配列番号4)ペプチドイオンを検出した結果について、それぞれELISAの結果との相関性を求めた。結果を表6に示す。
この結果は、共通するアミノ酸配列を有するペプチドを測定対象とする、免疫測定と質量分析の二つの測定手法を組み合わせることにより、より信頼性の高い測定結果が得られることを示している。
一方、質量分析は免疫測定よりも精度に優れていると評価されている。しかし、初期費用が高額であること、機器の操作等に高度の専門的知識が要求されることなど検査技術として不利な点もある
このように、免疫測定と質量分析にはそれぞれデメリットがあるが、本発明によれば、それぞれのメリットを活かすことで、より正確性が高く、また経済性に優れた特定タンパク質の検出方法を提供することができる。
Claims (6)
- 特定タンパク質に含まれる特定のアミノ酸配列を特異的に認識する抗ペプチド抗体を用いた免疫測定法により、試料中に含まれる前記特定タンパク質を検出する免疫測定工程を含むことを特徴とする、前記特定タンパク質の検出のための質量分析を行うべき試料をスクリーニングする方法。
- 前記免疫測定法が、イムノクロマト法及びELISAから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記免疫測定工程の結果、陽性であった試料を、前記質量分析を行うべき試料として選択することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記免疫測定工程の結果、陽性と陰性の判定が困難であった試料を、前記質量分析を行うべき試料として選択することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記免疫測定工程の結果、陰性であった試料を、前記質量分析を行うべき試料として選択することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記試料をイオン性界面活性剤で処理しタンパク質溶液を得る抽出工程を含み、
前記免疫測定工程において、前記タンパク質溶液中に含まれる前記特定タンパク質を検出することを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
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