[第1実施形態]
以下に第1実施形態におけるレンズ駆動装置100について説明する。
まず始めに本実施形態におけるレンズ駆動装置の構成について図1ないし図9を用いて説明する。図1は第1実施形態におけるレンズ駆動装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は第1実施形態におけるレンズ駆動装置100の外観を示す図で、図2(a)はレンズ駆動装置100の外観を示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)に示すZ1方向側から見た状態のレンズ駆動装置100を示す平面図である。図3は第1実施形態におけるレンズ保持部材1を示す図で、図3(a)はレンズ保持部材1の外観を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)に示すZ2方向側から見た状態のレンズ保持部材1の外観を示す斜視図である。図4は図3(a)に示すB部を示す図であり、図4(a)はB部を拡大した斜視図であり、図4(b)は図4(a)に示すZ1方向側から見た状態のB部を示す平面図である。図5は第1実施形態におけるコイル4がレンズ保持部材1に保持された状態を示す図であり、図5(a)はコイル4がレンズ保持部材1に保持された状態を示す斜視図であり、図5(b)はコイル4がレンズ保持部材1に保持された状態を図5(a)に示すZ2方向側から見た状態を示す斜視図であり、図5(c)は図5(b)に示すC部を拡大した斜視図である。図6は第1実施形態における上側板ばね5を示す図であり、図6(a)は上側板ばね5の外観を示す斜視図であり、図6(b)は図6(a)に示すD部をZ1方向側見た状態を拡大して示す平面図である。図7は第1実施形態における下側板ばね6を示す図であり、図7(a)は下側板ばね6の外観を示す斜視図であり、図7(b)は図7(a)に示すZ1方向側から見た状態の下側板ばね6を示す平面図である。図8は第1実施形態における筐体7を示す図であり、図8(a)は筐体7の外観を示す斜視図であり、図8(b)は図8(a)に示すZ2方向側から見た状態の筐体7を示す平面図である。図9は第1実施形態におけるベース部材8の外観を示す斜視図である。
レンズ駆動装置100は、図1に示すように、レンズ保持部材1と、筐体7およびベース部材8からなる固定側部材2と、少なくとも磁石3及びコイル4を有して構成される移動機構50と、上側板ばね5および下側板ばね6からなる付勢部材30とを備え、図2に示すように、略直方体状に形成され、レンズ保持部材1を光軸方向LD(Z1−Z2方向)へ移動させることができる。
レンズ保持部材1は合成樹脂材からなり、図3に示すように、レンズ体を保持可能な筒状に形成されている。レンズ保持部材1は、円筒状に形成された筒状部1hを有する。筒状部1hは、両端が開放され中空の開口部1gを有している。なお、開口部1gの内周壁に沿ってレンズ体を保持するためのネジ山が形成されている。また、筒状部1hの外周面には、外方へ向かって突出したコイル保持部1qが等間隔に4箇所設けられている。なお、本実施形態においては、筒状部1hのX1−X2方向の両側、およびY1−Y2方向の両側に設けられている。また、筒状部1hの一端側(Z1方向側)には、端部の外周面から離れる方向へ延設された上側板ばね配置部1kが形成されている。上側板ばね配置部1kは開口部1gを挟んで対向する位置に1箇所ずつ設けられており、本実施形態においては、X1−X2方向の両端部に、コイル保持部1qに連続してそれぞれ1箇所ずつ設けられている。また、上側板ばね配置部1kの上面には、図4に示すように、上方(Z1方向)へ突出して台部1eが形成されており、台部1eは固定部1dを有する。固定部1dは、平坦な面状に形成された上面である載置面1aと、載置面1aに対して凹形状に形成された凹部1bと、凹部1bから円柱状に突出した突出部1cとを備えて設けられている。なお、Y1方向側に配置された凹部1bは、凹形状に形成されY1方向へ延在する延在部1fを有するとともに、Y2方向側に配置された凹部1bは、凹形状に形成されY2方向へ延在する延在部1fを有する。また、固定部1dは、載置面1a上の凹部1b同士に挟まれた箇所に、直方体状に上方へ突出した規制突起1rを有する。
また、レンズ保持部材1は、図3に示すように、筒状部1hの他端側(Z2方向側)に、端部の外周面から離れる方向へ延設された鍔部1mを有している。鍔部1mは筒状部1hのほぼ全周にわたって設けられている。鍔部1mを含めて筒状部1hの他端側の端面には、下側保持突起1nと巻回用突起1pとが形成されている。下側保持突起1nは、円柱状に光軸方向LDに沿って(Z2方向へ向かって)突出して設けられ、開口部1gを挟んで対向する位置(図3においてはY1方向側とY2方向側)にそれぞれ2箇所ずつ設けられている。また、巻回用突起1pは開口部1gを挟んで対向する位置(図3においてはX1方向側とX2方向側)に、直方体状に光軸方向LDに沿って(Z2方向へ向かって)突出して、それぞれ1箇所ずつ設けられている。
コイル4は導電性を備えた金属線材からなり、図1に示すように、筒の外周に沿って巻回されたように形成された巻回部4aを有し、金属線材の両側の端部4bは巻回部4aから延出して設けられている。なお、巻回部4aを形成する部分の金属線材は、表面が非導電性の材料により被覆されており、巻回された箇所同士は、金属線材の表面においては絶縁され、コイルに電流を流した場合には、電流は金属線材に沿って周回するように流れる。なお、本実施形態においては、図5に示すように、コイル4はレンズ保持部材1のコイル保持部1qに金属線材が巻かれて形成される。すなわち、レンズ保持部材1の外周に金属線材が巻かれて巻回部4aが形成される。なお、巻回部4aを上方(Z1方向側)から見たときに、巻回部4aは、第1の長さL1の短辺と、第1の長さL1より長い第2の長さL2の長辺を交互につなげた八角形状に形成されている。巻回部4aの長辺に当たる箇所はコイル保持部1qに接触し、巻回部4aの短辺に当たる箇所は筒状部1hとの間に隙間を有している。また、コイル4の端部4bは、それぞれレンズ保持部材1の巻回用突起1pに巻かれて保持される。巻回用突起1pに巻かれて保持されたコイル4の端部4bの先端は巻回用突起1pに、接着剤等で止められている、金属線材が樹脂に埋め込まれている、等の方法で、巻きつけた金属線材がほつれないようにする手当てが施されている。なお、巻き始めにおいては、巻回用突起1pに接した状態で並べた端部4bの先端部を、巻回用突起1pとともに、その周囲に先端部以外の箇所を巻きつけることで押さえる方法であっても良い。また、巻回用突起1pに巻かれたコイル4の端部4bが、巻回用突起1pの根元部側から延出して巻回部4aと繋がっている。
付勢部材30は、図1に示すように、上側板ばね5と下側板ばね6とからなる。上側板ばね5は金属薄板からなり、図6に示すように、上側第1部分5a(第1部分)と、上側第2部分5b(第2部分)と、上側第1部分5aと上側第2部分5bとの間に位置する上側弾性腕部5c(弾性腕部)とを有する。なお、上側第2部分5bは上側第1部分5aの外側に配置されている。上側第1部分5aは、略長方形状に形成された基部5dを有している。上側第1部分5aの基部5dには両側(Y1方向側とY2方向側)に貫通孔5fが設けられるとともに、貫通孔5fに挟まれた部分に切り欠きされた切り欠き部5gが設けられている。なお、貫通孔5f同士の間隔は、レンズ保持部材1の突出部1c同士の間隔とほぼ同じであり、貫通孔5fは突出部1cを挿入可能な大きさに形成されている。なお、貫通孔5fは、凹凸のある非円形状をなしており、本実施形態においては、図6(b)に示すE部に縁部5eを有して形成されている。また、切り欠き部5gは規制突起1rを配置可能な大きさに切りかかれている。なお、上側第1部分5aは、レンズ保持部材1の開口部1gの直径と同等の間隔を空けるとともに、切り欠き部5gを互いに逆方向に向けて対向する位置にそれぞれ設けられている。上側第2部分5bは長方形の環状に形成されている。また、上側第2部分5bは、長方形の四隅の部分に、環状の内側へ延設され、略三角形状に形成された固定部5hを有する。上側弾性腕部5cは蛇行した線状に形成され、上側第1部分5aと、上側第2部分5bの固定部5hとを繋いで設けられている。なお、上側弾性腕部5cは弾性を備えており、例えば、上側第2部分5bを固定した場合に、上側弾性腕部5cが撓むことで、上側第1部分5aは上下方向に移動可能である。
下側板ばね6は金属薄板からなり、図7に示すように、線対称形状に形成された第1部材6Aと第2部材6Bとからなり、第1部材6Aと第2部材6Bとを並べて配置することで、長方形の環状に形成される。以下に説明する部位は第1部材6Aと第2部材6Bとの両方にあるものとして、特別に断らない限りは第1部材6Aおよび第2部材6Bを区別することなく、下側板ばね6として説明する。下側板ばね6は、下側第1部分6aと、下側第2部分6bと、下側第1部分6aと下側第2部分6bとの間に位置する下側弾性腕部6cとを有する。なお、第1部材6Aと第2部材6Bとは、下側第1部分6a同士が対向するとともに、下側第2部分6bは下側第1部分6aの外側となるように配置されている。下側第1部分6aは円弧状に形成され、中央部に長方形の板状に形成された第1保持部6dを有し、両端部に略三角形の板状に形成された第2保持部6eを有し、第1保持部6dと第2保持部6eとは湾曲した線状に形成された部位により連結されている。第2保持部6eは、レンズ保持部材1の下側保持突起1nを挿通可能な第1保持孔6fを、それぞれ有している。下側第2部分6bは直線状に形成され、両端に平板状に形成された第3保持部6gを有し、第3保持部6g同士は桟部6hにより連結されている。また、第3保持部6gには、それぞれ貫通した孔である第2保持孔6kが形成されている。なお、一端側(Y2方向側)に形成された第2保持孔6kは円形であり、他端側(Y1方向側)に形成された第2保持孔6kは非円形状(略六角形)に形成されている。下側弾性腕部6cは蛇行した線状に形成され、下側第1部分6aの第2保持部6eと下側第2部分6bの第3保持部6gとを繋いで設けられている。なお、一端側に配置された下側弾性腕部6cと第1保持部6dとの間には、レンズ保持部材1の巻回用突起1pを挿通可能な間隔が取られている。このように形成された第1部材6Aと第2部材6Bとは、互いの第2保持部6e同士が向き合うように配置され、下側第1部分6aは、直径がレンズ保持部材1の筒状部1hの直径と同程度の円形状を形成する。なお、第1部材6Aの第1保持孔6fと第2部材6Bの第1保持孔6fとの離間距離は、レンズ保持部材1の下側保持突起1n同士の離間距離と同じ距離である。なお、下側弾性腕部6cは弾性を備えており、例えば、下側第2部分6bを固定した場合に、下側弾性腕部6cが撓むことで、下側第1部分6aは上下方向に移動可能である。
固定側部材2は、図1に示すように、ベース部材8および筐体7を含んで形成される。筐体7は磁性を有する金属板からなり、図8に示すように、内部が中空で略直方体状に形成されるとともに、下方が開放されている。筐体7は、環状の外壁部7aと、外壁部7aの内側に位置する4つの内壁部7bと、外壁部7aと内壁部7bとを間隔をあけて連結する天板部7cとを有し、外壁部7aと内壁部7bとは天板部7cに対して垂直で同一な方向(Z2方向)へ突出して設けられている。四方の外壁部7aはそれぞれ交差し、交差する箇所にはそれぞれ角部7dが形成されている。内壁部7bは、外壁部7aの内側であり、角部7dに対向する位置にそれぞれ設けられている。内壁部7bは、Z1-Z2方向からの平面視にて、それぞれ角部7dに向かって凸となるように湾曲して形成されており、円弧形状をなして配置されている。また、内壁部7bは、天板部7cの一部を板金加工して形成されており、天板部7cの中央には平面視にて内壁部7bがなす円弧形状に沿うように貫通孔部7eが形成されている。貫通孔部7eはレンズ保持部材1の筒状部1hを挿通可能な直径であるとともに、内壁部7bがなす円弧形状の直径はコイル4の巻回部4aの大きさ(対向して配置される短辺間の間隔)よりも小さい。また、貫通孔部7eを挟んで対向する箇所、本実施形態においてはX1−X2方向において対向する位置に、貫通孔部7eに連続して切り欠かれた切り欠き部7gが形成されている。切り欠き部7gは、片側にそれぞれ2ヶ所ずつ並べて形成されている。また、天板部7cの四隅には、板金加工により下方へ突出して形成された突起部7fが設けられており、突起部7fの突出方向の先端部は天板部7cに対して平行でかつ同じ高さの平面状に形成されている。
ベース部材8は合成樹脂材からなり、図9に示すように、下方(Z2方向)から平面視するとその外形は長方形状であり、中央に円形状の貫通した孔である開口孔部8aを有した環状に形成されている。ベース部材8は上面の四隅に、それぞれ平面状に形成された載置部8cを有し、載置部8cには、Z1方向へ突出した取り付け突起8bを有している。また、取り付け突起8bは、下側板ばね2の第2保持孔6kに挿通可能な大きさに形成されるとともに、第2保持孔6kの配置に対応して配置されている。また、ベース部材8には金属板材からなる金属部材9が一部露出した状態で埋設されている。ベース部材8の他方側(Y2方向側)に設けられた載置部8cには、金属部材9の一部である第1接続面部9aと第2接続面部9bとが露出して設けられている。第1接続面部9aはX1方向側の載置部8cに露出し、第2接続面部9bはX2方向側の載置部8cに露出しており、第1接続面部9aと第2接続面部9bとは絶縁されている。また、ベース部材8の下面の他方側の端部には、金属部材9の一部である第1接続端子部9cと第2接続端子部9dとが下方へ突出して設けられている。第1接続端子部9cは下面のX1方向側から突出し、第2接続端子部9dは下面のX2方向側から突出して形成されている。なお、第1接続面部9aと第1接続端子部9cとは電気的に接続されるとともに、第2接続面部9bと第2接続端子部9dとは電気的に接続されている。また、ベース部材8の四隅には金属部材9の一部である保持部9eが露出している。保持部9eは第1接続面部9aおよび第2接続面部9bとは絶縁されている。
磁石3は筐体7の内壁部7b、角部7d、および角部7dに連続する外壁部7aに挟まれた空間に配置可能に形成され、図1に示すように、Z1方向から平面視したときに斜辺の長さが等しい略台形の柱状に形成されている。なお、台形の短辺に対応する面を第1面3a、斜辺に対応する面を第2面3b、長辺に対応する面を第3面3cとする。第1面3aは筐体7の角部7dの内面形状に一致するように形成され、第2面3bは外壁部7aの内面形状に一致するように形成され、第3面3cは、台形の長辺に対応する長さが第1の長さL1(図5参照)よりも短く形成されている。
次にレンズ駆動装置100の構造について図2、図5、および図10ないし図16を用いて説明する。図10は図2に記載の断面F−Fを示す模式断面図である。図11は第1実施形態におけるレンズ保持部材1と下側板ばね6との固定状態を示す図であり、図11(a)はレンズ保持部材1と下側板ばね6との固定状態を示す平面図であり、図11(b)は図11(a)に示すK部をX1方向側から見た状態を示す模式側面図である。図12は第1実施形態における下側板ばね6とベース部材8との連結方法を示す平面図である。図13は図2に記載の断面A−Aを示す模式断面図である。図14は第1実施形態における載置面1a上に載置された上側第1部分5aを示す図であり、図14(a)は載置面1a上に載置された上側第1部分5aを示す平面図であり、図14(b)は図14(a)に示すX1方向側から見た状態の載置面1a上に載置された上側第1部分5aを示す側面図である。図15は第1実施形態における上側第1部分5aが載置面1aに接着された状態を示す図であり、図15(a)は上側第1部分5aが載置面1aに接着された状態を示す斜視図であり、図15(b)は図15(a)に示すZ1方向側から見た状態の載置面1aに接着された上側第1部分5aを示す平面図である。図16は図15(b)に記載の断面H−Hを示す断面図である。
図5に示すように、コイル4はレンズ保持部材1の筒状部1hの周囲に巻かれて巻回部4aを形成するとともに、コイル4の端部4bは巻回用突起1pに巻かれて保持されている。また、図10に示すように、下側板ばね6はレンズ保持部材1の鍔部1mの下部(Z2方向側)に固定される。このとき、図11に示すように、レンズ保持部材1の下側保持突起1nを下側板ばね6の第1保持孔6fに挿通し、下側保持突起1nをかしめる。また、このとき、コイル4の端部4bが巻かれた巻回用突起1pは下側第1部分6aに僅かな隙間を空けて、図11においては、下側第1部分6aのY2方向側に配置される。巻回用突起1pに巻かれたコイル4の端部4bは下側第1部分6aと半田SDにより固定される。したがって、下側板ばね6の第1部材6Aと第2部材6Bとは、それぞれレンズ保持部材1に3箇所で固定される。また、ベース部材8は、図10に示すように、下側板ばね6の下方に配置され、下側板ばね6と連結される。このとき、図12に示すように、下側板ばね6はベース部材8の載置部8c上に載置され、ベース部材8の取り付け突起8bはそれぞれ対応する第2保持孔6kに挿入される。第2保持孔6kに挿入された取り付け突起8bをかしめることで、下側板ばね6の下側第2部分6bとベース部材8とは連結される。また、下側板ばね6は、載置部8c上に載置されることで第1接続面部9aおよび第2接続面部9bに接触するとともに、溶接WPにより固定される。このように、下側板ばね6を介してベース部材8に連結されたレンズ保持部材1は、ベース部材8が動かず固定されるとすると、下側板ばね6の付勢力により下方へ付勢されるとともに、図10に示す光軸方向LD(Z1−Z2方向)へ移動可能に支持される。また、このような構成とすることで、コイル4および下側板ばね6を介して、第1接続端子部9c(図9参照)と第2接続端子部9d(図9参照)とは電気的に接続される。
上側板ばね5は、図13に示すように、筐体7の内側に配置される。このとき、上側板ばね5は、上側第2部分5bが天板部7cに設けられた突起部7f(図8参照)と接触するように、筐体7の外壁部7a(図8参照)と内壁部7bとの間に収められる。磁石3は、第1面3a(図1参照)を筐体7の角部7dに接触させるとともに、第2面3b(図1参照)を角部7dの両側に連続する外壁部7aに接触させた状態で、筐体7の4つの角部7dの内側にそれぞれ配置される。また、磁石3は上側板ばね5の固定部5hを筐体7の天板部7c(突起部7f)とで挟持した状態で筐体7に接着され固定される。これにより、上側板ばね5は上側第2部分5bが固定側部材2の一部である筐体7に固定される。このように磁石3及び上側板ばね5が固定された筐体7は、レンズ保持部材1を内部に収容するようにベース部材8に重ねて配置される。このとき、筐体7の内壁部7bはレンズ保持部材1の筒状部1hとコイル4との隙間に挿入されるとともに、コイル4は内壁部7bと磁石3との間に挿入される。なお、隣り合う筒状部1h、内壁部7b、コイル4および磁石3はそれぞれ離間している。このように内壁部7b、コイル4および磁石3が配置されることで、本実施形態においては、ヨークとして機能する筐体7、磁石3及びコイル4を有して構成される移動機構50が形成される。また、図10に示すように、レンズ保持部材1の上部に固定される上側板ばね5は、上側第1部分5aに対応してレンズ保持部材1の開口部1gを挟んで対向する位置にそれぞれ設けられた載置面1a(固定部1d、図4参照)に上側第1部分5aが載置され、紫外線硬化型接着剤を用いた接着により取り付けられる。このように取り付けられた上側板ばね5はレンズ保持部材1を上方側に付勢する。
なお、以下に、載置面1aと上側第1部分5aとの接着に関して説明する。上側第1部分5aは、図14に示すように、貫通孔5fに突出部1cを挿通させるとともに、貫通孔5fと凹部1bとが対向するように載置面1a上に載置される。このように載置されることで、延在部1fは上側弾性腕部5c側に向かって延在するとともに、縁部5eは延在部1fに対向するように配置される。また、上側板ばね5の上側第1部分5aと上側弾性腕部5cとの境界部(図14(b)に破線で示す)が、台部1eの外縁部に対応した位置に設けられている。実際に載置する場合には、図15に示すような紫外線硬化型接着剤である接着剤GLが、凹部1bの突出部1cの周囲に充填されている。このように接着剤GLが凹部1bに充填された状態で、上側第1部分5aを載置面1a上に載置すると、図15に示すように、突出部1c(図14参照)が接着剤GLに覆われた状態で接着される。すなわち、図16に示すように、凹部1bに充填された接着剤GLが、突出部1cの周囲に設けられると共に、接着剤GLの一部が貫通孔5fを介して上側板ばね5の上側第1部分5aの上面に位置している。このように位置した接着剤GLに紫外線を照射することで接着剤GLは硬化し、接着剤GLにより上側板ばね5がレンズ保持部材1に固定されている。また、同時に、延在部1fに充填された接着剤GLが、縁部5eに沿って位置する上側第1部分5aの上面および下面に設けられている。このように、上側第1部分5aは接着剤GLにより下面をレンズ保持部材1の載置面1a(固定部1d、図4参照)に接着されるとともに、上面も接着剤GLにより保持されている。なお、このように上側第1部分5aをレンズ保持部材1の載置面1a(固定部1d、図4参照)に接着した接着剤GLは、図2に示すように、切り欠き部7gを介して上方に向かって開放された位置に配置されており、紫外線は切り欠き部7gを通して接着剤GLに照射される。
このようにしてレンズ駆動装置100は形成されている。
次にレンズ駆動装置100の動作について図10、図13、図17ないし図19を用いて説明する。図17は図13に示すG部をZ1方向側から見た内壁部7b、コイル4および磁石3の位置関係を示す模式図である。図18は第1実施形態におけるレンズ保持部材1が上方へ移動した状態のレンズ駆動装置100を示す模式断面図である。図19は第1実施形態におけるレンズ保持部材1が下方へ移動した状態のレンズ駆動装置100を示す模式断面図である。なお、図18および図19においては、初期状態におけるレンズ保持部材1、コイル4、上側板ばね5および下側板ばね6を破線で示している。
レンズ駆動装置100において、上側板ばね5はレンズ保持部材1を上方側に付勢していると共に、下側板ばね6はレンズ保持部材1を下方側に付勢している。そのため、電力が供給されていない状態、すなわち、コイル4に電流を通電しない初期状態において、図10に示すように、レンズ保持部材1を下方へ付勢する下側板ばね6の付勢力と、レンズ保持部材1を上方へ付勢する上側板ばね5の付勢力と、が釣り合う位置にレンズ保持部材1は位置している。なお、レンズ保持部材1は、下側板ばね6の付勢力および上側板ばね5の付勢力に抗して上下方向(Z1−Z2方向)に移動可能である。すなわち、付勢部材30が、レンズ保持部材1を光軸方向LDへ移動可能に支持している。
内壁部7b、磁石3及びコイル4を有して構成され、レンズ保持部材1を光軸方向LDに沿って移動させる移動機構50は、図13および図17に示すように、同一直線上に内壁部7b、コイル4、磁石3の順番に配置されている。レンズ駆動装置100には、第1接続端子部9c(図9参照)および第2接続端子部9d(図9参照)を介して電力を供給することができ、電力が供給されるとコイル4に電流が流れる。また、磁石3の磁界の向きは、図17に示す矢印Mの方向とする。移動機構50においては、磁石3とコイル4とは対向する位置に配置されている、すなわち磁石3の磁界の中にコイル4が配置されているため、コイル4に電流が流れると、コイル4にはローレンツ力が働く。
レンズ駆動装置100に電力が供給され、例えば、図17に示す矢印Kの方向に電流が流れた場合、コイル4には、図13に示すZ1方向のローレンツ力が働き、コイル4と一体となったレンズ保持部材1は、図18に示すように、下側板ばね6の付勢力に抗して上方向(Z1方向)に移動する。
また、図17に示す矢印Lの方向に電流が流れた場合、コイル4には、図13に示すZ2方向のローレンツ力が働き、レンズ保持部材1は、図19に示すように、上側板ばね5の付勢力に抗して下方向(Z2方向)に移動する。
このようにコイル4に流す電流の向きを変えることで、レンズ保持部材1を光軸方向LDに沿って動作させることができる。なお、実際には、開口部1gに図示しないレンズ体が固定され、レンズ保持部材1をレンズ体と一体に動作させることができる。
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
本実施形態のレンズ駆動装置100では、レンズ体を保持可能な筒状のレンズ保持部材1と、レンズ保持部材1を収容する筐体7を含む固定側部材2と、レンズ保持部材1を光軸方向へ移動可能に支持する付勢部材30と、レンズ保持部材1を光軸方向に沿って移動させる少なくとも磁石3及びコイル4を有して構成される移動機構50とを備え、付勢部材30は、レンズ保持部材1の上部に固定される上側板ばね5と下部に固定される下側板ばね6とからなり、上側板ばね5は、レンズ保持部材1に固定される第1部分(上側第1部分)5aと、固定側部材2に固定される第2部分(上側第2部分)5bと、上側第1部分5aと上側第2部分5bとの間に位置する上側弾性腕部5cとを有するレンズ駆動装置において、上側板ばね5の上側第1部分5aには貫通孔5fが設けられており、レンズ保持部材1には、上側板ばね5を載置する載置面1aと、載置面1aに対して凹形状に形成され貫通孔5fと対向する凹部1bと、凹部1bから突出し貫通孔5fに挿通される突出部1cとを備えた固定部1dが設けられており、凹部1bに充填された接着剤GLが、突出部1cの周囲に設けられると共に、接着剤GLの一部が貫通孔5fを介して上側板ばね5の上側第1部分5aの上面に位置しており、接着剤GLにより上側板ばね5がレンズ保持部材1に固定されている、構成とした。
これにより、凹部1bに充填された接着剤GLと貫通孔5fを介して上側板ばね5の上側第1部分5aの上面に位置する接着剤GLとにより上側板ばね5を接着することで、上側板ばね5は下面、貫通孔5fの内面および上側板ばね5の上面を接着剤GLにより保持されるため、落下などによる衝撃が加わったとしても接着は剥がれ難くなっている。また、貫通孔5fに挿通される突出部1cを、レンズ保持部材1の固定部1dに設けることによって、突出部1cの周囲に充填された接着剤GLを突出部1cで保持することができるため、接着剤GLが上側第1部分5aの上面に回りやすくなる。したがって、上側板ばね5とレンズ保持部材1との接着が剥がれ難いレンズ駆動装置を提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のレンズ駆動装置100では、上側板ばね5の上側第1部分5aと、レンズ保持部材1の固定部1dとが、突出部1cが貫通孔5fに挿通された状態で接着されるので、接着剤GLが突出部1cを伝って上側第1部分5aの上面に回りやすくなるとともに、接着剤GLが上側第1部分5aの上面のある一方向に集中して流れることなく、より多方向へ均一に流れやすくなるという効果を奏する。
また、本実施形態のレンズ駆動装置100では、貫通孔5fは、非円形状をなしている、構成とした。
これにより、貫通孔5fが非円形状をしているので、接着剤GLとの接着面積を円形状の場合よりも大きくできることから、より強固な接着固定が可能となる。
また、本実施形態のレンズ駆動装置100では、貫通孔5fの開口形状は、一部が開口の内側に向かって突出した形状に形成されている。このような開口形状とすることで、開口の内側に向かって突出した部分(以下、突起部とする)が接着剤GLの上に被せられると、突起部が押しつぶした接着剤GLは突起部の側方から上面側に流れ、突起部が接着剤GLにより覆われやすくなる。これにより、接着面積が大きくなるとともに、貫通孔5fを介して上側板ばね5の上側第1部分5aの上面に位置する接着剤GLにより突起部が覆われた状態で接着されやすくなり、より強固な接着固定が可能となる。
また、本実施形態のレンズ駆動装置100では、レンズ保持部材1には、固定部1dを有する台部1eが突出して形成されており、上側板ばね5の上側第1部分5aと上側弾性腕部5cとの境界部が、台部1eの外縁部に対応した位置に設けられている、構成とした。
これにより、上側板ばね5の上側第1部分5aと上側弾性腕部5cとの境界部が、台部1eの外縁部に対応した位置に設定することで、上側弾性腕部5cが動作するときに、上側弾性腕部5cと台部1eとが接触し、上側弾性腕部5cの動作が規制され難くなり、機能が損なわれることがなくなる。これにより、ばらつきの少ない付勢力を得ることが可能となり、動作の安定したレンズ駆動装置を提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のレンズ駆動装置100では、凹部1bは、上側弾性腕部5c側に向かって延在する延在部1fを有すると共に、貫通孔5fは、延在部1fに対向する縁部5eを有して形成されており、延在部1fに充填された接着剤GLが、縁部5eに沿って位置する上側第1部分5aの上面および下面に設けられている、構成とした。
これにより、凹部1bに延在部1fを設けるとともに貫通孔5fに延在部1fに対向する縁部5eを設けたことで、接着剤GLが充填された延在部1fの一部に重ねて縁部5eを配置したときに、縁部5eの近傍に位置する上側第1部分5aによって押しつぶされた接着剤GLが縁部5eを含めた上側第1部分5aの上面側に回りこみやすくなる。また、縁部5eを設けることで接着面積を大きくすることができる。したがって、上側第1部分5aは接着面積が大きくなるとともに上面および下面を接着剤GLにより保持されるため、上側第1部分5aの端部を確実にレンズ保持部材1の固定部1dに接着でき、上側弾性腕部5cの根本に位置する部分が固定される。これにより、上側弾性腕部5cの動作に伴う上側第1部分5aの浮き上がりがなくなるため、上側第1部分5aの浮き上がりによる付勢力のばらつき発生を防止することができる。したがって、さらにばらつきの少ない付勢力を得ることが可能となり、さらに動作の安定したレンズ駆動装置を提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のレンズ駆動装置100では、コイル4に電流を通電しない初期状態において、上側板ばね5はレンズ保持部材1を上方側に付勢していると共に、下側板ばね6はレンズ保持部材1を下方側に付勢している、構成とした。
これにより、初期状態において、レンズ保持部材1は上側板ばね5の付勢力と下側板ばね6の付勢力とが釣り合った位置に保持される。レンズ保持部材1がこのように保持されることで、レンズ保持部材1は初期状態における位置から、光軸方向のどちらの方向にも移動可能である。したがって、レンズ駆動装置100が取り付けられた電子機器を用いて撮影する際に、初期状態からのレンズ保持部材1の移動量を少なくして、焦点を合わせることができる。
また、本実施形態のレンズ駆動装置100では、上側第1部分5aをレンズ保持部材1の載置面1a(固定部1d、図4参照)に接着した接着剤GLは、切り欠き部7gを介して上方に向かって開放された位置に配置されている構成とした。
これにより、紫外線硬化型接着剤である接着剤GLに、組立時に、容易に紫外線を照射して接着剤GLを硬化させることができる。また、接着剤GLの塗布状態を容易に確認できるとともに、確認の結果、接着剤GLの塗布量が足りない場合には、接着剤GLを補充することもできる、という効果を奏する。
以上のように、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
[変形例1]
第1実施形態において、レンズ駆動装置100は、上側板ばね5はレンズ保持部材1を上方側に付勢していると共に、下側板ばね6はレンズ保持部材1を下方側に付勢し、初期状態においてレンズ保持部材1は上側板ばね5の付勢力と下側板ばね6の付勢力とが釣り合った位置に配置される構成としたが、上側板ばね5および下側板ばね6はレンズ保持部材1を下方に付勢し、初期状態においてレンズ保持部材1はベース部材8に接触した状態で保持される構造であってもよい。なお、上側板ばね5および下側板ばね6はレンズ保持部材1を上方に付勢する構造であっても良い。
[変形例2]
第1実施形態において、移動機構50を磁石3、コイル4、およびヨークとしての筐体7で構成しているが、移動機構50を磁石3およびコイル4とで構成しても良い。
[変形例3]
第1実施形態において、接着剤GLは紫外線硬化型接着剤であるとしたが、紫外線硬化型接着剤以外の接着剤であっても良い。