JP6632560B2 - エレベーター装置及びロープブレーキ装置の位置調整方法 - Google Patents

エレベーター装置及びロープブレーキ装置の位置調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、ロープブレーキ装置を備えたエレベーター装置、及びロープブレーキ装置の位置調整方法に関する。
ロープブレーキ装置を備えたエレベーター装置としては、例えば、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたエレベーター装置は、メインロープと、ブレーキシューと、取付部材と、ブレーキベースと、突起部と、押し付け具とを備える。メインロープは、シーブとそらせシーブとに巻き掛けられており、メインロープの一端には、乗りかごが連結され、他端には、つり合い重りが連結されている。ブレーキシューは、シーブとそらせシーブとの間で挟み付けることにより乗りかごを制動する。
取付部材は、エレベーター昇降路に設けられた固定部材に取付けられており、ブレーキベースは、ブレーキシューを支持して取付部材に取付けられている。突起部は、ブレーキシューによりメインロープを挟み付けた場合に水平方向に作用する水平分力に対向する位置に配置され、取付部材に上向きに突出して設けられている。この突起部には、ブレーキベースの一端が当接される。押し付け具は、取付部材に設けられ、ブレーキベースの一端が突起部に当接する向きにブレーキベースを押し付ける。
特開2012−153494号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたエレベーター装置は、ロープブレーキ装置の位置調整と角度調整を独立した構成によって行うものであった。そのため、一方の調整時には他方の調整部を解放状態とし、一方の調整部の調整後に、他方の調整部を再度、組み立てる必要があった。その結果、調整作業が複雑で作業者の負担が大きくなってしまう。
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、ロープブレーキ装置の位置調整および角度調整作業が簡単で作業者の負担を軽減することができるエレベーター装置、及びープブレーキ装置の位置調整方法を提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のエレベーター装置は、昇降路内に配置された乗りかごと、昇降路内に配置されたつり合いおもりと、乗りかごとつり合いおもりとを接続し、シーブとそらせシーブとに巻き掛けられたメインロープと、シーブとそらせシーブとの間でメインロープを制動するロープブレーキ装置を備える。ロープブレーキ装置は、昇降路を形成する建物構造物に取り付けられるロープブレーキベースと、ロープブレーキベースに回転可能に支持され、メインロープを挟み付けるブレーキシュー部材とを有する。
さらに、本発明のエレベーター装置は、位置調整フックと、角度調整フックとを備える。位置調整フックは、ブレーキシュー部材の回転中心軸に係合すると共に、乗りかごの昇降方向及び回転中心軸の軸心方向に直交する調整方向に移動可能に設けられている。角度調整フックは、ブレーキシュー部材の回転中心軸から離れた位置に設けられた角度調整軸に係合すると共に、調整方向に移動可能に設けられている。
また、本発明のロープブレーキ装置の位置調整方法は、まず、ブレーキシュー部材の回転中心軸に位置調整フックを係合させると共に、ブレーキシュー部材の回転中心軸から離れた位置に設けられた角度調整軸に角度調整フックを係合させる。そして、位置調整フックを乗りかごの昇降方向及び回転中心軸の軸心方向に直交する調整方向に移動させることにより、ロープブレーキベースの位置調整を行う。また、角度調整フックを調整方向に移動させることにより、ブレーキシュー部材の角度調整を行う。
上記構成のエレベーター装置及びロープブレーキ装置の位置調整方法によれば、ロープブレーキ装置の位置調整および角度調整作業が簡単で作業者の負担を軽減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係るエレベーター装置の構成例を示す構成図である。 本発明の一実施形態に係るロープブレーキ装置を含む要部を示す側面図である。 図2に示したロープブレーキ装置を示す側面図である。 図2に示したロープブレーキ装置の平面図である。 ロープブレーキ装置の第1調整ブロックを示す側面図である。 ロープブレーキ装置の第2調整ブロックを示す側面図である。
以下、本発明のエレベーター装置及びロープブレーキ装置を実施するための形態について、図1〜図6を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
[エレベーター装置の構成]
まず、本発明の一実施形態に係るエレベーター装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベーター装置の構成例を示す構成図である。図2は、ロープブレーキ装置を含む要部を示す側面図である。
図1に示すように、一実施形態に係るエレベーター装置101は、建物構造物内に形成された昇降路102内を昇降する乗りかご103及びつり合いおもり104と、そらせシーブ4と、シーブ7を有する巻上機5と、ロープブレーキ装置8と、メインロープ9とを備えている。
昇降路102は、建築構造物内に形成され、その頂部には機械室120が設けられている。巻上機5及びそらせシーブ4は、機械室120に配置されている。メインロープ9は、乗りかご103及びつり合いおもり104を吊持する。シーブ7には、メインロープ9が巻き掛けられ、そらせシーブ4には、メインロープ9が装架される。ロープブレーキ装置8は、シーブ7とそらせシーブ4との間でメインロープ9を制動する。
乗りかご103は、メインロープ9を介して、つり合いおもり104と連結されている。このように構成されたエレベーター装置101は、巻上機5のシーブ7が回転することでメインロープ9が駆動され、乗りかご103及びつり合いおもり104が互いに反対に昇降路102内を昇降する。
なお、図1では、建築構造物の階床として、模式的に最下階106と最上階107のみを示している。しかし、建築構造物としては、3階床以上あるものであってもよい。そして、各階床には、乗場ドア109が設けられている。乗場ドア109は、乗りかご103が停止した際に乗りかご103に設けられた乗りかごドア110と対向する。そして、乗場ドア109は、乗りかごドア110と共に開閉する。
図2に示すように、機械室120には、基台1が配置されている。この基台1は、建築構造物の図示しない梁部材に固定されている。基台1の上部には、巻上機ベース2及び取付ベース3が固定され、基台1の下部にはそらせシーブ4が回転可能に支持されている。巻上機ベース2上には、巻上機5及びブレーキ装置6が取り付けられている。また、巻上機ベース2には、シーブ7が回転可能に支持されている。
一方、取付ベース3上には、ロープブレーキ装置8が搭載されている。ロープブレーキ装置8は、巻上機5に設けられたブレーキ装置6やエレベーター制御装置(不図示)に異常や故障が発生した場合に、そらせシーブ4とシーブ7間に位置するメインロープ9を挟み付けて拘束する。これにより、ロープブレーキ装置8は、メインロープ9及び乗りかご103(つり合いおもり104)を制動する。
[ロープブレーキ装置の構成]
次に、ロープブレーキ装置8の構成について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、ロープブレーキ装置を示す側面図である。図4は、ロープブレーキ装置の平面図である。
ロープブレーキ装置8は、ロープブレーキベース11と、ロープブレーキベース11に回転可能に支持されたブレーキシュー部材10とを有している。ロープブレーキベース11は、取付ベース3上に複数本のボルト40によって固定されている。すなわち、ロープブレーキベース11は、取付ベース3及び基台1を介して建築構造物の梁部材に固定されている。なお、ロープブレーキベース11には、ボルト40が貫通する長孔が設けられている。この長孔は、後述の調整方向に延びている。
図4に示すように、ロープブレーキベース11は、一対のベース部材11A,11Bから構成されている。一対のベース部材11A,11Bは、それぞれ板状部材を折り曲げ加工することにより略L字状に形成されており、取付ベース3に固定される固定部と、ブレーキシュー部材10を支持する支持部とを有している。
一対のベース部材11A,11Bの支持部は、ブレーキシュー部材10を挟んで対向している。これら支持部には、ボルトなどの回転中心軸16が貫通する貫通孔が設けられている。一対のベース部材11A,11Bを貫通した2つの回転中心軸16は、ブレーキシュー部材10の後述するブレーキ箱12に固定されている。ブレーキシュー部材10は、2つの回転中心軸16のブレーキ箱12への固定を緩めることにより、回転中心軸16を中心にして角度調整が可能になる。
なお、ブレーキ箱12に設けられた2つの回転中心軸16が螺合するねじ穴は、同一軸線上に位置している。すなわち、2つの回転中心軸16の軸心は、一対のベース部材11A,11Bの支持部が対向する方向において一致している。以下、一対のベース部材11A,11Bの支持部が対向する方向を軸心方向とする。また、昇降方向及び軸心方向に直交する方向を調整方向とする。
また、一対のベース部材11A,11Bの支持部には、回転中心軸16を中心にして描いた円弧状の角度調整溝17が形成されている。この角度調整溝17には、ブレーキ箱12に固定された軸18及び角度調整軸19が貫通している。これら軸18及び角度調整軸19は、例えば、ボルトであり、角度調整軸19の外周部には、カラーが取り付けられている。ブレーキシュー部材10が回転中心軸16を中心に回転すると、軸18及び角度調整軸19は、角度調整溝17内を移動する。
ブレーキシュー部材10は、メインロープ9に沿って傾いており、ブレーキ箱12と、メインロープ9を把持可能な固定側ブレーキシュー13及び可動側ブレーキシュー14と、可動リンク15とを有している。固定側ブレーキシュー13は、ブレーキ箱12に固定されており、可動側ブレーキシュー14は、メインロープ9を挟んで固定側ブレーキシュー13と対向している。
可動リンク15は、ブレーキ箱12に取り付けられており、可動側ブレーキシュー14に連結されている。また、ブレーキ箱12の内部には、可動リンク15を移動させる駆動装置(不図示)が配置されている。駆動装置によって可動リンク15を移動させると、可動リンク15に連結された可動側ブレーキシュー14が、固定側ブレーキシュー13側に移動する。これにより、固定側ブレーキシュー13及び可動側ブレーキシュー14が、メインロープ9を把持して、メインロープ9に制動力を与える。
ブレーキ箱12内に設けられた駆動装置(不図示)は、ばね部材と、通常時にばね部材を圧縮状態に維持するソレノイド装置とを有している。ソレノイド装置は、非常時に駆動して、ばね部材の圧縮状態を開放させる。ばね部材は、圧縮状態が開放された場合に、可動リンク15を移動させる。この可動リンク15の移動により、可動側ブレーキシュー14は、固定側ブレーキシュー13側に移動し、固定側ブレーキシュー13及び可動側ブレーキシュー14が、メインロープ9を把持する。
取付ベース3のシーブ7側と反対側には、L字状の支持ブラケット23,24がボルト41によって固定されている。支持ブラケット23には、位置調整フック25Aが調整方向に移動可能に支持されている。支持ブラケット23と位置調整フック25Aは、第1調整ブロック21を構成している。
また、支持ブラケット24には、位置調整フック25Bと角度調整フック26が調整方向に移動可能に支持されている。支持ブラケット24と位置調整フック25Bと角度調整フック26は、第2調整ブロック22を構成している。位置調整フック25Bと角度調整フック26は、昇降方向(上下方向)に並んでおり、角度調整フック26が、位置調整フック25Bの上方に位置している。
図5は、第1調整ブロック21を示す側面図である。
図5に示すように、第1調整ブロック21の支持ブラケット23は、取付ベース3に固定される固定部23aと、位置調整フック25Aが締結されるフック締結部23bと、後述のガイド軸42が固定される軸固定部23cとを有する。
固定部23aは、昇降方向に直交する平面を有する平板状に形成されており、フック締結部23bは、調整方向に直交する平面を有する平板状に形成されている。また、軸固定部23cは、軸心方向に直交する平面を有する平板状に形成されている。この軸固定部23cには、ガイド軸42が固定されている。ガイド軸42としては、例えば、ボルトを適用することができるが、円柱状の部材であればボルトに限定されない。
位置調整フック25Aは、回転中心軸16(図4参照)に係合するフック片25aと、フック片25aに複数のボルト43によって連結された連結片25bとを有している。連結片25bは、フック片25aに連結され、支持ブラケット23の軸固定部23cに対向する対向部と、支持ブラケット23のフック締結部23bに対向する折り曲げ部27とを有している。
連結片25bの対向部は、ガイド軸42が貫通するガイド溝(不図示)を有している。このガイド溝は、調整方向に延びている。ガイド溝にガイド軸42が係合することにより、位置調整フック25Aの昇降方向の移動が制限される。また、連結片25bの対向部が軸固定部23cに当接することにより、位置調整フック25Aの軸心方向の移動が制限される。
位置調整フック25Aの折り曲げ部27は、フック締結部23bに調整ボルト44を用いて締結されている。すなわち、折り曲げ部27には、フック締結部23bを貫通した調整ボルト44が螺合するねじ孔が形成されている。調整ボルト44を回転させることにより、折り曲げ部27に対する調整ボルト44の螺合位置が変化し、位置調整フック25Aが位置調整方向へ移動する。
図6は、第2調整ブロック22を示す側面図である。
図6に示すように、第2調整ブロック22の支持ブラケット24は、取付ベース3に固定される固定部24aと、位置調整フック25B及び角度調整フック26が締結されるフック締結部24bと、後述のガイド軸42,45が固定される軸固定部24cとを有する。
固定部24aは、昇降方向に直交する平面を有する平板状に形成されており、フック締結部24bは、調整方向に直交する平面を有する平板状に形成されている。また、軸固定部24cは、軸心方向に直交する平面を有する平板状に形成されている。
軸固定部24cには、ガイド軸42,45が固定されている。ガイド軸42,45は、昇降方向に並んでおり、ガイド軸45がガイド軸42の上方に位置している。また、ガイド軸42は、上述の第1調整ブロック21におけるガイド軸42と同一軸線上に位置する。ガイド軸42,45としては、例えば、ボルトを適用することができるが、円柱状の部材であればボルトに限定されない。
位置調整フック25Bは、軸心方向に直交する平面を平面鏡として、第1調整ブロック21の位置調整フック25Aと面対称に形成されており、フック片25aと、連結片25bとを有している。また、連結片25bは、支持ブラケット24の軸固定部24cに対向する対向部と、支持ブラケット24のフック締結部24bに対向する折り曲げ部27とを有している。
連結片25bの対向部は、ガイド軸42が貫通するガイド溝(不図示)を有している。このガイド溝は、調整方向に延びている。ガイド溝にガイド軸42が係合することにより、位置調整フック25Bの昇降方向の移動が制限される。また、連結片25bの対向部が軸固定部24cに当接することにより、位置調整フック25Bの軸心方向の移動が制限される。
位置調整フック25Bの折り曲げ部27は、フック締結部23bに調整ボルト44を用いて締結されている。すなわち、折り曲げ部27には、フック締結部24bを貫通した調整ボルト44が螺合するねじ孔が形成されている。調整ボルト44を回転させることにより、折り曲げ部27に対する調整ボルト44の螺合位置が変化し、位置調整フック25Bが位置調整方向へ移動する。
角度調整フック26は、角度調整軸19に係合するフック片26aと、フック片26aに複数のボルト46によって連結された連結片26bとを有している。フック片26aには、複数のボルト46が貫通する複数の長孔28が形成されている。また、連結片26bには、複数のボルト46が螺合するねじ孔が形成されている。これにより、角度調整フック26は、その長手方向である調整方向の長さを調整可能に構成されている。
角度調整フック26の連結片26bは、フック片26aに連結され、支持ブラケット24の軸固定部24cに対向する対向部と、支持ブラケット24のフック締結部24bに対向する折り曲げ部29とを有している。連結片26bの対向部は、ガイド軸45が貫通するガイド溝(不図示)を有している。このガイド溝は、調整方向に延びている。ガイド溝にガイド軸45が係合することにより、角度調整フック26の昇降方向の移動が制限される。また、連結片26bの対向部が軸固定部24cに当接することにより、角度調整フック26の軸心方向の移動が制限される。
角度調整フック26の折り曲げ部29は、フック締結部24bに調整ボルト47を用いて締結されている。すなわち、折り曲げ部29には、フック締結部24bを貫通した調整ボルト47が螺合するねじ孔が形成されている。調整ボルト47を回転させることにより、折り曲げ部29に対する調整ボルト47の螺合位置が変化し、角度調整フック26が位置調整方向へ移動する。
[ロープブレーキ装置の位置調整方法]
次に、ロープブレーキ装置8の位置調整方法について説明する。
ロープブレーキ装置8の位置を調整する場合は、第1調整ブロック21及び第2調整ブロック22を、ロープブレーキ装置8に取り付ける。
第1調整ブロック21をロープブレーキ装置8に取り付ける場合は、まず、支持ブラケット23を取付ベース3にボルト41を用いて固定する。そして、位置調整フック25Aのフック片25aを回転中心軸16に係合させた状態で、位置調整フック25Aの折り曲げ部27を、支持ブラケット23のフック締結部23bに調整ボルト44を用いて固定する。これにより、第1調整ブロック21がロープブレーキ装置8に取り付けられる。
第2調整ブロック22をロープブレーキ装置8に取り付ける場合は、支持ブラケット24を取付ベース3にボルト41を用いて固定する。そして、位置調整フック25Bのフック片25aを回転中心軸16に係合させた状態で、位置調整フック25Bの折り曲げ部27を、支持ブラケット24のフック締結部24bに調整ボルト44を用いて固定する。
また、角度調整フック26のフック片26aを角度調整軸19に係合させた状態で、角度調整フック26の折り曲げ部29を、支持ブラケット24のフック締結部24bに調整ボルト44を用いて固定する。これにより、第2調整ブロック22がロープブレーキ装置8に取り付けられる。
ロープブレーキ装置8の調整方向の位置を調整する場合は、調整ボルト44を回転させて、位置調整フック25A,25Bを調整方向へ移動させる。これにより、位置調整フック25A,25Bのフック片26aが係合する回転中心軸16推力が加わり、ロープブレーキ装置8が調整方向へ移動する。
このとき、ロープブレーキベース11を取付ベース3に固定するボルト40の締め付けを緩めておくことで、ロープブレーキ装置8(ロープブレーキベース11及びブレーキシュー部材10)を調整方向へ移動可能にしておく。そして、ロープブレーキ装置8の調整方向の位置が決定した後に、ボルト40を回転させて、ロープブレーキベース11を取付ベース3に固定する。これにより、ブレーキシュー部材10の回転中心となる回転中心軸16の位置が決定される。
このように、位置調整フック25A,25Bと、支持ブラケット23,24と、回転中心軸16によってロープブレーキ装置8の調整方向の位置を調整する位置調整装置が構成されている。そして、調整ボルト44を回転させるだけで、簡単にロープブレーキ装置8の位置を調整することができる。
ロープブレーキベース11に対するブレーキシュー部材10の角度を調整する場合は、調整ボルト47を回転させて、角度調整フック26を調整方向へ移動させる。これにより、角度調整フック26のフック片26aが係合する角度調整軸19が角度調整溝17内を移動し、ブレーキシュー部材10が回転中心軸16を中心に回転する。
例えば、調整ボルト47を回転させて、角度調整フック26をフック締結部24bに近づく方向に移動させると、ブレーキシュー部材10は、回転中心軸16を中心に図3における反時計周りに回転する。一方、角度調整フック26をフック締結部24bから遠ざかる方向に移動させると、ブレーキシュー部材10は、自重により図3における時計周りに回転し、角度調整軸19は、角度調整フック26のフック片26aに追従して角度調整溝17内を移動する。
また、ブレーキシュー部材10の角度を調整する場合は、角度調整軸19が角度調整溝17内を移動するため、角度調整フック26のフック片26aと角度調整軸19との接触部分が変化する。上述したように、角度調整軸19の外周部にカラーを取り付けているため、角度調整軸19の外装部分は円柱状になっている。その結果、フック片26aと角度調整軸19との接触部分が変化しても、フック片26aと角度調整軸19との接触面積を確保することができ、角度調整軸19を円滑に移動させることができる。したがって、ブレーキシュー部材10の角度調整を高精度に行うことができる。また、フック片26a及び角度調整軸19の特定の部分に応力が集中しないようにすることができ、フック片26a及び角度調整軸19の破損を抑制することができる。
なお、ブレーキシュー部材10の回転角度を大きくしたい場合は、長孔28内におけるボルト46の位置を変えて、角度調整フック26の調整方向の長さを変更する。これにより、角度調整フック26におけるフック片26a及び角度調整軸19の変位量(移動量)を大きくすることができ、ブレーキシュー部材10の回転角度を大きくすることができる。
なお、ブレーキシュー部材10の角度調整を行う場合は、ブレーキシュー部材10をロープブレーキベース11に固定する回転中心軸16、軸18、及び角度調整軸19の締め付けを緩めておくことで、ロープブレーキベース11を回転可能にしておく。そして、ブレーキシュー部材10の角度が決定した後に、回転中心軸16、軸18、及び角度調整軸19を回転させて、ブレーキシュー部材10をロープブレーキベース11に固定する。これにより、ブレーキシュー部材10の角度が決定される。
このように、角度調整フック26と、支持ブラケット24と、角度調整軸19によってロープブレーキ装置8の角度を調整する角度調整装置が構成されている。そして、調整ボルト47を回転させるだけで、簡単にブレーキシュー部材10の角度を調整することができる。
このような構成のエレベーター装置及びロープブレーキ装置の位置調整方法によれば、フックとブラケットが一体的に構成された第1調整ブロック21及び第2調整ブロック22を、ロープブレーキベース11に固定するだけで、位置調整フック25A,25B及び角度調整フック26をロープブレーキ装置8に簡単に取り付けることができる。さらに、位置調整フック25A,25B及び角度調整フック26を、回転中心軸16及び角度調整軸19に係合させればよいため、ロープブレーキ装置8を解体したり、調整ブロック21,22を取り付け後にロープブレーキ装置8を再び組み立てたりする必要が無い。
また、ロープブレーキ装置8の位置決め後に、第1調整ブロック21及び第2調整ブロック22はそのままの状態で、ブレーキシュー部材10の角度調整を行うことができる。これにより、作業者の負担を軽減することができ、簡単にロープブレーキ装置8の位置調整(角度調整)を行うことができる。また、ロープブレーキ装置8の位置調整(角度調整)に要する作業時間の短縮化を図ることができる。
すなわち、本実施形態によれば、位置調整装置と角度調整装置を独立して構成した場合のように、それぞれの調整毎に、他方の調整装置を解体したり、その後、再組立したりする必要がなくなり、簡単な構成で効率良く調整作業を行うことができる。また、作業者の負担を軽減し、且つ、調整作業の短縮化を図ることができる。
また、本実施形態では、角度調整フック26の調整方向の長さを可変にした。そのため、ブレーキシュー部材10の調整する角度が大きい場合であっても、角度調整フック26を調整したい角度に見合った長さに変更することができ、その後、調整ボルト47を回転させて、角度調整フック26の角度調整を行うことができる。
また、位置調整フック25Bと角度調整フック26は、回転中心軸16及び角度調整軸19に係合した状態でほぼ水平方向(調整方向)に沿っており、且つ、角度調整フック26の上方に位置調整フック25Bを配置した。これにより、互いのフックが干渉することが無く、ロープブレーキ装置8の調整方向の位置を決定した後に、ブレーキシュー部材10を簡単に回転させることができる。
また、位置調整フック25Bのフック片25aを回転中心軸16に係合させる構成であるため、取付ベース3に固定した一対のロープブレーキベース11によって回転中心軸16を支持する従来のロープブレーキ装置の構造を変更する必要が無い。また、回転中心軸16を移動させるため、ブレーキ箱12と回転中心軸16の螺合部分の強度を確保すればよく、ブレーキ箱12の全体の強度を不必要に高める必要が無い。
さらに、位置調整フック25A,25Bは、それぞれブレーキシュー部材10(ブレーキ箱12)の両側に配置されており、それぞれのフック片25aが同一軸線上に配置された回転中心軸16に係合する。これにより、位置調整フック25A,25Bによって安定して調整方向の位置を調整することができ、ロープブレーキ装置が調整方向に対して傾いた状態で位置決めされないようにすることができる。
また、角度調整フック26は、ブレーキシュー部材10(ブレーキ箱12)の片側において、位置調整フック25Bの上方に配置されている。これにより、ブレーキシュー部材10を回転させるための部品の数を削減することができる。
[変形例]
以上、本発明のエレベーター装置及びロープブレーキ装置の位置調整方法の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のエレベーター装置及びロープブレーキ装置の位置調整方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、位置調整フック25A,25Bを調整方向へ移動させる位置調整フック移動機構として、調整ボルト44を適用した。また、角度調整フック26を調整方向へ移動させる角度調整フック移動機構として、調整ボルト47を適用した。しかし、本発明に係る位置調整フック移動機構及び角度調整フック移動機構としては、調整ボルトに限定されず、例えば、電動シリンダーや電動スライダ等のアクチュエーター、ベルト機構等を適用することができる。
また、上述した実施形態では、ロープブレーキ装置の調整方向の位置を調整した後に、ブレーキシュー部材10の角度を調整した。しかし、本発明に係るロープブレーキ装置の位置調整方法としては、ブレーキシュー部材10の角度を調整した後に、ロープブレーキ装置の調整方向の位置を調整してもよい。また、どちらか一方の調整のみを行うものであってもよい。
1…基台、 2…巻上機ベース、 3…取付ベース、 4…そらせシーブ、 5…巻上機、 6…ブレーキ装置、 7…シーブ、 8…ロープブレーキ装置、 9…メインロープ、 10…ブレーキシュー部材、 11…ロープブレーキベース、 11A,11B…ベース部材、 12…ブレーキ箱、 13…固定側ブレーキシュー、 14…可動側ブレーキシュー、 15…可動リンク、 16…回転中心軸、 17…角度調整溝、 18…軸、 19…角度調整軸、 21…第1調整ブロック、 22…第2調整ブロック、 23,24…支持ブラケット、 23a,24a…固定部、 23b,24b…フック締結部、 23c,24c…軸固定部、 25A,25B…位置調整フック、 25a,26a…フック片、 25b,26b…連結片、 26…角度調整フック、 27,29…折り曲げ部、 28…長孔、 40,41,43,46…ボルト、 42,45…ガイド軸、 44,47…調整ボルト、 101…エレベーター装置、 102…昇降路、 106…最下階、 107…最上階、 109…乗場ドア、 110…乗りかごドア、 120…機械室

Claims (5)

  1. 昇降路内に配置された乗りかごと、
    前記昇降路内に配置されたつり合いおもりと、
    前記乗りかごと前記つり合いおもりとを接続し、シーブとそらせシーブとに巻き掛けられたメインロープと、
    前記シーブと前記そらせシーブとの間で前記メインロープを制動するロープブレーキ装置を備え、
    前記ロープブレーキ装置は、
    前記昇降路を形成する建物構造物に取り付けられるロープブレーキベースと、
    前記ロープブレーキベースに回転可能に支持され、前記メインロープを挟み付けるブレーキシュー部材と、を有するエレベーター装置において、
    前記ブレーキシュー部材の回転中心軸に係合すると共に、前記乗りかごの昇降方向及び前記回転中心軸の軸心方向に直交する調整方向に移動可能に設けられた位置調整フックと、
    前記ブレーキシュー部材の前記回転中心軸から離れた位置に設けられた角度調整軸に係合すると共に、前記調整方向に移動可能に設けられた角度調整フックと、
    前記位置調整フックを前記調整方向に移動させる位置調整フック移動機構と、
    前記角度調整フックを前記調整方向に移動させる角度調整フック移動機構と、を備える
    ことを特徴とするエレベーター装置。
  2. 前記角度調整フックは、前記調整方向の長さを調整可能な連結部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーター装置。
  3. 前記位置調整フック及び前記角度調整フックを前記調整方向に移動可能に支持する支持ブラケットを備え、
    前記角度調整フックは、前記位置調整フックの上方に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーター装置。
  4. 前記位置調整フックは、2つ設けられ、前記ブレーキシュー部材における前記回転中心軸の軸心方向の両側に配置されており、
    前記角度調整フックは、前記ブレーキシュー部材における前記回転中心軸の軸心方向の片側に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーター装置。
  5. 昇降路を形成する建物構造物に取り付けられるロープブレーキベースと、前記ロープブレーキベースに回転可能に支持されたブレーキシュー部材とを有するロープブレーキ装置の位置調整方法において、
    前記ブレーキシュー部材の回転中心軸に位置調整フックを係合させると共に、前記ブレーキシュー部材の前記回転中心軸から離れた位置に設けられた角度調整軸に角度調整フックを係合させ、
    前記位置調整フックを乗りかごの昇降方向及び前記回転中心軸の軸心方向に直交する調整方向に移動させることにより、前記ロープブレーキベースの位置調整を行い、
    前記角度調整フックを前記調整方向に移動させることにより、前記ブレーキシュー部材の角度調整を行う
    ことを特徴とするロープブレーキ装置の位置調整方法。
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