JP6632324B2 - 粘着シート及び半導体装置製造方法 - Google Patents

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本発明は、粘着シート及び半導体装置製造方法に関する。
近年、LSIの実装技術において、ウエハーレベルCSP(Wafer level Chip Size Package)が注目されている。ウエハーレベルCSPは、半導体部品のパッケージ形態の1つであり、小型化及び高集積の面で特に注目される。ウエハーレベルCSPの製造方法では、基板を用いずに、配列した複数の半導体チップを封止樹脂にて一括封止した後、切断によって個別の構造物に切り分ける。そのため、ウエハーレベルCSPの製造方法によれば、チップサイズのパッケージを効率的に生産することが出来る。
このようなウエハーレベルCSPの製造方法においては、チップを仮固定用支持体としての粘着テープに固定し、更に樹脂封止を行い、個別のパッケージに成型された後に粘着テープを剥離する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、ガラス転移温度が180℃を超える基材層の片面または両面に、白金系触媒により硬化された付加重合型シリコーン樹脂を含有し、180℃での弾性率が1.0×10Pa以上の粘着剤層を設けてなる半導体装置製造用耐熱性粘着テープを用いることにより、一連の工程で支障を来たしにくい半導体装置の製造方法が開示されている。
特開2012−062372号公報
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置製造用耐熱性粘着テープは、シリコーン系粘着剤を用いるため、半導体装置製造用耐熱性粘着テープを剥離した後にシリコーン系粘着剤中の低分子量シロキサンが半導体チップ表面に残留し、電気接続部のめっき適性が低下し、電気抵抗が増大したりするなど、パッケージ信頼性が低下するおそれがあった。
本発明の目的は、ウエハーレベルCSPの製造方法において、樹脂封止の際にはチップを確実に保持し、封止工程後の剥離の際にはチップ面から容易に剥離することができ、電子デバイスに悪影響を及ぼす糊残りが少なく、一連の工程で支障を来たし難い粘着シート及び半導体装置製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、粘着シートを半導体素子の回路面に貼付する工程と、前記粘着シートに貼付された前記半導体素子を封止樹脂で覆う工程と、前記封止樹脂を硬化させる工程と、前記粘着シートにエネルギー線を照射する工程と、前記粘着シートを前記半導体素子から剥離する工程と、を有する半導体装置製造プロセスにおいて使用される粘着シートであって、基材と、前記基材に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤を含む粘着剤層と、を有する粘着シートが提供される。
本発明の一態様に係る粘着シートにおいて、エネルギー線を照射する前であって23℃における前記粘着剤層の貯蔵弾性率G’は、1.0×10Pa以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係る粘着シートにおいて、エネルギー線を照射した後であって23℃における前記粘着剤層の引張弾性率E’は、1.0×10Pa以上であることが好ましい。
本発明の一態様に係る粘着シートにおいて、前記エネルギー線硬化型粘着剤は、紫外線硬化型粘着剤であることが好ましい。
本発明の一態様に係る粘着シートにおいて、前記エネルギー線硬化型粘着剤は、アクリル系粘着剤を含有することが好ましい。
また、本発明の一態様によれば、基材と前記基材に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤を含む粘着剤層とを有する粘着シートを、半導体素子の回路面に貼付する工程と、前記粘着シートに貼付された前記半導体素子を封止樹脂で覆う工程と、前記封止樹脂を硬化させる工程と、前記粘着剤層にエネルギー線を照射する工程と、前記粘着シートを前記半導体素子から剥離する工程と、を有する半導体装置製造方法が提供される。
本発明によれば、ウエハーレベルCSPの製造方法において、樹脂封止の際にはチップを確実に保持し、封止工程後の剥離の際にはチップ面から容易に剥離することができ、電子デバイスに悪影響を及ぼす糊残りが少なく、一連の工程で支障を来たし難い粘着シート及び半導体装置製造方法を提供することができる。
実施形態に係る粘着シートの断面概略図である。 実施形態に係る粘着シートを用いた半導体装置の製造工程の一部を説明する図である。
(粘着シート)
図1には、本実施形態の粘着シート10の断面概略図が示されている。
粘着シート10は、基材11及び粘着剤層12を有する。粘着剤層12の上には、図1に示されているように、剥離シートRLが積層されている。粘着シート10の形状は、例えば、シート状、テープ状、又はラベル状などのあらゆる形状をとり得る。
(粘着剤層)
本実施形態に係る粘着剤層12は、エネルギー線硬化型粘着剤を含んでいる。エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線を照射することにより、架橋及び硬化する重合性化合物を含有する。エネルギー線としては、例えば、紫外線もしくは電子線等の電磁波、又はエネルギー量子を有する荷電粒子線等が挙げられる。
・貯蔵弾性率
エネルギー線を照射する前であって23℃における粘着剤層12の貯蔵弾性率G’は、1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることがより好ましく、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることがさらに好ましい。なお、貯蔵弾性率G’の測定周波数は、1Hzである。
エネルギー線を照射する前、すなわち、エネルギー線硬化前の粘着剤層12の貯蔵弾性率が上記範囲であれば、樹脂封止の際に半導体素子(例えば、チップ)を確実に保持し、半導体素子を粘着シート10に貼り付ける時の圧力や樹脂封止する時の圧力により、半導体素子の位置がずれたり、半導体素子が粘着剤層12へ埋まり込んだりすることを防止できる。
・引張弾性率
エネルギー線を照射した後であって23℃における粘着剤層12の引張弾性率E’は、1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下がより好ましく、1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下がさらに好ましい。なお、引張弾性率E’の測定周波数は、11Hzである。
エネルギー線を照射した後、すなわち、エネルギー線硬化後の粘着剤層12の貯蔵弾性率が上記範囲であれば、封止工程後に、チップ面に粘着剤が残存することがなく、粘着シート10をチップ面から容易に剥離することができる。
エネルギー線を照射する前であって23℃における粘着剤層12の貯蔵弾性率G’と、エネルギー線を照射した後であって23℃における粘着剤層12の引張弾性率E’とが、上記範囲を兼ね備えることがより好ましい。例えば、貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以下であり、かつ、引張弾性率E’が1.0×10Pa以上であることや、貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、かつ、引張弾性率E’が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることや、又は貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、かつ、引張弾性率E’が1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であることがより好ましい。
なお、本明細書において、貯蔵弾性率及び引張弾性率は、後述する実施例に記載の方法により測定した値である。
・粘着力
粘着剤層12は、次に示すような粘着力を有していることが好ましい。
200℃の加熱を1時間程実施した後、JIS Z0237に準じて測定される粘着剤層12の粘着力は、5N/19mm幅以下であることが好ましく、0.1N/19mm幅以上3.0N/19mm幅以下であることがより好ましい。
当該粘着力が5N/19mm幅以下であれば、粘着シート10を剥離する際に半導体素子に粘着剤層の一部が付着する不具合(いわゆる糊残り)の発生を抑制でき、その結果、良好なパッケージを製造し易くなる。
当該粘着力が0.1N/19mm幅以上であれば、半導体素子に粘着シート10を貼り付け易くなる。また、当該粘着力が0.1N/19mm幅以上であれば、貼付後の搬送を含む工程中で粘着シート10が半導体素子から剥離し難くなる。
また、エネルギー線照射後に200℃の加熱を1時間程実施した後、JIS Z0237に準じて測定される粘着剤層12の粘着力は、1N/19mm幅以下であることが好ましく、0.5N/19mm幅以下であることがより好ましい。
当該粘着力が1N/19mm幅以下であれば、粘着シート10を剥離する際に封止樹脂に粘着剤層の一部が付着する不具合(いわゆる糊残り)の発生を抑制でき、その結果、良好なパッケージを製造し易くなる。
・破断伸度
粘着剤層12のエネルギー線硬化後の破断伸度は、10%以上であることが好ましく、10%以上150%以下であることがより好ましく、10%以上100%以下が特に好ましい。エネルギー線硬化後の粘着剤層12の破断伸度が10%以上であれば、粘着シート10を剥離する際に、半導体素子や封止樹脂に粘着剤層の一部が付着する不具合(糊残り)が発生し難くなり、その結果、良好なパッケージを製造し易くなる。
本明細書において、粘着剤層の破断伸度は、後述する実施例に記載の方法により測定した値である。
・エネルギー線硬化型粘着剤
本実施形態に係る粘着剤層12は、エネルギー線硬化型粘着剤を含んでいれば特に限定されず、種々のエネルギー線硬化型粘着剤を用いることができる。
本実施形態の粘着剤層12に用いるエネルギー線硬化型粘着剤は、紫外線硬化型粘着剤であることも好ましい。
エネルギー線硬化型粘着剤は、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、エポキシ系粘着剤等の各種粘着剤が用いられるが、これらの中でも、アクリル系粘着剤を含有することも好ましい。エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線照射前には被加工物に対して充分な粘着力を有し、エネルギー線照射後には粘着力が著しく減少する。すなわち、エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線照射前には、被加工物を充分な粘着力で保持するが、エネルギー線照射後には、得られた加工物を容易に剥離することができる。また、エネルギー線硬化型粘着剤がアクリル系粘着剤を含有していれば、糊残りの発生を防止することができ、その結果、パッケージ信頼性の低下や電子デバイスへの悪影響を防止できる。
アクリル系粘着剤を含有するエネルギー線硬化型粘着剤(アクリル系エネルギー線硬化型粘着剤と称する場合がある。)としては、例えば、下記[1]、[2]、又は[3]に記載の粘着剤が挙げられる。
[1](メタ)アクリル酸エステル系共重合体を主成分とし、さらにエネルギー線重合性オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーのうち少なくともいずれか、並びに所望によりエネルギー線重合開始剤を含む粘着剤
[2]側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を主成分とし、所望によりエネルギー線重合開始剤を含む粘着剤
[3]活性水素をもつ官能基を少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と、活性水素をもつ官能基と反応し得る架橋剤とを含む組成物を主成分とし、所望によりエネルギー線重合開始剤を含む粘着剤
前記[1]の粘着剤において、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、所望により用いられる他の単量体との質量平均分子量30万以上の共重合体を好ましく挙げることができる。なお、本明細書において、質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。
エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、及び(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望により用いられる他の単量体としては、活性水素をもつ官能基を有する単量体、さらには、ビニルエステル類、オレフィン類、ハロゲン化オレフィン類、スチレン系単量体、ジエン系単量体、ニトリル系単量体、及びN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などを挙げることができる。
ここで、活性水素をもつ官能基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル、及びエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、及び(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、及び(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、及びシトラコン酸などが挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、及びイソブチレンなどが挙げられる。
ハロゲン化オレフィン類としては、例えば、塩化ビニル、及びビニリデンクロリドなどが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
ジエン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、及びクロロプレンなどが挙げられる。
ニトリル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルなどが挙げられる。
N,N−ジアルキル置換アクリルアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びN,N−ジエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
これらの所望により用いられる他の単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エネルギー線重合性オリゴマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエーテルアクリレート系オリゴマー、ポリブタジエンアクリレート系オリゴマー、及びシリコーンアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
ここで、ポリエステルアクリレート系オリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。あるいは、ポリエステルアクリレート系オリゴマーは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。
ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリオールアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
前記エネルギー線重合性オリゴマーの質量平均分子量は、500以上100,000以下であることが好ましく、1,000以上70,000以下であることがより好ましく、3,000以上40,000以下であることがさらに好ましい。
前記エネルギー線重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エネルギー線重合性モノマーとしては、例えば、単官能性アクリレート類が挙げられる。単官能性アクリレート類としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他のエネルギー線重合性モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのエネルギー線重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのエネルギー線重合性オリゴマーやエネルギー線重合性モノマーの使用量は、エネルギー線の照射により、前述の性状を有する粘着剤層が得られるように選定される。
また、所望により用いられるエネルギー線重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロプル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、及びp−ジメチルアミン安息香酸エステルなどが挙げられる。これらエネルギー線重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エネルギー線重合開始剤の配合量は、前記エネルギー線重合性オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの合計質量部を100質量部とした場合に、この100質量部に対して、通常、0.2質量部以上20質量部以下の範囲で選ばれる。
このアクリル系エネルギー線硬化型粘着剤には、架橋剤が含有されていてもよい。この架橋剤としては特に制限はなく、従来、アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されている架橋剤の中から、任意の架橋剤を適宜選択して用いることができる。
このような架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、及び金属塩などが挙げられる。
アクリル系エネルギー線硬化型粘着剤に含有される架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
ここで、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環式ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環式ポリイソシアネートなどのビウレット体、イソシアヌレート体、又は低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。低分子活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、及びヒマシ油などが挙げられる。
架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の使用量は、架橋剤の種類にもよるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対し、通常、0.01質量部以上20質量部以下であり、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。架橋剤の使用量は、前述の性状を有する粘着剤層が得られるように選定される。
次に、前記[2]の粘着剤において、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、例えば、次のような方法で得ることができる。まず、前述の[1]の粘着剤において説明した(メタ)アクリル酸エステル系共重合体のポリマー鎖に、活性点を導入する。次に、この活性点とエネルギー線架橋性の官能基を有する化合物とを反応させて、当該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を導入することにより、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を得ることができる。ここで、活性点としては、例えば、−COOH基、−NCO基、エポキシ基、−OH基、及び−NH基からなる群から選択される少なくともいずれかの官能基が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体に前記活性点を導入するには、当該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を重合する際に、−COOH基、−NCO基、エポキシ基、−OH基、及び−NH基からなる群から選択される少なくともいずれかの官能基を有する単量体を共存させればよい。
−COOH基を導入する場合には、(メタ)アクリル酸などを用いればよい。
−NCO基を導入する場合には、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどを用いればよい。
エポキシ基を導入する場合には、グリシジル(メタ)アクリレートなどを用いればよい。
−OH基を導入する場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを用いればよい。
−NH基を導入する場合には、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどを用いればよい。
これら活性点と反応させるエネルギー線架橋性の官能基を有する化合物としては、例えば、重合性二重結合を有する化合物の中から、活性点の種類に応じて、適宜選択して用いることができる。重合性二重結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
このようにして、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が得られる。
次に、前記[3]の粘着剤における、活性水素をもつ官能基を少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、例えば前述の[1]の粘着剤において説明した(メタ)アクリル酸エステルと、活性水素をもつ官能基を有する単量体とを用いて共重合させることにより得ることができる。
側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、前記[2]の粘着剤において述べたものを用いることができる。
また、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の使用量は、前記活性水素をもつ官能基を少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対し、通常、5質量部以上100質量部以下であり、10質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましい。
活性水素をもつ官能基と反応し得る架橋剤としては、前記[1]の粘着剤において述べた架橋剤を用いることができる。
活性水素をもつ官能基を少なくとも有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と、活性水素をもつ官能基と反応し得る架橋剤とを含む組成物は、加熱架橋、及びエネルギー線架橋の両方が可能なので、耐熱性を飛躍的に向上させることができる。
このアクリル系エネルギー線硬化型粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望によりアクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤を添加することができる。この添加剤としては、例えば、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、及び充填剤などが挙げられる。
粘着剤層12がアクリル系エネルギー線硬化型粘着剤を含有する場合の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上80μm以下がより好ましく、10μm以上50μm以下がさらに好ましい。粘着剤層12の厚みが100μm以下であれば、剥離時の粘着力の増加を抑制できる。剥離時の粘着力の増加を抑制することにより、粘着シート10の剥離の際に、封止樹脂の剥離、若しくは破損、又は粘着剤層の一部が封止樹脂面に付着する等の問題の発生を抑制できる。一方、厚みが5μm以上であれば、封止工程において、粘着シート10は、被加工物を充分な粘着力で保持することができる。
(基材)
基材11は、粘着剤層12を支持する部材である。
基材11は、第一面11a、及び第一面11aとは反対側の第二面11bを有する。本実施形態の粘着シート10においては、第一面11aに粘着剤層12が積層されている。
基材11としては、エネルギー線を透過させることができれば、特に限定されない。基材11の材質は、粘着剤層に含まれる粘着剤の硬化機構及び透過させるエネルギー線に応じて適宜選択することができる。
基材11としては、例えば、合成樹脂フィルムなどのシート材料などを用いることができる。合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリイミドフィルム等が挙げられる。その他、基材11としては、これらの架橋フィルムや積層フィルム等が挙げられる。
基材11は、ポリエステル系樹脂を含むことが好ましく、ポリエステル系樹脂を主成分とする材料からなることがより好ましい。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、またはこれらの樹脂の共重合樹脂からなる群から選択されるいずれかの樹脂であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。
基材11としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
基材11と粘着剤層12との密着性を高めるために、第一面11aは、プライマー処理、コロナ処理、及びプラズマ処理等の少なくともいずれかの表面処理が施されてもよい。基材11の第一面11aには、粘着剤が塗布されて粘着処理が施されていてもよい。基材の粘着処理に用いられる粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、及びウレタン系等の粘着剤が挙げられる。
基材11の厚さは、10μm以上500μm以下であることが好ましく、15μm以上300μm以下であることがより好ましく、20μm以上250μm以下であることがさらに好ましい。
基材11は、ガラス転移温度50℃以上である樹脂フィルムであることが好ましい。基材11のガラス転移温度が50℃以上であれば、封止樹脂を熱硬化させる工程でも、形状を維持できる。基材11のガラス転移温度の上限は、封止樹脂を熱硬化させる工程で形状を維持できれば特に限定されないが、通常、500℃以下である。ガラス転移温度は、DMA法(引っ張り法)において、昇温速度5℃/min、サンプル幅5mm、チャック間距離20mm、周波数10Hzの条件において確認される損失正接(tanδ)のピークを示す温度を意味する。
(剥離シート)
剥離シートRLとしては、特に限定されない。例えば、取り扱い易さの観点から、剥離シートRLは、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離剤層とを備えることが好ましい。また、剥離シートRLは、剥離基材の片面のみに剥離剤層を備えていてもよいし、剥離基材の両面に剥離剤層を備えていてもよい。剥離基材としては、例えば、紙基材、この紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、並びにプラスチックフィルム等が挙げられる。紙基材としては、グラシン紙、コート紙、及びキャストコート紙等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、並びにポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー(例えば、ブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂等)、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、及びシリコーン系樹脂が挙げられる。
剥離シートRLの厚さは、特に限定されない。通常、20μm以上200μm以下であり、25μm以上150μm以下であることが好ましい。
剥離剤層の厚さは、特に限定されない。剥離剤を含む溶液を塗布して剥離剤層を形成する場合、剥離剤層の厚さは、0.01μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。
剥離基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、当該プラスチックフィルムの厚さは、3μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上40μm以下であることがより好ましい。
(粘着シートの製造方法)
粘着シート10の製造方法は、特に限定されない。
例えば、粘着シート10は、次のような工程を経て製造される。まず、基材11の第一面11aの上に粘着剤を塗布し、塗膜を形成する。次に、この塗膜を乾燥させて、粘着剤層12を形成する。その後、粘着剤層12を覆うように剥離シートRLを貼着する。
また、粘着シート10の別の製造方法としては、次のような工程を経て製造される。まず、剥離シートRLの上に粘着剤を塗布し、塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥させて、粘着剤層12を形成し、この粘着剤層12に基材11の第一面11aを貼り合わせる。
粘着剤組成物を塗布して粘着剤層12を形成する場合、有機溶媒で粘着剤組成物を希釈してコーティング液を調製して用いることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、及びメチルエチルケトン等が挙げられる。コーティング液を塗布する方法は、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、及びグラビアコート法等が挙げられる。
有機溶媒や低沸点成分が粘着剤層12に残留することを防ぐため、コーティング液を基材11や剥離シートRLに塗布した後、塗膜を加熱して乾燥させることが好ましい。また、粘着剤組成物に架橋剤が配合されている場合には、架橋反応を進行させて凝集力を向上させるためにも、塗膜を加熱することが好ましい。
(粘着シートの使用)
粘着シート10は、半導体素子を封止する際に使用される。粘着シート10は、金属製リードフレームに実装されておらず粘着シート10上に貼着された状態の半導体素子、具体的には粘着剤層12に貼着された状態の半導体素子を封止する際に使用されることが好ましい。金属製リードフレームを用いずに半導体素子をパッケージングする形態としては、パネルスケールパッケージ(PSP)やウエハレベルパッケージ(Wafer Level Package;WLP)が挙げられる。
粘着シート10は、粘着シート10を半導体素子の回路面に貼付する工程と、前記粘着シートに貼付された前記半導体素子を封止樹脂で覆う工程と、前記封止樹脂を硬化させる工程と、粘着シート10にエネルギー線を照射する工程と、粘着シート10を前記半導体素子から剥離する工程と、を有する半導体装置製造プロセスにおいて使用されることが好ましい。
(半導体装置の製造方法)
本実施形態に係る粘着シート10を用いて半導体装置を製造する方法を説明する。
図2には、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する概略図が示されている。
ここでは、粘着シート10の粘着剤層12が、エネルギー線硬化型粘着剤としての紫外線硬化型粘着剤を含んでいる態様を例に挙げて説明する。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、粘着シート10を半導体素子としての半導体チップCPの回路面に貼付する工程(粘着シート貼付工程)、粘着シート10に貼付された半導体チップCPを封止樹脂30で覆う工程(封止工程)と、封止樹脂30を熱硬化させる工程(熱硬化工程)と、粘着シートにエネルギー線としての紫外線を照射する工程と(紫外線照射工程)と、紫外線照射後、粘着シート10を剥離する工程(剥離工程)と、を実施する。
必要に応じて、粘着シート10に複数の開口部21が形成された枠部材20を貼着させる工程(枠部材貼着工程)や熱硬化工程の後に、封止樹脂30で封止された封止体50に補強部材40を貼着させる工程(補強部材貼着工程)等を実施してもよい。以下に各工程について説明する。
・枠部材貼着工程
図2(A)には、粘着シート10の粘着剤層12に枠部材20を貼着させる工程を説明する概略図が示されている。なお、粘着シート10に剥離シートRLが貼着されている場合には、予め剥離シートRLを剥離する。
本実施形態に係る枠部材20は、格子状に形成され、複数の開口部21を有する。枠部材20は、耐熱性を有する材質で形成されていることが好ましい。枠部材20の材質としては、例えば、銅やステンレス等の金属や、ポリイミド樹脂やガラスエポキシ樹脂等の耐熱性樹脂などが挙げられる。
開口部21は、枠部材20の表裏面を貫通する孔である。開口部21の形状は、半導体チップCPを枠内に収容可能であれば、特に限定されない。開口部21の孔の深さも、半導体チップCPを収容可能であれば、特に限定されない。
半導体装置の製造方法において、枠部材貼着工程を実施することが好ましい。粘着シート10の粘着剤層12に枠部材20を貼着させることで、熱硬化工程における封止樹脂の硬化収縮に起因して発生する半導体パッケージの反りを抑制できる。
・粘着シート貼付工程
図2(B)には、半導体チップCPの回路面に粘着シート10を貼付する工程を説明する概略図が示されている。
本工程では、前述のように粘着シート10の粘着剤層12に枠部材20が貼着されているため、複数の開口部21それぞれにおいて開口部21の形状に応じて粘着剤層12が露出する。粘着シート貼付工程では、半導体チップCPの回路面が各開口部21の粘着剤層12で覆われるように、粘着シート10を貼付する。本工程により、複数の半導体チップCPは、粘着シート10によって仮固定された状態で支持される。
・封止工程及び熱硬化工程
図2(C)には、粘着シート10に貼着された半導体チップCP及び枠部材20を封止する工程を説明する概略図が示されている。
封止樹脂30の材質は、熱硬化性樹脂であり、例えば、エポキシ樹脂などが挙げられる。封止樹脂30として用いられるエポキシ樹脂には、例えば、フェノール樹脂、エラストマー、無機充填材、及び硬化促進剤などが含まれていてもよい。
封止樹脂30で半導体チップCP及び枠部材20を覆う方法は、特に限定されない。
本実施形態では、シート状の封止樹脂30を用いた態様を例に挙げて説明する。シート状の封止樹脂30を半導体チップCP及び枠部材20を覆うように載置し、封止樹脂30を加熱硬化させて、封止樹脂層30Aを形成する。このようにして、半導体チップCP及び枠部材20が封止樹脂層30Aに埋め込まれる。シート状の封止樹脂30を用いる場合には、真空ラミネート法により半導体チップCP及び枠部材20を封止することが好ましい。この真空ラミネート法により、半導体チップCPと枠部材20との間に空隙が生じることを防止できる。真空ラミネート法による加熱の温度条件範囲は、例えば、80℃以上120℃以下である。
封止工程では、シート状の封止樹脂30がポリエチレンテレフタレート等の樹脂シートに支持された積層シートを用いてもよい。この場合、半導体チップCP及び枠部材20を覆うように積層シートを載置した後、樹脂シートを封止樹脂30から剥離して、封止樹脂30を加熱硬化させてもよい。このような積層シートとしては、例えば、ABFフィルム(味の素ファインテクノ株式会社製)が挙げられる。
半導体チップCP及び枠部材20を封止する方法としては、トランスファーモールド法を採用してもよい。この場合、例えば、封止装置の金型の内部に、粘着シート10に貼着された半導体チップCP及び枠部材20を収容する。この金型の内部に流動性の樹脂材料を注入し、樹脂材料を硬化させる。トランスファーモールド法の場合、加えられる熱及び圧力は、特に限定されないが、通常の条件の一例として、150℃以上の温度と、4MPa以上15MPa以下の圧力を30秒以上300秒以下の間維持して行われた後、圧力を解き、封止装置から取り出してオーブン内に静置して、150℃以上の温度環境の下、2時間以上15時間以下、維持することで行われる。
前述の封止工程においてシート状の封止樹脂30を用いる場合、封止樹脂30を熱硬化させる工程(熱硬化工程)の前に、第一加熱プレス工程を実施してもよい。第一加熱プレス工程においては、封止樹脂30で被覆された半導体チップCP及び枠部材20付き粘着シート10を両面から板状部材で挟み込み、所定の温度、時間、及び圧力の条件下でプレスする。第一加熱プレス工程を実施することにより、封止樹脂30が半導体チップCPと枠部材20との空隙にも充填され易くなる。また、加熱プレス工程を実施することにより、封止樹脂30により構成される封止樹脂層30Aの凹凸を平坦化することもできる。板状部材としては、例えば、ステンレス等の金属板を用いることができる。
熱硬化工程の後、粘着シート10を剥離すると、封止樹脂30で封止された半導体チップCP及び枠部材20が得られる。以下、これを封止体50と称する場合がある。
・補強部材貼着工程
図2(D)には、封止体50に補強部材40を貼着させる工程を説明する概略図が示されている。
粘着シート10を剥離した後、露出した半導体チップCPの回路面に対して再配線層を形成する工程やバンプ付け工程が実施される。このような再配線工程やバンプ付け工程における封止体50の取り扱い性を向上させるため、必要に応じて、封止体50に補強部材40を貼着させる工程(補強部材貼着工程)を実施してもよい。補強部材貼着工程を実施する場合には、粘着シート10を剥離する前に実施することが好ましい。図2(D)に示すように、封止体50が粘着シート10及び補強部材40によって挟まれた状態で支持されている。
本実施形態では、補強部材40は、耐熱性の補強板41と、耐熱性の接着層42とを備える。補強板41としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の耐熱性樹脂を含む板状の部材が挙げられる。接着層42は、補強板41と封止体50とを接着させる。接着層42としては、補強板41及び封止樹脂層30Aの材質に応じて適宜選択される。
補強部材貼着工程では、封止体50の封止樹脂層30Aと補強板41との間に接着層42を挟み込み、さらに補強板41側及び粘着シート10側からそれぞれ板状部材で挟み込み、所定の温度、時間、及び圧力の条件下でプレスする第二加熱プレス工程を実施することが好ましい。第二加熱プレス工程により、封止体50と補強部材40とを仮固定する。第二加熱プレス工程の後に、接着層42を硬化させるために、仮固定された封止体50と補強部材40とを所定の温度及び時間の条件下で加熱することが好ましい。加熱硬化の条件は、接着層42の材質に応じて適宜設定され、例えば、185℃、80分間、及び2.4MPaの条件である。第二加熱プレス工程においても、板状部材としては、例えば、ステンレス等の金属板を用いることができる。
・紫外線照射工程
図2(F)には、粘着シート10に紫外線を照射する工程を説明する概略図が示されている。
本実施形態では、粘着シート10及び補強部材40で挟まれた状態の封止体50に対し、粘着シート10の基材11側から紫外線を照射する。基材11は紫外線透過可能な材質である。本工程において紫外線を照射することにより、粘着剤層12を硬化させて粘着力を低下させ、後述の剥離工程において、粘着シート10の剥離を容易にすることができる。
紫外線を発生させる方式は、特に限定されず、従来公知の発生方式を採用できる。紫外線の発生方式としては、例えば、放電ランプ方式(アークランプ)、フラッシュ方式、及びレーザー方式等が挙げられる。これらの紫外線の発生方式の内、工業的な生産性の観点から、放電ランプ方式が好ましい。さらに、放電ランプ方式の中でも、紫外線の照射効率の観点から、高圧水銀ランプやメタルハライドランプを使用した照射方法が特に好ましい。
紫外線照射工程において照射する紫外線の波長は、特に限定されない。なお、一般的な光重合に用いられる波長及び前述の紫外線発生方式にて使用する紫外線発生源の波長を考慮すると、紫外線の波長は、250nm以上400nm以下の範囲内であることが好ましい。
紫外線照射工程において照射する紫外線の照射量は、光重合開始剤の効果を生じさせることができれば特に限定されない。紫外線の照射量としては、例えば、10mJ/cm以上1000mJ/cm以下程度が好ましく、50mJ/cm以上600mJ/cm以下であることがより好ましい。紫外線の照射量が10mJ/cm以上であれば、粘着剤層12の硬化不良を防止できる。紫外線の照射量が1000mJ/cm以下であれば、粘着剤層12が硬化し過ぎることを防止し、粘着剤層12の割れを防止できる。
・剥離工程
図2(E)には、粘着シート10を剥離する工程を説明する概略図が示されている。
本実施形態では、粘着シート10の基材11が屈曲可能である場合、粘着シート10を屈曲させながら、枠部材20、半導体チップCP及び封止樹脂層30Aから容易に剥離することができる。剥離角度は、特に限定されないが、90度以上の剥離角度で粘着シート10を剥離することが好ましい。剥離角度が90度以上であれば、粘着シート10を、枠部材20、半導体チップCP及び封止樹脂層30Aから容易に剥離することができる。剥離角度は、90度以上180度以下が好ましく、135度以上180度以下がより好ましい。このように粘着シート10を屈曲させながら剥離を行うことで、枠部材20、半導体チップCP及び封止樹脂層30Aにかかる負荷を低減しながらの剥離することができ、粘着シート10の剥離による、半導体チップCP及び封止樹脂層30Aの損傷を抑制することができる。粘着シート10を剥離した後、前述の再配線工程やバンプ付け工程等が実施される。粘着シート10の剥離後、再配線工程やバンプ付け工程等の実施前に、必要に応じて、前述の補強部材貼着工程を実施してもよい。
剥離工程を実施する時点において、エネルギー線を照射した後(本実施形態では、紫外線照射後)であって23℃における粘着剤層12の引張弾性率E’が、1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることがより好ましく、1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であることがさらに好ましい。剥離工程を実施する時点における当該引張弾性率E’が、当該範囲内であれば、エネルギー線照射前に比べて粘着剤層12の粘着力が低下しているので、粘着シート10を容易に剥離することができる。
補強部材40を貼着させた場合、再配線工程やバンプ付け工程等が実施された後、補強部材40による支持が不要になった段階で、補強部材40を封止体50から剥離する。
その後、封止体50を半導体チップCP単位で個片化する(個片化工程)。封止体50を個片化させる方法は特に限定されない。例えば、半導体ウエハをダイシングする際に使用する方法と同様の方法で個片化させることができる。封止体50を個片化させる工程は、封止体50をダイシングシート等に貼着させた状態で実施してもよい。封止体50を個片化することで、半導体チップCP単位の半導体パッケージが製造され、この半導体パッケージは、実装工程においてプリント配線基板等に実装される。
本実施形態に係る粘着シート10によれば、エネルギー線硬化型粘着剤を含む粘着剤層12を備えるので、半導体装置の製造方法において、樹脂封止の際にはチップを確実に保持し、封止工程後の剥離工程の際には、糊残り少なく、半導体素子のチップ面から容易に剥離することができる。ゆえに、粘着シート10によれば、半導体装置の製造方法における一連の工程で支障を来たし難い。
〔実施形態の変形〕
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は、本発明に含まれる。なお、以下の説明では、前記実施形態で説明した部材等と同一であれば、同一符号を付してその説明を省略または簡略化する。
前記実施形態では、半導体装置製造方法の説明において、補強部材貼着工程と剥離工程との間に紫外線照射工程を実施する態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。紫外線照射工程は、粘着シートを半導体素子(半導体チップ)に貼付した後から、半導体素子から粘着シートを剥離する工程までの間であれば、どの段階で実施してもよい。
例えば、半導体装置の製造方法の別の態様においては、紫外線照射工程(エネルギー線照射工程)を、熱硬化工程を実施する前までに実施してもよい。また、半導体装置の製造方法の別の態様においては、封止工程を実施する前までに紫外線照射工程(エネルギー線照射工程)を実施してもよい。封止工程を実施する時点、又は熱硬化工程を実施する時点において、エネルギー線を照射した後(例えば、紫外線照射後)であって23℃における粘着剤層12の引張弾性率E’が、1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることがより好ましく、1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であることがさらに好ましい。
封止工程を実施する時点、又は熱硬化工程を実施する時点における当該引張弾性率E’が、当該範囲内であれば、封止樹脂が熱硬化する時の熱で粘着剤層が軟化しすぎず、半導体チップを粘着シートにて確実に保持し、封止樹脂がチップ裏面に回り込んだりすることを抑制できる。
前記実施形態では、エネルギー線硬化型粘着剤として紫外線の照射により硬化する態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。エネルギー線硬化型粘着剤として、電子線の照射により硬化する粘着剤などを用いることができる。
また、紫外線とは異なるエネルギー線により硬化する粘着剤の場合においても、エネルギー線を照射する前の23℃における粘着剤層の貯蔵弾性率G’や、照射後の23℃における粘着剤層の引張弾性率E’も、前記実施形態で説明した範囲を満たすことが好ましい。
前記実施形態では、粘着剤層に紫外線硬化型粘着剤を含むため、紫外線を透過可能な材質からなる基材を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。基材の材質は、照射されるエネルギー線が粘着剤層に到達することができれば特に限定されない。
前記実施形態では、枠部材貼着工程、及び補強部材貼着工程を含んで実施する半導体装置の製造方法の例を挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。枠部材貼着工程及び補強部材貼着工程を含まず、粘着シート貼付工程、封止工程、熱硬化工程、紫外線照射工程、及び剥離工程を有する半導体装置の製造方法であってもよい。
また、前記実施形態では、紫外線照射工程を熱硬化工程の後に行っているが、本発明はこのような態様に限定されない。紫外線照射工程は、剥離工程の前であれば任意の段階で行うことができる。
半導体装置の製造方法の別の態様としては、例えば、粘着シート貼付工程、封止工程、エネルギー線照射工程(例えば、紫外線照射工程)、熱硬化工程、及び剥離工程の順に行うことも好ましい。半導体装置の製造方法のさらに別の態様としては、粘着シート貼付工程、エネルギー線照射工程(例えば、紫外線照射工程)、封止工程、熱硬化工程、及び剥離工程の順に行うことも好ましい。これらの態様においても、さらに、枠部材貼着工程及び補強部材貼着工程を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
エネルギー線照射工程を熱硬化工程の前に行う場合、硬化前の粘着剤層12が熱硬化工程の熱で高温に曝されることがないため、粘着剤層12の一部がパッケージ裏面に付着するのを防止しやすくなるため、より好ましい。
前記実施形態では、粘着シート10の粘着剤層12が剥離シートRLによって覆われている態様を例に挙げて説明したが、本発明は、このような態様に限定されない。
また、粘着シート10は、枚葉であってもよく、複数枚の粘着シート10が積層された状態で提供されてもよい。この場合、例えば、粘着剤層12は、積層される別の粘着シートの基材11によって覆われていてもよい。
また、粘着シート10は、長尺状のシートであってもよく、ロール状に巻き取られた状態で提供されてもよい。ロール状に巻き取られた粘着シート10は、ロールから繰り出されて所望のサイズに切断するなどして使用することができる。
前記実施形態では、封止樹脂30の材質として熱硬化性樹脂である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、封止樹脂30は、紫外線等のエネルギー線で硬化するエネルギー線硬化性樹脂でもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
〔評価方法〕
粘着シートの評価は、以下に示す方法に従って行った。
(貯蔵弾性率)
実施例または比較例にて使用する粘着剤を、剥離シート上に製膜し、厚さ3mm程度の厚さまで積層して粘着剤層を形成し、積層体を得た。この積層体を直径8mmのサイズに加工し、試験片を得た。粘弾性測定装置(Rheometrics社製、装置名「DYNAMIC ANALYZER RDAII」)を用いて、得られた試験片(厚さ3mm程度、直径8mm)の紫外線硬化前の粘着剤層の貯蔵弾性率G’を、測定周波数1Hz及び23℃の環境下で、ねじりせん断法により測定した。
(引張弾性率)
実施例または比較例にて使用する粘着剤を、剥離シート上に製膜し、厚さ300μm程度の厚さまで積層して粘着剤層を形成し、積層体を得た。この積層体を幅4mm、長さ(チャック間距離)30mmのサイズに加工し、試験片を得た。
試験片に紫外線を照射して紫外線硬化した粘着剤層を作製し、紫外線硬化した粘着剤層について、動的粘弾性測定装置((株)オリエンテック製、装置名「RHEOVIBRON DDV−II−EP」)を用いて、測定周波数11Hzで23℃における引張弾性率E’を測定した。紫外線の照射装置としてリンテック(株)製の装置名:RAD−2000/m8を用いた。紫外線の照射条件としては、照度を220mW/cmとし、光量を160mJ/cmとした。
(破断伸度)
実施例または比較例にて使用する粘着剤を、剥離シート上に製膜し、厚さ40μmの厚さまで積層して粘着剤層を形成し、積層体を得た。この積層体の粘着剤層に紫外線を照射して、紫外線硬化した粘着剤層を作製した。紫外線の照射装置としてリンテック(株)製の装置名:RAD−2000/m8を用いた。紫外線の照射条件としては、照度を220mW/cmとし、光量を160mJ/cmとした。紫外線硬化した粘着剤層について、JIS K7161に基づき引張試験を行って、破断伸度を測定した。
(CSP工程適性評価)
5mm×5mmサイズのシリコンウェハーチップを、実施例または比較例に係る粘着シートの粘着剤層上の所定位置に配置した。次いで、シート状の封止樹脂を、シリコンウェハーチップを覆うように載置し、加熱硬化させて、封止樹脂層を形成した。その後、加熱により樹脂の硬化を促進(ポストモールドキュア)させ、シリコンウェハーチップを封止樹脂で封止した。次いで、粘着シートの基材側より紫外線を照射した。紫外線の照射装置としては前述と同様の装置を用いた。紫外線の照射条件としては、照度を220mW/cmとし、光量を160mJ/cmとした。紫外線照射後、粘着シートを剥離し、半導体パッケージを得た。
樹脂封止後に、粘着シート上のシリコンウェハーチップを光学顕微鏡により観察して、チップの位置ずれの有無を確認した。
また、粘着シートを剥離した後、シリコンウェハーチップの粘着シートに貼着されていた面を光学顕微鏡により観察して、糊残りの有無を確認した。
下記の基準でCSP工程適性を評価した。
A:チップのずれ、及び半導体チップの糊残りのいずれも、工程上、問題とならないレベルだった。
B:チップのずれ及び糊残りが、工程上、問題となるおそれがあるレベルだった。
〔粘着シートの作製〕
(実施例1)
(1)粘着剤組成物の作製
以下の材料を配合し、十分に撹拌して、実施例1に係る塗布用粘着剤液(粘着剤組成物)を調製した。
アクリル酸ブチル80質量部及びアクリル酸20質量部からなる共重合体に対し、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有するアクリル酸エステル共重合体を得た。この反応により得られた質量平均分子量600,000の共重合体のトルエン溶液(固形分30質量%)100質量部に対し、多価イソシアネート化合物のトルエン溶液(オリバインBHS8515(東洋インキ製造(株)製)、固形分37.5質量%)1質量部、及び光重合開始剤を混合し、粘着剤組成物(粘着剤A)を得た。
(2)粘着剤層の作製
調製した粘着剤組成物(粘着剤A)を、ロールコーターを用いて乾燥後の膜厚が50μmになるように、シリコーン系剥離層を設けた38μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる剥離フィルム〔リンテック(株)製;SP−PET382150〕の剥離層面側に塗布し、塗膜を乾燥させ、粘着剤層を作製した。
(3)粘着シートの作製
粘着剤組成物(粘着剤A)の塗膜を乾燥させた後、粘着剤層と、基材とを貼り合わせて実施例1に係る粘着シートを得た。なお、基材として、透明ポリエチレンテレフタレートフィルム〔東洋紡(株)製;PET50A−4300、厚さ50μm、ガラス転移温度Tg67℃〕を用い、基材のプライマー処理面に粘着剤層を貼り合わせた。
(実施例2)
実施例2の粘着シートは、実施例1における基材を、ポリイミドフィルム〔東レ・デュポン(株)製;カプトン200H、厚さ50μm〕に変更したこと以外は、実施例1と同様にして作製した。
(実施例3)
実施例3の粘着シートは、実施例2における粘着剤組成物を下記の粘着剤組成物(粘着剤B)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
アクリル酸ブチル80質量部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部からなる共重合体に対し、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて、側鎖にエネルギー線架橋性の官能基を有するアクリル酸エステル共重合体を得た。この反応により得られた質量平均分子量600,000の共重合体のトルエン溶液(固形分30質量%)100質量部に対し、多価イソシアネート化合物のトルエン溶液(オリバインBHS8515(東洋インキ製造(株)製)、固形分37.5質量%)0.4質量部、及び光重合開始剤を混合し、粘着剤組成物(粘着剤B)を得た。
(実施例4)
実施例4の粘着シートは、実施例2における粘着剤組成物を下記の粘着剤組成物(粘着剤C)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
アクリル酸ブチル91質量部及びアクリル酸9質量部からなる質量平均分子量600,000のアクリル酸エステル共重合体のトルエン溶液(固形分35質量%)100質量部に対し、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カラヤッドDPHA、MAX−3510(日本化薬(株)製))のトルエン溶液(固形分60質量%)70質量部、多価イソシアネート化合物のトルエン溶液(オリバインBHS8515(東洋インキ製造(株)製)、固形分37.5質量%)10質量部、及び光重合開始剤を混合し、粘着剤組成物(粘着剤C)を得た。
(比較例1)
比較例1の粘着シートは、実施例1における粘着シートを用いて、粘着シートの基材側より紫外線照射を行わずにCSP工程適性評価をした。
実施例1〜4並びに比較例1に係る粘着シートについて、前述の評価方法に従って、評価した。評価結果を表1に示す。本明細書において、ポリエチレンテレフタレートをPETと略記する場合がある。
Figure 0006632324
実施例に係る粘着シートによれば、樹脂封止の際にはチップを確実に保持し、封止工程後の剥離の際にはチップ面から容易に剥離することができ、電子デバイスに悪影響を及ぼす糊残りが少なく、半導体装置製造方法の一連の工程で問題なく使用可能だった。
本発明に係る粘着シートは、例えば、半導体装置製造用の耐熱性粘着シートとして利用できる。
10…粘着シート、11…基材、12…粘着剤層。

Claims (10)

  1. 粘着シートの粘着剤層に枠部材を貼着する工程と、前記粘着シートを半導体素子の回路面に貼付する工程と、前記粘着シートに貼付された前記半導体素子を封止樹脂で覆う工程と、前記封止樹脂を硬化させる工程と、前記粘着シートにエネルギー線を照射する工程と、前記粘着シートを前記半導体素子から剥離する工程と、を有する半導体装置製造プロセスにおいて使用される粘着シートであって、
    基材と、
    前記基材に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤を含む粘着剤層と、を有し、
    前記基材は、合成樹脂フィルムである、
    粘着シート。
  2. エネルギー線を照射する前であって23℃における前記粘着剤層の貯蔵弾性率G’は、1.0×10Pa以下である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. エネルギー線を照射した後であって23℃における前記粘着剤層の引張弾性率E’は、1.0×10Pa以上である、
    請求項1または請求項2に記載の粘着シート。
  4. 前記エネルギー線硬化型粘着剤は、紫外線硬化型粘着剤である、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記エネルギー線硬化型粘着剤は、アクリル系粘着剤を含有する、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の粘着シート。
  6. 前記基材の厚さは、10μm以上500μm以下である、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の粘着シート。
  7. 前記基材としての前記合成樹脂フィルムのガラス転移温度は、50℃以上である、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の粘着シート。
  8. 前記枠部材の材質は、金属または耐熱性樹脂である、
    請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の粘着シート。
  9. 前記封止樹脂は、シート状である、
    請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の粘着シート。
  10. 基材と前記基材に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤を含む粘着剤層とを有する粘着シートの前記粘着剤層に枠部材を貼着する工程と、
    前記粘着シートを、半導体素子の回路面に貼付する工程と、
    前記粘着シートに貼付された前記半導体素子を封止樹脂で覆う工程と、
    前記封止樹脂を硬化させる工程と、
    前記粘着剤層にエネルギー線を照射する工程と、
    前記粘着シートを前記半導体素子から剥離する工程と、を有し、
    前記基材は、合成樹脂フィルムである、
    半導体装置製造方法。
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