JP6631515B2 - ポリイミド系フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)エンドレスベルトやドラム等の支持体上に、ポリアミド酸溶液を塗布し乾燥させる。
(2)自己支持性フィルムが支持体に固着する前に剥離する。
(3)さらに熱処理し、イミド化する。
例えば、手順(2)〜(3)において一定の溶剤を残した状態で該支持体よりフィルムを剥離し、ピンテンター方式などによりフィルムの両端を把持したまま再度熱処理することにより形成される(特許文献1、2、3)。
前述のように、従来技術では、以下の問題があった。
(1)透明性、表面平滑性、及び光学特性を満足するポリイミドフィルムは、製造しにくい。
(2)薄いポリイミドフィルムは製造しにくい。
(3)エンドレスベルトやドラム等の支持体を用いた製膜方法では、フィルムにしわや傷が入りやすく、透明性、表面平滑性、及び光学特性を妨げる。
(4)ポリアミド酸を支持体上で熱イミド化してフィルムを得る方法では1サイクル目終了後に支持体剥離面の濡れ性が大きくなり(接触角が小さくなり)、表面状態を回復させるために高温での熱処理が必要となるため生産効率が良くない。
(5)ポリアミド酸を熱イミド化してフィルムを得る方法では、フィルムを300℃以上の高温で処理する必要があり、透明性、及び光学特性を実現できない。
工程(A):鏡面光沢度が200以上であり、かつ表面粗さ(Rz)が0.5μm以下である金属材料の表面の一部または全部に、溶剤可溶性樹脂Aを積層し、金属積層体Aを得る工程
工程(B):金属積層体Aの、溶剤可溶性樹脂A層の面に、溶剤可溶性樹脂Aとは異なるポリイミド系樹脂Bをさらに積層し、金属積層体Bを得る工程
工程(C):金属積層体Bからポリイミド系樹脂B層を剥離してポリイミド系フィルムを得る工程
(i)ポリアミドイミド樹脂Aを構成する酸成分が、無水トリメリット酸、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、及びビフェニル−3,3’,4, 4’−テトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれた1種以上の化合物を主成分とすること
(iv)ポリアミド樹脂A2を構成する酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、及び1,4−シクロへキサンジカルボン酸からなる群より選ばれた1種以上の化合物を主成分とすること
(ii)ポリアミドイミド樹脂Aを構成するジアミン成分が、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、又はこれに対応するジイソシアネートである3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニルを主成分とすること
(iii)N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.3dl/g以上3.5dl/g以下に相当する分子量であること
(a)表面粗さ(Rz)が0.08μm未満
(b)ガラス転移点が180℃以上350℃以下
(c)400nmの波長での光線透過率が60%以上90%以下
(d)ヘイズ値が0.1以上2.0以下
工程(A):鏡面光沢度が200以上であり、表面粗さ(Rz)が0.5μm以下である金属材料の表面の一部または全部に、ポリイミド系フィルムの原料とは異なる溶剤可溶性樹脂Aを積層し、金属積層体Aを得る工程
工程(B):該金属積層体の、溶剤可溶性樹脂Aの面に、ポリイミド系フィルムの原料となるポリイミド系樹脂Bをさらに積層し、金属積層体Bを得る工程
工程(C):金属積層体Bからポリイミド系樹脂B層のみを剥離してポリイミド系フィルムを得る工程
<<工程(A)>>
工程(A)は、鏡面光沢度が200以上であり、表面粗さ(Rz)が0.5μm以下である金属材料の表面の一部または全部に、ポリイミド系フィルムの原料(酸成分および/またはジアミン成分)、組成または物性が異なる溶剤可溶性樹脂Aを積層し、金属積層体Aを得る工程である。
本発明に用いる金属材料は本発明のポリイミド系フィルムを作製するための支持体となるものである。そのため金属材料は、表面(溶剤可溶性樹脂Aを積層する面)が平滑であることが必要である。平滑性は、鏡面光沢度と表面粗さで表すことができる。鏡面光沢度としては、JIS Z-8741(1997)に準じて測定した入射角20°における鏡面光沢度が200以上であることが必要であり、好ましくは400以上であり、より好ましくは500以上であり、さらに好ましくは600以上である。上限は特に限定されないが、工業的には1000以下である。また、表面粗さとしては、JIS B−0601(1994)に準じて測定した表面粗さ(Rz)が0.5μm以下であることが必要である。好ましくは0.45μm以下であり、より好ましくは0.4μm以下であり、さらに好ましくは0.35μm以下である。下限は特に限定されないが、工業的には0.001μm以上である。上記範囲を満たすことにより、金属積層体Aの溶剤可溶性樹脂A面側の表面粗さが0.2μm以下となり、本発明で得られるポリイミド系フィルムの表面平滑性、透明性、光学特性がよくなり、光学材料等への適用が容易となる。
本発明に用いる溶剤可溶性樹脂Aは、工程(C)のポリイミド系フィルムを得る工程(以下、フィルム化工程ともいう)での熱履歴に耐えうるもので平滑性、及び剥離性に優れる有機溶剤に可溶な樹脂であれば、特に限定はない。好ましい溶剤可溶性樹脂Aとしては、ポリアミドイミド樹脂A1またはポリアミド樹脂A2であり、金属積層体Aおよび金属積層体Bの加工性、耐熱性、及び耐久性に優れる有機溶剤に可溶なポリアミドイミド樹脂A1またはポリアミド樹脂A2であることが好ましい。また、ポリイミド系樹脂Bがポリアミド酸由来の樹脂である場合は、イミド化時の脱水反応に影響を受けないポリアミド樹脂A2であることが好ましい。
本発明に用いるポリアミドイミド樹脂A1は、溶剤中、酸成分とジアミン成分を、酸クロリド法、低温溶液重合法、室温溶液重合法、イソシアネート法、など通常の方法で合成することができる。特に、好ましい製造法は、金属材料へそのまま塗布できるポリマーワニスが得られるイソシアネート法であり、製造コストなどの観点から有利である。
ポリアミドイミド樹脂A1の「酸成分」としては、特に限定されないが、無水トリメリット酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、アルキレングリコールビス(トリメリテート)、ビスフェノールビス(トリメリテート)、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン−2、3、6、7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、またはナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸等の一無水物、二無水物、エステル化物等が挙げられる。また、イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸などのジカルボン酸成分が挙げられる。これらを単独で、或いは、2種以上の混合物として用いることができる。
また、ポリアミドイミド樹脂A1の「ジアミン成分」としては、特に限定されないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3, 4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3, 4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフエノン、3,3’−ジアミノベンゾフエノン、3, 4’−ジアミノベンゾフエノン、2, 6−トリレンジアミン、2, 4−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、P−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2, 2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、または3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、或いは、これらに対応するジイソシアネートなどを単独で、或いは、2種以上の混合物として用いることができる。
本発明に用いるポリアミド樹脂A2は、溶剤中、酸成分とジアミン成分を、酸クロリド法、低温溶液重合法、室温溶液重合法、イソシアネート法、など通常の方法で合成することができる。特に、好ましい製造法は、金属材料へそのまま塗布できるポリマーワニスが得られるイソシアネート法であり、製造コストなどの観点から有利である。
ポリアミド樹脂A2の「酸成分」としては、特に限定されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-シクロへキサンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸などのジカルボン酸成分が挙げられる。これらを単独で、或いは、2種以上の混合物として用いることができる。
また、ポリアミド樹脂Aの「ジアミン成分」としては、特に限定されないが、ポリアミドイミド樹脂A1で挙げたジアミン成分、或いは、これらに対応するジイソシアネートなどを単独で、或いは、2種以上の混合物として用いることができる。
前述の溶剤可溶性樹脂Aを、金属材料の一部または全部に積層する。一部または全部であれば、片面であっても良いし、或いは、両面に積層してもよい。なお、溶剤可溶性樹脂Aは溶液(ワニス状)であっても良い。
また、これらの一部をトルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤で置き換えることも可能である。
本発明で用いられる金属積層体Aは、金属材料の一部または全部に前記溶剤可溶性樹脂A層が積層された2層以上の積層体である。金属積層体Aの作製は、金属材料の一部または全部に直接、上記溶剤可溶性樹脂A溶液を塗布し、乾燥することが好ましい。塗布方法としては、特に限定されるものではなく、従来からよく知られている方法を適用することができる。例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ドクタ、ブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどにより、塗工液である溶剤可溶性樹脂A溶液の粘度を調整後、金属材料に直接塗布することができる。
熱処理に要する時間は、前述の温度条件下で、塗膜中の溶剤残存率が無くなる程度になる有効な時間とすればよいが、数分間〜数十分程度である。
絶乾後の厚さで5μm以上1000μm以下であれば、機械的性質やハンドリング性がよく、表面平滑性、及び光学特性にも有利であり、かつ加工性(乾燥性、塗工性、及び搬送性等)等も向上する。本発明では、特定の工程(A)〜(C)を有するため、溶剤可溶性樹脂A層の厚みが薄くても、表面粗さ(Rz)が0.08μm未満のポリイミド系フィルムを得ることができる。
又、必要に応じて、表面処理を施してもよい。例えば、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化等の表面処理を施すことができる。
工程(B)は、金属積層体Aの、溶剤可溶性樹脂A層の面に、溶剤可溶性樹脂Aとは異なるポリイミド系樹脂Bをさらに積層し、金属積層体Bを得る工程である。
本発明に用いるポリイミド系樹脂Bは、前記溶剤可溶性樹脂Aとは原料(酸成分および/またはジアミン成分)、組成または物性が異なるものである。従来のポリイミド系フィルムより、耐熱性、透明性、表面平滑性、光学特性、及び剥離性に優れ、より薄いポリイミド系フィルムを製造することのできるポリイミド系樹脂Bを説明する。
ポリイミド系樹脂Bの「酸成分」としては、特に限定されないが、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸、トリメリット酸などの一無水物、二無水物、エステル化物、或いはヘキサヒドロトリメリット酸、など、上記モノマーの水素添加物;4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3’,4、4’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、アルキレングリコールビス(トリメリテート)、ビスフェノールビス(トリメリテート)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン−2, 3, 6, 7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1, 2, 4, 5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1, 4, 5, 8−テトラカルボン酸、ピロメリット酸等の一無水物、二無水物、エステル化物、或いはヘキサヒドロピロメリット酸などの上記モノマーの水素添加物;イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸のジカルボン酸成分、或いはシクロヘキサンジカルボン酸等、上記モノマーの水素添加物が挙げられる。これらを単独で、或いは、2種以上の混合物として用いることができる。
また、ポリイミド系樹脂Bの「ジアミン成分」としては、特に限定されないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3, 4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフエノン、3,3’−ジアミノベンゾフエノン、3, 4’−ジアミノベンゾフエノン、2, 6−トリレンジアミン、2, 4−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、P−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2, 2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、トランス−1, 4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3−ジアミノシクロヘキサン、ジシクロへキシルメタン−4,4’―ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、ノルボルネンジアミン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロへキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルシクロへキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロへキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルシクロへキシルアミン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、または1,9−ノナメチレンジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン或いは、これらに対応するジイソシアネートなどを単独で、或いは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
本発明で用いるポリイミド系樹脂Bを金属積層体Aの溶剤可溶性樹脂A層の面に積層する。ポリイミド系樹脂Bは、ワニス状であっても良い。ポリイミド樹脂B溶液(ワニス)を製造するための溶剤としては、前記重合反応で用いた溶剤をそのまま用いても良い。具体的には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1, 3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが挙げられ、これらを単独、または、混合溶剤として使用できる。好ましくは1, 3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、またはこれらの組み合わせである。また、これらの一部をトルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤で置き換えることも可能である。
たとえば、滑剤(シリカ、タルク、シリコーン等)、難燃剤(リン系やトリアジン系、水酸化アルミ等)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等)、メッキ活性化剤、有機や無機の充填剤(タルク、酸化チタン、フッ素系ポリマー微粒子、顔料、染料、炭化カルシウム等)、レベリング剤(ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン溶液 、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液等)、その他、シリコーン化合物、フッ素化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のような樹脂や有機化合物、或いはこれらの硬化剤、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄などの無機化合物をこの発明の目的を阻害しない範囲で併用することができる。
本発明で用いられる金属積層体Bは、金属積層体Aの溶剤可溶性樹脂Aが積層された面にポリイミド系樹脂Bがさらに積層された3層以上の積層体(金属材料/溶剤可溶性樹脂A/ポリイミド系樹脂B)である。金属積層体Bは、金属積層体Aの溶剤可溶性樹脂Aが積層された片面、或いは、両面に、直接、上記ポリイミド系樹脂B溶液を塗布し、乾燥することが好ましい。塗布方法としては、特に限定されるものではなく、従来からよく知られている方法を適用することができる。例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ドクタ、ブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどにより、塗工液であるポリイミド系樹脂溶液の粘度を調整後、金属積層体に直接塗布することができる。
熱処理に要する時間は、上記温度条件下で、塗膜中の溶剤残存率が無くなる程度になる有効な時間とすればよいが、数分間〜数十分程度である。
又、必要に応じて、表面処理を施してもよい。例えば、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
工程(C)は、前記金属積層体Bからポリイミド系樹脂B層のみを剥離してポリイミド系フィルムを得る工程である。剥がしたポリイミド系樹脂B層が、ポリイミド系フィルムとなる。
特に、従来の製膜方法では、表面平滑性そのものが劣り、又、傷、しわ、或いは、基材由来の打痕等が入り易く、光学用途では使用できなかった薄膜でも容易に製造することができる。
本発明により得られるポリイミド系フィルムは、従来のフィルムより、耐熱性、透明性、表面平滑性、及び光学特性に優れる。
耐熱性は、ガラス転移点によって示されるが、得られるポリイミド系フィルムのガラス転移点は180℃以上350℃以下であることが好ましく、より好ましくは200℃以上330℃以下であり、さらに好ましくは230℃以上320℃以下である。
ポリイミド系フィルムの表面平滑性は表面粗さ(Rz)と3次元算術平均粗さ(Sa)によって示すことができ、表面粗さ(Rz)はJIS B−0601(1994)に準じて測定したものであり、3次元算術平均粗さ(Sa)は非接触表面・層断面形状計測システムで測定したものである。
ポリイミド系フィルムの溶剤可溶性樹脂A層と接していた面の表面粗さ(Rz)は0.08μm未満である。好ましくは0.07μm以下であり、より好ましくは0.06μm以下であり、さらに好ましくは0.05μm以下であり、特に好ましくは0.05μm未満であり、最も好ましくは0.04μm以下である。下限は特に限定されないが、工業的には、0.001μm以上である。表面粗さ(Rz)を0.08μm未満とすることで、ポリイミド系フィルムの表面平滑性、透明性、及び光学特性が極めてよくなり、光学材料等への適用が容易となる。
また、ポリイミド系フィルムの溶剤可溶性樹脂A層と接していた面の930μm×700μmの範囲における3次元算術平均表面粗さ(Sa)は、0.1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.09μm以下であり、さらに好ましくは0.08μm以下であり、特に好ましくは0.07μm以下である。下限は特に限定されないが、工業的には、0.001μm以上である。
透明性や光学特性は光線透過率によって示される。得られるポリイミド系フィルムの光線透過率は、JIS K−7361−1(1997)に従い、400nmの波長で60%以上90%以下であることが好ましく、さらに好ましくは65%以上90%以下である。また、得られたポリイミド系フィルムのヘイズ値は、JIS K−7136(2000)に従い、2.0以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以下である。下限は特に限定されないが、工業的には0.1以上である。
金属積層体Bから、ポリイミド系樹脂B層を剥離する場合の剥離性は、接着強度によって示される。得られるポリイミド系フィルムと金属積層体との接着強度は、1N/cm以下であれば容易に剥離することができるため良好であり、0.5N/cm以下であれば非常に良好である。また、下限は特に限定されないが、0.01N/cm以上あれば十分である。
本発明により得られるポリイミド系フィルムの厚さは、広い範囲から選択できるが、フィルム強度等の機械的性質を保持できる範囲であれば、数μm単位まで薄くすることが可能である。具体的には、50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。また、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。
ポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにサンプル(溶剤可溶性樹脂Aまたはポリイミド系樹脂B)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、その溶液の溶液粘度及び溶剤粘度を30℃で、ウベローデ型の粘度管により測定して、下記の式で計算した。V1は溶液粘度、V2は溶剤粘度、V3は試料液の濃度(0.5g/dl)を表す。
対数粘度(dl/g)=[ln(V1/V2)]/V3
TMA(熱機械分析)(商品名「EXSTAR TMA/SS 6000」、セイコーインスツル(株)製)引張荷重法により、得られたポリイミド系フィルムについて以下の条件で測定した。得られた曲線の変曲点をガラス転移温度(Tg)とし、Tgより低温領域(ガラス領域)、および高温領域(ゴム領域)のそれぞれに接線を引き、それら接線が交わる温度として算出した。熱膨張係数(CTE)は、温度の上昇によって物体の長さ、体積が熱膨張する割合を1K(℃)あたりで示した値であり、100℃から200℃までの平均値とした。
荷重:1g
サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
JIS B 0601:1994に従い、表面粗さ測定機 (商品名「E−35B」、東京精密(株)製)を用いて、十点平均粗さ(Rz)を測定した。
非接触表面・層断面形状計測システム(商品名「VertScan2.0」、(株)菱化システム製を用いて、3次元算術平均粗さ(Sa)を測定した。
JIS Z 8741:1997に従い、(商品名「Gloss Meter VG2000」、日本電色工業(株)製)を用いて、入射角20°における鏡面光沢度を測定した。
示差熱熱重量同時測定装置(商品名「EXSTAR TG / DTA 6000」、セイコーインスツル(株)製)を用いて100℃〜350℃までの重量減少により、ポリイミド系フィルム中の残留溶剤濃度を求めた。100℃〜350℃の重量減少を全て溶剤の揮発とみなした。
金属材料の少なくとも片面に溶剤可溶性樹脂Aが積層された金属積層体Aの溶剤可溶性樹脂Aが積層された面に、更に、ポリイミド系樹脂Bワニスを塗布、乾燥し、フィルム化した、金属積層体Bの試験用サンプル(縦150mm×横5mm)を作製した。次いで、前記試験用サンプルを、ステンレス板(SUS板)上に、両面テープ(商品名「NW−K10」、ニチバン(株)製)を用いて、1kgローラーで1往復して貼りあわせた。剥離性(接着強度)の測定は、上記のポリイミド系フィルムを引張速度50mm/minの速度で90°の角度で剥離し、そのときの応力を接着力(N/cm)として測定した。
JIS K−7361−1:1997に従い、分光光度計(商品名「UV−3150」、島津製作所(株)製)にて200nmから800nmの波長の光線透過率を測定し、400nmの光線透過率を比較した。
JIS K 7136:2000に従い、ヘイズメーター(商品名「NDH2000」、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
評価は、ヘイズ値0.5以下を◎、0.5超1.0以下を○、1.0超2.0以下を△、2.0超を×とした。
反応容器に以下の組成物を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、100℃で8時間反応させた。
1)無水トリメリット酸:153.7g(80モル%)
2)ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物:40.3g(12.5モル%)
3)ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物:22.1g(7.5モル%)
4)3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル(o−トリジンジイソシアネート):264.3g(100モル%)
5)ジアザビシクロウンデセン(触媒):1.0g
6)N−メチル−2−ピロリドン(純度99.9%):2500g
次いで、N−メチル−2−ピロリドン1031g(ポリマー濃度10重量%)を加え、室温まで冷却した。得られたポリマーの対数粘度は、1.9dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は250ポイズであった。
反応容器に以下の組成物を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、100℃で8時間反応させた。
1)無水トリメリット酸:96.1g(50モル%)
2)ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物:147.1g(50モル%)
3)3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル(o−トリジンジイソシアネート):264.3g(100モル%)
4)ジアザビシクロウンデセン(触媒):1.5g
5)N−メチル−2−ピロリドン(純度99.9%):2377g
次いで、N−メチル−2−ピロリドン 430g(ポリマー濃度13重量%)を加え、室温まで冷却した。得られたポリマーの対数粘度は、2.0dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は300ポイズであった。
反応容器に以下の組成物を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、100℃で8時間反応させた。
1)イソフタル酸:156.7g(90モル%)
2)1,4−シクロへキサンジカルボン酸:18.0g(10モル%)
3)3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル(o−トリジンジイソシアネート):263.1g(100モル%)
4)ジアザビシクロウンデセン(触媒):1.6g
5)N−メチル−2−ピロリドン(純度99.9%):650g
次いで、N−メチル−2−ピロリドン 166.8g(ポリマー濃度30重量%)を加え、室温まで冷却した。得られたポリマーの対数粘度は、0.4dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は400ポイズであった。
反応容器に以下の組成物を加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、100℃で8時間反応させた。
1)イソフタル酸:145.6g(100モル%)
2)3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル(o−トリジンジイソシアネート):231.7g(100モル%)
3)ジアザビシクロウンデセン(触媒):1.3g
4)N−メチル−2−ピロリドン(純度99.9%):557.4g
次いで、N−メチル−2−ピロリドン 142.9g(ポリマー濃度30重量%)を加え、室温まで冷却した。得られたポリマーの対数粘度は、0.5dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は500ポイズであった。
反応容器に以下の組成物を加え、窒素気流下、150℃まで昇温し、150℃で6時間反応させた。
1)シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2一無水物(H−TMA):198.2g(100モル%)
2)3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル:264.3g(100モル%)
3)トリエチレンジアミン(触媒):2.2g
4)1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(純度99.9%):795.7g
次いで、γ−ブチロラクトン702.1g(ポリマー濃度20重量%)を加え、室温まで冷却した。得られたポリマーの対数粘度は、0.8dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は500ポイズであった。
反応容器にイソホロンジイソシアネート66.7g(100モル%)を入れ、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(純度99.9%)246gに溶解した後、窒素気流下、撹拌しながら 1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(H−BPDA)の粉末91.9g(100モル%)を徐々に加え、撹拌しながら、80℃〜190℃で8時間反応させた。次いで、γ−ブチロラクトン283.2g(ポリマー濃度20重量%)を加え、室温まで冷却した。得られたポリマーの対数粘度は、0.5dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は300ポイズであった。
反応容器にPTMG1000(三洋化成工業(株)製、分子量1000)とシクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物を反応させてなるジエステルテトラカルボン酸二無水物 95.22g(0.07モル)、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物5.95g(0.03モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.03g(0.1モル)、フッ化カリウム0.1gを入れ、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン249.46gに溶解した後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃〜190℃で8時間反応させることにより、透明で粘稠なポリエステルイミド溶液を得た。得られたポリマーの対数粘度は0.95dl/gであった。
反応容器にビス(3−アミノフェニル)スルホン24.8g(100モル%)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン222gに溶解した後、窒素気流下、撹拌しながら1,1’−ビシクロへキサン−3,3’−4,4’−テトラカルボン酸―3,3’−4,4’−二無水物(H−BPDA)の粉末30.6g(100モル%)を徐々に加え、室温で15時間反応させることにより、透明で粘稠なポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.6dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は300ポイズであった。
合成例1で得られた樹脂A1−1の樹脂溶液を厚み50μm、巾540mmのアルミ箔(日本電解(株)製3003/H18、20°鏡面光沢度 447)の処理面(M面)にダイコーターを用いて、脱溶剤後の厚みが30μmになるように連続的にコーティングした。次いで、100℃に設定された長さ20mのフローティング方式の乾燥炉に、5m/分の速度で連続的に通過させ巻き取った。得られた金属積層体A1−1の残存溶剤率は25重量%であった。
このようにして得られた金属張積層体A1−1を更に、窒素下、100ppmの酸素濃度で200℃30分、250℃30分、300℃30分の加熱条件で連続的に熱処理した。
合成例1で得られた樹脂A1−1の樹脂溶液を厚み11μm、巾540mmの電解銅箔(福田金属箔粉工業(株)製CF−T9DA−SV、20°鏡面光沢度 660)の処理面(M面)を用いた以外は作製例1と同様にして支持体となる金属積層体A1−2を作製した。
合成例1で得られた樹脂A1−1の樹脂溶液を厚み15μm、巾540mmの電解銅箔(SHカッパープロダクツ(株)製タフピッチ銅箔OFC−HX、20°鏡面光沢度 247)の処理面(M面)を用いた以外は作製例1と同様にして支持体となる金属積層体A1−3を作製した。
合成例1で得られた樹脂A1−1の樹脂溶液を厚み30μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製HA、20°鏡面光沢度 287)の処理面(M面)を用いた以外は作製例1と同様にして支持体となる金属積層体A1−4を作製した。
合成例1で得られた樹脂A1−1の樹脂溶液を厚み50μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製SHE−TA(BS)、20°鏡面光沢度 687)の処理面(M面)にダイコーターを用いて、脱溶剤後の厚みが10μm(金属積層体A1−5)、20μm(金属積層体A1−6)、30μm(金属積層体A1−7)になるようにそれぞれコーティングした以外は作製例1と同様にして支持体となる金属積層体A1−5〜A1−7を作製した。
合成例2で得られた樹脂A1−2の樹脂溶液を厚み50μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製SHE−TA(BS)、20°鏡面光沢度 687)の処理面(M面)にダイコーターを用いて、脱溶剤後の厚みが20μmになるようにそれぞれコーティングした以外は作製例1と同様にして支持体となる金属積層体A1−8を作製した。
合成例1で得られた樹脂A1−1の樹脂溶液を厚み18μm、巾540mmの電解銅箔(日本電解(株)製USLP−SE−18、20°鏡面光沢度 0.3)の処理面(M面)を用いた以外は作製例1と同様にして支持体となる金属積層体A1−9を作製した。
合成例3で得られた樹脂A2−1の樹脂溶液を厚み120μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製304nanoBA、20°鏡面光沢度 1000)の処理面(M面)にダイコーターを用いて、脱溶剤後の厚みが30μmになるように連続的にコーティングした。次いで、100℃に設定された長さ20mのフローティング方式の乾燥炉に、5m/分の速度で連続的に通過させ巻き取った。得られた金属積層体A2−1の残存溶剤率は25重量%であった。
このようにして得られた金属張積層体A2−1を更に、窒素下、100ppmの酸素濃度で200℃30分、250℃30分、300℃30分の加熱条件で連続的に熱処理した。
合成例3で得られた樹脂A2−1の樹脂溶液を厚み50μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製304BA2、20°鏡面光沢度 310)に塗工した以外は作製例10と同様にして支持体となる金属積層体A2−2を作製した。
合成例3で得られた樹脂A2−1の樹脂溶液を厚み50μm、巾540mmのアルミ箔(日本電解(株)製3003/H18、20°鏡面光沢度 447)に塗工した以外は作製例10と同様にして支持体となる金属積層体A2−3を作製した。
合成例3で得られた樹脂A2−1の樹脂溶液を厚み11μm、巾540mmの電解銅箔(福田金属箔粉工業(株)製CF−T9DA−SV、20°鏡面光沢度 660)の処理面(M面)に塗工した以外は作製例10と同様にして支持体となる金属積層体A2−4を作製した。
合成例4で得られた樹脂A2−2の樹脂溶液を厚み120μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製304nanoBA、20°鏡面光沢度 1000)の処理面(M面)に塗工した以外は作製例10と同様にして支持体となる金属積層体A2−5を作製した。
合成例3で得られた樹脂A2−1の樹脂溶液を厚み18μm、巾540mmの電解銅箔(日本電解(株)製USLP−SE−18、20°鏡面光沢度 0.3)の処理面(M面)に塗工した以外は作製例10と同様にして支持体となる金属積層体A2−6を作製した。
支持基材として作製例1の金属積層体A1−1の樹脂面に、合成例5で得た樹脂B1を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布し、100℃以下の温度で加熱乾燥した。その後、遠赤外方式((株)ノリタケエンジニアリング製RtoR式熱処理装置熱)の加熱炉内を連続的に搬送させた。加熱炉内の温度(金属積層体B1−1表面温度)は第1、第2、第3ゾーンが180℃、第4ゾーンが250℃、第5、第6、第7ゾーンが330℃(窒素流量500L/分、酸素濃度100ppm、遠赤外プレートヒーター上面、下面配置、照射距離100mm、波長5.6〜1000μ、容量225kW、ヒーター寸法150mm×700mm)とし、搬送速度は乾燥時間がそれぞれ10分、5分、10分になるようにして、金属積層体B1−1を得た。その後、金属積層体B1−1のポリイミド系樹脂B1層のみを剥離し、ポリイミド系フィルムB1−1を得た。結果は表1に示した。ヘイズ値は、0.41であった。
支持基材として作製例2の金属積層体A1−2を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−2の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.45であった。
支持基材として作製例3の金属積層体A1−3を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−3の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.51であった。
支持基材として作製例4の金属積層体A1−4を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−4の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.55であった。
支持基材として作製例5の金属積層体A1−5(樹脂A1の厚み10μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−5の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.46であった。
支持基材として作製例6の金属積層体A1−6(樹脂A1の厚み20μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−6の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.57であった。
支持基材として作製例7の金属積層体A1−7(樹脂A1の厚み30μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−7の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.37であった。
支持基材として作製例8の金属積層体A1−8(樹脂A1の厚み20μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−8の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.55であった。
支持基材として作製例1の金属積層体A1−1の樹脂面に、合成例6で得た樹脂B2を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布し、100℃以下の温度で加熱乾燥した以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B2の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB2−1の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.42であった。
支持基材として作製例1の金属積層体A1−1の樹脂面に、合成例4で得た樹脂B3を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布し、100℃以下の温度で加熱乾燥した以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B3(ポリエステルイミド)の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB3−1の結果を表1に示した。ヘイズ値は0.7であった。
合成例5で得た樹脂B1を作製例10の金属積層体A2−1の樹脂面に、ダイコーターを用いて、脱溶剤後の厚みが30μmになるように連続的にコーティングした。次いで、100℃に設定された長さ20mのフローティング方式の乾燥炉に、5m/分の速度で連続的に通過させ巻き取り、金属積層体B1−9を得た。このようにして得られた金属張積層体B1−9を更に、窒素下、100ppmの酸素濃度で200℃30分、250℃30分、300℃30分の加熱条件で連続的に熱処理した。
その後、金属積層体B1−9のポリイミド系樹脂B1層のみを剥離し、ポリイミド系フィルムB1−9を得た。結果は表2に示した。ヘイズ値は、0.35であった。
支持基材として作製例11の金属積層体A2−2を用いた以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−10の結果を表2に示した。ヘイズ値は0.37であった。
支持基材として作製例12の金属積層体A2−3を用いた以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−11の結果を表2に示した。ヘイズ値は0.41であった。
支持基材として作製例13の金属積層体A2−4を用いた以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−12の結果を表2に示した。ヘイズ値は0.45であった。
支持基材として作製例14の金属積層体A2−5を用いた以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−13の結果を表2に示した。ヘイズ値は0.35であった。
支持基材として作製例10の金属積層体A2−1の樹脂面に、合成例6で得た樹脂B2を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布した以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B2の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB2−2の結果を表2に示した。ヘイズ値は0.36であった。
支持基材として作製例10の金属積層体A2−1の樹脂面に、合成例7で得た樹脂B3を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布した以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B3の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB3−2の結果を表2に示した。ヘイズ値は0.36であった。
支持基材として作製例10の金属積層体A2−1の樹脂面に、合成例8で得た樹脂B4を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布した以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B4の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB4−1の結果を表2に示した。ヘイズ値は0.6であった。
支持基材として、厚み50μm、巾540mmのアルミ箔(日本電解(株)製3003/H18、20°鏡面光沢度 447)を使用し、未処理面(S面)に合成例5で得た樹脂B1を均一に塗布した以外は実施例1と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。ポリイミド系樹脂B1層を金属積層体B1−14から剥離することができなかった。結果を表1に示した。表1において、「−」は剥離不可能のため測定できなかったことを意味する。なお、アルミ箔の未処理面(S面)には、ポリアミドイミド樹脂A1層は存在しない。
支持基材として、厚み50μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製SHE−TA(BS)、20°鏡面光沢度 687)を使用し、未処理面(S面)に合成例5で得た樹脂B1を均一に塗布した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−15の結果を表1に示した。ヘイズ値は、2.5であった。なお、SUS箔の未処理面(S面)には、ポリアミドイミド樹脂A1層は存在しない。
支持基材として作製例9の金属積層体A1−9の樹脂面に合成例5で得た樹脂B1を均一に塗布した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−16の結果を表1に示した。ヘイズ値は、0.9であった。
支持基材として作製例1の金属積層体A1−1樹脂面に、合成例8で得た樹脂B4を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布し、100℃以下の温度で加熱乾燥した。その後、遠赤外方式((株)ノリタケエンジニアリング製RtoR式熱処理装置熱)の加熱炉内を連続的に搬送させた。加熱炉内の温度(金属積層体B4−2表面温度)は第1、第2、第3ゾーンが180℃、第4ゾーンが250℃、第5、第6、第7ゾーンが330℃(N2流量500L/分、酸素濃度100ppm、遠赤外プレートヒーター上面、下面配置、照射距離100mm、波長5.6〜1000μ、容量225kW、ヒーター寸法150mm×700mm)とし、搬送速度は乾燥時間がそれぞれ10分、5分、10分になるようにして、金属積層体B4−2を得た。ポリイミド系樹脂B4層を金属積層体B4−2から剥離することができなかった。結果は表1に示した。表1において、「−」は剥離不可能のため測定できなかったことを意味する。剥離できなかったのは、金属積層体Aの樹脂Aがポリアミドイミド樹脂であることに起因すると考えられる。すなわち、樹脂B4のポリアミド酸がイミド化する際の脱水反応により樹脂Aのイミド基が開環し、剥離の悪化現象が起こったものと考えられる。一方、実施例18では、金属積層体Aの樹脂Aがポリアミド樹脂であるため、イミド基が存在せず、剥離性の悪化は発生しなかった。
支持基材として、厚み120μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製304nanoBA、20°鏡面光沢度 1000)を使用し、未処理面(S面)に合成例5で得た樹脂B1を均一に塗布した以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。ポリイミド系樹脂B1層を金属積層体B1−17から剥離することができなかった。結果を表2に示した。表2において、「−」は剥離不可能のため測定できなかったことを意味する。なお、SUS箔の未処理面(S面)には、ポリアミド樹脂A2層は存在しない。
支持基材として、厚み50μm、巾540mmのSUS箔(日本金属(株)製304BA2、20°鏡面光沢度 1000)を使用し、未処理面(S面)に合成例5で得た樹脂B1を均一に塗布した以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−18の結果を表2に示した。ヘイズ値は、2.0であった。なお、SUS箔の未処理面(S面)には、ポリアミド樹脂A2層は存在しない。
支持基材として、厚み50μm、巾540mmのアルミ箔(日本電解(株)製3003/H18、20°鏡面光沢度 447)を使用し、未処理面(S面)に合成例5で得た樹脂B1を均一に塗布した以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1−19の成膜を行った。ポリイミド系樹脂B1層を金属積層体B1−19から剥離することができなかった。結果を表2に示した。表1において、「−」は剥離不可能のため測定できなかったことを意味する。なお、アルミ箔の未処理面(S面)には、ポリアミド樹脂A2層は存在しない。
支持基材として作製例15の金属積層体A2−6の樹脂面に、合成例5で得た樹脂B1を乾燥後の厚みが30μmになる様、均一に塗布した以外は実施例11と同様にしてポリイミド系樹脂B1の成膜を行った。得られたポリイミド系フィルムB1−20の結果を表2に示した。ヘイズ値は2.20であった。
Claims (8)
- 工程(A)〜工程(C)を有し、表面粗さ(Rz)が0.08μm未満であるポリイミド系フィルムの製造方法。
工程(A):鏡面光沢度が200以上であり、かつ表面粗さ(Rz)が0.5μm以下である金属材料の表面の一部または全部に、ポリアミド樹脂A2を積層し、金属積層体Aを得る工程
工程(B):金属積層体Aの、ポリアミド樹脂A2層の面に、ポリアミド樹脂A2とは異なるポリイミド系樹脂Bをさらに積層し、金属積層体Bを得る工程
工程(C):金属積層体Bからポリイミド系樹脂B層を剥離してポリイミド系フィルムを得る工程 - ポリアミド樹脂A2が、以下の(iv)である請求項1に記載のポリイミド系フィルムの製造方法。
(iv)ポリアミド樹脂A2を構成する酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、及び1,4−シクロへキサンジカルボン酸からなる群より選ばれた1種以上の化合物を主成分とすること - ポリアミド樹脂A2が、さらに以下の(iii)である請求項1または2に記載のポリイミド系フィルムの製造方法。
(iii)N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.3dl/g以上3.5dl/g以下に相当する分子量であること - ポリアミド樹脂A2が、下記式(4)、及び式(5)からなる群より選ばれた1種以上の構造を構成単位として含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド系フィルムの製造方法。
- ポリアミド樹脂A2がエポキシ樹脂により架橋されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
- 金属材料のヤング率が50kN/mm2以上であり、かつ厚みが30μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド系フィルムの製造方法。
- ポリイミド系樹脂Bを構成する酸成分が、シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物の水素添加物、または1,1’−ビシクロへキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物を主成分とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
- 下記(a)、(b)、(c)、及び(d)からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜7のいずれかに記載のポリイミド系フィルムの製造方法。
(a)表面粗さ(Rz)が0.08μm未満
(b)ガラス転移点が180℃以上350℃以下
(c)400nmの波長での光線透過率が60%以上90%以下
(d)ヘイズ値が0.1以上2.0以下
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