JP6630904B1 - 左右兼用手首サポータ - Google Patents
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Description
従来の手首サポータとしては、例えば、特許文献1の"手首用添え木構造体"に開示されたものなどが知られている。これは、面ファスナ付きの上下3本のストラップ体(サポータ本体)を使用し、掌側の添え木(掌側シーネ)と背側の添え木(背側シーネ)とを、受傷側の手部から前腕部までを掌背方向から挟むようにあてがって固定する左右兼用のサポータである。
そのため、手首サポータの手部との対峙部分にあっては、左右の手の何れに装着した場合でも、母指を差し通した側とは反対側に大きな穴が現出し、サポータによる手部の固定力、ひいては手首の固定力が大きく低下していた。
一方、背側の添え木は、MP関節を固定して手首の背屈を制限する必要があるため、その遠位側の端を、掌側の添え木の遠位側の端より先方(指先方向)となる、MP関節との対峙位置に配する必要があった。
なお、2枚の添え木は、互いに同一サイズとした方が材料の調達やコストの観点から好ましいことは当然である。
また、左右兼用手首サポータを左右の何れの手に装着した際でも、背側シーネによりMP関節を固定して手首の背屈を制限できるように、サポータ本体の背側部分の長さ方向の両端部の内面に、背側の添え木の近位側の端部を収納する一対の位置決めポケットを配設すれば、これらの課題がすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
サポータ本体の素材は湾曲自在であれば任意である。例えば、各種の合成樹脂シート、各種の織布、各種の不織布、各種の編布などを採用することができる。
サポータ本体は、掌側部分と背側部分とを有している。具体的には、掌側部分の幅方向の一端に、背側部分の幅方向の一端が連結されている。サポータ本体を折り畳むための仮想線は、一般的に掌側部分と背側部分との連結位置に配されている。また、この背側部分の幅方向の他端には、背側部分を着脱自在に掌側部分に締結するための締結ベルトが連結されている。さらには、この背側部分の幅方向の他端には、締結ベルトを使用する前に、背側部分を掌側部分に着脱自在に仮止めするための仮止めベルトを配してもよい。
締結ベルトによる背側部分と掌側部分との着脱自在な連結構造としては、例えば、各種の面ファスナを採用することができる。その他、バックルなどの各種の連結部材を採用することができる。
締結ベルトの素材は任意である。例えば、サポータ本体と同じでもよい。
また、締結ベルトの長さや使用本数も任意である。
掌側シーネと背側シーネとの素材は任意である。例えば、石膏、ポリイソシアネート樹脂などの湿気硬化性樹脂といった吸水により硬化する素材などを採用することができる。その他、各種の金属板、各種の合成樹脂板、各種の木板などを採用することができる。
掌側シーネおよび背側シーネの形状は、これらが同一サイズであれば任意である。
一対の位置決めポケットは、一方が左右兼用手首サポータの左手装着時用のもので、他方が左右兼用手首サポータの右手装着時用のものである。
各位置決めポケットの素材は任意である。例えば、各種の合成樹脂シート、各種の織布、各種の不織布、各種の編布などを採用することができる。
各シーネ用カバーのサイズは、対応するシーネより大判であれば任意である。
各シーネ用カバーは、対応するシーネ収納部を形成可能であれば、例えば、対応するシーネ用カバーの一端部のみを、サポータ本体の掌側部分または背側部分の各内側に、片開きドア状に連結してもよい。
掛止部材の種類は限定されない。例えば、面ファスナでも、フックでもよい。
次に、サポータ本体の背側部分の内側に、掌側シーネと同一サイズの背側シーネを配置する。このとき、背側部分の長さ方向において、左母指通し穴とは反対側に配された位置決めポケットに、背側シーネの近位側の端部を収納する。
その後、この背側シーネ付きの背側部分を、左手の手部から前腕部までの背側の面にあてがいながら、左右兼用手首サポータを左手に巻き付け、締結ベルトによりサポータ本体の背側部分を掌側部分に着脱自在に締結する。
次に、サポータ本体の背側部分の内側に背側シーネを配置する。このとき、背側部分の長さ方向において、右母指通し穴とは反対側に配された位置決めポケットに、背側シーネの近位側の端部を収納する。
その後、この背側シーネ付きの背側部分を、右手の手部から前腕部までの背側の面にあてがいながら、左右兼用手首サポータを右手に巻き付け、締結ベルトによりサポータ本体の背側部分を掌側部分に着脱自在に締結する。
その結果、サポータ本体に2つの母指通し穴が形成された左右兼用手首サポータでも、左右兼用手首サポータの装着時に、使用しない側の母指通し穴による手部の固定力の低下が発生しない。
しかも、サポータ本体の背側部分の内側に背側シーネを配置するとき、背側部分の長さ方向において、対応する母指通し穴とは反対側に配された位置決めポケットに、背側シーネの近位側の端部を収納するように構成したため、掌側シーネと同一サイズの背側シーネを使用するにも拘わらず、左右兼用手首サポータを左右の手の何れに装着した際でも、背側シーネの遠位側の端部によって手首の背屈を十分に制限(阻害)することができる。
図1および図2に示すように、サポータ本体13は、それぞれ厚肉で密度が高い不織布製のシート材からなる掌側部分14と、連結部18と、背側部分16と、一対の締結ベルト19とを有している。
このうち、掌側部分14は、手部から前腕部までの長さを有するX1−X2方向に長い矩形状のシート材である。掌側部分14のY1側の端には、連結部18を介して、サポータ本体13の背側部分16のY2側の端が一体的に連結されている。
また、掌側部分14のY2側の端には、掌側シーネ用カバー20のY2側の端部が連結されている。掌側シーネ用カバー20は、掌側部分14と略同一サイズのX1−X2方向に長い矩形状のシートで、その裏側に雄型の掌側面ファスナ(掌側掛止部材)21が接合されている。
背側部分16は、掌側部分14より大判なX1−X2方向に長い矩形状のシート材である。
この背側部分16のX2側の端部の内側には、左右兼用手首サポータ10の左手装着時に、背側シーネ17の遠位側の端が、左手の小指から示指までの各MP関節との対峙位置に配されるように、背側シーネ17の近位側の端部を収納して位置決めする左用位置決めポケット22が設けられている(図4および図8)。
また、背側部分16のX1側の端部の内側には、左右兼用手首サポータ10の右手装着時に、背側シーネ17の遠位側の端が、右手の小指から示指までの各MP関節との対峙位置に配されるように、背側シーネ17の近位側の端部を収納して位置決めする右用位置決めポケット23が設けられている(図9)。このとき、左用位置決めポケット22と右用位置決めポケット23との離間長さは、背側シーネ17の長さより短い。したがって、掌側シーネ15は、掌側シーネ用カバー20を閉じることで現出した、掌側シーネ収納部24に収納される。
さらに、一対の締結ベルト19は、背側部分16のY1側の端に一体的に連結されたシート材である。各締結ベルト19は、各長さ方向がY1−Y2方向に向いているとともに、X1−X2方向の長さが背側部分16の長さの約半分の長さを有したものである。また、各締結ベルト19の先細り化したY1側の端には、幅が狭い雄型の面ファスナ28のY2側の端部が連結されている。
掌側シーネ15および背側シーネ17は、掌側部分14より小判なX1−X2方向に長い矩形状のキャストシーネ(添え木)である。これらのシーネ15,17は、グラスファイバ芯材にポリイソシアネート樹脂等の水硬化性樹脂を含侵させた同一物である。
図2に示すように、あらかじめサポータ本体13の掌側シーネ用カバー20および背側シーネ用カバー25を、それぞれ開いておく。
その後、図3に示すように、掌側シーネ15および背側シーネ17を所定時間だけ水に浸す。これにより、各シーネ15,17のグラスファイバ芯材に含侵されたポリイソシアネート樹脂が徐々に硬化して行く。このうち、硬化途中の掌側シーネ15を掌側部分14の裏側に載置し(図4)、その後、掌側シーネ15を覆うように掌側シーネ用カバー20を閉じる(図1および図5)。これにより、雄型の面ファスナ21が不織布製の掌側部分14の裏側に掛止されて、現出した掌側シーネ収納部24に掌側シーネ15が収納される。
その後、背側シーネ17を覆うように背側シーネ用カバー25を閉じる。これにより、雄型の面ファスナ26が不織布製の掌側部分14の裏側に掛止されて、現出した掌側シーネ収納部27に背側シーネ17が収納される。
図5に示すように、左右兼用手首サポータ10の左手装着時には、まず、左母指通し穴11がサポータ長さ方向の遠位側となるように左右兼用手首サポータ10の向きを合わせ、この状態で左母指通し穴11に左母指を差し通す。
その後、掌側シーネ15が配されたサポータ本体13の掌側部分14を、左手の手部から前腕部までの掌側の面にあてがう。このとき、掌側部分14の遠位側の端は、左手の小指から示指までの4本の指の大きな可動域を確保するように、これらの指のMP関節の近くに配置される(図8)。
次いで、この状態を維持して、背側シーネ17を左手の手部から前腕部までの背側の面にあてがいながら、左右兼用手首サポータ10を左手に巻き付け、各締結ベルト19の雄型の面ファスナ28を掌側部分14の表側に掛止することにより、サポータ本体13の背側部分16を掌側部分14に着脱自在に締結する(図6および図7)。
上述した左手の場合と異なるのは、硬化途中の背側シーネ17を背側部分16の裏側に載置する際、背側シーネ17の近位側の端部を右用位置決めポケット23に収納する点である。
その後、図9および図10に示すように、まず、左右兼用手首サポータ10の長さ方向の近位側と遠位側の向きを、左手装着時の場合とは反対となるように配置する。図9においては、X1は左右兼用手首サポータ10の近位側、X2は左右兼用手首サポータ10の遠位側を示す。
その後、この状態で右母指通し穴12に右母指を差し通す(図10)。次いで、掌側シーネ15が配されたサポータ本体13の掌側部分14を、右手の手部から前腕部までの掌側の面にあてがう。このとき、掌側部分14の遠位側の端は、右手の小指から示指までの4本の指の大きな可動域を確保するように、これらの指のMP関節の近くに配置される(図8を参照)。
その後、この状態を維持して、背側シーネ17を右手の手部から前腕部までの背側の面にあてがいながら、左右兼用手首サポータ10を右手に巻き付け、締結ベルト19の雄型の面ファスナを掌側部分14の表側に掛止することにより、サポータ本体13の背側部分16を掌側部分14に着脱自在に締結する(図10および図11)。
その結果、サポータ本体13に2つの母指通し穴11,12が形成された左右兼用手首サポータ10でも、左右兼用手首サポータ10の装着時に、使用しない側の母指通し穴による手部の固定力の低下が発生しない。
しかも、サポータ本体13の背側部分16の内側に背側シーネ17を配置するとき、背側部分16の長さ方向において、対応する母指通し穴11,12とは反対側に配された位置決めポケット22,23に、背側シーネ17の近位側の端部を収納するように構成したため、掌側シーネ15と同一サイズの背側シーネ17を使用するにも拘わらず、左右兼用手首サポータ10を左右の手の何れに装着した際でも、背側シーネ17の遠位側の端部によって手首の背屈を十分に制限(阻害)することができる(図8)。
図12および図13に示すように、実施例2の左右兼用手首サポータ10Aの特徴は、サポータ本体13Aの背側部分16と、上下一対の締結ベルト19との連結部分に、各締結ベルト19を使用する前に、背側部分16を掌側部分14に着脱自在に仮止めするための上下一対の仮止めベルト50の基端部をそれぞれ連結した点である。各仮止めベルト50は幅が狭い布製のもので、その先端部の外面に、一対の雄型の面ファスナ片51がそれぞれ固着されている。
図13に示すように、左右兼用手首サポータ10Aの左手装着時には、まず、左母指通し穴11がサポータ長さ方向の遠位側となるように左右兼用手首サポータ10Aの向きを合わせ、この状態で左母指通し穴11に左母指を差し通す(図13(a))。
その後、掌側シーネ15が配されたサポータ本体13Aの掌側部分14を、左手の手部から前腕部までの掌側の面にあてがう。
その後、各締結ベルト19の雄型の面ファスナ28を、各仮止めベルト50の上から掌側部分14の表側に掛止することにより、サポータ本体13の背側部分16を掌側部分14に着脱自在に締結する(図13(c))。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と略同じであるため、説明を省略する。
11 左母指通し穴、
12 右母指通し穴、
13,13A サポータ本体、
15 掌側シーネ、
17 背側シーネ、
18 連結部、
19 締結ベルト、
20 掌側シーネ用カバー、
21 面ファスナ(掌側掛止部材)、
22,23 位置決めポケット、
24 掌側シーネ収納部、
25 背側シーネ用カバー、
26 面ファスナ(背側掛止部材)、
27 背側シーネ収納部。
Claims (2)
- 手部から前腕部までを覆う長さの略矩形体であって、その長さ方向に延びる仮想線により折り畳まれて、腕の当該部位をはさんだとき、手の掌に当接する掌側部分および手の背に当接する背側部分を有し、その長さ方向の両端部に左母指通し穴および右母指通し穴がそれぞれ形成されたサポータ本体を備え、
それぞれ矩形板状の背側シーネおよび掌側シーネが、前記サポータ本体の対応する掌側部分および背側部分に配されて、腕の当該装着部位を保護する左右兼用手首サポータにおいて、
前記サポータ本体の背側部分の幅方向の一端には、該背側部分を着脱自在に前記掌側部分に締結する締結ベルトが連結され、
前記背側部分の長さ方向の両端部の内側には、前記左右兼用手首サポータの左手または右手への装着時に、前記背側シーネの遠位側の端が、対応する手の小指から示指までの各MP関節との対峙位置に配されるように、前記背側シーネの近位側の端部を収納して位置決めする一対の位置決めポケットが配設された左右兼用手首サポータ。 - 前記サポータ本体の掌側部分の内側には、前記掌側シーネの上から被せた際に、前記掌側部分の内面との間で掌側シーネ収納部を形成する掌側シーネ用カバーが、掌側掛止部材を介して開閉自在に連結され、
前記サポータ本体の背側部分の内側には、前記背側シーネの上から被せた際に、前記背側部分の内面との間で背側シーネ収納部を形成する背側シーネ用カバーが、背側掛止部材を介して開閉自在に連結された請求項1に記載の左右兼用手首サポータ。
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