JP6630796B2 - ガラス基板の製造方法、及びガラス基板製造装置 - Google Patents
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Description
このようなシートガラスの温度管理を行うため、シートガラスの近傍において上方の空間から下方の空間への熱の移動を遮断する仕切部材が用いられる場合がある。仕切部材は、例えば、搬送方向に沿って配置された複数のヒータの間ごとに設けられ、ヒータは、対向するシートガラスにおいて温度プロファイルが実現されるよう、シートガラスの温度調整を行う。
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程と、を有し、
前記空間には、前記搬送方向に沿って前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられ、
前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて、前記ガラス板の冷却を行い、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記先端部は、前記ガラス板の幅方向の両側の領域及び前記両側の領域の間の領域と向かい合うよう、前記ガラス板の幅方向に沿って延在しており、
前記先端部の前記傾斜角度は、前記両側の領域と向かい合う前記先端部の部分において、前記両側の領域の間の領域と向かい合う前記先端部の部分よりも小さい、ことを特徴とする。
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程と、を有し、
前記空間には、前記搬送方向に沿って前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられ、
前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて、前記ガラス板の冷却を行い、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記温度調整装置を第1の温度調整装置、前記仕切部材を第1の仕切部材、前記先端部を第1の先端部というとき、
前記冷却工程では、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けられ、前記第1の温度調整装置と、前記第1の温度調整装置の下方に配置された第2の温度調整装置と、を少なくとも含む温度調整装置列を用いて、前記ガラス板の温度が搬送方向に順次下がるよう前記ガラス板の冷却を行い、
前記第2の温度調整装置は、少なくとも前記第2の温度調整装置と前記ガラス板との水平方向間に延在する第2の仕切部材によって、前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切られ、
前記第2の仕切部材は、前記第2の温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する第2の先端部を有し、
前記第1の先端部の延在方向の長さは、前記第2の先端部の延在方向の長さより長い、ことを特徴とする。
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程と、を有し、
前記空間には、前記搬送方向に沿って前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられ、
前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて、前記ガラス板の冷却を行い、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記搬送ローラ対のローラの回転軸中心の位置は、前記搬送方向に沿った方向において、前記温度調整装置が位置する高さ範囲の上方又は下方に位置している、ことを特徴とする。
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の搬送方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対と、
前記空間を前記搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材と、
前記スリットを通過するよう搬送される前記ガラス板の温度を制御し、前記ガラス板の冷却を行う温度調整装置と、を有し、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、水平方向に対して前記ガラス板を向くよう下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有している、ことを特徴とする。
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記先端部は、前記ガラス板の幅方向の両側の領域及び前記両側の領域の間の領域と向かい合うよう、前記ガラス板の幅方向に沿って延在しており、
前記先端部の前記傾斜角度は、前記両側の領域と向かい合う前記先端部の部分において、前記両側の領域の間の領域と向かい合う前記先端部の部分よりも小さい、ことを特徴とする。
本発明の別の一態様は、ガラス基板製造装置であって、
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の搬送方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対と、
前記空間を前記搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材と、
前記スリットを通過するよう搬送される前記ガラス板の温度を制御し、前記ガラス板の冷却を行う温度調整装置と、を有し、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、水平方向に対して前記ガラス板を向くよう下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記温度調整装置を第1の温度調整装置、前記仕切部材を第1の仕切部材、前記先端部を第1の先端部というとき、
前記ガラス板の冷却は、前記第1の温度調整装置と、前記第1の温度調整装置の下方に配置された第2の温度調整装置と、を少なくとも含み、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けられた温度調整装置列によって、前記ガラス板の温度が搬送方向に順次下がるよう行われ、
前記第2の温度調整装置は、少なくとも前記第2の温度調整装置と前記ガラス板との水平方向間に延在する第2の仕切部材によって、前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切られ、
前記第2の仕切部材は、前記第2の温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する第2の先端部を有し、
前記第1の先端部の延在方向の長さは、前記第2の先端部の延在方向の長さより長い、ことを特徴とする。
本発明の別の一態様は、ガラス基板製造装置であって、
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の搬送方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対と、
前記空間を前記搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材と、
前記スリットを通過するよう搬送される前記ガラス板の温度を制御し、前記ガラス板の冷却を行う温度調整装置と、を有し、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、水平方向に対して前記ガラス板を向くよう下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記搬送ローラ対のローラの回転軸中心の位置は、前記搬送方向に沿った方向において、前記温度調整装置が位置する高さ範囲の上方又は下方に位置している、ことを特徴とする。
まず、図1および図2を参照して、ガラス基板の製造方法に含まれる複数の工程および複数の工程に用いられるガラス基板の製造装置100を説明する。ガラス基板の製造方法は、図1に示すように、主として、溶融工程S1と、清澄工程S2と、成形工程S3と、冷却工程S4と、切断工程S5とを含む。
図3および図4に、成形装置40の概略構成を示す。図3は、成形装置40の断面図である。図4は、成形装置40の側面図である。
成形体41は、オーバーフローチャンバー20内に設けられる。成形体41は、溶融ガラスFGをオーバーフローさせることによって、溶融ガラスFGをシートガラスSGへと成形する。
断熱部材50は、オーバーフローチャンバー20からフォーミングチャンバー30への熱の移動を遮断する部材である。断熱部材50は、溶融ガラスFGの合流ポイントの近傍に配置されている。また、図3に示すように、断熱部材50は、合流ポイントで合流した溶融ガラスFG(シートガラスSG)の厚み方向両側に配置される。断熱部材50は、溶融ガラスFGの合流ポイントの上側雰囲気および下側雰囲気を仕切ることにより、断熱部材50の上側から下側への熱の移動を遮断する。
冷却ローラ51は、フォーミングチャンバー30内に設けられる。より具体的に、冷却ローラ51は、断熱部材50の直下に配置されている。また、冷却ローラ51は、シートガラスSGの厚み方向両側、及び、シートガラスSGの幅方向両側に配置される。シートガラスSGの厚み方向両側に配置された冷却ローラ51は対で動作する。すなわち、シートガラスSGの両側の領域のうち挟持領域が、二対の冷却ローラ51,51,・・・によって挟み込まれる。
冷却ユニット60は、オーバーフローチャンバー20内及びフォーミングチャンバー30内に設けられ、シートガラスSGを徐冷点近傍まで冷却するユニットである。冷却ユニット60は、複数の冷却要素61〜65を有する。図4において、冷却ユニット60はフォーミングチャンバー30内にのみ示されている。複数の冷却要素61〜65は、シートガラスSGの幅方向及びシートガラスSGの流れ方向に沿って配置されている。具体的に、複数の冷却要素61〜65には、中央領域冷却要素61〜63と、側部冷却要素64,65とが含まれる。
中央領域冷却要素61〜63は、空冷され、シートガラスSGの中央領域CAを冷却する。ここで、シートガラスSGの中央領域とは、シートガラスSGの幅方向中央部分であって、シートガラスSGの有効幅およびその近傍を含む領域である。言い換えると、シートガラスSGの中央領域は、シートガラスSGの両側部(両耳部、両端部)の間に位置する領域である。中央領域冷却要素61〜63は、シートガラスSGの中央領域CAの表面と対向する位置に、流れ方向に沿って配置される。中央領域冷却要素61〜63に含まれる各ユニットは、独立して制御可能である。
また、側部冷却要素64,65は、水冷され、シートガラスSGの側部(耳部、端部)R,Lを冷却する。側部冷却要素64,65は、シートガラスSGの側部R,L(幅方向の両端部)の表面と対向する位置に、流れ方向に沿って配置される。側部冷却要素64,65に含まれる各ユニットは、独立して制御可能である。
引下げローラ81a〜81gは、冷却チャンバー80内に設けられ、フォーミングチャンバー30内を通過したシートガラスSGを、シートガラスSGの流れ方向へ引き下げ、シートガラスSGの搬送を行う。引下げローラ81a〜81gは、冷却チャンバー80の内部で、流れ方向に沿って間隔をあけて配置される。図3及び図4に示される例において、引下げローラ81a〜81gは、仕切部材83によって仕切られた空間ごとに配置されている。なお、引下げローラ81a〜81gは、シートガラスSGの温度が徐冷点以下となる、冷却チャンバー80内の領域に配置されている。シートガラスSGの温度が徐冷点以下となる領域とは、シートガラスSGの中央領域の温度が徐冷点以下となる領域であり、シートガラスSGが徐冷点、歪点を経て、室温近傍の温度まで冷却される領域をいう。徐冷点は、粘度が1013ポワズとなるときの温度であり、ここでは、715.0℃である。図3及び図4に示す例において、シートガラスSGの温度が徐冷点となる位置は、搬送方向の最も上流側にある仕切部材83と、引下げローラ81aとの搬送方向の間にある。
引下げローラ81a〜81gは、それぞれ、シートガラスSGの厚み方向両側(図3参照)、および、シートガラスSGの幅方向両側(図4参照)配置されている。これにより、引下げローラ81a〜81gは、シートガラスSGの幅方向の両側部(両耳部、両端部)R,Lの、シートガラスSGの厚み方向の両側の表面に接触しながらシートガラスSGを下方に引き下げる。シートガラスSGの厚み方向両側に配置された引下げローラ81a〜81gは、対で動作し、対の引下げローラ(搬送ローラ対)81a,81a,・・・が、シートガラスSGを下方向に引き下げる。
引下げローラ81a〜81gは、引下げローラ駆動モータ391(図5参照)によって駆動される。また、引下げローラ81a〜81gは、それぞれ、上流側の部分がシートガラスSGに近づく方向に回転する。引下げローラ81a〜81gの周速度は、下流側に位置する引下げローラであるほど大きい。すなわち、複数の引下げローラ81a〜81gのうち、引下げローラ81aの周速度が最も小さく、引下げローラ81gの周速度が最も大きい。
ヒータ82(82a〜82g)は、冷却チャンバー80の内部に設けられ、冷却チャンバー80の内部空間の温度を調整する。具体的に、ヒータ82a〜82gは、シートガラスSGの流れ方向およびシートガラスSGの幅方向に複数配置される。図3及び図4に示す例では、シートガラスSGの流れ方向に、7つのヒータ82a〜82gが間隔をあけて配置され、仕切部材83によって仕切られた(間仕切りされた)空間ごとに配置されている。各空間に配置されたヒータは、例えば7つのヒータ要素(図示せず)がシートガラスの幅方向に並ぶよう配置されて構成される。各空間に配置されたヒータは、幅方向に沿ったシートガラスSGの温度を制御するよう、仕切られた空間の温度を制御する。ヒータ要素は、例えば、純ニッケル等のように熱伝導が良好な金属部材や、セラミック材等から構成されている。ヒータ要素は、シートガラスSGの両側の領域及び両側の領域の間の領域と対向する位置に配置される。
ヒータ82は、引下げローラ81a〜81gよりも、シートガラスSGから離れて配置されている。
仕切部材83は、板状の断熱部材である。仕切部材83は、冷却チャンバー80を、シートガラスSGの搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、シートガラスSGを通過させるスリットSを形成する。スリットSは、図3に示す例において、シートガラスSGの板厚方向の両側に配置され、互いに向き合う2つの仕切部材83の間に形成される隙間である。スリットSは、シートガラスSGの幅方向に沿って延びている。仕切部材83は、少なくともヒータ82とシートガラスSGとの水平方向間に延在しており、少なくともヒータ82とシートガラスSGとの間において、仕切部材83の上方の空間から下方の空間への熱の移動が遮断される。上方の空間から下方の空間への熱の移動はシートガラスSGの周りで特に大きいため、これにより、温度プロファイルに基づいたシートガラスSGの温度制御を適切に行うことができる。
仕切部材83は、ヒータ82の上方から、その上面がシートガラスSGを向くよう水平方向に対して傾斜して、シートガラスSGに向かって延在する先端部83aを有している。シートガラスSGは、搬送される途中で割れが発生して、シートガラスSGから、ガラス片やガラス屑が落下する場合がある。シートガラスSGの割れは、例えば、シートガラスSGの両側の表面に沿って上昇する気流の変化等に起因して、シートガラスSGが撓むように変形し、仕切部材83と接触してシートガラスSG上に発生した傷が進展することで発生する場合がある。また、例えば、引下げローラ81a〜81gが摩耗し、シートガラスSGが挟持される位置が変化することに起因して発生する場合がある。本実施形態では、仕切部材83の先端部83aが、ヒータ82の上方からシートガラスSGに向かって下方に延在し、落下物からヒータ82を遮るように配置されているため、ガラス片等の落下物が、ヒータ82に直接衝突したり、先端部83aに衝突し、弾んでヒータ82に接触したりすることが防止される。このため、ヒータ82の損傷が防止される。
また、先端部83aの上面が、シートガラスSGを向くよう水平方向に対して傾斜していることで、先端部83a上に落下した落下物は、先端部83aの上面に沿って滑り落ちることができる。このため、落下物が先端部83aに残り、堆積することが防止される。これによって、例えば、ヒータ82からの輻射熱が、堆積した落下物によって遮られて、シートガラスSGの温度制御を適切に行えないことが防止される。
すなわち、本実施形態によれば、仕切部材83の仕切り機能によって、ヒータ82による温度制御を適切に行いながら、シートガラスSGに割れが生じたときに、ヒータ82を落下物から保護し、仕切部材83に落下物が堆積することを防止することができる。
なお、シートガラスSGの厚み方向(図3の左右方向)に沿った先端部83aの傾斜角度は、図3に示す例では、一定であるが、シートガラスSGに向かって延在する途中で変化していてもよく、例えば、先端部83aは、先端部83aの延在方向(シートガラスSGから離れる側からシートガラスSGに近づく側に向かう方向)及び厚み方向と直交する方向に見て、湾曲または屈曲していてもよい。
一方で、先端部83aの上記長さL1は、シートガラスSGと向かい合うヒータ82の端のうち上端と、この上端の下方に位置する引下げローラのうち当該ヒータ82に最も接近して配置される引下げローラ(例えば、ヒータ82eの上端の下方に最も接近して配置される引下げローラ81e)との間隔L3より小さいことが好ましい。先端部83aは、シートガラスSGからの輻射熱を反射するため、先端部83aの上記長さL1が上記間隔L3以上の長さであると、先端部83aの上方に当該先端部83aに最も近接して配置された引下げローラ(例えば、図6に示す2つの仕切部材83のうちの下方の仕切部材83の先端部83aの上方に当該先端部83aに最も近接して配置された引下げローラ81e)が加熱され、損傷する場合がある。
図3に示す例において、後端部83bは、水平方向に延在しているが、水平方向に対して、後端部83bの上面がシートガラスSGを向くよう水平方向に対して傾斜していてもよい。この場合、先端部83a及び後端部83bの傾斜角度は等しくてもよい(図8参照)。また、仕切部材83は、後端部を有していなくてもよい。
これと同様の理由から、先端部83aの延在方向の長さは、シートガラスSGの幅方向の両側の領域と向かい合う先端部83aの部分において、中央領域と向かい合う先端部83aの部分よりも短いことも好ましい。
図7は、仕切部材83の変形例を示す図である。図8は、仕切部材83の別の変形例を示す図である。
仕切部材83は、図7に示す変形例のように、先端部83aが後端部83bに対して回動するよう構成されていてもよい。この変形例において、先端部83aは、ヒンジによって後端部83bと連結され、図7の破線で示すように回動することができる。図7に示す変形例では、先端部83aのみが、水平方向に対して傾斜するため、仕切部材83の全体が回動して傾斜する場合と比べ、水平方向に対する傾斜角度を大きくしやすい。
また、シートガラスSGが割れて落下したガラス片等が先端部83a上に存在する場合に、例えば、上記説明した変形例の仕切部材83を用いて、操業中に、図7及び図8において実線で示した状態から、先端部83aあるいは仕切部材83の全体を回動させ、傾斜角度を大きくすることが可能である。これにより、先端部83a上に存在するガラス片等を滑らせて、下方に落とすことができる。このような傾斜角度の変更は、例えばバネやシリンダーによって発生する機械的な力を、先端部83aまたは仕切部材83に対して作用させる方法を用いて、手動あるいは自動で行うことができる。
また、一実施形態によれば、複数の仕切部材83において、上流側の仕切部材83の先端部83a(第1の先端部)の水平方向に対する傾斜角度は、下流側の仕切部材83の先端部83a(第2の先端部)の水平方向に対する傾斜角度より小さいことが好ましい。上述したように、ヒータ82からの輻射熱の熱量は、上流側に位置するヒータ82であるほど大きいため、第1の先端部83aの傾斜角度を小さくして、ヒータ82からの輻射熱が遮られることによるシートガラスSGの温度調整に対する影響を小さくすることが好ましい。この場合、仕切部材83の傾斜角度は、上流側から下流側にかけて、連続的にあるいは段階的に大きくなっていることが好ましい。
切断装置90は、冷却チャンバー80内で室温近傍の温度まで冷却されたシートガラスSGを、所定のサイズに切断する。切断装置90は、所定の時間間隔でシートガラスSGを切断する。これにより、シートガラスSGは、複数のガラス板になる。切断装置90は、切断装置駆動モータ392(図5を参照)によって駆動される。
制御装置500は、CPU、RAM、ROM、およびハードディスク等から構成されており、ガラス基板の製造装置100に含まれる種々の機器の制御を行う。図5は、一実施形態における制御装置500の構成の一例を示すブロック図である。
例えば、引下げローラ81a〜81gは、搬送方向に等間隔に配置されていてもよいが、搬送方向に異なる間隔で配置されていてもよい。例えば、搬送方向に隣り合う引下げローラ81a〜81gの間隔は、下流側の間隔であるほど、大きくてもよい。また、引下げローラ81a〜81gは、仕切部材83によって仕切られた空間ごとに配置されていなくてもよい。
12 清澄装置
40 成形装置
41 成形体
51 冷却ローラ
60 冷却ユニット
81a〜81g 引下げローラ
82a〜82g ヒータ(温度調整装置)
83 仕切部材
83a 先端部
83b 後端部
90 切断装置
100 ガラス基板製造装置
500 制御装置
Claims (8)
- 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程と、を有し、
前記空間には、前記搬送方向に沿って前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられ、
前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて前記ガラス板の冷却を行い、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記先端部は、前記ガラス板の幅方向の両側の領域及び前記両側の領域の間の領域と向かい合うよう、前記ガラス板の幅方向に沿って延在しており、
前記先端部の前記傾斜角度は、前記両側の領域と向かい合う前記先端部の部分において、前記両側の領域の間の領域と向かい合う前記先端部の部分よりも小さい、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程と、を有し、
前記空間には、前記搬送方向に沿って前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられ、
前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて前記ガラス板の冷却を行い、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記温度調整装置を第1の温度調整装置、前記仕切部材を第1の仕切部材、前記先端部を第1の先端部というとき、
前記冷却工程では、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けられ、前記第1の温度調整装置と、前記第1の温度調整装置の下方に配置された第2の温度調整装置と、を少なくとも含む温度調整装置列を用いて、前記ガラス板の温度が搬送方向に順次下がるよう前記ガラス板の冷却を行い、
前記第2の温度調整装置は、少なくとも前記第2の温度調整装置と前記ガラス板との水平方向間に延在する第2の仕切部材によって、前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切られ、
前記第2の仕切部材は、前記第2の温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する第2の先端部を有し、
前記第1の先端部の延在方向の長さは、前記第2の先端部の延在方向の長さより長い、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送させて冷却する冷却工程と、を有し、
前記空間には、前記搬送方向に沿って前記空間を複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材が設けられ、
前記冷却工程では、前記ガラス板を前記スリットを通過させるよう搬送しながら、前記ガラス板の温度を制御する温度調整装置を用いて前記ガラス板の冷却を行い、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して下方に傾斜して前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記搬送ローラ対のローラの回転軸中心の位置は、前記搬送方向に沿った方向において、前記温度調整装置が位置する高さ範囲の上方又は下方に位置している、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - 前記搬送ローラ対のうち少なくとも一部の搬送ローラ対は、前記搬送方向に隣り合う前記温度調整装置の間に回転軸中心が位置するよう配置され、前記搬送方向の下流側に位置する前記搬送ローラ対であるほど、当該搬送ローラ対のローラと、当該ローラの上方に当該ローラと最も接近して配置された温度調整装置との前記搬送方向に沿った距離が小さい、請求項3に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記仕切部材は、さらに、前記先端部と接続され、前記ガラス板から遠ざかるように延在する後端部であって、前記温度調整装置の上方において、前記温度調整装置を前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切る後端部を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
- 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の搬送方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対と、
前記空間を前記搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材と、
前記スリットを通過するよう搬送される前記ガラス板の温度を制御し、前記ガラス板の冷却を行う温度調整装置と、を有し、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、水平方向に対して前記ガラス板を向くよう下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記先端部は、前記ガラス板の幅方向の両側の領域及び前記両側の領域の間の領域と向かい合うよう、前記ガラス板の幅方向に沿って延在しており、
前記先端部の前記傾斜角度は、前記両側の領域と向かい合う前記先端部の部分において、前記両側の領域の間の領域と向かい合う前記先端部の部分よりも小さい、ことを特徴とするガラス基板製造装置。 - 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の搬送方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対と、
前記空間を前記搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材と、
前記スリットを通過するよう搬送される前記ガラス板の温度を制御し、前記ガラス板の冷却を行う温度調整装置と、を有し、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、水平方向に対して前記ガラス板を向くよう下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記温度調整装置を第1の温度調整装置、前記仕切部材を第1の仕切部材、前記先端部を第1の先端部というとき、
前記ガラス板の冷却は、前記第1の温度調整装置と、前記第1の温度調整装置の下方に配置された第2の温度調整装置と、を少なくとも含み、前記ガラス板の搬送方向に沿って設けられた温度調整装置列によって、前記ガラス板の温度が搬送方向に順次下がるよう行われ、
前記第2の温度調整装置は、少なくとも前記第2の温度調整装置と前記ガラス板との水平方向間に延在する第2の仕切部材によって、前記搬送方向の上流側の空間に対して仕切られ、
前記第2の仕切部材は、前記第2の温度調整装置の上方から、前記ガラス板を向くよう水平方向に対して傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する第2の先端部を有し、
前記第1の先端部の延在方向の長さは、前記第2の先端部の延在方向の長さより長い、ことを特徴とするガラス基板製造装置。 - 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、
炉壁で囲まれた空間において、前記ガラス板の搬送方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対と、
前記空間を前記搬送方向に沿って複数の空間に間仕切りしつつ、前記ガラス板を通過させるスリットを形成する仕切部材と、
前記スリットを通過するよう搬送される前記ガラス板の温度を制御し、前記ガラス板の冷却を行う温度調整装置と、を有し、
前記温度調整装置は、前記ガラス板に対向する位置に設けられ、幅方向に沿った前記ガラス板の温度を制御するよう、前記間仕切りされた空間の温度を制御し、
前記仕切部材は、前記温度調整装置の上方から、水平方向に対して前記ガラス板を向くよう下方に傾斜して、前記ガラス板に向かって延在する先端部を有し、
前記先端部の延在方向の傾斜角度は水平方向に対し20〜50°であり、
前記搬送ローラ対のローラの回転軸中心の位置は、前記搬送方向に沿った方向において、前記温度調整装置が位置する高さ範囲の上方又は下方に位置している、ことを特徴とするガラス基板製造装置。
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