JP7010644B2 - ガラス基板の製造方法、及びガラス基板製造装置 - Google Patents
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Description
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形体からオーバーフローさせて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に設けられた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する搬送工程と、を有し、
前記搬送ローラ対は、前記ガラス板の温度が歪点以下となる温度領域に配置され、前記搬送ローラ対のそれぞれは、第1ローラと、前記ガラス板を挟んで前記第1ローラに圧接される第2ローラと、を有し、
前記搬送ローラ対のうち、第1搬送ローラ対の下方に配置された第2搬送ローラ対に関して、第1ローラの回転軸中心の位置が、前記第1搬送ローラの第1ローラの回転軸中心の位置に対して、前記成形体から鉛直下方に延びる直線から遠ざかる側に位置していることで、前記搬送工程において、前記両側の領域を、前記両側の領域の間の中央領域に対して前記直線から遠ざかる側にずらして、前記ガラス板が凸曲面を有するよう前記ガラス板を湾曲させて搬送する、ことを特徴とする。
溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形体からオーバーフローさせて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、前記ガラス板の温度が歪点以下となる温度領域に、前記ガラス板の搬送方向に間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対を有し、
前記搬送ローラ対のそれぞれは、第1ローラと、前記ガラス板を挟んで前記第1ローラに圧接される第2ローラと、を有し、
前記搬送ローラ対のうち、第1搬送ローラ対の下方に配置された第2搬送ローラ対に関して、第1ローラの回転軸中心の位置が、前記第1搬送ローラの第1ローラの回転軸中心の位置に対して、前記成形体から鉛直下方に延びる直線から遠ざかる側に位置していることで、前記搬送ローラ対は、前記両側の領域を、前記両側の領域の間の中央領域に対して前記直線から遠ざかる側にずらして、前記ガラス板が凸曲面を有するよう前記ガラス板を湾曲させて搬送する、ことを特徴とする。
まず、図1および図2を参照して、ガラス基板の製造方法に含まれる複数の工程および複数の工程に用いられるガラス基板の製造装置100を説明する。ガラス基板の製造方法は、図1に示すように、主として、溶融工程S1と、清澄工程S2と、成形工程S3と、冷却工程S4と、切断工程S5とを含む。
図3および図4に、成形装置40の概略構成を示す。図3は、成形装置40の断面図である。図4は、成形装置40の側面図である。
成形体41は、オーバーフローチャンバー20内に設けられる。成形体41は、溶融ガラスFGをオーバーフローさせることによって、溶融ガラスFGをシートガラスSGへと成形する。
仕切り部材50は、オーバーフローチャンバー20からフォーミングチャンバー30への熱の移動を遮断する部材である。仕切り部材50は、溶融ガラスFGの合流ポイントの近傍に配置されている。また、図3に示すように、仕切り部材50は、合流ポイントで合流した溶融ガラスFG(シートガラスSG)の厚み方向両側に配置される。仕切り部材50は、溶融ガラスFGの合流ポイントの上側雰囲気および下側雰囲気を仕切ることにより、仕切り部材50の上側から下側への熱の移動を遮断する。
冷却ローラ51は、フォーミングチャンバー30内に設けられる。より具体的に、冷却ローラ51は、仕切り部材50の直下に配置されている。また、冷却ローラ51は、シートガラスSGの厚み方向両側、及び、シートガラスSGの幅方向両側に配置される。シートガラスSGの厚み方向両側に配置された冷却ローラ51は対で動作する。すなわち、シートガラスSGの両側の領域のうち挟持領域が、二対の冷却ローラ51,51,・・・によって挟み込まれる。
冷却ユニット60は、オーバーフローチャンバー20内及びフォーミングチャンバー30内に設けられ、シートガラスSGを徐冷点近傍まで冷却するユニットである。徐冷点は、粘度が1013ポワズとなるときのシートガラスSGの温度であり、ここでは、715.0℃である。冷却ユニット60は、複数の冷却要素61~65を有する。図4において、冷却ユニット60はフォーミングチャンバー30内にのみ示されている。複数の冷却要素61~65は、シートガラスSGの幅方向及びシートガラスSGの流れ方向に沿って配置されている。具体的に、複数の冷却要素61~65には、中央領域冷却要素61~63と、側部冷却要素64,65とが含まれる。
中央領域冷却要素61~63は、空冷され、シートガラスSGの中央領域CAを冷却する。ここで、シートガラスSGの中央領域とは、シートガラスSGの幅方向中央部分であって、シートガラスSGの有効幅およびその近傍を含む領域である。言い換えると、シートガラスSGの中央領域は、シートガラスSGの両側部(両耳部、両端部)の間に位置する領域である。中央領域冷却要素61~63は、シートガラスSGの中央領域CAの表面と対向する位置に、流れ方向に沿って配置される。中央領域冷却要素61~63に含まれる各ユニットは、独立して制御可能である。
また、側部冷却要素64,65は、水冷され、シートガラスSGの側部(耳部、端部)R,Lを冷却する。側部冷却要素64,65は、シートガラスSGの側部R,L(幅方向の両端部)の表面と対向する位置に、流れ方向に沿って配置される。側部冷却要素64,65に含まれる各ユニットは、独立して制御可能である。
引下げローラ81a~81gは、冷却チャンバー80内に設けられ、フォーミングチャンバー30内を通過したシートガラスSGを、シートガラスSGの流れ方向へ引き下げ、シートガラスSGの搬送を行う。引下げローラ81a~81gは、冷却チャンバー80の内部で、流れ方向に沿って間隔をあけて配置される。図3及び図4に示される例において、引下げローラ81a~81gは、断熱部材80bによって仕切られた空間ごとに配置されている。なお、引下げローラ81a~81gは、少なくとも一部が、シートガラスSGの温度が歪以下となる、冷却チャンバー80内の領域に配置されている。シートガラスSGの温度が歪点以下となる領域とは、シートガラスSGの幅方向全域の温度が歪点以下となる領域をいう。歪点は、粘度が1014.5PoiseとなるときのシートガラスSGの温度である。図3及び図4に示す例において、シートガラスSGの温度が歪点となる位置は、例えば、引下げローラ81cと、引下げローラ81dとの搬送方向の間にある。
引下げローラ81a~81gは、それぞれ、シートガラスSGの厚み方向両側(図3参照)、および、シートガラスSGの幅方向両側(図4参照)配置されている。これにより、引下げローラ81a~81gは、シートガラスSGの幅方向の両側部(両耳部、両端部)R,Lの、シートガラスSGの厚み方向の両側の表面に接触しながらシートガラスSGを下方に引き下げる。シートガラスSGの厚み方向両側に配置された引下げローラ81a~81gは、対で動作し、対の引下げローラ(搬送ローラ対)81a,81a,・・・が、シートガラスSGを下方向に引き下げる。
ヒータ82(82a~82g)は、冷却チャンバー80の内部に設けられ、冷却チャンバー80の内部空間の温度を調整する。具体的に、ヒータ82a~82gは、シートガラスSGの流れ方向およびシートガラスSGの幅方向に複数配置される。図3及び図4に示す例では、シートガラスSGの流れ方向に、7つのヒータ82a~82gが間隔をあけて配置され、断熱部材80bによって仕切られた空間ごとに配置されている。各空間に配置されたヒータは、例えば7つのヒータ要素(図示せず)がシートガラスの幅方向に並ぶよう配置されて構成される。ヒータ要素は、シートガラスSGの両側の領域及び両側の領域の間の領域と対向する位置に配置される。ヒータ82は、引下げローラ81a~81gよりも、シートガラスSGから離れて配置されている。
切断装置90は、冷却チャンバー80内で室温近傍の温度まで冷却されたシートガラスSGを、所定のサイズに切断する。切断装置90は、所定の時間間隔でシートガラスSGを切断する。これにより、シートガラスSGは、複数のガラス板になる。切断装置90は、切断装置駆動モータ392(図5を参照)によって駆動される。
制御装置500は、CPU、RAM、ROM、およびハードディスク等から構成されており、ガラス基板の製造装置100に含まれる種々の機器の制御を行う。図5は、一実施形態における制御装置500の構成の一例を示すブロック図である。
制御装置500は、さらに、搬送工程において、引下げローラ位置制御用モータ394a~394gを用いて引下げローラ81a~81gの位置制御を行う。以下、搬送工程について説明する。
搬送工程において、制御装置500は、ローラ圧力センサ382の計測結果に基づいて、引下げローラ81a~81gは、位置制御される。具体的に、引下げローラ81a~81gの各対をなす第1ローラと第2ローラのうち、第2ローラが、第1ローラに対してシートガラスSGを挟んで一定の力で押圧するように、第2ローラの第1ローラに対する相対位置を制御する。
本実施形態では、シートガラスSGの温度が歪点以下となる領域に配置された搬送ローラ対のうち、第1ローラA1と第2ローラB1の対(第1搬送ローラ対)と、この対の下方に配置された第1ローラA2と第2ローラB2の対(第2搬送ローラ対)に関して、第1ローラA2の回転軸中心の位置が、図6に示されるように、第1ローラA1の回転軸中心の位置に対して、成形体41から鉛直下方に延びる仮想直線Sから距離D、遠ざかる側(図6において右側)に位置している。このように、第1ローラA2の回転軸中心が第1ローラA1の回転軸中心に対して位置ずれしていることで、搬送工程では、シートガラスSGの両側の領域が、図7に示すように、両側の領域の間の中央領域に対して、上記仮想直線Sから遠ざかる側にずれて、シートガラスSGが凸曲面SG1を有するように湾曲した状態で搬送される。
これに対し、第3搬送ローラ対が、第2搬送ローラ対に対して、仮想直線Sに接近する側に位置している場合は、シートガラスSGは、第2搬送ローラ対を通過した後、両側の側部L,Rが仮想直線Sに接近する側にずれ、図7に実線で示した例とは反対側(図7において左側)に突出した凸曲面を有するように湾曲する。このように、搬送経路の途中で、シートガラスSGの凸曲面が突出する側が切り替わると、シートガラスSGは、搬送方向の一部の領域において幅方向に平坦になる。幅方向に平坦なシートガラスSGは、気流の影響を受けやすく、容易に形状が変化する。
上述したように、第1ローラA1、A2、A3の回転軸中心の位置が、下流側に進むに連れて、仮想直線Sに対して同じ側に遠ざかるよう位置している場合は、搬送経路の途中で、シートガラスSGが幅方向に平坦になる部分が生じないため、シートガラスSGの形状は気流の影響による変化を受け難い。
一方で、距離Dが過度に大きくなると、シートガラスSGの湾曲の程度が大きくなりすぎ、シートガラスSGを搬送し難くなる場合がある。また、下流側に位置する搬送ローラ対を通過するときのシートガラスSGの傾斜が大きくなるため、これに起因して、割れが発生する場合がある。このため、一実施形態によれば、搬送方向に隣り合う搬送ローラ対の間隔Lに対する距離Dの比D/Lが、0.001~0.02となるよう、距離Dが間隔Lに対して設定されることが好ましい。シートガラスSGは、搬送ローラ対によって挟持され、幅方向に引っ張られながら下方向に搬送されるため、比D/Lが上記した小さい範囲に設定されていても、シートガラスSGの湾曲した状態を安定させることができる。比D/Lは、下流側に進むに連れて、大きくなっていることが好ましいが、一方で、小さくなっていてもよい。
この場合において、上記距離D2が上記距離D1より大きい場合は、さらに、第3搬送ローラ対の下方に位置する断熱部材80bとシートガラスSGとの間の隙間が、第2搬送ローラ対と第3搬送ローラ対の搬送方向の間に位置する断熱部材80bとシートガラスSGとの間の隙間よりも大きくなるよう、シートガラスSGに接近して配置される断熱部材80bの端部の位置が調節されていることが好ましい。
例えば、引下げローラ81a~81gは、搬送方向に等間隔に配置されていてもよいが、搬送方向に異なる間隔で配置されていてもよい。例えば、搬送方向に隣り合う引下げローラ81a~81gの間隔は、下流側に位置するものであるほど、大きくてもよい。
12 清澄装置
40 成形装置
41 成形体
51 冷却ローラ
60 冷却ユニット
81a~81g 引下げローラ
82a~82g ヒータ
90 切断装置
100 ガラス基板製造装置
500 制御装置
Claims (4)
- 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形体からオーバーフローさせて成形し、ガラス板を形成する成形工程と、
前記ガラス板の幅方向の両側の領域を、前記ガラス板の搬送方向に設けられた複数の搬送ローラ対で挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する搬送工程と、を有し、
前記搬送ローラ対は、前記ガラス板の温度が歪点以下となる温度領域に配置され、前記搬送ローラ対のそれぞれは、第1ローラと、前記ガラス板を挟んで前記第1ローラに圧接される第2ローラと、を有し、
前記搬送ローラ対のうち、第1搬送ローラ対の下方に配置された第2搬送ローラ対に関して、第1ローラの回転軸中心の位置が、前記第1搬送ローラの第1ローラの回転軸中心の位置に対して、前記成形体から鉛直下方に延びる直線から遠ざかる側に位置していることで、前記搬送工程において、前記両側の領域を、前記両側の領域の間の中央領域に対して前記直線から遠ざかる側にずらして、前記ガラス板が凸曲面を有するよう前記ガラス板を湾曲させて搬送する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - 前記搬送ローラ対のうち、前記第2搬送ローラ対の下方に配置された第3搬送ローラ対に関して、第1ローラの回転軸中心の位置が、前記第2搬送ローラ対の第1ローラの回転軸中心の位置に対して、前記直線から遠ざかる側に位置している、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記直線から遠ざかる方向に沿った、前記第3搬送ローラ対の第1ローラの回転軸中心の位置と、前記第2搬送ローラ対の第1ローラの回転軸中心の位置との距離D2は、前記第2搬送ローラ対の第1ローラの回転軸中心の位置と、前記直線から遠ざかる方向に沿った、前記第1搬送ローラ対の第1ローラの回転軸中心の位置との距離D1より大きい、請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
- 溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形体からオーバーフローさせて成形し、ガラス板を形成する成形装置を備え、
前記成形装置は、前記ガラス板の温度が歪点以下となる温度領域に、前記ガラス板の搬送方向に間隔をあけて設けられ、前記ガラス板の幅方向の両側の領域を挟持しつつ、前記ガラス板を下方向に搬送する複数の搬送ローラ対を有し、
前記搬送ローラ対のそれぞれは、第1ローラと、前記ガラス板を挟んで前記第1ローラに圧接される第2ローラと、を有し、
前記搬送ローラ対のうち、第1搬送ローラ対の下方に配置された第2搬送ローラ対に関して、第1ローラの回転軸中心の位置が、前記第1搬送ローラの第1ローラの回転軸中心の位置に対して、前記成形体から鉛直下方に延びる直線から遠ざかる側に位置していることで、前記搬送ローラ対は、前記両側の領域を、前記両側の領域の間の中央領域に対して前記直線から遠ざかる側にずらして、前記ガラス板が凸曲面を有するよう前記ガラス板を湾曲させて搬送する、ことを特徴とするガラス基板製造装置。
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