JP6630141B2 - 酸化チタン含有組成物、酸化チタン含有組成物の製造方法、光触媒構造体 - Google Patents

酸化チタン含有組成物、酸化チタン含有組成物の製造方法、光触媒構造体 Download PDF

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本発明は、光触媒機能と、抗菌・抗ウイルス性の少なくとも一方の機能とを持つ、酸化チタンを含有する組成物である酸化チタン含有組成物、及びその応用に主に関する。
酸化チタンを用いた光触媒は、安価で化学的安定性に優れ、高い光触媒活性(有機化合物分解性、抗菌性等)を有し、人体に無害であること等により、光触媒として広く用いられている。
また、この酸化チタンに銅金属又は銅化合物を混合した酸化チタン含有組成物は、優れた光触媒機能と、抗菌・抗ウイルス性を持つことが知られている。
例えば、特許文献1には、1価の銅化合物と共に光触媒物質を含む微生物不活化剤としての酸化チタン含有組成物が開示されており、光触媒物質として酸化チタン触媒を用いることができることが開示されている。更に、特許文献1には、2価の銅化合物に比べて1価の銅化合物が微生物に対してはるかに強い不活化作用を有するとの記載がされている。
しかしながら、1価の銅化合物は酸化され易く、例えば1価の銅酸化物であるCuO(赤色)が酸化されて2価の銅酸化物であるCuO(黒色)に変化するなどした場合に色むらや抗菌・抗ウイルス性の低下が生じる場合がある。
酸化チタン含有組成物は所定の基材(例えば、膜材)の表面に塗布して、乾燥させるなどしてその主に固形分を基材の表面に固定させて使用されるのが一般的であるが、酸化チタン含有組成物を塗布して基材の表面に作られた光触媒層の表面に上述の如き色むらが生じると、意匠性に劣ることになる。
そのような点を改良するために、銅化合物として2価のものを用いることも、特許文献2では開示されている。2価の銅化合物には様々なものがあるが、その価格や入手の安定性等の面から見て、銅化合物に2価の酸化銅を用いるのが便利である。
しかしながら、例えば2価の銅化合物として2価の酸化銅(CuO)を用いた場合には、酸化チタン含有組成物の色彩は全体として黒みがかったものになる。
特開2011−190192号公報 特許第5343176号公報
酸化チタン含有組成物が黒みがかった色彩であると、それを基材に塗布して用いるという用途が制限されることがある。例えば2価の酸化銅を用いた酸化チタン含有組成物は、屋外等では紫外線照射に起因して黒ずみが生じることが多く、このため用途が制限されている。更に、屋内等の主に可視光線照射環境下では、酸化チタン含有組成物はその機能が保証される限り透明であるのが最良であろうが、せめて白色になるべく近い色彩であることが、その応用範囲の広さからいって好ましい。
また、2価の酸化銅を用いた酸化チタン含有組成物は、それを基材の表面に塗布して用いた場合に、1価の酸化銅を用いた酸化チタン含有組成物を用いる場合に比してその表面に色むらが生じることは少ないが、それでもなお、例えば屋内等の、高湿度雰囲気下や、或いは酸化チタンが光触媒効果を生じるような光の存在する環境下で、酸化チタン含有組成物が塗布された膜表面に人の手などが接触したり、有機物が付着したりした場合には、酸化チタン含有組成物を用いて作られた光触媒層の表面に色むらが生じることがありうる。そのような色むらの発生は、酸化チタン含有組成物を基材の表面に塗布して作られた光触媒層の色が、全体として同色で均一に黒ずんでいるよりも、意匠的に問題を生じる可能性が高い。
本願発明は、抗菌性及び抗ウイルス性を有し、2価の酸化銅を含む酸化チタン含有組成物の色彩を白色に近く、且つそれが維持されやすいものとすることにより、酸化チタン含有組成物の応用範囲を広げること、及びその応用を提供することをその課題とする。
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含む酸化チタン含有組成物であって、前記固形分に対して、0.5〜25質量%に相当する量のスルホン酸を含んでなる、酸化チタン含有組成物である。
ここで、本願発明におけるスルホン酸は、式(1)により表されるアルキルスルホン酸又はアルケニルスルホン酸である。
−SOOH (1)
(式中、Rは、置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10のアリール基を示す。)
上記式(1)で表されるスルホン酸の例は、ビニルスルホン酸又はメタンスルホン酸である。
固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含む酸化チタン含有組成物は、概ね従来技術(特許文献2)で述べた酸化チタン含有組成物と同じである。本願発明者は、これに、上記固形分に対して、0.5〜25質量%に相当する量の上記式(1)で表されるスルホン酸を更に加えたものが、白色に近い色彩となるとともに使用においての変色及び色むらの発生が少ないこと、及び使用環境に於いて抗菌・抗ウイルス性の低下が少ないという効果を生じることを見出した。
従来の酸化チタン含有組成物に上記式(1)で表されるスルホン酸を加えた酸化チタン含有組成物が白色に近い色彩となる機序は詳しくは不明である。本願発明者の考察によれば、2価の酸化銅と上記式(1)で表されるスルホン酸とが、前者が塩基として、後者が酸として反応を生じる(例えば、CuO+2HOSO→Cu(OSO+HOのように反応を生じる)ことが、酸化チタン含有組成物が白色に近い色彩となる理由になっている可能性がある。
また、本願発明者は、本願発明による酸化チタン含有組成物が白色の色彩を維持しやすいことについての機序も、詳しくは不明であるが、酸化チタン含有組成物が白色になる上述の理由と同様の機序によるのではないかと予想している。
更に、本願発明は、紫外線照射により黒ずみを生じにくいという効果も顕著に有する。そして、この効果を生じる機序も詳しくは不明である。酸化チタン含有組成物において、黒ずみは、2価の酸化銅と4価の酸化チタンの少なくとも一方が還元されることによるものと思われるが、これが防止される機序は、上述のような酸と塩基との反応のみでは説明し難く、上記式(1)で表されるスルホン酸独自の効果もあるものと推察される。
以下に述べる酸化チタン含有組成物もそうであるが、本願における酸化チタン含有組成物は、例えば、その用途が光触媒である場合もあるし、その用途が抗菌又は抗ウイルス剤である場合もある。
なお、本願における溶剤は、固形物としての酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを懸濁させるものである。通常、「懸濁」の語は、固形物を溶解させない状態で溶媒中に分散させることを意味するが、例えば、溶剤がアルコールであり、バインダーが分子量の小さなシリカバインダーである場合等には、溶剤にシリカバインダーが溶解することもあり得る。そのような点を考慮して、本願でいう「懸濁」には、固形物の一部が溶剤に溶解するものの、固形物の残部が固体として溶液中に分散している場合も含むものとする。
前記酸化チタン化合物は、アナターゼ型酸化チタン或いはルチル型酸化チタン又はそれらの混合物であっても良い。酸化チタンの結晶構造にはアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型があるが、本願発明の酸化チタンとしては、これらのうちアナターゼ型酸化チタンと、ルチル型酸化チタンとを用いることができる。アナターゼ型酸化チタンと、ルチル型酸化チタンとは、一般に紫外線照射下では前者の方が光触媒としての機能が高いが、それらは混合されていてもよい。
前記酸化チタン化合物が、酸化チタンに占めるルチル型酸化チタンのモル比が50%以上のものとなっていても良い。このような酸化チタン化合物を用いることにより、酸化チタン化合物が生じる光触媒作用と、抗菌・抗ウィルス性をより大きくすることができる。
前記酸化銅の少なくとも一部が、上記式(1)で表されるスルホン酸との反応物となっていても良い。
かかる反応物は、従来の酸化チタン含有組成物に上記式(1)で表されるスルホン酸を加えただけで生じる場合もあるし、製造の過程でかかる反応物を生じさせるための反応を促進するための処理(かかる処理については後述する。)を行って得られる場合もある。本願でいう反応物は、上述の如き反応物の生成を促進する処理を行った上で生じたものとそうでないものとの双方を含む。
本願発明におけるバインダーは、酸化チタン含有組成物の使用時において、酸化チタン含有組成物を、所定の基材の表面に塗布して、乾燥させるなどしてその主に固形分を基材の表面に固定させるにあたって、基材に対して酸化チタンを固定できるようなものであれば良い。いずれにしても、バインダーには公知のものを用いることができる。
また、本願発明におけるバインダーは、バインダー表面に水酸基を有するものであっても良い。このようなバインダーであれば、上記式(1)で表されるスルホン酸が、二重結合を有するビニルスルホン酸であるアルケニルスルホン酸等である場合には、バインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合との反応が可能となり、フリー(単独)のスルホン酸が少なくなる。これにより、スルホン酸として上述の如き二重結合を有するものが選択された酸化チタン含有組成物は、それを用いて作られた塗膜が高湿度環境や温水等と接触した時に、塗膜から溶出するスルホン酸(アルケニルスルホン酸)が少なくなるから、耐久性が向上することが期待できる。この場合のスルホン酸は、上記式(1)で表されるスルホン酸のうちの一部のスルホン酸であり、下記式(2)で表されるスルホン酸である。
−SOOH (2)
(式中、Rは置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、又は置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基を示す。)
上記式(2)で表されるスルホン酸の例は、ビニルスルホン酸である。
前記バインダーは、金属酸化物ゲル若しくは金属水酸化物ゲルで、その比表面積が、150℃で乾燥後50m/g以上あるのが好ましく、100m/g以上あると更に好ましい。このような比表面積を有するのであれば接着性はより向上し、触媒活性も向上することになる。ここで、金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルを好ましく例示することができる。また、前記バインダーは、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルと、上記式(2)のスルホン酸との反応物を含むものであってもよい。
溶剤は、酸化チタン含有組成物に含まれる固形分を懸濁させる液体であり、それが可能な限り公知のものを用いることができる。
前記溶剤は、水、アルコール類、ケトン類の1種又はそれらの2種以上の混合物であってもよい。
アルコール類としては例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、あるいはこれらの混合物を挙げることができ、ケトン類としては、例えば、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
本願発明の酸化チタン含有組成物は、酸化チタン化合物と、2価の酸化銅と、バインダーと、上述の量の上記式(1)で表されるスルホン酸と、溶剤とを混合すれば得られる。
しかしながら、酸化チタン含有組成物の色彩を白色に近いものとするという本願発明による効果をより良く得るためには、2価の酸化銅と上記式(1)で表されるスルホン酸とを反応させて、酸化銅と上記式(1)で表されるスルホン酸との反応物を作ることを促進させるべきである。
上述のように本願発明における式(1)で示されるスルホン酸に含まれるRは、置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10のアリール基である。
により示されるC1〜10のアルキル基またはC2〜10のアルケニル基は、直鎖、分岐鎖のいずれの構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ビニル基、メチルビニル基、1−プロペニル基、アリル基、メタリル基、1−メチルアリル基、1−ブチレニル基、2−ブチレニル基、イソブチレニル基、1,3−ブタジエン−1−イル基等を挙げることができる。
により示されるC3〜10のシクロアルキル基又はC3〜10のシクロアルケニル基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
により示されるC6〜10のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
は、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、又は置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基であること、すなわち、RはRであること、或いは、前記式(1)により表されるスルホン酸が、前記式(2)により表されるアルケニルスルホン酸であること、が好ましい。
具体的には、本願発明における上記式(2)で表されるスルホン酸は、ビニルスルホン酸であるのがより好ましい。
アルケニルスルホン酸は、バインダーとの反応、特に紫外線を用いた反応が可能である。従って以下に説明するように、RがRである場合には、言い換えれば、式(1)で表されるスルホン酸が、式(2)で表されるスルホン酸である場合には、酸化チタン含有組成物の製造方法として、後述するA−3法、B−1法、B−2法のいずれかを採用すること、又は光触媒構造体の製造方法としてC−2法を採用することができ、また、それらを採用することが好ましい。特にバインダーとスルホン酸との反応を要する場合には、上記式(2)で表されるスルホン酸は、そのRが置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基であるアルケニルスルホン酸が好ましく、更にビニルスルホン酸であることが好ましい。
前記「置換基を有することのある」とは、R(Rの下位概念であるRの場合も当然に同様である。)により示される基に含まれる水素原子の1つ若しくは複数が、置換基により置換されていてもよいことを意味する。このR上の置換基は、更に置換基を有してもよい。前記「置換基」としては特に限定されないが、好ましくは、前記Rに関して例示された基、C1〜4アルコキシ基、C1〜4アルケニルオキシ基、カルボキシル基、C1〜4アシル基、C1〜4アシルオキシ基、C1〜4アルコキシカルボニル基、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基等のハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、C1〜4アルキル基又はC1〜4アシル基で置換されることのあるアミノ基、スルホン酸基等を挙げることができる。
本願発明における上記式(1)で表されるスルホン酸の添加量は、前記固形分に対して、若しくは、前記酸化チタン化合物、前記2価の酸化銅、及び前記バインダーの合計の質量に対して、0.5〜25質量%に相当する量である。
上記添加量は、より確実な効果を発揮させるために、0.8質量%以上であることが好ましい。また、少なくとも10質量%の式(1)で表されるスルホン酸が存在すれば十分な効果が得られることから、上記添加量は10質量%以下、多少の余裕を見るのであれば、20質量%以下であることが好ましい。
酸化チタン含有組成物は、以下に述べる方法によって製造されてもよい。
(A法)
固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含み、且つ前記固形分に対して、0.5〜25質量%に相当する量の上記式(1)で表されるスルホン酸を含んでなる懸濁液を撹拌混合することにより酸化チタン含有組成物を製造する方法であって、好ましくはその懸濁液に、以下の処理を行うことにより酸化チタン含有組成物を製造する方法である。A法には、以下の1〜3が含まれる。
1.懸濁液に上記式(1)で表されるスルホン酸を添加して、室温で攪拌混合する方法(A−1法と称する)。
2.懸濁液に上記式(1)で表されるスルホン酸を添加して、加温下に攪拌混合する方法(A−2法と称する)。
3.懸濁液に上記式(1)で表されるスルホン酸を添加して、紫外線を照射下で加温し、攪拌混合する方法(A−3法と称する)。
(B法)
バインダーに上記式(2)で表されるスルホン酸を添加して反応させた反応物を、酸化チタン化合物、及び2価の酸化銅を含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含む懸濁液に添加し、当該懸濁液を攪拌混合することによって、固形分としての酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーに対して、0.5〜25質量%に相当する量の上記式(2)で表されるスルホン酸を含んでなる酸化チタン含有組成物を製造する方法であって、好ましくは懸濁液に以下の処理を行うことにより酸化チタン含有組成物を製造する方法である。B法には以下の1、2が含まれる。
1.バインダーに上記式(2)で表されるスルホン酸を添加して、好ましくは加温下で、攪拌混合して反応生成物1を得た後に、固形分として、酸化チタン化合物、及び2価の酸化銅を含む懸濁液に、反応生成物1を添加して、好ましくは加温しつつ、撹拌混合する。(B−1法と称する)
2.バインダーに上記式(2)で表されるスルホン酸を添加して、紫外線の照射下で、好ましくは加温し、攪拌混合して反応生成物2を得た後に、固形分として、酸化チタン化合物、及び2価の酸化銅を含む懸濁液に、反応生成物2を添加して、好ましくは加温しつつ、撹拌混合する。(B−2法と称する)
A−1法において、反応条件は特に制限されるものではない。攪拌混合する時間つまり、反応時間は、好ましくは、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで、あるいは均一に混合後、攪拌を止めて静置し、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまでとすれば良い。
この方法によれば、2価の酸化銅(CuO)と上記式(1)で表されるスルホン酸のスルホン酸基との中和反応が主に進むと思われる。
A−2法において、反応条件は特に制限されるものではない。反応温度は、特に制限されるものでないが、50℃以上200℃以下で、好ましくは100℃以上150℃以下とすることができる。反応時間は、反応温度及び上記式(1)で表されるスルホン酸の添加量により異なるが、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
この方法によれば、2価の酸化銅(CuO)と上記式(1)で表されるスルホン酸のスルホン酸基との中和反応が進み、また特に、スルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、バインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応が並行して進むものと思われる。
A−3法において、反応条件は特に制限されるものではない。反応温度は特に制限されるものでないが、50℃以上150℃以下とすることができる。紫外線の波長と強度は、UVA(400〜315nm)やUVB(315〜280nm)の波長で、紫外線強度0.5〜5mw/cmとすることができる。反応時間は、反応温度、紫外線強度や、スルホン酸の添加量によって異なるが、少なくとも、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
この方法によれば、2価の酸化銅(CuO)とスルホン酸のスルホン酸基との中和反応が進み、また特に、スルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合にはバインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応が並行して進み、二重結合との反応の割合がA−2法より増加し、更に、紫外線照射により、系内で光触媒反応も生じるものと思われる。
B−1法において、反応生成物1の合成条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、例えば、50℃以上200℃以下で、好ましくは60℃以上150℃以下とすることができる。反応時間は1時間以上24時間以下が好ましい。
この方法によれば、特に、スルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合にはバインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応が進み、かつ、バインダーに結合したアルケニルスルホン酸のスルホン酸基はフリーであり、バインダーに結合しないフリーのアルケニルスルホン酸も存在する状態となると思われる。
B−1法において、反応生成物1を添加した後の懸濁液を混合する場合における条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、50℃以上200℃以下で、好ましくは100℃以上150℃以下である。反応時間は、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
B−2法において、反応生成物2の合成条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、例えば、50℃以上200℃以下で、好ましくは60℃以上150℃以下とすることができる。紫外線の波長と強度は、UVA(400〜315nm)やUVB(315〜280nm)の波長で、紫外線強度1〜10mw/cmとすることができる。反応時間は1時間以上24時間以下が好ましい。
この方法によれば、特に、スルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、反応生成物2は、反応生成物1より、バインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応がより進み、フリーのアルケニルスルホン酸含量は少なくなるものと思われる。 B−2法において、反応生成物2を添加した後の懸濁液を混合する場合における条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、例えば、50℃以上200℃以下で、好ましくは100℃以上150℃以下の温度とすることができる。反応時間は、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
本願発明の酸化チタン含有組成物を応用したものとして、本願発明者は、以下の光触媒構造体をも本願発明の一態様として提案する。
光触媒構造体の一例は、基材と、前記基材の表面に設けられた、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、バインダー、及び上記式(1)で表されるスルホン酸を含む光触媒層とを有しており、上記式(1)で表される前記スルホン酸の量が、前記酸化チタン化合物、前記2価の酸化銅、及び前記バインダーの合計の質量に対して、0.5〜25質量%に相当するようになっている、光触媒構造体である。
かかる光触媒構造体は、本願発明による上述した酸化チタン含有組成物のうちのいずれかを、基材の表面に塗布し、乾燥させることによってそれに含まれる溶剤を蒸発させることによって製造可能である。
上述の如き光触媒構造体であれば、酸化チタンと2価の酸化銅による光触媒機能と抗菌・抗ウイルス性とを、基材の表面に有するものとなるとともに、基材の表面の酸化チタン含有組成物によって形成された層を白色に近い色彩にすることができるため、意匠の点でも優れたものとなる。しかも、この光触媒構造体であれば、酸化チタン含有組成物によって形成された層は白色を保ちやすく、また紫外線の照射を受けても黒ずみにくい。
光触媒構造体は、本願発明におけるいずれかの酸化チタン含有組成物を用いて、例えば、以下の(C法)によって製造することができる。
(C法)
以上で説明した本願発明による酸化チタン含有組成物のいずれかを基材の表面に塗布し、乾燥させることによってそれに含まれる溶剤を蒸発させることにより光触媒構造体を製造する光触媒構造体の製造方法であって、酸化チタン含有組成物を塗布した後に、以下の処理を行うことで、光触媒構造体を製造する方法である。C法は、以下の2種類である。
1 本願のいずれかの酸化チタン含有組成物を基材に塗布後、150℃以下の温度で乾燥、硬化して、光触媒構造体を製造する方法。(C−1法と称する)
2 本願のいずれかの酸化チタン含有組成物を基材に塗布後、150℃以下の温度かつ紫外線照射下で乾燥、硬化して、光触媒構造体を製造する方法。(C−2法と称する)
これら製造方法によれば、塗膜を乾燥することにより塗膜と基材との結合を強固にするとともに、特に酸化チタン含有組成物に含有されるスルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、アルケニルスルホン酸の二重結合とバインダーの水酸基との反応が促進することによって、アルケニルスルホン酸を固定化することが期待できるので、塗膜中のアルケニルスルホン酸の流出を防げることにより、光触媒構造体に含まれるアルケニルスルホン酸に由来する機能がより良く維持されると考えられる。この点から、C−2法においては、スルホン酸として上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸を用いることが特に好ましい。
前記基材は、適当に選択できるが、例えばシートとすることができる。前記シートは、高分子樹脂の成形物、又は繊維による織物であってもよい。高分子樹脂の成形物であるシートの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等の成形物である。
具体例を以下に示す
本発明に用いられるシートは、高分子樹脂を含むものであればその原料について特に制限されることはないが、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂、フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂等により、上記基材を形成することができる。また、シート基材として、1質量%以上80質量%以下の可塑剤、好ましくは5質量%以上80質量%以下の可塑剤を含むものを用い、これに本発明による酸化チタン含有組成物を適用した場合には、従来の方法により得た光触媒構造体と比較して顕著に光触媒機能の向上が見られる。
本発明に用いられる基材の形状は、フィルム状、板状、管状、繊維状、網状等どのような形状でもよい。また、その大きさは10μm以上であれば光触媒を強固に担持することができる。
より具体的には、テント地キャンバス、カーテン、壁紙等の膜材、またポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂等からなる光透過性材料を好ましく挙げることができる。
高分子樹脂による基材と光触媒層、接着層との密着性を良くするために、放電処理やプライマー処理等をその表面に施したシート基材を用いることもできる。また、施工済の建築資材、家庭電化製品、めがね等用途によっては、製品として存在する加工済の高分子樹脂成形体に本発明の光触媒構造体の製造方法による処理を行うことによって、本発明による光触媒構造体とすることもできる。いずれにせよ、かかる光触媒構造体の応用範囲は極めて広いと言える。
特に膜材、その中でもテント地キャンバスに本発明の方法を応用した場合、従来の方法で製造した場合に比較して顕著な効果が現れる。テント地キャンバスとしては、既存のどの様な種類のテント地キャンバスでも用いることができる。ポリエステル等の樹脂からなる繊維を織った基布、該基布に塩化ビニル樹脂をコート含浸塗布により加工した塩ビ含浸基布、該塩ビ含浸基布の表面をアクリル、フッ素樹脂等でコートした表面処理塩ビ含浸基布など、テント地キャンバスとして呼称される全てのものに適用可能であるが、広く使用されているB種テント地キャンバス、C種テント地キャンバス、倉庫用膜材料に対しては特に好ましく使用できる。
また、本発明の光触媒担持テント地キャンバスは、広く一般建築用材料として、例えばテント倉庫の屋根、トラックシートなどの輸送体機器の幌、野積みシート、店舗用装飾テント、商店等の軒だし日除け、各種アーケードの屋根、展示会パビリオン等の屋根や側面の覆い、ガソリンスタンドの屋根や側面の覆い、防水保護シート、防雪シート、エアードーム、プールカバー、クイックシェルターの内膜、各種建築物の膜天井、仕切り、窓等、防汚、抗菌、防カビの効果を必要とする多くの場面にその優れた防汚性、抗菌性、防カビ性を生かして長期にわたって表面の美麗な状態を維持するため、特に好ましく使用できるものである。
中でも、優れた抗菌・抗ウイルス効果を利用して、医療用テントを含む医療施設、食品工場、食品倉庫、植物工場等に、特にそれらの内部に使用することが好ましい。
試験結果を示す表1。 試験結果を示す表2。 試験結果を示す表3。 試験結果を示す表4。 試験結果を示す表5及びグラフ5。 試験結果を示す表6及びグラフ6。 試験結果を示す表7及びグラフ7。 試験結果を示す表8及びグラフ8。 試験結果を示す表9及びグラフ9。 試験結果を示す表10。 試験結果を示す表11。
以下、本願発明の実施形態について説明する。
[酸化チタン含有組成物の製造]
この実施形態では、以下のようにして、酸化チタン含有組成物を製造する。
最終的に得られる酸化チタン含有組成物は、固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含み、且つ固形分に対して、0.5〜25質量%(好ましくは固形分に対して0.8質量%以上で且つ20質量%以下である。)に相当する量の下記式(1)で表されるスルホン酸を含んでいる。
−SOOH (1)
(式中、Rは置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10アリール基を示す。)
ここで、式(1)で示されるスルホン酸に含まれるRであるC1〜10のアルキル基またはC2〜10のアルケニル基は、直鎖、分岐鎖のいずれの構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ビニル基、メチルビニル基、1−プロペニル基、アリル基、メタリル基、1−メチルアリル基、1−ブチレニル基、2−ブチレニル基、イソブチレニル基、1,3−ブタジエン−1−イル基等を挙げることができる。
により示されるC3〜10のシクロアルキル基又はC3〜10のシクロアルケニル基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
により示されるC6〜10のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
は、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、又は置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基であること、すなわち、上記式(1)により表されるスルホン酸が、下記式(2)により表されるアルケニルスルホン酸であることが好ましい。
−SOOH (2)
(式中、Rは置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、又は置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基を示す。)
酸化チタン含有組成物の製造方法は、例えば、酸化チタン化合物と、2価の酸化銅と、バインダーと、上述の量の上記式(1)で表されるスルホン酸と、溶剤とを、上述の質量比で混合し、必要に応じて撹拌するというものである。
また、2価の酸化銅は酸化チタン化合物に担持されたものも好適に用いられる。酸化チタン化合物に2価の酸化銅を担持させる方法は公知であり、その方法により2価の酸化銅を担持させた酸化チタン化合物を得ることができる。
その方法の一例として、特許文献2(特許第5343176号公報)の段落[0021]における「製造方法1」に準じた方法に続けて、段落[0029]における「製造方法3」を実行する方法を挙げることができる。すなわち、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタン、2価銅化合物原料(例えばCuCl・2HO)、水、及びアルカリ性物質を混合してなる混合物を攪拌した後に脱水することにより、銅及びチタン含有組成物(Cu(OH)Cl/TiO)を得ることができる。
次に製造方法1で得られた銅及びチタン含有組成物を、更に熱処理することで、2価の酸化銅/酸化チタン化合物(本発明のCuO/TiO担持体を示す)を得ることができる。この熱処理により、2価の銅化合物が酸化チタンに強固に結合する。
酸化チタン化合物に2価の酸化銅を担持させる方法の他の例として、同段落[0029]における「製造方法2」に準じた方法に続けて、段落[0029]における「製造方法3」を実行する方法を挙げることができる。結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと、2価銅化合物原料(例えば、CuCl・2HO)とを、乾式混合又は湿式混合することにより銅及びチタン含有組成物((CuCl・2HO/TiO)を得ることができる。
次に製造方法2で得られた銅及びチタン含有組成物を、更に熱処理することで、2価の酸化銅/酸化チタン化合物(本発明のCuO/TiO担持体を示す)を得ることができる。この熱処理により、2価の銅化合物が酸化チタンに強固に結合する。
もっとも、酸化チタン含有組成物の色彩を白色に近いものとすることを考慮すれば、2価の酸化銅と上記式(1)で表されるスルホン酸との反応を促進させて、酸化銅とスルホン酸との反応物をより多く生成させるべきである。詳細な方法を次に示す。
(A法)
固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含み、且つ前記固形分に対して、0.5〜25質量%に相当する量の上記式(1)で表されるスルホン酸を含んでなる懸濁液を撹拌混合することにより酸化チタン含有組成物を製造する方法であって、好ましくはその懸濁液に、以下の処理を行うことにより酸化チタン含有組成物を製造する方法である。A法には、以下の1〜3が含まれる。
1.懸濁液に本願発明における上記式(1)で表されるスルホン酸を添加して、室温で攪拌混合する方法(A−1法と称する)。
2.懸濁液に上記式(1)で表されるスルホン酸を添加して、加温下に攪拌混合する方法(A−2法と称する)。
3.懸濁液に上記式(1)で表されるスルホン酸を添加して、紫外線を照射下で加温し、攪拌混合する方法(A−3法と称する)。
A−1法において、反応条件は特に制限されるものではない。攪拌混合する時間つまり、反応時間は、好ましくは、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで、あるいは均一に混合後、攪拌を止めて静置し、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまでとすれば良い。
この方法によれば、2価の酸化銅(CuO)と上記式(1)で表されるスルホン酸のスルホン酸基との中和反応が主に進むと思われる。
A−2法において、反応条件は特に制限されるものではない。反応温度は、特に制限されるものでないが、50℃以上200℃以下で、好ましくは100℃以上150℃以下とすることができる。反応時間は、反応温度及び上記式(1)で表されるスルホン酸の添加量により異なるが、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
この方法によれば、2価の酸化銅(CuO)とスルホン酸のスルホン酸基との中和反応が進み、特にスルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合にはバインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応が並行して進むものと思われる。
A−3法において、反応条件は特に制限されるものではない。反応温度は特に制限されるものでないが、50度以上150℃以下とすることができる。紫外線の波長と強度は、UVA(400〜315nm)やUVB(315〜280nm)の波長で、紫外線強度0.5〜5mw/cmとすることができる。反応時間は、反応温度、紫外線強度や、上記式(1)で表されるスルホン酸の添加量によって異なるが、少なくとも、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
この方法によれば、2価の酸化銅(CuO)とスルホン酸のスルホン酸基との中和反応が進み、特にスルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、バインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応が並行して進み、二重結合との反応の割合がA−2法より増加し、更に、紫外線照射により、系内で光触媒反応も生じるものと思われる。
(B法)
バインダーに本願発明における上記式(2)で表されるスルホン酸を添加して反応させた反応物を、酸化チタン化合物、及び2価の酸化銅を含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含む懸濁液に添加し、当該懸濁液を攪拌混合することによって、固形分としての酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーに対して、0.5〜25質量%に相当する量の上記式(2)で表されるスルホン酸を含んでなる酸化チタン含有組成物を製造する方法であって、好ましくは懸濁液に以下の処理を行うことにより酸化チタン含有組成物を製造する方法である。B法には以下の1、2が含まれる。
1.バインダーに上記式(2)で表されるスルホン酸を添加して、好ましくは加温下で、攪拌混合して反応生成物1を得た後に、固形分として、酸化チタン化合物、及び2価の酸化銅を含む懸濁液に、反応生成物1を添加して、好ましくは加温しつつ、撹拌混合する。(B−1法と称する)
2.バインダーに上記式(2)で表されるスルホン酸を添加して、紫外線の照射下で、好ましくは加温し、攪拌混合して反応生成物2を得た後に、固形分として、酸化チタン化合物、及び2価の酸化銅を含む懸濁液に、反応生成物2を添加して、好ましくは加温しつつ、撹拌混合する。(B−2法と称する)
B−1法において、反応生成物1の合成条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、例えば、50℃以上200℃以下で、好ましくは60℃以上150℃以下とすることができる。反応時間は1時間以上24時間以下が好ましい。
この方法によれば、特にスルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、バインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応が進み、かつ、バインダーに結合したアルケニルスルホン酸のスルホン酸基はフリーであり、バインダーに結合しないフリーのアルケニルスルホン酸も存在する状態となると思われる。
B−1法において、反応生成物1を添加した後の懸濁液を混合する場合における条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、50℃以上200℃以下で、好ましくは100℃以上150℃以下である。反応時間は、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
B−2法において、反応生成物2の合成条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、例えば、50℃以上200℃以下で、好ましくは60℃以上150℃以下とすることができる。紫外線の波長と強度は、UVA(400〜315nm)やUVB(315〜280nm)の波長で、紫外線強度1〜10mw/cmとすることができる。反応時間は1時間以上24時間以下が好ましい。
この方法によれば、特にスルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、反応生成物2は、反応生成物1より、バインダーの水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合の反応がより進み、フリーのアルケニルスルホン酸含量は少なくなるものと思われる。
B−2法において、反応生成物2を添加した後の懸濁液を混合する場合における条件は、特に制限されるものでない。反応温度は、例えば、50℃以上200℃以下で、好ましくは100℃以上150℃以下の温度とすることができる。反応時間は、酸化チタン含有組成物の色が白色になるまで攪拌すれば良い。
この実施形態の製造方法で用いることのできる酸化チタンは、公知のものでよく、具体的には、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンであり、或いはこれらの両者を含むものである。この実施形態における酸化チタンは、それに含まれるルチル型の酸化チタンが、モル比で50%を超えているものとする。
2価の酸化銅は、上述のように酸化チタンに担持されていても構わない。
2価の酸化銅は、また、以下に述べるように、上記式(1)で表されるスルホン酸、特には上記式(2)で表されるスルホン酸との反応物を含んでも良い。
この実施形態の製造方法で用いることのできるバインダーは、以下のものから選択可能であり、以下のものを2種類以上含むものであっても構わない。
本願発明におけるバインダーは、酸化チタン含有組成物の使用時において、酸化チタン含有組成物を、所定の基材の表面に塗布して、乾燥させるなどしてその主に固形分を基材の表面に固定させるにあたって、基材に対して酸化チタンを固定できるようなものであれば良い。また、本願発明におけるバインダーは、バインダー表面に水酸基を有し、スルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、その水酸基とアルケニルスルホン酸の二重結合との反応が可能なものとすることができる。いずれにせよ、バインダーには公知のものを用いることができる。
バインダーは、金属酸化物ゲル若しくは金属水酸化物ゲルで、その比表面積が、150℃で乾燥後50m/g以上あるのが好ましく、100m/g以上あると更に好ましい。このような比表面積を有するのであれば接着性はより強固になり、触媒活性も向上することになる。ここで、金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルを好ましく例示することができる。
また、前記バインダーは、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルと、上記式(2)で表されるスルホン酸との反応物を含むものであってもよい。
この実施形態の製造方法で用いることのできる溶剤は、以下のものから選択可能であり、以下のものを2種類以上含むものであっても構わない。
溶剤は、例えば、水、アルコール類、ケトン類から選択できる。
アルコール類としては例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、あるいはこれらの混合物を挙げることができ、ケトン類としては、例えば、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
以上で説明した酸化チタン含有組成物は、例えば、その用途が光触媒である場合もあるし、その用途が抗菌又は抗ウイルス剤である場合もある。
また、以上で説明した酸化チタン含有組成物は、例えば、基材(例えば、シート)の表面(少なくとも一方の面)の、例えば全面に塗布し、乾燥させて溶剤を蒸発させることにより、基材の表面にその固形分を固定させて用いる。もっとも、基材としては、課題を解決するための手段の欄で種々挙げたものの中から、適宜選択することができる。
基材がシートである場合、シートは、高分子樹脂の成形物、繊維による織物、繊維織物を芯材として高分子樹脂で被覆加工したシートであっても良い。高分子樹脂の成形物であるシートの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等の成形物である。繊維による織物の例は、ポリエステル繊維織物やガラス繊維織物である。繊維織物を芯材として高分子樹脂で被覆加工したシートの例は、ポリエステル繊維織物やガラス繊維織物を芯材にした塩化ビニルテント基材、ガラス繊維織物を芯材とするフッ素樹脂テント基材である。
酸化チタン含有組成物が塗布された基材の表面は、酸化チタンと2価の酸化銅による光触媒機能と抗菌・抗ウイルス性とを併せ持つことになる。
以上における酸化チタン含有組成物を用いて光触媒構造体を製造する場合には、例えば、以下の(C法)を用いることができる。
(C法)
以上で説明した酸化チタン含有組成物を基材の表面に塗布し、乾燥させることによってそれに含まれる溶剤を蒸発させることにより光触媒構造体を製造する光触媒構造体の製造方法であって、酸化チタン含有組成物を塗布した後に、以下の処理を行うことで、光触媒構造体を製造する方法である。C法は、以下の2種類である。
1 本願のいずれかの酸化チタン含有組成物を基材に塗布後、150℃以下の温度で乾燥、硬化して、光触媒構造体を製造する方法。(C−1法と称する)
2 本願のいずれかの酸化チタン含有組成物を基材に塗布後、150℃以下の温度かつ紫外線照射下で乾燥、硬化して、光触媒構造体を製造する方法。(C−2法と称する)
これら製造方法によれば、塗膜を乾燥することにより塗膜と基材との結合を強固にするとともに、スルホン酸がビニルスルホン酸等の上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸である場合には、アルケニルスルホン酸の二重結合とバインダーの水酸基との反応が促進することによって、アルケニルスルホン酸を固定化することが期待できるので、塗膜中のアルケニルスルホン酸の流出を防げることにより、光触媒構造体に含まれるアルケニルスルホン酸に由来する機能がより良く維持されると考えられる。
以下、この実施形態における酸化チタン含有組成物の製造方法の実施例について説明する。
<試料液A3の生成>(加熱混合)
蒸留水1000gに、60g(100質量部)の酸化チタン化合物としてのルチル型酸化チタンA(BET値(10m/g)、ルチル化率(95.9モル%)、アナターゼ化率(4.1モル%)、半値全幅(0.18度)、一次粒子径(150nm):昭和タイタニウム株式会社製)を懸濁させるとともに、4.979g(銅換算で3.1質量部、3.0質量%)のCuCl・2HO(関東化学株式会社製)を添加して、10分攪拌した。
次いで、pHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)水溶液を添加し、30分間攪拌混合を行ってスラリーを得た。
次いで、このスラリーをろ過し、得られた粉体を純水で洗浄してから80℃で乾燥し、ミキサーで解砕し、試料を得た。得られた試料を大気中、450℃で、3時間加熱処理して、試料1を得た。
なお、この試料1は、それをフッ酸溶液中で加熱して全溶解し、抽出液をICP発光分光分析により定量したところ、酸化チタン100質量部に対して、銅イオンが3.1質量部(3.0質量%)であることがわかった。すなわち、試料1を作るために用いられた上述のCuCl・2HO由来の銅イオンの全量が銅化合物として酸化チタンの表面に担持されていることがわかった。更にこの銅化合物はESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis:X線光電子分光)の波形分離からCuOであることを確認した。
次いで、上述の試料1と、界面活性剤とを、溶剤としての蒸留水186.9gに添加し、攪拌混合して、固形分含量25質量%となるように調整されたスラリーであるスラリー1を得た。
次いで、この50gのスラリー1と、界面活性剤1.5gとを、エチルアルコール148.5gに添加して懸濁させたものに更に、バインダーとしての固形分含量25質量%の硝酸酸性シリカゾル50gを添加して攪拌混合し、これに更に硝酸を添加して液のpHを3に調整し、固形分が10質量%となっている、光触媒塗布液1を250g得た。この光触媒塗布液1の色は、淡褐色であった。
次に、500mlの三口フラスコに、淡褐色を呈する上述の光触媒塗布液1を100g入れ、攪拌しながら上記式(1)で表されスルホン酸の1つであり、更には上記式(2)で表されるアルケニルスルホン酸の1つであるビニルスルホン酸(VSA−H:商標:旭化成ファインケム株式会社製、以下単に「VSA」と称する場合がある。)0.506g(光触媒塗布液1の固形分に対して5.1質量%)を添加混合し、光触媒塗布液2を得た。
かかる光触媒塗布液2を、室温で30分攪拌し、その後、攪拌しながら80℃まで加温し、80℃で3時間反応して液状の酸化チタン含有組成物である試料液A3を得た。かかる酸化チタン含有組成物の色彩は、白色であった。
以下、本願発明の具体的な実施例、及び比較例を用いてのその評価について説明する。
<試料液A1の生成>(室温混合)
500mlの三口フラスコに、試料液A3で説明したのと同様の方法で生成した淡褐色の光触媒塗布液1を100g入れ、攪拌しながらビニルスルホン酸(VSA−H)0.126g(光触媒塗布液1の固形分に対して1.26質量%)を添加混合し、室温で6時間攪拌した。
その後、その混合溶液を半透明のプラスチック製のサンブル瓶に移し、室温で2週間静置して、酸化チタン含有組成物である試料液A1を得た。かかる試料液A1の色彩は、白色であった。
<試料液A2、A4〜A7の生成>
試料液A2、A4〜A7を得るための方法は、試料液A1を得るための方法と基本的に変わることはない。唯一異なるのは、試料液A2、A4〜A7を製造する際に光触媒塗布液1に添加されるビニルスルホン酸(VSA−H)の量である。
酸化チタン含有組成物である試料液A2を製造する場合に光触媒塗布液1の100gに添加されるビニルスルホン酸(VSA−H)の量は、0.250g(光触媒塗布液1の固形分に対して2.50質量%)、試料液A4の場合では、0.760g(光触媒塗布液1の固形分に対して7.60質量%)、試料液A5を製造する場合では、1.01g(光触媒塗布液1の固形分に対して10.1質量%)、試料液A6を製造する場合では、1.260g(光触媒塗布液1の固形分に対して12.6質量%)、試料液A7を製造する場合では、2.53g(光触媒塗布液1の固形分に対して25.3質量%)、である。
試料液A2、A4〜A7による酸化チタン含有組成物はすべて、その色彩が白色であった。
<試料液A8の生成>
500mlの三口フラスコに、オルガノシリカゾル(IPA−ST(商標):日産化学株式会社製:イソプロピールアルコール(IPA)溶媒、固形分30.5質量%、粒子径12nm)を50gと、IPA26.3gとを添加して固形分を20.0質量%になるように調整し、攪拌しながらそれにビニルスルホン酸(VSA−H)1.5gを添加して均一に分散させた。
その後、更に攪拌しながら55℃に昇温させ、更にBLBランプで紫外線を照射(紫外線は、フラスコ表面で1.0〜1.5mw/cmの強度となるようにした。)しながら、6時間反応した。生成物はかなり増粘しており、粘調な反応生成物(反応生成物1)を生じていた。つまり、以上の処理により、バインダーとしてのシリカゾルと、ビニルスルホン酸との反応物の生成が促進されていた。反応生成物の持つ粘調な性質は、ビニルスルホン酸の二重結合基とシリカゾルの〜Si−OH結合とが反応して、〜Si−O−CH−CH−SOHが生成されたことによるものと考えられる。
反応生成物1中には、VSAが1.93質量%、SiO量が19.6質量%含有されている。
次いで、500mlの三口フラスコに、光触媒塗布液1を100g添加し、攪拌しながら上記反応生成物1を15.54g添加して、室温で30分混合させた。攪拌しながら70℃に昇温して1時間、更に80℃に昇温して1.5時間、最後に100℃に昇温して1時間反応させて、液状の酸化チタン含有組成物である試料液A8を得た。かかる酸化チタン含有組成物A8の色彩は、白色であった。
得られた試料液A8は115gであり、添加されたVSA量は、光触媒塗布液1の固形分の3.0質量%である。VSA/Cuの(モル比)は、1.18である。このように、VSAは、それ単独でなく、予めシリカゾルとその少なくとも一部を反応させた場合であっても、光触媒塗布液1中のCuOを白色化することができることがわかった。
<試料シートB1〜B8の作成>
次に、本願発明における基材の一例としてのシートの表面(必ずしもこの限りではないが、この例ではシートの片面)に、試料液A1〜試料液A8を塗布して乾燥させることにより、試料液A1〜試料液A8それぞれの主に固形分をシートの表面に固定させて光触媒層を形成させた。
ここで用いたシートは、グラスファイバー製の基布、ポリ塩化ビニル、可塑剤などを含んでおり、膜天井、間仕切り、小規模テント等をその用途とするテント基材(クリアライトロン V−2000(商標):平岡織染株式会社製)である。
まず、この例では、シートに接着層を形成した。接着層は、シートに以下のようにして生成される接着層塗布液1を塗布して生成した。
接着層塗布液1は、シリコン含量が3質量%のアクリル−シリコン樹脂を10質量%含有するキシレン−イソプロパノール(50/50)溶液に、アクリル−シリコン樹脂に対して30質量%のポリシロキサン(メチルシリケート51(商標):コルコート株式会社製)と、界面活性剤とを添加し、混合することにより得た。
接着層塗布液1のシートへの塗布は、一般的なバーコータを用いて行った。その後、100℃で15分間乾燥して、塗布した接着層塗布液1を接着層とした。接着層の厚さは約1.5μmである。接着層を備えるシートは、A4の大きさであり、同じものを8つ作った。
次いで、以上のようにして作成した接着層を備えるシートのそれぞれの上記接着層上に、試料液A1〜試料液A8をそれぞれ塗布し、乾燥させた。試料液A1〜試料液A8の塗布は、一般的なバーコータを用いて行った。その後、100℃で15分間乾燥して、接着層の上に、試料液A1〜試料液A8のいずれかに由来する光触媒層を形成することにより、光触媒層を有するシートである試料シートB1〜試料シートB8を得た。
試料シートB1〜試料シートB8の光触媒層の色彩は、いずれも白色と評価できるものであった。
<比較シート1の生成>
試料液A3で説明した光触媒塗布液1を、比較液1として、試料液A1〜試料液A8の代わりとして用い、<試料シートB1〜B8の作成>で説明したのと同じ方法で、比較シート1を得た。
比較シート1が有する接着層と光触媒層の厚さは、それぞれ、1.5μmと1μmであった。また、比較シート1の光触媒層の色彩は、淡褐色であった。
<比較液2、比較シート2の生成>
比較液2を得るための方法は、試料液A3を得るための方法と基本的に変わることはない。唯一異なるのは、比較液2を製造する際に光触媒塗布液1に添加されるビニルスルホン酸(VSA−H)の量である。
酸化チタン含有組成物である比較液2を製造する場合に光触媒塗布液1の100gに添加されるビニルスルホン酸(VSA−H)の量は、0.0300g(光触媒塗布液1の固形分に対して0.30質量%)である。
このようにして得た比較液2を、試料液A1〜試料液A8の代わりとして用い、<試料シートB1〜B8の作成>で説明したのと同じ方法で、比較シート2を得た。
比較シート2が有する接着層と光触媒層の厚さは、それぞれ1.5μmと1μmであった。また、比較シート2の光触媒層の色彩は、比較シート1の比較触媒層よりも若干白に近い淡褐色であった。
[試料液A1〜A8、比較液1、2、試料シートB1〜B8、及び比較シート1、2の完成時の色彩の評価]
試料液A1〜A8、比較液1、2、試料シートB1〜B8、及び比較シート1、2の評価を、図1の表1に示す。なお、比較液1は、VSAの添加されていない、光触媒塗布液1と同じである。
表1中、一番右の項目である「光触媒層」の項目のみ、試料シートB1〜B8、及び比較シート1、2についての評価であり、その他の項目は、試料液A1〜A8、比較液1、2についての評価である。
試料液A1〜A8、比較液1、2ともに、各液に占める銅の量は3.0質量%で共通である。また、各液におけるVSAの添加量は、比較液1、比較液2、試料液A1〜試料液A7の順で、0.0〜25.3質量%の範囲で徐々に大きくなっている。ただし、試料液A8においては、VSAの添加量は、3.0と少ない。
そして、銅に対するVSAのモル換算した場合における比率であるVSA/Cuも、比較液1、比較液2、試料液A1〜試料液A7の順で、0.0〜10.0の範囲で、徐々に大きくなっている。試料液A8におけるVSA/Cuは、1.2である。
比較液1、比較液2、試料液A1〜試料液A8の目視により判定した色彩は、比較液1、比較液2は淡褐色であり、試料液A1〜試料液A8の場合には白色である。
比較液1、比較液2、試料液A1〜試料液A8についての以上の結果から明らかなように、液中の固形分換算のVSAの量が0.3質量%よりも小さい比較液1、比較液2の場合には、その色彩は、淡褐色となってしまう。他方、液中の固形分換算のVSAの量が1.3質量%よりも大きく、25.3%よりも小さい試料液A1〜試料液A8の場合においては、その色彩はいずれも白色となる。なお、本願発明者によれば、液中の固形分換算のVSAの量が0.5質量%よりも大きければ、試料液の色彩が白色になることも確認されている。
本願出願人の考察によれば、比較液1、比較液2が淡褐色となるのは、これらに含まれる2価の酸化銅(CuO)の黒色に起因する。
ここで、CuOは塩基性酸化物なので、例えば2モルの塩酸(HCl)と反応した場合には、以下の化学式1により黄色の塩化第2銅(CuCl)と水を生じる。
化学式1 CuO+2HCl→CuCl+H
化学式2 2CuO+HCl+HO →Cu(OH)Cl
または→Cu(OH)Cl+Cu(OH)
ビニルスルホン酸は強酸なので、化学式1と同様に、酸化第2銅と反応し、2置換体「Cu−(OSO−CH=CH」を生成したり、化学式2のように反応して、1置換体「Cu−(OH)-OSO−CH=CH」を生成し、それによって、CuOの黒色が消失する。このような機序により、試料液A1〜試料液A8の色彩が白色になっていると、本願発明者は考えている。
表1に、銅に対するVSAのモル換算した場合における比率であるVSA/Cuを示したが、かかるモル比が、0.5よりも大きく、10までの範囲であれば試料液A1〜試料液A8のように、液の色は白色となる。より詳細には、モル比が0.5以上で液が白色化され始める。もっとも、モル比が10になると、光触媒層のYIの値が増加し始めている。したがって、モル比が10以下で充分効果を発揮でき、モル比が10を超えると、副反応が生じ、黄変度が大きくなると予想されるから、モル比は10以下とするのが好ましい。
「光触媒層」の項目では、完成時における試料シートB1〜B8、及び比較シート1、2の光触媒層の色調を評価した。
色調は、黄色度YIにより評価した。
YIは、補助イルミナントCを使用し、XYZ表色系を用いて、以下の数式により決定した。
YI=100(1.2769×X−1.0592×Z)/Y
光触媒層の色も、比較液1、比較液2、試料液A1〜試料液A8の場合と同様に、液中の固形分換算のVSAの量が0.3質量%よりも小さい比較シート1、比較シート2の場合には、その色彩は、淡褐色となってしまう。他方、液中の固形分換算のVSAの量が1.3質量%よりも大きく、25.3%よりも小さい試料シートB1〜試料シートB8の場合においては、その色彩はいずれも白色となる。なお、本願発明者によれば、液中の固形分換算のVSAの量が0.5質量%よりも大きければ、光触媒層の色彩が白色になることも確認されている。
また、モル比(VSA/Cu)に関して言えば、かかるモル比が、0.5よりも大きく、10までの範囲であれば試料シートB1〜試料シートB8のように、光触媒層の色は白色となる。特に、モル比が1以上10以下の範囲では、光触媒層は完全な白色になっている。
[試料シートB1〜B8、及び比較シート1、2の退色についての評価]
試料シートB1〜B8と、比較シート1、2に対して、以下の条件1〜4下で退色試験1〜4を行って評価を行い、その結果を図2における表2に示した。
退色試験1における条件1は、高湿度下での退色試験である。30℃で、相対湿度が90%の雰囲気下で、白色蛍光灯より1000lxの光を照射しつつ、4週間放置し、その後光触媒層の表面の色彩の変化を、目視と黄色度YIにより評価した。
退色試験2における条件2は、水に含浸させての退色試験である。室温中で水道水を満たした容器中に光触媒担持シートを浸漬し、1週間保持後、光触媒層の表面の水を軽くふき取り、条件1の場合と同様に評価した。
退色試験3における条件3は、オレイン酸に含浸させての退色試験である。室温中でオレイン酸を満たした容器中に光触媒担持シートを浸漬し、1週間保持後、光触媒層の表面のオレイン酸を軽くふき取り、条件1の場合と同様に評価した。
退色試験4における条件4は、人の手を接触させての退色試験である。光触媒層の表面に手のひらや指を押し当て1週間、室温下で放置後、光触媒層の表面を、条件1の場合と同様に評価した。
表2に示したように、試料シートB1〜B8においては、退色試験1〜4のすべてにおいて、ほとんどが変化なしの評価であった。もっとも、試料シートB2においては、退色試験2と退色試験3とで、光触媒層の色彩が白色に近づいた。しかしながら、その変化はYIで2か3の僅かで大きな色調の変化には当たらないものであり、意匠的な観点からすると、商品価値の低下を招くような大きな問題は生じないものであった。
他方、比較シート1、2では、退色試験1〜退色試験3のすべてにおいて、退色による白色化が試料シートB1〜B8の場合と比較して相対的に大きく生じ、また、退色試験4では、光触媒層の色がまだらに変色を生じた。これは、意匠的な観点からすると、用途によるが、商品価値の低下を招くような変化であるといえる。
[試料シートB1〜B4、及び試料シートB8の性能についての評価]
性能試験は、抗菌性試験、抗ウイルス性試験、及び耐湿度試験の3つである。
抗菌性試験、抗ウイルス性試験はそれぞれJIS R 1752、JIS R 1756に準拠し、黄色ぶどう球菌、大腸菌およびQβバクテリオファージに対する評価を行った。光源は白色蛍光灯を用い、UVカットフィルター(N−169)を用いてλ≧380nmとした可視光を試料シートの光触媒層の表面の照度が1000lxとなるようにして、1時間照射した。
他方、耐湿度試験では、30℃、湿度90RHの恒温恒湿槽内にて、白色蛍光灯(全光)を用い、サンプル表面の照度を1000lxに設定して光を照射し続け、4週間経過後にサンプルを取り出し抗菌性及び抗ウイルス性を評価した。
以上の評価結果を、図3において、表3として示した。
各光触媒担持シートの完成時の抗菌性・抗ウイルス性は非常に高く、耐湿度試験における厳しい環境下で4週間が経過した後であっても、抗菌性・抗ウイルス性の低下は認められなかった。
表1〜3に示された結果によれば、試料シートB1〜B4、及び試料シートB8は、VSAをどのようにして加えたにせよ、シートに対する塗布時においては白色であり、また、各種退色試験でもその色彩に殆ど変化が生じず、また、その非常に高い抗菌性・抗ウイルス性には厳しい環境下でも変化がなく、高湿度下においても、以上の結果が変わらない、というものであった。
<試料液A9〜A11の生成>
試料液A9、A10、A11の製造は、上記の光触媒塗布液1に、VSAを加える代わりに、上記式(1)で表されスルホン酸の1つであるメタンスルホン酸(東京化成工業株式会社製 試薬、以下「MSA」と称する場合がある。)を加えたこと以外は、上記試料液A1の場合と同様の方法で製造した。
具体的には、試料液A9、A10、A11の製造においては、光触媒塗布液1に、MSAを添加し、室温で撹拌して均一に溶解させた。光触媒塗布液1の100gに添加されるMSAの量は、試料液A9の場合には、0.060g(光触媒塗布液1の固形分に対して0.60質量%)、試料液A10の場合には0.100g(光触媒塗布液1の固形分に対して1.00質量%)、試料液A11の場合には0.200g(光触媒塗布液1の固形分に対して2.00質量%)とした。
<試料シートB9〜B11の作成>
次に、シートの片面に、試料液A9、試料液A10または試料液A11を塗布して乾燥させることにより、各試料液の主に固形分をシートの表面に固定させて光触媒層を形成させた。その方法は試料液の違いこそあれ、<試料シートB1〜B8の作成>の場合と同様である。
ここで用いたシートは、<試料シートB1〜B8の作成>におけるものと同じものである。このシートの表面に、<試料シートB1〜B8の作成>で説明したのと同様の方法で、接着層を形成させた。
次いで、以上のようにして作成した接着層を備えるシートのそれぞれの上記接着層上に、試料液A9〜A11をそれぞれ塗布し、乾燥させた。試料液A9〜A11の塗布は、一般的なバーコータを用いて行った。その後、100℃で15分間乾燥して、接着層の上に、試料液A9〜A11のいずれかに由来する光触媒層を形成することにより、光触媒層を有するシートである試料シートB9〜B11を得た。
試料シートB9〜B11の光触媒層の色彩は、いずれも白色であった。
<試料液A12、A13、試料シートB12、B13の生成>
試料液A12及びA13を得るための方法は、試料液A1を得るための方法と基本的に変わらず、製造の際に光触媒塗布液1に添加されるVSAの量のみが異なる。光触媒塗布液1の100gに添加されるビニルスルホン酸の量は、試料液A12の場合には0.060g(光触媒塗布液1の固形分に対して0.60質量%)、試料液A13の場合には0.100g(光触媒塗布液1の固形分に対して1.00質量%)とした。
試料液A12及びA13を、試料液A1の代わりとして用い、<試料シートB1〜B8の作成>で説明したのと同様の方法で、試料シートB12及びB13を各々得た。
試料シートB12及びB13の光触媒層の色彩は、白色であった。
<比較液3、比較シート3の生成>
比較液3を得るための方法は、試料液A9〜A11を得るための方法と基本的に変わらず、比較液3を製造する際に、光触媒塗布液1の100gに添加されるMSAの量を、0.010g(光触媒塗布液1の固形分に対して0.10質量%)とした点のみが異なる。
比較液3を、試料液A9〜A11の代わりとして用い、<試料シートB9〜B11の作成>で説明したのと同じ方法で、比較シート3を得た。
比較シート3の光触媒層の色彩は、淡褐色であった。
<試料シートB14、B15の作成>
試料シートB14、B15の作成では、基材として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡社製、コスモシャインA4300#188、厚さ188μm)を用いた。この基材の違い以外は、<試料シートB9〜B11の作成>で説明したのと同様の方法で、その片面に接着層を形成させた。
次いで、以上のようにして作成した接着層を備えるシートのそれぞれの上記接着層上に、試料液A10、試料液A13をそれぞれ<試料シートB9〜B11の作成>で説明したのと同様の方法で塗布し、その後<試料シートB9〜B11の作成>で説明したのと同様の方法で乾燥させ、光触媒層を有するシートである試料シートB14及び試料シートB15を得た。
試料シートB14、試料シートB15の光触媒層の色彩は、いずれも白色であった。
[試料液A9〜A11、比較液1、3、試料シートB9〜B11、及び比較シート1、3の完成時の色彩の評価]
試料液A9〜A11、比較液1、3、試料シートB9〜B11、及び比較シート1、3の評価、すなわちMSA添加量による色彩の比較を、図4の表4に示す。
表4中、一番右の項目である「光触媒層」の項目のみ、試料シートB9〜B11、及び比較シート1、3についての評価であり、その他の項目は、試料液A9〜A11、比較液1、3についての評価である。各試料液におけるMSAの添加量は、比較液1、比較液3、試料液A9〜試料液A11の順で、0.0〜2.00質量%の範囲で大きくなっている。
各液の目視により判定した色彩は、比較液1は淡褐色、比較液3は淡灰色であるが、試料液A9〜試料液A11は白色であった。また、各シートに対する塗布時の光触媒層の色彩は、比較液1及び比較液3は淡褐色であるが、試料液A9〜試料液A11は白色であった。
すなわち、室温混合により、固形分に対して0.5質量%以上のMSAを使用しても、同量のVSAを使用した場合と同様に、試料液及び塗布時の光触媒層は白色となった。
[試料シートB10、B11、B13、及び比較シート1、3のUV光変色についての評価]
試料シートB10、B11、B13と、比較シート1、3に対して、以下の条件5の下で、MSA添加量及びVSA(固形分中1.00質量%)によるUV光照射下での比較である変色試験5−1を行い、その結果を図5〜6における表5〜6及び各表のデータをグラフ化したグラフ5〜6に示した。
条件5は、一定時間のUV光照射後に色彩を評価するものである。各シートに、室温で、ブラックライト(FL15BLB、東芝ライテック(株)製)より1.0mW/cmのUV光を照射するというものであり、照射開始から表5及び表6に示した各時間(0〜28時間)後に、光触媒層の表面の色彩の変化がどのように生じるかを、色差計を用いて測定したL*(黒変の指標 数値:0(黒)数値:100(白))およびYI(黄変の指標 数値大ほど黄色が濃い)により評価した。試験の結果を表5及びグラフ5(L*)と表6及びグラフ6(YI)に分けて示した。
表5及びグラフ5と、表6及びグラフ6に示された結果によれば、本発明の光触媒構造体であるシートにおいて、室温混合により固形分に対して0.5質量%以上のVSA又はMSAを使用した試料シートB10、B11、B13はいずれも、固形分に対するMSA及びVSAが0.5質量%未満の比較シート1、3の場合と比較して、UV光照射に対する変色試験で色彩に殆ど変化が生じず、特に、L*により評価される黒ずみ防止効果が顕著であった。また、固形分に対して0.5質量%以上のVSA又はMSAを使用した試料シートB10、B11、B13においては、VSAとMSAの別、使用されたMSAの量の違いに関わらず、特にL*により評価される黒ずみ防止効果については殆どその効果に違いが認められなかった。
[試料シートB12、B13、及び比較シート1、2のUV光変色についての評価]
試料シートB12、B13と、比較シート1、2に対して、VSA添加量によるUV光照射下での比較である変色試験5−2を行い、その結果を図7〜8における表7〜8及び各表のデータをグラフ化したグラフ7〜8に示した。条件は上記と同じ条件5であるが、但しUV光照射は変色試験5−1より更に長時間まで(0〜188時間)実施した。試験の結果を表7及びグラフ7(L*)と表8及びグラフ8(YI)に分けて示した。
表7及びグラフ7と、表8及びグラフ8に示された結果によれば、本発明の光触媒構造体であるシートにおいて、室温混合により固形分に対して0.5質量%以上のVSAを使用した試料シートB12、B13はいずれも、固形分に対するVSAが0.5質量%未満の比較シート1、2の場合と比較して、UV光照射に対する変色試験で、L*、YIによる評価のいずれにおいても優れていた。
[試料シートB10、B11、B13、及び比較シート1、3の退色についての評価]
試料シートB10、B11、B13と、比較シート1、3に対して、以下の条件6の下で退色試験6を行って評価を行い、その結果を図9における表9及びそのデータをグラフ化したグラフ9に示した。
退色試験6における条件6は、水浸漬下で退色を評価する。各シートを室温でイオン交換水に浸漬し、その後12時間白色蛍光灯により300lxで光を照射し、12時間光の照射を行わないということを繰り返すという条件(つまり、昼間は蛍光灯による照明があり、夜間は照明がないという、通常の室内でイオン交換水にシートを浸漬するという条件)を7日間継続した。その状態で1週間保持後、光触媒層の表面の水を軽くふき取り、光触媒層の表面の色彩の変化を、色差計を用いて測定した色差L*および目視により評価した。比較のため、成膜直後の上記処理をしていないシートのL*を同様に測定し、評価時間0として示した。
表9及びグラフ9に示された結果によれば、0.5質量%以上のMSA又はVSAを使用した試料シートB10、B11、及びB13はいずれも、固形分に対するMSA及びVSAが0.5質量%未満の比較シート1、3の場合と比較して、初期の塗膜色を白色化できるため、水浸漬前後の変色を抑制することができた。また、固形分に対して0.5質量%以上のVSA又はMSAを使用した試料シートB10、B11、B13においては、VSAとMSAの別、使用されたMSAの量の違いに関わらず、黒ずみ防止効果については殆どその効果に違いが認められなかった。
[試料シートB14、B15の抗ウイルス性評価]
性能試験として、抗ウイルス性試験を実施した。試験方法は[試料シートB1〜B4、及び試料シートB8の性能についての評価]に記載した抗ウイルス性試験の方法と同様であるが、但し評価時間を1時間および2時間とした点が異なる。本試験は、MSA及びVSAを同添加量(固形分中1.00質量%)で比較するものである。
評価結果を、図10における表10に示した。
表10に示された結果によれば、抗ウイルス効果をVSAとMSAとをそれぞれ使用した試料シートB14と試料シートB15とで比較するとほぼ同等であった。
[試料シートB14、B15の抗菌性評価]
性能試験として、抗菌性試験を実施した。試験方法は[試料シートB1〜B4、及び試料シートB8の性能についての評価]に記載した抗菌性試験の方法と同様であるが、但し大腸菌のみで評価時間を1時間および2時間とした点が異なる。本試験は、MSA及びVSAを同添加量(固形分中1.00質量%)で比較するものである。
評価結果を、図11における表11に示した。
表11に示された結果によれば、抗菌性効果をVSAとMSAとをそれぞれ使用した試料シートB14と試料シートB15とで比較するとほぼ同等であったが、詳細に比較すると、VSAの暗所抗菌性がMSAよりやや優れていた。

Claims (28)

  1. 固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含む酸化チタン含有組成物であって、
    前記固形分に対して、0.5〜25質量%に相当する量の式(1)
    −SOOH (1)
    (式中、Rは置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10アリール基を示す。)
    で表されるスルホン酸を含んでなる、
    酸化チタン含有組成物。
  2. 前記酸化チタン化合物が、酸化チタンに占めるルチル型酸化チタンのモル比が50%以上のものとなっている、
    請求項1記載の酸化チタン含有組成物。
  3. 前記酸化銅の少なくとも一部が、前記式(1)で表されるスルホン酸との反応物となっている、
    請求項1又は2に記載の酸化チタン含有組成物。
  4. 前記バインダーが、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルである、
    請求項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物。
  5. 前記バインダーが、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫の酸化物ゲル若しくは水酸化物ゲルと、式(2)
    −SOOH (2)
    (但し、前記Rは置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、又は置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基を示す。)で表されるスルホン酸との反応物を含む、
    請求項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物。
  6. 前記溶剤が、水、アルコール類、ケトン類の1種又はそれらの2種以上の混合物である、
    請求項1〜5のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物。
  7. 前記式(1)で表されるスルホン酸が、ビニルスルホン酸又はメタンスルホン酸である、
    請求項1〜4のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物。
  8. 前記式(2)で表されるスルホン酸が、ビニルスルホン酸である、
    請求項5記載の酸化チタン含有組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物であって、
    その用途が光触媒である、
    酸化チタン含有組成物。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物であって、
    その用途が抗菌又は抗ウイルス剤である、
    酸化チタン含有組成物。
  11. 固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含み、且つ前記固形分に対して、0.5〜25質量%に相当する量の式(1)
    −SOOH (1)
    (式中、Rは置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10アリール基を示す。)
    で表されるスルホン酸を含んでなる懸濁液を、
    攪拌混合することによって酸化チタン含有組成物を得る、
    酸化チタン含有組成物の製造方法。
  12. 前記撹拌混合を、室温下で行う、
    請求項11記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  13. 前記撹拌混合を、50℃以上200℃以下の温度で行うことによって酸化チタン含有組成物を得る、
    請求項11記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  14. 前記撹拌混合を、280〜400nmの波長で強度0.5〜5mw/cmの紫外線の照射下で、50℃以上150℃以下の温度で行うことによって酸化チタン含有組成物を得る、
    請求項11記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  15. バインダーに式(2)
    −SOOH (2)
    (式中、Rは置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、又は置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基を示す。)
    で表されるスルホン酸を添加して反応させることによって得た反応物を、酸化チタン化合物、及び2価の酸化銅を含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含む懸濁液に添加し、
    前記反応物が添加された前記懸濁液を攪拌混合することによって、固形分としての酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーに対して、0.5〜25質量%に相当する量の式(1)
    −SO OH (1)
    (式中、R は置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10アリール基を示す。)
    で表されるスルホン酸を含んでなる酸化チタン含有組成物を得る、
    酸化チタン含有組成物の製造方法。
  16. 前記反応物を得るために、バインダーに前記式(2)で表されるスルホン酸を添加して、50℃以上200℃以下の温度で反応させる、
    請求項15記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  17. 前記反応物を得るために、バインダーに前記式(2)で表されるスルホン酸を添加して、280〜400nmの波長で強度1〜10mw/cmの紫外線の照射下で、50℃以上200℃以下の温度で反応させる、
    請求項15記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  18. 前記反応物が添加された前記懸濁液を、50℃以上200℃以下の温度で加温する、
    請求項15〜17のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  19. 前記式(1)で表されるスルホン酸がビニルスルホン酸又はメタンスルホン酸である、
    請求項11〜14のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  20. 前記式(2)で表されるスルホン酸がビニルスルホン酸である、
    請求項15〜18のいずれかに記載の酸化チタン含有組成物の製造方法。
  21. 基材と、前記基材の表面に設けられた、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、バインダー、及び式(1)
    −SOOH (1)
    (式中、Rは置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10アリール基を示す。)
    で表されるスルホン酸を含む光触媒層とを有しており、
    前記式(1)で表されるスルホン酸の量が、前記酸化チタン化合物、前記2価の酸化銅、及び前記バインダーの合計の質量に対して、0.5〜25質量%に相当するようになっている、
    光触媒構造体。
  22. 前記式(1)で表されるスルホン酸がビニルスルホン酸又はメタンスルホン酸である、
    請求項21に記載の光触媒構造体。
  23. 基材に、
    固形分として、酸化チタン化合物、2価の酸化銅、及びバインダーを含むとともに、それらを懸濁させる溶剤を含む酸化チタン含有組成物であって、前記固形分に対して、0.5〜25質量%に相当する量の式(1)
    −SOOH (1)
    (式中、Rは置換基を有することのあるC1〜10のアルキル基、置換基を有することのあるC2〜10のアルケニル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルキル基、置換基を有することのあるC3〜10のシクロアルケニル基、又は置換基を有することのあるC6〜10アリール基を示す。)
    で表されるスルホン酸を含んでなる、酸化チタン含有組成物、
    を塗布して、
    乾燥させて前記溶剤を蒸発させることにより、
    前記基材の表面に、前記酸化チタン含有組成物中の固形分を固定させたものである光触媒層を有する光触媒構造体を製造する、
    光触媒構造体の製造方法。
  24. 塗布された前記酸化チタン含有組成物の乾燥を、150℃以下の温度で行う、
    請求項23記載の光触媒構造体の製造方法。
  25. 塗布された前記酸化チタン含有組成物の乾燥を、150℃以下の温度で、且つ紫外線の照射下で行う、
    請求項23記載の光触媒構造体の製造方法。
  26. 前記式(1)で表されるスルホン酸がビニルスルホン酸又はメタンスルホン酸である、
    請求項23〜25のいずれかに記載の光触媒構造体の製造方法。
  27. 前記基材はシートである、
    請求項21又は22に記載の光触媒構造体。
  28. 前記シートは、高分子樹脂の成形物、繊維による織物、繊維織物を芯材として高分子樹脂で被覆加工したシートである、
    請求項27に記載の光触媒構造体。
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